特許第6564257号(P6564257)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6564257
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】電源供給回路
(51)【国際特許分類】
   H05B 37/02 20060101AFI20190808BHJP
【FI】
   H05B37/02 K
   H05B37/02 J
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-124938(P2015-124938)
(22)【出願日】2015年6月22日
(65)【公開番号】特開2017-10766(P2017-10766A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2018年6月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】390010054
【氏名又は名称】コイト電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104237
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 秀昭
(74)【代理人】
【識別番号】100084261
【弁理士】
【氏名又は名称】笹井 浩毅
(72)【発明者】
【氏名】柳井 英幸
(72)【発明者】
【氏名】田中 典明
(72)【発明者】
【氏名】古川 賢志
【審査官】 安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−254099(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源を構成する半導体発光素子に対して、定電流源から出力された電流を供給するための電源供給回路において、
前記半導体発光素子が短絡状態となった場合に、該半導体発光素子への電流の供給を回路途中で遮断する断線回路を有し、
前記断線回路は、前記半導体発光素子が短絡状態となった場合に、前記半導体発光素子へ電流を供給する通常の給電状態から該半導体発光素子への電流の供給を遮断する断線状態に自動的に切り換わる第1スイッチング素子と、前記半導体発光素子にかかる電圧を監視して、該電圧が前記半導体発光素子の正常時にかかる所定値よりも短絡状態に起因して低下した場合に、前記第1スイッチング素子を給電状態から断線状態に自動的に切り換えるように動作する第2スイッチング素子とを備え、
前記定電流源の出力端子間に、前記第1スイッチング素子と前記半導体発光素子が順に接続され、
前記第1スイッチング素子は、入力端子が前記定電流源の一出力端子に接続されると共に、出力端子が前記半導体発光素子のアノードに接続され、前記半導体発光素子は、カソードが前記定電流源の他出力端子に接続され、
前記第1スイッチング素子の制御端子と前記定電流源の他出力端子の間に、前記第2スイッチング素子とコンデンサとが、それぞれ並列に接続され、
前記第2スイッチング素子は、入力端子が前記第1スイッチング素子の制御端子に接続されると共に、出力端子が前記定電流源の他出力端子に接続され、
前記第2スイッチング素子の制御端子は、前記第1スイッチング素子の出力端子と前記半導体発光素子のアノードの間に、抵抗を介して接続されると共に、別の抵抗を介して前記半導体発光素子のカソード側に接続され、
前記第2スイッチング素子は、制御端子により前記半導体発光素子にかかる電圧を監視して、該電圧が正常時における所定値よりも低下した場合に、入力端子と出力端子の間に電流が流れないOFF状態に切り換わり、
前記第1スイッチング素子は、第2スイッチング素子がOFF状態になった場合に、入力端子から制御端子への電流の低下に伴って、前記第1スイッチング素子の入力端子と出力端子との間に電流が流れないOFF状態に切り換わり、前記半導体発光素子への電流の供給を遮断することを特徴とする電源供給回路。
【請求項2】
前記定電流源は、前記半導体発光素子ないし回路途中に断線が生じた場合に、該断線に起因する出力電圧の上昇に応じて出力を停止する保護回路を備え、
前記第1スイッチング素子がOFF状態となった場合に、前記保護回路によって通常の断線の場合と同様に出力を停止することを特徴とする請求項に記載の電源供給回路。
【請求項3】
前記半導体発光素子は、一または複数が直列接続されたLEDから成ることを特徴とする請求項1またはに記載の電源供給回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
光源を構成する半導体発光素子に対して、定電流源から出力された電流を供給するための電源供給回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば空港等の飛行場では、滑走路の路面上等において誘導路灯等の様々な灯火が設置されている。これらの灯火の光源は、一般的には高出力のハロゲンランプ等の電球が用いられていた。また、灯火の電源としては、高出力の電球の場合、電流値の変化によって明るさが大きく変化してしまうため、これを防ぐために通常は定電流源が使用されていた。
【0003】
電球を光源に使用した場合、灯火の故障は電球の断芯による断線(オープン)によるものがほとんどである。そのため、灯火の断線を検出する機構が必要であった。かかる機構は、例えば定電流源に設けられた過電圧保護回路(OVP)が相当する。定電流源は、設定された電流が断線により流れなくなると電圧を上昇させ続けるが、過電圧保護回路で予め設定した出力保護電圧に達すると、定電流源の出力がOFFとなり給電が停止される。
【0004】
ところで、光源としてハロゲンランプ等の電球は、消費電力が大きいだけでなく、定格寿命も比較的短く前記断線による交換作業が度々発生する。そこで近年では、ハロゲンランプ等の電球の欠点を解消し得る光源として、消費電力が低く定格寿命も長いLED(発光ダイオード)を採用した灯火が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
このようなLEDを用いた灯火の故障を検出する機構として、前記定電流源に備わる過電圧保護回路とは別に、コントローラの制御によりLEDの断線を検出する装置も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−182434号公報
【特許文献2】特開2008−145260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したLEDの故障には、前記電球の場合と異なり、LED自体の断線(オープン)に限らず、LEDと並列に電気は流れるが発光しなくなる短絡(ショート)の場合がある。短絡による故障では、電流が流れ続けることになる。
従って、前述した定電流源に備わる過電圧保護回路や、前述した特許文献2に記載の装置では、LEDの断線には対処できたが、短絡による故障には対処できないという問題があった。
【0007】
また、前述した特許文献2に記載の装置のように、LEDの故障の検出用に別途電源を備えたコントローラを用意するとなると、部品点数が多くなるだけでなく、制御のためのプログラムも必要となり、コストアップを招くという問題もあった。
そこで、特別な故障検出用の装置を付加することなく、従来からある定電流源に備わる過電圧保護回路によって、断線による故障のみならず、短絡による故障にも対処できるような工夫が希求されていた。
【0008】
本発明は、以上のような従来の技術の有する問題点に着目してなされたものであり、光源が短絡状態となった場合に、簡易な構成で断線状態とすることにより、従来の断線故障の検出機構でも、そのまま短絡状態に対処することも可能とし、コストアップを招くことなく、光源の断線のみならず短絡の故障にも確実に対処することができる電源供給回路を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するための本発明の要旨とするところは、以下の各項の発明に存する。
[1]光源(20)を構成する半導体発光素子(21)に対して、定電流源(30)から出力された電流を供給するための電源供給回路(10)において、
前記半導体発光素子(21)が短絡状態となった場合に、該半導体発光素子(21)への電流の供給を回路途中で遮断する断線回路を有し、
前記断線回路は、前記半導体発光素子(21)が短絡状態となった場合に、前記半導体発光素子(21)へ電流を供給する通常の給電状態から該半導体発光素子(21)への電流の供給を遮断する断線状態に自動的に切り換わる第1スイッチング素子(40)と、前記半導体発光素子(21)にかかる電圧を監視して、該電圧が前記半導体発光素子(21)の正常時にかかる所定値よりも短絡状態に起因して低下した場合に、前記第1スイッチング素子(40)を給電状態から断線状態に自動的に切り換えるように動作する第2スイッチング素子(50)とを備え、
前記定電流源(30)の出力端子間に、前記第1スイッチング素子(40)と前記半導体発光素子(21)が順に接続され、
前記第1スイッチング素子(40)は、入力端子(41)が前記定電流源(30)の一出力端子(31)に接続されると共に、出力端子(42)が前記半導体発光素子(21)のアノード(22)に接続され、前記半導体発光素子(21)は、カソード(23)が前記定電流源(30)の他出力端子(32)に接続され、
前記第1スイッチング素子(40)の制御端子(43)と前記定電流源(30)の他出力端子(32)の間に、前記第2スイッチング素子(50)とコンデンサ(60)とが、それぞれ並列に接続され、
前記第2スイッチング素子(50)は、入力端子(51)が前記第1スイッチング素子(40)の制御端子(43)に接続されると共に、出力端子(52)が前記定電流源(30)の他出力端子(32)に接続され、
前記第2スイッチング素子(50)の制御端子(53)は、前記第1スイッチング素子(40)の出力端子(42)と前記半導体発光素子(21)のアノード(22)の間に、抵抗(70)を介して接続されると共に、別の抵抗(80)を介して前記半導体発光素子(21)のカソード(23)側に接続され、
前記第2スイッチング素子(50)は、制御端子(53)により前記半導体発光素子(21)にかかる電圧を監視して、該電圧が正常時における所定値よりも低下した場合に、入力端子(51)と出力端子(52)の間に電流が流れないOFF状態に切り換わり、
前記第1スイッチング素子(40)は、第2スイッチング素子(50)がOFF状態になった場合に、入力端子(41)から制御端子(43)への電流の低下に伴って、前記第1スイッチング素子(40)の入力端子(41)と出力端子(42)との間に電流が流れないOFF状態に切り換わり、前記半導体発光素子(21)への電流の供給を遮断することを特徴とする電源供給回路(10)。
【0013】
]前記定電流源(30)は、前記半導体発光素子(21)ないし回路途中に断線が生じた場合に、該断線に起因する出力電圧の上昇に応じて出力を停止する保護回路を備え、
前記第1スイッチング素子(40)がOFF状態となった場合に、前記保護回路によって通常の断線の場合と同様に出力を停止することを特徴とする前記[]に記載の電源供給回路(10)。
【0014】
]前記半導体発光素子(21)は、一または複数が直列接続されたLEDから成ることを特徴とする前記[1]または[]に記載の電源供給回路(10)。
【0015】
次に、前述した解決手段に基づく作用を説明する。
前記[1]に記載の電源供給回路(10)では、光源(20)を構成する半導体発光素子(21)へ定電流源(30)から電流を供給して発光させるが、半導体発光素子(21)が短絡状態となった場合には、断線回路によって、該半導体発光素子(21)への電流の供給を回路途中で遮断する。
【0016】
このように、半導体発光素子(21)が短絡状態で故障した場合でも、断線回路によって断線状態を生じさせることができる。従って、半導体発光素子(21)の故障を検出するための機構のうち、断線状態にのみ対処できる機構であっても、そのまま短絡状態にも対処することが可能となる。
【0017】
断線回路は、簡易な回路だけで構成することができるものであり、半導体発光素子(21)の故障検出用に別途コントローラや制御プログラムを用意する必要はない。従って、半導体発光素子(21)が短絡状態となった場合に、コストアップを招くことなく、容易に断線状態を生じさせることができる。
【0018】
また、断線回路は第1スイッチング素子(40)を備えている。この第1スイッチング素子(40)は、半導体発光素子(21)が短絡状態となった場合に、半導体発光素子(21)へ電流を供給する通常の給電状態から、該半導体発光素子(21)への電流の供給を遮断する断線状態に自動的に切り換わる。
【0019】
さらに、断線回路は前記第1スイッチング素子(40)に加えて、第2スイッチング素子(50)を備えている。この第2スイッチング素子(50)は、第1スイッチング素子(40)をスイッチング制御するものである。すなわち、第2スイッチング素子(50)は、半導体発光素子(21)にかかる電圧を監視して、該電圧が半導体発光素子(21)の正常時にかかる所定値よりも短絡状態に起因して低下した場合に、第1スイッチング素子(40)を給電状態から断線状態に自動的に切り換えるように動作する。
【0020】
このような、前記第1スイッチング素子(40)と前記第2スイッチング素子(50)を備えた断線回路は、具体的には例えば、以下のような簡易な回路で構成することができる。すなわち、定電流源(30)の出力端子間に、第1スイッチング素子(40)と半導体発光素子(21)が順に接続される。第1スイッチング素子(40)は、入力端子(41)が定電流源(30)の一出力端子(31)に接続されると共に、出力端子(42)が半導体発光素子(21)のアノード(22)に接続される。ここで半導体発光素子(21)は、カソード(23)が定電流源(30)の他出力端子(32)に接続される。
【0021】
第1スイッチング素子(40)の制御端子(43)と定電流源(30)の他出力端子(32)の間に、第2スイッチング素子(50)とコンデンサ(60)とが、それぞれ並列に接続される。第2スイッチング素子(50)は、入力端子(51)が第1スイッチング素子(40)の制御端子(43)に接続されると共に、出力端子(52)が定電流源(30)の他出力端子(32)に接続される。
【0022】
また、第2スイッチング素子(50)の制御端子(53)は、第1スイッチング素子(40)の出力端子(42)と半導体発光素子(21)のアノード(22)の間に、抵抗(70)を介して接続されると共に、別の抵抗(80)を介して前記半導体発光素子(21)のカソード(23)側に接続される。
【0023】
そして、第2スイッチング素子(50)は、制御端子(53)により半導体発光素子(21)にかかる電圧を監視して、該電圧が正常時における所定値よりも低下した場合に、入力端子(51)と出力端子(52)の間に電流が流れないOFF状態に切り換わる。さらに、第1スイッチング素子(40)は、第2スイッチング素子(50)がOFF状態になった場合に、入力端子(41)から制御端子(43)への電流の低下に伴って、第1スイッチング素子(40)の入力端子(41)と出力端子(42)との間に電流が流れないOFF状態に切り換わり、半導体発光素子(21)への電流の供給を遮断する。
【0024】
前記[]に記載の電源供給回路(10)では、定電流源(30)は、半導体発光素子(21)ないし回路途中に断線が生じた場合に、該断線に起因する出力電圧の上昇に応じて出力を停止する保護回路を備えるが、前記第1スイッチング素子(40)がOFF状態となった場合に、前記保護回路によって通常の断線の場合と同様に出力を停止することが可能となる。
【0025】
すなわち、半導体発光素子(21)ないし回路途中の断線状態に対処するための保護回路によって、そのまま半導体発光素子(21)の短絡状態にも対処させることが可能となる。
なお、半導体発光素子(21)としては、具体的には例えば、前記[]に記載したように、一または複数が直列接続されたLEDから構成すると良い。かかる光源(20)は、様々な用途に用いることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る電源供給回路によれば、光源が短絡状態となった場合に、簡易な構成で断線状態とすることにより、従来の断線故障の検出機構でも、そのまま短絡状態に対処することも可能とし、コストアップを招くことなく、光源の断線のみならず短絡の故障にも確実に対処することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施の形態に係る電源供給回路を示す回路図である。
図2】本発明の実施の形態に係る電源供給回路のうち第2スイッチング素子の別の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面に基づき、本発明を代表する実施の形態を説明する。
図1は、本発明に係る電源供給回路の基本構成例である実施の形態の回路図を示している。本実施の形態に係る電源供給回路10は、光源20を構成する半導体発光素子に対して、定電流源30から出力された電流を供給するための回路である。以下に、光源20の半導体発光素子としてLED21を採用した例を説明する。
【0029】
光源20は、半導体発光素子から構成され、定電流源30から供給される電力によって発光する負荷である。ここで半導体発光素子とは、半導体を用いた発光素子であり、本実施の形態で採用したLED21のほか、有機EL、LD(半導体レーザ)等が該当する。光源20ないしLED21の数は、図1に示したような1つに限らず、互いに直列に接続した複数のLED21で1つの光源20を構成したり、複数の光源20を直列に接続しても良い。
【0030】
LED21は、アノード22が後述するトランジスタ30を介して定電流源30のプラス側出力端子31に接続され、カソード23が定電流源30のマイナス側出力端子32に接続されている。なお、光源20の用途は、例えば飛行場に設置する誘導路灯等の航空灯火に用いたり、他の様々な灯具に用いることができる。
【0031】
定電流源30は、光源20を構成するLED21に対して所定の定電流を出力するものであり、別付の電源装置として構成されている。定電流源30は、具体的には例えば、商用電源から入力される交流電圧を直流電圧に変換するAC−DCコンバータ等を備えて成る。また、定電流源30は、電源供給回路10に流れる電流を監視しており、LED21ないし回路途中に断線が生じた場合に、該断線に起因する出力電圧の上昇に応じて出力を停止する保護回路として、前述した過電圧保護回路(OVP)を備えている。
【0032】
すなわち、定電流源30は、LED21等が断線状態になると、設定された定電流が流れないため、電圧を上昇させ続けるが、出力保護電圧に達することで、過電圧保護回路(OVP)が動作し、出力がOFFとなり給電が停止するように構成されている。このとき、ランプ点灯やアラーム音等により報知され、LEDの断線状態等による故障を検知するように構成しても良い。なお、過電圧保護を解除するには、入力電源スイッチをOFFにして再度ONにすると復帰するように設定すると良い。
【0033】
図1に示すように、電源供給回路10には、光源20や定電流源30のほか、光源20のLED21が短絡状態となった場合に、該LED21への電流の供給を回路途中で遮断するための断線回路が設けられている。かかる断線回路は、LED21が短絡状態となった場合に、LED21へ電流を供給する通常の給電状態から、該LED21への電流の供給を遮断する断線状態に自動的に切り換わる第1スイッチング素子を備えている。
【0034】
ここで第1スイッチング素子は、具体的には例えば、PNP型のトランジスタ(以下、PNPトランジスタ)40から成る。PNPトランジスタ40は、光源20と定電流源30との間に接続されている。すなわち、定電流源30の出力端子間に、PNPトランジスタ40と光源20(LED21)が順に接続されており、定電流源30は、PNPトランジスタ40を介して、光源20(LED21)へ電流を供給するように設定されている。
【0035】
詳しく言えば、PNPトランジスタ40は、その入力端子であるエミッタ41が、定電流源30の出力端子のうちプラス側出力端子(一出力端子)31に接続されている。また、PNPトランジスタ40の出力端子であるコレクタ42は、LED21のアノード22に接続されている。さらに、PNPトランジスタ40の制御端子であるベース43と、定電流源30の出力端子のうちマイナス側出力端子(他出力端子)32の間には、後述するシャントレギュレータ50とコンデンサ60とが、それぞれ並列に接続されている。
【0036】
PNPトランジスタ40は、そのエミッタ41からベース43へ電流が流れるとON状態(給電状態)になり、エミッタ41からコレクタ42へより大きな電流が流れる一方、エミッタ41からベース43への電流が低下すると、エミッタ41とコレクタ42の間に電流が流れないOFF状態(断線状態)に切り換わり、当該部位にてLED21への電流の供給を遮断するスイッチング素子である。
【0037】
また、前記断線回路は、LED21にかかる電圧を監視して、該電圧がLED21の正常時にかかる所定値よりも、LED21の短絡状態に起因して低下した場合に、前記PNPトランジスタ40をON状態からOFF状態に自動的に切り換えるように動作する第2スイッチング素子を備えている。
【0038】
ここで第2スイッチング素子は、具体的には例えば、シャントレギュレータ50から成る。シャントレギュレータ50は、PNPトランジスタ40のベース43と定電流源30のマイナス側出力端子32の間に、コンデンサ60と並列に接続されている。ここでコンデンサ60は、ベースバイアスを生成するためのものであり、直流電流を流すと充電(帯電)され、その静電容量いっぱいまで充電されると、電流は流れなくなる。すなわち、コンデンサ60が充電されている間は、PNPトランジスタ40にも電流が流れるように設定されている。
【0039】
詳しく言えば、シャントレギュレータ50は、その入力端子であるカソード51がPNPトランジスタ40のベース43に接続されている。また、シャントレギュレータ50の出力端子であるアノード52は、定電流源30のマイナス側出力端子32に接続されている。さらに、シャントレギュレータ50の制御端子であるリファレンス53は、PNPトランジスタ40のコレクタ42とLED21のアノード22の間に、抵抗70を介して接続されると共に、別の抵抗80を介してLED21のカソード23側に接続される。ここで抵抗70と抵抗80によって、LED21にかかる電圧は分圧され、この分圧された電圧はシャントレギュレータ50のリファレンス53に供給される。
【0040】
シャントレギュレータ50は、そのリファレンス53にかかる電圧が予め定められた所定値であるリファレンス電圧(例えば2.5V)以上になると、カソード51からアノード52へ電流が流れるON状態となる一方、リファレンス53にかかる電圧がリファレンス電圧より低下すると、カソード51とアノード52の間に電流が流れないOFF状態に切り換わるスイッチング素子である。
【0041】
すなわち、シャントレギュレータ50は、リファレンス53によりLED21にかかる電圧を監視して、該電圧が正常時におけるリファレンス電圧よりも低下した場合に、カソード51とアノード52の間に電流が流れないOFF状態に切り換わる。ここでLED21にかかる電圧がリファレンス電圧よりも低下するのは、LED21のアノード22とカソード23の間が溶着する等して、LED21が短絡となった場合である。
【0042】
このような、シャントレギュレータ50のON状態からOFF状態への切り換え動作に起因して、PNPトランジスタ40では、エミッタ41からベース43へ流れる電流が低下するが、この電流の低下に伴って、PNPトランジスタ40は、エミッタ41とコレクタ42の間に電流が流れないOFF状態に切り換わり、当該部位にて前記LED21への電流の供給を遮断することになる。
【0043】
次に、本実施の形態に係る電源供給回路10の作用について説明する。
図1において、光源20を点灯させるために定電流源30をONにすると、電源供給回路10の回路全体へ電流が供給され始める。先ずは、コンデンサ60への充電のため、PNPトランジスタ40のエミッタ41からベース43へ電流が流れる。すると、PNPトランジスタ40がON状態となり、エミッタ41からコレクタ42へ電流が流れ、LED21に電流が供給され始める。
【0044】
このとき、LED21が正常であれば、LED21にかかる電圧は、抵抗70と抵抗80によって分圧され、この分圧された電圧はシャントレギュレータ50のリファレンス53に供給される。ここでリファレンス53にかかる電圧は、LED21が正常であれば、所定値であるリファレンス電圧(例えば2.5V)以上になる。従って、シャントレギュレータ50は、カソード51からアノード52へ電流が流れるON状態となる。
【0045】
その後、コンデンサ60の充電が完了しても、シャントレギュレータ50のカソード51からアノード52へ流れる電流が増えることにより、PNPトランジスタ40のエミッタ41からベース43へ流れる電流も十分な量となる。このように、LED21に十分な電流が流れてLED21は点灯し、回路全体は完全にONとなる。
【0046】
前記コンデンサ60の静電容量は、LED21の立上り時間よりも充電時間が長くなるように設定する。これは、コンデンサ60の静電容量いっぱいまで充電されるまでの間に、シャントレギュレータ50がON状態となり、引き続いてPNPトランジスタ40のON状態を維持するのに必要な電流が流れるようにするためである。
また、前記抵抗70に関しては、並列な回路では抵抗値に逆比例して電流が流れるため、LED21に十分な電流を流すためには、抵抗70と抵抗80の合成抵抗値を、LED21の内部抵抗値に比べてより大きな抵抗値に設定する。
【0047】
次に、LED21が短絡したときの動作を説明する。
前述したように、定電流源30をONにしてLED21に電流が流れ始めたとき、LED21が短絡している場合も、先ずは、コンデンサ60への充電のため、PNPトランジスタ40のエミッタ41からベース43へ電流が流れる。すると、PNPトランジスタ40がON状態となり、エミッタ41からコレクタ42へ電流が流れ、LED21に電流が供給され始める。
【0048】
ただし、LED21が短絡している場合には、LED21の端子間に電圧がほとんど発生せず、その電位差はほぼ0Vとなる。そのため、抵抗70を介してシャントレギュレータ50のリファレンス53にかかる電圧は、所定値であるリファレンス電圧より低い値となり、シャントレギュレータ50は、カソード51からアノード52へ電流が流れないOFF状態となる。
【0049】
従って、コンデンサ60の充電が完了すると、PNPトランジスタ40のエミッタ41からベース43へ流れる電流が激減し、PNPトランジスタ40は、エミッタ41とコレクタ42の間に電流が流れないOFF状態に切り換わり、当該部位にてLED21への電流の供給を遮断することになる。これに起因して、定電流源30は、設定された電流が流れないため、電圧を上昇させ続け、出力保護電圧に達することで、出力がOFFとなり、回路全体の動作が停止する。
【0050】
以上のように、LED21が短絡状態で故障した場合でも、前述した断線回路によって、自動的に断線状態を生じさせることができる。従って、LED21の故障を検出するための機構のうち、断線状態にのみ対処できる前記定電流源30に備わる過電圧保護回路(OVP)であっても、そのまま短絡状態にも対処することが可能となる。
【0051】
特に、前述した断線回路は、簡易な回路だけで構成することができるものであり、LED21の故障検出用に別途コントローラや制御プログラムを用意する必要はない。従って、LED21が短絡状態となった場合に、コストアップを招くことなく、容易に断線状態を生じさせることができる。
【0052】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は前述したような実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。例えば、図示した電源供給回路10は、必要最低限の要素のみ記載しているが、他に例えば、LED21の順方向電流を一定に維持するための定電流回路等を必要に応じて設けても良い。
【0053】
また、前記実施の形態では、光源20を構成する半導体発光素子としてLED21を備えているが、他の半導体発光素子として、有機EL等を備えた構成であっても良い。また、第1スイッチング素子としてPNPトランジスタ40を採用し、第2スイッチング素子としてシャントレギュレータ50を採用しているが、前述した断線回路と同様の動作を実現できるものであれば、他の半導体スイッチ等から構成しても良い。
【0054】
具体的には例えば、前記第2スイッチング素子として、シャントレギュレータ50の代わりに、図2(a)に示すように、NPN型のダイオードを採用したり、あるいは図2(b)に示すように、FET(電界効果トランジスタ)を採用しても良い。ここでFETは、そのゲート・ソース間にゲート閾値電圧より小さい電圧を印加すれば、ドレイン電流が非常に小さいオフとなる一方、ゲート閾値電圧より大きな電圧を印加すれば、ドレイン電流が流れるオンとなる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明に係る電源供給回路は、半導体発光素子を光源とする様々な灯火製品の駆動制御に幅広く適用することができる。
【符号の説明】
【0056】
10…電源供給回路
20…光源
21…LED
22…アノード
23…カソード
30…定電流源
31…プラス側出力端子
32…マイナス側出力端子
40…PNPトランジスタ
41…エミッタ
42…コレクタ
43…ベース
50…シャントレギュレータ
51…カソード
52…アノード
53…リファレンス
60…コンデンサ
70…抵抗
80…抵抗
図1
図2