【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したLEDの故障には、前記電球の場合と異なり、LED自体の断線(オープン)に限らず、LEDと並列に電気は流れるが発光しなくなる短絡(ショート)の場合がある。短絡による故障では、電流が流れ続けることになる。
従って、前述した定電流源に備わる過電圧保護回路や、前述した特許文献2に記載の装置では、LEDの断線には対処できたが、短絡による故障には対処できないという問題があった。
【0007】
また、前述した特許文献2に記載の装置のように、LEDの故障の検出用に別途電源を備えたコントローラを用意するとなると、部品点数が多くなるだけでなく、制御のためのプログラムも必要となり、コストアップを招くという問題もあった。
そこで、特別な故障検出用の装置を付加することなく、従来からある定電流源に備わる過電圧保護回路によって、断線による故障のみならず、短絡による故障にも対処できるような工夫が希求されていた。
【0008】
本発明は、以上のような従来の技術の有する問題点に着目してなされたものであり、光源が短絡状態となった場合に、簡易な構成で断線状態とすることにより、従来の断線故障の検出機構でも、そのまま短絡状態に対処することも可能とし、コストアップを招くことなく、光源の断線のみならず短絡の故障にも確実に対処することができる電源供給回路を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するための本発明の要旨とするところは、以下の各項の発明に存する。
[1]光源(20)を構成する半導体発光素子(21)に対して、定電流源(30)から出力された電流を供給するための電源供給回路(10)において、
前記半導体発光素子(21)が短絡状態となった場合に、該半導体発光素子(21)への電流の供給を回路途中で遮断する断線回路を有
し、
前記断線回路は、前記半導体発光素子(21)が短絡状態となった場合に、前記半導体発光素子(21)へ電流を供給する通常の給電状態から該半導体発光素子(21)への電流の供給を遮断する断線状態に自動的に切り換わる第1スイッチング素子(40)と、前記半導体発光素子(21)にかかる電圧を監視して、該電圧が前記半導体発光素子(21)の正常時にかかる所定値よりも短絡状態に起因して低下した場合に、前記第1スイッチング素子(40)を給電状態から断線状態に自動的に切り換えるように動作する第2スイッチング素子(50)とを備え、
前記定電流源(30)の出力端子間に、前記第1スイッチング素子(40)と前記半導体発光素子(21)が順に接続され、
前記第1スイッチング素子(40)は、入力端子(41)が前記定電流源(30)の一出力端子(31)に接続されると共に、出力端子(42)が前記半導体発光素子(21)のアノード(22)に接続され、前記半導体発光素子(21)は、カソード(23)が前記定電流源(30)の他出力端子(32)に接続され、
前記第1スイッチング素子(40)の制御端子(43)と前記定電流源(30)の他出力端子(32)の間に、前記第2スイッチング素子(50)とコンデンサ(60)とが、それぞれ並列に接続され、
前記第2スイッチング素子(50)は、入力端子(51)が前記第1スイッチング素子(40)の制御端子(43)に接続されると共に、出力端子(52)が前記定電流源(30)の他出力端子(32)に接続され、
前記第2スイッチング素子(50)の制御端子(53)は、前記第1スイッチング素子(40)の出力端子(42)と前記半導体発光素子(21)のアノード(22)の間に、抵抗(70)を介して接続されると共に、別の抵抗(80)を介して前記半導体発光素子(21)のカソード(23)側に接続され、
前記第2スイッチング素子(50)は、制御端子(53)により前記半導体発光素子(21)にかかる電圧を監視して、該電圧が正常時における所定値よりも低下した場合に、入力端子(51)と出力端子(52)の間に電流が流れないOFF状態に切り換わり、
前記第1スイッチング素子(40)は、第2スイッチング素子(50)がOFF状態になった場合に、入力端子(41)から制御端子(43)への電流の低下に伴って、前記第1スイッチング素子(40)の入力端子(41)と出力端子(42)との間に電流が流れないOFF状態に切り換わり、前記半導体発光素子(21)への電流の供給を遮断することを特徴とする電源供給回路(10)。
【0013】
[
2]前記定電流源(30)は、前記半導体発光素子(21)ないし回路途中に断線が生じた場合に、該断線に起因す
る出力電圧の上昇に応じて出力を停止する保護回路を備え、
前記第1スイッチング素子(40)がOFF状態となった場合に、前記保護回路によって通常の断線の場合と同様に出力を停止することを特徴とする前記[
1]に記載の電源供給回路(10)。
【0014】
[
3]前記半導体発光素子(21)は、一または複数が直列接続されたLEDから成ることを特徴とする前記[1
]または[
2]に記載の電源供給回路(10)。
【0015】
次に、前述した解決手段に基づく作用を説明する。
前記[1]に記載の電源供給回路(10)では、光源(20)を構成する半導体発光素子(21)へ定電流源(30)から電流を供給して発光させるが、半導体発光素子(21)が短絡状態となった場合には、断線回路によって、該半導体発光素子(21)への電流の供給を回路途中で遮断する。
【0016】
このように、半導体発光素子(21)が短絡状態で故障した場合でも、断線回路によって断線状態を生じさせることができる。従って、半導体発光素子(21)の故障を検出するための機構のうち、断線状態にのみ対処できる機構であっても、そのまま短絡状態にも対処することが可能となる。
【0017】
断線回路は、簡易な回路だけで構成することができるものであり、半導体発光素子(21)の故障検出用に別途コントローラや制御プログラムを用意する必要はない。従って、半導体発光素子(21)が短絡状態となった場合に、コストアップを招くことなく、容易に断線状態を生じさせることができる。
【0018】
また、断線回路は第1スイッチング素子(40)を備えている。この第1スイッチング素子(40)は、半導体発光素子(21)が短絡状態となった場合に、半導体発光素子(21)へ電流を供給する通常の給電状態から、該半導体発光素子(21)への電流の供給を遮断する断線状態に自動的に切り換わる。
【0019】
さらに、断線回路は前記第1スイッチング素子(40)に加えて、第2スイッチング素子(50)を備えている。この第2スイッチング素子(50)は、第1スイッチング素子(40)をスイッチング制御するものである。すなわち、第2スイッチング素子(50)は、半導体発光素子(21)にかかる電圧を監視して、該電圧が半導体発光素子(21)の正常時にかかる所定値よりも短絡状態に起因して低下した場合に、第1スイッチング素子(40)を給電状態から断線状態に自動的に切り換えるように動作する。
【0020】
このような、前記第1スイッチング素子(40)と前記第2スイッチング素子(50)を備えた断線回路は、具体的には例えば、以下のような簡易な回路で構成することができる。すなわち、定電流源(30)の出力端子間に、第1スイッチング素子(40)と半導体発光素子(21)が順に接続される。第1スイッチング素子(40)は、入力端子(41)が定電流源(30)の一出力端子(31)に接続されると共に、出力端子(42)が半導体発光素子(21)のアノード(22)に接続される。ここで半導体発光素子(21)は、カソード(23)が定電流源(30)の他出力端子(32)に接続される。
【0021】
第1スイッチング素子(40)の制御端子(43)と定電流源(30)の他出力端子(32)の間に、第2スイッチング素子(50)とコンデンサ(60)とが、それぞれ並列に接続される。第2スイッチング素子(50)は、入力端子(51)が第1スイッチング素子(40)の制御端子(43)に接続されると共に、出力端子(52)が定電流源(30)の他出力端子(32)に接続される。
【0022】
また、第2スイッチング素子(50)の制御端子(53)は、第1スイッチング素子(40)の出力端子(42)と半導体発光素子(21)のアノード(22)の間に、抵抗(70)を介して接続されると共に、別の抵抗(80)を介して前記半導体発光素子(21)のカソード(23)側に接続される。
【0023】
そして、第2スイッチング素子(50)は、制御端子(53)により半導体発光素子(21)にかかる電圧を監視して、該電圧が正常時における所定値よりも低下した場合に、入力端子(51)と出力端子(52)の間に電流が流れないOFF状態に切り換わる。さらに、第1スイッチング素子(40)は、第2スイッチング素子(50)がOFF状態になった場合に、入力端子(41)から制御端子(43)への電流の低下に伴って、
第1スイッチング素子(40)の入力端子(41)と出力端子(42)との間に電流が流れないOFF状態に切り換わり、半導体発光素子(21)への電流の供給を遮断する。
【0024】
前記[
2]に記載の電源供給回路(10)では、定電流源(30)は、半導体発光素子(21)ないし回路途中に断線が生じた場合に、該断線に起因す
る出力電圧の上昇に応じて出力を停止する保護回路を備えるが、前記第1スイッチング素子(40)がOFF状態となった場合に、前記保護回路によって通常の断線の場合と同様に出力を停止することが可能となる。
【0025】
すなわち、半導体発光素子(21)ないし回路途中の断線状態に対処するための保護回路によって、そのまま半導体発光素子(21)の短絡状態にも対処させることが可能となる。
なお、半導体発光素子(21)としては、具体的には例えば、前記[
3]に記載したように、一または複数が直列接続されたLEDから構成すると良い。かかる光源(20)は、様々な用途に用いることができる。