(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、
図18に示すように、従来の包装体gにあっては、環状状態とされた収納体cの外側の端部dから突出したガイドワイヤaの先端部bが包装袋fの縁部eと接触してしまい、先端部bが変形したり、場合によってはガイドワイヤaの先端部bが包装袋fを突き破ってしまったりする問題がある。特に、先端部bが包装袋fを突き破ってしまうと、ガイドワイヤaが外部に接触して汚染されてしまい、医療現場において使用できなくなってしまうおそれがある。
【0007】
また、特許文献1にかかる構成にあっても、螺旋形状に維持されたキャリアチューブの外側端部が、包装袋にキャリアチューブを収納したときに、医療デバイスの基端ハブが、包装袋の縁部と接触して破損したり、包装袋を傷つけたり、又は、包装袋の縁部を突き破ってしまったりするおそれがある。
【0008】
さらに、特許文献2にかかる構成にあっても、医療機器の先端がデバイスホルダーから突出しており、この状態で包装袋等に収納した場合には、医療機器の先端が、包装袋の縁部と接触して破損したり、又は、包装袋を突き破ってしまったりするおそれがある。
【0009】
そこで本発明は、収納体の端部から長尺物の端部が突出していても、包装袋の縁部と接触することや包装袋を突き破ることを防止することで、長尺物の端部を変形させたり、あるいは破損させたりすることを抑制する包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、長尺物を収納する収納体と、前記収納体を環状に保持する止め具と、環状状態の前記収納体を収納する包装袋と、から成り、前記環状状態の収納体の仮想円を想定した際に、前記収納体の内、前記仮想円の最外部に位置している側の端部は、前記仮想円の中心部に向かって湾曲し
、前記収納体の最内部に位置している側の端部と最外部に位置している側の端部の両方が前記収納体の最内の環状部が属する第2の仮想円の円周上又はその内側に配置されていることを特徴とする包装体である。
【0011】
かかる構成にあっては、前記仮想円の最外部に位置している前記収納体の端部が、包装袋の縁部に押し当てられてしまう、ことを回避できるため、前記収納体の端部における長尺物の破損を防止することができる。また、収納体の端部が包装袋を突き破ってしまって前記端部が外部のものに触れてしまうことも防止することができる。したがって、収納体に収納されている長尺物が汚染されてしまうおそれを低減することが可能となる。
【0012】
前記包装体にあって、
前記収納体の内、前記仮想円の最内部に位置している側の端部は、前記
第2の仮想円の中心部に向かって湾曲している、包装体構成としてもよい。
【0013】
かかる構成にあっては、前記収納体の両端部が、包装袋の縁部に押し当てられてしまう、ことを回避できるため、前記収納体の両端部における長尺物の破損を好適に防止することができる。また、収納体の両端部とも包装袋を突き破ってしまうことを防止することができる。したがって、収納体に収納されている長尺物が汚染されてしまうおそれを、より一層低減することが可能となる。
【0014】
また、前記包装体であって、前記仮想円の中心部に向かって湾曲している前記収納体の端部は、前記収納体とは別体に設けられた、枠体によって支持されている構成が提案される。
【0015】
かかる構成にあっては、枠体によって収納体の端部がより安定して仮想円の中心部に向かい易くなるため、収納体の端部における長尺物の破損をさらに確実に防止することができる。
【0016】
さらに、前記包装体であって、前記仮想円の中心部に向かって湾曲している前記収納体の端部は、前記止め具によって、前記仮想円の中心部に向かっている構成が提案される。
【0017】
かかる構成にあっては、止め具を利用することにより、収納体の端部がより確実に仮想円の中心部に向かい易くなるため、収納体の端部における長尺物の破損をさらに確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の包装体は、収納体の端部から長尺物の端部が突出していても、包装袋を突き破ることがなく、また長尺物の端部を変形させたり、あるいは破損させたりすることが抑制される効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の包装体を具体化した実施例を詳細に説明する。なお、本発明は、下記に示す実施例に限定されることはなく、適宜設計変更が可能である。
【0021】
〔実施例1〕
図1に示すように、包装体11は、長尺物であるガイドワイヤ1を収納する収納体20と、前記収納体20を環状に保持する止め具30と、環状状態の前記収納体20を収納する方形の包装袋40と、から成る。
【0022】
なお、前記収納体20の環状状態は、収納体20の両端が突き合わせられることで一つの環が形成されている状態のみを意味するものではなく、上述のように、湾曲した前記収納体20が幾重にも巻回されて形成された外縁によって全体的に外形が環状となっている状態を含む意味である。
【0023】
前記収納体20は、長尺で可撓性のチューブ形状をなし、
図2(a)に示すように、内部に前記ガイドワイヤ1が収納されている。また、前記収納体20の基端部21からは、ガイドワイヤ1の基端部2が突き出されている。また、
図2(b)に示すように、前記収納体20の先端部22からは、ガイドワイヤ1の先端部3が突き出されている。なお、前記収納体20を構成する材料は、従来から使用されているポリエチレンのような樹脂材料が適用でき、また、これに限定されることなく、特に可撓性を有する柔らかい樹脂材料で前記収納体20を形成してもよい。
【0024】
前記止め具30は、
図3に示すように、直方体形状の本体301を具備し、前記本体301の一方の側面から他方の側面まで貫通する溝部302が複数設けられている。そして、前記複数の溝部302にそれぞれ前記収納体20が嵌め込まれ、全体として前記収納体20が環状状態で保持されている。前記止め具30を形成する材料は、ポリエチレン・ポリ酢酸ビニルのコポリマー、ポリアセタール又はポリカーボネート等の樹脂材料であり、また、これに限定されることなく、他の樹脂材料であってもよい。
【0025】
前記包装袋40は、ヒートシールを可能とするコーティングが施されたポリエチレンや紙から成るシートに、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンから成る透明なフィルムを重ねて、これらの縁部をヒートシール等によって接着することで形成されている。ただし、かかる構成に限定されるものではなく、他の材料によって形成してもよい。
【0026】
上記構成にあって、渦巻き状に保持されている前記収納体20には、
図1に示すように前記収納体20の外縁によって構成される仮想円αが設定され、前記収納体20の基端部21が、前記仮想円αの内側に配置されている。これと共に、前記収納体20における仮想円αの最外部に位置している側の先端部22が、前記仮想円αの中心部に向かって湾曲している。
【0027】
さらに詳述すると、前記収納体20の先端部22周りには、
図4に示すように、前記収納体20とは別体で設けられた、チューブ状の湾曲管で構成される先端側枠体51が取り付けられている。具体的には、前記先端側枠体51内に収納体20が挿通可能となっており、前記先端側枠体51内に挿通された前記収納体20の先端部22は、前記先端側枠体51の湾曲形状に従って前記仮想円αの中心部に向かって湾曲して支持されている。
【0028】
上述のように、前記収納体20の先端部22が前記先端側枠体51が装着されることによって前記仮想円αの中心部に向かって湾曲した状態になると、前記先端部22が、包装袋40の縁部45に押し当てられてしまう、ことを回避できるため、前記ガイドワイヤ1の先端部3における破損を防止することができる。また、かかる構成とすることにより、収納体20の先端部22が包装袋40を突き破ってしまってガイドワイヤ1の先端部3が外部のものに触れてしまうことも防止することができる。
【0029】
〔実施例2〕
実施例2にかかる包装体12を
図5に従って説明する。なお、実施例1と同様の構成を有するものは同じ符号を付し、説明を省略する。
【0030】
包装体12にあっては、
図5に示すように、収納体20が止め具30によって環状状態に保持されているところ、前記収納体20の先端部22に加えて、前記仮想円αの最内部に位置している側の基端部21も、前記仮想円αの中心部に向かって湾曲している。
【0031】
さらに詳述すると、前記基端部21周りには、
図6に示すような前記収納体20とは別体に設けられた、チューブ状の湾曲管で構成される基端側枠体52が取り付けられている。具体的には、前記基端側枠体52内に収納体20が挿通可能となっており、前記基端側枠体52内に挿通された前記収納体20の基端部21は、前記基端側枠体52の湾曲形状に従って前記仮想円αの中心部に向かって湾曲して支持されている。
【0032】
かかる構成とすることにより、前記収納体20の基端部21と先端部22とが、包装袋40の縁部45に押し当てられてしまう、ことを回避できるため、ガイドワイヤ1の破損を好適に防止することができる。また、収納体20の基端部21及び先端部22が、包装袋40を突き破ってしまうことが防止される。したがって、ガイドワイヤ1が汚染されてしまうおそれを、より一層低減することが可能となる。
【0033】
〔実施例3〕
実施例3にかかる包装体13を
図7に従って説明する。なお、実施例1,2と同様の構成を有するものは同じ符号を付し、説明を省略する。
【0034】
包装体13にあっては、前記収納体20の先端部22が
図8に示すような先端側止め具31によって保持されている。
【0035】
さらに詳述すると、前記先端側止め具31は、前記本体301から突出状に形成された突出部305を具備し、前記突出部305の先端に、前記収納体20の先端部22が嵌め込まれる先端側溝部306が形成されている。
【0036】
かかる構成にあって、前記先端側止め具31は、収納体20を環状状態に保持しつつ、前記収納体20の先端部22を仮想円αの中心部に向かい易くすることができる。
【0037】
前記止め具31は、前記止め具30と同じ材料で形成してもよく、別の材料から形成してもよい。また、前記本体301と前記突出部305とは、接着の観点から同一の材料から形成することが好ましいが、それぞれを別々の材料から形成することができる。なお、前記止め具31は、前記本体301と前記突出部305とが別体から構成されている様に記載しているが、強度の観点を考慮すると、前記本体301と前記突出部305とは、一体的に形成されることが好ましい。
【0038】
〔実施例4〕
実施例4にかかる包装体14を
図9に従って説明する。なお、実施例1〜3と同様の構成を有するものは同じ符号を付し、説明を省略する。
【0039】
包装体14にあっては、前記収納体20の基端部21が
図10に示すような基端側止め具32によって保持されている。
【0040】
さらに詳述すると、前記基端側止め具32は、前記本体311に形成された複数の溝部302のうちひとつの溝部307の貫通方向が他の溝部302と異ならせてある。
【0041】
かかる構成にあって、前記基端側止め具32の溝部307に前記収納体20の基端部21を嵌め込むことにより、前記基端側止め具32は、収納体20を環状状態に保持しつつ、前記収納体20の基端部21を仮想円αの中心部に向かい易くすることができる。
【0042】
〔実施例5〕
実施例5にかかる包装体15を
図11に従って説明する。なお、実施例1〜4と同様の構成を有するものは同じ符号を付し、説明を省略する。
【0043】
包装体15にあっては、前記収納体20の先端部22が
図12に示すような先端側止め具33によって保持されている。
【0044】
さらに詳述すると、前記先端側止め具33における本体321の上面には、
図12に示すように、他の溝部302とは貫通方向が異なる溝部308が形成されており、前記溝部308に前記収納体20の先端部22が嵌め込み可能となっている。
【0045】
かかる構成にあって、前記先端側止め具33の溝部308に前記収納体20の先端部22を嵌め込むことにより、前記先端側止め具33は、収納体20を環状状態に保持しつつ、前記収納体20の先端部22を仮想円αの中心部に向かい易くすることができる。
【0046】
〔実施例6〕
実施例6にかかる包装体16を
図13に従って説明する。なお、実施例1〜5と同様の構成を有するものは同じ符号を付し、説明を省略する。
【0047】
包装体16にあっては、前記収納体20の基端部21が
図14に示すような基端側止め具34によって保持されている。
【0048】
さらに詳述すると、前記基端側止め具34における本体331の側面には、
図14に示すように、他の溝部302とは案内方向が異なる溝部309が形成されており、前記溝部309に前記収納体20の基端部21が嵌め込み可能となっている。
【0049】
かかる構成にあって、前記基端側止め具34の溝部309に前記収納体20の基端部21を嵌め込むことにより、前記基端側止め具34は、収納体20を環状状態に保持しつつ、前記収納体20の基端部21を仮想円αの中心部に向かい易くすることができる。
【0050】
〔実施例7〕
実施例7にかかる包装体17を
図15に従って説明する。なお、実施例1〜6と同様の構成を有するものは同じ符号を付し、説明を省略する。
【0051】
包装体17における収納体25の先端部22近傍部にあっては、予め所定の湾曲形状に成形された先端湾曲部26が形成されている。
【0052】
かかる構成にあっては、前記収納体25を止め具30で環状状態に保持すると共に、前記先端湾曲部26を、先端部22が仮想円αの中心部に向かう方向となるように配置することで、他の部材を用いることなく前記収納体25の先端部22を仮想円αの中心部に向かい易くすることができる。
【0053】
〔実施例8〕
実施例8にかかる包装体18を
図16に従って説明する。なお、実施例1〜7と同様の構成を有するものは同じ符号を付し、説明を省略する。
【0054】
包装体18における収納体27の基端部21近傍部にあっては、予め所定の湾曲形状に成形された基端湾曲部28が形成されている。
【0055】
かかる構成にあっては、前記収納体27を止め具30で環状状態に保持すると共に、前記基端湾曲部28を、基端部21が仮想円αの中心部に向かう方向となるように配置することで、他の部材を用いることなく前記収納体27の基端部21を仮想円αの中心部に向かい易くすることができる。
【0056】
〔実施例9〕
また、
図17に示すような枠体55が提案される。具体的には、前記枠体55は、収納体20が挿通される環状の挿通部56を有し、かつ、挿通部56の前後位置に収納体20の湾曲方向を規定する案内曲面57が形成されている。このように、枠体55として、かかる形状の構造体が採用されてもよい。
【0057】
なお、これまでに述べた実施例1〜9以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で設計変更は勿論可能である。
【0058】
例えば、環状状態に保持された収納体20,25,27の端部にあって、最内側が先端部22であり、最外側が基端部21となっていてもよい。
【0059】
また、本発明にかかる長尺物としてはガイドワイヤ1に限定されず、カテーテル等の医療用チューブであっても構わない。また、収納体20,25,27の内径、外径、あるいは長さ等は、適宜自由に選択可能である。