(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した従来構成は、表側の上紙に送付票や配達証などを備え、裏側の下紙に明細票などを備える構成であることから、これら各紙票に所望の情報を印字する場合に、両面プリントが利用される。しかし、この両面プリントは、片面プリントに比して、プリント時間が長く且つプリントコストが高いという問題がある。さらに、両面プリント可能なプリンタ(例えば、レーザープリンタなど)では、片面プリントに比して、両面プリントによる消耗が激しい。そのため、両面プリントは、プリンタの耐久寿命を低減してしまうという問題もある。
【0005】
一方、上記した両面プリントの問題を解決するために、送付票や明細票などの各紙票を同一面上に配置するようにした構成(所謂、1パート形式の帳票)も適用可能であるが、かかる構成の場合には、配送品に取り付ける際に、明細票を切り離して、商品と一緒に梱包したり、特定の封筒に封入して貼付すること等を要する。そのため、こうした明細票を扱う作業により、商品発送にかかる作業が繁雑化してしまう。さらに、明細票を切り離した際に、誤って落とす等して紛失してしまう等の問題が生ずる虞もある。また、切り離した後に、別の明細票と混じってしまうと、上記のマッチング作業が必要となり、該マッチング作業による上記問題が生ずる虞もある。
【0006】
上述したように、配送伝票としては、上述した両面プリントによる問題と、明細票の情報を隠蔽するために必要な作業にかかる問題とを解決でき、商品発送にかかる作業の作業性を向上し得る構成のものが希求されていた。
本発明は、こうした配送伝票に適用可能な情報隠蔽帳票を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、互いの背面同士が貼り合わされた上紙と下紙とから構成され、折り返し可能な折返線を介して連成された第一紙片部と第二紙片部とを備えてなるものであって、前記第一紙片部は、前記上紙により構成される第一上紙部と、前記下紙により構成される第一下紙部と、該第一上紙部と第一下紙部との背面同士を剥離可能に接着する擬似貼着層とを備え、さらに、前記第一上紙部が、切断可能な切断線により囲繞された、表面に所定の隠蔽情報を印字可能な第一隠蔽部を備えてなり、前記第二紙片部は、切断可能な切断線により囲繞された、表面に所定の隠蔽情報を印字可能な第二隠蔽部と、当該切断線により該第二隠蔽部と区画された除脱部とを備えた、前記上紙により構成される第二上紙部と、該第二上紙部の除脱部の背面に形成された離型剤層と、前記第二隠蔽部に貼り合わされる被着部と該被着部に隣接する連接部とから構成される台紙部と、切断可能な切断線を介して該台紙部と区画された接着保持部とを備えた、前記下紙により構成される第二下紙部と、該第二下紙部の背面に形成され、前記第二隠蔽部と被着部とを剥離不能に接着し且つ前記除脱部の離型剤層と剥離可能に接着される接着剤層とを備え、さらに、前記第二隠蔽部と台紙部の連接部とは、前記第一上紙部と第二上紙部との表面同士が対向するように前記折返線で折り返された場合に、該第一上紙部の第一隠蔽部を覆うように形成されてなり、前記第二上紙部の除脱部が取り除かれて、前記第一上紙部と第二上紙部との表面同士が対向するように前記折返線で折り返されることにより、前記第一上紙部の表面に前記第二下紙部の接着保持部が接着されて、前記第一隠蔽部と第二隠蔽部とを外部から視認不能とすると共に、前記台紙部の連接部が該第一隠蔽部の一側縁に接着されて、該台紙部を介して該第一隠蔽部と第二隠蔽部とが一体化されるものであることを特徴とする情報隠蔽帳票である。
【0008】
かかる構成にあっては、第一隠蔽部と第二隠蔽部とが同一面上(上紙の表面側)に設けられていることから、該第一隠蔽部と第二隠蔽部とに所定の隠蔽情報を印字する際に、片面プリントで印字できる。また、こうして隠蔽情報を印字した後に、第二上紙部の除脱部を取り除き、第一上紙部と該第二上紙部との表面同士が対向するように折返線で折り返すことにより、該第一上紙部の表面に、該除脱部を取り除いたことで露出した第二下紙部の接着保持部を接着させる。このように折返線で折り返して第一上紙部の表面に第二下紙部の接着保持部を接着させた状態(以下、隠蔽状態という)では、第一隠蔽部と第二隠蔽部とを外部から視認不能であり、該第一隠蔽部と第二隠蔽部とに印字された隠蔽情報を隠蔽できる。そして、この隠蔽状態では、第二下紙部の連接部が第一隠蔽部の一側縁に接着されると共に、該連接部と第二隠蔽部とにより該第一隠蔽部が覆われる。これにより、第二下紙部の台紙部を介して、第一隠蔽部と第二隠蔽部とが一体化される。こうして隠蔽状態とした後に、第二下紙部から台紙部を切り取り、さらに、第一上紙部から第一隠蔽部を切り取ることによって、該台紙部を介して第一隠蔽部と第二隠蔽部とが一体化された紙片(以下、隠蔽紙片)を取り外すことができる。ここで、第一隠蔽部と第二隠蔽部とは台紙部の連接部を介して一体化されていることから、第二隠蔽部が接着された台紙部の被着部を切り取れば、第一隠蔽部も比較的容易かつ安定して第一上紙部から切り取ることが可能である。こうして切り取られた隠蔽紙片は、見開くことで、第一隠蔽部と第二隠蔽部とに印字された隠蔽情報を視認可能である。
【0009】
上述したように、本構成は、折返線で折り返される前の状態(以下、初期状態)で、同一面上の第一隠蔽部と第二隠蔽部とに、片面プリントにより隠蔽情報を夫々印字できることから、上述した従来構成のように両面プリントを要せず、該両面プリントによる問題を生じない。また、前記初期状態から上記の隠蔽状態に形態変化されることによって、第一隠蔽部と第二隠蔽部との隠蔽情報を外部から視認不能となる。そのため、例えば、上述した配送伝票に適用して、明細票を第一隠蔽部と第二隠蔽部とで構成することによって、受取人が商品を受け取るまで明細票(および隠蔽情報)を隠蔽できる。さらに、第一隠蔽部と第二隠蔽部とは、上記のように切り取らなければ、その隠蔽情報を視認できないことから、配送途中で不正に隠蔽情報が他人に視られてしまうことを防止するという効果も奏する。また、本構成は、隠蔽状態に形態変化されることにより、その平面サイズが減少する。そのため、配送伝票のように隠蔽状態で使用される場合に、全体の平面サイズをコンパクトにでき、発送作業の際に取扱性に優れるという利点も有する。
【0010】
尚、本発明の構成にあって、第一紙片部の擬似貼着層は、第一上紙部と第一下紙部とを剥離可能に擬似接着する擬似接着剤層からなるものとし、該擬似接着剤層が第一上紙部と第一下紙部とのいずれか一方の背面に形成された構成とできる。又は、接着剤層と離型剤層とにより構成されるものとし、第一上紙部と第一下紙部とのいずれか一方の背面に、該接着剤層が形成され、他方の背面に該離型剤層が形成された構成とすることもできる。ここで、接着剤層は、前記した擬似接着剤層としても良いし、強接着剤を塗布した粘着剤層としても良く、さらには、擬似接着剤層と粘着剤層との両者を部分的に使用するようにしても良い。また、折返線は、第一上紙部と第二上紙部とを切断可能とし、かつ第一下紙部と第二下紙部とを切断可能とする構成が好適である。
【0011】
上述した情報隠蔽帳票にあって、第二紙片部を構成する第二下紙部の台紙部は、被着部と連接部とを折り線を介して連成してなるものである構成が提案される。
【0012】
かかる構成にあって、上記の隠蔽状態で、連接部に接着された第一隠蔽部と被着部に接着された第二隠蔽部との間に台紙部の折り線が位置する。そのため、上述したように隠蔽状態から隠蔽紙片を切り外した場合に、該隠蔽紙片を折り線で比較的容易かつ安定して見開くことができ、該見開きにより、第一隠蔽部と第二隠蔽部との隠蔽情報を視認し易い。
【0013】
上述した情報隠蔽帳票にあって、第一紙片部の擬似貼着層は、第一上紙部の背面に形成された接着剤層と、第一下紙部の背面に形成され、該第一上紙部の接着剤層と剥離可能に接着される離型剤層とを備えてなり、前記第一下紙部は、少なくとも第一隠蔽部に貼り合わされる部位を含む貼付保持部と、切断可能な切断線により該貼付保持部と区画された剥脱部とを備えている構成が提案される。
【0014】
かかる構成にあっては、上述した配送伝票に好適である。すなわち、上記した隠蔽状態に形態変化された後に、第一下紙部の剥脱部が取り除かれることで、第一上紙部背面の接着剤層を該第一下紙部側に露出させる。そして、この接着剤層が配送品に接着されることにより、隠蔽状態の当該情報隠蔽帳票が該配送品に貼付される。尚、配送伝票として適用される場合には、第一上紙部の、隠蔽状態で第二紙片部に覆われない部位に、配送先などを印字する部位を備えた構成が好適である。
【0015】
ここで、第一上紙部の第一隠蔽部は、折返線から所定間隔をおいて設けられ、第一下紙部は、貼付保持部を囲むように剥脱部が設けられている構成が、さらに提案される。
【0016】
かかる構成にあっては、上記した隠蔽状態で第一下紙部の剥脱部を取り除くことにより、第一上紙部背面の接着剤層が、該第一下紙部の貼付保持部を囲むように露出する。こうして露出した第一上紙部背面の接着剤層を配送品に接着することで、隠蔽状態の当該情報隠蔽帳票は、その外周縁部が該配送品に接着されて貼付される。こうして貼付されることによって、配送中に情報隠蔽帳票が剥がれたり、作業者が誤って破損してしまうことを等を可及的に抑制でき、配送先まで貼付された状態で安定して保持され得る。
【発明の効果】
【0017】
本発明の情報隠蔽帳票によれば、第一隠蔽部と第二隠蔽部とに片面プリントにより夫々隠蔽情報を印字できることから、上述した従来構成のように両面プリントによる問題を生じない。また、第二上紙部の除脱部が取り除かれて、第一上紙部と第二上紙部との表面同士が対向するように折返線で折り返されることにより、該第一上紙部の表面に第二下紙部の接着保持部が接着され、第一隠蔽部と第二隠蔽部とを外部から視認不能とできる。そして、台紙部を介して第一隠蔽部と第二隠蔽部とを切り取ることで、隠蔽情報を視認可能とできる。このように、本発明の構成は、隠蔽情報を印字して用いる用途(例えば、配送伝票)に好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明にかかる実施形態を添付図面に従って説明する。
商品の配送に使用される配送伝票に適用した本実施例の情報隠蔽帳票1を、
図1に示す。ここで、本実施例では、情報隠蔽帳票1の上紙2側を表側とし、下紙3側を裏側として規定して説明する。また、
図1の紙面上における上下方向を、本実施例の構成の上下方向として規定し、該
図1の紙面上における左右の横方向を、本実施例の構成の横方向として規定する。こうした上下方向および横方向は、本発明をこの上下方向および横方向に限定するものでは無い。
【0020】
情報隠蔽帳票1は、
図1に示すように、矩形状の第一紙片部11と矩形状の第二紙片部12とが、ミシン目等の折返線13を介して上下に連成されてなる。そして、情報隠蔽帳票1は、第一紙片部11と第二紙片部12との互いの表面同士が対向するように、折返線13で折り返すことができる(
図7参照)。ここで、第二紙片部12は、その上下方向の長さ寸法が、第一紙片部11よりも短く、前記のように折返線13で折り返した状態で、第一紙片部11の上部と重ならない(
図7,8参照)。
【0021】
情報隠蔽帳票1は、
図3,4に示すように、矩形状の上紙2と矩形状の下紙3との夫々の背面同士が貼り合わされて、該上紙2と下紙3とが一体化されてなるものである。そして、情報隠蔽帳票1の表面が、上紙2の表面(
図1(a))であり、該情報隠蔽帳票1の裏面が、下紙3の表面(
図1(b))である。ここで、上紙2と下紙3とは同一形状を成し、情報隠蔽帳票1では、該上紙2と下紙3とのいずれの背面も露出しない。また、上紙2と下紙3には、上記した折返線13を構成する折返線13aと折返線13bとが夫々形成されている。ここで、上紙2の折返線13aは、上記のように折り返し可能であると共に、後述する第一上紙部21と第二上紙部22とを切断可能とするように形成されている。同様に、下紙3の折返線13bは、上記のように折り返し可能であると共に、後述する第一下紙部41と第二下紙部42とを切断可能とするように形成されている。そして、これら折返線13aと折返線13bとが重なり合って、折り返し可能な折返線13が構成されている。
【0022】
上紙2は、
図1(a)および
図3に示すように、上記した折返線13aを介して、矩形状の第一上紙部21と矩形状の第二上紙部22とが上下に連成されてなる。第一上紙部21は、上述のように折返線13aで折り返した状態で第二上紙部22と重ならない上部に、切断可能な切断線20aにより夫々囲繞された送先票部25a、配達証部25b、および引換金受領証部25cが形成されている(
図7,8参照)。ここで、送先票部25aは、その表面に配送先の住所や氏名などが印字される部位であり、切断線20aで切り取られることによって送先票となる。また、配達証部25bは、その表面に配達された証明(受領印など)を受ける部位であり、切断線20aで切り取られることによって配達証となる。また、引換金受領証部25cは、その表面に引換金の受け取りを証明(受領印など)する部位であり、切断線20aで切り取られることによって引換金受領証となる。さらに、第一上紙部21は、前記のように折返線13aで折り返した状態で第二上紙部22と重なり合う下部に、切断可能な切断線20bにより囲繞された矩形状の第一隠蔽部27が形成されている。第一隠蔽部27は、前記した折返線13aから所定間隔をおいて形成されており、さらに、該第一隠蔽部27の上辺が、前記のように折返線13aで折り返した第二上紙部22の下辺と重なるように形成されている(
図8,9参照)。ここで、第一隠蔽部27は、後述する第二隠蔽部28と共に明細票10(
図12参照)を構成するものであり、その表面に商品(品物)の情報が印字される。尚、こうした商品の情報が、本発明にかかる隠蔽情報に相当する。
【0023】
また、上記の第二上紙部22には、切断可能な切断線20cにより囲繞された矩形状の第二隠蔽部28と、該切断線20cにより該第二隠蔽部28と区画された仰コ字形の除脱部29とが形成されている。第二隠蔽部28は、その上辺(切断線20cの上辺)が上記の折返線13aと一体的に形成され、かつその下辺が、第二上紙部22の下辺から所定間隔をおいた位置となるように形成されている。そして、第二隠蔽部28は、上述したように第二上紙部22を折返線13aで折り返した場合に、第一隠蔽部27を部分的に覆うように形成されている。詳述すると、前記のように折返線13aで折り返した状態で、第一隠蔽部27の、その上部を除く部分が、第二隠蔽部28により覆われる(
図9参照)。尚ここで、本実施例にあって、第二隠蔽部28の横幅寸法は、上記の第一隠蔽部27の横幅寸法と同一に形成されている。こうした第二隠蔽部28は、上述したように明細票を構成するものであり、その表面に商品の情報(隠蔽情報)が印字される。
【0024】
こうした上紙2の背面には、
図2(a),
図4,および
図5に示すように、上記の各部位毎に、所定の接着剤や離型剤が塗布されている。すなわち、第一上紙部21の第一隠蔽部27、送先票部25a、配達証部25b、および引換金受領証部25cの各背面には、剥離可能に接着される所定の擬似接着剤を塗布してなる擬似接着剤層31が設けられている。また、第一上紙部21の、第一隠蔽部27、送先票部25a、配達証部25b、および引換金受領証部25cを除く部位30(以下、粘着部30という)には、その背面に、強接着力を有する所定の粘着剤を塗布してなる粘着剤層32が設けられている。さらに、第二上紙部22の第二隠蔽部28の背面には、前記粘着部30と同じ粘着剤を塗布してなる粘着剤層33が設けられ、該第二上紙部22の除脱部29の背面には、前記粘着剤や擬似接着剤と剥離可能に接着される所定の離型剤を塗布してなる離型剤層34が設けられている。ここで、第一上紙部21は、その外周縁部が前記粘着部30により構成されており、該粘着部30の粘着剤層32が、第一上紙部21の四辺に沿って夫々所定の幅で形成されている。
【0025】
一方、下紙3は、
図1(b)および
図4に示すように、上記した折返線13bを介して、上下に第一下紙部41と第二下紙部42とが連成されてなり、第一下紙部41が、上記の第一上紙部21と同一形状であり、かつ第二下紙部42が、上記の第二上紙部22と同一形状である。第一下紙部41には、切断可能な切断線20dに囲繞された矩形状の貼付保持部44と、該貼付保持部44を囲む略ロ字形の剥脱部45とが設けられており、該貼付保持部44と剥脱部45とが該切断線20dにより区画されている。そして、貼付保持部44は、第一下紙部41と第一上紙部21とを重ね合わせた状態で、該第一上紙部21の、第一隠蔽部27、送先票部25a、配達証部25b、および引換金受領証部25cと重なり合う夫々の部位を含むように形成されている。また、第二下紙部42には、その左右両側の側辺に夫々沿った切断線20e,20eが形成されており、該切断線20e,20eにより左右両側の接着保持部47,47と中央の台紙部48とが区画されている。ここで、台紙部48は、第二下紙部42と上記の第二上紙部22とを重ね合わせた状態で、該第二上紙部22の第二隠蔽部28と重なり合う被着部48aと、該被着部48aの下縁に隣接する連接部48bとから構成される。そして、被着部48aと連接部48bとを区画する折り線50が、第二下紙部42の下辺に沿って形成されている。この被着部48aは、第二隠蔽部28と同一形状をなし、連接部48bは、横方向に細長い帯状をなす。
【0026】
こうした第一下紙部41の背面には、
図2(b),
図3,および
図5に示すように、上記の除脱部29と同じ離型剤を塗布してなる離型剤層51が設けられており、第二下紙部42の背面には、上記の粘着部30と同じ粘着剤を塗布してなる粘着剤層52が設けられている。尚、本実施例にあって、第一上紙部21の背面に形成された擬似接着剤層31と粘着剤層32とにより、本発明にかかる第一上紙部の背面に形成された接着剤層が構成されており、当該擬似接着剤層31、粘着剤層32、および第一下紙部41の離型剤層51により、本発明にかかる擬似貼着層が構成されている。また、第二下紙部42の粘着剤層52により、本発明にかかる第二下紙部の背面に形成された接着剤層が構成されている。
【0027】
情報隠蔽帳票1は、上述したように、これら上紙2と下紙3との互いの背面同士を貼り合わされて形成されている。ここで、上紙2の第一上紙部21と下紙3の第一下紙部41とにあっては、該第一上紙部21の背面に形成された擬似接着剤層31および粘着剤層32と、該第一下紙部41の背面の離型剤層51とが、剥離可能に接着されている。すなわち、第一上紙部21の第一隠蔽部27、送先票部25a、配達証部25b、および引換金受領証部25cが、第一下紙部41の貼付保持部44に、擬似接着剤層31と離型剤層51とを介して剥離可能に接着されている。さらに、第一下紙部41の剥脱部45が、第一上紙部21の粘着部30に、離型剤層51と粘着剤層32を介して剥離可能に接着されている。こうして剥離可能に接着された第一上紙部21と第一下紙部41とにより、上述した第一紙片部11が構成される。一方、上紙2の第二上紙部22と下紙3の第二下紙部42とにあっては、該第二上紙部22の背面に形成された粘着剤層33および離型剤層34と、該第二下紙部42の背面に形成された粘着剤層52とが接着されている。ここで、第二上紙部22の第二隠蔽部28が、第二下紙部42の台紙部48の被着部48aに、粘着剤層33と粘着剤層52とを介して剥離不能に接着されている。そして、第二上紙部22の除脱部29が、第二下紙部42の接着保持部47,47および台紙部48の連接部48bに、離型剤層34と粘着剤層52とを介して剥離可能に接着されている。こうして接着された第二上紙部22と第二下紙部42とにより、上述した第二紙片部12が構成される。
【0028】
次に、上述した情報隠蔽帳票1の使用方法について説明する。
本実施例の情報隠蔽帳票1は、上述したように配送伝票に適用したものであることから、該配送伝票の使用に従って以下説明する。そして、上紙2の表面と下紙3の表面(情報隠蔽帳票1の裏面)には、予め配送伝票として必要な事項が印刷されている。すなわち、上記した第一上紙部21の、第一隠蔽部27、送先票部25a、配達証部25b、および引換金受領証部25cと、第二上紙部22の第二隠蔽部28とには、
図1(a)に示すように、それぞれ紙票を示す事項(例えば、「送先票」、「配達証」、「引換金受領証」、「明細票」という記載や、各記入欄など)が印刷されている。さらに、本実施例にあっては、第二下紙部42の台紙部48の表面に、
図1(b)に示すように、前記した明細票の貼付場所などを記した所定の案内情報が、上下逆向きに印刷されている。このように情報隠蔽帳票1は、配送伝票としての体裁が整えられている。尚、情報隠蔽帳票1にあって、第二紙片部12を折り返していない状態(所謂、初期状態)では、平状を成している。
【0029】
情報隠蔽帳票1には、その表面の送先票部25a、配達証部25b、引換金受領証部25c、第一隠蔽部27、および第二隠蔽部28とに、配送に必要な夫々の情報が印字される(図示せず)。具体的には、配達証部25bには、送り先の氏名や住所などの情報が印字され、第一隠蔽部27と第二隠蔽部28とには、配送する商品の明細などの情報が印字される。ここで、第一隠蔽部27と第二隠蔽部28とは、上述したように「明細票」を構成するものであり、印字される情報は商品明細であることから、該商品明細の情報が、配送先まで隠蔽される本発明の隠蔽情報である。
【0030】
こうした配送に必要な情報の印字は、情報隠蔽帳票1の表面にのみ行えば良いことから、所謂片面プリントにより実行できる。これは、情報隠蔽帳票1が、上記のように第二紙片部12を折り返していない初期状態では平状をなし、同一面上に、配送に必要な情報を印字する部位(送先票部25a、配達証部25b、引換金受領証部25c、第一隠蔽部27、および第二隠蔽部28)を設けていることに因る。
【0031】
配送に必要な情報が印字された後に、
図6に示すように、第二上紙部22の除脱部29が、切断線20cと上紙2の折返線13aの左右両側部分とを切断することによって第一上紙部21と第二隠蔽部28とから切り離されて、取り除かれる。これにより、情報隠蔽帳票1の第二紙片部12の表面側には、第二下紙部42の接着保持部47,47および連接部48bの各背面に設けられた粘着剤層52が露出する。この後、
図7に示すように、第二紙片部12の第二隠蔽部28が第一紙片部11の第一隠蔽部27と重なるように、該第二紙片部12を折返線13で該第一紙片部11側へ折り返す。これにより、第二紙片部12の接着保持部47,47および連接部48bの各裏面に設けられた粘着剤層52が、第一紙片部11の表面に剥離不能に接着される。ここで、第一紙片部11の第一隠蔽部27は、その上辺に沿った上側縁が前記連接部48bに接着され、該上側縁を除く部位が第二隠蔽部28に非接着のままで被覆される(
図9参照)。
【0032】
このように第二紙片部12を折返線13で折り返して第一紙片部11と接着した状態(以下、隠蔽状態という)では、
図8〜
図10に示すように、第一隠蔽部27と第二隠蔽部28とが隠れており、該第一隠蔽部27と第二隠蔽部28とに印字された商品明細の情報を外部から視認不能に隠蔽できる。そして、表面に、送先票部25a、配達証部25b、引換金受領証部25cが露出したままとなっている。さらに、隠蔽状態では、前記のように第二紙片部12を折り返して第一紙片部11と重ね合わせていることから、その平面サイズが上記の初期状態に比して小さくなっている。
【0033】
情報隠蔽帳票1は、上記の隠蔽状態として、
図13に示すように、配送品(商品を梱包した状態の品物)81に貼り付けられる。すなわち、隠蔽状態とした後に、第一紙片部11の第一下紙部41の剥脱部45が、切断線20dと下紙3の折返線13bとを切断することによって貼付保持部44から切り離されて、取り除かれる。これにより、情報隠蔽帳票1の裏面側には、第一上紙部21の粘着部30の背面に設けられた粘着剤層32が露出する。その後、この情報隠蔽帳票1は、前記裏面側に露出した粘着剤層32により、前記の配送品81に剥離不能に接着される。これにより、運送業者は、前記配送品(商品)81を、情報隠蔽帳票1の送先票部25aに記載された情報に従って、送り届けることができる。尚、運送業者による運送中は、情報隠蔽帳票1の隠蔽状態が保持されることから、第一隠蔽部27と第二隠蔽部28とが外部から視認不能であり、商品内容が隠蔽されたまま保たれる。
【0034】
配送品(商品)81が送り先に届けられると、配達証部25bに受領印を押印してもらい、該配達証部25bを切断線20aで切断して切り取って運送業者が持参する。一方、商品を受け取った者は、配送品81に貼着された隠蔽状態の情報隠蔽帳票1から明細票10を切り取って、該明細票10の内容に従って商品を確認できる。すなわち、
図11,12に示すように、配送品81に貼着されたままで(
図13(d)参照)、第二紙片部12の台紙部48を、切断線20e,20eと下紙3の折返線13bとを切断することにより、第一紙片部11に剥離不能に接着された接着保持部47,47から切り離す。これに伴って、台紙部48の被着部48aに剥離不能に接着されている第二隠蔽部28も切り離される。こうして台紙部48を接着保持部47,47から切り離すと、該台紙部48の折り線50で折り曲げることにより、第一隠蔽部27と第二隠蔽部28とを見開き状態とできる(
図11(b)参照)。さらに、第一隠蔽部27を切断線20bで切断することにより、該第一隠蔽部27を第一紙片部11から切り離すことができる。これにより、第一隠蔽部27と第二隠蔽部28とが台紙部48により一体化された明細票10として、配送品81から取り外すことができる(
図12(b),
図13(d)参照)。そして、こうして取り外した明細票10は、前記のように折り線50で折り曲げて見開き状態とすることで、第一隠蔽部27と第二隠蔽部28とに記載された商品情報を確認することができる。
【0035】
このように本実施例の情報隠蔽帳票1は、平状の初期状態で片面プリントにより所定の情報印字し、該初期状態から上記の隠蔽状態へ形態変化されて配送品に取り付けられ、配送伝票として使用される。かかる情報隠蔽帳票1は、以下の作用効果を奏する。
(1)同一面上に、配送に必要な情報を印字する部位が設けられることから、該情報を片面プリントにより印字可能である。そのため、上述した従来構成のように両面プリントする必要がなく、該両面プリントによる問題(プリント時間の長時間化、プリンタの耐久寿命の低減など)を生じない。
(2)隠蔽状態へ形態変化されて配送品81に貼付されることから、第一隠蔽部27と第二隠蔽部28とに印字された商品情報(隠蔽情報)を外部から視認不能とできる。さらに、一旦隠蔽状態とすると、初期状態へ戻すことができず、前記商品情報を視認するためには、折返線13bや切断線20e,20eの切断が必須であることから、運送中に不正に商品情報が見られた場合にはその痕跡が残る。したがって、商品情報が不正にみられることを防止できる。
(3)隠蔽状態とすることで、第一隠蔽部27と第二隠蔽部28とが台紙部48を介して一体化される。そのため、商品を受け取った者は、台紙部48(第二隠蔽部28)と第一隠蔽部27とを切り取ることにより、明細票10を比較的容易かつ安定して取り外すことができ、商品情報を確認できる。ここで、明細票10は、第一隠蔽部27と第二隠蔽部28とから構成されるものであることから、該第一隠蔽部27と第二隠蔽部28とによって商品情報(隠蔽情報)の印字領域を比較的大きくできる。これにより、例えば、情報隠蔽帳票1をコンパクトなサイズとするために、第一隠蔽部27や第二隠蔽部28との夫々の平面サイズを比較的小さくしても、明細票10は各サイズを足し合わせたものとなることから、商品情報の印字領域を十分に確保できる。
(4)配送品に貼付される隠蔽状態は、第二紙片部12を折り返した状態であることから、その平面サイズが初期状態に比して小さくなり、該配送品81への貼付サイズを比較的小さくできる。そのため、発送作業の際に取扱性に優れる。
(5)第一下紙部41の剥脱部45は、該第一下紙部41の四辺に沿って形成されている。そのため、隠蔽状態で該剥脱部45と取り外して配送品81に貼付した場合に、第一上紙部21の外周縁部を該配送品81に剥離不能に接着できる。こうして接着されると、配送品81と情報隠蔽帳票1との間にゴミ等が侵入できず、また運搬業者が誤って指などを引っ掛けて破損する虞も無い。この効果は、第一隠蔽部27が折返線13aから所定間隔をおいて形成されていることに因る。尚、この構成に対して、例えば、第一上紙部21の三辺に沿った側縁部のみが配送品に接着され、残りの一辺の側縁部が非接着である場合には、非接着の部位からゴミ等が入り易く、また運搬中に指などを引っ掛け易い。
【0036】
本発明にあっては、上述した実施例に限定されるものではなく、上述の実施例以外の構成についても本発明の趣旨の範囲内で適宜変更して実施可能である。例えば、本発明の情報隠蔽帳票は、上記実施例の配送伝票の他にも、所定の隠蔽情報を印字した帳票に適用可能である。具体的には、個人情報を送付する葉書や、給与などの明細情報を記載した用紙などに適用できる。