(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6564306
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】猫の爪研ぎ器
(51)【国際特許分類】
A01K 13/00 20060101AFI20190808BHJP
【FI】
A01K13/00 G
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-215574(P2015-215574)
(22)【出願日】2015年11月2日
(65)【公開番号】特開2017-85900(P2017-85900A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2018年8月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】509271288
【氏名又は名称】株式会社ジャイブ
(74)【代理人】
【識別番号】100089462
【弁理士】
【氏名又は名称】溝上 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100129827
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 進
(72)【発明者】
【氏名】指宿 浩二
(72)【発明者】
【氏名】指宿 京子
【審査官】
田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭54−145677(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0014043(US,A1)
【文献】
登録実用新案第3050139(JP,U)
【文献】
特開2005−270013(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3114658(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3100076(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 13/00−15/04,29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の段ボール片を互いに分離可能に重ねると共に、
前記段ボール片のライナーと中芯からなる各フルート端面を連続させることにより形成した爪研ぎ部と、
前記複数の段ボール片を重なり方向に結束するための結束手段と、
を備え、
前記結束手段は、前記複数の段ボール片に夫々設けた開口部を貫通する紙管と、前記紙管の両端に取り付けるキャップと、で構成されることを特徴とする猫の爪研ぎ器。
【請求項2】
前記キャップは、前記紙管に対して着脱自在に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の猫の爪研ぎ器。
【請求項3】
前記複数の段ボール片のうち、重なり方向両端に位置する段ボール片の外側のライナー面に、第1の生地を縫い付けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の猫の爪研ぎ器。
【請求項4】
前記キャップは、前記開口部の径よりもサイズが大きいフランジ部を備え、
前記複数の段ボール片のうち、重なり方向両端に位置する段ボール片の外側のライナー面に第1の生地を縫い付けると共に、前記キャップには前記フランジ部の外側面を覆うように第2の生地を取り付けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の猫の爪研ぎ器。
【請求項5】
前記第1の生地は、前記段ボール片に設けられた前記開口部と重なるように、重ね代が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の猫の爪研ぎ器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、猫が爪を研ぐときに使用する猫の爪研ぎ器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、猫は、本能的に爪を研ぐ習性があり、また特に家庭内でペットとして飼われている猫はストレスを発散させるために、家の柱、壁、床、家具、カーテン、カーペット等を爪で激しく引っ掻いて損傷させることがある。
【0003】
そこで、従来、猫の爪による家具や室内の損傷を防止するために、複数の段ボール片を接着剤で貼り合わせ、各段ボール紙のフルート端面を連続させて爪研ぎ部を形成した猫の爪研ぎ器が利用されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、段ボール紙を接着剤等によって積層接着した猫の爪研ぎ器において、その積層断面に合成樹脂を含浸したことを特徴とする猫の爪研ぎ器が開示されている。
【0005】
また、接着剤で貼り合わせた多数の段ボール紙からなる爪研ぎ器を、猫がその上でくつろぎ易いように例えば、なだらかなM字状にしたものや(非特許文献1)、趣向を変えてワニの形状にしたものなどが、インターネットで販売されている(非特許文献2)。
【0006】
しかしながら、従来の猫の爪研ぎ器は、所望の形状に型抜きした複数の段ボール片のライナー面に接着剤を塗布して段ボール片同士を接合させる工程か、あるいは先に複数の段ボール紙を接合しておいたものを所要の形状のカットする工程が不可欠であり、これらの点で製造時にコストアップとなる問題があった。
【0007】
また、従来の猫の爪研ぎ器は、完成時には接着剤によって一体化されているため、フルート端面を連続させた爪研ぎ部のうち、一部の領域のみが継続使用により損傷した場合でも、一体化された段ボール片の全部を交換する必要があり、経済的でないという課題もあった。
【0008】
また更に、従来の猫の爪研ぎ器は、各段ボール片を接合する糊付け工程で使用した接着剤が爪研ぎ面に漏出しているため、猫が爪研ぎをする際に、爪研き面に露出している接着剤をなめてしまう虞があり、そのため飼い主が使用に不安を抱くという課題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−308404号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】“Pets Global.com、商品「CP-028」(M-Shape)のページ”、[online]、Dongguan Colour Pack Printing Co.,Ltd、[平成27年10月22日検索]、インターネット<URL:http://www.petsglobal.com/website/product_6923/M-shape_corrugated_cat_scratcher.html>
【非特許文献2】“Pets Global.com、商品「CP-025」(crocodile-Shape)のページ”、[online]、Dongguan Colour Pack Printing Co.,Ltd、[平成27年10月22日検索]、インターネット<URL:http://www.petsglobal.com/website/product_6924/CP-025_e-flute_cat_scratcher.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、従来の猫の爪研ぎ器は、接合面に接着剤を塗布して段ボール片同士を接合する構成のため、製造時にコストアップが避けられなかった点である。
また、付随的な課題としては、損傷した部分だけを交換することができず全取り替えとなるため使用時においても経済的でない点や、接着剤に対する飼い主の不安があった点などが挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するため、本発明の猫の爪研ぎ器は、
複数の段ボール片を互いに分離可能に重ねると共に、
前記段ボール片のライナーと中芯からなる各フルート端面を連続させることにより形成した爪研ぎ部と、
前記複数の段ボール片を重なり方向に結束するための結束手段と、
を備え
、
前記結束手段は、前記複数の段ボール片に夫々設けた開口部を貫通する紙管と、前記紙管の両端に取り付けるキャップと、で構成されることを最も主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、複数の段ボール片を貼り合わせるのではなく、互いに分離可能に重ねておいて、別途、結束手段により結束することで一体的に固定する構成を採用したので、製造時に接着剤を塗布して段ボール片同士を接合させる工程は不要となり、製造コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施例の猫の爪研ぎ器の全体構成を示す図である。
【
図2】第1実施例の猫の爪研ぎ器において、結束手段のキャップを取り外し、結束していた複数の段ボール片を分離した状態の図である。
【
図3】第1実施例の猫の爪研ぎ器において、複数の段ボール片のうち、重なり方向両端に位置する2つの段ボール片のうちの1つを示す図であり、(a)は化粧紙を貼り付けた側の正面図、(b)は(a)を裏側から見た背面図、(c)は底面図の部分拡大図であって、ライナーと中芯からなるフルート端面を示す図である。
【
図4】結束手段の説明図であり、(a)は紙管を斜め方向から見た図、(b)は紙管と紙管の両端に嵌合させるキャップを横方向から見た図である。
【
図5】キャップの構成を示す図であり、(a)は斜め方向から見た図、(b)は平面方向から見た図、(c)は底面方向から見た図である。
【
図6】第2実施例の猫の爪研ぎ器の全体構成を示す図である。
【
図7】第2実施例の猫の爪研ぎ器において、複数の段ボール片のうち、重なり方向両端に位置する2つの段ボール片のうちの1つを示す図であり、(a)は第1の生地を縫い付けた側の正面図、(b)は(a)を裏側から見た背面図、(c)は底面図の部分拡大図であって、ライナーと中芯からなるフルート端面を示す図である。
【
図8】キャップに取り付けた第2の生地の構成を示す図であり、(a)は斜視方向から見た図、(b)は平面方向から見た図、(c)は底面方向から見た図である。
【
図9】開口部と重なる領域に設ける重ね代を示す図であり、(a)は第1の生地を縫い付けた側から見た図、(b)は(a)を裏側から見た図である。
【
図10】各実施例で用いた段ボール片を型抜きする際のレイアウト図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、複数の段ボール片のフルート端面を連続させることにより爪研ぎ部を形成する猫の爪研ぎ器において、接着剤を塗布して段ボール片同士を接合させる工程をなくすという目的を達成するために、複数の段ボール片を互いに分離可能に重ねておいて、別途、結束手段を用いて複数の段ボール片を重なり方向に結束する構成を採用した。
【実施例】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、
図1〜
図10を用いて説明する。
【0017】
図1に示す第1実施例の猫の爪研ぎ器T1は、例えば40個の段ボール片11をそれぞれ接合して一体化するのではなく、分離可能な状態で幅方向に重ねて並べ、各段ボール片1のライナーと波状の中芯からなるフルート端面が連続するように配置して、爪研ぎ部2を構成したものである。爪研ぎ部2は、成長した大人の猫が使用する場合においても十分な面積が確保されている。
【0018】
3aは、複数の段ボール片1を重なり方向に結束するための結束手段を構成する部材の1つであるキャップを示している。キャップ3aは、
図1では見えない反対側の面にも存在している。また、4は、最も外側に位置する段ボール片1のライナー面に貼り付けた化粧紙を示している。なお、段ボール片1の「重なり方向」とは、猫の爪研ぎ器T1の幅方向(
図1の例で言えば段ボール片40個分の厚みの方向)と同義である。
【0019】
図2は、一方のキャップ3aを取り外し、結束していた複数の段ボール片1を分離した状態の図である。本実施例の猫の爪研ぎ器T1は、
図2に示すように、各段ボール片1に設けた開口部1aを貫通する紙管3bに対し、キャップ3aが着脱自在に取り付けられているので、例えば爪研ぎによる損傷が激しい中央の爪研ぎ部21の部分のみを新しいものと交換し、損傷が左程進んでいない両端の爪研ぎ部22,23の部分は使用を継続するといったことが可能であり、紙資源を大切にすることができる。
【0020】
また、従来の爪研ぎ器は、段ボール片を接合する糊付け工程で使用した接着剤が爪研ぎ面に漏出しているため、猫が爪研ぎをする際に、爪研き面に露出している接着剤をなめてしまう虞があり、そのためユーザが使用に不安を抱くという課題があったが、本発明の爪研ぎ器T1は、上記糊付け工程を行わないので、猫に害を及ぼす虞は少なくなり、ユーザが安心して使用できる。
【0021】
図3は、複数の段ボール片1のうち、重なり方向両端に位置する2つの段ボール片のうちの1つを示す図である。本発明は、段ボール片と段ボール片の間には接着剤を使用しない点に特徴を有するものであるが、第1実施例においては、重なり方向両端に位置する2つの段ボール片のみ、外側のライナーに化粧紙4を貼り付けている。なお、本実施例で用いた段ボール片1は、
図3(a)及び(b)に示すように、孫悟空の筋斗雲の形状をモチーフにしたものであるため、例えば金色の鮮やかな化粧紙4を使用し、筋斗雲のイメージを演出している。
【0022】
図3(c)は、段ボール片1を横方向から見た図であり、上下2つのライナー1bと波状の中芯1cからなるフルート端面1dを示している。前述の爪研ぎ部2は、このようなフルート端面1dが幅方向に連続して構成されたものである。
【0023】
図4(a)は、
図1の紙管3bを取り出して全体を図示したものである。紙管3bは、円筒状の部材であり、両端は開口3b1となっている。
図4(b)は、キャップ3aと紙管3bからなる本実施例の結束手段3を示したものである。すなわち、結束手段3は、複数の段ボール片1に夫々設けた開口部1aを貫通する紙管3bと、前記紙管3bの両端の開口3b1に取り付けるキャップ3aとで構成される。
【0024】
図5は、樹脂製のキャップ3aの構造を示す図である。キャップ3aは、段ボール片1の開口部1aの径よりもサイズが大きい円盤状のフランジ部3a1を有すると共に、紙管3bの開口3b1の内径に丁度嵌まる外径サイズからなる嵌合部3a2を有している。よって、複数の段ボール片1の開口部1aに紙管3bを貫通させた状態で、紙管3bの両端の開口3b1にキャップ3aの嵌合部3a2を押し込むと、複数の段ボール片1は、フランジ部3a1の出張りによって中央に向けて押さえられた状態が維持される。
【0025】
3a3は、紙管3bへの嵌め込み時に適度な負荷をかけてキャップ3aが容易に離脱しないようにするために、嵌合部3a2の外側面に4箇所設けられた凸部(リブ)を示している。また、3a4は、キャップ3aを紙管3bの両端から押し込む際に、紙管3bの内部の空気が逃げやすいように、フランジ部3a1の中央に設けられた孔を示している。このような孔3a4が設けられていると、キャップの着脱が容易となる。
【0026】
次に、
図6を参照しながら、第2実施例の猫の爪研ぎ器T2の構成を説明する。第2実施例も、例えば40個の段ボール片11を使用する点、段ボール片1同士を貼り合わせるのではなく分離可能な状態で幅方向に重ねて並べ、段ボール片1のフルート端面が連続するように配置して爪研ぎ部2を構成する点は、第1実施例と同じであり、これらの点において変わるところはない。
【0027】
第2実施例が第1実施例と異なる点は、複数の段ボール片1のうち、重なり方向両端に位置する段ボール片1の外側のライナー面に、所望のデザイン(例えば唐草模様)が施された第1の生地5を縫い付けた点である。
【0028】
すなわち、第2実施例は、重なり方向両端に位置する2つの段ボール片1の外側のライナー面についても、第1の生地5を縫合によって取り付けるので、接着剤を使用しないという本発明の方針を貫徹できる。
【0029】
図7(a),(b)の縫合線5aに示すように、第1の生地5は、筋斗雲の形状からなる段ボール片1の周縁部から少し内側の位置をミシンを使って縫合することにより、段ボール片1のライナー面に、しっかりと縫い付けることができる。
【0030】
図8は、第2実施例におけるキャップ3aの構造を示す図である。第2実施例では、キャップ3aは、段ボール片1の開口部1aの径よりもサイズが大きいフランジ部3a1を備え、複数の段ボール片1のうち、重なり方向両端に位置する段ボール片1の外側のライナー面に第1の生地5を縫い付けると共に、キャップ3aには、
図8に示すように、フランジ部3a1の外側面を覆うように第2の生地6が取り付けられている。
【0031】
すなわち、第2の生地6には、第1の生地5と同様、ユーザの好みに合った任意のデザインを施すことができるので、
図6に示すように、同じ生地を使用して統一感を持たせることができるのは勿論、第2の生地6のデザインを変えた複数のキャップ3aを準備しておけば、ユーザがデザインのバリエーションを楽しむこともできる。
【0032】
また、第1の生地5には、
図9に示すように、段ボール片1に設けられた開口部1aの開口範囲と重なるように、重ね代5bが設けられている。
【0033】
従って、複数の段ボール片1の開口部1aに紙管3bを貫通させた状態で、紙管3bの両端の開口3b1にキャップ3aの嵌合部3a2を押し込むと、嵌合部3a2は、重ね代5bの部分を引き込むようにして紙管3bの開口3b1と嵌め合される。
【0034】
つまり、この重ね代5bが存在することにより、第2実施例においては、第1実施例以上にしっかりとキャップ3aを紙管3bに取り付けることが出来ると共に、第1の生地5は、皺が生じることはなく、ピンと張られた美しい状態でライナー面に取り付けることができる。
【0035】
図10は、段ボール片1を型抜きする際のレイアウトの一例を示したものである。上記実施例で使用した筋斗雲をモチーフにしたデザインは、
図10に示すように上下反転させたものを左右に交互に配置すれば、紙資源の無駄が少なく段ボールを効率的に使用することができる。
【0036】
本発明は上記の例に限らず、各請求項に記載された技術的思想の範疇であれば、適宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。
【0037】
例えば、猫が爪を研いだときに発生する紙粉が、各段ボール片のフルート端面の小孔を通じて爪研ぎ器の下面に達し床を汚すのを防止するために、爪研ぎ器の下面の下に紙粉を受けるためのトレイを設けても良い。
【0038】
また、上記実施例では、結束手段として、紙管に樹脂製のキャップを押し込む例を示したが、他の手段を用いて結束しても良い。例えば、先端にネジが切られた樹脂製の管を使用し、螺子式のキャップを取り付ける構成であっても良い。
【0039】
また、上記実施例では、複数の段ボール片に対し、円筒状の紙管を2つ貫通させてキャップで結束する例を示したが、結束手段を構成する部材の形状や数は、実施例に示したものに限らない。
【符号の説明】
【0040】
T1,T2 猫の爪研ぎ器
1 段ボール片
1a 開口部
1b ライナー
1c 中芯
1d フルート端面
2 爪研ぎ部
3 結束手段
3a キャップ
3a1 フランジ部
3b 紙管
5 第1の生地
5b 重ね代
6 第2の生地