(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では、
図1を用いて、本発明の一実施形態に係る睡眠アドバイスシステム1の構成の概要について説明する。
【0029】
睡眠アドバイスシステム1は、対象者の睡眠の質(睡眠質)を向上させるためのアドバイス(以下、睡眠アドバイスと称す)を、当該対象者に提供するものである。睡眠アドバイスシステム1は、睡眠環境データ取得装置10、生活行動データ取得装置20、睡眠質データ取得装置30、アドバイス提供装置40、睡眠環境制御装置50及びサーバー100を具備する。
【0030】
睡眠環境データ取得装置10は、対象者の睡眠時の環境(以下、睡眠環境と称す)に関する睡眠環境データを測定するものである。「睡眠環境データ」には、睡眠質に影響を与える(睡眠質への影響因子となる)可能性があると考えられる、睡眠時における種々の条件(項目)を含めることができる。睡眠環境データの項目としては、対象者の睡眠時の室温、湿度、照度、気圧、騒音、天気、匂い、就寝時刻、起床時刻等を例示することができる。なお、「睡眠時」には、寝つき時、睡眠中及び起床時が含まれる。また、室温、湿度、照度、気圧、騒音等の数値には、平均値、最大値及び最小値が含まれる。睡眠環境データ取得装置10としては、例えば、温度計、湿度計、照度計を使用することができ、睡眠環境データ取得装置10は、睡眠環境データを測定することにより、当該睡眠環境データを取得する。
【0031】
生活行動データ取得装置20は、対象者の日々の生活における行動(以下、生活行動と称す)に関する生活行動データを取得するものである。「生活行動データ」には、睡眠質に影響を与える(睡眠質への影響因子となる)可能性があると考えられる、日々の生活における種々の条件(項目)を含めることができる。生活行動データの項目としては、入浴の有無、飲酒の有無、運動の有無、ストレスの大きさ、食事の内容、聴いた音楽の種類、寝具の種類、寝間着の種類、生理の有無等を例示することができる。生活行動データ取得装置20としては、例えば、パーソナルコンピューター、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末を使用することができ、生活行動データ取得装置20は、対象者によって自身に生活行動データが入力されることにより、又は生活行動データを測定することにより、当該生活行動データを取得する。
【0032】
なお、睡眠環境データ及び生活行動データの項目は、実際に睡眠質に影響を与えるものに限定されるわけではなく、実際に睡眠質に影響を与えるか否かは、後述するサーバー100の分析部140で分析(判定)される。
【0033】
睡眠質データ取得装置30は、対象者の睡眠質に関する睡眠質データを測定するものである。「睡眠質データ」には、睡眠質の良し悪しを表す種々の条件(項目)を含めることができる。睡眠質データは、睡眠質を客観的に評価するデータ(以下、客観睡眠質データと称す)と、睡眠質を主観的に評価するデータ(以下、主観睡眠質データと称す)とに分類することができる。客観睡眠質データとしては、寝つきに要した時間、睡眠の深さ、中途覚醒の回数等を例示することができる。主観睡眠質データとしては、対象者が感じる目覚めの良さ、熟睡感、日中の眠気等を例示することができる。睡眠質データ取得装置30は、客観睡眠質データを取得する客観睡眠質データ取得装置31、及び主観睡眠質データを取得する主観睡眠質データ取得装置32を含むものである。
【0034】
客観睡眠質データ取得装置31は、睡眠の深さ等の客観睡眠質データを測定することにより、当該客観睡眠質データを取得する。客観睡眠質データ取得装置31としては、例えば睡眠ポリグラフィ装置を使用することができる。当該睡眠ポリグラフィ装置は、対象者の睡眠時の脳波、筋電、眼電等の身体情報を検出して、レム睡眠/ノンレム睡眠といった睡眠状態を判定する。睡眠ポリグラフィ装置は、この判定に基づいて、寝つきに要した時間、睡眠の深さ、中途覚醒の回数等の客観睡眠質データを取得することができる。
【0035】
主観睡眠質データ取得装置32は、対象者によって目覚めの良さ等の主観睡眠質データが入力されることにより、当該主観睡眠質データを取得する。主観睡眠質データ取得装置32としては、例えば、パーソナルコンピューター、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末を使用することができる。
【0036】
アドバイス提供装置40は、対象者へ睡眠アドバイスを提供するものである。アドバイス提供装置40としては、例えばパーソナルコンピューター、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末、テレビ、スピーカー、ミラー型ディスプレイが用いられる。アドバイス提供装置40は、睡眠環境データ取得装置10で取得された睡眠環境データ、生活行動データ取得装置20で取得された生活行動データ、及び睡眠質データ取得装置30で取得された睡眠質データに基づいて、対象者へ睡眠アドバイスを提供する。睡眠アドバイスの詳細については後述する。
【0037】
睡眠環境制御装置50は、対象者の睡眠環境を制御するものである。睡眠環境制御装置50は、アドバイス提供装置40で提供される睡眠アドバイスの内容に沿って、室温、湿度、照度、気圧、騒音、匂い等の睡眠環境を制御するように構成される。睡眠環境制御装置50としては、例えば、照明器具、エアコン、窓やカーテンの自動開閉装置、スピーカー、アロマディフューザーが用いられる。睡眠環境制御装置50は、例えば、対象者の睡眠が浅い場合には、睡眠を深くする効果を期待して照明の照度を暗くするように制御することができる。
【0038】
サーバー100は、データの蓄積や分析等を行うものである。サーバー100は、睡眠環境データ取得装置10、生活行動データ取得装置20、睡眠質データ取得装置30、アドバイス提供装置40及び睡眠環境制御装置50に接続される。サーバー100は、睡眠環境データ蓄積部110、生活行動データ蓄積部120、睡眠質データ蓄積部130、分析部140及びアドバイス生成部150を具備する。
【0039】
睡眠環境データ蓄積部110は、睡眠環境データ取得装置10で取得された睡眠環境データを蓄積するものである。
【0040】
生活行動データ蓄積部120は、生活行動データ取得装置20で取得された生活行動データを蓄積するものである。
【0041】
睡眠質データ蓄積部130は、睡眠質データ取得装置30で取得された睡眠質データを蓄積するものである。具体的には、睡眠質データ蓄積部130は、客観睡眠質データ取得装置31で取得された客観睡眠質データと、主観睡眠質データ取得装置32で取得された主観睡眠質データとを蓄積する。
【0042】
分析部140は、データの分析を行うものである。具体的には、分析部140は、睡眠環境データ取得装置10で取得された睡眠環境データ、生活行動データ取得装置20で取得された生活行動データ、及び睡眠質データ取得装置30で取得された睡眠質データに基づいて、睡眠質データと睡眠環境データ及び生活行動データとの関連性を分析する。より具体的には、分析部140は、睡眠環境データ及び生活行動データの各項目(室温や飲酒の有無等)と睡眠質データとの関連性(前記各項目がそれぞれ睡眠質データに与える影響)に関する関連性データを作成すると共に、睡眠質データに対する睡眠環境データ及び生活行動データの各項目の寄与率(睡眠質データに与える影響の度合い)を算出する。
【0043】
アドバイス生成部150は、対象者の睡眠質を向上させるための睡眠アドバイスを生成するものである。アドバイス生成部150は、分析部140によって作成された関連性データ及び分析部140によって算出された寄与率に基づいて、睡眠アドバイスを作成する。アドバイス生成部150は、例えば、推奨睡眠環境(推奨室温、推奨就寝時刻等)、及び推奨生活行動(入浴した方が良い、運動した方が良い等)に関する睡眠アドバイスを作成する。
【0044】
以下、
図2を参照して、睡眠アドバイスシステム1における生活行動データ、睡眠環境データ及び睡眠質データの蓄積に関する具体的な流れを説明する。以下の説明においては、ステップS11及びステップS12は就寝前、ステップS13及びステップS14は睡眠時、ステップS15及びステップS16は起床後になされることを前提としているが、実際にデータが蓄積されるタイミングは適宜変更できる。
【0045】
ステップS11において、生活行動データ取得装置20は、対象者の生活行動データを取得する。本実施形態においては、対象者は、当日の就寝前(睡眠の前)に入浴したか否か(入浴の有無)、飲酒したか否か(飲酒の有無)、及び運動したか否か(運動の有無)を生活行動データ取得装置20に入力する。
【0046】
ステップS12において、生活行動データ取得装置20によって取得された生活行動データは、サーバー100に送信され、サーバー100の生活行動データ蓄積部120に格納される。
【0047】
ステップS13において、睡眠環境データ取得装置10は、対象者の睡眠環境データを取得する。本実施形態においては、睡眠環境データ取得装置10は、対象者の睡眠時の室温、湿度及び照度を測定し、取得する。また、客観睡眠質データ取得装置31は、対象者の客観睡眠質データを取得する。本実施形態においては、客観睡眠質データ取得装置31は、対象者の睡眠の深さ及び寝つき時間を測定し、取得する。
【0048】
ステップS14において、睡眠環境データ取得装置10によって取得された睡眠環境データは、サーバー100に送信され、サーバー100の睡眠環境データ蓄積部110に格納される。また、客観睡眠質データ取得装置31によって取得された客観睡眠質データは、サーバー100に送信され、サーバー100の睡眠質データ蓄積部130に格納される。
【0049】
ステップS15において、主観睡眠質データ取得装置32は、対象者の主観睡眠質データを取得する。本実施形態においては、対象者は、対象者自身が感じた目覚めの良さや熟睡感を点数化して、主観睡眠質データ取得装置32に入力する。
【0050】
ステップS16において、主観睡眠質データ取得装置32によって取得された主観睡眠質データは、サーバー100に送信され、サーバー100の睡眠質データ蓄積部130に格納される。
【0051】
ステップS11からステップS16までを1日ごとに繰り返すことにより、生活行動データ蓄積部120には生活行動データの履歴が蓄積され、睡眠環境データ蓄積部110には睡眠環境データの履歴が蓄積され、睡眠質データ蓄積部130には睡眠質データ(客観睡眠質データ及び主観睡眠質データ)の履歴が蓄積される。
【0052】
以下、
図3から
図7を参照して、睡眠アドバイスの提供に係る制御について説明する。なお、以下の説明においては、ステップS11からステップS16までの処理が既になされ、生活行動データ蓄積部120には生活行動データの履歴が蓄積され、睡眠環境データ蓄積部110には睡眠環境データの履歴が蓄積され、睡眠質データ蓄積部130には睡眠質データの履歴が蓄積された状態とする。また、以下の説明においては、ステップS110からステップS130までは就寝前、ステップS140は睡眠時になされることを前提としているが、実際に処理がなされるタイミングは適宜変更できる。
【0053】
ステップS110において、分析部140は、生活行動データ蓄積部120に蓄積された生活行動データの履歴、睡眠環境データ蓄積部110に蓄積された睡眠環境データの履歴、及び睡眠質データ蓄積部130に蓄積された睡眠質データの履歴を用いて、
図4に示すデータテーブルを作成する。データテーブルには、睡眠環境データとして、対象者の睡眠時の室温、湿度及び照度が入力される。また、データテーブルには、生活行動データとして、入浴の有無、飲酒の有無及び運動の有無が入力される。また、データテーブルには、客観睡眠質データとして、対象者の睡眠の深さ及び寝つき時間が入力される。当該客観睡眠質データは、所定の指標によって点数化されて(客観睡眠質点数として)入力される。また、データテーブルには、主観睡眠質データとして、対象者自身が感じた目覚めの良さや熟睡感が点数化されて(主観睡眠質点数として)入力される。そして、データテーブルには、睡眠質点数として、客観睡眠質点数と主観睡眠質点数の平均値が入力される。
【0054】
なお、対象者の睡眠時の室温、湿度及び照度としては、平均値を採用することができるが、最大値や最小値を採用してもよい。また、対象者の睡眠時の室温、湿度及び照度は、寝つき時、睡眠中及び起床時に分けて、データテーブルに入力されてもよい。
【0055】
ステップS120において、分析部140は、
図5に示す寄与率算出フローにより、睡眠環境データ及び生活行動データの各項目(室温や飲酒の有無等)と睡眠質データとの関連性(前記各項目がそれぞれ睡眠質データに与える影響)に関する関連性データを作成すると共に、睡眠質データに対する睡眠環境データ及び生活行動データの各項目の寄与率(睡眠質データに与える影響の度合い)を算出する。
【0056】
以下、
図5を参照して、ステップS120における寄与率算出フローについて説明する。
【0057】
ステップS121において、分析部140は、データテーブルの睡眠環境データ及び生活行動データの各項目を正規化する。具体的には、平均が0、分散が1となるよう各項目を正規化する。
【0058】
ステップS122において、分析部140は、正規化した項目を用いて睡眠質点数を重回帰分析する。具体的には、睡眠質点数を目的変数、睡眠環境データ及び生活行動データの各項目を説明変数として重回帰分析を行う。
【0059】
ステップS123において、分析部140は、各項目(説明変数)の係数の絶対値から、睡眠質点数に対する各項目の寄与率を算出する。
【0060】
再び、
図3を参照する。ステップS130において、アドバイス生成部150は、分析部140で作成された関連性データ及び分析部140で算出された寄与率に基づいて、睡眠アドバイスを作成する。以下、睡眠アドバイスについて具体的に説明する。
【0061】
アドバイス生成部150は、睡眠質データ(睡眠質点数)に対する睡眠環境データの各項目の影響度(寄与率)の分析結果、及び睡眠環境データの各項目と睡眠質データとの関連性を示す睡眠環境用アドバイスを作成する(
図6参照)。
図6に示す睡眠環境用アドバイスにおいては、睡眠質点数に対する睡眠環境データの各項目の影響度(寄与率)が円グラフで表され、占める面積が大きい項目が寄与率が大きい(即ち、睡眠質に与える影響が大きい)ことを示している。
図6に示す円グラフは、睡眠時の室温が睡眠質に最も大きな影響を与えていることを示している。
【0062】
アドバイス生成部150は、寄与率の大きな項目について優先的に文字や音声でアドバイスを生成する。具体的には、アドバイス生成部150は、睡眠環境データの各項目のうち最も寄与率の大きな項目、又は寄与率の大きな順に並べたときに上位の複数の項目についてアドバイスを生成する。
図6に示す睡眠環境用アドバイスにおいては、文字や音声で「あなたは室温に最も影響を受けやすいようです」等のアドバイスを生成する。
【0063】
また、
図6に示す睡眠環境用アドバイスにおいては、室温と睡眠質との関連性が折れ線グラフで表される。
図6に示す折れ線グラフにおいて、横軸は室温を表しており、縦軸は睡眠質の点数を表している。
図6に示す折れ線グラフは、対象者は、室温が26.0℃のときに最も質の良い睡眠を得られることを示している。また、アドバイス生成部150は、睡眠質点数が最も高いとき(つまり、睡眠質に最も良い影響を与えるとき)の室温の値について優先的に文字や音声でアドバイスを生成する。
図6に示す睡眠環境用アドバイスにおいては、文字や音声で「あなたは26.0℃のときに最もよく眠れています」等のアドバイスを生成する。
【0064】
また、アドバイス生成部150は、睡眠質点数に対する生活行動の寄与率の分析結果を示す生活行動用アドバイスを作成する(
図7参照)。
図7に示す生活行動用アドバイスにおいては、前記寄与率が棒グラフで表され、棒グラフの長さが長い項目が寄与率が大きい(即ち、睡眠質に与える影響が大きい)ことを示している。また、
図7に示す棒グラフは、右側に延びるほど睡眠質に良い影響を与えており、左側に延びるほど睡眠質に悪い影響を与えていることを示している。具体的には、
図7に示す棒グラフは、入浴が睡眠質に最も大きな良い影響を与えていることを示しており、飲酒が睡眠質に最も大きな悪い影響を与えていることを示している。
【0065】
アドバイス生成部150は、寄与率の大きな項目について優先的に文字や音声でアドバイスを生成する。具体的には、アドバイス生成部150は、生活行動データの各項目のうち最も睡眠質に良い影響を与える項目、最も睡眠質に悪い影響を与える項目、又は寄与率の大きな順に並べたときに上位の複数の項目についてアドバイスを生成する。
図7に示す生活行動用アドバイスにおいては、文字や音声で「あなたは入浴するとよく眠れています」、「お酒は睡眠に悪影響を与えています」等のアドバイスを生成する。
【0066】
アドバイス生成部150で生成された睡眠アドバイスは、アドバイス提供装置40によって対象者に提供される。アドバイス提供装置40がスマートフォンやタブレット端末である場合には、当該アドバイス提供装置40に
図6に示す睡眠環境用アドバイス及び
図7に示す生活行動用アドバイスが表示される。また、
図6に示す睡眠環境用アドバイスにおいては、寄与率を表す円グラフの「室温」が占める領域をタップすると、室温と睡眠質との関連性を表す折れ線グラフが表示される。
【0067】
これにより、対象者は、睡眠環境データ及び生活行動データのどの項目が睡眠質に大きな影響を与えているかを知ることができる。また、対象者は、室温等の睡眠環境データの項目については、睡眠質に最も良い影響を与えるときの値(最適値)を知ることができる。
【0068】
ステップS140において、睡眠環境制御装置50は、アドバイス生成部150で生成された睡眠アドバイスの内容に沿って、当該睡眠アドバイスの内容に沿って、室温、湿度、照度等の睡眠環境を制御する。睡眠環境制御装置50は、所定時刻に又は睡眠アドバイスが提供されてから所定の時間経過後に自動で睡眠環境を制御してもよく、或いは対象者が操作することにより睡眠環境を制御してもよい。睡眠環境制御装置50は、例えば、26℃になるように室温を制御する。
【0069】
このように、本実施形態に係る睡眠アドバイスシステム1においては、対象者ごとに睡眠環境や生活行動が睡眠質に実際にどのような影響を与えるかを分析し、その分析結果に基づいて対象者へ睡眠アドバイスを提供する。睡眠環境や生活行動が睡眠質に与える影響は対象者それぞれで異なるが、本実施形態に係る睡眠アドバイスシステム1は前述の如く構成されているため、対象者に適した効果的な睡眠アドバイスを当該対象者へ提供することができる。
【0070】
また、本実施形態に係る睡眠アドバイスシステム1においては、睡眠質に対する寄与率が大きい項目についてアドバイスを行う。よって、対象者は、睡眠に関して特に気をつけるべき点を把握することができ、ひいては睡眠質の向上を促進することができる。
【0071】
以上の如く、本実施形態に係る睡眠アドバイスシステム1は、対象者の睡眠の質に関する睡眠質データを取得する睡眠質データ取得装置30(睡眠質データ取得部)と、前記対象者の睡眠の質への影響因子に関する影響因子データを取得する睡眠環境データ取得装置10及び生活行動データ取得装置20(影響因子データ取得部)と、睡眠質データ取得装置30で取得された前記睡眠質データ及び前記睡眠環境データ取得装置10及び生活行動データ取得装置20で取得された前記影響因子データを分析することにより、前記影響因子データの各項目と前記睡眠質データとの関連性に関する関連性データを作成すると共に前記睡眠質データに対する前記影響因子データの各項目の寄与率を算出する分析部140と、前記関連性データ及び前記寄与率に基づいて前記対象者の睡眠の質を向上させるためのアドバイスを生成するアドバイス生成部150と、前記アドバイス生成部150で生成された前記アドバイスを前記対象者へ提供するアドバイス提供装置40と、を具備するものである。
このように構成することにより、対象者に適した効果的な睡眠に関するアドバイスを提供することができる。
【0072】
また、前記分析部140は、前記睡眠環境データ取得装置10及び生活行動データ取得装置20で取得された前記影響因子データの各項目を正規化し、正規化された前記影響因子データの各項目の値を用いて前記睡眠質データを重回帰分析することにより、前記寄与率を算出するものである。
このように構成することにより、より的確なアドバイスを提供することができる。
【0073】
また、前記アドバイス生成部150は、前記寄与率のより大きい前記影響因子データの項目について優先的に前記アドバイスを生成するものである。
このように構成することにより、より効果的なアドバイスを提供することができる。
【0074】
また、前記影響因子データは、前記対象者の睡眠環境に関する睡眠環境データを含むものである。
このように構成することにより、睡眠環境に関するアドバイス(睡眠環境用アドバイス)を提供することができる。
【0075】
また、前記アドバイス生成部150は、前記睡眠質データが最も優れているときの前記睡眠環境データの値について前記アドバイスを生成するものである。
このように構成することにより、睡眠質データに対する睡眠環境データの最適値を提供することができる。
【0076】
また、前記影響因子データは、前記対象者の生活行動に関する生活行動データを含むものである。
このように構成することにより、生活行動に関するアドバイス(生活行動用アドバイス)を提供することができる。
【0077】
また、本実施形態に係る睡眠アドバイスシステム1は、前記アドバイスに沿って睡眠環境を制御する睡眠環境制御装置50(睡眠環境制御部)を具備するものである。
このように構成することにより、アドバイスの実行を補助及び促進することができる。
【0078】
なお、本実施形態に係る睡眠環境データ及び生活行動データは、本発明に係る影響因子データの一形態である。
また、本実施形態に係る睡眠環境データ取得装置10及び生活行動データ取得装置20は、本発明に係る影響因子データ取得部の一形態である。
【0079】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0080】
例えば、本実施形態においては、睡眠アドバイスの提供のために影響因子データとして睡眠環境データと生活行動データの両方を用いるものとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、睡眠環境データと生活行動データのいずれか一方を用いるものであってもよい。
【0081】
また、本実施形態においては、睡眠アドバイスの提供のために睡眠質データとして客観睡眠質データと主観睡眠質データの両方を用いるものとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、客観睡眠質データと主観睡眠質データいずれか一方を用いるものであってもよい。
【0082】
また、
図2に示すデータの蓄積、及び
図3及び
図4に示す睡眠アドバイスの提供に係る制御において、睡眠環境データ、生活行動データ及び睡眠質データの項目は一例であって、これらに限定されるものではない。
【0083】
また、睡眠環境データ、生活行動データ及び睡眠質データの取得手段は、限定されるものではなく、あらゆる手段を採用することができる。
【0084】
また、本実施形態に係る睡眠アドバイスシステム1は、睡眠環境制御装置50を具備するものとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、睡眠環境制御装置50を必ずしも具備する必要はない。
【0085】
次に、
図8を用いて、本発明の第二実施形態に係る睡眠アドバイスシステム1の構成の概要について説明する。
【0086】
図8に示す第二実施形態に係る睡眠アドバイスシステム2の構成が、第一実施形態に係る睡眠アドバイスシステム1の構成(
図1参照)と異なる点は、入力装置60をさらに具備する点である。よって以下では、睡眠アドバイスシステム2の構成のうち第一実施形態に係る睡眠アドバイスシステム1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0087】
図8に示す入力装置60は、対象者が睡眠に関する希望条件を入力するためのものである。入力装置60としては、例えば携帯電話、スマートフォン、ウェアラブル端末が用いられる。入力装置60は、アドバイス提供装置40と一体的に構成されるものであってもよい。つまり、1つの装置(端末)で、睡眠アドバイスの受け取りと、希望条件の入力とを行うようにすることができる。
【0088】
以下、
図9及び
図10を参照して、第二実施形態に係る睡眠アドバイスシステム2の制御について説明する。
図9に示す第二実施形態に係る睡眠アドバイスシステム2における制御の流れが、第一実施形態に係る睡眠アドバイスシステム1における制御の流れ(
図3参照)と異なる主な点は、ステップS110とステップS120との間にステップS112及びステップS114の処理を行う点である。よって、以下では、主にステップS112及びステップS114について説明する。
【0089】
ステップS110においてデータテーブルを作成後、ステップS112において、対象者の睡眠に関する希望条件が、当該対象者によって入力装置60に入力される。具体的には、対象者は、どのような環境で睡眠を取りたいか(希望する睡眠環境)について条件を入力装置60に入力する。例えば、対象者は、室温を25.5〜26.5℃にしたい、就寝時刻を1:00以降にしたい等の希望条件を入力装置60に入力する。第二実施形態においては、対象者により、室温を25.5〜26.5℃にしたいとの希望条件が入力装置60に入力されたとする。なお、対象者は、お酒を呑んだ日に睡眠質を良くしたい等の生活行動に関する希望条件を入力装置60に入力することもできる。
【0090】
ステップS114において、分析部140は、データテーブルから入力された条件に合致するデータを抽出する。具体的には、分析部140は、
図10に示すデータテーブルの過去のデータの中から、室温が25.5〜26.5℃である9月1日及び9月4日のデータを抽出する。
【0091】
ステップS120において、分析部140は、抽出したデータ(
図10において下側のデータテーブル)に基づいてステップS121からステップS123までの処理(
図5参照)を行うことで、睡眠環境データ及び生活行動データの各項目(室温以外の項目)と睡眠質データとの関連性(前記各項目がそれぞれ睡眠質データに与える影響)に関する関連性データを作成すると共に、睡眠質データに対する睡眠環境データ及び生活行動データの各項目の寄与率(睡眠質データに与える影響の度合い)を算出する。
【0092】
その後は第一実施形態と同様に、ステップS130において睡眠アドバイスを作成及び提供(表示)し、ステップS140において睡眠環境を制御する。
【0093】
このように、第二実施形態に係る睡眠アドバイスシステム2においては、睡眠環境や生活行動について条件を限定したときの睡眠アドバイスを対象者に提供する。したがって、その日の対象者の睡眠環境や生活行動に合う睡眠アドバイスを提供することができる。
【0094】
以上の如く、第二実施形態に係る睡眠アドバイスシステム2においては、前記分析部140は、前記影響因子データの各項目に対する前記対象者の希望条件に合致するときの前記睡眠質データ及び前記影響因子データを抽出して、抽出した前記睡眠質データ及び前記影響因子データに基づいて前記関連性データを作成すると共に前記寄与率を算出するものである。
このように構成することにより、対象者の希望条件に合ったアドバイスを提供することができる。
【0095】
以下、
図11及び
図12を参照して、第三実施形態に係る睡眠アドバイスシステム3の制御について説明する。なお、睡眠アドバイスシステム3の構成は、第二実施形態に係る睡眠アドバイスシステム2の構成(
図8参照)と同じである。
図11に示す第三実施形態に係る睡眠アドバイスシステム2における制御の流れが、第一実施形態に係る睡眠アドバイスシステム1における制御の流れ(
図3参照)と異なる主な点は、ステップS110とステップS120との間にステップS116及びステップS118の処理を行う点である。よって、以下では、主にステップS116及びステップS118について説明する。
【0096】
ステップS110においてデータテーブルを作成後、ステップS116において、対象者により、入力装置60に、改善したい睡眠質の項目(改善期待条件)が入力される。例えば、対象者は、寝つき時間を短くしたい、目覚めを良くしたい等の改善期待条件を入力装置60に入力する。第三実施形態においては、対象者により、寝つき時間を短くしたいとの改善期待条件を入力装置60に入力されたとする。
【0097】
ステップS118において、分析部140は、データテーブルから入力された改善期待条件に合致するデータを抽出する。具体的には、分析部140は、
図12に示すデータテーブルの過去の睡眠質データの中から、寝つき時間のデータを抽出する。
【0098】
ステップS120において、分析部140は、抽出したデータ(
図12において下側のデータテーブル)に基づいてステップS121からステップS123までの処理(
図5参照)を行うことで、睡眠環境データ及び生活行動データの各項目と寝つき時間との関連性(前記各項目がそれぞれ寝つき時間に与える影響)に関する関連性データを作成すると共に、寝つき時間に対する睡眠環境データ及び生活行動データの各項目の寄与率(寝つき時間に与える影響の度合い)を算出する。
【0099】
その後は第一実施形態と同様に、ステップS130において睡眠アドバイスを作成及び提供(表示)し、ステップS140において睡眠環境を制御する。
【0100】
このように、第三実施形態に係る睡眠アドバイスシステム3においては、睡眠質の項目のうち特定の項目(第三実施形態においては、寝つき時間)に限定したときの睡眠アドバイスを対象者に提供する。したがって、対象者が改善したい内容について睡眠アドバイスを提供することができる。なお、前記特定の項目は、複数の項目であってもよい。
【0101】
以上の如く、第三実施形態に係る睡眠アドバイスシステム3においては、前記分析部140は、前記睡眠質データの特定の項目及び前記影響因子データに基づいて前記関連性データを作成すると共に前記寄与率を算出するものである。
このように構成することにより、睡眠質データの特定の項目についてのアドバイスを提供することができる。