特許第6564316号(P6564316)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6564316
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】トランプカード
(51)【国際特許分類】
   A63F 1/02 20060101AFI20190808BHJP
【FI】
   A63F1/02 B
【請求項の数】1
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-239772(P2015-239772)
(22)【出願日】2015年12月8日
(65)【公開番号】特開2017-104245(P2017-104245A)
(43)【公開日】2017年6月15日
【審査請求日】2018年2月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】513200483
【氏名又は名称】公益財団法人 日本発明振興協会
(74)【代理人】
【識別番号】100100918
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 公治
(72)【発明者】
【氏名】柴田 治呂
【審査官】 櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−033401(JP,A)
【文献】 実開昭63−154073(JP,U)
【文献】 米国特許第8721414(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F1/00〜1/18
G09B1/00〜9/56、17/00〜19/26
B42D1/00〜19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊びながら電気の基礎知識を学習するためのトランプカードであって、
前記トランプカードは、左サイド及び右サイドに、スーツのマークと該トランプカードのランクを表す数字又は記号とを組み合わせたインデックスが表示されたフェイス面と、各トランプカードに同一模様が表示されたバック面とを有し、
前記フェイス面には、前記インデックスのスーツのマークとして、電流の計量単位であるアンペアの単位記号A電圧の計量単位であるボルトの単位記号V電力の計量単位であるワットの単位記号W及び、電気抵抗の計量単位であるオームの単位記号Ωのいずれかが表示され、
前記インデックスのスーツのマークが同一である複数の前記トランプカードの枚数は、どのスーツでも同じであり、
前記スーツのマークが同一である複数のトランプカードの前記インデックスには、互いに異なる前記ランクが表示されており、
前記ランクは、計量単位令で定められた10の整数乗倍を表す接頭語の異なる値の前記接頭語に対応している複数のランクと、前記接頭語に対応していない一つのランクとから成り、
前記トランプカードのフェイス面には、
前記インデックスのランクが前記接頭語に対応するトランプカードでは、前記インデックスのスーツのマークが表す計量単位に該インデックスのランクに対応する前記接頭語が付された接頭語付き計量単位に関連する情報が表示され、
前記インデックスのランクが前記接頭語に対応していないトランプカードでは、前記インデックスのスーツのマークが表す計量単位であって、前記接頭語が付されていない計量単位に関連する情報が表示されている、
トランプカード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊びながら電気の基本法則が学習できるトランプカードに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なトランプカードは、良く知られているように、スペード、ハート、クラブ及びダイヤの4種類のスーツ(組)から成り、各スーツは13枚の札で構成されている。
スーツが表示されたトランプカードの表面はフェイスと呼ばれ、同一模様が表示されたカードの裏面はバックと呼ばれる。また、カードの長辺側はサイド(左サイド、右サイド)と呼ばれ、短辺側はエンド(前エンド、後エンド)と呼ばれる。
通常のトランプカードには、フェイスの左サイドの上方及び右サイドの下方に、各カードのスーツのマークと、そのカードのランクを表す数字(2〜10)又は記号(A、J、Q,K)とを組合わせたインデックスが表示され、フェイスの中央部分に、ランクが1〜10のカードでは、ランクの数のスーツの図形が表示され、また、ランクが11、12、13のカードでは、王子、王妃、王様の図形がそれぞれ表示されている。この11、12、13のカードは絵札と呼ばれる。
【0003】
本発明者は、これまで、遊びながら科学技術を学ぶトランプとして、生物分野のDNAの学習ができるトランプを下記特許文献1で、また、化学分野の元素周期律の学習ができるトランプを下記特許文献2で提案している。
こうしたトランプを通じて子供から大人までがカードゲームを楽しみながら科学の基礎知識を吸収し、それにより国民全般の科学技術マインドが高まることを期待している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−033401号公報
【特許文献2】特願2014−209463
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
遊びながらの学習を目的とするゲーム用カードは、特許文献1、2記載のトランプを始めとして、種々制作されているが、物理分野の電気を対象として、その知識を遊びながら吸収できるようにするゲーム用カードは見当たらない。
【0006】
我が国の計量単位令では、電気に関係する計量単位について、電流の計量単位をアンペア(単位記号A)、電圧の計量単位をボルト(同V)、電気抵抗の計量単位をオーム(同Ω)、電力の計量単位をワット(同W)と定めている。
また、計量単位令では、これらの計量単位の直前に接頭語(接頭辞)の記号を付して、その接頭語に応じた乗数を乗じた計量単位とすることが規定されている。
日常目にする接頭語と、接頭語の記号と、接頭語が表す乗数とを以下に示す。
(接頭語) (記号) (接頭語が表す乗数)
ピコ p 10-12
ナノ n 10-9
マイクロ μ 10-6
ミリ m 10-3
センチ c 10-2
デシ d 10-1
デカ da 101
ヘクト h 102
キロ k 103
メガ M 106
ギガ G 109
テラ T 1012
【0007】
電気の基本法則であるオームの法則は、電流(A)、電圧(V)及び抵抗(Ω)の間に次の関係があることを示している。
電圧(V)=電流(A)×抵抗(Ω)
また、電力(W)、電流(A)及び電圧(V)の間には次の関係があることが知られている。
電力(W)=電流(A)×電圧(V)
【0008】
本発明は、遊びながら電気の基本を学習できるトランプカードを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、遊びながら電気の基礎知識を学習するためのトランプカードであって、このトランプカードは、左サイド及び右サイドに、スーツのマークと該トランプカードのランクを表す数字又は記号とを組み合わせたインデックスが表示されたフェイス面と、各トランプカードに同一模様が表示されたバック面とを有し、フェイス面には、インデックスのスーツのマークとして、電流の計量単位であるアンペアの単位記号A電圧の計量単位であるボルトの単位記号V電力の計量単位であるワットの単位記号W及び、電気抵抗の計量単位であるオームの単位記号Ωのいずれかが表示され、インデックスのスーツのマークが同一である複数のトランプカードの枚数は、どのスーツでも同じであり、スーツのマークが同一である複数のトランプカードのインデックスには、互いに異なるランクが表示されており、このランクは、計量単位令で定められた10の整数乗倍を表す接頭語の異なる値の接頭語に対応している複数のランクと、前記接頭語に対応していない一つのランクとから成り、トランプカードのフェイス面には、インデックスのランクが前記接頭語に対応するトランプカードでは、インデックスのスーツのマークが表す計量単位に該インデックスのランクに対応する接頭語が付された接頭語付き計量単位に関連する情報が表示され、インデックスのランクが前記接頭語に対応していないトランプカードでは、インデックスのスーツのマークが表す計量単位であって、接頭語が付されていない計量単位に関連する情報が表示されている
このトランプカードは、スーツが4種類であり、通常のトランプで馴染んでいるゲームを行うこともできる。
ゲーム参加者は、カードに記載された情報を見ることで、遊びながら電気の基本を学ぶことができる。
【0010】
また、本発明のトランプカードでは、スーツを表すマーク、スペードのマークと文字Aとを組み合わせた図形とダイヤのマークと文字Vとを組み合わせた図形とハートのマークと文字Wとを組み合わせた図形とクラブのマークと文字Ωとを組み合わせた図形とすることが好ましい。
スペードとA、ダイヤとV、ハートとW、及び、クラブとΩは、それぞれ形状に類似性があるため、組み合わせても違和感がない。
【0012】
また、本発明のトランプカードでは、インデックスに同一のスーツのマークを表示したカードが13枚有り、ランクを表す記号がAのカードのフェイスには、接頭語のピコを表す表示と、このカードのスーツの計量単位に10-12を乗じた計量単位に関連する情報とが記載され、ランクを表す数字が2のカードのフェイスには、接頭語のナノを表す表示と、このカードのスーツの計量単位に10-9を乗じた計量単位に関連する情報とが記載され、ランクを表す数字が3のカードのフェイスには、接頭語のマイクロを表す表示と、このカードのスーツの計量単位に10-6を乗じた計量単位に関連する情報とが記載され、ランクを表す数字が4のカードのフェイスには、接頭語のミリを表す表示と、このカードのスーツの計量単位に10-3を乗じた計量単位に関連する情報とが記載され、ランクを表す数字が5のカードのフェイスには、接頭語のセンチを表す表示と、このカードのスーツの計量単位に10-2を乗じた計量単位に関連する情報とが記載され、ランクを表す数字が6のカードのフェイスには、接頭語のデシを表す表示と、このカードのスーツの計量単位に10-1を乗じた計量単位に関連する情報とが記載され、ランクを表す数字が7のカードのフェイスには、100を表す表示と、このカードのスーツの計量単位に関連する情報とが記載され、ランクを表す数字が8のカードのフェイスには、接頭語のデカを表す表示と、このカードのスーツの計量単位に10を乗じた計量単位に関連する情報とが記載され、ランクを表す数字が9のカードのフェイスには、接頭語のヘクトを表す表示と、このカードのスーツの計量単位に102を乗じた計量単位に関連する情報とが記載され、ランクを表す数字が10のカードのフェイスには、接頭語のキロを表す表示と、このカードのスーツの計量単位に103を乗じた計量単位に関連する情報とが記載され、ランクを表す記号がJのカードのフェイスには、接頭語のメガを表す表示と、このカードのスーツの計量単位に106を乗じた計量単位に関連する情報とが記載され、ランクを表す記号がQのカードのフェイスには、接頭語のギガを表す表示と、このカードのスーツの計量単位に109を乗じた計量単位に関連する情報とが記載され、ランクを表す記号がKのカードのフェイスには、接頭語のテラを表す表示と、このカードのスーツの計量単位に1012を乗じた計量単位に関連する情報とが記載されている。
このトランプカードは、スーツが4種類で各スーツが13枚の札で構成されるため、通常のトランプと同様のゲームで遊ぶこともできる。
【0013】
また、本発明のトランプカードでは、カードのフェイスに、ランクに応じて設定された計量単位の接頭語を表す表示記載しても良い
【0014】
また、本発明のトランプカードでは、インデックスに同一のスーツのマークが表示されるカードを奇数枚で構成し、ランク順の中央位置のカードより低いランクのカードには、ランクが下がる程、接頭語の表す乗数が小さくなる計量単位の接頭語を表示し、中央位置のカードより高いランクのカードには、ランクが上がる程、接頭語の表す乗数が大きくなる計量単位の接頭語を表示し、中央位置のカードとのランク差が等しい低いランクのカード及び高いランクのカードのそれぞれに表示された接頭語が表す乗数を掛け合わせると1になるように設定することが望ましい。
ゲーム参加者は、遊びながら単位の接頭語の関係を学ぶことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のトランプカードは、電気の基本法則を採り入れたゲームや、馴染みのある通常のトランプのゲームを行うことが可能であり、子供から大人までが、こうした遊びを通じて電気の基礎知識を吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係るトランプカードのスーツを示す図
図2】スーツAのランク4のカード(a)、スーツVのランク8のカード(b)を示す図
図3】スーツWのランク10のカード(a)、スーツΩのランク12のカード(b)を示す図
図4】スーツAのランクが1〜8のカードを示す図
図5】スーツAのランクが9〜13のカードを示す図
図6】スーツVのランクが1〜8のカードを示す図
図7】スーツVのランクが9〜13のカードを示す図
図8】スーツWのランクが1〜8のカードを示す図
図9】スーツWのランクが9〜13のカードを示す図
図10】スーツΩのランクが1〜8のカードを示す図
図11】スーツΩのランクが9〜13のカードを示す図
図12】ジョーカーを示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係るトランプカードのスーツを示している。スーツは、スペードのマークの中に電流の計量単位の単位記号Aを配置したもの(a)と、ダイヤのマークの中に電圧の計量単位の単位記号Vを配置したもの(b)と、ハートのマークの中に電力の計量単位の単位記号Wを配置したもの(c)と、クラブのマークの中に電気抵抗の計量単位の単位記号Ωを配置したもの(d)との4種類から成る。
ここでは、図1(a)をスーツA、図1(b)をスーツV、図1(c)をスーツW、図1(d)をスーツΩと呼ぶことにする。
【0018】
また、図2(a)は、スーツAのランク4のカードのフェイスを示している。左サイドの上方及び右サイドの下方にはスーツAとランク4とを組合わせたインデックス10が表示されている。フェイスの下方には、ランク4に対して設定された接頭語(ミリ(m))と、その接頭語が表す乗数(10-3)との表示11があり、フェイスの中央部分には、スーツAが表す計量単位Aに接頭語を付したmAに関する情報が次のように表示されている。
「フォトトランジスタ
フォトトランジスタに光を当てると電流が発生する。脈拍計は腕や指に当てた光が血液に吸収される割合の変化を電流で検出するが、光により数mAの出力が得られる。」
【0019】
また、図2(b)は、インデックスがスーツVとランク8との組合わせから成るカードのフェイスを示している。このカードの下方には、ランク8に対して設定された接頭語(デカ(da))と、その接頭語が表す乗数(101)とが表示され、フェイスの中央部分には、スーツVが表す計量単位Vに接頭語を付したdaVに関する情報が次のように表示されている。
「自動車用鉛電池
自動車用の鉛電池は、正極に二酸化鉛、負極に鉛、電解液に希硫酸を使い2Vの起電力が得られる。6個直列につなぎ12Vとしてスターター、ライト、イグニッション等に使用する。」
【0020】
また、図3(a)は、インデックスがスーツWとランク10との組合わせから成るカードのフェイスを示している。このカードの下方には、ランク10に対して設定された接頭語(キロ(k))と、その接頭語が表す乗数(103)とが表示され、フェイスの中央部分には、スーツWが表す計量単位Wに接頭語を付したkWに関する情報が次のように表示されている。
「電子レンジ
電子レンジはマイクロ波によって水分子を回転、振動させ、対象を直接加熱する。家庭用の消費電力は0.5〜0.6kWで、業務用は3kW程度。」
【0021】
また、図3(b)は、インデックスがスーツΩとランク12の記号Qとの組合わせから成るカードのフェイスを示している。このカードの下方には、ランク12に対して設定された接頭語(ギガ(G))と、その接頭語が表す乗数(109)とが表示され、フェイスの中央部分には、スーツΩが表す計量単位Ωに接頭語を付したGΩに関する情報が次のように表示されている。
「リン
マッチに使われるリンは生物にとっても必須元素で抵抗率は1GΩm。価電子を5個持っているので、4価のシリコンに加えると電子が1個余り、N型の半導体になり、広く使われている。」
【0022】
各スーツのカードは、ランク1からランク13までの13枚で構成され、各ランクに対応する接頭語は次のように設定されている。
ランク1(記号A) ピコ(p) (接頭語が表す乗数:10-12
ランク2 ナノ(n) (接頭語が表す乗数:10-9
ランク3 マイクロ(μ) (接頭語が表す乗数:10-6
ランク4 ミリ(m) (接頭語が表す乗数:10-3
ランク5 センチ(c) (接頭語が表す乗数:10-2
ランク6 デシ(d) (接頭語が表す乗数:10-1

ランク8 デカ(da) (接頭語が表す乗数:101
ランク9 ヘクト(h) (接頭語が表す乗数:102
ランク10 キロ(k) (接頭語が表す乗数:103
ランク11(記号J) メガ(M) (接頭語が表す乗数:106
ランク12(記号Q) ギガ(G) (接頭語が表す乗数:109
ランク13(記号K) テラ(T) (接頭語が表す乗数:1012
なお、ランク順位の中央に位置するランク7には接頭語を設定せずに、乗数として100(=1)を設定している。
【0023】
ここでは、ランク7より低いランク(1〜6)に対して、ランクが下がる程、接頭語の表す乗数が小さい計量単位の接頭語を設定し、ランク7より高いランク(8〜13)に対して、ランクが上がる程、接頭語の表す乗数が大きい計量単位の接頭語を設定している。また、ランク7とのランク差が等しい低いランク及び高いランク(例えば、ランク7とのランク差が3のランク4及びランク10)には、それらに設定した接頭語が表す乗数(10-3と103)を掛け合わせると1になるように、各ランクの接頭語を設定している。
【0024】
カードのフェイスの中央部分には、そのカードのスーツが表す計量単位に対して、そのカードの接頭語を付した計量単位に関する情報が表示されている。例えば、ランクが4のカードの場合、スーツAのカードではmAに関する情報が表示され、スーツVのカードではmVに関する情報が表示され、スーツWのカードではmWに関する情報が表示され、スーツΩのカードではmΩに関する情報が表示される。
なお、ランクが7のカードには、スーツAのカードに計量単位Aに関する情報が、スーツVのカードに計量単位Vに関する情報が、スーツWのカードに計量単位Wに関する情報が、また、スーツΩのカードに計量単位Ωに関する情報が、それぞれ表示される。
【0025】
図4には、スーツAのランク1から8までのカードを示し、図5には、スーツAのランク9から13までのカードを示している。
図6には、スーツVのランク1から8までのカードを示し、図7には、スーツVのランク9から13までのカードを示している。
図8には、スーツWのランク1から8までのカードを示し、図9には、スーツWのランク9から13までのカードを示している。
また、図10には、スーツΩのランク1から8までのカードを示し、図11には、スーツΩのランク9から13までのカードを示している。また、図12にはジョーカーを示している。
【0026】
このトランプカードは、スーツの種類が4種類で各スーツを付したカードの枚数が13枚であり、通常のトランプと変わりがない。そのため、通常のトランプと同様のゲームが可能である。
また、このトランプカードは、電気の基本法則を採り入れた次のようなゲームで楽しむこともできる。
【0027】
(遊び方1)
普通のトランプの大富豪のルールと基本的に同じである。
(1)カードを参加者全員に均等に配り、親が手札から選んだ1枚を場に出す。
(2)親の隣の参加者から順に、場に出された最新のカードよりも強いカードを手札から選んで場に出し、或いはパスを選択する。パスは何回でもできる。戦略的にパスしてもよい。
(3)全員がパスした場合は、最後にカードを出した人が次の親となり、場にあるカードを流して手札から選んだ1枚を場に出し、(2)に移行する。
こうして、手札を使い切ると上がりとなる。早く上がった人の順に高い順位が付く。
カードの強さは、通常の大富豪と異なり、カードのランク順に次のように設定する。ジョーカーは最強とする。
ジョーカー>K>Q>・・・>4>3>2>A
【0028】
また、オームの法則に則り、スーツV及びスーツΩの二枚は、(スーツVのランク/スーツΩのランク)の値にランクが等しいスーツAのカードとして場に出すことができる。例えば、場のカードのランクが3のとき、「12ボルト÷3オーム、4アンペア」のように、数字と単位を読み上げながら二枚のカードを場に出す。
同様に、スーツV及びスーツAの二枚を、(スーツVのランク/スーツAのランク)の値にランクが等しいスーツΩのカードとして場に出すことができる。例えば、場のカードのランクが3のとき、「12ボルト÷3アンペア、4オーム」のように、数字と単位を読み上げながら二枚のカードを場に出す。
また、スーツA及びスーツΩの二枚を、(スーツAのランク×スーツΩのランク)の値にランクが等しいスーツVのカードとして場に出すことができる。例えば、場のカードのランクが13のとき、「4アンペア×5オーム、20ボルト」のように、数字と単位を読み上げながら二枚のカードを場に出す。
また、電力の公式に則り、スーツV及びスーツAの二枚を、(スーツVのランク×スーツAのランク)の値にランクが等しいスーツWのカードとして場に出すことができる。例えば、場のカードのランクが13のとき、「12ボルト×3アンペア、36ワット」のように、数字と単位を読み上げながら二枚のカードを場に出す。
最初の親はじゃんけんで決める。
親が最初に場に出すカードは1枚に限られる。
2枚のカードを最後に出して上がることはできない。
参加者が最強カードのジョーカーを場に出すと、その参加者が次の親になり、場にあるカードを流して手札から選んだ1枚を場に出す。
また、参加者の慣れに応じてローカルルールを適宜設定し、ゲームを楽しむこともできる。
【0029】
(遊び方2)
オームの法則(V=A×Ω)や電力の式(W=V×A)を満たすカードの組合せを集めることを競う。ジョーカーは使用しない。
(1)各自に4枚のカードを配り、場に3枚のカードを置き、残りのカードは積札とする。
(2)最初のプレーヤは手札4枚と場札3枚を組み合せて、次の(数1)又は(数2)の関係を満たす3枚のカードの組合せを見つける。
(数1) (スーツVのレベル)=(スーツAのレベル)×(スーツΩのレベル)
(数2) (スーツWのレベル)=(スーツVのレベル)×(スーツAのレベル)
このとき、(数1)の「(スーツAのレベル)×(スーツΩのレベル)」の値、及び、(数2)の「(スーツVのレベル)×(スーツAのレベル)」の値は、その積が13を超える二ケタの数値であるとき、十の位の数字で表される値と見做し、また、その積が140未満の3ケタの数値であるとき、百の位の数字と十の位の数字で表される2ケタの値と見做すこととする。その積が140以上のときは無効とする。
(数1)又は(数2)の関係を満たす3枚のカードの組合せが一組または二組見つかった場合、見つけた組合せの全てを取札として自分の前に置き、場札が3枚になるように、また手札が4枚になるよう積札から補充する。そして、プレーの権利が隣の人に移る。
【0030】
(3)組み合わせが出来ない場合は、場札と手札の1枚を交換するか、パスをする。パスは何回もできる。そして、プレーの権利が隣の人に移る。
(4)プレーの権利を得たプレーヤは同様のプレーを行うが、全員がパスをした場合は、最初にパスをした人が場札を流し、積札から3枚場に置き(2)の手順を行う。
(5)積札がなくなれば、ゲームは終了とする。
(6)取札の多い順で、勝ちの順を決める。
このように、このトランプカードは、種々の遊び方が可能である。
【0031】
また、神経衰弱と同様に、7を除くカードの全てを裏向きに場に並べて、プレーヤが二枚のカードをめくり、めくったカードに記載された接頭語の表す乗数を掛け合わせた値が1になるときは、その二枚をプレーヤの取り分として更に二枚のカードをめくることを続け、掛け合わせた値が1にならないときは、めくったカードを裏向きにして次のプレーヤに移る遊びも可能である。取り分の多い人が勝ちになる。
【0032】
なお、ここでは、スペードのマークの中に電流の計量単位の単位記号Aを配置したものをスーツAとし、ダイヤのマークの中に電圧の計量単位の単位記号Vを配置したものをスーツVとし、ハートのマークの中に電力の計量単位の単位記号Wを配置したものをスーツWとし、また、クラブのマークの中に電気抵抗の計量単位の単位記号Ωを配置したものをスーツΩとした。スペードとA、ダイヤとV、ハートとW、クラブとΩ、は、それぞれ形状に類似性があるため、組み合わせても違和感を生じないが、本発明で用いるスーツは、それに限るものではない。
また、ここでは、カードのランクを1〜13としたが、本発明は、それだけに限定されない。
また、計量単位の接頭語には、ここで示したもの以外に、ヨタ(1024)、ゼタ(1021)、エクサ(1018)、ぺタ(1015)、フェムト(10-15)、アト(10-18)、ゼプト(10-21)、ヨクト(10-24)等が存在しており、計量単位によっては、これらを使う方が良い場合もある。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明のトランプカードは、子供から大人までがゲームを楽しみながら電気の基礎知識を学ぶために使用することが可能であり、国民全般の科学技術マインドを高めるために広く用いることができる。
【符号の説明】
【0034】
10 インデックス
11 接頭語とそれが表す乗数
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12