【実施例1】
【0010】
以下に、実施例1に係る電力変換装置について、
図1〜
図3を用いて説明する。なお、
図1は、電力変換装置の内部構成を示すため、本体ケース3及び本体カバー4の一部を省略して示している。
【0011】
図1及び
図2に示すように、電力変換装置は、入力された交流電力を直流電力に変換し、及び直流電力を交流電力に変換する半導体9と、半導体9の熱を放熱する冷却フィン8と、冷却フィン8を収容する本体ケース3と、を有している。
【0012】
本体ケース3は、半導体9が挿入される貫通孔3bが形成された前面板3aと、前面板3aの両側端部からそれぞれ後方に延設された側板3cと、前面板3aの上端部から後方に延設された上面板3dと、を有している。前面板3aと対向する側は開口部3eとなっている。
【0013】
冷却フィン8は、フィンベース11と、フィンベース11から立設した複数の冷却フィンブレード12を有しており、その全体が、本体ケース3の前面板3a、側板3c、上面板3dで囲まれた空間に収容されている。本体ケース3としては、例えば金属材料や樹脂材料により形成したものを用いることができる。本体ケース3を、例えばアルミダイキャスト等の金属材料により形成することで、本体ケース3自体の強度を十分に確保でき、後述する裏板1が取り外された状態でも、本体ケース3単独で冷却フィン8を保持できるため好ましい。
【0014】
半導体9は、冷却フィン8の有するフィンベース11の表面に例えばネジにより取り付けられており、本体ケース3の前面板3aに形成された貫通孔3bに挿入されている。半導体9を駆動する主回路基板10は、本体ケース3の前面板3aに隣設されている。主回路基板10には、半導体9の冷却フィンベース11への取付け面と反対側の面が半田接続されている。
【0015】
半導体9及び主回路基板10を保護する本体カバー4は、本体ケース3の前面板3a側に、半導体9及び主回路基板10の前面を覆うように取り付けられている。
【0016】
本体カバー4は、本体カバー4の前面板3aへの設置面と直交する面のうち、下面Bが開口されている。また、本体カバー3の前面板3aへの設置面と直交する面のうち、上面Aには、複数の開口部4aが形成されており、空気の流出入が可能に形成されている。本体カバー4には、その正面手前側に、端子台カバー5、表面カバー6、操作パネルユニット7が配置されている。
【0017】
冷却フィン8としては、例えば冷却フィンベース11に形成された複数の溝部に、平板状の冷却フィンブレード12が嵌め込まれ、かしめ固定された嵌め込み式の冷却フィンを用いることができる。また、冷却フィン8としては、押出成形により形成された押出しフィンを用いてもよい。また、冷却フィンベース11に円柱状や角柱状のピンフィンが形成された冷却フィンを用いてもよい。中でも押出しフィンは、各々のブレードの断面積が比較的大きく、裏板1への熱伝導の伝導効率が高いため、好適に用いることができる。
【0018】
本体ケース3の側板3cの端部には、開口部3eを覆うように裏板1が設置されている。裏板1は、電力変換装置の壁面取付け時における、本体ケース3の強度を向上させる機能を有するとともに、冷却フィンブレード12から伝達された熱を冷却する冷却機能を有している。
図3に示すように、裏板1には、冷媒の封入部1aとなる空間が形成されており、この空間内に冷媒が封入される。冷媒としては、例えば、水や油等の液体や、これらの液体を含浸させたシート材を用いることができる。裏板1は、封入部1aを冷却フィンブレード12の先端と接触させて設置されている。裏板1は、高い熱伝導率を得る観点から、金属製の板材を好適に用いることができる。但し、裏板1の材質は、必ずしも金属材料には限定されず、例えば樹脂材料であってもよい。
【0019】
裏板1は、本体ケース3に対して着脱自在に設置されている。具体的には、裏板1を、本体ケース3に爪止めにより装着したりねじ止めにより装着したりすることにより、冷却フィン8に対して着脱自在に設置することができる。
【0020】
本体ケース3の上面板3dには、半導体9の熱を冷却する冷却ファンユニット2が設置されている。冷却ファンユニット2は、本体ケース3に対して着脱自在に設置されている。
【0021】
図1〜
図2に示す例では、半導体9で発生した熱は、冷却フィンベース11によって四方に拡散された後、冷却フィンブレード12に伝達され、冷却フィンブレード12と接触配置されている裏板1に伝導される。裏板1に伝導された熱は、封入部1aに封入された冷媒により熱交換され、液冷される。例えば冷媒として水を用いた場合には、封入部1a内の水は、冷却フィンブレード12から裏板1に伝達された熱と熱交換して気化する。冷却フィンブレード12から裏板1への熱伝導が終了した後は、封入部1a内で気化した水蒸気が冷却されて液化し、封入部1a内に水として貯留される。
【0022】
なお、裏板1が、冷却フィンブレード12の先端から隔離して設置されている場合には、半導体9から発生した熱を裏板1により冷却する冷却効率を十分に得られない。このため、裏板1を、冷却フィンブレード12に隙間無く接触させることが好ましい。
【0023】
また、冷却フィンブレード12に伝達された熱の一部は、冷却フィン8の上方に装着された冷却ファンユニット2によって強制空冷される。このように、電力変換装置では、冷却ファンユニット2と併せて、裏板1を用いることで、半導体9の熱を冷却する冷却性能を一層向上させることができる。
【0024】
電力変換装置が、複数の定格容量に対応する機種である場合には、裏板1や冷却ファンユニット2を本体ケース3から適宜取り外し、それぞれの定格容量の発熱量に見合った冷却性能となるように適宜調整して、電力変換装置を稼働することができる。
【0025】
即ち、複数の定格容量に対応する機種では、電力変換時の電気的損失により半導体9から発生する熱の発熱量の差が、最大定格容量での稼働時と最小定格容量での稼働時とで大きいことがある。
【0026】
電力変換装置では、裏板1及び冷却ファンユニット2を、それぞれ、本体ケース3に対して着脱自在に装着しているため、冷却性能の自由度を向上させることができ、各々の定格容量の発熱量に見合った冷却性能に調整することができる。このため、例えば最大定格容量での発熱量に見合った冷却性能が確保されるようにした場合に生じる、無駄な冷却スペースや無駄な消費電力を削減した状態で、電力変換装置を稼働することができる。
【0027】
具体的には、例えば産業用インバータ等の、3つ乃至4つの定格容量に対応する機種において、最大の定格容量では、冷却ファンユニット2と裏板1の双方を装着した状態で電力変換装置を稼働することができる。この場合、半導体9からの発熱は、冷却ファンユニット2による強制空冷と裏板1による液冷の双方により冷却される。このため、半導体9からの発熱量が多い場合でも、十分に冷却することができる。また、中程度の定格容量で稼働する場合には、冷却ファンユニット2又は裏板1を、本体ケース3から外した状態で、電力変換装置を稼働することができる。
【0028】
また、最小の定格容量では、冷却ファンユニット2と裏板1の双方を本体ケース3から取り外して、電力変換装置を稼働することができる。この場合、半導体9からの発熱は、冷却フィン8による自然空冷により冷却される。このため、冷却に要する無駄なスペースや無駄な消費電力を削減した状態で、電力変換装置を稼働することができる。
【0029】
以上説明した実施例1の電力変換装置によれば、冷媒の封入部1aを有する裏板1を、半導体9から発生する熱の冷却に用いることができるため、装置全体のサイズを増大させることなく、冷却機能を向上させることができる。このため、例えば同サイズの電力変換装置において設定可能な複数の定格容量のうち、最大定格容量の仕様の装置でも、十分な冷却性能を得ることができる。
【0030】
また、裏板1は、電力変換装置に対して着脱自在とすることが可能である。このため、例えば本体ケース3に対して着脱自在に設置した裏板1の封入部1aに冷媒を封入することで、冷却性能の自由度を向上させることができ、各定格容量における発熱量に見合った、適切な冷却性能を実現することができる。
【0031】
なお、実施例1では、裏板1を、本体ケース3に対して着脱自在に設置した例を示したが、裏板1は、冷却フィンブレード12の先端に接触させた状態で、本体ケース3に固定して設置してもよい。また、実施例1では、冷却ファンユニット2を、本体ケース3に対して着脱自在に設置した例を示したが、冷却ファンユニット2は、本体ケース3に固定して設置してもよい。