(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
映像ディスプレイパネル、前記ディスプレイパネルのためのカバーガラス板及び前記カバーガラス板に光を入射するための光源を有し、前記カバーガラス板の少なくとも一部に、前記カバーガラス板の表裏両面間に前記光源からの光を散乱するために配置された少なくとも1つの多層光散乱表面素子が設けられている、ビデオディスプレイスクリーンにおいて、
前記光源から入射された光が、前記カバーガラス板の少なくとも1つの端面から放射され、且つ、前記多層光散乱表面素子が、多層の光散乱性インク層を含むことを特徴とするビデオディスプレイスクリーン。
ビデオディスプレイスクリーンのためのカバーガラス板において、前記ガラス板の少なくとも1つの境界区画に沿って光キャビティを有し、前記カバーガラス板の少なくとも一部に、前記カバーガラス板の互いに表裏をなす表面上に対向する光散乱表面素子が設けられており、前記光散乱表面素子が、ガラスフリットの拡散散乱層を含むことを特徴とするカバーガラス板。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの手法は何らかの照明を与えるが、審美的に快くはなく、購入者に現在好まれるいわゆる「一体構造」デザイン概念に合致しない。テレビジョン及びその他の情報ディスプレイのためのさらに魅力的であるかまたは有効である「ビデオオフ」照明解決策が製造業者及び消費者の関心事であろう。同様の補助ディスプレオ照明は、例えば家電製品業界で利用される情報ディスプレイにとって、商業的利点を提供できるであろう。いずれの場合にも、安価であるが有効な光源及び、審美的に快いデザインで、光源からの光入力及びユーザへの光出力を最大化するための、効率的なデザインを用いるディスプレイスクリーン照明システムが必要とされているであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示にしたがえば、より低いコスト及び改善された効率でより高いレベルの照明を提供する、ビデオオフ状態における使用のための改善されたディスプレイ照明システムを備えるディスプレイスクリーンが提供される。提供されるシステムは、カバーガラス板の前面からの広角度照明及び/またはカバーガラスの端面から拡散端面照明を与える方向に、カバーガラス板内を伝搬する光を外側に向けて散乱する、光散乱システムである。
【0007】
特定の実施形態において、ガラス板内を伝搬する光を見る人に向けて広い視野角範囲にわたり外側に散乱することができる防眩コーティングがカバーガラス板の少なくとも端面及び/または境界領域に施される。カバーガラス板上のコーティングまたは模様付表面を含む、これらのディスプレイのための現行の防眩システムは、現在用いられている光源からの光の限定された散乱しか生じさせない。さらに、有意な散乱は大視野角でしかおこらない。すなわち、ディスプレイスクリーンの面に垂直な方法に散乱される光は少ししかない。本明細書に開示される実施形態は照明光源によって放射される光の波長のオーダーの寸法の散乱サイトを有する防眩コーティングまたは表面を用い、よって広い光波長範囲にわたって広角度散乱が提供される。
【0008】
本明細書に開示されるディスプレイの別の実施形態は、ディスプレイによって与えられる照明のレベルを高めるため、高効率でカバーガラス板に光を入射するための改善されたデザインを組み込む。いくつかの実施形態において、発光ダイオード(LED)アレイのような、大開口数の大スポット径光源のアレイがカバーガラス板の背面に光を入射するために配置される。次いで、入射された光を広い角度範囲にわたって散乱及び拡散するため、カバーガラス板の互いに表裏をなす表面上でアレイに隣接して光散乱層または光反射フィルムが配置される。このようにすれば、散乱された光は、カバーガラス板の端面から放射されることができ、あるいは、見る人に向けてディスプレイから外側に光を向ける散乱サイトにガラス板内を導波され得る。
【0009】
したがって、第1の態様において、本開示は、映像ディスプレイパネル、ディスプレイパネルのためのカバーガラス板及びカバーガラス板に光を入射するための光源を有する、ビデオディスプレイスクリーンを提供する。一般に表面層または表面コーティングの形態にあるが、ガラス板内に分散された光散乱相の形態のこともある、少なくとも1つの光散乱素子がカバーガラス板の少なくとも一部に設けられる。光散乱素子は、ガラス板に入射される光源からの光の少なくとも一部を、ガラス板の端面及び/またはガラス板の前面の一部を含めることができる外側方向に散乱するように、配置される。
【0010】
別の態様において、本開示は、映像ディスプレイパネル、ディスプレイパネルのためのカバーガラス板及びカバーガラス板に光を入射するための光源を有し、映像ディスプレイパネルが表示領域を有し、カバーガラス板が表示領域に重なる表示部分を有する、ビデオディスプレイスクリーンを提供する。このディスプレイの特定の実施形態において、少なくともカバーガラス板の表示部分に、防眩層、例えばコーティングまたはガラス板の粗面化表面領域のような、光散乱素子が設けられる。粗面化表面領域がカバーガラス板の外表面に垂直な角度を含む角度範囲にわたって光を散乱するに有効な粗さを有する実施形態が含まれる。
【0011】
また別の態様において、本開示は、映像ディスプレイパネル、ディスプレイパネルのためのカバーガラス板及びカバーガラス板に光を入射するための光源を有し、少なくともカバーガラス板の光源に近い部分で、ガラス板の互いに表裏をなす表面上に、対向する光散乱バルク素子または光散乱表面素子が設けられる、ビデオディスプレイスクリーンを提供する。このディスプレイの特定の実施形態において、対向する光散乱素子はカバーガラス板の光源に近い境界の少なくとも一部の上に配された光散乱性インク層を有する。
【0012】
さらに別の態様において、本開示は、映像ディスプレイパネル、ディスプレイパネルのためのカバーガラス板、カバーガラス板に光を入射するための光源及びカバーガラス板の少なくとも一部の上の少なくとも1つの光散乱素子を有し、光散乱素子が光源からの光をカバーガラス板内に散乱するように配置された多層表面素子である、ビデオディスプレイスクリーンを提供する。特定の実施形態において、光源は大開口数LED素子のアレイであり、多層表面素子は、素子からの光をカバーガラス板内に散乱するための、支持フィルム上に配された多層インク層を含む。
【0013】
ガラス板の端面または主平表面からの制御された光放射のためにガラス板面内に導波光を効率的に伝搬させることができる光キャビティを有するカバーガラス板も開示される。
【0014】
本明細書に開示されるビデオディスプレイは添付される図面を参照して以下にさらに説明される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ビデオオフ状態におけるディスプレイ照明への現行の手法は、光ガイドまたはダイオード光源がディスプレイパネルまたはカバーガラス上の端面領域に取り付けられ、端面照明しか与えない、手法を含む。光源を直接視から遮蔽するため、一般に不透明な境界ストリップが取り付けられ、したがって、照明は、光源から大視野角で散乱され、ディスプレイの端面または境界領域だけから放射される、光に限定される。
【0017】
本開示にしたがって提供されるビデオディスプレイは、強められた光散乱特性を提供し、光源のパワーを高めることを必要とせずに照明レベルを実質的に高める。改変された防眩コーティングまたは無反射コーティングのような、カバーガラス板内を伝搬する光源からの光の散乱を強めるため、光散乱層または光散乱コーティングがカバーガラス板の少なくとも端面または境界部分に選択的に施される。
【0018】
特定の実施形態において、単層または数層の光散乱粒子を有する光散乱コーティングがカバーガラス板の表面部分に塗布される。塗布はガラス板表面に光散乱粒子の分散液を浸漬コーティングするかまたはスプレーすることでなされる。望ましければ、そのようにコーティングされたガラス板を加熱処理して、粒子層をガラス表面に融着させるかまたは沈み込ませることによるように、ガラス板表面に粒子を結合させることができる。その後、ガラス板強度を高めるための熱的または化学的な強化工程をガラス板に施すことを含む、光散乱コーティングに損傷を与えずに完成ビデオスクリーンを作成するに必要な処理をガラス板にさらに施すことができる。
【0019】
上述したように光散乱コーティングが施されているカバーガラス板はビデオオフ照明に対する多くの重要な利点を提供する。粒径が可視光波長範囲内、例えば400〜1000nmの範囲内、またはその近傍の散乱粒子の使用は、角度に依存しない光散乱を与える。したがって散乱はもはや大視野角に限定されず、ビデオディスプレイの面に垂直またはほぼ垂直な散乱方向を含む、広い角度範囲にわたっておこることができ、実用的照明に利用できる光の量を大きく増やすことができる。
【0020】
さらに、少なくとも100nmの粒径に対して、光散乱は実質的に波長無依存である。したがって、散乱光のスペクトル特性はよりよい制御を受け、光源のスペクトル特性及び選ばれた粒子の散乱特性に依存して広帯域または狭帯域の散乱を利用できる。最後に、ガラス板の防眩特性または光散乱特性は、照明源のパターン形成を可能にするためにガラス板の異なる領域にわたって変えることができる。
【0021】
図面の
図1は、ガラス板表面上に配された、光散乱粒子のコーティングが設けられたガラス板区画の電子顕微鏡写真である。平均粒径が300nmの粒子の複数の層を有するコーティング領域10が、同じ粒子の単層によって被覆された、さらに広い領域12内に示される。
【0022】
図面の
図2はビデオディスプレイ用のカバーガラス板20の、ガラス板の境界領域22が光散乱粒子のコーティングで覆われている、写真である。コーティングは、ガラス板の境界領域を300nm粒子のアルコール懸濁液に浸漬し、続いて熱処理して粒子をガラス板表面内約100nmの深さまで沈み込ませることによって、施される。コーティングされた境界はLEDのアレイによって照明される。ガラス板の面に垂直な方向におけるかなりのレベルの光散乱が写真から明らかである。
【0023】
図1及び2の光散乱ガラス板は、光散乱表面素子が防眩コーティングであり、防眩コーティングが光散乱粒子を有し、光散乱粒子が、例えば粒子の分散液から、被着された単層内に分散されている、実施形態の説明例である。光散乱粒子の層が、例えば粒子層をガラスに融着させるためにガラスを加熱する工程により、カバーガラスの表面に結合される、後者の実施形態も例示される。
【0024】
光散乱粒子が100〜1000nmの範囲の平均粒子直径を有する被覆カバーガラス板を組み込んでいるディスプレイも含まれる。上に示したように、そのような粒子直径は広い波長範囲にわたる、またビデオディスプレイスクリーンの前面または平面に垂直な角度を含む広い散乱角範囲にわたる、光散乱を可能にする。そのようなディスプレイのビデオオフ照明は、光源が光ガイドロッドまたは光ファイバ素子であるディスプレイを含む、LEDアレイのいずれのコンパクト光源によってもなされ得る。
【0025】
防眩機能を提供する市販ビデオディスプレイは、ガラス板の外側の(見る人に面する側の)表面が若干粗面化されているカバーガラス板を利用して、満足できる防眩を提供できる。しかし、従来タイプの防眩表面は、ガラス板の互いに表裏をなす主表面の光導波効率がガラス板端面に入射された光のかなりの分率をガラス板の面内に閉じ込めるとしても、得られる光散乱は極めて限られる。したがって、そのような表面によって得られる光散乱は一般にガラス板の面に垂直な視野軸から大角度においてしか見ることができない。
【0026】
図面の
図3a及び3bはLEDアレイによって端面照明されたカバーガラス板からの散乱光強度を比較している写真である。これらの図において照明されるカバーガラス板は従来の防眩表面層を組み込んでおり、ガラス板は、
図3aにおいてガラス板の面の法線から大角度で見られており、
図3bにおいてガラス板の面にほぼ垂直な角度で見られている。これらの従来の防眩表面から散乱する光の限定された大角度性がこれらの写真から明らかであり、
図3aの大角度散乱は本質的であり、
図3bからの垂直軸散乱は極めて弱い。
【0027】
本説明にしたがって提供されるカバーガラス板を組み込んでいるビデオディスプレイの実施形態は、極めて効率のよい導波光の取出しを提供し、したがって従来のカバーガラスで得られるよりもかなり良好な全画面照明を与える。図面の
図3cは、ガラス板表面の面に垂直な軸に沿ってとられた、同様の端面照明カバーガラス板の写真である。この軸に沿うガラス板からの高レベルの光散乱が写真から容易に明らかである。有利なことには、
図3cのカバーガラス板で達成される高散乱効率は、カバーガラス板の端面照明が消されているときに、カバーガラスの背後に配置された映像ディスプレイパネル上に表示されるビデオ映像の品質を実質的に低下させない。
【0028】
図面の
図3a及び3bと3cの間のような、散乱挙動、したがって照明効率の明らかな差は2つのカバーガラス板の防眩表面に存在する表面粗さの変化の結果である。
図3a及び3bに特徴が示される従来の防眩カバーガラス板は表面粗さ相関長が40μmのオーダーの粗面化防眩表面層を組み込んでいる。対照的に、
図3cに示されるカバーガラス板の改変された防眩表面層は約500nmの相関長を与える粗さを有している。短い粗さ相関長の、すなわち約100〜1000nmの光波長範囲にある相関長の有益な効果はいくつかある。角度無依存光散乱を与えるだけでなく、表面の散乱効率が改善され、したがってビデオオフ照明のとり得る輝度が高められる。また、とり得る輝度の向上は改変された防眩層がビデオディスプレイの全表面領域を包含するように容易に拡大され得るという事実でもある。
【0029】
高効率カバーガラス光散乱を利用するビデオディスプレイスクリーンが図面の
図4に簡略に示される。
図4には、映像ディスプレイパネル32,ディスプレイパネルのためのカバーガラス板34及びカバーガラス板に光を入射する光源36を有するビデオディスプレイスクリーン30の前面図(a)及び側面図(b)がある。カバーガラス板34はガラス板の前面または表示面(ディスプレイパネルの逆の側の外側を向いている面)上に改変された防眩表面層(図示せず)を組み込んでいる。効率的な小角度散乱及び垂直軸散乱のため、改変された防眩層は可視光波長範囲にある表面粗さ相関長を有する。
【0030】
カバーガラス板34上の防眩層はビデオディスプレイの全画面領域38,すなわち、カバーガラス板上に配された不透明黒色周囲境界39内に入る領域、を覆う。境界39は、背面実装LEDアレイと集成ビデオスクリーンに「一体」感を与える遮蔽境界の組合せにより、例えばLEDアレイからなる、光源36を直接視から遮蔽するようにはたらく。
【0031】
図4に示される実施形態において、カバーガラス板34を映像ディスプレイパネル32に接合するために接着剤層33が設けられる。この層は、カバーガラス板内を伝搬する光の接着剤層またはディスプレイパネルへの逸失を避けるため、ディスプレイパネル32の屈折率より低い屈折率を有する接着剤からなることができる。また、ディスプレイの映像品質を向上させるための、カバーガラス板34の外表面から隔てられた,必要に応じて設けられる反射防止層38も示される。別の構成において、接着剤は、カバーガラス板内を伝搬する導波LED光の逸失を最小限に抑えるため、例えば少なくとも2μm幅の、空隙で置き換えることもできる。
【0032】
したがって、上例で説明されるようなビデオディスプレイスクリーンの実施形態は、映像ディスプレイパネルが表示領域を有し、カバーガラス板が表示領域を覆う表示部分を有し、カバーガラス板の表示部分に表面層の形態の光散乱素子が設けられる、スクリーンを有する。特に、光散乱素子がカバーガラス板上の粗面化表面領域を含み、粗面化表面領域がカバーガラス板に垂直な角度を含む角度範囲にわたって光を散乱するに有効な粗さを有する、実施形態が含められる。この目的のため、粗面化表面領域は1000nm以下の表面粗さ相関長を有する。
【0033】
映像ディスプレイパネルとカバーガラス板の間に接合材料の層が設けられ、接合材料がカバーガラス板の屈折率より低い屈折率を有する、ディスプレイスクリーンも含められる。別のディスプレイは、カバーガラス板と映像ディスプレイパネルの間に空隙が設けられるディスプレイである。
【0034】
上述の説明及び例にしたがえば、ビデオスクリーンのためのカバーガラス板のビデオオフ照明光を入射するために、様々な光源及び様々な光源実装方法を用いることができる。大開口数及び/または大スポット径を有する、既製品のLEDまたはその他の低コスト光源の使用が、費用の理由のために、またエネルギー効率の理由のためにも、有利である。カバーガラス板の端面上ではなく、カバーガラス板の境界領域の背面上に光源を実装する手法は、現在好ましい「一体構造」ディスプレイ設計オプションをサポートする。
【0035】
ビデオオフ照明のための背面実装光源の使用には、大開口数の光源であるかまたはそうではない光源であるかにかかわらず、改善された光入力効率が与えられることが必要である。本説明にしたがえば、必要な改善された効率を与えるために改善された散乱方法が用いられる。以降でさらに十分に開示されるように、そのような方法はほぼ100%の光入力効率を与えることができ、選択的吸収及び/または波長変換による出力または照明光の波長または色の制御を可能にすることができ、光源位置合せの困難を大きく回避することができる。
【0036】
強いビデオオフ照明を提供するディスプレイを提供するための映像ディスプレイパネルとの組合せに有用なカバーガラス板を有するビデオディスプレイのための設計の一例が図面の
図5に簡略に示される。
図5には、映像ディスプレイパネル42に取り付けられた照明カバーガラス板41を有するディスプレイ40の前面図(a)、側面図(b)及び背面図(c)がある。
図5のカバーガラス板は、LEDアレイ45からなる光源が点灯されたときにガラス板の底部端面41aから照明光を放射するように適合される。
【0037】
カバーガラス板41を通して映像表示領域46の輪郭を定める印刷された不透明黒色インク縁取り枠45と接する反射防止膜44がカバーガラス板41の前面にかけて配置される。黒色インク縁取り45の下部区分の幅は、ビデオディスプレイスクリーンを前面図(
図5a)のように見たときに、カバーガラス板41の下部背面に取り付けられたLEDアレイ43が直接見えないように遮蔽するに十分にとられる。
【0038】
カバーガラス板41の底部端面41aからの十分な照明光出力を確保するに十分なレベルの光入力効率を確保するため、LEDアレイ43からの光はカバーガラス板41の背面下部上のLEDアレイ43のための実装場所の近くに配置された2つの対向する白色または「広帯域」の拡散反射面層の間で何度も散乱させられる。これらの対向する拡散反射面層はガラス板41の基部に光キャビティを形成する。所望の反射面領域は、例えば、
図5に示されるようにガラス板41の対向する下部表面区画上に配された白色不透明インク縁取りストリップ48a及び48bによって、形成することができる。あるいは、所望の散乱は、いずれも図示されていない、ガラス板41上に同様に配置された対向する粗面化表面区画によって、あるいはガラス板41の同じ下部内に分散された粒子散乱相による体積散乱によって、得ることができる。
【0039】
白色縁取りストリップ48a及び48bによって散乱された光は、光がもはやストリップ間に閉じ込められない点に達するまで、角度的及び位置的に散乱される。統計場モデルは、ある程度は体積散乱とインク縁取りストリップによる表面散乱の間のバランスに、ある程度は光がストリップによる閉込めから抜け出るまでの光反射回数に、依存するであろう脱出光の角度モードの統計分布を導くことができる。
【0040】
図5のビデオディスプレイスクリーンにおいてカバーガラス板の面内を導波される光はガラス板の底部端面41aから放射されるであろう。反射ストリップの閉込めから抜け出す導波されているかまたは導波されていない光の一部だけが放射されることが望ましければ、反射性インクストリップまたその他の光散乱素子に放射領域に向かってテーパーを形成することができ、そのようなテーパー形成は、脱出光量の制限または選ばれた角度における優先的光放射のいずれにも有効である。
【0041】
放射光の色に関する制御は、例えば図面の白色反射性インク48a及び48bを置き換えるために着色インクを用いることによって、実施することができる。そのようなインクにより多数の反射を受ける選ばれた波長の光は選択的に吸収され、残る光の色を変える。別の色制御方法は、非線形光学材料、例えば結晶の使用、あるいはガラスまたはガラスに施された反射性ストリップへの量子ドット付加を含む。量子ドット法は、異なる寸法のドットは異なる波長の光の散乱をおこすことができるから、放射状のパターニングを可能にする。
【0042】
開示される、上述した例の要素を組み込んでいる、ビデオディスプレイスクリーンの実施形態は、ディスプレイスクリーンのための光源に近い場所において、カバーガラス板の少なくとも一部にガラス板の互いに表裏をなす表面上でガラス板に取り付けられた対向する光散乱バルク素子または光散乱表面素子が設けられた実施形態を含む。対向する表面素子がカバーガラス板の境界の少なくとも一部の上に配された光散乱性インク層を含み、対向する光散乱性インク層が体積光散乱を与える懸濁粒子相を有するか、または表面光散乱を与える粗面化表面を有し、光散乱性インク層が広帯域(白色)反射率を与える、実施形態が含まれる。そのようなディスプレイのための光源はカバーガラス板の背面に光を入射するように配置されたLED素子のアレイを有することが有利であろう。
【0043】
色制御ビデオオフ照明のためには、対向する光散乱性インク層が波長選択性の光吸収または光反射率を示すか、あるいはカバーガラスがガラスの表面またはインク層内に非線形光散乱中心を有するであろう。非線形光散乱中心は光散乱性小結晶または量子ドットからなる群から選ばれことが有利であり、非線形光散乱中心がパターンをなして配されているディスプレイを含む実施形態が含まれる。
【0044】
図面の
図5に例示されるビデオスクリーン実施形態は、商業的に魅力があり、大開口数LED素子のアレイを有する光源を利用できる場合に特に有効になり得る、底部端面ビデオオフ照明を提供する。しかしそのようなディスプレイスクリーン設計は、カバーガラス板内への効率的な光入射のための光散乱系が、ガラス板の対向する表面間の入力光に繰返し反射を行わせるに適するように配置されなければならない、多数の表面素子を有するから、作成に費用がかかり得る。必要な層を構成するために多数回の個別インク塗布が用いられていた。
【0045】
本開示にさらにしたがえば、複層の表面素子が支持フィルム上に配された多重インク層の形態で存在する、開示されるディスプレイスクリーンの実施形態が提供される。支持フィルムは予期されるように図面の
図5のフィルム層44のような反射防止膜層を含む。カバーガラス板との接合に先立ち、ビデオディスプレイスクリーンの光散乱及び光源遮蔽を制御するために、例えばスクリーン印刷によって、多重インク層が支持フィルムに設けられる。
【0046】
特定の例において、図面の
図5の縁取り黒色インク層45のような、黒色またはその他の光散乱性インク層がフィルムの背面に与えられ、その層は、LEDアレイからの光をディスプレイに垂直な角度からの直接視から遮蔽するように、またディスプレイの表示領域のための囲み枠としてはたらくようにも、構成される。その後、
図5の印加層48aの態様で白色光の拡散散乱を示す白色不透明インク層を黒色インク層に重ねて支持フィルムに施すことができる。その後の、ビデオディスプレイスクリーンのためのカバーガラス板への、そのようにコーティングされた支持フィルムの取付けにより、カバーガラス板の面内へのLEDアレイからの光の効率的な散乱を確保するため、光吸収性及び光散乱性のインク層のいずれもが適切に位置決めされる。図面の
図6は、この特定の実施形態にしたがう光吸収性黒色インク層55及び重畳白色光反射散乱性ストリップ58aが与えられた支持反射防止膜54を端面から見た写真からなる。示される図はフィルムの無コーティング側の一部を含む。
【0047】
直接施されたインク層または印刷フィルムの使用は、光キャビティを有するカバーガラス板への効率的光入射に向けての有効で経済的な手法を提供するが、同様の効率をもつ光キャビティを構成するための全ガラス手法は機械的及び熱的な耐久性に関して利点を提供するであろう。したがって、開示されるビデオディスプレイスクリーンの別の実施形態にしたがえば、ガラスフリットの拡散散乱層がカバーガラス板の互いに表裏をなす表面に与えられて、結合される。
【0048】
そのようなスクリーンのためのカバーガラス板の特定の実施形態において、例えば図面の
図5に示されるような、散乱光導波に用いられる対向する光散乱性インク層またはインク付フィルムの代わりにガラスフリット層がガラス板の互いに表裏をなす表面に与えられる。フリット実施形態のため、
図5のガラス板41のようなカバーガラス板上の場所48a及び48bに対向する白色ガラスフリット結合層が配される。インク層と同様、白色フリット層は広帯域拡散散乱を与え、LEDアレイのような光源からの光が入射されて、多重反射することができる光キャビティを形成する。このようにして、カバーガラス板の互いに表裏をなす主表面の間の導波のため、斜め入射光がつくられ、光が照明のために放射され得るガラス板端面のような場所までガラス板の面内を伝搬する。いくつかの実施形態において、
図5の縁取り黒色インク層45と同様に配置された、不透明な黒色またはその他の光吸収性のインク層またはフリット層が、LEDアレイを直視から隠すために、またカバーガラス板を組み込んでいるビデオディスプレイに縁取りを設けるためにも、配置されたフリット層上に重畳される。
【0049】
例えばコーニング(Corning)社製品コード2318アルカリアルミノケイ酸ガラス板のような、市販カバーガラス板との使用に適するガラスフリット組成の例が下の表1に報告される。ガラスフリット組成は、原料ガラスのためのバッチから計算されるように、酸化物ベースのモル%で報告される。表1には、個々の試料について決定されていれば、ガラス転移温度(T
g),ガラス軟化温度(T
s),平均熱膨張係数及びガラスフリット層をカバーガラス板に結合するための融着温度(T
f)も報告される。
【0051】
表1に報告される組成はカバーガラス板からの光散乱を制御するために有効に用いられ得る広範なフリット組成の例に過ぎない。さらに、これらの組成の多くはそれらの光散乱挙動を変えるために改変することができる。例えば、フリット層の乳光を強めるために、チタニア、ジルコニア及び/または酸化スズのような通常の不透明化添加剤をガラスまたはフリットの配合物に取り入れることができる。あるいはまたはさらに、光源からの光がフリットで形成された光キャビティを通って伝搬している間に光の色を変えるため、ガラスまたはフリットに光吸収剤または燐光物質を取り入れることができる。
【0052】
図面の
図7は、上述したように施されたフリット層により形成された光キャビティを組み込んでいるカバーガラス板の、このカバーガラスを組み込んでいるビデオディスプレイスクリーンの見る人に面するであろうガラス板表面から見たような、写真からなる。
図7に示されるように、カバーガラス板61には、カバーガラス板の底部境界に沿って光キャビティを形成するために背面に結合された白色光散乱フリット層(図示せず)に対向して配置された前面接合白色光散乱フリット層68aが、底部境界部分に沿って設けられている。ガラス板の背面(図示せず)には照明LEDアレイからなる光源も取り付けられており、このアレイは光散乱フリット層68aに重ねて与えられた不透明黒色ストリップ65によってカバーガラス板の前面から直接見えないように隠されている。
【0053】
結合されたフリット層によって形成された光キャビティから伝搬する導波光の大半はカバーガラス板61の底部端面61aから放射される。しかし、加えて、導波光のいくらかは、例えば場所61bに示されるように、ガラス板61の側部端面及び上部端面から放射され得る。
【0054】
図7のカバーガラス板は、ガラス板の少なくとも1つの底部境界区画に沿って光キャビティを有する、本開示のカバーガラス板実施形態の説明例であり、ガラス板の境界区画には、境界区画のガラス板の互いに表裏をなす表面に対向光散乱素子が設けられている実施形態を含む。これらの実施形態における光散乱素子には、例えばガラス板表面に配された拡散散乱性インク層またはガラス板表面に結合された拡散散乱フリット層を含めることができる。また、
図7に示されるように、説明したようなカバーガラスシートを組み込んでいるビデオディスプレイスクリーンのユーザによる直接視から光源を遮蔽することが望ましい場合、光散乱表面素子の少なくとも1つの上に透明遮蔽層を配することができる。
【0055】
本開示にしたがって提供されるビデオディスプレイスクリーン及びコンポーネントを、材料、構成、設計及び手順の特定の例を参照して上で説明したが、これらの例は説明の目的のためだけに与えられていること及びこれらの例の様々な改変が添付される特許請求範囲内の同様のまたは関連する用途の要求を満たすために用いられ得ることは認められるであろう。