特許第6564397号(P6564397)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6564397
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】ドープドニッケル酸塩材料
(51)【国際特許分類】
   C01G 53/00 20060101AFI20190808BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20190808BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20190808BHJP
   H01M 10/054 20100101ALI20190808BHJP
【FI】
   C01G53/00 A
   H01M4/525
   H01M4/505
   H01M10/054
【請求項の数】10
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2016-568408(P2016-568408)
(86)(22)【出願日】2015年5月21日
(65)【公表番号】特表2017-521342(P2017-521342A)
(43)【公表日】2017年8月3日
(86)【国際出願番号】GB2015051495
(87)【国際公開番号】WO2015177556
(87)【国際公開日】20151126
【審査請求日】2018年3月14日
(31)【優先権主張番号】1409163.1
(32)【優先日】2014年5月22日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1421105.6
(32)【優先日】2014年11月27日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】514065058
【氏名又は名称】ファラディオン リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】バーカー,ジェレミー
(72)【発明者】
【氏名】ヒープ,リチャード
【審査官】 村岡 一磨
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−160653(JP,A)
【文献】 特開2015−176678(JP,A)
【文献】 KOMABA, S et al.,Electrochimica Acta,2008年11月13日,Vol.54,P.2353-2359
【文献】 ZHAO, Wenwen et al.,Journal of Power Sources,2014年 3月26日,Vol.261,P.324-331
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01G 25/00−47/00;49/10−99/00
H01M 4/505
H01M 4/525
H01M 10/054
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式:
2−δ
を有するドープドニッケル酸塩材料であって、
Aは、ナトリウム、リチウム及びカリウムから選択される1以上のアルカリ金属を含み;
は、酸化状態2+のニッケルであり;
は、酸化状態4+の1以上の金属を含み、
は、前記酸化状態2+のニッケルを除く酸化状態2+の1以上の金属を含み、
は、酸化状態4+の1以上の金属を含み、
は、酸化状態3+の1以上の金属を含み、
ここで、M≠Mであり、
式中、0.4≦a<0.9であり、
0<v<0.5であり、
w>0であり、
x>0であり、
y>0であり、
z≧0であり、
0≦δ≦0.1であり、且つ、
式中、a、v、w、x、y及びzは、電気的中性を維持するように選択される、
ドープドニッケル酸塩材料。
【請求項2】
請求項1に記載のドープドニッケル酸塩材料であって、
は、マンガン、チタン及びジルコニウムから選択される1以上の金属を含み;
は、マグネシウム、カルシウム、銅、亜鉛及びコバルトから選択される1以上の金属を含み;
は、マンガン、チタン及びジルコニウムからから選択される1以上の金属を含み;且つ、
は、アルミニウム、鉄、コバルト、モリブデン、クロム、バナジウム、スカンジウム及びイットリウムから選択される1以上の金属を含む;
ドープドニッケル酸塩材料。
【請求項3】
Na0.67Ni0.300Mn0.600Mg0.033Ti0.067
Na0.67Ni0.267Mn0.533Mg0.067Ti0.133
Na0.67Ni0.283Mn0.567Mg0.05Ti0.1
Na0.7Ni0.240Mn0.533Mg0.110Ti0.117
Na0.6Ni0.240Mn0.533Mg0.060Ti0.167
Na0.67Ni0.240Mn0.533Mg0.093Ti0.133
Na0.55Ni0.240Mn0.533Mg0.035Ti0.192
Na0.67Ni0.240Mn0.533Mg0.043Ti0.083Fe0.100、及び
Na0.67Ni0.240Mn0.533Mg0.043Ti0.083Al0.100
の1以上から選択される、請求項1に記載のドープドニッケル酸塩材料。
【請求項4】
層状P2タイプ構造を含む、請求項1に記載のドープドニッケル酸塩材料。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のドープドニッケル酸塩材料を調製するための方法であって、:
a)前記ドープドニッケル酸塩材料内に存在する、前記1以上の金属A、M、M、M、M及びMそれぞれの量に対応する化学量論比で、A、M、M、M、M及びMから選択される1以上の金属を含む、1以上の前駆体材料を一緒に混合するステップと;
b)反応生成物が形成するまで、単一の温度で、又は400℃と1500℃との間の温度範囲にわたって、炉内で得られた混合物を加熱するステップと;
を含む方法。
【請求項6】
エネルギー貯蔵装置、電池、充電式電池、電気化学デバイス、エレクトロクロミック素子及びNaイオン電池から選択されたアプリケーションデバイスにおける、請求項1〜4のいずれか一項に記載の1以上のドープドニッケル酸塩材料の使用。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の1以上のドープドニッケル酸塩材料を含む、電池。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の1以上のドープドニッケル酸塩材料を含む、電極。
【請求項9】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の1以上のドープドニッケル酸塩材料を含む、正極。
【請求項10】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の1以上のドープドニッケル酸塩材料を含むデバイスの使用を含む、電荷を保存するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、新規なドープドニッケル酸塩(doped nickelate)材料、そのようなドープドニッケル酸塩材料を製造する方法、そのような材料を含有する電極、例えばエネルギー貯蔵装置におけるそのような材料の使用、に関する。また、本発明は、そのようなドープドニッケル酸塩材料を含むデバイスを使用して電荷を蓄積するプロセス、及びそのような材料を含む充電式電池に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ナトリウムイオン電池は、今日一般的に使用されているリチウムイオン電池に多くの点で類似する。これらは、いずれも、アノード(負電極)、カソード(正極)及び電解質材料を含む再使用可能な二次電池であり、いずれもエネルギーを貯蔵することが可能であり、且つ、これらは、いずれも、類似の反応機構を介して充放電である。ナトリウムイオン(又はリチウムイオン電池)が充電されるとき、Na(又はLi)がカソードから脱離し(deintercalate)、アノード内に挿入される(insert)。電荷をバランスする電子が、カソードから充電器を含む外部回路を通って、バッテリのアノード内に渡される。放電時に同一のプロセスが、但し逆方向で発生する。
【0003】
リチウムイオン電池技術は、近年多くの注目を享受してきたのであって、今日使用中のほとんどの電子デバイスのために好適な携帯用電池を提供している。しかしながら、リチウムは、供給源に至るまで安い金属ではなく、大規模なアプリケーションでの使用のためにはあまりにも高価であると考えられる。対照的に、ナトリウムイオン電池の技術は、まだその比較的初期段階にあるが、有利であると見られている。ナトリウムは、リチウムよりもはるかに豊富に存在し、一部の研究者は、これが、将来にエネルギーを貯蔵するための、特に、例えば配電網においてエネルギーを蓄積するような大規模なアプリケーションのための、より安価で耐久性のある方法を提供すると予測する。それにもかかわらず、ナトリウムイオン電池が商業的現実になる前に、多くの作業はまだ行われなければならない。
【0004】
一般式 AxMO(ここで、Aは、1つ以上のアルカリ金属イオンを表し、Mは、その少なくとも1つが複数の酸化状態(oxidation state)を有する、1以上の金属イオン、例えば遷移金属を表す)を有する金属酸化物は、は、多数の異なる層状構造において結晶化することが知られている。これは、C. Delmas et al. “Structural Classification and Properties of the Layered Oxides”, Physica 99B (1980) 81−85により詳細に記載されている。要約すると、構造体は、すべて(MOシートを形成するΜO稜共有(edge sharing)八面体形から構成される。これらのシートは、一方が他方の上に積み重ねられ、且つ、アルカリ金属原子によって分離され、且つ、アルカリ金属の正確な位置は、金属酸化物の全体的な構造が八面体(O)、六面体(T)、又は角柱(P)として記述されるべきかどうかを決定する。六角形のシートから構成される格子において、酸素原子の場合、従来A、B及びCと名付けられた、3つの可能な位置がある。それは、これらのシートが一緒にパックされる順序であって、O、T及びPの環境をもたらす順序である。数2又は3もまた、層化に対して垂直の繰り返し単位中のアルカリ金属の層の数を記述するために使用される。例えば、層が順ABCABCに充填されている場合、O3の構造が得られる。これは、八面体環境にある反復単位及び各アルカリ金属における3つのアルカリ金属の層に変換される(translates)。このような材料は、八面体配向にあるアルカリ金属イオンにより特徴づけられ、且つ、この構造の典型的な化合物は、AMO(x≦1)である。四面体配向にあるアルカリ金属イオンによる順序ABABは、AMO化合物に代表されるT1の構造が得られる。シートをABBA順序にパッキングすると、P2構造を与える。ここで、角柱(prism)の半分の一方は、MO八面体と稜を共有し、半分の他方は、面を共有し、典型的な化合物はA≒0.7MOである。及び最終的に、ABBCCA順序にパッキングすると、全ての角柱は、1つのMO八面体と1つの面を共有し、且つ、次の3つのMO八面体3つの稜を共有する、P3構造タイプが得られる。A≒0.5MO化合物は、P3構造を採用することが判明している。AxMO2材料において存在するアルカリ金属の量は、金属酸化物の全体構造の上に直接支承を有することに留意されたい。
【0005】
これまでの10年間にわたって、多数の労働者は、P2構造を有する単相の金属酸化物の電気化学的特性を調査してきた。例えば、C. Delmas et alは、P2−NaCoOの相変態及び電気化学的挙動を報告している。例えば、J. Solid State Chem., 2004, 177, 2790−2802 and Inorg. Chem., 2009, 48, 9671−9683を参照。さらに、Lu and Dahn, J. Electrochem. Soc., 2001, 148, A710−715は、P2−層状酸化物Na2/3[Ni1/3Mn2/3]Oが、ナトリウムハーフセルにおいてNaイオンを可逆的に交換することができるが、これらの酸化物化合物は、貧弱なサイクル性能、特にC/100において2.3〜4.5V、を示すことが期待されていることを実証している。
【0006】
さらに最近、Kim et al Adv. Energy Mater., 2011, 1, 333−336は、単相P2リチウム置換化合物、例えばNa1.0Li0.2Ni0.25Mn0.75、におけるリチウムの存在は、サイクル中の構造的安定性にいくらかの改善を与えるが、これらの化合物の可逆容量は、酸化還元活性のある2価のNiの制限された量(25%)に起因して、依然として低すぎることを報告した。そして別の最近の論文、Y. Shirley Meng and D. H. Lee, Phys. Chem. Chem. Phys., 2013, 15, 3304、において、P2−Na2/3[Ni1/3Mn2/3]Oは、優れたサイクリングや高い速度能力(rate capability)を示すことが報告されているが、これらの結果は、4.22V未満に充電されるときにのみ、達成されるのであって、4.22Vを超えると、充電容量は、P2から02への相変態に起因してサイクルの間維持されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
結論として、上記で議論されている金属酸化物は、不十分なサイクル安定性により、特に、充電電圧の広い範囲にわたって、妨げられている。その結果、ナトリウムイオン電池におけるこれらの化合物の商業的用途は限られる。
【0008】
現在の労働者はほとんど、サイクリングにおいてほとんどフェーディング(fading)しないことで特定の容量性能を送達することができる、ドープドニッケル酸塩を含有する材料である新規化合物(以下、ターゲット活物質(Target Active Materials)とも呼ばれる)を開発してきた。さらにまた、理想的には、ドープドニッケル酸塩を含有する本発明の材料は、典型的にはP2からのO2への相変態をもたらすことであろう電圧条件の下で、これらの優れた結果を達成することが見出されてきた。これは、先行技術に記載された化合物を超える有意な改善である。従って、本発明のターゲット活物質は、充電容量の著しい損失なしに複数回充電することができる電極、好ましくは正極、を提供するために使用され得る。特に、本発明のターゲット活物質は、エネルギー貯蔵装置、例えば、ナトリウムイオン電池又はナトリウム金属電池において使用するためのバッテリ、を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従って、本発明は、一般式:
2−δ
を有するドープドニッケル酸塩を含有する材料(ターゲット活物質)を提供する。式中、
Aは、ナトリウム、リチウム及びカリウムから選択される1以上のアルカリ金属を含み;
は、酸化状態2+のニッケルであり;
は、酸化状態4+の1以上の金属を含み、
は、酸化状態2+の1以上の金属を含み、
は、酸化状態4+の1以上の金属を含み、
は、酸化状態3+の1以上の金属を含み、
式中、0.4≦a<0.9であり、好ましくは0.5≦a<0.85であり、さらに好ましくは0.6≦a≦0.75であり、
0<v<0.5であり、好ましくは0<v≦0.45であり、及び理想的には0<v≦0.333であり、
w及びyの少なくとも一方は、>0であり、
x>0であり、
z≧0であり、
0≦δ≦0.1であり、且つ、
式中、a、v、w、x、y及びzは、電気的中性を維持するように選択される。
【0010】
好ましくは、δ=0である。
【0011】
好適なドープドニッケル酸塩を含有する材料(ターゲット活物質)は、一般式:
2−δ
のものである。式中、
Aは、ナトリウム、リチウム及びカリウムから選択される1以上のアルカリ金属を含み;
は、酸化状態2+のニッケルであり;
は、酸化状態4+の1以上の金属を含み、
は、酸化状態2+の1以上の金属を含み、
は、酸化状態4+の1以上の金属を含み、
は、酸化状態3+の1以上の金属を含み、
式中、0.55<a<0.85であり、
0.25<v≦0.333であり、
w及びyの少なくとも一方は、>0であり、
x>0であり、
z≧0であり、
0≦δ≦0.1であり、且つ、
式中、a、v、w、x、y及びzは、電気的中性を維持するように選択される。
【0012】
好ましくは、アルカリ金属Aは、ナトリウム又はナトリウムを主成分とする混合アルカリ金属のいずれかから選択される。
【0013】
特に好ましいターゲット活物質において、v+w+x+y+z=1である。
【0014】
好ましいターゲット活物質は:
Na0.67Ni0.3Mn0.6Mg0.033Ti0.067
Na0.67Ni0.267Mn0.533Mg0.067Ti0.133
Na0.67Ni0.283Mn0.567Mg0.05Ti0.1
Na0.67Ni0.25Mn0.667Mg0.0832、
Na0.7Ni0.240Mn0.533Mg0.110Ti0.1172、
Na0.6Ni0.240Mn0.533Mg0.060Ti0.1672、
Na0.67Ni0.240Mn0.533Mg0.093Ti0.1332、
Na0.55Ni0.240Mn0.533Mg0.035Ti0.1922、
Na0.67Ni0.240Mn0.533Mg0.043Ti0.083Fe0.1002、
Na0.67Ni0.240Mn0.533Mg0.043Ti0.083Al0.1002、
を包含する。
【0015】
金属M及びMは、酸化状態4+において同じ又は異なる金属(複数可)であってもよい。さらにまた、M及びMは、互いに交換可能である。M=Mである場合、従って構造は、以下の:
2−δ、又は
W+Y2−δ、又は
Y+W2−δ
いずれかで表記され得る、
且つ、均衡状態(equation)についてのこれらの形態の全ては同等とみなされるべきである。
【0016】
好ましくは、本発明のドープドニッケル酸塩を含有する材料(ターゲット活物質)は、選択されたアルカリ金属としてナトリウム単独を含む。
【0017】
また、さらに好ましいドープドニッケル酸塩を含有するターゲット活物質において、
は、マンガン、チタン及びジルコニウムから選択される、酸化状態4+の1以上の1以上の金属を含み;
は、マグネシウム、カルシウム、銅、亜鉛及びコバルトから選択される、酸化状態2+の以上の金属を含み;
は、マンガン、チタン及びジルコニウムからから選択される、酸化状態4+の1以上の金属を含み;且つ、
は、アルミニウム、鉄、コバルト、モリブデン、クロム、バナジウム、スカンジウム及びイットリウムから選択される、酸化状態3+の1以上の金属を含む。
【0018】
層状P2型構造を含むターゲット活物質は、特に有利である。
【0019】
ターゲット活物質は、いずれの既知の及び/又は簡便な方法(process)によって調製することができる。例えば、ターゲット活物質のための1以上の前駆体材料は、固相反応プロセスを容易にするために(例えば炉内で)加熱してもよい。このようなプロセスは、空気の存在下で簡便に行うことができるが、それはまた、不活性雰囲気下で行ってもよい。理想的には、ターゲット活物質のための1以上の前駆体材料は、上に定義されるA、M、M、M、M、及びMから選択される1以上の金属を含む。特に好ましくは、これら1以上の金属は、前記ターゲット活物質内に存在する、前記1以上の金属それぞれの量に対応する化学量論比で、前記前駆体材料内に存在する。
【0020】
本発明のドープドニッケル酸塩を含有する材料(ターゲット活性材料)は、例えば、バッテリ、再充電可能なバッテリ、電気化学デバイス及びエレクトロクロミック素子などの、エネルギー貯蔵装置において広く使用することができる、ナトリウムイオン及び/又はリチウムイオン及び/又はカリウムイオン電池(cells)を包含する多くの異なる用途(applications)における使用に好適である。
【0021】
有利には、1以上のターゲット活物質は、電極、好ましくは正極(カソード)、において、及びさらに好ましくは、対電極及び1以上の電解質材料と組み合わせて、使用することができる。電解質材料は、いずれの従来の又は既知の材料であってもよく、且つ、水性電解質(複数可)又は非水性電解質(複数可)のいずれかを含むことができる。
【0022】
イオン交換処理(process)を用いて、ナトリウムイオン誘導体を混合されたリチウムイオン/ナトリウムイオン材料に変換することも可能である。
【0023】
NaからLiへのイオン交換を達成するための典型的な方法は、:
1.ナトリウムイオン材料と、リチウム含有材料、LiNO、とを混合し、の融点(264°C)より上に加熱し、冷却し、及び次いで、過剰なLiNO及び副反応生成物を除去するために洗浄するステップ;
2.Naイオン材料を、リチウム塩の水溶液、例えば水中1M LiCl、で処理するステップ;及び、
3.Naイオン材料を、リチウム塩の非水溶液、例えばヘキサノール、プロパノール、等の1以上の脂肪族アルコール中のLiBr、で処理するステップ;
を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明は、ここで以下の図面を参照しながら説明する。
図1A図1(A)は、実施例1(比較例)において使用される公知の化合物P2−Na0.67Ni0.33Mn0.67の場合のXRDプロファイルである。
図1B図1(B)は、硬質炭素//Na0.67Ni0.33Mn0.67セルの最初の4充放電サイクルの場合の、セルの電圧プロファイル(即ち、Naイオンセル電圧[V]vs.累積カソード比容量[mAh/g])を示す。
図1C図1(C)は、セパレータとして使用されるプロピレンカーボネート(PC)及びグラスファイバ濾紙(Whatmanグレード GF/A)と共に、0.5M NaClO中30℃で1.0〜4.2Vの電圧範囲において、硬質炭素(Carbotron P(J) Kureha)とP2−Na0.67Ni0.33Mn0.67とを含むフル(full)Naイオンセルの定電流サイクリング(CC/CV)を示す。
図2A図2(A)は、実施例2において作製した、式: P2−Na0.67Ni0.3Mn0.6Mg0.033Ti0.067を有する本発明のP2−ターゲット活物質のXRDプロファイルである
図2B図2(B)は、硬質炭素//P2−Na0.67Ni0.30Mn0.60Mg0.033Ti0.067セルの最初の4充放電サイクルの場合の、セルの電圧プロファイル(即ち、Naイオンセル電圧[V]vs.累積カソード比容量[mAh/g])を示す。
図2C図2(C)は、硬質炭素(Carbotron P(J) Kureha)、及び0.5M NaClO中30℃で1.0〜4.2Vの電圧範囲においてP2−Na0.67Ni0.30Mn0.60Mg0.033Ti0.067、プロピレンカーボネート(PC)及びGF/A、を含むフル(full)Naイオンセルの定電流サイクリング(CC/CV)を示す。
図3A図3(A)は、実施例3において作製した、式: P2−Na0.67Ni0.267Mn0.533Mg0.067Ti0.133を有する本発明のP2−ターゲット活物質のXRDプロファイルである
図3B図3(B)は、硬質炭素//P2−Na0.67Ni0.267Mn0.533Mg0.067Ti0.133セルの最初の4充放電サイクルの場合の、セルの電圧プロファイル(即ち、Naイオンセル電圧[V]vs.累積カソード比容量[mAh/g])を示す。
図3C図3(C)は、硬質炭素(Carbotron P(J) Kureha)、及び0.5M NaClO中30℃で1.0〜4.2Vの電圧範囲においてP2−Na0.67Ni0.267Mn0.533Mg0.067Ti0.133、プロピレンカーボネート(PC)及びGF/A、を含むフル(full)Naイオンセルの定電流サイクリング(CC/CV)を示す。
図4A図4(A)は、実施例4において作製した、式: P2−Na0.67Ni0.25Mn0.667Mg0.083を有する本発明のP2−ターゲット活物質のXRDプロファイルである
図4B図3(B)は、硬質炭素//P2−Na0.67Ni0.25Mn0.667Mg0.083セルの最初の4充放電サイクルの場合の、セルの電圧プロファイル(即ち、Naイオンセル電圧[V]vs.累積カソード比容量[mAh/g])を示す。
図4C図4(C)は、硬質炭素(Carbotron P(J) Kureha)、及び0.5M NaClO中30℃で1.0〜4.2Vの電圧範囲においてP2−Na0.67Ni0.25Mn0.667Mg0.083、プロピレンカーボネート(PC)及びGF/A、を含むフル(full)Naイオンセルの定電流サイクリング(CC/CV)を示す。
図5A図5(A)は、実施例5において作製した、式: P2−Na0.67Ni0.283Mn0.567Mg0.05Ti0.10を有する本発明のP2−ターゲット活物質のXRDプロファイルである
図5B図5(B)は、硬質炭素//P2−Na0.67Ni0.283Mn0.567Mg0.05Ti0.10セルの最初の4充放電サイクルの場合の、セルの電圧プロファイル(即ち、Naイオンセル電圧[V]vs.累積カソード比容量[mAh/g])を示す。
図5C図5(C)は、硬質炭素(Carbotron P(J) Kureha)、及び0.5M NaClO中30℃で1.0〜4.2Vの電圧範囲においてP2−Na0.67Ni0.283Mn0.567Mg0.05Ti0.10、プロピレンカーボネート(PC)及びGF/A、を含むフル(full)Naイオンセルの定電流サイクリング(CC/CV)を示す。
図6A図6(A)は、実施例6において作製した、式: P2−Na0.70Ni0.240Mn0.533Mg0.110Ti0.117を有する本発明のP2−ターゲット活物質のXRDプロファイルである
図6B図6(B)は、硬質炭素//P2−Na0.70Ni0.240Mn0.533Mg0.110Ti0.117セルの最初の4充放電サイクルの場合の、セルの電圧プロファイル(即ち、Naイオンセル電圧[V]vs.累積カソード比容量[mAh/g])を示す。
図6C図6(C)は、硬質炭素(Carbotron P(J) Kureha)、及びエチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/プロピレンカーボネート中0.5M NaPFにおける30℃で1.0〜4.3Vの電圧範囲においてP2−Na0.70Ni0.240Mn0.533Mg0.110Ti0.117を含むフル(full)Naイオンセルの定電流サイクル寿命プロファイル(放電の場合のカソード比容量vs.サイクル数)を示す。
図7A図7(A)は、実施例7において作製した、式: P2−Na0.60Ni0.240Mn0.533Mg0.060Ti0.167を有する本発明のP2−ターゲット活物質のXRDプロファイルである
図7B図7(B)は、硬質炭素//P2−Na0.60Ni0.240Mn0.533Mg0.060Ti0.167セルの最初の4充放電サイクルの場合の、セルの電圧プロファイル(即ち、Naイオンセル電圧[V]vs.累積カソード比容量[mAh/g])を示す。
図7C図7(C)は、硬質炭素(Carbotron P(J) Kureha)、及びエチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/プロピレンカーボネート中0.5M NaPFにおける30℃で1.0〜4.3Vの電圧範囲においてP2−Na0.60Ni0.240Mn0.533Mg0.060Ti0.167を含むフル(full)Naイオンセルの定電流サイクル寿命プロファイル(放電の場合のカソード比容量vs.サイクル数)を示す。
図8A図8(A)は、実施例8において作製した、式: P2−Na0.67Ni0.240Mn0.533Mg0.093Ti0.133を有する本発明のP2−ターゲット活物質のXRDプロファイルである
図8B図8(B)は、硬質炭素//P2−Na0.67Ni0.240Mn0.533Mg0.093Ti0.133セルの最初の4充放電サイクルの場合の、セルの電圧プロファイル(即ち、Naイオンセル電圧[V]vs.累積カソード比容量[mAh/g])を示す。
図8C図8(C)は、硬質炭素(Carbotron P(J) Kureha)、及びエチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/プロピレンカーボネート中0.5M NaPFにおける30℃で1.0〜4.3Vの電圧範囲においてP2−Na0.67Ni0.240Mn0.533Mg0.093Ti0.133を含むフル(full)Naイオンセルの定電流サイクル寿命プロファイル(放電の場合のカソード比容量vs.サイクル数)を示す。
図9A図9(A)は、実施例9において作製した、式: P2−Na0.55Ni0.240Mn0.533Mg0.035Ti0.192を有する本発明のP2−ターゲット活物質のXRDプロファイルである
図9B図9(B)は、硬質炭素//P2−Na0.55Ni0.240Mn0.533Mg0.035Ti0.192セルの最初の4充放電サイクルの場合の、セルの電圧プロファイル(即ち、Naイオンセル電圧[V]vs.累積カソード比容量[mAh/g])を示す。
図9C図9(C)は、硬質炭素(Carbotron P(J) Kureha)、及びエチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/プロピレンカーボネート中0.5M NaPFにおける30℃で1.0〜4.3Vの電圧範囲においてP2−Na0.55Ni0.240Mn0.533Mg0.035Ti0.192を含むフル(full)Naイオンセルの定電流サイクル寿命プロファイル(放電の場合のカソード比容量vs.サイクル数)を示す。
図10A図10(A)は、実施例10において作製した、式: P2−Na0.67Ni0.240Mn0.533Mg0.043Ti0.083Fe0.100を有する本発明のP2−ターゲット活物質のXRDプロファイルである
図10B図10(B)は、硬質炭素//P2−Na0.67Ni0.240Mn0.533Mg0.043Ti0.083Fe0.100セルの最初の4充放電サイクルの場合の、セルの電圧プロファイル(即ち、Naイオンセル電圧[V]vs.累積カソード比容量[mAh/g])を示す。
図10C図10(C)は、硬質炭素(Carbotron P(J) Kureha)、及びエチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/プロピレンカーボネート中0.5M NaPFにおける30℃で1.0〜4.3Vの電圧範囲においてP2−Na0.67Ni0.240Mn0.533Mg0.043Ti0.083Fe0.100を含むフル(full)Naイオンセルの定電流サイクル寿命プロファイル(放電の場合のカソード比容量vs.サイクル数)を示す。
図11A図11(A)は、実施例11において作製した、式: P2−Na0.67Ni0.240Mn0.533Mg0.043Ti0.083Al0.100を有する本発明のP2−ターゲット活物質のXRDプロファイルである
図11B図11(B)は、硬質炭素//P2−Na0.67Ni0.240Mn0.533Mg0.043Ti0.083Al0.100セルの最初の4充放電サイクルの場合の、セルの電圧プロファイル(即ち、Naイオンセル電圧[V]vs.累積カソード比容量[mAh/g])を示す。
図11C図11(C)は、硬質炭素(Carbotron P(J) Kureha)、及びエチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/プロピレンカーボネート中0.5M NaPFにおける30℃で1.0〜4.3Vの電圧範囲においてP2−Na0.67Ni0.240Mn0.533Mg0.043Ti0.083Al0.100を含むフル(full)Naイオンセルの定電流サイクル寿命プロファイル(放電の場合のカソード比容量vs.サイクル数)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
詳細な説明
いずれの簡便なプロセスが、本発明のターゲット活物質を作成するのに使用することができる。簡便な化学反応は、以下の一般的な方法を使用することができる。:
【0026】
一般的な方法:
1)特定のターゲット活物質のための正しい化学量論比において出発物質(即ち、ターゲット活物質のための前駆体)を一緒に混和し、及び、ペレットにプレスし;
2)単一の温度で、又は400℃と1500℃との間の温度範囲にわたって、例えば周囲空気、又は不活性雰囲気を含む好適な雰囲気中で、炉内で得られた混合物を、反応生成物が形成されるまで、加熱し、;及び、場合によって、
3)生成物を粉末に粉砕する前に、冷却する。
【0027】
以下の表1は、既知の(比較)組成物(実施例1)及び本発明のターゲット活物質(実施例2〜11)を調製するために使用される出発物質及び加熱条件を掲載する。
【0028】
表1
【表1】
【0029】
XRDを使用する生成物分析
所望のターゲット材料が調製されたことを確認するため、生成物(product material)の相純度を確立するため、及び在する不純物の種類を決定するために、X線回折法による分析は、Siemens 5000粉末回折計を使用して行われた。この情報から、単位セルの格子パラメータを決定することが可能である。
【0030】
材料を分析するために使用される一般的なXRDの操作条件は、次のとおり。:
スリットのサイズ: 1mm、1mm、0.1mm
レンジ:2θ = 5°〜60°
X線波長 = 1.5418Å(オングストローム)(Cu Kα)
スピード: 1.0秒/ステップ
インクリメント: 0.025°
【0031】
電気化学的結果:
ターゲット材料は、硬質炭素アノードを使用するNaイオン試験セルを用いて試験した。セルは、以下の手順を用いて作成することができる。:
活物質を含有するNaイオン電気化学試験セルが、次のようにして構築される。:
【0032】
硬質炭素Naイオンセルを作成するための一般的な手順:
正極は、正極活物質、導電性カーボン、バインダ及び溶媒のスラリーを溶媒キャスティングすることによって調製される。使用される導電性カーボンは、Super P(Timcal)である。PVdFは、バインダとして使用され、及びN−メチル−2−ピロリドン(NMP)は溶媒として利用される。次いで、スラリーをアルミニウム箔の上にキャストし、溶媒の殆どが蒸発し、且つ、電極膜が形成されるまで、加熱する。電極を次いで、約120℃で、動的真空下で乾燥させる。電極膜は、重量%で表される以下の成分を含む: 88%活物質、6%Super P炭素、及び6%PVdFバインダ。
【0033】
負極は、硬質炭素活物質(Carbotron P/J、Kurehaにより供給)、導電性炭素、バインダ及び溶剤のスラリーを溶媒キャスティングすることによって調製される。使用される導電性カーボンは、Super P(Timcal)である。PVdFは、バインダとして使用され、及びN−メチル−2−ピロリドン(NMP)は溶媒として利用される。次いで、スラリーをアルミニウム箔の上にキャストし、溶媒の殆どが蒸発し、且つ、電極膜が形成されるまで、加熱する。電極を次いで、約120℃で、動的真空下で乾燥させる。電極膜は、重量%で表される以下の成分を含む: 89%活物質、2%Super P炭素、及び9%PVdFバインダ。
【0034】
電池(cell)試験
定電流サイクリング技術を用いて、次のようにセルを試験する。
【0035】
セルは、予め設定された電圧制限値の間の所定の電流密度でサイクルされる。Maccor Inc.(タルサ、OK、USA)からの市販のバッテリーサイクラーが使用される。充電の際、アルカリイオンがカソード活物質から抽出される。放電中に、アルカリイオンは、カソード活物質に再挿入される。
結果の考察
【実施例】
【0036】
実施例1: P2−Na0.67Ni0.33Mn0.67
図1(A)は、公知の材料Na0.67Ni0.33Mn0.67(サンプル番号X1657)のX線回折パターンを示す。パターンは、この材料は、層状P2型構造に一致する(conforms)ことを示す。
の場合のXRDプロファイルである。
【0037】
図(Figures)1(B)〜1(C)を参照:
図1(B)〜1(C)に示されるデータは、Naイオンセル(セル#311044)におけるP2−Na0.67Ni0.33Mn0.67カソード活物質のための定電流サイクリングデータから導出される。ここで、このカソード活物質は、硬質炭素(Carbotron P/J)アノード材料と結合していた(coupled)。使用される電解質は、プロピレンカーボネート(PC)中0.5M NaClO溶液であった。定電流データは、1.00〜4.20Vの電圧限界の間でおおよその電流密度0.2mA/cmで収集された。Naイオンセルが完全に充電されたことを確認するために、電流密度が定電流値の10%に低下するまで、定電流充電プロセスの終了時に、セルは4.2Vにおいて定電位保持された。試験は30℃で行った。
【0038】
セル充電プロセス中に、ナトリウムイオンがカソード活物質から抽出され、硬質炭素アノードに挿入される。後続の放電プロセス中に、ナトリウムイオンは、硬質炭素から抽出され、カソード活物質に再挿入される。
【0039】
図1(B)は、硬質炭素//Na0.67Ni0.33Mn0.67セルの最初の4充放電サイクルの場合の、セルの電圧プロファイル(即ち、Naイオンセル電圧[V]vs.累積カソード比容量[mAh/g])を示す。これらのデータは、電圧ヒステリシスのレベル(すなわち、充電プロセスと放電プロセスとの間の電圧差)は大きいことを実証し、このカソード材料中のNaイオン抽出挿入反応の比較的不十分な(poor)運動(kinetic)可逆性を示す。
【0040】
図1(C)は、定電流サイクル寿命プロファイル、すなわち、放電のためのカソード比容量[mAh/g]と硬質炭素//P2−Na0.67Ni0.33Mn0.67のためのサイクル数との間の関係、を示す。サイクル1の場合、カソードのための放電比容量は約127mAh/gである。サイクル20の場合、カソードのための放電比容量は約61mAh/gである。これは、20サイクルにわたり約52%、すなわち、サイクルあたり平均2.6%、の容量フェードを表す。試験下のカソード材料は、比較的不十分な(poor)容量保持挙動を明らかに実証する。
【0041】
実施例2: P2−Na0.67Ni0.3Mn0.6Mg0.033Ti0.067
図2(A)は、Na0.67Ni0.3Mn0.6Mg0.033Ti0.067(サンプル番号X1659)のX線回折パターンを示す。パターンは、この材料は、層状P2型構造に一致する(conforms)ことを示す。
【0042】
図(Figures)2(B)〜2(C)を参照:
図2(B)〜2(C)に示されるデータは、Naイオンセル(セル#311051)におけるP2−Na0.67Ni0.30Mn0.60Mg0.033Ti0.067カソード活物質のための定電流サイクリングデータから導出される。ここで、このカソード活物質は、硬質炭素(Carbotron P/J)アノード材料と結合していた(coupled)。使用される電解質は、プロピレンカーボネート(PC)中0.5M NaClO溶液であった。定電流データは、1.00〜4.2Vの電圧限界の間でおおよその電流密度0.2mA/cmで収集された。Naイオンセルが完全に充電されたことを確認するために、電流密度が定電流値の10%に低下するまで、定電流充電プロセスの終了時に、セルは4.2Vにおいて定電位保持された。試験は30℃で行った。
【0043】
セル充電プロセス中に、ナトリウムイオンがカソード活物質から抽出され、硬質炭素アノードに挿入される。後続の放電プロセス中に、ナトリウムイオンは、硬質炭素から抽出され、カソード活物質に再挿入される。
【0044】
図2(B)は、硬質炭素//Na0.67Ni0.30Mn0.60Mg0.033Ti0.067セルの最初の4充放電サイクルの場合の、セルの電圧プロファイル(即ち、Naイオンセル電圧[V]vs.累積カソード比容量[mAh/g])を示す。これらのデータは、電圧ヒステリシスのレベル(すなわち、充電プロセスと放電プロセスとの間の電圧差)は小さいことを実証し、Naイオン抽出挿入反応の優れた運動可逆性を示す。加えて、充放電電圧プロファイルの一般的に対称的な性質は、抽出−挿入反応の優れた可逆性を確認する。
【0045】
図2(C)は、定電流サイクル寿命プロファイル、すなわち、放電のためのカソード比容量[mAh/g]と硬質炭素//P2−Na0.67Ni0.30Mn0.60Mg0.033Ti0.067のためのサイクル数との間の関係、を示す。サイクル1の場合、カソードのための放電比容量は約117mAh/gである。サイクル30の場合、カソードのための放電比容量は約106mAh/gである。これは、30サイクルにわたり約9.4%、すなわち、サイクルあたり平均0.3%、の容量フェードを表す。試験下のカソード材料は、優れた容量保持挙動を明らかに実証する。
【0046】
実施例3: P2−Na0.67Ni0.267Mn0.533Mg0.067Ti0.133
図3(A)は、Na0.67Ni0.267Mn0.533Mg0.067Ti0.133(サンプル番号X1663)のX線回折パターンを示す。パターンは、この材料は、層状P2型構造に一致する(conforms)ことを示す。
【0047】
図(Figures)3(B)〜3(C)を参照:
図3(B)〜図3(C)に示されるデータは、Naイオンセル(セル#311058)におけるP2−Na0.67Ni0.267Mn0.533Mg0.067Ti0.133カソード活物質のための定電流サイクリングデータから導出される。ここで、このカソード活物質は、硬質炭素(Carbotron P/J)アノード材料と結合していた(coupled)。使用される電解質は、プロピレンカーボネート(PC)中0.5M NaClO溶液であった。定電流データは、1.00〜4.2Vの電圧限界の間でおおよその電流密度0.2mA/cmで収集された。Naイオンセルが完全に充電されたことを確認するために、電流密度が定電流値の10%に低下するまで、定電流充電プロセスの終了時に、セルは4.2Vにおいて定電位保持された。試験は30℃で行った。
【0048】
セル充電プロセス中に、ナトリウムイオンがカソード活物質から抽出され、硬質炭素アノードに挿入される。後続の放電プロセス中に、ナトリウムイオンは、硬質炭素から抽出され、カソード活物質に再挿入される。
【0049】
図3(B)は、硬質炭素//Na0.67Ni0.267Mn0.533Mg0.067Ti0.133セルの最初の4充放電サイクルの場合の、セルの電圧プロファイル(即ち、Naイオンセル電圧[V]vs.累積カソード比容量[mAh/g])を示す。これらのデータは、電圧ヒステリシスのレベル(すなわち、充電プロセスと放電プロセスとの間の電圧差)は小さいことを実証し、Naイオン抽出挿入反応の優れた運動可逆性を示す。加えて、充放電電圧プロファイルの一般的に対称的な性質は、抽出−挿入反応の優れた可逆性を確認する。
【0050】
図3(C)は、定電流サイクル寿命プロファイル、すなわち、放電のためのカソード比容量[mAh/g]と硬質炭素//P2−Na0.67Ni0.267Mn0.533Mg0.067Ti0.133のためのサイクル数との間の関係、を示す。サイクル1の場合、カソードのための放電比容量は約105mAh/gである。サイクル30の場合、カソードのための放電比容量は約101mAh/gである。これは、30サイクルにわたり約3.8%、すなわち、サイクルあたり平均0.13%、の容量フェードを表す。試験下のカソード材料は、優れた容量保持挙動を明らかに実証する。
【0051】
実施例4: P2−Na0.67Ni0.25Mn0.667Mg0.083
図4(A)は、Na0.67Ni0.25Mn0.667Mg0.083(サンプル番号X1684)のX線回折パターンを示す。パターンは、この材料は、層状P2型構造に一致する(conforms)ことを示す。
【0052】
図(Figures)4(B)〜4(C)を参照:
図4(B)〜図4(C)に示されるデータは、Naイオンセル(セル#312020)におけるP2−Na0.67Ni0.25Mn0.667Mg0.083カソード活物質のための定電流サイクリングデータから導出される。ここで、このカソード活物質は、硬質炭素(Carbotron P/J)アノード材料と結合していた(coupled)。使用される電解質は、プロピレンカーボネート(PC)中0.5M NaClO溶液であった。定電流データは、1.00〜4.2Vの電圧限界の間でおおよその電流密度0.2mA/cmで収集された。Naイオンセルが完全に充電されたことを確認するために、電流密度が定電流値の10%に低下するまで、定電流充電プロセスの終了時に、セルは4.2Vにおいて定電位保持された。試験は30℃で行った。
【0053】
セル充電プロセス中に、ナトリウムイオンがカソード活物質から抽出され、硬質炭素アノードに挿入される。後続の放電プロセス中に、ナトリウムイオンは、硬質炭素から抽出され、カソード活物質に再挿入される。
【0054】
図4(B)は、硬質炭素//Na0.67Ni0.25Mn0.667Mg0.083セルの最初の4充放電サイクルの場合の、セルの電圧プロファイル(即ち、Naイオンセル電圧[V]vs.累積カソード比容量[mAh/g])を示す。これらのデータは、電圧ヒステリシスのレベル(すなわち、充電プロセスと放電プロセスとの間の電圧差)は小さいことを実証し、Naイオン抽出挿入反応の優れた運動可逆性を示す。加えて、充放電電圧プロファイルの一般的に対称的な性質は、抽出−挿入反応の優れた可逆性を確認する。
【0055】
図4(C)は、定電流サイクル寿命プロファイル、すなわち、放電のためのカソード比容量[mAh/g]と硬質炭素//P2−Na0.67Ni0.25Mn0.667Mg0.083のためのサイクル数との間の関係、を示す。サイクル1の場合、カソードのための放電比容量は約96mAh/gである。サイクル30の場合、カソードのための放電比容量は約95mAh/gである。これは、30サイクルにわたり約1.0%、すなわち、サイクルあたり平均0.03%、の容量フェードを表す。試験下のカソード材料は、優れた容量保持挙動を明らかに実証する。
【0056】
実施例5: P2−Na0.67Ni0.283Mn0.567Mg0.05Ti0.1
図5(A)は、Na0.67Ni0.283Mn0.567Mg0.05Ti0.1(サンプル番号X1713)のX線回折パターンを示す。パターンは、この材料は、層状P2型構造に一致する(conforms)ことを示す。
【0057】
図(Figures)5(B)〜5(C)を参照:
図5(B)〜図5(C)に示されるデータは、Naイオンセル(セル#401018)におけるP2−Na0.67Ni0.283Mn0.567Mg0.05Ti0.10カソード活物質のための定電流サイクリングデータから導出される。ここで、このカソード活物質は、硬質炭素(Carbotron P/J)アノード材料と結合していた(coupled)。使用される電解質は、プロピレンカーボネート(PC)中0.5M NaClO溶液であった。定電流データは、1.00〜4.2Vの電圧限界の間でおおよその電流密度0.2mA/cmで収集された。Naイオンセルが完全に充電されたことを確認するために、電流密度が定電流値の10%に低下するまで、定電流充電プロセスの終了時に、セルは4.2Vにおいて定電位保持された。試験は30℃で行った。
【0058】
セル充電プロセス中に、ナトリウムイオンがカソード活物質から抽出され、硬質炭素アノードに挿入される。後続の放電プロセス中に、ナトリウムイオンは、硬質炭素から抽出され、カソード活物質に再挿入される。
【0059】
図5(B)は、硬質炭素//Na0.67Ni0.283Mn0.567Mg0.05Ti0.10セルの最初の4充放電サイクルの場合の、セルの電圧プロファイル(即ち、Naイオンセル電圧[V]vs.累積カソード比容量[mAh/g])を示す。これらのデータは、電圧ヒステリシスのレベル(すなわち、充電プロセスと放電プロセスとの間の電圧差)は小さいことを実証し、Naイオン抽出挿入反応の優れた運動可逆性を示す。加えて、充放電電圧プロファイルの一般的に対称的な性質は、抽出−挿入反応の優れた可逆性を確認する。
【0060】
図5(C)は、定電流サイクル寿命プロファイル、すなわち、放電のためのカソード比容量[mAh/g]と硬質炭素//P2−Na0.67Ni0.283Mn0.567Mg0.05Ti0.10のためのサイクル数との間の関係、を示す。サイクル1の場合、カソードのための放電比容量は約97mAh/gである。サイクル30の場合、カソードのための放電比容量は約92mAh/gである。これは、30サイクルにわたり約5.2%、すなわち、サイクルあたり平均0.17%、の容量フェードを表す。試験下のカソード材料は、優れた容量保持挙動を明らかに実証する。
【0061】
実施例6: P2−Na0.70Ni0.240Mn0.533Mg0.110Ti0.117
図6(A)は、Na0.70Ni0.240Mn0.533Mg0.110Ti0.117(サンプル番号X1919)のX線回折パターンを示す。パターンは、この材料は、層状P2型構造に一致する(conforms)ことを示す。
【0062】
図(Figures)6(B)〜6(C)を参照:
図6(B)〜図6(C)に示されるデータは、Naイオンセル(セル#410001)におけるP2−Na0.70Ni0.240Mn0.533Mg0.110Ti0.117カソード活物質のための定電流サイクリングデータから導出される。ここで、このカソード活物質は、硬質炭素(Carbotron P/J)アノード材料と結合していた(coupled)。使用される電解質は、エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/プロピレンカーボネート中0.5M NaPF溶液であった。定電流データは、1.00〜4.30Vの電圧限界の間でおおよその電流密度0.2mA/cmで収集された。Naイオンセルが完全に充電されたことを確認するために、電流密度が定電流値の10%に低下するまで、定電流充電プロセスの終了時に、セルは4.3Vにおいて定電位保持された。試験は30℃で行った。
【0063】
セル充電プロセス中に、ナトリウムイオンがカソード活物質から抽出され、硬質炭素アノードに挿入される。後続の放電プロセス中に、ナトリウムイオンは、硬質炭素から抽出され、カソード活物質に再挿入される。
【0064】
図6(B)は、硬質炭素//Na0.70Ni0.240Mn0.533Mg0.110Ti0.117セルの最初の4充放電サイクルの場合の、セルの電圧プロファイル(即ち、Naイオンセル電圧[V]vs.累積カソード比容量[mAh/g])を示す。これらのデータは、電圧ヒステリシスのレベル(すなわち、充電プロセスと放電プロセスとの間の電圧差)は小さいことを実証し、Naイオン抽出挿入反応の優れた運動可逆性を示す。加えて、充放電電圧プロファイルの一般的に対称的な性質は、このカソード材料における抽出−挿入反応の優れた可逆性を確認する。
【0065】
図6(C)は、定電流サイクル寿命プロファイル、すなわち、放電のためのカソード比容量[mAh/g]と硬質炭素//P2−Na0.70Ni0.240Mn0.533Mg0.110Ti0.117のためのサイクル数との間の関係、を示す。サイクル1の場合、カソードのための放電比容量は約108mAh/gである。サイクル6の場合、カソードのための放電比容量は約108mAh/gである。これは、4サイクルにわたり約0%の容量フェードを表す。試験下のカソード材料は、優れた容量保持挙動を明らかに実証する。
【0066】
実施例7: P2−Na0.60Ni0.240Mn0.533Mg0.060Ti0.167
図7(A)は、Na0.6Ni0.240Mn0.533Mg0.060Ti0.167(サンプル番号X1921)のX線回折パターンを示す。パターンは、この材料は、層状P2型構造に一致する(conforms)ことを示す。
【0067】
図(Figures)7(B)〜7(C)を参照:
図7(B)〜図7(C)に示されるデータは、Naイオンセル(セル#410003)におけるP2−Na0.60Ni0.240Mn0.533Mg0.060Ti0.167カソード活物質のための定電流サイクリングデータから導出される。ここで、このカソード活物質は、硬質炭素(Carbotron P/J)アノード材料と結合していた(coupled)。使用される電解質は、エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/プロピレンカーボネート中0.5M NaPF溶液であった。定電流データは、1.00〜4.30Vの電圧限界の間でおおよその電流密度0.2mA/cmで収集された。Naイオンセルが完全に充電されたことを確認するために、電流密度が定電流値の10%に低下するまで、定電流充電プロセスの終了時に、セルは4.3Vにおいて定電位保持された。試験は30℃で行った。
【0068】
セル充電プロセス中に、ナトリウムイオンがカソード活物質から抽出され、硬質炭素アノードに挿入される。後続の放電プロセス中に、ナトリウムイオンは、硬質炭素から抽出され、カソード活物質に再挿入される。
【0069】
図7(B)は、硬質炭素//Na0.60Ni0.240Mn0.533Mg0.060Ti0.167セルの最初の4充放電サイクルの場合の、セルの電圧プロファイル(即ち、Naイオンセル電圧[V]vs.累積カソード比容量[mAh/g])を示す。これらのデータは、電圧ヒステリシスのレベル(すなわち、充電プロセスと放電プロセスとの間の電圧差)は小さいことを実証し、このカソード材料におけるNaイオン抽出挿入反応の優れた運動可逆性を示す
【0070】
図7(C)は、定電流サイクル寿命プロファイル、すなわち、放電のためのカソード比容量[mAh/g]と硬質炭素//P2−Na0.60Ni0.240Mn0.533Mg0.060Ti0.167のためのサイクル数との間の関係、を示す。サイクル1の場合、カソードのための放電比容量は約94mAh/gである。サイクル7の場合、カソードのための放電比容量は約91mAh/gである。これは、7サイクルにわたり約3%の容量フェードを表す。試験下のカソード材料は、優れた容量保持挙動を明らかに実証する。
【0071】
実施例8: P2−Na0.67Ni0.240Mn0.533Mg0.093Ti0.133
図8(A)は、Na0.67Ni0.240Mn0.533Mg0.093Ti0.133(サンプル番号X1922)のX線回折パターンを示す。パターンは、この材料は、層状P2型構造に一致する(conforms)ことを示す。
【0072】
図(Figures)8(B)〜8(C)を参照:
図8(B)〜図8(C)に示されるデータは、Naイオンセル(セル#410004)におけるP2−Na0.67Ni0.240Mn0.533Mg0.093Ti0.133カソード活物質のための定電流サイクリングデータから導出される。ここで、このカソード活物質は、硬質炭素(Carbotron P/J)アノード材料と結合していた(coupled)。使用される電解質は、エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/プロピレンカーボネート中0.5M NaPF溶液であった。定電流データは、1.00〜4.30Vの電圧限界の間でおおよその電流密度0.2mA/cmで収集された。Naイオンセルが完全に充電されたことを確認するために、電流密度が定電流値の10%に低下するまで、定電流充電プロセスの終了時に、セルは4.3Vにおいて定電位保持された。試験は30℃で行った。
【0073】
セル充電プロセス中に、ナトリウムイオンがカソード活物質から抽出され、硬質炭素アノードに挿入される。後続の放電プロセス中に、ナトリウムイオンは、硬質炭素から抽出され、カソード活物質に再挿入される。
【0074】
図8(B)は、硬質炭素//Na0.67Ni0.240Mn0.533Mg0.093Ti0.133セルの最初の4充放電サイクルの場合の、セルの電圧プロファイル(即ち、Naイオンセル電圧[V]vs.累積カソード比容量[mAh/g])を示す。これらのデータは、電圧ヒステリシスのレベル(すなわち、充電プロセスと放電プロセスとの間の電圧差)は小さいことを実証し、このカソード材料におけるNaイオン抽出挿入反応の優れた運動可逆性を示す
【0075】
図8(C)は、定電流サイクル寿命プロファイル、すなわち、放電のためのカソード比容量[mAh/g]と硬質炭素//P2−Na0.67Ni0.240Mn0.533Mg0.093Ti0.133のためのサイクル数との間の関係、を示す。サイクル1の場合、カソードのための放電比容量は約100mAh/gである。サイクル5の場合、カソードのための放電比容量は約99mAh/gである。これは、5サイクルにわたり約1%の容量フェードを表す。試験下のカソード材料は、優れた容量保持挙動を明らかに実証する。
【0076】
実施例9: P2−Na0.55Ni0.240Mn0.533Mg0.035Ti0.192
図9(A)は、Na0.55Ni0.240Mn0.533Mg0.035Ti0.192(サンプル番号X1923)のX線回折パターンを示す。パターンは、この材料は、層状P2型構造に一致する(conforms)ことを示す。
【0077】
図(Figures)9(B)〜9(C)を参照:
図9(B)〜図9(C)に示されるデータは、Naイオンセル(セル#410005)におけるP2−Na0.67Ni0.240Mn0.533Mg0.093Ti0.133Na0.55Ni0.240Mn0.533Mg0.035Ti0.192カソード活物質のための定電流サイクリングデータから導出される。ここで、このカソード活物質は、硬質炭素(Carbotron P/J)アノード材料と結合していた(coupled)。使用される電解質は、エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/プロピレンカーボネート中0.5M NaPF溶液であった。定電流データは、1.00〜4.30Vの電圧限界の間でおおよその電流密度0.2mA/cmで収集された。Naイオンセルが完全に充電されたことを確認するために、電流密度が定電流値の10%に低下するまで、定電流充電プロセスの終了時に、セルは4.3Vにおいて定電位保持された。試験は30℃で行った。
【0078】
セル充電プロセス中に、ナトリウムイオンがカソード活物質から抽出され、硬質炭素アノードに挿入される。後続の放電プロセス中に、ナトリウムイオンは、硬質炭素から抽出され、カソード活物質に再挿入される。
【0079】
図9(B)は、硬質炭素//Na0.55Ni0.240Mn0.533Mg0.035Ti0.192セルの最初の4充放電サイクルの場合の、セルの電圧プロファイル(即ち、Naイオンセル電圧[V]vs.累積カソード比容量[mAh/g])を示す。これらのデータは、電圧ヒステリシスのレベル(すなわち、充電プロセスと放電プロセスとの間の電圧差)は小さいことを実証し、このカソード材料におけるNaイオン抽出挿入反応の優れた運動可逆性を示す
【0080】
図9(C)は、定電流サイクル寿命プロファイル、すなわち、放電のためのカソード比容量[mAh/g]と硬質炭素//P2−Na0.55Ni0.240Mn0.533Mg0.035Ti0.192のためのサイクル数との間の関係、を示す。サイクル1の場合、カソードのための放電比容量は約93mAh/gである。サイクル4の場合、カソードのための放電比容量は約89mAh/gである。これは、4サイクルにわたり約4%の容量フェードを表す。試験下のカソード材料は、妥当な(reasonable)容量保持挙動を実証する。
【0081】
実施例10: P2−Na0.67Ni0.240Mn0.533Mg0.043Ti0.083Fe0.1
図10(A)は、Na0.67Ni0.240Mn0.533Mg0.043Ti0.083Fe0.1(サンプル番号X1926)のX線回折パターンを示す。パターンは、この材料は、層状P2型構造に一致する(conforms)ことを示す。
【0082】
図(Figures)10(B)〜10(C)を参照:
図10(B)〜図10(C)に示されるデータは、Naイオンセル(セル#410006)におけるP2−Na0.67Ni0.240Mn0.533Mg0.043Ti0.083Fe0.1カソード活物質のための定電流サイクリングデータから導出される。ここで、このカソード活物質は、硬質炭素(Carbotron P/J)アノード材料と結合していた(coupled)。使用される電解質は、エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/プロピレンカーボネート中0.5M NaPF溶液であった。定電流データは、1.00〜4.30Vの電圧限界の間でおおよその電流密度0.2mA/cmで収集された。Naイオンセルが完全に充電されたことを確認するために、電流密度が定電流値の10%に低下するまで、定電流充電プロセスの終了時に、セルは4.3Vにおいて定電位保持された。試験は30℃で行った。
【0083】
セル充電プロセス中に、ナトリウムイオンがカソード活物質から抽出され、硬質炭素アノードに挿入される。後続の放電プロセス中に、ナトリウムイオンは、硬質炭素から抽出され、カソード活物質に再挿入される。
【0084】
図10(B)は、硬質炭素//Na0.67Ni0.240Mn0.533Mg0.043Ti0.083Fe0.1セルの最初の4充放電サイクルの場合の、セルの電圧プロファイル(即ち、Naイオンセル電圧[V]vs.累積カソード比容量[mAh/g])を示す。これらのデータは、電圧ヒステリシスのレベル(すなわち、充電プロセスと放電プロセスとの間の電圧差)は小さいことを実証し、このカソード材料におけるNaイオン抽出挿入反応の優れた運動可逆性を示す
【0085】
図10(C)は、定電流サイクル寿命プロファイル、すなわち、放電のためのカソード比容量[mAh/g]と硬質炭素//P2−Na0.67Ni0.240Mn0.533Mg0.043Ti0.083Fe0.1のためのサイクル数との間の関係、を示す。サイクル1の場合、カソードのための放電比容量は約101mAh/gである。サイクル3の場合、カソードのための放電比容量は約97mAh/gである。これは、3サイクルにわたり約4%の容量フェードを表す。試験下のカソード材料は、妥当な(reasonable)容量保持挙動を実証する。
【0086】
実施例11: P2−Na0.67Ni0.240Mn0.533Mg0.043Ti0.083Al0.1
図11(A)は、Na0.67Ni0.240Mn0.533Mg0.043Ti0.083Al0.1(サンプル番号X1927)のX線回折パターンを示す。パターンは、この材料は、層状P2型構造に一致する(conforms)ことを示す。
【0087】
図(Figures)11(B)〜11(C)を参照:
図11(B)〜図11(C)に示されるデータは、Naイオンセル(セル#410007)におけるP2−Na0.67Ni0.240Mn0.533Mg0.043Ti0.083Al0.1カソード活物質のための定電流サイクリングデータから導出される。ここで、このカソード活物質は、硬質炭素(Carbotron P/J)アノード材料と結合していた(coupled)。使用される電解質は、エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/プロピレンカーボネート中0.5M NaPF溶液であった。定電流データは、1.00〜4.30Vの電圧限界の間でおおよその電流密度0.2mA/cmで収集された。Naイオンセルが完全に充電されたことを確認するために、電流密度が定電流値の10%に低下するまで、定電流充電プロセスの終了時に、セルは4.3Vにおいて定電位保持された。試験は30℃で行った。
【0088】
セル充電プロセス中に、ナトリウムイオンがカソード活物質から抽出され、硬質炭素アノードに挿入される。後続の放電プロセス中に、ナトリウムイオンは、硬質炭素から抽出され、カソード活物質に再挿入される。
【0089】
図11(B)は、硬質炭素//Na0.67Ni0.240Mn0.533Mg0.043Ti0.083Al0.1セルの最初の4充放電サイクルの場合の、セルの電圧プロファイル(即ち、Naイオンセル電圧[V]vs.累積カソード比容量[mAh/g])を示す。これらのデータは、電圧ヒステリシスのレベル(すなわち、充電プロセスと放電プロセスとの間の電圧差)は小さいことを実証し、このカソード材料におけるNaイオン抽出挿入反応の優れた運動可逆性を示す
【0090】
図11(C)は、定電流サイクル寿命プロファイル、すなわち、放電のためのカソード比容量[mAh/g]と硬質炭素//P2−Na0.67Ni0.240Mn0.533Mg0.043Ti0.083Al0.1のためのサイクル数との間の関係、を示す。サイクル1の場合、カソードのための放電比容量は約101mAh/gである。サイクル3の場合、カソードのための放電比容量は約97mAh/gである。これは、3サイクルにわたり約4%の容量フェードを表す。試験下のカソード材料は、妥当な(reasonable)容量保持挙動を実証する。
【符号の説明】
【0091】
Intensity(Counts) 強度(カウント)
Voltage/V 電圧/V
Capacity/mAh 容量/mAh
Cycle no. サイクル数

図1(A)】
図1(B)】
図1(C)】
図2(A)】
図2(B)】
図2(C)】
図3(A)】
図3(B)】
図3(C)】
図4(A)】
図4(B)】
図4(C)】
図5(A)】
図5(B)】
図5(C)】
図6(A)】
図6(B)】
図6(C)】
図7(A)】
図7(B)】
図7(C)】
図8(A)】
図8(B)】
図8(C)】
図9(A)】
図9(B)】
図9(C)】
図10(A)】
図10(B)】
図10(C)】
図11(A)】
図11(B)】
図11(C)】