特許第6564405号(P6564405)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6564405常温収縮スプライス用の改善された絶縁及び引き裂き強度を有する可撓性弾性ゴム化合物ならびにその調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6564405
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】常温収縮スプライス用の改善された絶縁及び引き裂き強度を有する可撓性弾性ゴム化合物ならびにその調製方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/16 20060101AFI20190808BHJP
   C08K 5/09 20060101ALI20190808BHJP
   C08K 3/20 20060101ALI20190808BHJP
   H02G 15/00 20060101ALI20190808BHJP
   H02G 1/14 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   C08L23/16
   C08K5/09
   C08K3/20
   H02G15/00
   H02G1/14
【請求項の数】14
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-573525(P2016-573525)
(86)(22)【出願日】2014年6月27日
(65)【公表番号】特表2017-520650(P2017-520650A)
(43)【公表日】2017年7月27日
(86)【国際出願番号】CN2014080965
(87)【国際公開番号】WO2015196454
(87)【国際公開日】20151230
【審査請求日】2017年6月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128761
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ハイヤン・ユ
(72)【発明者】
【氏名】ヤンリー・フオ
(72)【発明者】
【氏名】モハメド・エセギエ
(72)【発明者】
【氏名】サウレイ・セングプタ
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・コーゲン
【審査官】 今井 督
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第103131088(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第1903895(CN,A)
【文献】 特開2005−133042(JP,A)
【文献】 特開2002−213433(JP,A)
【文献】 特開2011−078250(JP,A)
【文献】 特開2012−214758(JP,A)
【文献】 特開2010−053212(JP,A)
【文献】 特開2011−109865(JP,A)
【文献】 実公昭63−199460(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 23/00− 23/36
C08K 3/00− 13/08
H02G 1/00− 1/16
H02G 15/00− 15/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性管を含む常温収縮物品であって、前記可撓性管が元のサイズと拡張された状態を有しており、拡張された状態において、その元のサイズの100〜600%(ただし、その元のサイズの100%である場合を除く)に径方向に伸張されるものであり、
前記可撓性管が、(A)100部のエチレン/α−オレフィンインターポリマーと、(B)100部のエチレン/α−オレフィンインターポリマー当たり20〜80部の金属酸化物と、(C)1〜10phrのα,β−不飽和カルボン酸と、(D)1〜20phrの可塑剤とを含む組成物から作製され、前記組成物が20KV/mmより大きいACBD強度および30〜70のショアA硬度を有する、常温収縮物品。
【請求項2】
(A)前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、エチレン/プロピレン/ジエン変性(EPDM)インターポリマーを含む、請求項1に記載の常温収縮物品。
【請求項3】
(A)前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、EPDMである、請求項1または2のいずれかに記載の常温収縮物品。
【請求項4】
(B)前記充填剤が、酸化マグネシウム(MgO)である、請求項1〜3のいずれかに記載の常温収縮物品。
【請求項5】
(C)前記α,β−不飽和カルボン酸が、メチルアクリル酸(MAA)及びアクリル酸からなる群から選択される、請求項1〜4のいずれかに記載の常温収縮物品。
【請求項6】
(C)前記α,β−不飽和カルボン酸が、MAAである、請求項1〜5のいずれかに記載の常温収縮物品。
【請求項7】
(E)過酸化物硬化剤、(F)抗酸化剤、(G)加工添加剤、及び(H)難燃剤のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項1〜6のいずれかに記載の常温収縮物品。
【請求項8】
(E)1〜5phrの過酸化物硬化剤、(F)0〜5phrの抗酸化剤、(G)0〜5phrの加工添加剤、及び(H)0〜50phrの難燃剤のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項1〜7のいずれかに記載の常温収縮物品。
【請求項9】
(a)20%未満の引張り歪み、(b)40N/mmより大きい引き裂き抵抗性のうちの少なくとも1つを有する、請求項1〜8のいずれかに記載の常温収縮物品。
【請求項10】
前記組成物が、硫黄を含有しないものである、請求項1〜9のいずれかに記載の常温収縮物品。
【請求項11】
外部層を有し、常温収縮スプライスを備えるケーブルであって、前記スプライスが可撓性管であって、前記ケーブルの前記外部層の周りでまた前記外部層と接触して収縮し、かつ成形及び硬化された架橋組成物を含み、前記組成物が、(A)100部のエチレン/α−オレフィンインターポリマーと、(B)100部のエチレン/α−オレフィンインターポリマー当たり20〜80部の金属酸化物と、(C)1〜10phrのα,β−不飽和カルボン酸と、(D)1〜20phrの可塑剤とを含み、前記組成物が20KV/mmより大きいACBD強度および30〜70のショアA硬度を有する、ケーブル。
【請求項12】
ケーブルをスプライスする方法であって、
(1)組成物から作製された可撓性スリーブを備える常温収縮物品を提供することであって、前記組成物が、(A)100部のエチレン/α−オレフィンインターポリマーと、(B)100部のエチレン/α−オレフィンインターポリマー当たり20〜80部の金属酸化物と、(C)1〜10phrのα,β−不飽和カルボン酸と、(D)1〜20phrの可塑剤とを含み、前記組成物が20KV/mmより大きいACBD強度および30〜70のショアA硬度を有し、前記可撓性スリーブが、支持コア上に径方向に拡張された状態で保持され、前記拡張された状態において、可撓性管がその元のサイズの100〜600%(ただし、その元のサイズの100%である場合を除く)に径方向に伸張されるものである常温収縮物品を、提供することと、
(2)前記支持コア内に、ケーブルの少なくとも一部を挿入することと、
(3)前記常温収縮物品から前記支持コアを除去することと、
(4)前記常温収縮物品が、前記ケーブルの少なくとも一部上へ収縮することを可能にすることと、を含む、方法。
【請求項13】
前記エチレン/α−オレフィンインターポリマー(A)が、EPDMを含み、前記α,β−不飽和カルボン酸が、メチルアクリル酸、アクリル酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記常温収縮物品が、(a)20%未満の引張り歪み、及び(b)40N/mmより大きい引き裂き抵抗性のうちの少なくとも1つを有する、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤーならびにスプライス及び終端器などのケーブル付属品に関する。
【背景技術】
【0002】
常温収縮(CS)スプライスは、環境因子に対する保護のためにケーブル周囲の静合を達成し、ケーブルを結束するために使用される。従来のCS製品は典型的に、エラストマーの可撓性管を備え、これは、可撓性管内から除去するように設計された支持コア上に、拡張された状態で保持される。取り付けの間、支持コアは、管が収縮して保護を必要とするワイヤーまたはケーブルと接触することを可能にするために、要求に応じて虚脱する。したがって、従来の熱収縮及び事前成型技術と比較して、常温収縮スプライスは、取り付けの容易さ及び反復性(熱、用具不要)、またより幅広いケーブルサイズ適応(部品在庫の削減)などのいくつかの利点を有する。
【0003】
拡張された状態から元の状態への十分な収縮/後退が必要とされるため、引張り回復性能における高要件があり、すなわち、低い引張永久歪みが必要とされる。
【0004】
販売されている現在の常温収縮製品は、高温加硫(HTV)及び液体シリコーンゴム(LSR)などのシリコーンゴムから作製され、該シリコーンゴムは、それらの低い分子間相互作用、及びより少ない分子の絡み合いに因り、優れた引張り回復性能を有する。しかし、かかるシリコーンゴムに基づくCS製品において、低い引き裂き抵抗性及び低い交流破断(ACBD)強度などのいくつかの欠点もある。CS製品は引き裂き抵抗性が十分でない場合、離型及び拡張プロセス中に損傷し得る。加えて、最終使用者は取り付けまたは使用中、引き裂きの失敗を報告している。部品の実用期間中に部品が伸張したままのため、取り付けの間鋭利な物により惹起された場合、またはその実用期間中に周囲環境から巻き込まれた場合、低い引き裂き強度が結果として急速な亀裂伝播になると信じられている。また、高ACBD強度は、接続寿命のためのケーブル付属品用途における重要な要件である。
【0005】
優れた引張り回復性能、及び低い引き裂き抵抗性、ならびに低いACBD強度を有する改善された常温収縮材料の必要性がある。
【発明の概要】
【0006】
一実施形態において、本発明は、組成物であって、該組成物は、
(A)エチレン/α−オレフィンインターポリマーと、
(B)充填剤と、
(C)α,β−不飽和カルボン酸と、を含む。
【0007】
組成物は可塑剤、過酸化物硬化剤、抗酸化剤、加工添加剤、難燃剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される添加剤を任意に含み得る。
【0008】
一実施形態において、本発明は、組成物から作製された常温収縮物品であり、該組成物は、
(A)エチレン/α−オレフィンインターポリマーと、
(B)充填剤と、
(C)α,β−不飽和カルボン酸と、を含む。
【0009】
組成物は可塑剤、過酸化物硬化剤、抗酸化剤、加工添加剤、難燃剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される添加剤を任意に含み得る。
【0010】
一実施形態において、本発明は常温収縮物品であり、該常温収縮物品は成形、伸張、及び硬化された組成物を含み、該組成物は(A)エチレン/α−オレフィンインターポリマーと、(B)充填剤と、(C)α,β−不飽和カルボン酸と、任意に1つ以上の添加剤と、を含む。
【0011】
実施形態において、本発明は常温収縮スプライスを備えるケーブルであり、該スプライスは成形、硬化、及び収縮された組成物を含み、該組成物が、(A)エチレン/α−オレフィンインターポリマーと、(B)充填剤と、(C)α,β−不飽和カルボン酸と、任意に1つ以上の添加剤と、を含む。
【発明を実施するための形態】
【0012】
定義
元素周期表に対する全ての参考文献は、CRC Press,Inc.,1990により公開及び著作権保護された元素周期表に言及する。また、族(複数可)に対する任意の参考文献は、族の番号付けに関してIUPACシステムを使用したこの元素周期表に反映された族(複数可)とする。そうでないと記述されないか、文脈から暗示されないか、または当技術分野において慣例でない限り、全ての部及びパーセントは、重量に基づき、全ての試験方法は、本開示の出願日現在のものである。米国特許実務のため、参照した任意の特許、特許出願、または公開の内容を、特に合成技術、製品及び加工設計、ポリマー、触媒、定義(本開示において具体的に提供される任意の定義と矛盾しない程度に)の開示及び当技術分野における一般知識に関して、参照によりそれらの全体を本明細書に組み込む(またはその等価な米国バージョンを参照により同様に組み込む)。
【0013】
本開示における数値の範囲は、おおよそであり、よって別途示されない限り範囲外の値を含み得る。数値の範囲は、1単位の増分で、その値を含むより低い値及び上限値の全ての値を含むが、但し、任意のより低い値から上限値間で少なくとも2つの単位の隔たりがあることを条件とする。例として、例えば分子量、粘度、溶融指数などの組成的、物理的、または他の特性が100〜1,000である場合、100、101、102などの全ての個別の値及び100〜144、155〜170、197〜200などの部分範囲が、明らかに列挙されることを意図する。1未満の値を含むか、または1より大きい小数(例えば、1.1、1.5等)を含む範囲について、1単位は、必要に応じて、0.0001、0.001、0.01、または0.1であると見なされる。10より小さい一桁の数(例えば、1〜5)を含む範囲について、1単位は典型的に、0.1と見なされる。これらは、具体的に意図する例に過ぎず、列挙された下限値と上限値との間の数値の可能な全ての組み合せは、本開示において明らかに記述されていると見なされる。数値の範囲は、とりわけ、本発明の組成物の構成成分の密度及び溶融指数に関して本開示内で提供される。
【0014】
別途具体的に示されない限り、化学化合物に関して使用されるような単数形は、全ての異性体形態を含み、その逆も同様である(例えば、「ヘキサン」は、ヘキサンの全ての異性体を個別にまたは集合的に含む)。用語「化合物」及び「錯体」は、互換的に用いられて、有機、無機、及び有機金属化合物を指す。用語「原子」は、同じであるかないかに関わらず変化もしくは部分変化を有するか、または別の原子へ結合される、イオン性状態に関係なく元素の最も小さい組成成分を指す。用語「非晶性」は、示差走査熱量測定(DSC)または等価な技術により決定されるとき、結晶溶融点を欠如するポリマーを指す。
【0015】
用語「または」は、別途記述されない限り、列挙された要素を個別的に、ならびに任意の組み合せで指す。
【0016】
「組成物」、「配合物」、及び類似の用語は、2つ以上の構成成分の混合物またはブレンドを意味する。
【0017】
「架橋された」、「硬化された」、及び類似の用語は、ポリマーが物品に成形される前か後に、架橋を誘発し、10〜100重量%のキシレンまたはデカレン抽出可能物(すなわち、0〜90%のゲル含有量)を有する処理剤にかけられたか、または曝露されたかを意味する。
【0018】
「ブレンド」、「ポリマーブレンド」、及び類似の用語は、2つ以上のポリマーのブレンドを意味する。かかるブレンドは、混和性であっても、混和性でなくてもよい。かかるブレンドは、相分離していても、相分離していなくてもよい。かかるブレンドは、透過電子分光法、光散乱法、X線散乱法、及び当技術分野において既知の任意の他の方法により決定されるような1つ以上のドメイン構成を含んでも、含まなくてもよい。
【0019】
「ポリマー」は、同じタイプかまたは異なるタイプかに関わらず、モノマーを重合することにより調製された化合物を意味する。よって、総称ポリマーは、たった1つのタイプのモノマーから調製されたポリマーを指すために通常用いられる用語ホモポリマー、及び以下で定義されるような用語インターポリマーを包含する。それは、例えばランダム、ブロック、均質、異質などの、インターポリマーの全ての形態も包含する。用語「エチレン/アルファ−オレフィンポリマー」及び「プロピレン/アルファ−オレフィンポリマー」は、以下で記載されるようなインターポリマーを示す。
【0020】
「インターポリマー」及び「コポリマー」は、少なくとも2つの異なるタイプのモノマーの重合により調製されたポリマーを意味する。これらの総称は、従来のコポリマーの両方、すなわち、2つの異なるタイプのモノマーから調製されたポリマー、及び2つを超える異なるタイプのモノマーから調製されたポリマー、例えば、ターポリマー、テトラポリマーなどを含む。
【0021】
「エラストマー」は、その元の長さの少なくとも2倍に伸張され得、伸張を及ぼす力が解放されるとその元のおよその長さに非常に急速に後退するゴムのようなポリマーである。エラストマーは、室温で未架橋の状態で、ASTM D638−72.EP274888法を使用した、約10,000psi(68.95MPa)以下の弾性率及び通常200%超の伸長度を有する。
【0022】
「エチレン系ポリマー」及び類似の用語は、大部分の重量パーセントが重合したエチレンモノマー(重合可能なモノマーの総重量に基づく)を含み、少なくとも1つの重合コモノマーを任意に含み得るポリマーを意味する。
【0023】
「エチレン/α−オレフィンエラストマー」及び類似の用語は、少なくとも50mol%のエチレン由来単位及びゼロ超〜50mol%のα−オレフィン由来単位、例えばプロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテンなどを含む弾性ポリマーを意味する。「〜由来」は、本定義の文脈において、ポリマー主鎖及び/またはポリマー分岐中の単位が、ポリマーが作製されるモノマーの重合または共重合から得られたことを意味する。
【0024】
「エチレン−プロピレン−ジエンポリマー」及び「EPDM」は、エチレン、プロピレン、及びジエン由来単位で構成される不飽和インターポリマー鎖を意味する。
【0025】
「エチレン由来単位」及び類似の用語は、エチレンモノマーの重合から形成したポリマーの単位を意味する。
【0026】
「α−オレフィン由来単位」及び類似の用語は、α−オレフィンモノマーの重合から形成したポリマーの単位を意味する。
【0027】
「ケーブル」、「電力ケーブル」、及び類似の用語は、保護絶縁体、ジャケット、またはシース内の少なくとも1つのワイヤーまたは光学繊維を意味する。典型的に、ケーブルは、共通した保護絶縁体、ジャケット、またはシース内で典型的に一緒に拘束された2つ以上のワイヤーまたは光学繊維である。ジャケット内の個別のワイヤーまたは繊維は、そのままであり得るか、覆われ得るか、または絶縁され得る。組み合わされたケーブルは、電気ワイヤー及び光学繊維の両方を含有し得る。ケーブルなどは、低圧、中圧、及び高圧用途のために設計され得る。典型的なケーブル設計は、米国特許第5,246,783号、同第6,496,629号、及び同第6,714,707号に例示される。
【0028】
「常温収縮」及び類似の用語は、拡張または事前伸張され、かつ除去式支持プラスチックコア上に組み立てられた因子である、高性能物理的特性を有するエラストマーから主に作製された開放端スリーブを指す。常温収縮管材は、取り付けプロセス中、その支持コアが除去されると収縮する。一実施形態において、電気技師が、継合または終結されるべきケーブル上に管を滑動させ、コアを解き、これにより、所定の配置における管の虚脱または収縮を引き起こす。
【0029】
エチレン/α−オレフィンインターポリマー
本発明の実践で使用されるエチレン系ポリマーは、ジエンを任意に含み得る少なくとも1つのエチレン/α−オレフィンインターポリマーを含み、かかるインターポリマーは、少なくとも2つの異なるモノマーからのポリマー重合を含む。それらには例えば、コポリマー、ターポリマー、及びテトラポリマーが含まれる。インターポリマーは特に、少なくとも1つのコモノマー、典型的に、3〜20個の炭素原子(C−C20)、好ましくは4〜20個の炭素原子(C−C20)、より好ましくは4〜12個の炭素原子(C−C12)、またさらにより好ましくは4〜8個の炭素原子(C−C)のアルファ−オレフィン(α−オレフィン)とエチレンを重合することにより調製されたポリマーを含む。アルファ−オレフィンには、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、及び1−オクテンが含まれるが、これらに限定されない。好ましいアルファ−オレフィンには、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、及び1−オクテンが含まれる。アルファ−オレフィンは望ましくは、C−Cアルファ−オレフィンである。
【0030】
α−オレフィンは、3−シクロヘキシル−1−プロペン(アリルシクロヘキサン)及びビニルシクロヘキサンなどのα−オレフィンをもたらす、シクロヘキサンまたはシクロペンタンなどの環状構造も含有し得る。用語の従来の意味ではα−オレフィンではないが、本発明の目的に関して、ノルボルネン及び関連オレフィンなどの特定の環状オレフィンは、α−オレフィンであり、上述されるα−オレフィンのいくつかまたは全ての所定の配置で使用され得る。同様に、スチレン及びその関連オレフィン(例えば、α−メチルスチレンなど)は、本発明の目的に関して、α−オレフィンである。例示的なポリエチレンコポリマーには、エチレン/プロピレン、エチレン/ブテン、エチレン/1−ヘキセン、エチレン/1−オクテン、エチレン/スチレンなどが含まれる。例示的なターポリマーには、エチレン/プロピレン/1−オクテン、エチレン/プロピレン/ブテン、エチレン/ブテン/1−オクテン、及びエチレン/ブテン/スチレンが含まれる。コポリマーは、ランダムまたはブロック状であり得る。
【0031】
本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、分岐された及び/または分岐していないインターポリマーであり得る。エチレン/α−オレフィンインターポリマー内の分岐の存在または非存在、及び分岐が存在する場合、分岐の量広く変動し得、所望される加工状態及び所望されるポリマーの特性に依存し得る。
【0032】
インターポリマーには、エチレン/ブテン(EB)コポリマー、エチレン/ヘキセン(EH)、エチレン/オクテン(EO)コポリマー、エチレン/プロピレン/ジエン変性(EPDM)インターポリマーなどのエチレン/α−オレフィン/ジエン変性(EAODM)インターポリマー、及びエチレン/プロピレン/オクテンターポリマーが含まれる。好ましいインターポリマーには、EPDMインターポリマーが含まれる。
【0033】
EPDMインターポリマーはジエン由来単位を含む。ジエンは、6〜15個の炭素原子を有する共役、非共役、直鎖、分岐鎖、または環状の炭化水素ジエンであり得る。好適なジエンの非限定的な例には、1,4−ヘキサジエン;1,6−オクタジエン;1,7−オクタジエン;1,9−デカジエン;5−メチル−1,4−ヘキサジエンなどの分岐鎖非環状ジエン;3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン;3,7−ジメチル−1,7−オクタジエン、及び1,3−シクロペンタジエンなどの、ジヒドロミリセン及びジヒドロオシネンの単環式脂環状ジエンの混合異性体;1,4−シクロヘキサジエン;1,5−シクロオクタジエン及び1,5−シクロドデカジエン、ならびにテトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン、ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタ−2,5−ジエンなどの複環式脂環状縮合及び架橋環ジエン;アルケニル、アルキリデン、シクロアルケニル、及び5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)などのシクロアルキリデンノルボルネン;5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−(4−シクロペンテニル)−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、ノルボルナジエン、1,4−ヘキサジエン(HD)、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、5−ビニリデン−2−ノルボルネン(VNB)、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)、さらにジシクロペンタジエン(DCPD)が含まれる。一実施形態において、ジエンは、VNB及びENBから選択される。一実施形態において、ジエンは、ブタジエンである。
【0034】
概して、インターポリマーのα−オレフィン含有量が多いほど、結晶化度はより低い。一実施形態において、本発明で有用なエチレン/α−オレフィンインターポリマーは非晶性であり、示差走査熱量測定(DSC)により測定されるとき、10%以下、または好ましくは5%以下、または2%以下の結晶化度を有する。
【0035】
実施形態において、本発明での使用に適したエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、ASTM D−0138(190℃/2.16kg)に従って測定されるとき、約100g/10分未満、好ましくは約75g/10分未満、より好ましくは約50g/10分未満、さらにより好ましくは約35g/10分未満、またさらにより好ましくは20g/10分未満の溶融指数(MIまたはI)を有する。最低でも、インターポリマーのMIは、約0.01g/10分、好ましくは約0.05g/10分、またさらにより好ましくは約0.08g/10分である。
【0036】
実施形態において、本発明での使用に適したエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、約0.5〜30、及び好ましくは約2〜2.5の分子量分布(MWD)を有する。
【0037】
実施形態において、本発明での使用に適したエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、20以下のムーニー粘度範囲を有する。
【0038】
一実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーはEPDMを含む。好ましい実施形態において、EPDMは60%以下、より好ましくは50%以下のエチレン含有量を有する。好ましい実施形態において、EPDMはジエン含有量を有する。
【0039】
実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、エチレン/α−オレフィンインターポリマーのブレンドを含み得る。
【0040】
エチレン/α−オレフィンは、本明細書で記載されるような2つ以上の実施形態を含み得る。
【0041】
金属含有充填剤
本発明の実践で使用される充填剤は、典型的に塩基性金属化合物を含む。例示的な充填剤には、二酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、ケイ素、アルミニウム、ナトリウム、及びカリウムの酸化物、ならびに他の二酸化ケイ素などの金属酸化物または水酸化物;ケイ酸アルミニウム;炭酸カルシウム及び金属含有化合物などの金属塩が含まれるが、これらに限定されない。これらの充填剤は、独立して使用されるか、または1つ以上の互いと併せて使用され得る。
【0042】
実施形態において、金属含有充填剤は好ましくは、アルカリ金属(例えば、Li、Na)の酸化物または水酸化物、アルカリ土類金属(例えば、Mg)、またはZnである。
【0043】
好ましくは金属含有充填剤は、マイクロまたはナノスケールではあるが、金属含有充填剤の粒子サイズは特に限定しない。
【0044】
一実施形態において、充填剤は、酸化マグネシウム(MgO)、酸化亜鉛(ZnO)、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、炭酸カルシウム(CaCO)、炭酸ナトリウム(NaCO)、またはそれらの組み合わせを含む。好ましくは、充填剤はMgOを含む。
【0045】
金属含有充填剤は、本明細書で記載されるような2つ以上の実施形態を含み得る。
【0046】
α,β−不飽和カルボン酸
本発明の実践で使用されるα,β−不飽和カルボン酸は、少なくとも1つのα,β−不飽和カルボン酸を含む。かかるα,β−不飽和カルボン酸は、例えば、C〜C20のα,β−不飽和(エチレン性不飽和)カルボン酸、好ましくはメチルアクリル酸及びアクリル酸を含む。好ましい実施形態において、本発明で有用なα,β−不飽和カルボン酸は、C〜C10の炭素鎖を有する。
【0047】
実施形態において、α,β−不飽和カルボン酸は、MAA、アクリル酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0048】
α,β−不飽和カルボン酸は望ましくは、メチルアクリル酸(MAA)である。
【0049】
α,β−不飽和カルボン酸は、本明細書で記載されるような2つ以上の実施形態を含み得る。
【0050】
硬化剤
本発明の組成物の架橋を促進するであろう任意の過酸化物は、本発明の実践で使用され得る。例示的な過酸化物は、過酸化ジクミル;ビス(アルファ−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン;イソプロピルクミルt−ブチル過酸化物;t−ブチルクミル過酸化物;ジ−t−ブチル過酸化物;2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)2,5−ジメチルヘキサン;2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)2,5−ジメチルヘキサン−3;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロ−ヘキサン;イソプロピルクミルクミル過酸化物;ジ(イソプロピルクミル)過酸化物;またはそれらの混合物を含む。好ましくは、過酸化物硬化剤は有機過酸化物である。
【0051】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物の架橋のための過酸化物の用途の選択肢として、またはそれに加えて、ポリマーの架橋のため他の手法は、架橋の所望される程度をもたらすために使用され得る。かかる手法及び技術は当業者に既知であり、放射線架橋、湿気架橋、ビスルホニルアジド(bisulfonyl azide)架橋などを含む(しかし、これらに限定されない)。いくつかの場合において、本発明の実践で使用されるエチレン及び/またはプロピレンポリマーが、適切に官能化され、架橋を(例えば、湿気架橋の場合、アルコキシシランで)可能にすることは必要であろう。
【0052】
硬化剤は、本明細書で記載されるような2つ以上の実施形態を含み得る。
【0053】
添加剤及び充填剤
本発明の組成物は、1つ以上の添加剤及び/または充填剤を任意に含み得る。適した添加剤の非限定的な例には、可塑剤また具体的に液体可塑剤(パラフィン油など)、硬化増進剤及び難焦剤、加工助剤、結合剤、掃酸剤、熱安定剤、光安定剤(例えば、紫外線光安定剤及び吸収剤)、光学光沢剤、帯電防止剤、潤滑剤、抗酸化剤、触媒、レオロジー改質剤、殺生物剤、腐食抑制剤、脱水機器、有機溶剤、着色剤(例えば、色素及び染料)、界面活性剤抗遮断剤、ワックス、粘着付与剤、上述されるブロック複合核剤に加えて造核剤、難燃剤、及びそれらの組み合わせが含まれる。充填剤の非限定的な例には、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、滑石、炭酸カルシウム、カーボンブラック、アルミノケイ酸塩、粘土、ゼオライト、セラミックス、雲母、二酸化チタン、及びそれらの組み合わせが含まれる。添加剤及び/または充填剤のタイプ及び量は、組成物の製造、貯蔵、使用及び/または経済的側面を最大限にするために選択される。
【0054】
防焦剤は、2,2,6,6−テトラメチルピペリジノキシル(TEMPO)及び4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジノキシル(4−ヒドロキシTEMPO)を含む。好適な紫外線光安定剤には、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)及び紫外線光吸収剤(UVA)添加剤が含まれる。代表的なUVA添加剤には、Ciba,Inc.から市販される、Tinuvin 326及びTinuvin 328などのベンゾトリアゾールタイプが含まれる。HALS及びUVA添加剤のブレンドも、効果的である。抗酸化剤の例には、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ−シンナメート)]メタンなどのヒンダードフェノール;ビス[(ベータ−(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)メチルカルボキシ−エチル)]−スルフィド、4,4′−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−チオビス(2−tert−ブチル−5−メチルフェノール)、2,2′−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、及びチオジエチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)−ヒドロシンナメート;トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)亜リン酸エステル及びジ−tert−ブチルフェニル−亜ホスホン酸エステルなどの亜リン酸エステル及び亜ホスホン酸エステル;ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、及びジステアリルチオジプロピオネートなどのチオ化合物;多様なシロキサン;重合2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、n,n′−ビス(1,4−ジメチルペンチル−p−フェニレンジアミン)、アルキル化ジフェニルアミン、4,4′−ビス−(アルファ、アルファ−ジメチルベンジル)−ジフェニルアミン、ジフェニル−p−フェニレンジアミン、混合ジ−アリール−p−フェニレンジアミン、ならびに他のヒンダードアミン抗劣化剤または安定剤が含まれる。加工助剤の例には、亜鉛ステアリン酸塩またはカルシウムステアリン酸塩などのカルボン酸の金属塩;ステアリン酸、オレイン酸、またはエルカ酸などの脂肪酸;ステアルアミド、オレアミド、エルカミド、またはN,N′−エチレンビス−ステアルアミドなどの脂肪アミド;ポリエチレンワックス;酸化ポリエチレンワックス;エチレンオキシドのポリマー;エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのコポリマー;植物性ワックス;石油ワックス;ならびに非イオン性界面活性剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0055】
常温収縮組成物
実施形態において、CS組成物は、
(A)エチレン/α−オレフィンインターポリマーと、
(B)充填剤と、
(C)α,β−不飽和カルボン酸と、を含む。
【0056】
エチレン/α−オレフィンインターポリマー、充填剤、及びα,β−不飽和カルボン酸は、本明細書で記載されるような任意のエチレン/α−オレフィンインターポリマー、充填剤、及びα,β−不飽和カルボン酸、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0057】
実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーはEPDMを含む。好ましくは、エチレン/α−オレフィンインターポリマーはEPDMである。
【0058】
実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーはEPDMからなる。
【0059】
実施形態において、充填剤は、MgO、ZnO、Mg(OH)、CaCO、NaCO、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。好ましくは、充填剤はMgOを含む。
【0060】
実施形態において、充填剤はMgOからなる。
【0061】
実施形態において、CS組成物は、100重量部のエチレン/α−オレフィンインターポリマー当たり20〜100重量部(phr)、または好ましくは20〜80重量部、またはより好ましくは35〜80重量部の充填剤を含む。
【0062】
実施形態において、α,β−不飽和カルボン酸は、MAA、アクリル酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0063】
実施形態において、α,β−不飽和カルボン酸はMAAを含む。好ましくは、α,β−不飽和カルボン酸はMAAである。
【0064】
実施形態において、α,β−不飽和カルボン酸はMAAからなる。
【0065】
実施形態において、CS組成物は、100重量部のエチレン/α−オレフィンインターポリマー当たり1〜20重量部(phr)、または好ましくは1〜10重量部のα,β−不飽和カルボン酸を含む。
【0066】
実施形態において、CS組成物は、
(A)100重量部のエチレン/α−オレフィンインターポリマーと、
(B)20〜80phrの充填剤と、
(C)1〜20phrのα,β−不飽和カルボン酸と、を含む。
【0067】
好ましい実施形態において、CS組成物は、100部のEPDM、20〜80phrのMgO、及び1〜20phrのMAAを含む。
【0068】
実施形態において、CS組成物は、本明細書で記載されるような添加剤または添加剤の混合物も含み得る。好ましい実施形態において、CS組成物は可塑剤添加物を含む。実施形態において、可塑剤添加物はパラフィン油である。
【0069】
実施形態において、CS組成物は、1〜20phrの可塑剤、または好ましくは5〜10phrの可塑剤を含む。好ましい実施形態において、CS組成物は、1〜20phrのパラフィン油、または好ましくは5〜10phrのパラフィン油を含む。
【0070】
実施形態において、CS組成物は、本明細書で記載されるような過酸化物硬化剤も含み得る。過酸化物硬化剤は、本明細書で記載されるような1つの過酸化物硬化剤、または2つ以上の過酸化物硬化剤の混合物であり得る。
【0071】
実施形態において、CS組成物は、1〜5phrの過酸化物硬化剤、または好ましくは2〜4phrの過酸化物硬化剤を含む。
【0072】
実施形態において、CS組成物は、抗酸化剤、加工添加剤、及び/または難燃剤などの、本明細書で記載されるような追加の添加剤を任意に含む。実施形態において、CS組成物は抗酸化剤、加工添加剤、及び難燃剤のうちの少なくとも1つ、好ましくは2つ、またより好ましくは3つ全てを含む。好ましい実施形態において、CS組成物は、0〜5phrの抗酸化剤、0〜5phrの加工添加剤、及び/または0〜50phrの難燃剤を含む。実施形態において、CS組成物は、好ましくは0〜2phrの抗酸化剤を含む。実施形態において、CS組成物は、好ましくは0〜3phrの加工添加剤を含む。
【0073】
一実施形態において、本発明は組成物であって、該組成物が、
(A)100重量部のエチレン/α−オレフィンインターポリマーと、
(B)20〜80phrの充填剤と、
(C)1〜20phrのα,β−不飽和カルボン酸と、
(D)1〜20phrの可塑剤と、
(E)1〜5phrの過酸化物硬化剤と、
(F)0〜5phrの抗酸化剤と、
(G)0〜5phrの加工添加剤と、
(H)0〜50phrの難燃剤と、を含む。
【0074】
好ましくは、本発明はCS組成物であって、該CS組成物が、
(A)100重量部のEPDMと、
(B)20〜80phrのMgOと、
(C)1〜20phrのMAAと、
(D)1〜20phrの可塑剤と、
(E)1〜5phrの過酸化物硬化剤と、
(F)0〜5phrの抗酸化剤と、
(G)0〜5phrの加工添加剤と、
(H)0〜50phrの難燃剤と、を含む。
【0075】
驚くべきことに、常温収縮組成物は、改善された引き裂き抵抗性及びACBD強度を示すが、一方で、伝統的なCS製品で認められた引張り歪み性能を維持する。
【0076】
いずれの特定の理論にも拘束されるものではないが、MAAが、二官能分子として、過酸化物の存在下でイオノマーを形成しながらMgOと反応し、EPDMポリマー主鎖にグラフト化すると考えられている。MAAは結合剤として作用し、EPDM鎖の間で架橋を増進する。結果として、ポリマー−充填剤相互作用(すなわち、EPDM−MgO相互作用)は強化され、架橋度が増加し、優れた機械的特性に寄与する。
【0077】
実施形態において、本発明の組成物は、0.4%未満、または好ましくは0.3%未満、またはより好ましくは0.2%以下、またはさらにより好ましくは0.2%未満の、30℃での散逸率、Df(30)を有する。
【0078】
実施形態において、本発明の組成物は、1%未満、または好ましくは0.8%未満、またはより好ましくは0.6%未満、またはさらにより好ましくは0.4%以下の、90℃での散逸率、Df(90)を有する。
【0079】
実施形態において、本発明の組成物は、2〜3の30℃での誘電定数、Dk(30)を有する。
【0080】
実施形態において、本発明の組成物は、2〜3の90℃での誘電定数、Dk(90)を有する。
【0081】
実施形態において、本発明の組成物は、20KV/mmより大きい、またはより好ましくは25KV/mmより大きい、またはさらにより好ましくは30KV/mmより大きいACBD強度を有する。
【0082】
実施形態において、本発明の組成物は、40N/mmよりも大きい、または好ましくは44N/mmよりも大きい、またはより好ましくは50N/mmよりも大きい、またはさらにより好ましくは60N/mmよりも大きい引き裂き抵抗性を有する。
【0083】
実施形態において、本発明の組成物は、6.0MPaよりも大きい、または好ましくは6.5MPaよりも大きい、またはより好ましくは7.0MPaよりも大きい、またはさらにより好ましくは8.0MPaよりも大きい引張り強度を有する。
【0084】
実施形態において、本発明の組成物は、300%より大きい、または好ましくは400%より大きい、またはより好ましくは450%より大きい破断での伸長度を有する。
【0085】
実施形態において、本発明の組成物は、20%未満、または好ましくは19%未満、またはより好ましくは18.5%以下、またはさらにより好ましくは18%以下の引張り歪みを有する。
【0086】
実施形態において、本発明の組成物は、0.5〜5、または好ましくは0.5〜2.5の100%の引張り歪み率を有する。
【0087】
実施形態において、本発明の組成物は、30〜70、または好ましくは35〜55のショアA硬度を有する。
【0088】
実施形態において、本発明の組成物は好ましくは、(a)20%未満の引張り歪み、(b)20KV/mmより大きいACBD強度、及び(c)40N/mmより大きい引き裂き抵抗性のうちの少なくとも1つ、または少なくとも2つ、または3つ全てを有する。好ましくは、本発明の組成物は、(a)18.5%以下、またはより好ましくは18%以下の引張り歪み、(b)25KV/mmより大きい、またはより好ましくは30KV/mmより大きいACBD強度、及び(c)50N/mmより大きい、またはより好ましくは60N/mmよりも大きい引き裂き抵抗性の少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つ全てを有する。
【0089】
CS組成物は、本明細書で記載されるような2つ以上の実施形態を含み得る。
【0090】
調合
本発明の組成物は既知の組成物として溶融ブレンドされ、同じ様式で使用される。組成物を溶融ブレンドすることは、当業者に既知である標準手段によりもたらされ得る。溶融ブレンド器具の例は、BANBURY(商標)、BOLLING(商標)、またはHAAKE(商標)密閉式混合機などの密閉式バッチ混合機である。あるいは、FARREL(商標)連続的混合機、COPERION(商標)二軸混合機、またはBUSS(商標)混練連続押し出し機などの、連続的単一または二軸混合機が使用され得る。構成成分は、温度で、かつ混合物を完全に均質化するのに十分である時間の長さの間、混合される。活用される混合機のタイプ及び混合機の操作条件は、粘度、体積抵抗、及び押し出された表面平滑度などの本組成物の特性に影響を与えるであろう。
【0091】
一実施形態において、(A)エチレン/α−オレフィンインターポリマー、(B)金属含有充填剤、及び(C)α,β−不飽和カルボン酸、ならびに任意の添加剤が、典型的に記載される手順で適切な調合器具において、早期架橋を誘発しないように留意しながら混合されて混合物を取得する。次いで、混合物は、押し出すかまたは成型することにより所望される形に形成され、次いで、硬化される(または、少なくとも部分的に硬化される)。成型物品の場合、典型的にそれは、型で少なくとも部分的に硬化される。次いで、物品は典型的に、型から除去され(成型された場合)、所望されるサイズに伸張され(典型的に軸方向に)、使用準備が整うまで、機械的手段(支持コアなど)により伸張された状態で保持される。一実施形態において、物品は、押し出しまたは成型操作の完了後に硬化し続ける。
【0092】
常温収縮物品
実施形態において、本発明は、架橋組成物から作製された常温収縮物品であって、該組成物は、
(A)エチレン/α−オレフィンインターポリマーと、
(B)金属含有充填剤と、
(C)α,β−不飽和カルボン酸と、を含む。
【0093】
実施形態において、組成物は可塑剤、過酸化物硬化剤、抗酸化剤、加工添加剤、難燃剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の添加剤を任意に含み得る。
【0094】
実施形態において、常温収縮物品の少なくとも一部は、本明細書で記載されるようなCS組成物から作製される。常温収縮物品の少なくとも一部を形成するCS組成物は、本明細書で記載されるような2つ以上の実施形態を含み得る。
【0095】
実施形態において、常温収縮物品は、可撓性管の形態であり、少なくとも一部は、本明細書で記載されるようなCS組成物から作製される。
【0096】
実施形態において、本発明の可撓性管は、可撓性管内から除去するように設計された支持コア上に、径方向に拡張された状態で保持される。支持コア及び可撓性管は、可撓性管内の支持コアで、同軸方向に互いの上で重ねられる。
【0097】
本明細書で使用される場合、「拡張された状態」、及び類似の用語は、CS組成物及び/またはCS物品に関して使用されるとき、組成物または物品がその元のサイズの100〜600%に伸張されることを意味する。好ましい実施形態において、本発明に従ってCS組成物またはCS物品は、拡張された状態であるとき、その元のサイズの200〜300%に拡張される。
【0098】
実施形態において、本発明のCS物品は、好ましくは可撓性管の形態で、当技術分野において既知のプロセス及び器具を使用して製造される。CS物品が支持コア上に拡張された状態で保持される可撓性管であるとき、支持コアはポリプロピレン−、ポリ塩化ビニル、またはナイロン系材料から作製され得る。いくつかの実施形態において、支持コアが取り付けの間可撓性管から容易に除去される限り、該支持コアは螺旋または直鎖状の設計であり得る。
【0099】
実施形態において、本発明のCS物品は、0.4%未満、または好ましくは0.3%未満、またはより好ましくは0.2%以下、またはさらにより好ましくは0.2%未満の、30℃での散逸率、Df(30)を有する。
【0100】
実施形態において、本発明のCS物品は、1%未満、または好ましくは0.8%未満、またはより好ましくは0.6%未満、またはさらにより好ましくは0.4%以下の、90℃での散逸率、Df(90)を有する。
【0101】
実施形態において、本発明のCS物品は、2〜3の30℃での誘電定数を有する。
【0102】
実施形態において、本発明のCS物品は、2〜3の90℃での誘電定数を有する。
【0103】
実施形態において、本発明のCS物品は、20KV/mmより大きい、またはより好ましくは25KV/mmより大きい、またはさらにより好ましくは30KV/mmより大きいACBD強度を有する。
【0104】
実施形態において、本発明のCS物品は、40N/mmよりも大きい、または好ましくは44N/mmよりも大きい、またはより好ましくは50N/mmよりも大きい、またはさらにより好ましくは60N/mmよりも大きい引き裂き抵抗性を有する。
【0105】
実施形態において、本発明のCS物品は、6.0MPaよりも大きい、または好ましくは6.5MPaよりも大きい、またはより好ましくは7.0MPaよりも大きい、またはさらにより好ましくは8.0MPaよりも大きい引張り強度を有する。
【0106】
実施形態において、本発明のCS物品は、300%より大きい、または好ましくは400%より大きい、またはより好ましくは450%より大きい破断での伸長度を有する。
【0107】
実施形態において、本発明のCS物品は、20%未満、または好ましくは19%未満、またはより好ましくは18.5%以下、またはさらにより好ましくは18%以下の引張り歪みを有する。
【0108】
実施形態において、本発明のCS物品は、0.5〜5、または好ましくは0.5〜2.5の100%の引張り歪み率を有する。
【0109】
実施形態において、本発明のCS物品は、30〜70、または好ましくは35〜55のショアA硬度を有する。
【0110】
実施形態において、本発明のCS物品は好ましくは、(a)20%未満の引張り歪み、(b)20KV/mmより大きいACBD強度、及び(c)40N/mmより大きい引き裂き抵抗性のうちの少なくとも1つ、または少なくとも2つ、または3つ全てを有する。好ましくは、本発明の組成物は、(a)18.5%以下、またはより好ましくは18%以下の引張り歪み、(b)25KV/mmより大きい、またはより好ましくは30KV/mmより大きいACBD強度、及び(c)50N/mmより大きい、またはより好ましくは60N/mmより大きい引き裂き抵抗性の少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つ全てを有する。
【0111】
実施形態において、本発明のCS物品は、典型的なケーブル操作温度で機能するように設計される。例えば、中圧ケーブルについて、導体温度が連続的通常操作下で約90℃であるが、緊急状態の間、短い期間130℃に近づくことができる。
【0112】
常温収縮物品を作製する方法
実施形態において、本発明は常温収縮物品を作製する方法であって、この方法は、
(1)組成物を形成することであって、該組成物が、(A)エチレン/α−オレフィンインターポリマー、(B)金属含有充填剤、及び(C)α,β−不飽和カルボン酸を含む、形成することと、
(2)均質な組成物を成形物品に形成することと、
(3)成形物品を少なくとも部分的に硬化することと、
(4)硬化された成形物品を伸張させることと、
(5)機械的手段により伸張、硬化、及び成形物品を拡張された状態で保持することと、を含む。
【0113】
一実施形態において、物品は可撓性管である。さらなる実施形態において、可撓性管は常温収縮スプライスである。
【0114】
実施形態において、(1)組成物を形成するステップは、(A)エチレン/α−オレフィンインターポリマー、(B)金属含有充填剤、及び(C)α,β−不飽和カルボン酸をブレンドする溶融を含む。
【0115】
実施形態において、(2)組成物を成形物品に形成するステップは、組成物の成形物品への射出成型を含む。
【0116】
実施形態において、(5)機械的手段により伸張、硬化、及び成形物品を拡張された状態で保持するステップは、成形物品内の開口へ支持コアを挿入することを含む。
【0117】
実施形態において、本発明は、組成物から作製された常温収縮物品であって、該組成物は、
(A)エチレン/α−オレフィンインターポリマーと、
(B)金属含有充填剤と、
(C)α,β−不飽和カルボン酸と、を含む。
【0118】
一実施形態において、本発明は成形、伸張、及び硬化されたCS組成物を含む常温収縮物品であって、該組成物は、(A)エチレン/α−オレフィンインターポリマーと、(B)金属含有充填剤と、(C)α,β−不飽和カルボン酸と、任意に添加剤と、を含む。
【0119】
実施形態において、本発明は常温収縮スプライスを備えるケーブルであって、該スプライスはケーブルの外部層の周りでまた外部層と接触して収縮し、かつ成形、硬化、及び収縮されたCS組成物を含み、該組成物は(A)エチレン/α−オレフィンインターポリマー、(B)充填剤、及び(C)α,β−不飽和カルボン酸を含む。例示的なケーブルには、架橋ポリエチレンの外層及び、ゴムの外層を有するケーブルなど、例えば鉱業または産業用途において使用されるものである可撓性ケーブルを備えるケーブルが含まれるが、これらに限定されない。
【0120】
CS組成物は、本明細書で記載されるような任意の実施形態、または2つ以上の実施形態を含み得る。
【0121】
ケーブルをスプライスする方法
実施形態において、本発明は、ケーブルをスプライスする方法であって、この方法は、
(1)常温収縮物品を提供することであって、該物品の少なくとも一部が、(A)エチレン/α−オレフィンインターポリマー、(B)金属含有充填剤、及び(C)α,β−不飽和カルボン酸を含むCS組成物を含み、該常温収縮物品が、可撓性管内に配置された支持コアにより、径方向に拡張された状態で保持される可撓性管の形態である、提供することと、
(2)支持コア内に、ケーブルの少なくとも一部を挿入することと、
(3)常温収縮物品から支持コアを除去することと、
(4)常温収縮物品が、ケーブルの少なくとも一部上へ収縮することを可能にすることと、を含む。
【0122】
実施形態において、常温収縮物品は、ケーブルの外部径よりも小さい内径を有する。そのように、CS物品が収縮するとき、ケーブルの一部の周囲での良好な密封が取得されるであろう。
【0123】
実施形態において、ケーブルの少なくとも一部は、2つ以上のケーブルの間に結合部を含む。
【実施例】
【0124】
試験方法
引張り試験:引張り特性(すなわち、引張り強度、引張り伸長度、及び引張り歪み率)を、ASTM D638タイプ4に従って測定する。引張り試験はASTM D638に従って、500mm/分の速度で、INSTRON 5565引張り試験器上で実施する。引張り強度を、メガパスカル(MPa)で報告する。
【0125】
引張永久歪み測定:引張永久歪み(または引張り歪み)を、報告された1つ〜3つの伸張されておらず、かつ条件付けられた試験片を伸び歪み装置のクランプ中に配置する手順により測定する。試験片(複数可)を、断面にわたって均一に張力を配分するように試験片を留意しながら対称に調節し、試験機の握り手中に配置する。伸び歪み装置を、100%伸長度に設定し、測径両脚器を確実に使用する。試験片を、100℃の温度で22時間オーブン内に配置し、10分間室温(23℃)に取り出した。次いで、試料を、伸び歪み装置から取り出した。10分後、印付けられたゲージ間の距離を測定する。引張り歪みを、以下の等式に従って計算し、
S=100(D−G)/G
【0126】
式中、Sは、パーセントの伸び歪みであり、Dは、ゲージ印間の距離であり(事後設定)、Gは、ゲージ印間の元の距離か、または1.0インチ(25.4mm)である。
【0127】
絶縁強度及び散逸率測定:交流電流破断強度(ACBD)を、毎秒1キロボルト(1kV/s)の電圧増加速度を以って、室温でHipotronics(モデル775−5−D149−P−B)上で測定する。ACBDを、1ミリメートル当たりのキロボルト(kV/mm)で報告する。異なる温度の散逸率を、50HZの電流及び1kVの電圧を以って、Q30シリーズの器具上で測定した。試験前に、試料シートを、0.07〜0.09MPaの真空下で5日間、60℃のオーブンで事前処理する。
【0128】
ショア硬度:ショアA硬度を、ASTM D2240に従って、約6mmの厚さで試料シートを使用してInstron durometer(モデル902B)上で測定する。データを10秒の待ち時間で記録した。
【0129】
引き裂き抵抗性:引き裂き抵抗性を、ASTM D624タイプBに従って測定し、KN/mで報告する。引き裂き試験を、500mm/分の速度で、INSTRON 5565引張り試験器上で実施する。
【0130】
材料
表1は、発明の実施例及び比較の実施例のために使用された材料を示す。
【0131】
【表1】
【0132】
表2は、容易に入手可能な市販のEPDM系配合物である、1つの発明の実施例及び1つの比較の実施例の配合物を示す。
【0133】
【表2】
【0134】
エチレン−α−オレフィンインターポリマーを、約2分間、50℃でHAAKE(商標)混合機へ投入する。金属酸化物、α,β−不飽和カルボン酸、及び可塑剤を添加し、組成物をさらに5分間混合し、均一な分散を達成する。過酸化物を、混合の最終段階でその後さらに2分間添加する。
【0135】
混合後、均一な分散を達成し、圧縮成型するための1〜2mmの厚さで化合物シートを調整するために、組成物を室温で10分間二本ロール機へ移す。
【0136】
このシートをさらに、180℃で、(t90+5)分間熱圧縮機内で加硫し、t90はトルク値が可動ダイレオメーター(MDR)を使用して測定したM90に達するために、必要とされる時間であり、M90を、以下の等式を使用して計算し、
M90=ML+(MH−ML)
式中、MLは全体の試験中に測定された最も低いトルクであり、MHは最も高いトルクである。
【0137】
結果
表3は、発明の実施例及び比較の実施例の両方の性能を示す。CE−1の組成物は、表2に上述される。CE−2は、ビニル含有シリコーンゴムにより作製された市販の高温加硫(HTV)常温収縮(CS)化合物である。
【0138】
【表3】
【0139】
表3で例証されるように、IE−1及びCE−1は、同等のACBD強度及び引張り特性を示す。しかしIE−1は、30℃及び90℃でより低い散逸率を有し、より少ない電気損失があることを意味する。IE−1はまた、CE−1よりも高い破断での引張り伸長度を有し、IEのより高い膨張比を反映する。IE−1はまた、CE−1よりも低い100%の引張り歪み率を有し、低い膨張力が膨張の間必要とされ、したがって物品は損傷する可能性がより低いことを意味する。
【0140】
CE−2のHTV系配合物と比較して、2つのEPDM系配合物(IE−1及びCE−1)は、改善された(より高い)ACBD強度、及び改善された(より高い)引き裂き抵抗性を有する。高いACBD及び高引き裂き抵抗性は、CS付属品にとって重要である。IE−1、CE−1、及びCE−2のそれぞれは、20%未満の引張り歪みを有する。より低い引張り歪み値が好まれる一方で、IE−1のより高い引張り歪みは、ACBD強度及び引き裂き抵抗性におけるIE−1の著しい改善により相殺される。
【0141】
要約すると、本発明の常温収縮組成物は、現在のHTV系配合物と比較して、改善されたACBD強度及び引き裂き抵抗性を提供し、一方また、比較のEPDM系配合物よりも低い散逸率、引張り歪み率、及びショアA硬度を提供する。
なお、本発明には、以下の実施形態が包含される。
[1]組成物から作製された常温収縮物品であって、前記組成物が、(A)エチレン/α−オレフィンインターポリマーと、(B)充填剤と、(C)α,β−不飽和カルボン酸と、を含む、常温収縮物品。
[2](A)前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、エチレン/プロピレン/ジエン変性(EPDM)インターポリマーを含む、[1]に記載の常温収縮物品。
[3](A)前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、EPDMである、[1]または[2]のいずれかに記載の常温収縮物品。
[4](B)前記充填剤が、金属酸化物または水酸化物である、[1]〜[3]のいずれかに記載の常温収縮物品。
[5](B)前記充填剤が、酸化マグネシウム(MgO)である、[1]〜[4]のいずれかに記載の常温収縮物品。
[6](C)前記α,β−不飽和カルボン酸が、メチルアクリル酸(MAA)及びアクリル酸からなる群から選択される、[1]〜[5]のいずれかに記載の常温収縮物品。
[7](C)前記α,β−不飽和カルボン酸が、MAAである、[1]〜[6]のいずれかに記載の常温収縮物品。
[8](A)100部の前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーと、(B)100部のエチレン/α−オレフィンインターポリマー当たり20〜80部(phr)の前記充填剤と、(C)1〜20phrの前記α,β−不飽和カルボン酸と、を含む、[1]〜[7]のいずれかに記載の常温収縮物品。
[9](D)可塑剤、(E)過酸化物硬化剤、(F)抗酸化剤、(G)加工添加剤、及び(H)難燃剤のうちの少なくとも1つをさらに含む、[1]〜[8]のいずれかに記載の常温収縮物品。
[10](D)1〜20phrの可塑剤、(E)1〜5phrの過酸化物硬化剤、(F)0〜5phrの抗酸化剤、(G)0〜5phrの加工添加剤、及び(H)0〜50phrの難燃剤のうちの少なくとも1つをさらに含む、[1]〜[9]のいずれかに記載の常温収縮物品。
[11](a)20%未満の引張り歪み、(b)20KV/mmより大きいACBD強度、及び(c)40N/mmより大きい引き裂き抵抗性のうちの少なくとも1つを有する、[1]〜[10]のいずれかに記載の常温収縮物品。
[12]外部層を有し、常温収縮スプライスを備えるケーブルであって、前記スプライスが前記ケーブルの前記外部層の周りでまた前記外部層と接触して収縮し、かつ成形及び硬化された架橋組成物を含み、前記組成物が、(A)エチレン/α−オレフィンインターポリマーと、(B)充填剤と、(C)α,β−不飽和カルボン酸と、を含む、ケーブル。
[13]ケーブルをスプライスする方法であって、
(1)組成物から作製された可撓性スリーブを備える常温収縮物品を提供することであって、前記組成物が、(A)エチレン/α−オレフィンインターポリマーと、(B)充填剤と、(C)α,β−不飽和カルボン酸と、を含み、前記可撓性スリーブが、支持コア上に径方向に拡張された状態で保持される常温収縮物品を、提供することと、
(2)前記支持コアの内側に、ケーブルの少なくとも一部を挿入することと、
(3)前記常温収縮物品から前記支持コアを除去することと、
(4)前記常温収縮物品が、前記ケーブルの少なくとも一部上へ収縮することを可能にすることと、を含む、方法。
[14]前記エチレン/α−オレフィンインターポリマー(A)が、EPDMを含み、前記充填剤(B)が、金属含有充填剤であり、前記α,β−不飽和カルボン酸が、メチルアクリル酸、アクリル酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、[13]に記載の方法。
[15]前記常温収縮物品が、(a)20%未満の引張り歪み、(b)20KV/mmより大きいACBD強度、及び(c)40N/mmより大きい引き裂き抵抗性のうちの少なくとも1つを有する、[14]に記載の方法。