(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6564429
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】トルク調整装置
(51)【国際特許分類】
B25B 23/142 20060101AFI20190808BHJP
【FI】
B25B23/142
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-152452(P2017-152452)
(22)【出願日】2017年8月7日
(65)【公開番号】特開2019-30922(P2019-30922A)
(43)【公開日】2019年2月28日
【審査請求日】2018年5月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】514280204
【氏名又は名称】瞬豐實業有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100185694
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 隆志
(74)【代理人】
【識別番号】100071054
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 高久
(72)【発明者】
【氏名】呉逸民
【審査官】
須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−059964(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3156952(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0113936(US,A1)
【文献】
特開2001−121444(JP,A)
【文献】
実開平02−150165(JP,U)
【文献】
実開昭58−117369(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B23/14−23/159
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体(10)、係合部材(20)及び操作杆(30)を備えたトルク調整装置であって、
前記本体(10)は、トンネル(11)及び穿孔(12)を有し、前記トンネル(11)は、前記本体(10)の軸方向で延び、前記穿孔(12)は、前記本体(10)の径方向で延びて前記トンネル(11)と連通し、
前記係合部材(20)は、複数の歯(21)を外表に有するとともに、前記穿孔(12)に挿設され、前記本体(10)に対して退縮位置と延伸位置との間で往復移動し、
前記操作杆(30)は、深入端(31)を有するとともに、前記本体(10)に接続されて円周方向で往復運動し、前記深入端(31)は、前記トンネル(11)に挿通されて前記係合部材(20)と可動可能に連結され、
前記退縮位置にあるとき、前記操作杆(30)の前記深入端(31)が円周で低めの位置へ移動し、前記係合部材(20)が前記本体(10)の径方向で前記穿孔(12)に引き込まれると、前記本体(10)における各前記歯(21)の高さが低くなり、
前記延伸位置にあるとき、前記操作杆(30)の前記深入端(31)が円周で高めの位置へ移動し、前記係合部材(20)が前記本体(10)に沿って前記穿孔(12)から径方向に突出されると、前記本体(10)における各前記歯(21)の高さが高くなることを特徴とするトルク調整装置。
【請求項2】
前記トンネル(11)は、前記本体(10)の両端に軸方向で穿設され、
前記穿孔(12)は、前記本体(10)の中間部に垂直に穿設されて前記トンネル(11)と連通することを特徴とする請求項1に記載のトルク調整装置。
【請求項3】
前記本体(10)は、凸部(13)及び筒部(14)を有し、両者は皿体部(15)及び扁平部(16)を介して接続され、
前記扁平部(16)は、前記筒部(14)と前記皿体部(15)との間で前記穿孔(12)が形成され、
前記凸部(13)及び前記扁平部(16)は、前記皿体部(15)の両側に位置し、
前記深入端(31)が前記扁平部(16)の前記穿孔(12)に進入し、前記操作杆(30)が前記皿体部(15)に挿設されると、前記操作杆(30)に前記凸部(13)が外嵌され、枢軸(17)により接続されることを特徴とする請求項2に記載のトルク調整装置。
【請求項4】
前記係合部材(20)は、可動孔(22)を有し、
前記操作杆(30)の前記深入端(31)が前記扁平部(16)の前記穿孔(12)に進入すると、前記深入端(31)が前記係合部材(20)の前記可動孔(22)中に挿入され、支杆(18)が前記係合部材(20)に挿通されて前記深入端(31)を通過すると、前記操作杆(30)は、前記係合部材(20)内部に旋回可能に接続されることを特徴とする請求項3に記載のトルク調整装置。
【請求項5】
球体(40)及び弾性部材(42)をさらに備え、
トルクレンチ(60)は、ハンドル(61)、伝動杆(62)及びソケット(63)を有し、
前記ハンドル(61)は、中空状であり、
前記伝動杆(62)は、前記ハンドル(61)内に旋回可能に配設され、
前記ソケット(63)は、連続した内歯(64)を複数有するとともに、前記ハンドル(61)内に配設されて固定され、前記伝動杆(62)の外周に周設されて前記内歯(64)を支え、
前記トルク調整装置が前記トルクレンチ(60)に結合されると、前記皿体部(15)
が前記ソケット(63)により止められるまで、前記本体(10)が前記ハンドル(61)に挿入されると、前記筒部(14)が前記伝動杆(62)に嵌合され、両者が接続されて同じ方向へ旋回し、前記弾性部材(42)は、一端が前記伝動杆(62)に当接され、他端が前記球体(40)を押動して前記操作杆(30)の前記深入端(31)に接触され、前記球体(40)により前記操作杆(30)が位置決めされ、前記係合部材(20)が退縮位置にあるとき、前記歯(21)が前記ソケット(63)の前記内歯(64)から離れ、前記係合部材(20)が延伸位置に達すると、前記歯(21)が前記内歯(64)に噛合され、前記本体(10)が前記伝動杆(62)に伴って同じ方向へ旋回することを防ぐことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のトルク調整装置。
【請求項6】
前記操作杆(30)の前記深入端(31)には、凸曲面(33)が形成され、前記球体(40)が前記深入端(31)の前記凸曲面(33)に接触されることを特徴とする請求項5に記載のトルク調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トルク工具の調整に関し、特に、工具のトルク値を調整する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般のトルク工具のほとんどはトルクレンチ及びトルクドライバーである。トルクレンチ又はトルクドライバーであっても、工具のトルク値を調整するトルク調整装置を備えていることが一般的である。
【0003】
従来のトルク調整装置は種類が多く、そのうちトルク調整装置の一種は、つまみと制御リングとにより構成され、つまみの外壁にはギザギザが周設され、制御リングの内壁にもギザギザが周設されている。これらギザギザの長手方向は、制御リングの軸心と略平行であり、互いに噛み合わされてつまみが旋回することを制限する。
【0004】
つまみから力を受けて外側へ引っ張られてギザギザの噛合範囲から離脱されると、つまみを旋回させて工具のトルク値を調整することができ、つまみが再び制御リングに圧入されると、トルク値は不用意に変更されなくなる。
【0005】
つまみに球体を取付け、その球体は弾性部材によりつまみの外側へ押動される。つまみが圧入されている期間は、制御リングが球体を押圧し続け、つまみに抵抗力が生じる。つまみが外側へ引っ張られている間、球体は制御リングの制限を受けずに跳ね出やすいため、最悪の場合紛失してしまい、トルクの調整に大きな影響を与えることがあった。
【0006】
本案には、トルク工具の調整装置を改善するために本発明者が取得した台湾実用新案登録第M371616号及び台湾特許第I541108号を参考にすることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、直線運動の係合構造を利用して少なめの部品で同様の離合効果を得て、製作コストを減らし、市場競争力を高めるトルク調整装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態によれば、本体(10)、係合部材(20)及び操作杆(30)を備えたトルク調整装置であって、前記本体(10)は、トンネル(11)及び穿孔(12)を有し、前記トンネル(11)は、前記本体(10)の軸方向で延び、前記穿孔(12)は、前記本体(10)の径方向で延びて前記トンネル(11)と連通し、前記係合部材(20)は、複数の歯(21)を外表に有するとともに、前記穿孔(12)に挿設され、前記本体(10)に対して退縮位置と延伸位置との間で往復移動し、前記操作杆(30)は、深入端(31)を有するとともに、前記本体(10)に接続されて円周方向で往復運動し、前記深入端(31)は、前記トンネル(11)に挿通されて前記係合部材(20)と可動可能に連結され、前記退縮位置にあるとき、前記操作杆(30)の前記深入端(31)が円周で低めの位置へ移動し、前記係合部材(20)が前記本体(10)の径方向で前記穿孔(12)に引き込まれると、前記本体(10)における各前記歯(21)の高さが低くなり、前記延伸位置にあるとき、前記操作杆(30)の前記深入端(31)が円周で高めの位置へ移動し、前記本体(10)の径方向で前記係合部材(20)が前記穿孔(12)から突出されることを制限し、前記本体(10)における各前記歯(21)の高さが高くなることを特徴とするトルク調整装置が提供される。
【0009】
前記トンネル(11)は、前記本体(10)の両端に軸方向で穿設され、前記穿孔(12)は、前記本体(10)の中間部に垂直に穿設されて前記トンネル(11)と連通することが好ましい。
【0010】
前記本体(10)は、凸部(13)及び筒部(14)を有し、両者は皿体部(15)及び扁平部(16)を介して接続され、前記扁平部(16)は、前記筒部(14)と前記皿体部(15)との間で前記穿孔(12)が形成され、前記凸部(13)及び前記扁平部(16)は、前記皿体部(15)の両側に位置し、前記深入端(31)が前記扁平部(16)の前記穿孔(12)に進入し、前記操作杆(30)が前記皿体部(15)に挿設されると、前記操作杆(30)に前記凸部(13)が外嵌され、枢軸(17)により接続されることが好ましい。
【0011】
前記係合部材(20)は、可動孔(22)を有し、前記操作杆(30)の前記深入端(31)が前記扁平部(16)の前記穿孔(12)に進入すると、前記深入端(31)が前記係合部材(20)の前記可動孔(22)中に挿入され、支杆(18)が前記係合部材(20)に挿通されて前記深入端(31)を通過すると、前記操作杆(30)は、前記係合部材(20)内部に旋回可能に接続されることが好ましい。
【0012】
球体(40)及び弾性部材(42)をさらに備え、トルクレンチ(60)は、ハンドル(61)、伝動杆(62)及びソケット(63)を有し、前記ハンドル(61)は、中空状であり、前記伝動杆(62)は、前記ハンドル(61)内に旋回可能に配設され、前記ソケット(63)は、連続した内歯(64)を複数有するとともに、前記ハンドル(61)内に配設されて固定され、前記伝動杆(62)の外周に周設されて前記内歯(64)を支え、前記トルク調整装置が前記トルクレンチ(60)に結合されると、前記皿体部(15)が前記ソケット(63)により止められるまで、前記本体(10)が前記ハンドル(61)に挿入されると、前記筒部(14)が前記伝動杆(62)に嵌合され、両者が接続されて同じ方向へ旋回し、前記弾性部材(42)は、一端が前記伝動杆(62)に当接され、他端が前記球体(40)を押動して前記操作杆(30)の前記深入端(31)に接触され、前記球体(40)により前記操作杆(30)が位置決めされ、前記係合部材(20)が退縮位置にあるとき、前記歯(21)が前記ソケット(63)の前記内歯(64)から離れ、前記係合部材(20)が延伸位置に達すると、前記歯(21)が前記内歯(64)に噛合され、前記本体(10)が前記伝動杆(62)に伴って同じ方向へ旋回することを防ぐことが好ましい。
【0013】
前記操作杆(30)の前記深入端(31)には、凸曲面(33)が形成され、前記球体(40)が前記深入端(31)の前記凸曲面(33)に接触されることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のトルク調整装置は、トルク工具が結合され、穿孔の制限下で単一の係合部材が本体内部で直線運動を行い、工具のトルク値を調整するか否かを決定することができるため、台湾特許第I541108号の特許文献の係合部材の数より少なくても略同じ離合効果を得ることができ、またトルク調整装置の製作コストを減らすことができる上、市販する工具の市場競争力を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るトルク調整装置を工具に配置したときの状態を示す分解斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係るトルク調整装置を示す平面図である。
【
図4】
図4は、つまみとそれに対応する目盛リングとを示す分解斜視図である。
【
図5】
図5は、工具をトルク調整装置に組み合わせたときの状態を示す断面図である。
【
図8】
図8は、本発明の一実施形態に係るトルク調整装置を工具に使用するときの状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1、
図4及び
図5を参照する。
図1、
図4及び
図5に示すように、本発明の一実施形態に係るトルク調整装置は、ねじ、ナットなどの締付け具に一定のトルク値を伝える工具の一部の構造が示されている。上述した工具とは、本実施形態ではトルクレンチ60を指すが、他の実施形態ではトルクドライバー(図示せず)を指してもよい。
【0017】
さらに詳細には、トルクレンチ60は、中空状のハンドル61を有する。ハンドル61の内部には、伝動杆62、ソケット63及び目盛リング65が配設される。伝動杆62は、ハンドル61中に取り付けられた軸受71により阻まれているため、ハンドル61が離脱し難くなり、ハンドル61内部で自転する。ソケット63は、連続した複数の内歯64を有し、ソケット63がハンドル61内に配置されて固定され、これら内歯64は、ソケット63により支えられて伝動杆62の外周に設けられる。上述したソケット63は、目盛リング65に挿設され、ハンドル61に形成されたウィンドウ68に対して目盛リング65が旋回することを支える。また、ハンドル61のウィンドウ68中にレンズ69を組み込み、目盛リング65を拡大する機能を得てもよい。上述した目盛リング65は、外歯66及び複数の識別部67を有する。外歯66は、円周方向に沿って目盛リング65の外表で隆起し、互いに連続するように配列される。識別部67は、目盛リング65の外周面に形成され、各識別部67はアラビア数字であり、レンズ69の下方まで目盛リング65が旋回し、トルクレンチ60のトルク値を判読する助けとなる。
【0018】
トルクレンチ60の構造は、前述した台湾特許第I541108号と略同じであり、当該案の明細書を参照すれば分かるため、ここでは詳しく述べない。
【0019】
図1〜
図5から分かるように、トルクレンチ60は、トルク調整装置と結合し、トルク調整装置によりトルク値を調整する。本発明の一実施形態に係るトルク調整装置は、本体10、係合部材20、操作杆30、球体40、弾性部材42、つまみ50及び押ボタン56から構成されてなる。
【0020】
本体10は、両端を有し、それら両端はトンネル11に挿通される。本体10は、中空状である。穿孔12は、本体10に垂直に穿設されてトンネル11と連通する。要するに、トンネル11が本体10の軸心方向で延び、本体10の径方向で延びた穿孔12と交差する。そのため、トンネル11と穿孔12とが連通する。
【0021】
外部の輪郭から見ると、本体10の両端間は凸部13、筒部14、皿体部15及び扁平部16に分けられる。凸部13及び筒部14は、本体10の両端にそれぞれ設けられ、両者は皿体部15を介して扁平部16と接続される。上述した扁平部16は、筒部14と皿体部15との間に位置し、扁平部16及び凸部13は、皿体部15の両側に位置する。扁平部16の厚さは、凸部13又は筒部14の最大直径より小さく、穿孔12が扁平部16の中間部に挿通される。2つの取付余裕孔121は、扁平部16に周設された穿孔12の壁に挿通され、各取付余裕孔121は、穿孔12と接続される。
【0022】
上述した係合部材20は、複数の歯21及び可動孔22を有する。これら複数の歯21は、係合部材20の外表に連続的に形成され、通常、係合部材20の頂面を指す。可動孔22が係合部材20の中間部に挿通され、係合部材20が穿孔12に配設されている期間、可動孔22は、本体10のトンネル11の真正面に対向する。このとき係合部材20が扁平部16に周設された穿孔12の壁により制限されるため、本体10の直径方向で退縮位置と延伸位置との間で往復運動する。言い換えれば、係合部材20は、本体10に対して直線状の往復運動をする。
【0023】
上述した操作杆30は、深入端31及び露出端32を有する。凸曲面33は、深入端31の端面に設けられる。操作杆30は、本体10のトンネル11に設置され、深入端31がトンネル11を介して穿孔12内に達し、係合部材20の可動孔22中に進入する。
【0024】
このとき枢軸17は、凸部13と操作杆30との間に挿通され、凸部13から突出した露出端32を支える。操作杆30及び本体10は、枢軸17により接続され、操作杆30が鐘のように本体10内で行ったり来たり揺動する。また、係合部材20と、操作杆30の深入端31とが支杆18により旋回可能な連結関係になるまで、支杆18は扁平部16の取付余裕孔121を通過する。
【0025】
支杆18の長さ(
図7を参照する)は、穿孔12の2つの短辺壁面の離間距離より小さいため、操作杆30の深入端31は、円周方向で枢軸17の周りで往復運動し、本体10又は扁平部16の影響又は干渉を受けることはない。
【0026】
つまみ50の外表には凹凸があるため、接触面積が拡大し、強く握ったりねじったりする操作がし易い。つまみ50の内部は中空であり、リング部53により画成され、つまみ50の内部空間は外槽51と空洞52とに分けられる。外槽51は、中空のリング部53を介して空洞52と連通する。つまみ50は、第1の噛合部54及び複数の貫通孔55を有する。上述した第1の噛合部54は、連続した複数の歯であり、これら複数の歯は、つまみ50に周設された空洞52の壁の内周面に突設されている。これら複数の貫通孔55は、リング部53に形成され、少なくとも1つのねじ44が対応した貫通孔55に挿通され、皿体部15に螺着すると、つまみ50と本体10とが結合される。
【0027】
上述した押ボタン56は、結合孔57を有する。押ボタン56をつまみ50の外槽51に挿入し、ボルト46が結合孔57を介して操作杆30の露出端32に螺着されると、押ボタン56と操作杆30とが接続され、押ボタン56は、つまみ50に対して切換えすることができる。
【0028】
図5〜
図7を参照する。以下、
図5〜
図7に基づき、トルク調整装置をトルクレンチ60に結合する具体的な構造について詳細に説明する。
【0029】
皿体部15がソケット63で止められるまで、本体10をハンドル61に挿入し、筒部14が伝動杆62の一部に嵌合されるようにする。押付け部材70は、筒部14に形成された押付け孔19を介して伝動杆62中に挿入され、本体10を伝動杆62に接続して離脱し難くし、両者が同じ方向で旋回可能となる。
【0030】
続いて、球体40が弾性部材42を圧迫し、伝動杆62の端部に共に深く入れられる。本実施形態において、弾性部材42は、圧縮バネであり、一端が伝動杆62に当接され、他端が球体40を押動して操作杆30の深入端31に接触され、球体40は操作杆30を位置決めする。凸曲面33の中央部は両端より高いため、球体40が凸曲面33の何れか1つの低端に接触されると、一般に操作杆30の揺動に耐衝撃性の作用が発生し、ボルト46の位置が不用意に変化することを防ぐ。
【0031】
図示するように、係合部材20は延伸位置にある。操作杆30の深入端31が円周運動に沿って高めに位置し、押ボタン56が図面の下方へ移動する以外に、同時に制限して(又は押動と称する)係合部材20が本体10に沿って穿孔12から径方向で延び、各歯21が本体10での高さが増大し、歯21が噛着されるかソケット63に対応した内歯64と噛合する。
【0032】
このときソケット63が固定され、本体10とつまみ50とは旋回しない。そのためトルクレンチ60を操作して締付け具を締め付けたり緩めたりし、つまみ50に誤って接触し、トルク値が不用意に大きくなったり小さくなったりすることを防ぐことができる。
【0033】
図8及び
図9を参照する。
図8及び
図9に示すように、係合部材20は、退縮位置にある。押ボタン56は、図面の上方へ移動し、操作杆30の深入端31が円周運動に沿って低めの位置へ移動し、係合部材20が本体10に沿って径方向で穿孔12へ引き込まれる(又は引っ張りと称する)ことを制限し(
図3を参照する)、各歯21が本体10での高さが下がると、歯21と内歯64との噛着又は噛合関係が解除される。
【0034】
このように、つまみ50は自由であり、力を受けてハンドル61により旋回することが可能であり、皿体部15により筒部14が伝動杆62で同じ方向で旋回され、トルクレンチ60のトルク値を調整することができる。
【0035】
また、目盛リング65の一部がつまみ50の空洞52に配置され、外歯66が第1の噛合部54に噛合し、目盛リング65がつまみ50に伴って同期で作動する。またレンズ69により目盛リング65の識別部67を観察し(
図4を参照する)、トルクレンチ60の現在のトルク値を速やかに判読することができるため、非常に簡便である。
【0036】
また押ボタン56を図面の下方へ移動させると、係合部材20が退縮位置から延伸位置へ切換えられ、トルクレンチ60のトルク値を維持することができる。
【0037】
当該分野の技術を熟知するものが理解できるように、本発明の好適な実施形態を前述の通り開示したが、これらは決して本発明を限定するものではない。本発明の主旨と領域を逸脱しない範囲内で各種の変更や修正を加えることができる。従って、本発明の特許請求の範囲は、このような変更や修正を含めて広く解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0038】
10 本体
11 トンネル
12 穿孔
13 凸部
14 筒部
15 皿体部
16 扁平部
17 枢軸
18 支杆
19 押付け孔
20 係合部材
21 歯
22 可動孔
30 操作杆
31 深入端
32 露出端
33 凸曲面
40 球体
42 弾性部材
44 ねじ
46 ボルト
50 つまみ
51 外槽
52 空洞
53 リング部
54 第1の噛合部
55 貫通孔
56 押ボタン
57 結合孔
60 トルクレンチ
61 ハンドル
62 伝動杆
63 ソケット
64 内歯
65 目盛リング
66 外歯
67 識別部
68 ウィンドウ
69 レンズ
70 押付け部材
71 軸受
121 取付余裕孔