【実施例】
【0041】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、これらの実施例を本発明の趣旨に基づいて変形、変更することが可能であり、それらを発明の範囲から除外するものではない。
【0042】
(実施例1〜18及び比較例1〜3)
<毛髪変形用処理剤の製造>
水(イオン交換水)と各原料を配合して、表1〜表3に示す組成(質量%)を有する実施例1〜18及び比較例1〜3の毛髪変形用処理剤を製造した。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
<サンプル用の毛髪の準備>
長さ25cmの直毛の毛髪からなる毛束(1g)を用い、化学的処理として市販のヘアカラーによる2回の染色処理を行い、さらに市販のパーマ液で、1回パーマネントウェーブ処理後、50℃に保ったポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム水溶液(5質量%)に一晩浸漬後、十分に水洗したものをサンプル毛髪とした。
【0047】
<実施例1〜18及び比較例1〜3における毛髪処理>
次に、準備した毛髪に対して、下記(A)〜(F)の処理を行った。
(A)まず、準備した毛髪の毛束を水で濡らした。
(B)次に、実施例1〜18及び比較例1〜3の加水分解ケラチンを含有する水性組成物を毛髪に塗布し、5分間、室温で放置した。
(C)次に、流水中で30秒間すすぎ、毛髪を濡れた状態にした。
(D)次に、毛髪をロッドに巻き付けた。
(E)次に、実施例1〜18及び比較例1〜3の各温度に設定した温水にロッドに巻きつけられた状態の毛髪を浸漬し、実施例1〜18及び比較例1〜3の各処理時間の間、加温処理を行った。
(F)そして、加温処理が終了した後、3分間、室温で放置する冷却工程を経て、ロッドを取り除き毛髪を水洗いした。
【0048】
<評価基準>
次に、上記(A)〜(F)の処理を行った毛髪に対して、上記(E)の処理における処理温度や処理時間が、カールデザインの形成、臭い、及び毛髪処理の仕上がり感に及ぼす影響について、官能評価を行った。
【0049】
より具体的には、(1)カール形状の強さ、(2)カール形状の持続性、(3)やわらかさ、(4)すべり感、(5)褪色・変色、及び(6)臭いの6項目について、専門パネラー10名による評価を行った。各評価項目における評価基準を以下に示す。
【0050】
(1)カール形状の強さ
毛髪処理の最終水洗直後の状態で、カール形状の強さを比較し、下記評価基準に従って評価した。
ウェーブ効率が非常に高く、非常にしっかりとカールデザインが形成されている:◎
ウェーブ効率が高く、しっかりとカールデザインが形成されている:○
ウェーブ効率が低く、ゆるやかにカールデザインが形成されている:△
ウェーブ効率が非常に低く、非常にゆるやかにカールデザインが形成されている:×
【0051】
(2)カール形状の持続性
毛髪処理から2週間程度経過した場合と同程度の状態にするために、毛髪処理の最終水洗後に乾燥させた毛髪を、60℃の温水に20分間浸漬し、時間経過処理を行った。
【0052】
また、毛髪処理の最終水洗直後の毛髪が濡れている状態におけるカール形状(処理直後のウェット時)と、上記時間経過処理後の濡れている状態におけるカール形状(時間経過処理後のウェット時)を比較し、下記評価基準に従って評価した。
毛髪処理直後と時間経過後の差がほとんどなく、持続性が非常に高い:◎
毛髪処理直後と時間経過後の差がややあるが、持続性が高い:○
毛髪処理直後と時間経過後の差があり、持続性が低い:△
毛髪処理直後と時間経過後の差がかなりあり、持続性が非常に低い:×
【0053】
(3)やわらかさ
毛髪処理の最終水洗後に乾燥させた毛束をほぐした時の手触りのやわらかさを、下記評価基準に従って評価した。
非常にやわらかい:◎
やわらかい:○
硬さがややある:△
硬さがある:×
【0054】
(4)すべり感
毛髪処理の最終水洗後に乾燥させた毛束をほぐした時の指通り(すべり感)を、下記評価基準に従って評価した。
すべりが非常によい:◎
すべりがよい:○
すべりがやや悪い:△
すべりが悪い:×
【0055】
(5)褪色・変色
毛髪処理の最終水洗後に乾燥させた毛束の毛髪処理前の毛束と比較しての褪色及び変色を、下記評価基準に従って評価した。
褪色及び変色が非常に少ない:◎
褪色及び変色が少ない:○
褪色及び変色がやや多い:△
褪色及び変色が多い:×
【0056】
(6)臭い
毛髪処理の最終水洗後に乾燥させた毛束の香気(臭い)を、下記評価基準に従って評価した。
不快臭が非常に少ない:◎
不快臭が少ない:○
不快臭がやや多い:△
不快臭が多い:×
【0057】
なお、上記(1)〜(6)の各評価において、「◎」は特に優れていると評価し、「○」は優れていると評価した。また、「△」と「×」は不十分であると評価した。以上の結果を表1〜表3に示す。
【0058】
表1〜表3に示すように、第3工程における「濡れた状態の毛髪に対する加温処理」の温度が40℃よりも高く、100℃未満である実施例1〜18においては、毛髪変形処理(カールデザイン形成)の効果(即ち、上記(1)〜(2)の各評価における効果)が十分に得られるとともに、良好な仕上がり感(即ち、上記(3)〜(4)の各評価における効果)を得ることができることが分かる。また、毛髪の損傷を抑制する効果(即ち、上記(3)〜(5)の評価における効果)が得られるとともに、加温処理に起因する不快臭発生の抑制効果(即ち、上記(6)の評価における効果)を得ることができることが分かる。
【0059】
一方、処理温度が40℃以下である比較例1〜2においては、不快臭の発生は抑制できるものの、処理温度が低いため、毛髪変形処理の効果(即ち、上記(1)〜(2)の各評価における効果)が不十分であることが分かる。
【0060】
また、処理温度が100℃以上である比較例3においては、カールデザインを確実に形成することはできるものの、処理温度が高いため、高温処理に起因して、不快臭が発生するとともに、毛髪内成分が熱ダメージを受けるため、良好な仕上がり感(即ち、上記(3)〜(4)の各評価における効果)が得られないことが分かる。
【0061】
(実施例19〜28及び比較例4〜6)
<毛髪変形用処理剤の製造>
水(イオン交換水)と各原料を配合して、表4〜表5に示す組成(質量%)を有する実施例19〜28及び比較例4〜6の毛髪変形用処理剤を製造した。
【0062】
【表4】
【0063】
【表5】
【0064】
<サンプル用の毛髪の準備>
長さ30cmのくせ毛の毛髪からなる毛束(5g)を用い、化学的処理として市販のヘアカラーによる2回の染色処理を行い、さらに市販のパーマ液で、1回パーマネントウェーブ処理後、50℃に保ったポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム水溶液(5質量%)に一晩浸漬後、十分に水洗したものをサンプル毛髪とした。
【0065】
<実施例19〜28及び比較例4〜6における毛髪処理>
次に、準備した毛髪に対して、下記(a)〜(f)の処理を行った。
(a)まず、準備した毛髪の毛束を水で濡らした。
(b)次に、実施例19〜28及び比較例4〜6の加水分解ケラチンを含有する水性組成物を毛髪に塗布し、5分間、室温で放置した。
(c)次に、流水中で30秒間すすぎ、毛髪を濡れた状態にした。
(d)次に、毛髪をガラス板に貼り付けてストレート形状に固定した。
(e)次に、実施例19〜28及び比較例4〜6の各温度に設定した温水にストレート形状に固定した状態の毛髪を浸漬し、実施例19〜28及び比較例4〜6の各処理時間の間、加温処理を行った。
(f)そして、加温処理が終了した後、3分間、室温で放置する冷却工程を経て、ガラス板から毛髪を取り除き水洗いした。
【0066】
<評価基準>
次に、上記(a)〜(f)の処理を行った毛髪に対して、上記(e)の処理における処理温度や処理時間が、ストレートデザインの形成、臭い、及び毛髪処理の仕上がり感に及ぼす影響について、官能評価を行った。
【0067】
より具体的には、上述の(3)やわらかさ、(5)褪色・変色、(6)臭いの3項目に加え、(7)ストレート形状の強さ、(8)ストレート形状の持続性、及び(9)ツヤ感について、専門パネラー10名による評価を行った。(7)ストレート形状の強さ、(8)ストレート形状の持続性、及び(9)ツヤ感の評価項目における評価基準を以下に示す。
【0068】
(7)ストレート形状の強さ
毛髪処理の最終水洗直後に乾燥させた毛束をほぐした時のストレート形状の強さ(くせの無さ)を毛髪処理前の状態と比較し、下記評価基準に従って評価した。
くせがほとんど無い:◎
くせがやや残っている:○
くせが残っている:△
くせが全くとれていない:×
【0069】
(8)ストレート形状の持続性
毛髪処理から2週間程度経過した場合と同程度の状態にするために、毛髪処理の最終水洗後に乾燥させた毛髪を、60℃の温水に20分間浸漬し、時間経過処理を行った。
【0070】
また、毛髪処理の最終水洗後に乾燥させた毛束をほぐした時のストレート形状の強さ(処理直後のくせの無さ)と、上記時間経過処理後におけるストレート形状の強さ(時間経過処理後のくせの無さ)を比較し、下記評価基準に従って評価した。
毛髪処理直後と時間経過後の差がほとんどなく、持続性が非常に高い:◎
毛髪処理直後と時間経過後の差がややあるが、持続性が高い:○
毛髪処理直後と時間経過後の差があり、持続性が低い:△
毛髪処理直後と時間経過後の差がかなりあり、持続性が非常に低い:×
【0071】
(9)ツヤ感
毛髪処理の最終水洗直後に乾燥させた毛束をほぐした後、ツヤの有無を下記評価基準に従って評価した。
ツヤが非常にある:◎
ツヤがある:○
ツヤがややない:△
ツヤがない:×
【0072】
なお、上記(7)〜(9)の各評価において、「◎」は特に優れていると評価し、「○」は優れていると評価した。また、「△」と「×」は不十分であると評価した。以上の結果を表4〜表5に示す。
【0073】
表4〜表5に示すように、第3工程における「濡れた状態の毛髪に対する加温処理」の温度が40℃よりも高く、100℃未満である実施例19〜28においては、毛髪変形処理(ストレートデザイン形成)の効果(即ち、上記(7)〜(8)の各評価における効果)が十分に得られるとともに、良好な仕上がり感(即ち、上記(3)、(9)の各評価における効果)を得ることができることが分かる。また、毛髪の損傷を抑制する効果(即ち、上記(3)、(5)、(9)の評価における効果)が得られるとともに、加温処理に起因する不快臭発生の抑制効果(即ち、上記(6)の評価における効果)を得ることができることが分かる。
【0074】
一方、処理温度が40℃以下である比較例4〜5においては、不快臭の発生は抑制できるものの、処理温度が低いため、毛髪変形処理の効果(即ち、上記(7)〜(8)の各評価における効果)が不十分であることが分かる。
【0075】
また、処理温度が100℃以上である比較例6においては、ストレートデザインを確実に形成することはできるものの、処理温度が高いため、高温処理に起因して、不快臭が発生するとともに、毛髪内成分が熱ダメージを受けるため、良好な仕上がり感(即ち、上記(3)、(9)の各評価における効果)が得られないことが分かる。