(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6564444
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】シュリンク包装機における熱収縮装置
(51)【国際特許分類】
B65B 53/02 20060101AFI20190808BHJP
【FI】
B65B53/02 F
B65B53/02 D
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-224568(P2017-224568)
(22)【出願日】2017年11月22日
(65)【公開番号】特開2019-94093(P2019-94093A)
(43)【公開日】2019年6月20日
【審査請求日】2018年4月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092598
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】内田 博
【審査官】
宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第05787682(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0202117(US,A1)
【文献】
特開平11−180415(JP,A)
【文献】
特開2002−211519(JP,A)
【文献】
特開2016−078855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 53/00−53/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装物を熱収縮性のフィルムで包み込んだ包装体を搬送する搬送手段と、
その搬送手段の搬送面の下方に配置され、前記搬送手段の搬送方向に沿って回転するエンドレスベルトと、
前記搬送面に対向する前記エンドレスベルトのベルト面の内側から外側に向けて熱風を噴射する熱風噴射装置と、
を備え、
前記エンドレスベルトは、ベルト幅方向に延びる熱風噴射部を有し、
前記熱風噴射装置から噴射される熱風は、前記熱風噴射部から前記搬送面に向けて噴射され、
前記包装体の移動に追従して前記エンドレスベルトを回転させ、前記熱風噴射部から噴射される熱風によって前記包装体の搬送方向の前端或いは後端に設けたシール部を熱収縮させるようにしたことを特徴とするシュリンク包装機における熱収縮装置。
【請求項2】
前記熱風噴射装置は、搬送方向に沿って前後に2個設け、
一方の熱風噴射装置は前記包装体の搬送方向の前端に設けたシール部を熱収縮させ、他方の熱風噴射装置は前記包装体の搬送方向の後端に設けたシール部を熱収縮させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のシュリンク包装機における熱収縮装置。
【請求項3】
前記熱風噴射部は、前記エンドレスベルトの回転方向に沿って前後に複数有することを特徴とする請求項1または2に記載のシュリンク包装機における熱収縮装置。
【請求項4】
前記熱風噴射部から噴射された熱風に基づく空気を回収し、前記熱風噴射装置が噴射する熱風に利用する排気回収システムを備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のシュリンク包装機における熱収縮装置。
【請求項5】
前記熱風噴射装置は、加熱ボックスと、その加熱ボックスに空気を供給する送風機を備え、
前記加熱ボックスは、筐体とその筐体内に実装するヒータ手段を備え、
前記筐体の上面には多数の貫通孔が形成され、前記送風機から供給される空気が前記ヒータ手段で加熱されて前記熱風となって前記貫通孔から噴射可能となり、
前記エンドレスベルトの前記ベルト面の内側が、前記筐体の上面側に対向するように配置され、前記貫通孔は前記ベルト面に覆われ、前記熱風噴射部に対向する前記貫通孔から噴射される前記熱風が、その熱風噴射部内を通過して前記搬送面に向けて噴射されるようにしたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のシュリンク包装機における熱収縮装置。
【請求項6】
前記包装体を製造する包装機本体の下流側に配置され、前記包装機本体から搬出される前記包装体に対して熱収縮処理を行うものであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のシュリンク包装機における熱収縮装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シュリンク包装機における熱収縮装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シュリンク包装は、熱収縮性のプラスチックフィルム(以下、「シュリンクフィルム」と称する)を用い、被包装物を緩めに包んで包装体を製造し、その包装体を熱収縮装置内に通過させてシュリンクフィルムに熱風を当てることにより、シュリンクフィルムを熱収縮させてタイトなシュリンク包装体を製造するものである。被包装物は、一又は複数個の製品や、当該製品をトレー等の容器に収納した状態のものなどがある。例えば、トレーに製品を収納した状態で、製品の一部がトレーの上面よりも上方に突出している場合、収縮するシュリンクフィルムが突出した製品に接触し、シュリンクフィルムの収縮力により製品を拘束してトレー内に固定する。
【0003】
シュリンクフィルムには、印刷が施されているものがある。製品が肉や野菜などの寸法形状が一定しないものの場合、シュリンクフィルムの収縮する量や、収縮する方向が包装体毎に異なる。その結果、シュリンクフィルムが収縮した際に、印刷の位置が目的の位置からズレたり、印刷が歪んで文字等が読めなくなったりする。
【0004】
係る問題を解決するため、例えば特許文献1に開示された装置がある。この特許文献1に開示された装置は、包装体の全体に熱風を当てるのでは無く、ピロー包装体の搬送方向の前後に形成されるトップシール部を加熱し、その部分を熱収縮させてシュリンク包装体を製造する機能を備える。具体的な構成は、熱風を噴射する2つのノズルを、ピロー包装体の搬送方向に沿って往復移動可能に設ける。上流側のセンサがピロー包装体の前側のトップシール部を検知すると、上流側のノズルをピロー包装体に追従させて前側のトップシール部に熱風を噴射し続ける。上流側のノズルは所定の距離だけ移動したら後退移動して元の位置に戻り待機する。さらにピロー包装体が搬送されて、後側のトップシール部が下流側のセンサで検知されると、下流側のノズルをピロー包装体に追従させて後側のトップシール部に熱風を噴射し続ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5786782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された装置は、熱風を噴射するノズルをピロー包装体の搬送方向に沿って往復移動させる機構が必要なため、構造が複雑で、制御が煩雑となる。さらに、一つのピロー包装体に対する処理が終了後、次の後続のピロー包装体に対する処理を行うためには、下流側に位置したノズルを再び上流側の待機位置まで移動させる必要があり、高速処理を阻害する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明のシュリンク包装機における熱収縮装置は、(1)被包装物を熱収縮性のフィルムで包み込んだ包装体を搬送する搬送手段と、その搬送手段の搬送面の下方に配置され、前記搬送手段の搬送方向に沿って回転するエンドレスベルトと、前記搬送面に対向する前記エンドレスベルトのベルト面の内側から外側に向けて熱風を噴射する熱風噴射装置と、を備え、前記エンドレスベルトは、ベルト幅方向に延びる熱風噴射部を有し、前記熱風噴射装置から噴射される熱風は、前記熱風噴射部から前記搬送面に向けて噴射され、前記包装体の移動に追従して前記エンドレスベルトを回転させ、前記熱風噴射部から噴射される熱風によって前記包装体の搬送方向の前端或いは後端に設けたシール部を熱収縮させるようにした。
【0008】
本発明では、エンドレスベルトの回転に伴い熱風噴射部が移動する。よって、包装体の移動にあわせてエンドレスベルトを回転させることで、熱風噴射部を包装体の前端或いは後端のシール部に対向した状態を維持しながら移動させることができる。これにより、熱風噴射部から噴射される熱風は、シール部に所望の時間吹き付けることができ、フィルムは熱収縮する。熱風噴射部からの熱風が、包装体の底面などに直接吹き付けられないようにすることで、所定のシール部やその周囲を選択的に熱収縮させたシュリンク包装体を製造することができる。熱風噴射部の位置の変位は、エンドレスベルトを回転させるだけで良いので、構造がシンプルで制御も簡単となる。熱風噴射部は、実施形態では、メッシュ部30に対応する。
【0009】
(2)前記熱風噴射装置は、搬送方向に沿って前後に2個設け、一方の熱風噴射装置は
前記包装体の搬送方向の前端に設けたシール部を熱収縮させ、他方の熱風噴射装置は
前記包装体の搬送方向の後端に設けたシール部を熱収縮させるようにするとよい。このようにすると、例えば、個々の熱風噴射装置が、それぞれ独立して前端或いは後端のシール部に対して適宜のタイミングで熱風を噴射することができる。よって、例えば包装体の前後方向の寸法が変わった場合でも、それぞれの熱風噴射装置が個々にシール部を熱収縮することができるので良い。
【0010】
(3)前記熱風噴射部は、前記エンドレスベルトの回転方向に沿って前後に複数有するとよい。このようにすると、一つの熱風噴射部が下流側に来ると、他の熱風噴射部は上流側に移動しているので、すぐに次の包装体のシール部に対する熱風の噴射が行える。よって、高速処理に対応できる。
【0011】
(4)前記熱風噴射部から噴射された熱風に基づく空気を回収し、前記熱風噴射装置が噴射する熱風に利用する排気回収システムを備えるとよい。このようにすると、熱風として噴射された暖められた空気が、その後の熱風噴射装置から噴射される熱風に再利用されるので、熱風噴射装置で加熱する際の消費エネルギーを小さくしたり、短時間で所望の温度の熱風を生成したりすることができるので良い。排気回収システムは、実施形態では、排気回収フード46、配管47、排気回収ボックス48等により実現される。
【0012】
(5)前記熱風噴射装置は、加熱ボックスと、その加熱ボックスに空気を供給する送風機を備え、前記加熱ボックスは、筐体とその筐体内に実装するヒータ手段を備え、前記筐体の上面には多数の貫通孔が形成され、前記送風機から供給される空気が前記ヒータ手段で加熱されて前記熱風となって前記貫通孔から噴射可能となり、前記エンドレスベルトの前記ベルト面の内側が、前記筐体の上面側に対向するように配置され、前記貫通孔は前記ベルト面に覆われ、前記熱風噴射部に対向する前記貫通孔から噴射される前記熱風が、その熱風噴射部内を通過して前記搬送面に向けて噴射されるようにすると良い。このようにすると、貫通孔はベルト面で塞がれるので、熱風は、包装体に直接吹き付けられない。そして、多数の貫通孔のうち、エンドレスベルトの熱風噴射部に対向する部位のみから熱風が吹き出し、熱風噴射部内を通じて包装体に吹き付けられる。そして、エンドレスベルトの回転に伴い、熱風噴射部は加熱ボックスの上面を下流側に向けて移動し、対向する貫通孔も下流側のものに変化する。よって、加熱ボックスは、多数の貫通孔から熱風を噴射させるように動作させるだけでよく、簡単な構成となるのでよい。
【0013】
(6)前記包装体を製造する包装機本体の下流側に配置され、前記包装機本体から搬出される前記包装体に対して熱収縮処理を行うものとするとよい。このようにすると、熱収縮する前の包装体の製造から、シール部を熱収縮させてシュリンク包装体を製造するまでの一連の工程を自動的に行うことができるシュリンク包装機を構成することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、ベルトを回転させる機構であるため構造がシンプルで制御も簡単となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係るシュリンク包装機における熱収縮装置の好適な一実施形態を示す正面図である。
【
図5】(a)は製造されるシュリンク包装体を示す正面図であり、(b)はその底面側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0017】
図1から
図4は、本発明に係るシュリンク包装機における熱収縮装置の好適な一実施形態を示している。本実施形態の熱収縮装置1は、包装機本体2の搬出コンベア2aの下流側に配置される。包装機本体2は、ピロー包装体3を製造し、搬出する機能を備える。ピロー包装体3は、被包装物5の周囲を包み込んだシュリンクフィルム4の所定位置をシールして形成される。搬送方向の前後は、筒状の両端開口をシールして形成されるトップシール部6a,6bを備える。本実施形態の被包装物5は、トレー7内に複数個の製品8を収納したものである。製品8は、例えばブロック状の肉製品、手羽、若鶏等であり、寸法形状にばらつきがあるものである。複数の製品8をトレー7に収納した状態では、製品8の一部がトレー7の上面よりも上方に突出している。
【0018】
熱収縮装置1は、包装機本体2から順次供給される搬送コンベア11を備える。搬送コンベア11は、ローラーコンベアであり、搬送方向の左右両側に配置される一対のエンドレスチェーン13と、その左右のエンドレスチェーン13間に取り付けられた多数のローラ14を備える。個々のローラ14は、搬送方向に対して直交する方向に配置され、エンドレスチェーン13に対して自転可能に連結されるが、トレー7の搬送中の位置精度が要求される場合は、エンドレスチェーン13に対して回転しないように連結されることもある。エンドレスチェーン13は、所定位置に配置されたスプロケット15に掛け渡される。複数のスプロケット15のうちの一つは、駆動モータ16の出力に動力伝達チェーン17を介して連係される。これにより、駆動モータ16が回転すると、エンドレスチェーン13は垂直平面内で回転する。ローラ14は、エンドレスチェーン13の回転に追従して公転移動し、上方所定位置では水平平面内を移動する。この水平平面内の移動区間が、搬送面となる。ローラ14の配置ピッチは、ローラ14の直径よりも大きくし、前後に配置されるローラ14の間に所定の空間が形成される。
【0019】
搬送面の下方に、搬送方向に沿って順に第一熱風噴射装置19,第二熱風噴射装置20を配置する。第一熱風噴射装置19と第二熱風噴射装置20は、略同一の構成を備える。具体的には、両熱風噴射装置19,20は、エンドレスベルト21と、エンドレスベルト21の内部空間内に配置する加熱ボックス23と、加熱ボックス23内に空気を送り込む送風機24を備える。
【0020】
エンドレスベルト21は、前後に配置された一対のプーリ28,29間に掛け渡される。進行方向前方のプーリ28は、図示省略する駆動モータに連係される。その駆動モータの回転出力に伴い、当該プーリ28ひいてはエンドレスベルト21が回転する。この駆動モータは、サーボモータ等の速度調整可能なモータを用いる。サーボモータは、回転速度の変更・一時停止・逆回転などの制御が容易に行え、それにともないエンドレスベルト21は、回転速度を変えたり、一次停止したり、逆回転したりする。
【0021】
さらにエンドレスベルト21は、
図4に示すように、ベルト幅方向に延びるようにメッシュ状のメッシュ部30を設ける。メッシュ部30を設けた領域は、エンドレスベルト21の内外空間をつなげる。エンドレスベルト21の一部にメッシュ部30を設け、ベルトを一定方向に回転させる。メッシュ部30は同一方向に移動する。またこのメッシュ部30は、等ピッチで2個設けている。このようにメッシュ部30を2個設けることで、一つのメッシュ部30が下流端側に来ると、別のメッシュ部30は上流端側に位置する。
【0022】
加熱ボックス23は、扁平な中空の筐体25と、その筐体25の内部に実装したヒータ26を備える。エンドレスベルト21は、筐体25の上面25aに接触した状態で回転移動する。筐体25の側面には、空気の導入口を備え、筐体25の上面25aには、多数の貫通孔25bを備える。筐体25の横幅は、エンドレスベルト21のベルト幅より広くし、筐体25の左右の両サイドは、エンドレスベルト21の両サイドより外側に突出する。そして、貫通孔25bの形成領域は、エンドレスベルト21の配置領域内とし、貫通孔25bがエンドレスベルト21の左右の外側に位置しないようにしている。さらに貫通孔25bは、搬送方向に沿ってほぼ全長に渡り形成される。
【0023】
送風機24の噴出口24aと、加熱ボックス23の導入口とは、送風管27で接続する。これにより、送風機24を稼働させると、送風機24から送り出される空気が加熱ボックス23内に供給され、ヒータ26で加熱されて熱風となって貫通孔25bから上方に放出しようとする。本実施形態では、筐体25の上面25aにはエンドレスベルト21が接触している。これにより、貫通孔25bの大部分は、エンドレスベルト21で覆われて塞がれる。よって、その塞がれた部分からは、熱風は噴射しない。一方、メッシュ部30の形成領域では、そのメッシュ部30と貫通孔25bの重なる部分から、熱風が外部に向けて噴射する。つまりこのメッシュ部30が熱風の噴射位置となる。そして、そのメッシュ部30から上方外部に向けて噴射された熱風は、ローラ14間の空間を通って搬送面の上方に到る。また、エンドレスベルト21が回転すると、メッシュ部30も前進移動し、これにともない、熱風の噴射位置も前進移動する。
【0024】
熱収縮装置1は、第一熱風噴射装置19の上流側の搬送コンベア11の搬送面の左右両側に第一センサ42を配置し、第二熱風噴射装置20の上流側の搬送コンベア11の搬送面の左右両側に第二センサ43を設ける。第一センサ42,第二センサ43は、それぞれ透過型のセンサであり、各センサの前を通過するピロー包装体3を検知し、検知信号を出力する。熱収縮装置1が備える制御装置は、その第一センサ42と第二センサ43の検知信号に基づき、エンドレスベルト21用の駆動モータの制御を行う。具体的な制御は、後述する。
【0025】
さらに本実施形態では、搬送コンベア11の上方にトンネル室45を設ける。トンネル室45は、搬送コンベア11の搬送方向の前後両面に開口部を有する。開口部は、ピロー包装体3の出入り口となる。トンネル室45の内部上方には、排気回収フード46を備える。排気回収フード46は、下方開口した庇形状からなり、第一熱風噴射装置19並びに第二熱風噴射装置20から放出された熱風による暖かい空気は、排気回収フード46に回収される。排気回収フード46は、配管47を介して搬送コンベア11の下方に配置した排気回収ボックス48に接続される。この排気回収ボックス48には、各送風機24の吸入口24bが連結される。これにより、排気回収フード46で回収された暖かい空気は、配管47内を通って排気回収ボックス48に溜まる。そして、排気回収ボックス48内の暖かい空気は、それぞれの送風機24に吸引され、第一熱風噴射装置19並びに第二熱風噴射装置20に供給される。これにより、第一熱風噴射装置19並びに第二熱風噴射装置20には、暖かい空気が供給されるため、各熱風噴射装置は、効率よく加熱し熱風を放出できる。排気回収フード46内への空気の吸い込みは、例えば、排気回収フード46内にファンを配置しても良いし、ファンを配置せずに送風機24のファンを利用しても良い。
【0026】
本実施形態の熱収縮装置1は、以下のように動作する。包装機本体2から順次供給されるピロー包装体3は、前後のトップシール部6a,6bが被包装物5から少し離れた状態となる。係るピロー包装体3は、搬送コンベア11上を前進移動する。
【0027】
ピロー包装体3が第一センサ42の前に至ると、第一センサ42は検知信号を出力する。制御装置は、係る検知信号を受けたことを契機として、適宜のタイミングで第一熱風噴射装置19用の駆動モータを動作させる。適宜のタイミングは、例えばメッシュ部30が
図4に示すように上流側の所定位置で待機した状態でエンドレスベルト21が一時停止している場合、後方側のトップシール部6bが、待機しているメッシュ部30の上に来た際に、駆動開始し、ピロー包装体3の搬送速度と同速度でエンドレスベルト21が回転するように制御する。これにより、メッシュ部30は、ピロー包装体の移動にあわせて追従して移動し、その移動している間、メッシュ部30は後方のトップシール部6bに対向した位置を保持する。
【0028】
さらに、制御装置は、第一熱風噴射装置19用の送風機24の動作も制御する。具体的には、少なくともメッシュ部30がトップシール部6bに対向している間、送風機24を稼働させて空気を送り出す。これにより、第一熱風噴射装置19は、移動するメッシュ部30から熱風を吹き出し、移動するピロー包装体3のトップシール部6b並びにその周囲のフィルム部位に対し熱風を継続して吹き付ける。一定時間加熱されることで、トップシール部6b及びその周囲のフィルム部位が熱収縮し、
図5に示すように、トップシール部6b等が被包装物5に密着する。また、送風機24の駆動と関係なくヒータ26は常時通電して加熱し、筐体25内の空気を常時加熱しておく。
【0029】
後方側のトップシール部6b側が熱収縮されたピロー包装体3は、搬送コンベア11上を移動し、後半の領域に進む。そしてピロー包装体3が第二センサ43の前に至ると、第二センサ43は検知信号を出力する。制御装置は、係る検知信号を受けたことを契機として、適宜のタイミングで第二熱風噴射装置20用の駆動モータを動作させる。適宜のタイミングは、例えばメッシュ部30が
図4に示すように上流側の所定位置で待機した状態でエンドレスベルト21が一時停止している場合、前方側のトップシール部6aが、待機しているメッシュ部30の上に来た際に、駆動開始し、ピロー包装体3の搬送速度と同速度でエンドレスベルト21が回転するように制御する。これにより、メッシュ部30は、ピロー包装体の移動にあわせて追従して移動し、その移動している間、メッシュ部30は前方のトップシール部6aに対向した位置を保持する。
【0030】
さらに、制御装置は、第二熱風噴射装置20用の送風機24の動作も制御する。具体的には、少なくともメッシュ部30がトップシール部6aに対向している間、送風機24を稼働させて空気を送り出す。これにより、第二熱風噴射装置20は、移動するメッシュ部30から熱風を吹き出し、移動するピロー包装体3のトップシール部6a並びにその周囲のフィルム部位に対し熱風を継続して吹き付ける。一定時間加熱されることで、トップシール部6a及びその周囲のフィルム部位が熱収縮し、
図5に示すように、トップシール部6a等が被包装物5に密着し、シュリンク包装体9が製造される。なお、送風機24の駆動と関係なくヒータ26は常時通電して加熱し、筐体25内の空気を常時加熱しておく。
【0031】
また、上述したように、エンドレスベルト21の回転に伴い熱風を噴射するメッシュ部30は、上流側から下流側に移動するが、このとき搬送面に対向しない他方のメッシュ部30は下流側から上流側に移動する。そして、さらにエンドレスベルト21が回転すると、上流側に移動したメッシュ部30は、エンドレスベルト21の上面側の搬送面に対向する待機位置に至り、そこで一時停止し、次のピロー包装体3の進入を待つ。このように、一方のメッシュ部30が熱風を噴射しながら移動してトップシール部を熱収縮させている際に、他方のメッシュ部30は次の処理のための待機位置に向かって移動するので、一つのピロー包装体3に対する熱収縮処理が完了したら、すぐに次のピロー包装体3が供給されても熱風を噴射して熱収縮させることができる。よって、高速処理に対応できる。
【0032】
このようにして形成されたシュリンク包装体9は、
図5に示すように、前後のトップシール部6a,6b及びその周囲が選択的に熱収縮されて被包装物5のトレー7の側面に近接・密着する。熱風は、前後のトップシール部6a,6bに吹き付け、トレー7の底面などには吹き付けないので、製品8の寸法形状に関係なくシュリンクフィルム4に施した印刷部位4aは、目的の位置に形成され、印刷が歪んで文字等が読めなくなることもない。
【0033】
さらに駆動モータとしてサーボモータ等の速度制御可能なモータを用いたので、エンドレスベルト21ひいてはメッシュ部30の移動を簡単・正確に制御でき、ピロー包装体3の移動に合わせて熱風を噴射するメッシュ部の位置を追従させることができる。さらに、エンドレスベルトを止めたり、少し戻したりするなどしてトップシーラに熱風をあてる時間を調整し、より収縮させるなど収縮の状態を簡単に制御できる。また、ピロー包装体3がエンドレスベルト21の配置エリアにいる間、例えばメッシュ部30をトップシール部に対向させるとともに、熱風を噴射させる必要は無く、例えば、トップシール部に熱風を吹き付ける時間がより短くて良い場合には、例えば、エンドレスベルト21の配置エリアの一部区間はメッシュ部30をトップシール部に対向させた状態を維持して移動し、当該一部区間を過ぎるとエンドレスベルト21の回転速度を増速し、メッシュ部30を待避させるとともにトップシール部に対向する部分にはエンドレスベルト21のベルト面が位置し貫通孔25bを塞ぐようにすると良い。また、別の手段としては、メッシュ部30をトップシール部に対向させた状態は維持しつつ、送風機24を停止し熱風の噴射を停止するようにしても良い。メッシュ部30を待避させる方が、貫通孔を塞ぐことができてより確実に熱風がトップシール部に吹き付けられるのを抑制できるので良い。そして、メッシュ部30を待避させる場合、加熱ボックス22からの熱風の噴射自体を停止する処理をあわせて行うと良い。
【0034】
また、上述した実施形態では、第一熱風噴射装置19と第二熱風噴射装置20を設け、後方のトップシール部6bに対する熱収縮処理と、前方のトップシール部6aに対する熱収縮処理を分けたが、本発明はこれに限ることは無く1つのエンドレスベルトからなる一つの熱風噴射装置を用いて構成しても良い。この場合、エンドレスベルトに複数のメッシュ部を設け、その前後のメッシュ部の間隔をピロー包装体の長手方向の寸法に合わせ、同時に前後のトップシール部に対する熱収縮処理をするようにすると良い。但し、実施形態のように複数に分けた方が、異なる寸法形状のピロー包装体3への対応が容易に行えるので好ましい。
【0035】
上述した実施形態並びに変形例では、熱風の噴射口としてエンドレスベルト21にメッシュ部を用いたが、本発明はこれに限ることは無く、貫通孔や開口部などでも良く、ベルト面に熱風が通過できる部分が設けられていれば良い。
【0036】
上述した実施形態並びに変形例では、メッシュ部30は待機位置で一時停止し、処理対象のピロー包装体3のトップシール部が待機位置に来るとエンドレスベルトが回転を再開してメッシュ部30がピロー包装体3と同速度で移動するようにしたが、本発明はこれに限ることは無く、エンドレスベルトを速度制御しながら連続して回転させたり、待機位置が搬送面に対向しない下方にし、ピロー包装体3の移動にあわせて所定位置でトップシール部とメッシュ部が対向し、その後同速度で移動させたりするように制御しても良い。
【0037】
上述した実施形態並びに変形例では、メッシュ部30を2個設けたが、設置数は任意であり、1個或いは3個以上としても良い。例えば1個の場合には、メッシュ部が下流側まで移動して一つのピロー包装機に対する熱収縮処理が完了すると、エンドレスベルトを回転して当該メッシュ部を再び上流側の待機位置に戻す必要があるが、エンドレスベルトを同一方向に回転すると共に、回転速度を高速にすることで、短時間で待機位置に戻すことができるので良い。但し、実施形態のように2個或いは3個以上の複数設けた方が、待ち時間なく或いはより短時間で次々とメッシュ部を待機位置に位置させることができるので良い。
【0038】
上述した実施形態並びに変形例では、排気回収機構を設け、熱風による暖かい空気を、その後の熱風に再利用するようにしたが、本発明はこれに限ることは無く、排気回収を行わないようにしても良い。
【0039】
以上、本発明の様々な側面を実施形態並びに変形例を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。
【符号の説明】
【0040】
1 熱収縮装置
2 包装機本体
3 ピロー包装体
4 シュリンクフィルム
5 被包装物
6a トップシール部
6b トップシール部
9 シュリンク包装体
11 搬送コンベア
19 第一熱風噴射装置
20 第二熱風噴射装置
21 エンドレスベルト
23 加熱ボックス
24 送風機
25 筐体
25a 上面
25b 貫通孔
26 ヒータ
27 送風管
30 メッシュ部(熱風噴射部)
42 第一センサ
43 第二センサ
45 トンネル室
46 排気回収フード(排気回収システム)
47 配管(排気回収システム)
48 排気回収ボックス(排気回収システム)