(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
包装機の一形態であるピロー包装機は、以下のような構成を備える。ピロー包装機は、原反ロールに巻き取られた帯状フィルムを連続して製袋器に供給し、その製袋器を通過させる際に筒状に製袋する。そして、製袋器の下流側に配置されたセンターシール装置は、製袋器を通して筒状に製袋されて重ね合わされたフィルム重合端をシールする。このシールにより筒状フィルムが形成される。また、この製袋器の上流側には製品搬送供給装置を配置し、その製品搬送供給装置から所定間隔毎に搬送される製品が、製袋器内に供給される。これにより、製品が製袋器内を通過すると、筒状フィルム内に所定間隔毎に収納されることになり、その製品は筒状フィルムとともに搬送される。そして、ピロー包装機の搬出側に配置されたトップシール装置にて、筒状フィルムを所定間隔毎に横方向に横断するようにシール・カットすることにより、製品を内包するピロー包装体が製造される。
【0003】
ところで包装される物品が、例えば饅頭,菓子等の食料品の場合には、その物品の日持ちを良くするために、包装体内に不活性ガス等を充填することがある。
図1は、係るガス充填を行う機能を備えた包装機の一例を示している。この包装機は、ピロー包装機であり、製袋器1にて筒状に製袋された筒状フィルム2の内部にガスを噴射するガスノズル3を、筒状フィルム2内に挿入配置する。このガスノズル3の先端部は、筒状フィルム2をシール・カットするトップシール装置4の近傍に位置させる。また、ガスノズル3の後端は、ガス発生装置5に接続する。そして、ガス発生装置5により発生した不活性ガスを、ガスノズル3を介して筒状フィルム2内に噴射し供給する。
【0004】
これにより、筒状フィルム2のトップシール装置4側の先端内部に存在する空気は、ガスノズル3から噴射された不活性ガスにより筒状フィルム2の上流側に押し出され、筒状フィルム2の先端内部は不活性ガスに置換される。そして、そのように先端内部が不活性ガスの雰囲気になった状態のままトップシール装置4にて筒状フィルム2がシール・カットされ、不活性ガスが充填された包装体6が製造される。係る包装機は、例えば特許文献1等に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来のガスノズルを備えた包装機は、以下に示す問題を有する。ガスノズル3は、先端を筒状フィルム2の内部に挿入するため、先端側はフリーとなり、片持ちで支持する構造となる。そのため、ガスノズル3の長さが長くなるほど、図示するように先端が自重で垂れ下がり、製品と接触するリスクが高くなる。さらに、垂れ下がる距離が大きくなるほど、製品を押さえつけようとする力が大きくなる。その結果、製品のスムーズな搬送を阻害し、筒状フィルム2内での製品の相対的な位置がずれてトップシール装置4で当該製品の噛み込みを生じたり、製品を損傷したりするおそれがある。
【0007】
係る事態の発生を抑制する対策は、例えば筒状フィルムの内周面の寸法形状を大きくし、製品との間の隙間に余裕を持たせ、ガスノズル3の先端が垂れ下がっても製品に接触しないようにすることが考えられる。しかし、係る対策を施した包装機は、包装体の寸法形状が製品に対して大きくなり、好ましくない。特に、製品の寸法形状が小さくなるほど、係る問題が顕著に表れる。
【0008】
また、ガスノズル3の長さを短くし、自重により垂れ下がる距離を少なくする対策がとれる。しかし、係る対策をすると、ガスノズル3の先端の位置を、トップシール装置4の近傍に配置することができず、筒状フィルム2の先端から比較的離れた上流・手前側に位置することになる。すると、空気とガスの置換率が悪いため、筒状フィルム2の先端に十分なガスを充填するためには、より多くのガスを供給する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明の包装機は、(1)製品を包装フィルムで包み込んだ状態で搬送する搬送手段と、前記搬送手段の上方に配置される上部抑えベルト手段と、その搬送手段の下流側に配置され、前記包装フィルムを進行方向と交差する方向にシールするトップシール手段と、前記搬送手段で搬送される前記包装フィルムで形成される内部空間内にガスを供給するガス供給手段と、を備え、前記ガス供給手段は、前記内部空間内の上方側に配置されるガスノズルを有し、そのガスノズルは先端側が前記内部空間内に位置し、後方側で片持ち支持される包装機であって、前記上部抑えベルト手段は、磁力発生手段を備え、前記ガスノズルに磁性部位を設け、前記磁力発生手段の磁力が前記磁性部位に作用することにより前記ガスノズルが引き寄せられるように構成した。
【0010】
磁力発生手段は、実施形態のように永久磁石とすると構成が簡単で良い。また、磁力発生手段は、永久磁石に限ることはなく、例えば電磁力を用いても良い。電磁力を用いると磁力の調整ができるのでよい。
【0011】
磁性部位は、ガスノズルの全体に渡り設けても良いし、一部に設けても良い。一部は、ガスノズルの軸方向の一部の場合と、周方向の一部の場合のいずれもある。軸方向の一部に設ける場合、好ましくは、ガスノズルの先端側にすると良い。これは、片持ち支持されているガスノズルは、自重により先端側ほど大きく垂れ下がるようになるので、係る先端側に磁性部位を設けることで効果的にガスノズルを引き寄せることができるので良い。
【0012】
ガスノズルの先端側とは、必ずしもガスノズルの最先端を含むものに限定するものではなく、ガスノズルが片持ち支持される後方側に対する相対的なものである。従って当該最先端には磁性部位がなく、最先端から所定距離を離れた部位に磁性部位を備えるものも含む。また、磁性部位は、先端側の形成の有無にかかわらず、中央部位や後方側に設けるのを妨げない。
【0013】
また、磁性部位は、全周に渡り設けても良いし、一部に設けても良い。以下の(2)の発明のように、ガスノズルを構成する材料を磁性材料とすれば、全周に渡り磁性部位を配置することになるが、以下の(3)の発明のように磁性体を取り付けるようにした場合には、例えば無端状の部材を装着して全周に形成しても良いし、一部に設けても良い。そして、一部の場合、少なくとも上面側に設けると、磁力発生手段の吸引力を受けやすいので好ましい。
【0014】
本発明によれば、磁力発生手段から生じる磁力が、磁性部位を吸引するため、磁性部位ひいてはフリー状態となっているガスノズルが引き寄せられる。これにより、ガスノズルが自重で垂れ下がる距離を少なくすることができ、ガスノズルが製品に接触するおそれを可及的に抑制できる。本発明では自重により垂れ下がる距離を少なくできれば良く、必ずしもガスノズルを水平状態にしたり、先端側が持ち上がるようにしたりすることまでは必須では無い。より確実にガスノズルと製品の接触を防止するためには、上部抑えベルト手段から発生する磁力を大きくし、ガスノズルが水平状態或いはそれ以上に持ち上がるようにするとよい。
【0015】
(2)前記ガスノズルは、磁性材料で構成され、その磁性材料が前記磁性部位とするとよい。ガスノズルを構成する材料自体が磁性材料となるので、磁性部位を簡単に設けることができ、比較的広い領域に磁性部位を形成することができるのでガスノズルを全体的に磁力で吸引することができるので好ましい。
(3)前記ガスノズルに磁性体を取り付け、その磁性体が前記磁性部位とするとよい。
【0016】
(4)前記ガスノズルの表面に滑り性の良好なコーティングを行うとよい。このようにすると、ガスノズルが包装フィルムに接触したとしても、両者間に発生する接触抵抗が小さく、包装フィルムに傷等が生じることを抑制できる。コーティングは、例えば、無電解メッキなどを行うことで形成できる。
【0017】
(5)前記上部抑えベルト手段は、タイミングベルトを備え、前記磁力発生手段となる永久磁石を、前記タイミングベルトの歯部に取り付けるようにするとよい。このようにすると、歯部は内側に突出して厚みがあるので、確実に永久磁石を取り付けることができるのでよい。また、タイミングベルトが掛け渡されるプーリの周りを回転移動する際に、永久磁石がプーリに接触するようなこともなくスムーズに回転駆動をすることができるので、従前のプーリを用いることができるので好ましい。
【0018】
(6)前記上部抑えベルト手段が、前記磁力発生手段である永久磁石によって構成されたベルト部材を備えるようにするとよい。例えばマグネットシート,マグネット樹脂、マグネットプレート等でベルトを構成することで形成する。
【0019】
(7)前記上部抑えベルト手段から発生する磁力により引き寄せられる前記ガスノズルが、水平状態になるようにするとよい。このようにすると、ガスノズルが製品と接触することを抑制でき、ガスノズルが包装フィルムに大きな接触圧で接触することを可及的に抑制できるので良い。
【0020】
(8)前記ガスノズルの先端の前面に、前記内部空間内にガスを供給するための開口部を有し、前記ガスノズルの先端側の上方部位に、前記包装フィルムに向けてガスを噴射する噴射口を有するように構成すると良い。このようにすると、ガス噴射口から筒状フィルムに向けてガスが噴射する。この噴射したガスが、対向する包装フィルムに当たり、当たったフィルム部位を上方に付勢する。これにより、当該フィル部位が上方に浮き上がろうとし、ガスノズルと包装フィルムとの間の摩擦抵抗が軽減するのでよい。
【0021】
また、上述した各発明によれば、磁力発生手段から生じる磁力により、ガスノズルの先端側が引き寄せられ、上昇移動する。磁力が大きいと、ガスノズルと上部抑えベルト手段で包装フィルムを強く挟むことになり、包装フィルムのスムーズな搬送を抑制したり、包装フィルムに傷等が生じたりするおそれがある。そこで好ましくは、包装フィルムとガスノズルの摩擦抵抗を軽減する機構・機能を備えると良い。これらの摩擦抵抗を軽減する機構・機能の具体的な構成の一例は、上述した(4)の発明や、(8)の発明である。
【発明の効果】
【0022】
本発明では、フリー状態となっているガスノズルの先端側が自重で垂れ下がる距離を小さくしたり無くしたりできるので、ガスノズルの先端側と製品が接触するのを抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0025】
図2,
図3は、本発明に係る包装機の好適な一実施形態であるピロー包装機の一例を示している。ピロー包装機10は、上流側から製品搬送供給装置11,包装機本体12,搬出コンベア装置の順に配置され、さらにそれらの上方にフィルム供給装置14を備えて構成される。
【0026】
製品搬送供給装置11は、製品18を一定間隔毎に搬送するとともに、次段の包装機本体12に順次供給するフィンガーコンベア装置から形成されている。すなわち、前後に配置されたスプロケット7(図では、下流側のみ示す)間に掛け渡されたエンドレスチェーン8に対し、一定間隔で押送フィンガー9を取り付けて構成される。そして、前後の押送フィンガー9間に製品18を供給することにより、その製品18を押送フィンガー9のフィンガーピッチで搬送する。
【0027】
フィルム供給装置14は、製品18を包み込む包装フィルムとなる帯状フィルム16を連続して包装機本体12に供給するためのものである。このフィルム供給装置14は、帯状フィルム16をロール状に巻き取った原反ロール(図示省略)の支持手段を備える。フィルム供給装置14は、原反ロールから連続して引き出された帯状フィルム16を所定の搬送経路で搬送し、包装機本体12の搬入部位に導くためのローラ17(図では、代表して1個表示する)を備える。このローラ17は、帯状フィルム16に対して駆動を掛ける駆動ローラや、テンションを掛けるテンションローラや、帯状フィルム16の搬送方向を変更したり搬送をガイドしたりするフリーローラなどがある。
【0028】
包装機本体12は、搬入側に製袋器22を備える。製袋器22は、フィルム供給装置14から供給される帯状フィルム16を筒状に製袋する。ここでは、製袋器22を帯状フィルム16が通過することで、その帯状フィルム16の両側縁が、下側で重ね合わされた筒状フィルム20となる。
【0029】
一方、製品搬送供給装置11から順次搬出される製品18は、製袋器22内に供給される。これにより、筒状に製袋される帯状フィルム16内に製品18が所定間隔ごとに供給されることになり、以後、その製品18は筒状に製袋された筒状フィルム20内に内包された状態のまま、当該フィルムと共に搬送される。
【0030】
さらに包装機本体12は、製袋器22の下流側に、センターシール装置23を備える。センターシール装置23は、製袋器22を通過して製袋された筒状フィルム20の両側縁を重ね合わせた部位をシールするものである。このセンターシール装置23は、係る筒状フィルム20の両側縁を重ね合わせた部位を挟み込んで搬送力を与える一対のピンチローラ23aと、その重ね合わせた部位を両側から挟み込んで加熱シールするバー状の一対のセンターシーラ23bと、そのセンターシーラ23bの下流側に配置され、加熱して溶融したフィルムの側縁の重ね合わされた部位を加圧すると共に冷却して熱シールを完了する一対のプレスローラ23cと、を備える。本実施形態ではバー状のセンターシーラ23bを用いたが、一対の回転ローラで構成するものもあり、各種の構造をとれる。
【0031】
包装機本体12は、センターシール装置23の下流側に、下部ベルトコンベア装置26と上部抑えベルト装置28を備える。下部ベルトコンベア装置26は、製品18を内包する筒状フィルム20の搬送路を構成する。上部抑えベルト装置28は、下部ベルトコンベア装置26の上方所定位置に配置される。上部抑えベルト装置28は、前後に所定の間隔をおいて配置した駆動プーリ32,従動プーリ33と、それらプーリ間に掛け渡されるエンドレスベルト34を備える。エンドレスベルト34は、プーリとともに昇降移動可能となっており、筒状フィルム20に接触或いは近接する位置に来るように調整する。駆動プーリ32は、図示省略の駆動モータに連係され、当該駆動モータの回転力を受けて回転する。これに伴い、エンドレスベルト34も回転する。また、エンドレスベルト34の水平移動する区間の移動速度は、筒状フィルム20の移動速度と等しくなるように制御する。これにより上部抑えベルト装置28は、製品18が上方に浮き上がるのを抑制する。
【0032】
さらに包装機本体12は、下部ベルトコンベア装置26,上部抑えベルト装置28の下流側にトップシール装置30を備える。トップシール装置30は、筒状フィルム20を挟んで対向するように上下に配置された一対の回転軸30aと、上側の回転軸30aに取り付けられた上側トップシーラ30bと、下側の回転軸30aに取り付けられた下側トップシーラ30cと、を備える。また、上側トップシーラ30bと下側トップシーラ30cは、ヒータが内蔵され、互いの先端のシール面が所定の温度に加熱される。さらに、上側トップシーラ30bのシール面の前後方向の中央部には、カッター刃30dが内蔵される。また、下側トップシーラ30cのシール面の前後方向の中央部には受け刃30eが内蔵される。上下の回転軸30aひいては上側トップシーラ30bと下側トップシーラ30cは同期して回転し、一回転するごとに上側トップシーラ30bと下側トップシーラ30cのシール面が接触する。よって、この接触時に筒状フィルム20を挟み込んで加熱、加圧する。さらに、この接触時にカッター刃30d,受け刃30eが筒状フィルム20をカットする。よって、トップシール装置30は、センターシールされた筒状フィルム20の所定位置(製品の存在しない部分)を横方向にシール・カットする。これにより、筒状フィルム20の先端部分(先頭の製品18を内包する部分)は、筒状フィルム20から分離され、包装体29が製造される。そして、この包装体29が搬出コンベア装置13上を搬送される。
【0033】
さらに、ピロー包装機10は、筒状フィルム20内に所定のガスを供給するガス供給手段40を備える。ガス供給手段40は、ガスボンベ41と、ガスボンベ41に接続されたガス混合機42と、ガス混合機42に接続されたガスノズル43を備えている。ガスノズル43は、片持ち状態で支持される。そして、ガスノズル43は、製袋器22の内側上方部を貫通して筒状フィルム20 内に挿入し、そのガスノズル43の先端部43aはトップシール装置30の近傍に位置するように配置する。また、ガスノズル43は、製袋器22,筒状フィルム20の幅方向の中央に位置する。そして、ガスボンベ41から供給されるガスは、ガスノズル43の先端の前面の開口部から噴射される。これにより、筒状フィルム20内の上方中央からガスが噴射される。さらに、ガスノズル43には、切替え弁装置44を設け、ガスの噴射の入切や、流量の制御が行えるようにしている。
【0034】
ガスボンベ41には、筒状フィルム20内に供給するガスが充填されている。本実施形態では、ガスは、不活性ガスであり、例えばN2ガスやCO2ガス等を用いる。また、本実施形態では、ガス混合機42を備えているため、複数種類のガスボンベ41を用意し、それら複数のガスボンベ41から出力されるガスを混合して生成した混合ガスを噴射する機能を備える。なお、ガス混合機42は必ずしも設ける必要は無い。また、筒状フィルム20内へのガスの噴射の制御も、特許文献1等に示すように間欠的に行っても良いし、連続して行ってもよい。
【0035】
ここで本実施形態では、磁力を利用してガスノズル43の先端部43aに上方向への力が作用し、片持ち支持による先端部43aの垂れ下がりを抑制するようにした。具体的には、上部抑えベルト装置28のエンドレスベルト34に永久磁石35を取り付ける。ガスノズル43は、磁性材料で形成され、永久磁石35から発生する磁力によりエンドレスベルト34側に引き寄せられるようにした。
【0036】
ガスノズル43を形成する磁性材料は、軟磁性材料,硬磁性材料のいずれでも良い。エンドレスベルト34側に永久磁石35を設けるため、ガスノズル43は自ら磁力を発生する必要は無いので、硬磁性材料を用いなくても良い。さらに、ガスノズル43は、細長い筒状であるので、強度が必要であるとともに係る形状に形成しやすい材料を用いるのが良いため、軟磁性材料であって、加工しやすい金属を用いると良い。そこで本実施形態は、鉄を用いた。
【0037】
また、ガスノズル43は、縦断面形状が扁平な略矩形としている。ガスノズル43の上面側が平坦となるので、当該上面の両サイドも永久磁石35との距離が近づきよりしっかりと磁力により引き寄せられるので良い。また、扁平で薄い方が軽く幅があるため、吸着しやすいので良い。
【0038】
さらに、ガスノズル43の表面には、滑り性の良好なコーティング層を形成する。コーティング層を設けたため、ガスノズル43が筒状フィルム20と接触したとしても、筒状フィルム20に傷が付くのを抑制する。本実施形態では、コーティング層は、無電解メッキを行い形成した。これにより、表面に均一な薄い層を成膜できるので良い。
【0039】
エンドレスベルト34は、例えばタイミングベルトとするとよい。これに伴い、駆動プーリ32,従動プーリ33は、段付きプーリとする。タイミングベルトは、その内周面にベルト幅の幅方向に延びる歯部34aを備えており、係る歯部34aが周方向に所定ピッチで配置される。隣接する歯部34aの間の溝34bの部分は、駆動プーリ32,従動プーリ33に設けた歯部と嵌め合う。歯部34aは、その断面が台形,矩形などであり、肉厚がある。そこで、例えばその歯部34aの幅方向中央に、永久磁石35を埋め込む。また、埋め込みに先立ち、歯部34aの中央の一部を削除し、その削除した部分に永久磁石35を挿入するとよい。この種のタイミングベルトは、ゴム等で形成されるため、例えば、切除する部分の寸法形状を永久磁石35と同等か小さくすると良い。この場合、挿入した永久磁石35の保持は、当該ゴムの弾性力を利用すると簡単に構成できるので良い。また、接着剤その他の方法で永久磁石35をしっかりと固定すると、運転中に永久磁石35が外れるのを抑止できるのでよい。また、永久磁石35を挿入した後、削除した部分に閉塞部材を配置し、永久磁石35を内部に閉じ込めるようにすると良い。このようにすると、運転中の永久磁石35の離脱をより確実に防止できる。閉塞部材は、例えばゴム,樹脂その他の固形物や、コーキング材などの粘着性のある充填剤を充填した後に固化するものなどを用いるとよい。
【0040】
永久磁石35の設置は、例えば、全ての歯部34aに設けても良いし、一部の歯部34aに設けても良い。全ての歯部34aに設けた方が、より大きな磁力が発生するので好ましい。永久磁石35は、強い磁力を有するものが良く、例えばネオジム磁石を用いる。永久磁石35は、エンドレスベルト34側に設けるため、比較的小さくなる。よって、ネオジム磁石などの小さくても大きな磁力が発生するものがよい。但し、他の磁石の適用を妨げるもののではなく、各種の材質のものを用いても良い。
【0041】
上述した実施形態では、上部抑えベルト装置28のエンドレスベルト34の幅方向中央に、周方向に沿って永久磁石35が点在する。そして、永久磁石35の下方に、筒状フィルム20内に挿入されたガスノズル43が位置する。よって、永久磁石35から発生する磁力により、ガスノズル43が上方への付勢力を受け、ガスノズル43の先端部43aが自重により下方に垂れ下がる距離を抑制する。その結果、ガスノズル43の先端部43aが製品18に接触することを抑制する。この場合、ガスノズル43が常に上方への付勢力を受けている状態になるように永久磁石35を配置することで、ガスノズルの上下方向の振動を抑えることができる。
【0042】
さらに、本実施形態では、永久磁石35が、磁力の大きいものを用い、さらに、多数の永久磁石35を配置することでエンドレスベルト34の全体から発生する磁力が大きくなるとともに、エンドレスベルト34の全周にわたり永久磁石35を所定ピッチで配置したため、ガスノズル43の比較的長い領域で全体的に引き寄せられるように作用し、先端部43aの垂れ下がり量をより小さくすることができる。そして、永久磁石35によりガスノズル43にかかる付勢力が、ガスノズル43の先端部43aが自重により下方に垂れ下がる方向に加わる力に打ち勝つと、片持ち支持されてフリーの先端部43aが水平状態よりも上に持ち上がった状態となる。これにより、ガスノズル43の先端部43aが製品18に接触することを確実に阻止することができる。
【0043】
また、永久磁石35の寸法形状や、設置個数、ひいては材質を適宜に設定することで、永久磁石35によりガスノズル43にかかる付勢力と、ガスノズル43の先端部43aが自重により下方に垂れ下がる方向に加わる力のバランスをとり、例えばガスノズル43の先端部43aをほぼ水平状態になるようにすると良い。係る構成を採ると、ガスノズル43の先端部43aが筒状フィルム20と非接触の状態で宙に浮いた状態となるとともに、製品18にも接触しないので好ましい。
【0044】
なお、永久磁石35から生じる磁力が大きいと、ガスノズル43と上部抑えベルト装置8で筒状フィルム20を強く挟むことになり、筒状フィルム20のスムーズな搬送を抑制したり、筒状フィルム20に傷等が生じたりするおそれがある。本実施形態では、ガスノズル43の表面にコーティング層を設けたため、ガスノズル43と筒状フィルム20との間に発生する接触抵抗が小さく、スムーズに搬送でき、筒状フィルム20に傷等が生じることを抑制できる。
【0045】
上述した実施形態では、エンドレスベルト34としてタイミングベルトを用いる例を説明したが、本発明はこれに限ることは無く、例えば、平ベルトその他のものを用いても良い。平ベルトを用いる場合、例えば、永久磁石は、平ベルトの内周面の幅方向中央に取り付ける。そして、平ベルトが掛け渡されるプーリは、幅方向中央に周方向に延びる凹溝を形成する。このようにすると、永久磁石は凹溝内を移動し、平ベルトはプーリの凹溝が形成されていない両側縁に接触して搬送力受け、スムーズに回転駆動する。また、プーリに凹溝を設けるのではなく、例えば同軸上を所定の間隔をおいて配置した2個のプーリを用意し、平ベルトの両サイドはそれぞれ2個のプーリに接触して搬送力を受け、永久磁石は2個のプーリの間の空間内を移動するようにしても良い。
【0046】
また、上述した実施形態並びに変形例では、ベルト部材は、無端状のエンドレスベルトを適用するものについて説明したが、例えば、プレートコンベアのように帯板状のプレートを多数平行に並べてベルト部材を構成するものに適用してもよい。ベルト部材の個々の構成要素が帯板状のプレートとするので、永久磁石を取り付けやすい。また、ベルト部材がプーリ,スプロケット等の無端状の軌跡を作る部材の周囲を移動する際に永久磁石が邪魔になり難いのでよい。
【0047】
また上述した実施形態並びに変形例では、永久磁石をベルトに取り付けることを説明したが、本発明はこれに限ることはなく、ベルト自体を磁石で形成するようにしても良い。このようにすると、全体的に磁力が発生するので好ましい。
【0048】
上述した実施形態並びに変形例では、ガスノズル43は、縦断面形状が扁平な略矩形としているが、例えば丸型でも良いし、その他任意の形状をとることができる。
【0049】
上述した実施形態並びに変形例では、永久磁石をベルト部材に設けた例を説明したが、本発明はこれに限ることはなく、例えば、プーリやその他の部材に磁力発生手段を設け、磁力発生手段の磁力を、ベルト部材を透過してガスノズルの磁性部位に作用させる構造にしても良い。また、本発明の磁力発生手段は永久磁石に限ることは無く、電磁石などを用いても良い。電磁石による電磁力を利用すると、永久磁石に比べて大きな磁力を発生させることが容易に行え、また、磁力の調整ができるので好ましい。
【0050】
上述した実施形態並びに変形例を基本とし、ガスノズルの上面側に、ガスの噴射口を設けるとよい。例えば、
図4は、ガスノズル43に噴射口43bを設けた変形例の要部を示している。この変形例のガスノズル43は、縦断面形状が丸型の円筒状のパイプを用いている。このガスノズル43の筒状フィルム20と接触或いは対向する上面に、ガスの噴射口43bを設ける。この噴射口43bは、円筒状のガスノズル43の最上端位置に、ガスノズル43の長さ方向に沿って一列に複数個を配置する。個々の噴射口43bの内径は、ガスノズル43の先端の前面の開口部の内径よりも小さくする。これにより、ガスボンベ41から供給されるガスの大部分は、先端の前面の開口部から前方に向けて噴射され、筒状フィルム20内のガス置換に用いられる。ガスボンベ41から供給されるガスの一部が、噴射口43bから上方に向けて噴射する。この噴射したガスが、対向する筒状フィルム20に当たり、当たったフィルム部位を上方に付勢する。これにより、当該フィル部位が上方に浮き上がろうとし、ガスノズル43と筒状フィルム20との間の摩擦抵抗を軽減する。そして、噴射口43bから噴射されたガスは、そのまま筒状フィルム20内にとどまり、筒状フィルム20内のガス置換としても機能する。
【0051】
噴射口43bを設ける区間は、ガスノズル43の先端部43aとする。好ましくは、ガスノズル43を吸引する磁力が発生する領域とすると良い。例えば、永久磁石35を内蔵する上部抑えベルト装置28の設置領域とすると良い。当該領域よりも上流側に噴射口があっても良いが、より好ましくは、当該領域より上流側には噴射口を設けないようにする。上流側に噴射口を設けると、当該噴射口からガスが噴射されてしまうため、ガスボンベ41から供給されるガスを効率よく筒状フィルム20の奥深くのトップシール装置30の近傍に充填することができなくなる。そこで、噴射口43bを、ガスノズル43の先端部43aのみに集約することで、筒状フィルム20の奥深い空間に、ガスを充填することができる。
【0052】
本変形例の噴射口43bの形状は、円形にしたが、本発明はこれに限ることはなく、矩形状、さらには、ガスノズルの長さ方向に延びる細長いスリット状等、各種の小さな開口部形状を採ると良い。
【0053】
ガスノズル43の縦断面形状が矩形状の場合、上面は平坦である程度の幅を有する。係る形状のガスノズル43の場合、噴射口43bは、例えば上面にガスノズル43の長さ方向に沿って複数列を配置する。また、噴射口43bは、千鳥状に配置したりしても良い。
【0054】
上述した実施形態並びに変形例では、センターシール装置が筒状フィルムの下側に配置したピロー包装機に適用した例を示したが、本発明はこれに限ることはなく、製袋器に対して帯状フィルムを下側から供給し、帯状フィルムの両側縁が上側で重ね合わさせ、センターシール装置が筒状フィルムの上側に配置される逆ピロー包装機に適用しても良い。
【0055】
この場合、ガスノズルは、センターシール装置でシールされたセンターシール部と重ならないように位置をずらして配置すると良い。すなわちセンターシール部は、折り曲げられて筒状フィルムの表面に重なる状態で移動するため、係る重なる位置にガスノズルがあると永久磁石との間に筒状フィルムとセンターシール部が存在し、磁力を効率よくガスノズルの磁性部位に作用させることができない。そこで、ガスノズルをセンターシール部とずらして配置することで、上述した実施形態のピロー包装機と同様に磁力による吸引を効率よく行えるので良い。
【0056】
さらにまた、本発明が適用される包装機は、上記の逆ピロータイプを含むピロー包装機に限ることはなく、例えば、帯状フィルムを中央から折り曲げて略横U字状にし、搬送方向の一方の側縁に位置するフィルム部位をシールすると共に、製品の前後の位置を横方向にトップシールする三方包装機やその他各種の包装機に適用できる。
【0057】
上述した実施形態並びに変形例は、適宜組み合わせて実施することができる。また、各形態で説明した一部の要素と別の一又は複数の形態の要素を適宜組み合わせても良い。また、各請求項に記載する発明は、適宜組み合わせて発明を構成するとよい。例えば、ガスノズルの表面に滑り性の良好なコーティングを行う構成を、他の各請求項に記載の発明に組み合わせるとよい。また、例えば、上部抑えベルト手段を、タイミングベルトで構成し、そのタイミングベルトの歯部に、磁力発生手段となる永久磁石を取り付ける構成を、他の各請求項に記載の発明に組み合わせるとよい。