(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
Janusキナーゼ関連疾患を治療するための薬剤の製造における、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は請求項9に記載の医薬組成物の使用。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する:
【化1】
【0008】
式中、
AはC(R)又はNから選択され;
L
1は、単結合、−C(=O)O−、−C(=O)−、−S(=O)−、−S(=O)
2−、−C(=O)N(R)−、−N(R)C(=O)N(R)−、−N(R)−、−S(=O)N(R)−、−S(=O)
2N(R)C(R)
2−、−S(=O)N(R)C(R)
2−から選択され;
R
1は、H、CN、OH、NH
2、ハロゲン、又は任意に1、2、3若しくは4個のRに置換された:C
1−6アルキル基、C
1−6ヘテロアルキル基、C
3−6シクロアルキル基、3〜6員のヘテロシクロアルキル基から選択され;
Rは、それぞれ独立に、H、CN、OH、NH
2、ハロゲン、又は任意に1、2、3若しくは4個のR’に置換された:C
1−6アルキル基、C
1−6ヘテロアルキル基から選択され;
R’は、ハロゲン、OH、NH
2、CN、Me、Et、CF
3、CH
2CF
3、NHCH
3、N(CH
3)
2から選択され;
前記「ヘテロ」は、ヘテロ原子又はヘテロ原子基から選択され、N、O、S、−C(=O)O−、−C(=O)−、−S(=O)−、−S(=O)
2−から選択され、前記いずれの場合においても、前記「ヘテロ」の数は、それぞれ独立に、1、2、又は3から選択される。
【0009】
本発明の幾つかの態様において、前記Rは、H、CN、OH、NH
2、ハロゲン、又は任意に1、2、若しくは2個のR’に置換されたMe、Et、NHCH
3、N(CH
3)
2、NHCH
3、N(CH
3)
2、
【化2】
から選択される。
【0010】
本発明の幾つかの態様において、前記L
1は、単結合、−C(=O)O−、−C(=O)−、−S(=O)−、−S(=O)
2−、−C(=O)NH−、−NHC(=O)NH−、−NH−、−S(=O)NH−、−S(=O)
2NHCH
2−、−S(=O)NHCH
2−から選択される。
【0011】
本発明の幾つかの態様において、前記R
1は、H、CN、OH、NH
2、又は任意に1、2、3若しくは4個のRに置換された:C
1−3アルキル基、C
1−2アルキル基−N(C
1−2アルキル基)
2、C
1−2アルキル基−NH−C
1−2アルキル基、C
1−3アルキル基−S(=O)
2−C
1−3アルキル基、C
1−3アルキル基−S(=O)−C
1−3アルキル基、C
4−5シクロアルキル基、4〜5員のヘテロシクロアルキル基から選択される。
【0012】
本発明の幾つかの態様において、前記R
1は、CN、又は任意に1、2、3若しくは4個のRに置換されたMe、Et、
【化3】
から選択される。
【0013】
本発明の幾つかの態様において、前記R
1は、CN、Me、
【化4】
から選択される。
【0014】
本発明の化合物は、
【化5】
から選択される。
【0015】
本発明は、更に、式(I)で示される化合物の製造方法を提供し、以下のステップを含む:
【化6】
【0016】
式中、PGはアミノ保護基であり、ベンジルオキシカルボニル基(Cbz)、t−ブトキシカルボニル基(Boc)、フルオレニルオキシカルボニル基(Fmoc)、アリルオキシカルボニル基(Alloc)、トリメチルシリルエトキシカルボニル(Teco)、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、フタロイル(Pht)、p−トルエンスルホニル(Tos)、トリフルオロアセチル基(Tfa)、ベンジル基(Bn)、p−メトキシベンジル基(PMB)から選択される。
【0017】
本発明は、更に、治療有効量の前記化合物又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0018】
本発明は、更に、Janusキナーゼ(JAK)関連疾患の治療のための薬剤の製造における、前記化合物、その薬学的に許容される塩、又は前記医薬組成物の使用を提供する。
【0019】
本発明の幾つかの態様においては、前記疾患は関節炎である。
【0020】
本発明の幾つかの態様においては、前記疾患は関節リウマチである。
【0021】
(用語定義)
別途に説明しない限り、本明細書で使用される用語及び連語は、以下の意味を有する。一つの特定の用語又は連語は、特別に定義されていない場合、不確定又は不明瞭ではなく、普通の定義として理解されるべきである。本明細書に商品名が現れた場合、対応の商品又はその活性成分を指す。本明細書に使用される用語「薬学的に許容される」とは、信頼性のある医学判断の範囲内でヒト組織及び動物組織との接触使用のために適することができるが、高すぎる毒性、刺激性、アレルギー反応又は他の問題又は合併症を伴わず、合理的なベネフィット/リスク比を満たしている化合物、材料、組成物及び/又は剤形に向けられる。
【0022】
用語「薬学的に許容される塩」とは、本発明の化合物の塩を指し、本発明によって見出された特定の置換基を有する化合物及び比較的に無毒の酸又は塩基によって製造される塩を指す。本発明の化合物が比較的に酸性の官能基を含む場合、純粋な溶液又は適切な不活性溶媒において中性形態の該化合物と十分な量の塩基と接触させることによって塩基付加塩を得ることができる。薬学的に許容される塩基付加塩は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミン、マグネシウム塩又は類似する塩を含む。本発明の化合物が比較的にアルカリ性の官能基を含む場合、純粋な溶液又は適切な不活性溶媒において中性形態の該化合物と十分な量の酸と接触させることによって酸付加塩を得ることができる。薬学的に許容される酸付加塩の例として、無機酸の塩(前記無機酸は、例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、重炭酸イオン、リン酸、リン酸一水素イオン、リン酸二水素イオン、硫酸、硫酸水素イオン、ヨウ化水素酸、亜リン酸などを含む)、及び有機酸の塩(前記有機酸は、例えば、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、クエン酸、酒石酸、及びメタンスルホン酸などの類似の酸を含む)が挙げられ、さらにアミノ酸(例えば、アルギニンなど)の塩、及びグルクロン酸のような有機酸の塩も挙げられる(Berge et al.,“Pharmaceutical Salts”,Journal of Pharmaceutical Science 66:1−19(1977)を参照)。本発明の一部の特定の化合物は、アルカリ性官能基及び酸性官能基の両方を有するため、塩基付加塩又は酸付加塩のいずれにも変換される。
【0023】
好ましくは、通常の方法で塩を塩基又は酸と接触させ、更に母体化合物を分離することによって、化合物の中性形態を再生する。化合物の母体形態とその各種類の塩の形態との違いは、一部の物理的性質、例えば、極性溶媒における溶解度が異なることにある。
【0024】
本明細書に使用される「薬学的に許容される塩」は、本発明の化合物の誘導体に属し、酸と塩を形成すること又は塩基と塩を形成することによって前記母体化合物を修飾する。薬学的に許容される塩の実例は、アミン等のアルカリ性基の無機酸塩又は有機酸塩、カルボン酸等の酸性基のアルカリ金属塩又は有機塩等を含むが、これらに限られない。薬学的に許容される塩は、通常の無毒性の塩又は母体化合物の第四級アンモニウム塩、例えば、無毒の無機酸又は有機酸で形成する塩を含む。通常の無毒性の塩は、無機酸及び有機酸から誘導される塩を含むが、これらに限られない。前記の無機酸又は有機酸は、2−アセトキシ安息香酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、酢酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、炭酸水素イオン、炭酸、クエン酸、エデト酸、エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、ヒドロキシ基、ナフトール、イセチオン酸、乳酸、乳糖、ラウリルスルホン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、硝酸、シュウ酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、リン酸、ポリガラクツロン酸、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸、フォリン酸、コハク酸、アミノスルホン酸、p−アミノベンゼンスルホン酸、硫酸、タンニン、酒石酸、及びp−トルエンスルホン酸から選択される。
【0025】
本発明の薬学的に許容される塩は、酸性基又はアルカリ性基を含む母体化合物から通常の方法で合成することができる。一般的に、上述塩の製造方法は、水若しくは有機溶媒又は両者の混合物において、遊離酸又は塩基の形態の上述化合物と化学量論量の適切な塩基又は酸と反応させることを含む。一般的に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、又はアセトニトリル等の非水媒体が好ましい。
【0026】
塩の形態以外、本発明によって提供される化合物は、プロドラッグの形態も存在する。本明細書に記載される化合物のプロドラッグは、生理条件下での化学的変化を通じて本発明の化合物に転化しやすい。また、プロドラッグは、in vivo環境で化学的方法又は生化学的方法によって本発明の化合物に転換される。
【0027】
本発明の一部の化合物は、非溶媒和物の形態又は溶媒和物の形態、例えば水和物の形態で存在してもよい。一般的に、溶媒和物の形態は非溶媒和物の形態に相当し、いずれも本発明の範囲に含まれる。
【0028】
本発明の一部の化合物は、不斉炭素原子(光学中心)又は二重結合を有してもよい。ラセミ体、ジアステレオマー、幾何異性体、及び単独の異性体は、いずれも本発明の範囲に含まれる。
【0029】
本明細書におけるラセミック、アンビスカレミック(ambiscalemic)、及びスカレミック(scalemic)、又は鏡像的に純粋な化合物の図解は、Maehr,J.Chem.Ed.1985,62:114−120に由来するものである。別途に説明しない限り、立体中心の絶対配置は、楔形線及び破線によって表される。本明細書に記載される化合物は、オレフィン系の二重結合又はその他の幾何不斉中心を含有する場合、特に明記しない限り、E、Zの幾何異性体が含まれる。同様に、全ての互変異性形態は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
【0030】
本発明の化合物は、特定の幾何又は立体異性体として存在してもよい。本発明は、全てのこのクラスの化合物、例えばシス及びトランス異性体、(−)−及び(+)−鏡像異性体、(R)−及び(S)−鏡像異性体、ジアステレオマー、(D)−異性体、(L)−異性体、及びそのラセミ混合物並びにその他の混合物、例えば、エナンチオマー濃縮混合物又はジアステレオマー濃縮混合物を想定しており、全てのこれらの混合物は本発明の範囲内に含まれる。アルキル基などの置換基に、その他の不斉炭素原子が存在してもよい。全てのこれらの異性体及びこれらの混合物は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
【0031】
光学活性な(R)−及び(S)−異性体並びにD及びL異性体は、キラル合成又はキラル試薬又はその他の通常の技術を用いて製造することができる。本発明のある化合物のエナンチオマーを得るには、不斉合成又はキラル補助剤を有する誘導作用によって製造することができる。ここで、得られたジアステレオマー混合物を分離し、且つ補助基を分裂させることで、純粋な所望のエナンチオマーが得られる。あるいは、分子にアルカリ性官能基(例えば、アミノ基)又は酸性官能基(例えば、カルボキシ基)が含まれる場合、適切な光学活性な酸又は塩基とジアステレオマーの塩を形成させ、更に当分野の公知の光学分割法によってジアステレオマーの分割を行った後、回収して純粋なエナンチオマーを得る。また、エナンチオマーとジアステレオマーの分離は、通常、クロマトグラフィー法によって行われる。前記クロマトグラフィー法は、キラル固定相を使用し、且つ任意に化学誘導法(例えば、アミンからカルバミン酸塩を生成させる)と併用する。
【0032】
本発明の化合物を構成する一つ又は複数の原子には、非天然の比率の原子同位元素が含まれてもよい。例えば、三重水素(
3H)、ヨウ素−125(
125I)、又はC−14(
14C)等の放射性同位元素を用いて化合物を標識することができる。本発明の化合物の全ての同位元素の構成の変換は、放射性の有無を問わず、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
【0033】
用語「薬学的に許容される担体」とは、有効量の本発明に開示された活性物質を送達することができ、活性物質の生物活性を妨げず、かつ宿主又は患者に毒性の副作用を起こさない任意の製剤又は担体媒体を指す。代表的な担体は、水、油、野菜、及び鉱物質、クリーム基材、洗剤基材、軟膏基材などを含む。これらの基材は懸濁剤、増粘剤、経皮吸収促進剤などを含む。これらの製剤は、化粧品分野又は局部薬物分野の技術者に周知されている。担体に関するその他の情報は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Ed.,Lippincott,Williams&Wilkins(2005)を参照し、当該文献の内容は引用することにより本明細書に取り込まれる。
【0034】
用語「賦形剤」とは、通常、有効な薬物組成物の調製に必要な担体、希釈剤及び/又は媒体を指す。
【0035】
薬物又は薬理学的活性剤について、用語「有効量」又は「治療有効量」とは、毒性がなく所期の効果が得られる薬物又は薬剤の十分な使用量を指す。本発明における経口製剤については、組成物における一種の活性物質の「有効量」は、当該組成物におけるもう一種の活性物質と組み合わせて所期の効果が得られるために必要な使用量を指す。有効量の確定は人により異なり、被投与者の年齢及び基本状況にも、具体的な活性物質にも依存する。一つの場合では、適切な有効量は、当業者によって通常の試験に従って決定され得る。
【0036】
用語「活性成分」、「治療剤」、「活性物質」、又は「活性剤」とは、標的対象の障害、疾患、又は病症を効果的に治療することができる化学物質を指す。
【0037】
用語「置換された」とは、特定の原子における任意の1又は複数の水素原子(重水素及び水素の変体を含む)が置換基で置換されたことを意味するが、該特定の原子の原子価状態が正常であると共に、置換された後の化合物が安定である場合に限られる。置換基がケトン基(即ち、=O)である場合、この用語は、2つの水素原子が置換されたことを意味する。ケトン基の置換は、アリール基で生じない。用語「任意に置換された」とは、置換されてもよく、置換されていなくてもよいことを意味し、特に明記しない限り、置換基の種類と数は、化学的に実現できれば任意である。
【0038】
何らかのパラメータ(例えばR)が化合物の組成又は構造に1回以上現れる場合、それぞれ存在するものの定義は独立したものである。そのため、例えば、ある基が0〜2個のRによって置換された場合、前記基は多くとも2個のRによって任意に置換されてよく、且ついずれの場合においてもRが独立の選択肢を有する。また、置換基及び/又はそれらの変形体の組み合わせは、このような組み合わせが安定な化合物をもたらす場合のみ許容される。
【0039】
連結基の数は0、例えば、−(CHR)
0−である場合、該連結基が単結合であることを表す。
【0040】
そのうちの一つの変量が単結合から選択される時は、それで連結される2つの基が直接に連結されることを表し、例えば、A−L−ZにおけるLが単結合を表す場合、該構造が実際にA−Zになる。
【0041】
置換基が空きである場合、該置換基が存在しないことを表し、例えば、A−XにおけるXが空きである場合、該構造が実際にAになる。置換基の結合は環における2つの原子に相互に連結することができる場合、該置換基はこの環における任意の原子に結合してもよい。挙げられた置換基に対してどの原子を通して化学構造の一般式で表される化合物(具体的に挙げられていない化合物が含まれる)に連結するか明示しない場合、該置換基はその任意の原子により結合してもよい。置換基及び/又はその変形体の組み合わせは、このような組み合わせであれば安定した化合物になる場合のみ許容される。例えば、構造単位の
【化7】
は、シクロヘキシル基又はシクロヘキサジエンにおける任意の位置に置換されてもよいことを表す。
【0042】
特に明記しない限り、用語「ヘテロ」とは、炭素(C)及び水素(H)以外の原子を含むヘテロ原子又はヘテロ原子基(即ち、ヘテロ原子を含有する基)、及びこれらのヘテロ原子を含有する基、例えば、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、−O−、−S−、=O、=S、−C(=O)O−、−C(=O)−、−C(=S)−、−S(=O)、−S(=O)
2−、及び任意に置換された−C(=O)N(H)−、−N(H)−、−C(=NH)−、−S(=O)
2N(H)−、又は−S(=O)N(H)−を指す。
【0043】
特に明記しない限り、「環」は、置換又は無置換のシクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、シクロアルケニル基、ヘテロシクロアルケニル基、シクロアルキニル基、ヘテロシクロアルキニル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。いわゆる環は、単環、結合した環、スピロ環、縮合環、又は架橋環を含む。環における原子の数は、通常、環の員数と定義され、例えば、「5〜7員環」とは、5〜7個の原子により輪になった環を表す。特に明記しない限り、当該環は、任意に1〜3個のヘテロ原子を含む。そのため、「5〜7員環」は、例えば、フェニル、ピリジン、及びピペリジル基を含む。一方、用語「5〜7員のヘテロシクロアルキル基環」は、ピリジル基及びピペリジル基を含むが、フェニル基を含まない。用語「環」とは、少なくとも一つの環を含み、その中の各「環」が独立して上記定義の環である環系も含む。
【0044】
特に明記しない限り、用語「複素環」又は「ヘテロシクロ基」とは、ヘテロ原子又はヘテロ原子基を含有する安定な単環式、二環式又は三環式の環を表し、それらの環は、飽和、部分不飽和又は不飽和(芳香族)のものであってもよく、それらは、環中に炭素原子と、独立してN、O及びSから選択される1、2、3又は4個のシクロヘテロ原子とを含み、ここで、上記の任意の複素環がベンゼン環と縮合して二環式の環を形成することができる。窒素原子及び硫黄原子は、任意に酸化されてもよい(即ち、NO及びS(O)pで、pは1又は2である)。窒素原子は、置換されたものでもよく無置換のものでもよい(即ち、N又はNRであり、ここで、Rは、H又は本明細書で定義されたその他の置換基である)。当該複素環は、任意のヘテロ原子又は炭素原子の側基に結合して安定な構造を形成してもよい。形成した化合物が安定したものであれば、本明細書に記載された複素環は、その炭素又は窒素の位置に置換されることができる。複素環における窒素原子は、任意に第四級化されてもよい。一つの好ましい形態は、複素環におけるS及びO原子の合計が1を超える場合、これらのヘテロ原子はお互いに隣接しない。もう一つの好ましい形態は、複素環におけるS及びO原子の合計が1以下である。本明細書に用いられるように、用語「芳香族複素環基」又は「ヘテロアリール基」とは、安定な5員、6員、7員の単環又は二環、或いは7員、8員、9員、又は10員の二環式の複素芳香環を表し、該環中に炭素原子と、独立してN、O及びSから選択される1個、2個、3個又は4個のシクロヘテロ原子とを含む。窒素原子は、置換されたものでもよく無置換のものでもよい(即ち、N又はNRであり、ここで、Rは、H又は本明細書で定義されたその他の置換基である)。窒素原子及び硫黄原子は、任意に酸化されてもよい(即ち、NO及びS(O)pで、pは1又は2である)。注意すべきなのは、複素芳香環におけるS及びO原子の合計が1以下である。架橋環も前記複素環の定義に含まれる。一つ又は複数の原子(即ち、C、O、N又はS)が、2つの隣接しない炭素原子又は窒素原子と連結される場合、架橋環が形成される。好ましい架橋環は、一つの炭素原子、二つの炭素原子、一つの窒素原子、二つの窒素原子及び一つの炭素−窒素基を含むが、これらに限られない。注意すべきなのは、一つの架橋はいつも単環式の環を三環式の環に変換させることである。架橋環においては、環中の置換基も架橋上に位置することができる。
【0045】
複素環式化合物の実例は、アクリジン基、アゾシニル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾフリル基、ベンゾメルカプトフリル基、ベンゾメルカプトフェニル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾオキサゾリニル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、ベンゾテトラゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾイミダゾリニル基、カルバゾリル基、4aH−カルバゾリル基、カルボリニル基、ベンゾジヒドロピラニル基、クロメン、シンノリニル、デカヒドロキノリニル基、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル基、ジヒドロフロ[2,3−b]テトラヒドロフリル基、フリル基、フラザニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、イミダゾリル基、1H−インダゾリル基、インドアルケニル、ジヒドロインドリル基、インドリジニル基、インドリル基、3H−インドリル基、イソベンゾフリル基、イソインドリル基、イソジヒドロインドリル基、イソキノリニル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、メチレンジオキシフェニル基、モルホリル基、ナフチリジニル基、オクタヒドロイソキノリニル基、オキサジアゾリル基、1,2,3−オキサジアゾリル基、1,2,4−オキサジアゾリル基、1,2,5−オキサジアゾリル基、1,3,4−オキサジアゾリル基、オキサゾリジニル基、オキサゾリル基、ヒドロキシインドリル基、ピリミジニル基、フェナントリジニル基、フェナントロリニル基、フェナジン、フェノチアジン、ベンゾキサンチニル基、フェノキサジニル基、フタラジニル基、ピペラジル基、ピペリジル基、ピペリドニル基、4−ピペリジノニル基(4−Piperidinonyl)、ピペロニル基、プテリジニル基、プリニル基、ピラニル基、ピラジニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピラゾリル基、ピリダジル基、ピリジノオキサゾール基、ピリジノイミダゾール基、ピリジノチアゾール基、ピリジル基、ピロリジル基、ピロリニル基、2H−ピロリル基、ピロリル基、キナゾリニル基、キノリニル基、4H−キノリジジニル基、キノキサリニル基、キヌクリジニル、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロイソキノリニル基、テトラヒドロキノリニル基、テトラゾリル基、6H−1,2,5−チアジアジニル基、1,2,3−チアジアゾリル基、1,2,4−チアジアゾリル基、1,2,5−チアジアゾリル基、1,3,4−チアジアゾリル基、チアントレニル基、チアゾリル基、イソチアゾリルチエニル基、チエノオキサゾリル基、チエノチアゾリル基、チエノイミダゾリル基、チエニル基、トリアジル基、1,2,3−トリアゾリル基、1,2,4−トリアゾリル基、1,2,5−トリアゾリル基、1,3,4−トリアゾリル基、及びキサンテニル基を含むが、これらに限られない。更に、縮合環及びスピロ環の化合物を含む。
【0046】
特に明記しない限り、用語「炭化水素基」又はその下位概念(例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基等)は、それ自身又は別の置換基の一部として、直鎖状、分枝鎖状又は環状の炭化水素基又はそれらの組合せを表し、上述の基は、完全飽和(例えば、アルキル基)であることができ、単環式又は多環式の不飽和(例えば、アルケニル基、アルキニル基、アリール基等)であることができ、単置換又は多置換されることができ、一価(例えば、メチル基)、二価(例えば、メチレン基)又は多価(例えば、メチン基)であることができ、所定の数の炭素原子を有する二価又は多価の原子基(例えば、C
1−C
12は1〜12個の炭素原子を示し、C
1−C
12は、C
1、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6、C
7、C
8、C
9、C
10、C
11、及びC
12から選択され、C
3−C
12は、C
3、C
4、C
5、C
6、C
7、C
8、C
9、C
10、C
11、及びC
12から選択される)を含むことができる。「炭化水素基」は、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基を含むが、これらに限られない。前記脂肪族炭化水素基は鎖状及び環状を含み、具体的にアルキル基、アルケニル基、アルキニル基を含むが、これらに限られない。前記芳香族炭化水素基は6〜12員の芳香族炭化水素基、例えば、ベンゼン、ナフタレン等を含むが、これらに限られない。一部の実施例において、用語「炭化水素基」は、直鎖状或いは分枝鎖状の基又はそれらの組合せを表し、完全飽和であることができ、単環式又は多環式の不飽和であることができ、二価又は多価の基を含んでもよい。飽和炭化水素基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、シクロヘキシル基、(シクロヘキシル)メチル基、シクロプロピルメチル基、及びn−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等の基のホモログ又は異性体が挙げられるが、これらに限られない。不飽和アルキル基は、一つ又は複数の二重結合又は三重結合を有し、その例としては、ビニル基、2−プロペニル基、ブテニル基、クロチル基、2−イソペンテニル基、2−ブタジエニル基、2,4−ペンタジエニル基、3−(1,4−ペンタジエニル)、エチニル基、1−及び3−プロピニル基、3−ブチニル基、及びより高度なホモログ又は異性体が挙げられるが、これらに限られない。
【0047】
特に明記しない限り、用語「ヘテロ炭化水素基」又はその下位概念(例えば、ヘテロアルキル基、ヘテロアルケニル基、ヘテロアルキニル基、ヘテロアリール基など)そのもの自身又は別の用語と合わせて、安定な直鎖状、分枝鎖状又は環状の炭化水素基又はそれらの組合せを表し、該基は、所定の数の炭素原子と少なくとも一つのヘテロ原子とからなる。一部の実施例において、用語「ヘテロアルキル基」そのもの自身又は別の用語と合わせて、安定な直鎖状、分枝鎖状の炭化水素基又はそれらの組合せを表し、所定の数の炭素原子と少なくとも一つのヘテロ原子とからなる。一つの典型的な実施例において、ヘテロ原子はB、O、N及びSから選択され、そのうち、窒素原子及び硫黄原子は任意に酸化され、窒素原子は任意に第四級化される。ヘテロ原子又はヘテロ原子基は、ヘテロ炭化水素基の任意の内部位置(当該炭化水素基が分子の残りの部分に結合される位置を含む)にあることができる。しかし、用語「アルコキシ基」、「アルキルアミノ基」及び「アルキルチオ基」(又はチオアルコキシ基)は、通常の表現であり、アルキル基が分子の残りに酸素原子、アミノ基又は硫黄原子のそれぞれを通じて結合されていることを指す。例としては、−CH
2−CH
2−O−CH
3、−CH
2−CH
2−NH−CH
3、−CH
2−CH
2−N(CH
3)−CH
3、−CH
2−S−CH
2−CH
3、−CH
2−CH
2、−S(O)−CH
3、−CH
2−CH
2−S(O)
2−CH
3、−CH=CH−O−CH
3、−CH
2−CH=NH−OCH
3、及び−CH=CH−N(CH
3)−CH
3が挙げられるが、これらに限られない。−CH
2−NH−OCH
3のように多くとも二個のヘテロ原子が隣接する。
【0048】
特に明記しない限り、用語の「環状炭化水素基」、「ヘテロ環状炭化水素基」又はその下位概念(例えば、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、シクロアルケニル基、ヘテロシクロアルケニル基、シクロアルキニル基、ヘテロシクロアルキニル基など)は、それ自身又は別の用語との組み合わせの用語で、環化した「炭化水素基」、「ヘテロ炭化水素基」を表す。また、ヘテロ炭化水素基又はヘテロ環状炭化水素基(例えば、ヘテロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基)について、ヘテロ原子は当該複素環がその分子の残りの部分に結合される位置を占めてもよい。シクロアルキル基の例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−シクロヘキセニル基、3−シクロヘキセニル基、シクロヘプチル基等が挙げられるが、これらに限られない。ヘテロシクロ基の非制限的な実例は、1−(1,2,5,6−テトラヒドロピリジル基)、1−ピペリジル基、2−ピペリジル基、3−ピペリジル基、4−モルホリル基、3−モルホリル基、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロフリルインロール−3−イル、テトラヒドロチオフェン−2−イル、テトラヒドロチオフェン−3−イル、1−ピペラジル基、及び2−ピペラジル基を含む。
【0049】
特に明記しない限り、用語「アルキル基」は、直鎖状或いは分枝鎖状の飽和炭化水素基を表し、単置換(例えば、−CH
2F)又は多置換(例えば、−CF
3)されることができ、一価(例えば、メチル基)、二価(例えば、メチレン基)、又は多価(例えば、メチン基)であることができる。アルキル基の例としては、メチル基(Me)、エチル基(Et)、プロピル基(例えば、n−プロピル基、及びイソプロピル基)、ブチル基(例えば、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基)、ペンチル基(例えば、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基)等を含む。
【0050】
特に明記しない限り、「アルケニル基」は、鎖における任意の位置に一つ又は複数の炭素−炭素二重結合が存在することを表し、単置換又は多置換されることができ、一価、二価、又は多価であることができる。アルケニル基の例としては、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ブタジエニル基、ペンタジエニル基、ヘキサジエニル基等を含む。
【0051】
特に明記しない限り、「アルキニル基」は、鎖における任意の位置に一つ又は複数の炭素−炭素三重結合が存在するアルキルを表し、単置換又は多置換されることができ、一価、二価、又は多価であることができる。アルケニル基の例としては、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基等を含む。
【0052】
特に明記しない限り、「シクロアルキル基」は、任意の安定した環状又は複数環の炭化水素基を含み、任意の炭素原子が飽和であることができ、単置換又は多置換されることができ、一価、二価、又は多価であることができる。これらのシクロアルキル基の例としては、シクロプロピル基、ノルボルナン(norbornane)基、[2.2.2]ビシクロオクタン、[4.4.0]ビシクロデカンを含むが、これらに限られない。
【0053】
特に明記しない限り、「シクロアルケニル基」は、任意の安定した環状又は複数環の炭化水素基を含み、当該炭化水素基が環における任意の位置に1又は複数の炭素−炭素二重結合が存在することを表し、単置換又は多置換されることができ、一価、二価、又は多価であることができる。これらのシクロアルケニル基の例としては、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等を含むが、これらに限られない。
【0054】
特に明記しない限り、「シクロアルキニル基」は、任意の安定した環状又は複数環の炭化水素基を含み、当該炭化水素基が環における任意の位置に1又は複数の炭素−炭素三重結合を含み、単置換又は多置換されることができ、一価、二価、又は多価であることができる。
【0055】
特に明記しない限り、用語「ハロゲン化」又は「ハロゲン」とは、そのもの自身又は別の置換基の一部として、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素を表す。また、用語「ハロゲン化されたアルキル基」とは、モノハロゲン化されたアルキル基及び多ハロゲン化されたアルキル基を含む。例えば、用語「ハロゲン化された(C
1−C
4)アルキル基」とは、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、4−クロロブチル基及び3−ブロモプロピル基等を含むが、これらに限られない。特に明記しない限り、ハロゲン化されたアルキル基の例は、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、ペンタフルオロエチル基、及びペンタクロロエチル基を含むが、これらに限られない。
【0056】
「アルコキシ基」は、特定の数の炭素原子を有するアルキル基が酸素架橋によって結合されているものを表す。特に明記しない限り、C
1−6アルコキシ基は、C
1、C
2、C
3、C
4、C
5、及びC
6のアルコキシ基を含む。アルコキシ基の例は、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペントキシ基、及びS−ペントキシ基を含むが、これらに限られない。
【0057】
特に明記しない限り、用語「アリール基」とは、多不飽和の芳香族炭化水素置換基を表し、単置換、又は多置換のものでもよく、一価、二価、又は多価のものでもよく、単環又は複数環(例えば、1〜3個の環で、少なくとも一つの環は芳香族である)のものでもよい。上述の環は一緒になって縮合するか、又は共有結合によって連接する。用語「ヘテロアリール基」とは、1〜4個のヘテロ原子を含むアリール基(又は環)である。一つの例示的な実例において、ヘテロ原子はB、N、O、及びSから選択され、そのうち、窒素原子及び硫黄原子は任意に酸化され、窒素原子は任意に第四級化される。ヘテロアリール基は、ヘテロ原子を通して分子の他の部分と連結してもよい。アリール基又はヘテロアリール基の非制限的な例としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、4−ビフェニル基、1−ピロリル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、3−ピラゾリル基、2−イミダゾリル基、4−イミダゾリル基、ピラジニル基、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、2−フェニル−4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基、3−イソオキサゾリル基、4−イソオキサゾリル基、5−イソオキサゾリル基、2−チアゾリル基、4−チアゾリル基、5−チアゾリル基、2−フリル基、3−フリル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−ピリミジニル基、4−ピリミジニル基、5−ベンゾチアゾリル基、プリニル基、2−ベンゾイミダゾリル基、5−インドリル基、1−イソキノリル基、5−イソキノリル基、2−キノキサリニル基、5−キノキサリニル基、3−キノリル基、及び6−キノリル基が挙げられる。上記アリール環系及びヘテロアリール環系における置換基のいずれか1つは、後記の許容される置換基から選択される。
【0058】
特に明記しない限り、アリール基は、他の用語との組み合わせで使用さる場合(例えば、アリーロキシ基、アリールチオ基、アラルキル基)、上記のように定義されたアリール環及びヘテロアリール環を含む。そのため、用語「アラルキル基」とは、アリール基がアルキル基に結合された基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、ピリジルメチル基等)を指し、その炭素原子(例えば、メチレン基)が例えば酸素原子に置換されたアルキル基、例えば、フェノキシメチル基、2−ピリジルオキシメチル3−(1−ナフトキシ)プロピル基等を含む。
【0059】
用語「脱離基」とは、置換反応(例えば、求核置換反応)によってもう一種の官能基又は原子に置換されてもよい官能基又は原子を指す。例えば、代表的な脱離基は、トリフルオロメタンスルホン酸エステル、塩素、臭素、ヨウ素、例えばメタンスルホン酸エステル、トルエンスルホン酸エステル、p−ブロモベンゼンスルホン酸エステル、p−トルエンスルホン酸エステル等のスルホン酸エステル基、例えばアセチルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基等のアシルオキシ基を含む。
【0060】
用語「保護基」とは、「アミノ保護基」、「ヒドロキシ保護基」、又は「メルカプト保護基」を含むが、これらに限られない。用語「アミノ保護基」とは、アミノ基の窒素原子に副反応が生ずるのを防ぐのに適する保護基を指す。アミノの代表的な保護基としては、ホルミル基、例えばアルカノイル基(例えば、アセチル基、トリクロロアセチル基又はトリフルオロアセチル基)のようなアシル基、t−ブトキシカルボニル(Boc)基のようなアルコキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)基及び9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)基のようなアリールメトキシカルボニル基、例えばベンジル(Bn)基、トリフェニルメチル(Tr)基、1,1−ビス−(4’−メトキシフェニル)メチル基のようなアリールメチル基、トリメチルシリル(TMS)基及びt−ブチルジメチルシリル(TBS)基のようなシリル基等が挙げられるが、これらに限られない。用語「ヒドロキシ保護基」とは、ヒドロキシ基の副反応の防止に適する保護基を指す。ヒドロキシの代表的な保護基としては、例えば、メチル基、エチル基、及びt−ブチル基のようなアルキル基、アルカノイル基(例えば、アセチル基)のようなアシル基、例えばベンジル(Bn)基、p−メトキシベンジル(PMB)基、9−フルオレニルメチル(Fm)基及びジフェニルメチル(ベンズヒドリル、DPM)基のようなアリールメチル基、例えば、トリメチルシリル(TMS)基及びt−ブチルジメチルシリル(TBS)基のようなシリル基等が挙げられるが、これらに限られない。
【0061】
本発明の化合物は、当業者が熟知する様々な合成方法によって製造するができ、以下のように挙げられた具体的な実施形態、その他の化学合成方法と組み合わせて得られた実施形態、及び当業者が熟知する同等の置換方法を含み、好ましい実施形態は、本発明の実施例を含むが、これらに限られない。
【0062】
本発明に使用された溶媒は市販品である。本発明は下記略号を使用する。aqは水を、HATUはO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩を、EDCはN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩を、m−CPBAは3−クロロ過安息香酸を、eqは当量、等量を、CDIはカルボニルジイミダゾールを、DCMはジクロロメタンを、PEは石油エーテルを、DIADはアゾジカルボン酸ジイソプロピルを、DMFはN,N−ジメチルホルムアミドを、DMSOはジメチルスルホキシドを、EtOAcは酢酸エチルを、EtOHはエタノールを、MeOHはメタノールを、Cbzはアミン保護基としてのベンジルオキシカルボニル基を、BOCはアミン保護基としてのt−ブチルカルボニル基を、HOAcは酢酸を、NaCNBH
3はシアノ水素化ホウ素ナトリウムを、r.t.は室温を、O/Nは一晩行うことを、THFはテトラヒドロフランを、Boc
2Oはジカルボン酸ジ−t−ブチルを、TFAはトリフルオロ酢酸を、DIPEAはジイソプロピルエチルアミンを、SOCl
2は塩化チオニルを、CS
2は二硫化炭素を、TsOHはp−トルエンスルホン酸を、NFSIはN−フルオロ−N−(ベンゼンスルホニル)ベンゼンスルホニルアミドを、NCSは1−クロロピロリジン−2,5−ジオンを、n−Bu
4NFはテトラブチルアンモニウムフルオリドを、iPrOHは2−プロパノールを、mpは融点を、LDAはジイソプロピルリチウムアミドを、Fmocはフルオレニルオキシカルボニル基を、Allocはアリルオキシカルボニル基を、Tecoはトリメチルシリルエトキシカルボニルを、Phtはフタロイルを、Tosはp−トルエンスルホニルを、Tfaはトリフルオロアセチル基を、Bnはベンジル基を、PMBはp−メトキシベンジル基を表す。
【0063】
化合物は、人工的に又はソフトウエア「Chem Draw」(登録商標)によって命名され、市販化合物は、メーカーのカタログの名称が使用される。
【発明を実施するための形態】
【0065】
ステップ1:2−クロロ−4−ニトロ−1−オキソ−1−ピリジニウム(40.0g、229.2mmol)及び(4−メトキシフェニル)メチルアミン(63g、458.4mmol)をEtOH(400mL)に溶解させて、得られた溶液を攪拌還流し5時間反応させた。TLC(PE:EA=2:1)で反応が完全に進行したことが示された。EtOHをその体積が半分になるように濃縮し、且つ氷浴で2〜3時間冷却した後、得られた冷混合物をろ過して、分離した固体をPE(60mL*3)及び氷水(60mL*3)でそれぞれ洗浄し真空で乾燥して、オレンジ色固体のN−[(4−メトキシフェニル)メチル]−4−ニトロ−1−オキソ−1−ピリジニウム−2−アミン(38.6g、140.2mmol、収率:61.2%)を得た。MS(ESI)計算値はC
13H
13N
3O
4275で、測定値276[M+H]
+であった。
【0066】
ステップ2:0℃で、N−[(4−メトキシフェニル)メチル]−4−ニトロ−1−オキソ−1−ピリジニウム−2−アミン(5.0g、18.16mmol)のCHCl
3(50mL)にPCl
3(8.4g、60.8mmol)を1滴ずつ滴加した後、反応混合物を25℃に昇温させ、16時間激しく攪拌し反応させた。TLC(PE:EA=1:1)で反応が完全に進行したと示された。反応混合物をろ過し、得られた固体をPE(30mL * 3)で洗浄し、黄色固体の化合物N−[(4−メトキシフェニル)メチル]−4−ニトロ−ピリジン−2−アミン(4.2g、粗製品)を得て、精製せず、そのまま次の反応に用いた。MS(ESI)計算値はC
15H
18N
6 259で、測定値260[M+H]
+であった。
【0067】
ステップ3:常温で、N−[(4−メトキシフェニル)メチル]−4−ニトロ−ピリジン−2−アミン(4.2g、16.2mmol)のトルエン溶液(10mL)に、TFA(5.0mL)を1滴ずつ滴加した後、混合物を80℃で、2時間攪拌し反応させた。TLC(PE:EA=1:1)で反応が完全に進行したことが示された。混合物を減圧で濃縮して、溶媒を除去した。残留物をH
2O(50mL)で希釈して、固体NaHCO
3でpHを中性に調整し、水相をEA(50mL*3)で抽出した。得られた有機相を合併し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、ろ過し、更に減圧で濃縮した。得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル/酢酸エチル=1/0〜1:1)によって精製して、オレンジ色固体の化合物4−ニトロピリジン−2−アミン(700mg、5.0mmol、収率:31.1%)を得た。MS(ESI)計算値はC
5H
5N
3O
2 139で、測定値140[M+H]
+であった。
【0068】
ステップ4:常温で、4−ニトロピリジン−2−アミン(200mg、1.4mmol)のDME(5mL)に3−ブロモ−2−オキソ−プロピオン酸エチル(280mg、1.4mmol)を加えて、得られた混合物を25℃で、1時間攪拌し反応させた後、減圧で濃縮して溶媒を除去した。残留物をEtOH(10mL)で溶解させて、3時間還流し反応させた。TLCで反応が完全に進行したことが示された。反応液を常温に冷却し、溶媒を減圧で濃縮した。残留物を飽和NaHCO
3水溶液(25mL)でアルカリ化し、水相をDCM(15mL*3)で抽出した。得られた有機相を合併し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、ろ過し減圧で濃縮した。得られた残留物をファーストカラムクロマトグラフィー(EA:PE=10−60%)によって精製して、浅黄色固体の化合物7−ニトロイミダゾール[1,2−]ピリジン−2−カルボン酸エチルエステル(302mg、収率:88.9%)を得た。MS(ESI)計算値はC
10H
9N
3O
4 235で、測定値236[M+H]
+であった。
【0069】
ステップ5:常温で、7−ニトロイミダゾール[1,2−a]ピリジン−2−カルボン酸エチルエステル(150mg、637.8mmol)のアルコール溶液(20mL)に、HCl(7mg、0.2mmol)及びPtO
2(15mg、0.6mmol)をそれぞれ加えて、反応系について真空排気してN
2を充填する操作を三回繰り返した後、H
2(50psi)を充填して50℃で16時間攪拌し反応させた。TLC(PE:EA=1:1)で反応が完全に進行したことが示された。反応混合物をその体積を半分より少なくになるように濃縮して、ろ過した後、白色固体の化合物7−アミノ−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−カルボン酸エチルエステル塩酸塩(120mg、粗製品)を得た。MS(ESI)計算値はC
10H
15N
3O
2 209で、測定値210[M+H]
+であった。
【0070】
ステップ6:7−アミノ−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−カルボン酸エチルエステル塩酸塩(100mg、0.4mmol)及び4−クロロ−7−(p−トルエンスルホニル)ピロロ[2,3−d]ピリミジン(137mg、0.4mmol)をn−BuOH(5mL)に溶解させ、DIEA(158mg、1.2mmol)を加えて、得られた混合物を16時間攪拌還流し反応させた。LC−MSで反応が完全に進行したことが示された。反応混合液を減圧で濃縮して、得られた残留物をH
2O(10mL)で希釈し、水相をEAで抽出した(20mL*3)。得られた有機相を合併し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、ろ過し、減圧で濃縮して、得られた残留物を分取TLC(PE:EA=0:1)によって精製して、浅黄色固体の化合物7−[[7−(p−トルエンスルホニル)ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]アミノ]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−カルボン酸エチルエステル(55mg、0.11mmol、収率:28.1%)を得た。MS(ESI)計算値はC
23H
24N
6O
4S 480で、測定値は481[M+H]
+であった。
【0071】
ステップ7:0℃で、N
2雰囲気下において、7−[[7−(p−トルエンスルホニル)ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]アミノ]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−カルボン酸エチルエステル(3.0g、6.2mmol)のTHF(150mL)溶液に、NaH(499mg、12.5mmol)を分けて加えた。この温度で続いて該混合物を1時間攪拌した。その後、MeI(7.1g、50.2mmol)を1滴ずつ滴加した後、常温で続いて1時間攪拌した。TLCで反応が完全に進行したことが示された。NH
4Cl(10mL)の飽和溶液を加えてクエンチングし、しばらくして、氷水(50mL)を加えて希釈し、水相をDCM/MeOH(3:1、50mL*3)混合溶剤で抽出した。得られた有機相を合併し、硫酸ナトリウムで乾燥して、ろ過し減圧で濃縮した。得られた粗製品をファーストカラムクロマドグラフィー(DCM:MeOH=10:1)によって精製して、浅黄色固体の7−[メチル−[7−(p−トルエンスルホニル)ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]アミノ]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−カルボン酸エチルエステル(中間体1)を得た(1.5g、収率:45%)。MS(ESI)計算値はC
24H
26N
6O
4S 494で、測定値は495[M+H]
+であった。
【0072】
ステップ8:25℃で、7−[メチル−[7−(p−トルエンスルホニル)ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]アミノ]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−カルボン酸エチルエステル(1.5g、3.0mmol)のEtOH(20mL)溶液に、NaOEt(1.0g、15mmol)を加えて、この温度で16時間攪拌した。TLC(DCM:MeOH=10:1)で反応が完全に進行したことが示された。反応混合物を減圧で濃縮して、残留物を水(50mL)で希釈し、水相をDCM/MeOH(10:1、50mL*3)で抽出した。得られた有機相を合併し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、ろ過し減圧で濃縮した。得られた残留物をカラムクロマドグラフィー(シリカ、DCM/MeOH=1/0〜10:1)によって精製して、白色固体の化合物7−[メチル(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−カルボン酸エチルエステル(WX550、中間体2)を得た(600mg、1.76mmol、収率:58.2%)。MS(ESI)計算値はC
17H
20N
6O
2 340で、測定値は341[M+H]
+であった。
【0073】
ステップ9:0℃で、7−[メチル(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−カルボン酸エチルエステル(500mg、1.5mmol)のTHF溶液(10.00mL)に、LiAlH
4(111mg、2.9mmol)を分けて加えた。得られた混合物を常温で2時間攪拌した。TLC(DCM:MeOH=10:1)で反応が完全に進行したことが示された。0℃で、H
2O/THF=1/1(20mL)を加えてクエンチングしてろ過し、水相をDCM/MeOH(10:1、50mL*3)で抽出した。得られた有機相を合併し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、ろ過し減圧で濃縮して、浅黄色固体の化合物7−[メチル(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル]メタノール(中間体3)を得て(320mg、粗製品)、精製せず、そのまま次の反応に用いた。MS(ESI)計算値はC
15H
18N
6O 298で、測定値は299[M+H]
+であった。
【0074】
ステップ10:常温で、7−[メチル(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル]メタノール(150mg、0.5mmol)のDCM溶液(5mL)に、塩化チオニル(300mg、2.5mmol)を加えて、得られた混合物を70℃で1時間攪拌した。TLC(DCM:MeOH=10:1)で反応が完全に進行したことが示された。減圧で濃縮して、粗製品のN−[2−(クロロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−イル]−N−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−アミン(中間体4)を得て(150mg、塩酸塩粗製品)、精製せず、そのまま次の反応に用いた。MS(ESI)計算値はC
15H
17ClN
6 316で、測定値は317[M+H]
+であった。
【0075】
ステップ11:N−[2−(クロロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−イル]−N−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−アミン(150mg、0.42mmol)のDMSO(5mL)溶液に、シアン化ナトリウム(41mg、0.85mmol)を加えて、その後、混合物を40℃で10時間攪拌し反応させた。LC−MSで原料が消耗して産物が生成したことが示された。水(10mL)を加えてクエンチングし、水相をDCM/MeOH(3:1、20mL*3)で抽出した。得られた有機相を合併し、飽和塩水(20mL*2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、ろ過し減圧で濃縮した。得られた残留物を分取HPLC(アルカリ条件)によって分離して、白色固体の化合物2−[7−[メチル(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル]アセトニトリル(WX552)を得た(60mg、収率:46%)。MS(ESI)計算値はC
16H
17N
7 307で、測定値は308[M+H]
+であった。
1H NMR (400MHz, DMSO-d
6) 8.12 (s, 1H), 7.16 (d, J=3.01Hz, 1H), 7.02 (s, 1H), 6.61 (d, J=3.01Hz, 1H), 4.11-4.22 (m, 1H), 3.95-4.08 (m, 1H), 3.79 (s, 2H), 3.28 (s, 3H), 2.88-3.08 (m, 2H), 2.26-2.41 (m, 1H), 2.05 (d, J=11.80Hz, 1H).
【0076】
ステップ12:ラセミ化した2−[7−[メチル(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル]アセトニトリル(WX552)(30mg)をキラルカラムによって分離して、(S又はR)2−[7−[メチル(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル]アセトニトリル(WX612、10mg) 、及び(R又はS)2−[7−[メチル(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル]アセトニトリル(WX613、11mg)を得た。
【0077】
SFC分離条件:
カラム:AD(250mm*30mm,10um)キラルカラム
移動相:A:超臨界CO
2、B:B:イソプロパノール(0.1%のアンモニア水を含む)、A:B=60:40
流速:80mL/min
カラム温度:38℃
波長:220nm
射出圧力:100Bar
ノズル温度:60℃
蒸発温度:20℃
補正温度:25℃
【0078】
WX612:保持時間は4.870minで、MS(ESI)計算値はC
16H
17N
7307で、測定値は308[M+H]
+である。
1H NMR (400MHz, METHANOL-d
4) 8.15 (s, 1H), 7.14 (d, J=3.51Hz, 1H), 7.05 (s, 1H), 6.71 (d, J=3.51Hz, 1H), 5.41-5.51 (m, 1H), 4.23-4.30 (m, 1H), 4.14 (dt, J=4.27, 12.17Hz, 1H), 3.77 (s, 2H), 3.40 (s, 3H), 3.04-3.19 (m, 2H), 2.46 (dq, J=5.77, 12.38Hz, 1H), 2.21 (d, J=13.05Hz, 1H)
【0079】
WX613:保持時間は5.709minで、MS(ESI)計算値はC
16H
17N
7307で、測定値は308[M+H]
+である。
1H NMR (400MHz, METHANOL-d
4) 8.15 (s, 1H), 7.14 (d, J=3.51Hz, 1H), 7.04 (s, 1H), 6.70 (d, J=3.51Hz, 1H), 5.37-5.51 (m, 1H), 4.22-4.31 (m, 1H), 4.14 (dt, J=4.52, 12.30Hz, 1H), 3.77 (s, 2H), 3.40 (s, 3H), 3.03-3.20 (m, 2H), 2.46 (dq, J=5.90, 12.34Hz, 1H), 2.21 (d, J=11.80 Hz, 1H)
【0081】
ステップ1:常温で、7−[メチル(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル]メタノール(中間体2)(200mg、0.44mmol)のDCM溶液(20mL)に、活性化された二酸化マンガン(384mg、4.4mmol)を加えて、得られた懸濁液を50℃で4時間攪拌し反応させた。LC−MSで反応物が全て消耗したことが示された。反応混合物を室温に冷却して、ろ過し濃縮して、白色固体の7−[メチル(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−ホルムアルデヒド(160mg、粗製品)を得て、精製せず、そのまま次の反応に用いた。MS(ESI)計算値はC
15H
16N
6O296で、測定値は297[M+H]
+であった。
【0082】
ステップ2:0℃で、窒素ガス雰囲気下において、7−[メチル(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−ホルムアルデヒド(159mg、0.35mmol)を含んだDCM溶液(8mL)に、ジエチルアミノ三フッ化硫黄(DAST)(228mg、1.41mmol)を加えた後、該混合物を25℃で14時間攪拌し反応させた。LC−MSで反応が完全に進行したことが示された。反応混合物を冷却した飽和炭酸水素ナトリウム溶液(10mL)に注ぎ、水相をDCM/MeOH(10:1、15mL*3)で抽出した。得られた有機相を合併し、飽和塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、ろ過し減圧で濃縮した。残留物を分取HPLC(アルカリ法)によって精製して、N−(2−(ジフルオロメチル)−5,6,7,8−-テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−イル)−N−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−アミノ(WX611)を得た(156mg、収率:93.6%)。MS(ESI)計算値はC
16H
18F
2N
6332で、測定値は333[M+H]
+であった。
1H NMR (400MHz, METHANOL-d
4) 8.44 (br. s., 1H), 8.01 (br. s., 1H), 7.40 (br. s., 1H), 7.03 (br. s., 1H), 5.84-6.22 (m, 1H), 5.64 (br. s., 1H), 4.55 (d, J=9.79 Hz, 1H), 4.40 (d, J=10.29Hz, 1H), 3.78 (t, J=14.43Hz, 2H), 3.56 (br. s., 3H), 3.48 (br. s., 2H), 3.37 (s, 1H), 2.68 (d, J=7.53Hz, 1H), 2.42 (d, J=12.30Hz, 1H)
【0084】
ステップ1:常温で、N−[2−(クロロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−イル]−N−メチル−7−(p−トルエンスルホニル)ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−アミン(中間体5)(130mg、0.28mmol)のピリジン溶液(5mL)に、NH
3のMeOH溶液(10mL、10M)を加えて、得られた混合物を25℃で10時間攪拌した。TLC(DCM:MeOH=10:1)で反応が完全に進行したことが示された。H
2O(20mL)を加えてクエンチングし、水相をDCM/MeOH(5:1、15mL*3)で抽出した。得られた有機相を合併し、飽和塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、ろ過し減圧で濃縮した。黄色固体の化合物N−[2−(アミノメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−イル]−N−メチル−7−(p−トルエンスルホニル)ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−アミン(60mg、粗製品)を得て、精製せず、そのまま次の反応に用いた。MS(ESI)計算値はC
22H
25N
7O
2S451で、測定値は452[M+H]
+であった。
【0085】
ステップ2:0℃で、N−[2−(アミノメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−イル]−N−メチル−7−(p−トルエンスルホニル)ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−アミン(150mg、0.33mmol)及びTEA(100mg、1mmol)を溶解させたDCM溶液(5mL)に、メタンスルホニルクロリド(46mg、0.4mmol)を加えて、得られた混合物を25℃で16時間攪拌し反応させた。LC−MSで反応が完全に進行したことが示された。該混合物を減圧で濃縮して溶媒を除去した。得られた残留物をH
2O(15mL)に溶解させ、DCM/MeOH(5:1、30mL*3)で抽出した。得られた有機相を合併し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、ろ過し減圧で濃縮して、浅黄色固体の化合物N−((7−(メチル−(7−(p−トルエンスルホニル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミン)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)メチル)メタンスルホンアミド(60mg、粗製品)を得て、精製せず、そのまま次の反応に用いた。MS(ESI)計算値はC
23H
27N
7O
4S
2529で、測定値は530[M+H]
+であった。
【0086】
ステップ3:常温で、N−((7−(メチル−(7−(p−トルエンスルホニル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミン)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)メチル)メタンスルホンアミド(50mg、0.94mmol)のH
2O(5mL)/THF(5mL)溶液に、NaOH(6mg、0.14mmol)を加えて、得られた混合物を90℃で4時間攪拌還流した。TLCで原料が全て消耗して、新点が生成したことが示された。LCMSで目標分子量が示された。反応混合物を減圧で濃縮して溶媒を除去した。残留物をH
2O(15mL)で溶解させ、ジクロロメタン/イソプロパノール(3:1、20mL*3)で抽出した。得られた有機相を合併し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、ろ過し減圧で濃縮した。得られた残留物を分取HPLC(アルカリ条件)によって精製して、N−((7−(メチル−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミン)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)メチル)メタンスルホンアミド(WX606)を得た(収率:62.1%)。MS(ESI)計算値はC
16H
21N
7O
2S375で、測定値は376[M+H]
+であった。
1H NMR (400MHz, METHANOL-d
4) 8.15 (s, 1H), 7.13 (d, J=3.51Hz, 1H), 7.01 (s, 1H), 6.70 (d, J=3.76Hz, 1H), 5.39-5.48 (m, 1H), 4.22-4.29 (m, 1H), 4.17 (s, 3H), 3.40 (s, 3H), 3.04-3.14 (m, 2H), 2.91 (s, 3H), 2.45 (dq, J=5.90, 12.34Hz, 1H), 2.21 (d, J=11.29Hz, 1H)
【0088】
N−メチル−N−[2−(メチルアミノメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−イル]−7H−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−アミン(WX605)の製造及び精製方法は、WX606の製造及び精製方法と類似する。N−[2−(クロロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−イル]−N−メチル−7−(p−トルエンスルホニル)ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−アミン(中間体5)(130mg、0.28mmol)のピリジン溶液(5mL)に、メチルアミンのMeOH溶液を加えて、メチルアミン化合物を得た後、H
2O(5mL)/THF(5mL)溶液中、NaOHで加水分解させて、反応が完全に進行した後、同様な後処理及びHPLC分離によって、N−メチル−N−[2−(メチルアミノメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−イル]−7H−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−アミン(WX605)(25mg、収率:68%)を得た。MS(ESI)計算値はC
16H
21N
7311で、測定値は312[M+H]
+であった。
1H NMR (400MHz, CHLOROFORM-d) 8.15 (s, 1H), 7.02 (d, J=3.51Hz, 1H), 6.83 (s, 1H), 6.54 (d, J=3.51Hz, 1H), 5.46 (br. s., 1H), 4.00-4.18 (m, 2H), 3.67 (s, 2H), 3.37 (d, J=16.31Hz, 2H), 3.32 (s, 3H), 3.08-3.19 (m, 1H), 2.96 (dd, J=11.80, 16.06Hz, 1H), 2.44 (s, 3H)
【0090】
ステップ1:エチル7−[メチル−[7−(p−トルエンスルホニル)ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]アミノ]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−カルボン酸メチルエステル(4.0g、8.1mmol)のTHF(40mL)及びH
2O(8mL)溶液に、LiOH.H
2O(509mg、12.1mmol)を加えて、混合物を20℃で10時間攪拌した。TLCで反応物が全て消耗したことが示された。減圧で反応混合物からTHFを除去し、残留物を2M HCl(4mL)でpH=2〜3に調整して、白色固体を生成した。固体をろ過し減圧で濃縮して、白色固体の7−[メチル−[7−(p−トルエンスルホニル)ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]アミノ]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−カルボン酸(3.6g、収率:95.4%)を得た。MS(ESI)計算値はC
22H
22N
6O
4S 466で、測定値は467[M+H]
+であった。
【0091】
ステップ2:0℃で、7−[メチル−[7−(p−トルエンスルホニル)ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]アミノ]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−カルボン酸(1.8g、3.9mmol)のDMF溶液(20mL)に、CDI(751mg、4.6mmol)を加えて、反応液温度を25℃に昇温させ、2時間攪拌した後、固体塩化アンモニウム(2.1g、38.6mmol) を加えて、反応を常温で一晩行った。LC−MSで反応物が全て消耗したことが示された。反応混合物を氷水(50mL)に注ぎ、白色固体が析出した。固体をろ過し水(20mL)で洗浄して、減圧で気流乾燥した後、白色固体の7−[メチル−[7−(p−トルエンスルホニル)ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]アミノ]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−ホルムアミド(2.5g、粗製品)を得て、そのまま次の反応に用いた。MS(ESI)計算値はC
22H
23N
7O
3S 465で、測定値は466[M+H]
+であった。
【0092】
ステップ3:7−[メチル−[7−(p−トルエンスルホニル)ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]アミノ]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−ホルムアミド(2.5g、5.4mmol)をTHF(20mL)、MeOH(10mL)、 及び H
2O(6mL)に溶解させ、NaOH(429.6mg、10.7mmol)を加えて、混合物を60℃に加熱して30分間攪拌した。LC−MSで反応物が全て消耗したことが示された。反応混合物を減圧で濃縮して、白色固体の7−[メチル−[7H ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]アミノ]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−ホルムアミド(2.0g、粗製品)を得て、そのまま次の反応に用いた。MS(ESI)計算値はC
15H
17N
7O 311で、測定値は312[M+H]
+であった。
【0093】
ステップ4:0℃で、白色固体の7−[メチル−[7H ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]アミノ]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−ホルムアミド(2.0g、6.4mmol)及びトリエチルアミン(3.9g、38.5mmol)のTHF溶液(20mL)に、TFAA(4.1g、19.3mmol)を1滴ずつ滴加した後、反応液を常温で30分間攪拌した。LC−MSで原料が全て消耗したことが示された。反応混合物を氷水(20mL)に注ぎ、DCM/MeOH(5:1、100mL*2)で抽出した。得られた有機相を合併し、飽和塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、ろ過し減圧で濃縮して残留物を得た。残留物をカラムクロマドグラフィー(DCM/MeOH=40/1〜20:1)によって精製して、7−[メチル−[7H ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]アミノ]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−カルボニトリル(WX591、378mg、収率:19.8%)を得た。MS(ESI)計算値はC
15H
15N
7 293で、測定値は294[M+H]
+であった。
1H NMR (400MHz, DMSO-d
6) 11.44-11.71 (m, 1H), 7.99-8.17 (m, 2H), 7.11-7.20 (m, 1H), 6.63 (dd, J=1.76, 3.26Hz, 1H), 5.33 (br. s., 1H), 4.21-4.31 (m, 1H), 4.13 (dt, J=4.14, 12.49Hz, 1H), 3.27 (s, 3H), 2.91-3.11 (m, 2H), 2.31-2.44 (m, 1H), 2.07 (d, J=11.54Hz, 1H).
【0094】
ステップ5:ラセミ化した7−[メチル−[7H ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]アミノ]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−カルボニトリル(30mg、102.3umol)をキラルカラムによって分離して、(S又はR)−7−[メチル−[7H ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]アミノ]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−カルボニトリル(P1、WX614、10mg、収率:32.8%) 、及び(R又はS)−7−[メチル−[7H ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]アミノ]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−カルボニトリル(WX615、10mg、収率:31.9%)を得た。
【0095】
SFC分離条件:
カラム:AD(250mm*30mm,10um)キラルカラム
移動相:A:超臨界CO
2、B:B:アルコール(0.1%のイソプロパノールを含む)、A:B=55:45
流速:80mL/min
カラム温度:38℃
波長:220nm
射出圧力:100Bar
ノズル温度:60℃
蒸発温度:20℃
補正温度:25℃
【0096】
WX614:保持時間は5.507minで、MS(ESI)計算値はC
15H
15N
7293で、測定値は294[M+H]
+である。
1H NMR (400MHz, DMSO-d
6) 11.44-11.71 (m, 1H), 7.99-8.17 (m, 2H), 7.11-7.20 (m, 1H), 6.63 (dd, J=1.76, 3.26Hz, 1H), 5.33 (br. s., 1H), 4.21-4.31 (m, 1H), 4.13 (dt, J=4.14, 12.49Hz, 1H), 3.27 (s, 3H), 2.91-3.11 (m, 2H), 2.31-2.44 (m, 1H), 2.07 (d, J=11.54Hz, 1H).
【0097】
WX615:保持時間は6.407minで、MS(ESI)計算値はC
15H
15N
7293で、測定値は294[M+H]
+である。
1H NMR (400MHz, DMSO-d
6) 11.44-11.71 (m, 1H), 7.99-8.17 (m, 2H), 7.11-7.20 (m, 1H), 6.63 (dd, J=1.76, 3.26Hz, 1H), 5.33 (br. s., 1H), 4.21-4.31 (m, 1H), 4.13 (dt, J=4.14, 12.49Hz, 1H), 3.27 (s, 3H), 2.91-3.11 (m, 2H), 2.31-2.44 (m, 1H), 2.07 (d, J=11.54Hz, 1H).
【0099】
ステップ1:
7−[メチル(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−カルボン酸の製造方法及び精製方法は、7−[メチル−[7Hピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]アミノ]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−ホルムアミドの製造方法及び精製方法と同様である。MS(ESI)計算値はC
15H
16N
6O
2312で、測定値は313[M+H]
+であった。
【0100】
ステップ2:
7−[メチル(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−カルボン酸(120mg、384.2umol)及びEDCI(184mg、960.5umol)をピリジン(5mL)に溶解させ、反応液を25℃で15分間攪拌した後、3,3−ジフルオロシクロブタナミン(49mg、461.1umol)を加えて、混合物を25℃で1時間攪拌した。LC−MSで原料が全て消耗したことが示された。反応液に水(20mL)を加えて希釈し、DCM:i−PrOH=3:1(20mL*3)で抽出した。得られた有機層を合併し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、ろ過し減圧で濃縮して残留物を得た。残留物を分取HPLCによって精製して(アルカリ条件)、N−(3,3−ジフルオロシクロブチル)−7−[メチル(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ]−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−ホルムアミド(WX593)を得た(30mg、収率:15.9%)。MS(ESI)計算値はC
19H
21F
2N
7O401で、測定値は402[M+H]
+であった。
1H NMR(400MHz, METHANOL-d
4) 8.15 (s, 1H), 7.61 (s, 1H), 7.14 (d, J=3.76Hz, 1H), 6.71 (d, J=3.51Hz, 1H), 5.42-5.53 (m, 1H), 4.30-4.39 (m, 2H), 4.14-4.27 (m, 1H), 3.41 (s, 3H), 3.08-3.23 (m, 2H), 2.91-3.05 (m, 2H), 2.62-2.78 (m, 2H), 2.48 (dq, J=5.65, 12.34Hz, 1H), 2.23 (d, J=11.29Hz, 1H)
【0101】
化合物WX593の製造及び精製方法と同様の方法により、化合物WX579、WX580、WX581、WX592、及びWX604を得た。
【0102】
WX579(15mg、収率:9.6%)。MS(ESI)計算値はC
17H
18F
3N
7O393で、測定値は394[M+H]
+であった。
1H NMR(400MHz, METHANOL-d
4) 8.15 (s, 1H), 7.66 (s, 1H), 7.14 (d, J=3.51Hz, 1H), 6.71 (d, J=3.51Hz, 1H), 5.41-5.54 (m, 1H), 4.28-4.39 (m, 1H), 4.20 (dt, J=4.39, 12.36Hz, 1H), 4.03-4.13 (m, 2H), 3.40 (s, 3H), 3.08-3.23 (m, 2H), 2.47 (dq, J=5.77, 12.38Hz, 1H), 2.23 (d, J=11.54Hz, 1H)
【0103】
WX580(25mg、収率:29.7%)。MS(ESI)計算値はC
17H
19F
2N
7O375で、測定値は376[M+H]
+であった。
1H NMR (400MHz, METHANOL-d
4) 8.44 (br. s., 1H), 8.01 (br. s., 1H), 7.40 (br. s., 1H), 7.03 (br. s., 1H), 5.84-6.22 (m, 1H), 5.64 (br. s., 1H), 4.55 (d, J=9.79Hz, 1H), 4.40 (d, J=10.29Hz, 1H), 3.78 (t, J=14.43Hz, 2H), 3.56 (br. s., 3H), 3.48 (br. s., 2H), 3.37 (s, 1H), 2.68 (d, J=7.53Hz, 1H), 2.42 (d, J=12.30Hz, 1H)
【0104】
WX581(35mg、収率:44.6%)。MS(ESI)計算値はC
17H
18N
8O350で、測定値は351[M+H]
+であった。
1H NMR (400MHz, METHANOL-d
4) 8.15 (s, 1H), 7.67 (s, 1H), 7.14 (d, J=3.76Hz, 1H), 6.71 (d, J=3.51Hz, 1H), 5.42-5.55 (m, 1H), 4.30-4.40 (m, 3H), 4.21 (dt, J=4.52, 12.42Hz, 1H), 3.41 (s, 3H), 3.08-3.23 (m, 2H), 2.48 (tt, J=6.24, 12.45Hz, 1H), 2.23 (d, J=10.29 Hz, 1H)
【0105】
WX592(25mg、収率:15.6%)。MS(ESI)計算値はC
18H
23N
7O
3S417で、測定値は418[M+H]
+であった。
1H NMR (400MHz, METHANOL-d
4) 8.44 (s, 1H), 7.95 (s, 1H), 7.41 (d, J=3.51Hz, 1H), 7.04 (d, J=3.76Hz, 1H), 5.64 (d, J=8.53Hz, 1H), 4.55 (dd, J=4.02, 13.30Hz, 1H), 4.37 (dt, J=4.27, 12.55Hz, 1H), 3.88 (t, J=6.65Hz, 2H), 3.56 (s, 3H), 3.42-3.49 (m, 4H), 3.05 (s, 3H), 2.59-2.74 (m, 1H), 2.42 (d, J=13.05Hz, 1H)
【0106】
WX604(65mg、収率:41.6%)。MS (ESI) 計算値はC
16H
19N
7O325で、測定値は326[M+H]
+であった。
1H NMR (400MHz, CHLOROFORM-d) 8.13 (s, 1H), 7.45 (s, 1H), 7.02 (d, J=3.51Hz, 1H), 6.52 (d, J=3.51Hz, 1H), 5.45 (br. s., 1H), 4.06-4.25 (m, 2H), 4.02 (br. s., 2H), 3.26-3.36 (m, 4H), 3.07-3.19 (m, 1H), 2.96 (dd, J=11.80, 16.06Hz, 1H), 2.09-2.37 (m, 2H)
【0107】
Jak1、2、Jak3キナーゼのインビトロ活性試験
【0108】
試験材料
組換え体タンパク質JAK1、JAK2、JAK3プロテアーゼは、いずれもLifetechnologyから購入し、LANCE Ultra ULight(商標)−JAK−1(Tyr1023)peptide及びLANCE Eu−W1024 Anti−Phosphotyrosine(PT66)は、いずれもPerkinElmerから購入した。読み取りは、マイクロプレートリーダーEnvision(PerkinElmer)で実施した。
【0109】
試験方法
被験化合物を濃度勾配で3倍希釈して、最終濃度は10uM〜0.17nMにおける11個の濃度であり、各濃度で2個のウェルを設けた。測定反応におけるDMSOの含有量は1%である。
【0110】
JAK1酵素反応:
2nM JAK1プロテインキナーゼ、50nM LANCE Ultra ULight(商標)−JAK−1(Tyr1023)peptide、38uM ATP、50mM HEPES(pH7.5)、10mM MgCl
2、1mM EGTA、2mM DTT、0.01% BRIJ−35。ウェルプレートはWhite Proxiplate 384−Plus plate(Perkin Elmer)で、室温で90分間反応させ、反応体系は10ulである。
【0111】
JAK2酵素反応:
0.02nM JAK2プロテインキナーゼ、50nM LANCE Ultra ULight(商標)−JAK−1(Tyr1023)peptide、12uM ATP、50mM HEPES(pH7.5)、10mM MgCl
2、1mM EGTA、2mM DTT、0.01% BRIJ−35。ウェルプレートはWhite Proxiplate 384−Plus plate(Perkin Elmer)で、室温で60分間反応させ、反応体系は10ulである。
【0112】
JAK3酵素反応:
0.05nM JAK2プロテインキナーゼ、50nM LANCE Ultra ULight(商標)−JAK−1(Tyr1023)peptide、4uM ATP、50mM HEPES(pH7.5)、10mM MgCl
2、1mM EGTA、2mM DTT、0.01% BRIJ−35。ウェルプレートはWhite Proxiplate 384−Plus plate(Perkin Elmer)で、室温で90分間反応させ、反応体系は10ulである。
【0113】
反応測定:
10ulの測定試薬をウェルプレートに添加して、ここで、LANCE Eu−W1024 Anti−Phosphotyrosine(PT66)の最終濃度は2nMで、EDTAの最終濃度は10mMで、室温で60分間インキュベートした。読み取りは、Envisonで実施した。
【0114】
データ分析
阻害率(%)=(Min−Ratio)/(Max−Min)×100%の式でリード数を阻害率(%)に変換した。4パラメートの曲線あてはめ(Model 205 in XLFIT5、iDBS)で、IC
50を測定し、詳細を表1に示す。
【0116】
薬物動態(PK)試験
被験化合物を溶解させて得られた清澄な液体を、それぞれ尾静脈注射及び胃内投与によって雄DBA/1マウス体内に投与した(夜断食、7〜8週齢)。被験化合物を投与後、静脉注射群は0.083、0.25、0.5、1、2、4、8、及び24時間で、胃内投与群は0.25、0.5、1、2、4、8、及び24時間で、それぞれ下顎静脈から採血し遠心分離によって血漿を得た。LC−MS/MSを用いて血漿濃度を測定し、「WinNonlin」(商標)Version 6.3という薬物動態学的解析ソフトを用いて、ノンコンパートメントモデルの対数線形台形法で薬物動態学的パラメータを算出した。
【0118】
本発明の化合物WX552、WX591、及びWX614は、マウスに対して、いずれも良好な経口バイオアベイラビリティ及びより高い暴露量を有し、体内薬物効果の生成に有利である。
【0119】
アジュバント誘発のラット関節炎モデルの薬効試験:
アジュバント誘発のラット関節炎モデルを用いて、本発明に係る化合物の関節炎に対する治療効果を検証した。
【0120】
雌で体重が160−180gのLewisラットをイソフルランで麻酔した後、左後足に0.1mlの結核菌懸濁液を皮下注射した。モデルを作って13日後に群分けをして、ラットに対してそれぞれ相応する被験化合物を投与した。例えば、1mpk、3mpk、10mpkの被験化合物WX614、10mpkの被験化合物WX552、及び10mpkの被験化合物WX591をDMSO/PEG400/H
2Oの混合溶媒に溶解させ、雌Lewisラットに経口投与した(投与量群毎の試験動物の数は10である)。2週間連続して経口投与して、その期間に、ラットの状態を観察し、足体積の腫脹度を記録して評点する。試験により、本発明にかかる化合物WX614、WX552、及びWX591が良好な関節炎抑制活性を示した。
【0122】
コラーゲン誘発のマウス関節炎モデルの薬効試験:
コラーゲン誘発のマウス関節炎モデルを用いて、本発明に係る化合物の関節炎に対する治療効果を検証した。
【0123】
DBA/1雄マウスを選択し、第0日及び第21日に、コラーゲン及びフロインドのコンプリートアジュバントの乳剤をマウスの尾根部に皮下注射して、第29日前後に群分けをした。本発明に係る化合物WX6144(3mpk、10mpk、30mpk)を、DMSO/PEG400/H
2O[5/20/75(v/v/v)]に溶解させ、CIAマウス(上海SLAC実験動物有限公司、投与量群毎の試験動物の数は10である)に経口投与した。2週間連続して経口投与して、期間中、マウスの体重を記録し、マウスの関節炎の臨床症状を評点した。その結果、本発明にかかる化合物WX614がマウスの関節リウマチに顕著な治療効果を有することを示した。