(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記文献1には次の問題点がある。
飛散防止用のネットは外壁面の上端部から壁部外側面に張るので、外壁面の上端部を超えて飛散する瓦礫の建物外部への飛散を防止できない。また、同ネットは外壁面の上端部から壁部外側面に張ってはいるものの、同ネットの高さ方向の長さはせいぜい建物1階分である。外壁部をこの外壁部の内側に向けて倒しつつ解体すると、同ネットはこの外壁部の解体と伴に外壁部の内側に向かって倒れることになる。その結果同ネットを倒れた外壁から取り外す作業を行うこととなる。その後、解体作業が階下へ移ったら、再度、同ネットを張り直す。このように外壁部を解体して階下へ解体作業が移る都度同ネットを張り直すことは、作業員にとって大きな手間となる。
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする主たる課題は、瓦礫の飛散を完全に防止するための瓦礫飛散防止構造及び建物の解体工法を提供することにある。また、従たる課題は、ネットの張り直しが必要にならない、あるいはネットの張り直しの手間を低減することができる瓦礫飛散防止構造及び建物の解体工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決した本発明は、以下のとおりである。
<
第1の態様>
建物の外部を囲む壁材と、前記建物の内部を複数の階に仕切る1又は複数の床材とを有する建物の瓦礫飛散防止構造であって、
最上階の床材及び階下の床材の少なくともいずれか一方に支柱が固定されており、
この支柱が前記最上階の床材よりも上方へ延在し、
前記支柱の上方から飛散防止用ネットによって前記建物が覆われ、
前記支柱によって前記飛散防止用ネットと前記最上階の床材との間に作業空間が形成されている、
ことを特徴とする瓦礫飛散防止構造。
【0007】
(作用効果)
本発明の建物の瓦礫飛散防止構造は、床材に支柱が固定され、同支柱が最上階の床材よりも上方へ延在している。同支柱の上方から飛散防止用ネットによって建物が覆われ、飛散防止用ネットと最上階の床材との間に作業空間が形成されている。これにより、解体作業で発生した瓦礫は作業空間から飛散防止用ネットを超えて飛散しない、との効果を有する。
【0008】
<
第2の態様>
前記支柱は、上下方向に延在する棒状部分と、この棒状部分から側方へ突出する固定部分とで構成され、前記固定部分が前記床材に固定されている、
第1の態様に記載の瓦礫飛散防止構造。
【0009】
(作用効果)
前記支柱は、上下方向に延在する棒状部分と、この棒状部分から側方へ突出する固定部分とで構成されるので、支柱の棒状部分のうち固定部分が備わる箇所は側方へ突出している、との効果を有する。
【0010】
<
第3の態様>
前記最上階の床材に前記支柱の通過穴が形成されており、
前記最上階の床材に固定された固定部分は、前記棒状部分を軸回りに回転すると前記通過穴を通して前記最上階から前記階下へ移動することができ、かつ当該移動後に前記棒状部材を軸回りに回転すると前記階下の床材に固定することができる構造とされている、
第2の態様に記載の瓦礫飛散防止構造。
【0011】
(作用効果)
最上階の床材に支柱の通過穴が形成され、固定部分は棒状部分を軸回りに回転することで通過穴を通して最上階から階下へ移動することができる。移動後に掛止部材を軸回りに回転すると階下の床材に固定することができるので、支柱の棒状部分から固定部分を取り外す等、支柱の構造を変える作業をすることなく、本発明の瓦礫飛散防止構造を維持しつつ解体作業を続行することができる、との効果を有する。
【0012】
<
第4の態様>
前記支柱が前記最上階の床材に間隔を置いて配置され、複数の前記支柱間に支持ワイヤーが架け渡されており、
前記飛散防止用ネットが前記支持ワイヤーの上から前記建物を覆う構造とされている、
第1〜3の態様のいずれか1項に記載の瓦礫飛散防止構造。
【0013】
(作用効果)
複数の支柱間に支持ワイヤーが架け渡されているので、飛散防止用ネットが支持ワイヤーに支持され飛散防止用ネットの自重によるたわみが軽減される、との効果を有する。
【0014】
<
第5の態様>
建物の外部を囲む壁材と、前記建物の内部を複数の階に仕切る1又は複数の床材とを有する建物の解体工法であって、
最上階の床材及び階下の床材の少なくともいずれか一方に対して前記最上階の床材よりも上方へ延在する支柱を設置し、
この支柱の上から飛散防止用ネットで前記建物を覆い、当該飛散防止用ネットと前記最上階の床材との間に作業空間を形成しておく、
ことを特徴とする建物の解体工法。
【0015】
(作用効果)
本解体工法では柱の上から飛散防止用ネットで建物を覆い、飛散防止用ネットと最上階の床材との間に作業空間を形成することを特徴とするので、解体作業で発生した瓦礫は作業空間から飛散防止用ネットを超えて飛散しない、との効果を有する。
【0016】
<
第6の態様>
前記最上階の床材に前記支柱の通過穴が形成されており、
前記支柱として、上下方向に延在する棒状部分と、この棒状部分から側方へ突出する固定部分とで構成された支柱を用い、
前記支柱を下方へ移動するにあたり、
前記棒状部分を軸回りに回転した後、前記最上階の床材に固定された固定部分を前記通過穴に通して前記最上階から前記階下へ移動し、この移動後に前記棒状部材を軸回りに回転し、かつ前記固定部分を前記階下の床材に固定する、
第5の態様に記載の建物の解体工法。
【0017】
(作用効果)
本解体工法では最上階の床材に支柱の通過穴が形成されており、支柱を用い、支柱を下方へ移動するにあたり、棒状部分を軸回りに回転する。その後、固定部分を通過穴に通して最上階から階下へ移動し、掛止部材を軸回りに回転する。その後、固定部分を階下の床材に固定する。これにより、支柱の棒状部分から固定部分を取り外す等、支柱の構造を変える作業をすることなく、瓦礫飛散防止構造を維持しつつ解体作業を続行することができる、との効果を有する。
【0018】
<
第7の態様>
上下方向へ移動可能な掛止部材が備わる足場で前記壁材を囲み、
前記支柱を前記最上階の床材に間隔を置いて配置し、
複数の前記支柱に支持ワイヤーを架け渡し、この支柱に架け渡した支持ワイヤーの端部を前記掛止部材に架け渡し、
前記支持ワイヤーの上から前記飛散防止用ネットで前記建物を覆い、
前記壁材を解体後、前記掛止部材を下方へ移動し、前記足場の上端部を解体し、その後に前記支柱を下方へ移動する、
第6の態様に記載の建物の解体工法。
【0019】
(作用効果)
本解体工法では掛止部材が備わる足場で壁材を囲み、支柱を最上階の床材に間隔を置いて配置する。そして、複数の支柱に支持ワイヤーを架け渡し、この支柱に架け渡した支持ワイヤーの端部を掛止部材に架け渡す。また、支持ワイヤーの上から前記飛散防止用ネットで建物を覆い、壁材を解体後、掛止部材を下方へ移動し、足場の上端部を解体し、その後に支柱を下方へ移動する。これにより、支持ワイヤーから同支持ワイヤーを覆う飛散防止用ネットを張り直さずに同飛散防止用ネットを下方へ移動することができる、との効果を有する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、瓦礫の飛散を完全に防止することができる瓦礫飛散防止構造及び建物の解体工法となる。また、ネットの張り直しが必要にならない、あるいはネットの張り直しの手間を低減することができる瓦礫飛散防止構造及び建物の解体工法となる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。なお、以下の説明及び図面は、本発明の一実施形態を示したものにすぎない。
図1に示すように本実施形態の瓦礫飛散防止構造15は、飛散防止用ネット1、複数の支柱25及び支持ワイヤー2を主に備えている。
【0023】
(飛散防止用ネット1)
本実施形態の瓦礫飛散防止構造15に備わる飛散防止用ネット1は、最上階の床材5に所定間隔で配置される複数の支柱25に保持されており、建物31の上方全体を覆っている。そして、複数の支柱25の上端24は、最上階の床材5よりも上方に突出している。飛散防止用ネット1は、最上階の床材5よりも上方に突出した複数の支柱25の上端24で支持されるので最上階の床材5と飛散防止用ネット1の間に高さ方向の作業空間が確保されることになる。なお、支柱25の構成については後述する。
【0024】
最上階の床材5とは、
図1に示すように建物31の解体作業における現に作業状態にある床材をいう。例えば、建物31の最上階を解体しているときは、最上階の床材5はその最上階の床面をいう。そして、解体作業の進行により当該最上階のフロアの解体が全て終了すると、解体作業は当該最上階のフロアの一つ階下のフロアに移行する。この場合、最上階は一つ階下のフロアに移るので、最上階の床材5は、当該一つ階下の床材を指すことになる。
また、飛散防止用ネット1は複数の支柱25の上端24により支持されるが、飛散防止用ネット1の端部41は次のように支持される。
図6(a)に示すように、飛散防止用ネット1は支柱25の上端24から足場8に導かれる。ここで、飛散防止用ネット1は自重でたわむ場合は、たわまないようにするために後述する支持ワイヤー2の上を沿うように張わせるとよい。そして、飛散防止用ネット1の端部41は足場8に固定する。なお、飛散防止用ネット1の端部41は足場8ではなく、防音パネル9に固定することもできる。
【0025】
飛散防止用ネット1の端部を、防音パネル9又は最上端の足場8まで延在させ、なお余る部分については、例えばロール状に巻くなどして防音パネル9又は最上端の足場8に固定するとよい。
【0026】
飛散防止用ネット1は、大面積で形成されたものでもよく、又は、小面積のネットを隙間なく繋げて形成されたものでもよい。
なお、最上端の足場8から防音パネル9の外側を覆うように図示しない垂直ネットを別途配してもよい。このように配した垂直ネットは足場8と防音パネル9を覆う形態となる。
【0027】
このように、飛散防止用ネット1が建物31の上方全体を覆うことで、建物31の解体作業中において最上階の床材5から建物31外部への物体の飛散を防止することができ、高い飛散防止効果を得ることができる。
【0028】
(足場8)
足場8とは、建物解体工事等において,高所で作業を行う作業員の足がかりのために、仮に組立てた構造物をいう。足場8はパイプ、等を使って組上げられる。足場8は階層構造をしており、複数の階層を高さ方向に組み上げることができる。そして、複数の階層に組み上げることで所望の高さにすることができる。
【0029】
また、足場8は建物31の外部を囲む壁材である外壁面を覆うように配される。このように配することで、例えば、地面から建物31の最上階までの高さに足場8を組むことができる。さらに、足場8には各階層ごとに作業員が歩ける程度の幅を有する足場板となる天面が備わっている。ただし、足場8の最上端には天面を備えずに、上記垂直ネットを備えるとよい。
【0030】
防音パネル9は、建物31の外壁面を覆う足場8全体を、更にその外側から囲うように覆うものである。防音パネル9は1枚当たり、通常、所定の大きさの長方形の板状である。足場8の外側が同防音パネル9で隙間なく覆われることで、防音効果が発揮される。
【0031】
本実施形態では、足場8は建物31よりも高く組んでおり、その足場8の外側全体を防音パネル9が隙間なく覆われているため、建物31はその上方を飛散防止用ネット1で、及びその外壁面を防音パネル9で覆われていることになる。したがって、解体作業で発生した瓦礫等の物体が建物31外部へ飛散することを確実に防止することができる。
【0032】
(支持ワイヤー2)
飛散防止用ネット1を支柱25で支持しつつ建物31上方全体を覆った場合、飛散防止用ネット1が自重でたわむ場合がある。飛散防止用ネット1がたわむと作業空間が狭まるため、飛散防止用ネット1のたわみを低減するために支持ワイヤー2を架け渡すとよい。支持ワイヤー2を架け渡す場合は、
図2の一点鎖線で示すように支持ワイヤー2を格子状又は矩形格子状に架け渡すとよい。当該図では複数の支柱25は所定間隔ごとの格子点又は矩形格子点に配置されている。支持ワイヤー2は、同支柱25のうち一方向VD又は、他方の方向HDに隣り合う2本の支柱25の各上端24間を架け渡されている。支持ワイヤー2を架け渡す本数は、1本でもよいが、飛散防止用ネット1をよりたわみなく張るため複数本とすることもできる。このように架け渡したとき支持ワイヤー2は、
図5に示すように同2本の支柱25の各上端24に支持されつつ、同支柱25に沿って下方に導かれる。同支持ワイヤー2の一方の先端42は同支柱25における最上階の床材5付近の位置に固定部材10により固定される。同支持ワイヤー2のもう一方の先端43も、同支持ワイヤー2を架け渡された、同支柱25の隣り合う支柱25における最上階の床材5付近の位置に固定部材10により固定される。支持ワイヤー2の末端(42、43)を固定する固定部材10は、支持ワイヤー2を支柱25に固定できるものであれば特に限定されないが、例えば、物体を引っ掛けるフックが2つ備わるものがよく、レバーブロック(登録商標)を好適に用いることができる。固定部材10に2つ備わるフックのうち一方のフックに支持ワイヤー2を固定し、もう一方のフックを支柱25の所定箇所に固定するとよい。また、固定部材10は容易に脱着可能なため作業効率性に富む。
【0033】
この形態では、格子点間のすべての辺について1本又は複数本の支持ワイヤー2を架け渡すことになり、後述するほかの形態よりも2本の支柱25の各上端24に掛かる支持ワイヤー2の水平張力を大きく保つことができるので、支持ワイヤー2のたわみが小さくなる。
特に、格子点又は矩形格子点に配置された複数の支柱25のうち隣り合う2本の支柱25の各上端24間に支持ワイヤー2を架け渡す場合は、
図2に示すHD方向に複数本の支持ワイヤー2を架け渡すとよい。なぜならば、同各上端24に掛かる支持ワイヤー2の水平張力をより大きく保つことができ、確実に支持ワイヤー2のたわみを小さくすることができるからである。
【0034】
このように支持ワイヤー2を架け渡すことにより、支持ワイヤー2上部に被せる飛散防止用ネット1のたわみも小さくなるため、高さ方向の作業空間を大きく設けることができ、重機械等の作業性に富む。また、支持ワイヤー2の水平張力を維持したまま、後述する支柱25の階下への移動を行うことができるので、当該移動の都度支持ワイヤー2を架け渡し直す必要がなく、作業上の手間が軽減される。
【0035】
なお、当該形態において、支持ワイヤー2を架け渡す本数を、一方向VDに1本、他方の方向HDに複数本としてもよいし、一方向VDに複数本、他方の方向HDに1本としてもよい。
【0036】
しかしながら、床面積の比較的小さな建物31等の場合は、他の形態、例えば、建物31の一方の外壁16から対向する他方の外壁16にかけて、格子点又は矩形格子点に配置された支柱群のうち縦方向VDに配置された特定の一列(又は、横方向に配置された特定の一行)の縦方向支柱群(又は、横方向支柱群)の各上端を、連続する1本の支持ワイヤー2で架け渡してもよい。この場合、架け渡す支持ワイヤー2の本数は1本又は複数本にすることができる。
【0037】
なお、格子点間を複数本の支持ワイヤー2で架け渡す利点は、以下のとおりである。
飛散防止用ネット1を支柱25に支持ワイヤー2の上方から覆うと、支持ワイヤー2は飛散防止用ネット1の重さによりたわむ。このとき飛散防止用ネット1を1本の支持ワイヤー2で支えるよりも複数本の支持ワイヤー2で支えたほうが、1本当たりの支持ワイヤー2に掛かる飛散防止用ネット1の重さを分散させることができるので、支持ワイヤー2の1本あたりのたわみ幅は小さくなる。したがって、高さ方向の作業空間を大きくすることができる。
【0038】
また、飛散防止用ネット1を支柱25の上端で架け渡された支持ワイヤー2を覆うように被せたのみでは、強風等で飛散防止用ネット1が煽られると飛散防止用ネット1がずれたり、飛散防止用ネット1の配置がゆがんだりして解体作業に支障をきたす。そこで、飛散防止用ネット1は所定間隔ごとに多数のリングを有した構成にして、その多数のリング内に支持ワイヤー2を通す、いわゆるカーテン形態とするとよい。
【0039】
リングは、支持ワイヤー2が高々4本通す程度の径を有していればよい。また、リングは軽量素材を使用するとよい。リングが軽量であれば、リングを備える飛散防止用ネット1の重量も軽く抑えることができるからである。
【0040】
支柱25が矩形格子点に設けられている場合を例とすると、
図2に示す矩形格子の各長辺沿い(
図2に一点鎖線で示したHD方向沿い)に所定間隔ごとにリングを多数設け、矩形格子の短辺沿い(
図2に一点鎖線で示したVD方向沿い)にはリングを設けない形態の飛散防止用ネット1にすることができる。この形態では長辺用支持ワイヤー2は、飛散防止用ネット1上の、矩形格子の各長辺に有された多数のリング内を通り、一方、短辺用支持ワイヤー2は矩形格子の各短辺において飛散防止用ネット1を支えているのみという形態となる。こうすると、一時的に飛散防止用ネット1を矩形格子の長手方向の端部に、カーテンを開けるかの如く、まとめて束ねることができ、例えば、重機械を使用して支柱25の上端24よりも高い位置に飛散防止用ネット1を吊り上げる作業や強風の発生による飛散防止用ネット1への過度の風圧力の回避等に対応することができる。
【0041】
なお、支持ワイヤー2を飛散防止用ネット1に備わる多数のリング内を架け渡すことで、支持ワイヤーと飛散防止用ネット1は係合している。一方、支柱上端24と飛散防止用ネット1は、飛散防止用ネット1が支柱上端24に支持されるのみであり、互いに何らかの固定手段によって固定されているものではない。
【0042】
(支柱25の配置)
支柱25は、最上階の床材5よりも上方に突出して複数設置される。また、各支柱25の位置は次のようにするとよい。すなわち、建物31の外周形状を考慮して最上階の床材5面に格子又は矩形格子を想定して、その各格子点とする。本実施形態では、各矩形格子点に支柱25を設置しており、矩形格子の短辺の長さは5m〜10m、長辺の長さは5m〜20mとするとよい。また、他の実施形態として、床面積の比較的小さな建物31等の場合は
図8に示すように建物のVD方向又はHD方向に支柱群を一列配置するとよい。
【0043】
なお、建物31の外周が、正方形又は正方形に近い形状(これらの形状を「ほぼ正方形」という。以下同様。)やほぼ長方形ではなく、ほぼ円形、ほぼ凹凸形等である場合は、当該建物31の外周形状を考慮して、支柱25を配置することもできる。例えば、支柱25の配置を、傾斜矩形格子の各頂点とする等、多様な形状を想定できる。このように建物31の外周の形状に応じて間隔をおいて支柱25を配置することで現場作業員や重機械のスムーズな動線が確保され現場作業の安全性が向上する。
【0044】
(支柱25の構成)
支柱25の具体的な構成について説明する。支柱25は、原則的には同一の構成を有しているが、一部の支柱25は、異なる構成を有する。
支柱25は、棒状部分3と固定部分4とボルト・ナット12で構成される。
図4(d)に示すように棒状部分3は、一方の長方形の面F1と、その面に対向する他方の長方形の面F2が備わっている。そして、その両面(F1、F2)は、平行に配され、長手方向に延在する。そして、固定部分4は当該一方の長方形の面F1にボルト・ナット12で固定される。同様に、別の固定部分4は当該他方の長方形の面F2にボルト・ナット12で固定される。棒状部分3の具体的形態として、直線状に延在する直方体形鋼又はH鋼、I鋼、溝形鋼等に代表される棒状部分を挙げることができるが、これらの形態に限るものではない。
【0045】
固定部分4は、互いに垂直な2つの平面を有するものであり、その垂直な角度を維持したまま対象物に固定する部材である。
図3(a)に示す実施形態の固定部分4は、背面44と、同背面44に垂直である背面45を備えている。背面44は、棒状部分3の面F1に固定され背面45は、床材(5、6)に固定される。もう一つの固定部分4についても、同様に背面44は、棒状部分3の面F2に固定され、背面45は、床材(5、6)に固定される。このように、固定部分4を介することで棒状部分3と床材(5、6)が垂直に固定される。
また
図3(b)に示す別の実施形態である固定部分4は、背面44と、同背面44に垂直である背面45を備えている。背面44は、棒状部分3の面F1に固定され背面45は、床材(5、6)に固定される。もう一つの固定部分4についても、同様に背面44は、棒状部分3の面F2に固定され、背面45は、床材(5、6)に固定される。
図3(b)の固定部分4は、
図3(a)の固定部分4よりも支柱25から長く側方へ延出して、床材(5、6)に固定するので、支柱25はより大きな水平応力を備えることとなる。同固定部分4は、最下階の解体作業を行う場合や中間固定部付近が吹き抜け構造となっている場合に好適に用いることができる。
なお、固定部分4に使用される部材として、例えば、アングル、フラットピース、火打等を好適に用いることができる。
【0046】
支柱25は建物31の高さ方向に延在して配され、支柱25の下端22は、最上階の床材5の一つ階下のフロアである階下の床材6に固定され、上端24は、最上階の床材5よりも高い位置にあり、最上階の床材5から4〜15m、好ましくは5〜13mの高さとするとよい。4mを下回ると、バックホウ等の重機械を導入して作業する場合、重機械のアームを自在に動かすための十分な高さの作業空間を確保し難い。また、高所作業を重機器等で余裕をもって行うには15m必要である。15mを超えると、支柱25の重心が高くなり過ぎ、飛散防止用ネット1が強風にさらされた場合に支柱25の支持が不安定になる。
【0047】
棒状部分3の一方の長方形の面F1の下端には、固定部分4の一方の背面44が同一方の長方形の面F1に接するように固定されるための複数のボルト穴13が形成されている。また、他方の長方形の面F2の下端にも、複数のボルト穴13が対向するように形成されている。
【0048】
さらに、棒状部分3の両面(F1、F2)の長手方向下端から上端方向へ所定の距離離れたそれぞれの面部分(以下、「中間固定部23」という。)にも、複数のボルト穴13が形成されている。固定部分4は中間固定部23にボルト・ナット12で固定される。
なお、ボルト穴13は、上記形態に限らず、棒状部分3の両面(F1、F2)下端から上端に亘って、つまり、長手方向に、所定間隔ごとに形成することもできる。ボルト穴13を多数設けることで支柱25の軽量化を図れる利点がある。また、棒状部分3の両面(F1、F2)に間隔を置いて複数のボルト穴13が予め形成された既存製品を、棒状部分3として用いることもできる。
【0049】
同固定部分4の他方の背面45は、階下の床材6に接するようにして、ボルト・ナット12で階下の床材6に固定される。なお、階下の床材6には、ボルト・ナット12で固定されるための複数のボルト穴13を形成しておくとよい。
棒状部分3の中間固定部23においても、最上階の床材5と棒状部分3が固定部分4を介して固定される。
【0050】
ところで、建物31の最上階の床材5と階下の床材6との高さは、建物31ごと或いは、同一建物31内においても上層階と下層階では異なることがある。このような床材間の高さの異なる建物31においても、当然中間固定部23と最上階の床材5とを固定部分4を介して固定する必要がある。床材間の高さが異なる建物31であっても棒状部分3を最上階の床材5及び階下の床材6に固定できるように、中間固定部23はボルト穴13を、棒状部分3の長さ方向に複数形成しておくとよい。又は、上記複数のボルト穴13が形成された既存製品を用いるとよい。このようにすることで、中間固定部23に固定する固定部分4の位置を調節でき、床材間の高さが異なる建物31であっても棒状部分3の固定が可能となる。
なお、固定部分4を床材(5、6)に固定する場合に、固定部分4と床材(5、6)の間に僅かな隙間があるときは、ライナー等の隙間調整板(図示しない)を同隙間に差し込むとよい。隙間調整板を同隙間に差し込むことで支柱25の床材(5、6)への固定及び支柱25の安定性は、より頑強になる。
【0051】
図4に示すように中間固定部23を最上階の床材5に固定する際には、先ず、最上階の床材5の支柱25の設置部分の周辺を切断して支柱25を階下に下すための通過穴14を形成する。通過穴14は当該最上階の床材5を貫通するように切断して形成される。通過穴14の形状は長方形が好適である。長方形の大きさは、支柱25の底面より僅かに大形であるとよい。
【0052】
ここで、支柱25の底面とは、次のことを言う。棒状部分3の両面(F1、F2)下端それぞれに固定部分4を1つずつ合計2つ側方へ突出するように固定して支柱25を形成する。そして、支柱25を最上階の床材5に直立させた場合の支柱25の底面である。換言すると、支柱25を上端24から下端22に向かって投影した投影図形の長手方向Wと短手方向Dをいう。例えば、
図4(c)に示される形態であれば、長手方向Wと短手方向Dで形成される長方形をいう。また、
図4(e)に示される形態であれば、長手方向Wと短手方向Dで形成される長方形をいう。また、当該長方形状の通過穴14の面積を僅かに支柱25の底面より大形とするのは、同面積が広過ぎると、当該通過穴14付近の床材に支柱25の中間固定部23を固定することができなくなる可能性があるからである。
【0053】
また、最上階の床材5の一部が吹き抜け構造である場合は、吹き抜け構造部分では中間固定部23を最上階の床材5に固定できない。当該吹き抜け構造部分での支柱25の設置については、棒状部分3の下端の両面(F1、F2)に固定する固定部分4をより大型の固定部分4に取り換えて、階下の床材6に固定するとよい。大型の固定部分4はより応力が大きいため、支柱25を階下の床材6に安定的に固定することができる。
【0054】
(支柱25の設置)
支柱25は、次のように設置させる。
先ず、支柱25を組み立てる。具体的には、棒状部分3下端の両面(F1、F2)のそれぞれに固定部分4を1つずつ合計2つ取り付け、棒状部分3の中間固定部23においても固定部分4を合計2つ取り付ける。
そして、棒状部分3を高さ方向に立て、最上階の床材5上方から上記の長方形の通過穴14を通して階下の床材6まで降ろす。このとき、支柱25の下端22は階下の床材6に位置しており、上端24は最上階の床材5よりも高い位置にある。
次に、棒状部分3の上記一方の長方形の面F1の延長線50と当該長方形の通過穴14の長手方向の軸線51との床面に対して成す角度が所定の角度α(
図4(a)参照)になるように棒状部分3を配する。
さらに、棒状部分3下端と階下の床材6を固定部分4を介して固定し、棒状部分3の中間固定部23と最上階の床材5を固定部分4を介して固定する。固定部分4と最上階の床材5又は階下の床材6との固定については、例えば、最上階の床材5又は階下の床材6に複数のボルト穴13を貫通させて形成する。
そして、固定部分4の複数のボルト穴13と最上階の床材5又は階下の床材6に形成された複数のボルト穴13を合わせ、当該複数のボルト穴13に対応する数のボルトとナットで絞めて固定する。なお、上記所定の角度αとは、マイナス180度〜マイナス115度、マイナス65〜65度、115度〜180度の範囲のいずれかとするとよい。この範囲を逸脱すると、固定部分4に形成される、床材と固定するためのボルト穴13の一部が通過穴14の上方に位置してしまいボルト・ナット12の固定ができない。上記範囲内の角度αであれば固定部分4のボルト穴13の全部は通過穴14の上方ではなく、床材の上方に位置するためボルト・ナット12の固定ができる。
【0055】
(支柱25の移動)
次に、支柱25の移動について一例として
図4(a)に示すように、角度αが0度で支柱25が床材(5、6)に固定されている状態から開始した場合について説明する。
【0056】
支柱25の階下への移動については、
図3、
図4(a)に示すように階下の床材6と固定部分4、及び最上階の床材5と固定部分4がそれぞれボルト・ナット12で固定されている状態から、当該ボルト・ナット12の固定を緩め、ボルト・ナット12を取り外すことにより始める。但し、棒状部分3の両面(F1、F2)の下端と固定部分4、及び中間固定部23と固定部分4とのそれぞれの固定は緩めず、そのままの形態を維持する。
次に、支柱25の長さ方向の中心軸を中心として支柱25を、例えば、
図4(a)及び(b)に示すように90度回転させる。
【0057】
同90度回転させたとき支柱25の側方へ固定部分4が突出した向きが通過穴14に沿う状態となる(
図4(b))。そして、階下の床材6に接触しつつ直立する支柱25の固定部分4が固定されている下端22部分を型取るように、階下の床材6に上記と同様の長方形の通過穴14を形成する。
【0058】
さらに、支柱25の下端22を当該形成した長方形の通過穴14を下方に通して、階下の床材6の一つ階下の床材である「階下の更に階下の床材7」に位置するまで下降させる。このとき、支柱25の下端22は「階下の更に階下の床材7」に位置しており、上端24は階下の床材6よりも高い位置にある。そして、支柱25を長さ方向を軸としてマイナス90度回転させる。そうすると、棒状部分3の両面(F1、F2)と当該長方形の通過穴14の長手方向との成す角度は0度になる(
図4(a))。この状態で棒状部分3下端と階下の更に階下の床材7を固定部分4を介して固定し、棒状部分3の中間固定部23と階下の床材6を固定部分4を介して固定する。
なお、上記では、支柱25の移動について所定の角度を0度として移動作業を開始した例を示した。しかしながら、所定の角度αがマイナス180度〜マイナス115度、マイナス65〜65度、115度〜180度の範囲のいずれかの角度から移動作業を開始した場合であっても同様の操作が可能であることは言うまでもない。以上の一連の作業により、支柱25は一つ階下の床材に移動することができる。
【0059】
(支柱25の移動順序)
複数の支柱25の階下への移動順序は、どの支柱25から移動し始めてもよいが、一例として
図2を参照しつつ以下の順序で移動することができる。
複数の支柱25が矩形格子点に配置されている場合、矩形格子の長手方向HDの最壁側であってVD方向に一列に配置される支柱群31を先ず、階下に移動させる。次に、矩形格子の長手方向のもう一方の最壁側に配置される一列の支柱群33を階下に移動させる。さらに、その支柱群31の一列中央側に配置される一列の支柱群32を階下に移動させる、というように長手方向HDの壁側から中央側方向へ支柱群を階下に移動させる。建物31の面積が大きく、支柱群が多数列存在する場合であっても、先ず、矩形格子の長手方向HDの最壁側に配置されるVD方向に一列の支柱群を階下に移動させる。次に、その一つ中央側に配置されるVD方向に一列の支柱群、さらに、その一つ中央側に配置されるVD方向に一列の支柱群というようにするとよい。
複数の支柱25の階下への移動順序をこのようにする利点は、矩形格子の長手方向HDの中央付近に配置される支柱群が最後まで最上階の床材5の上方を支えるので、作業空間を広く保ちつつ重機械を移動させることができ、作業効率がよいという点である。
【0060】
上記において、支柱25を階下の床材6と最上階の床材5(又は、階下の更に階下の床材7と階下の床材6)に固定するときは、棒状部分3の上記両面(F1、F2)の延長線50と長方形の通過穴14の長手方向の軸線51との角度を所定の角度αとする。一方で、支柱25を階下の床材に降ろすときは、支柱25の側方へ固定部分4が突出した向きを通過穴14に沿わせる。
このようにすると、固定部分4を棒状部分3の両面(F1、F2)から外さずに支柱25を一つ階下の床材に降ろすことができるので、固定部分4を棒状部分3の両面(F1、F2)から外す手間が省ける。また一度張った飛散防止用ネット1を解体工事が竣工するまで張り直すことなく張ったままで解体作業を継続できるため、この点においても、解体工事における養生工程の時間短縮化が図られ、作業員の手間を大きく軽減できる。また、解体作業で発生した瓦礫等の物体が建物31外部へ飛散することを竣工に至るまで確実に防止することができる。
【0061】
(飛散防止用ネット1端部41の移動)
飛散防止用ネット1端部41の下方への移動について詳述する。
図6(a)に示すように、飛散防止用ネット1端部41は最上端の足場8まで延在しており、なお余る部分は、例えば、ロール状に巻くなどして、同足場8に留めて置くとよい。
【0062】
図2に示すように同足場8の最上端には、掛止部材11が保持部材47を介して備わっている。具体的には、掛止部材11は、足場8における建物31側の長手方向の端縁48に保持部材47を介して備わる。そして、掛止部材11は足場8に沿うよう配され、建物31の外壁面を囲むように延在する。
【0063】
掛止部材11は、足場8に保持部材47を介して保持されている。保持部材47は、例えば、手部分と柄部分の両方で挟持できるクランプ状部材を用いることができる。同保持部材47の柄部分を同足場8に固定して、手部分で掛止部材を掴む。当該保持部材47は、所定間隔ごとに同足場8に複数取り付けられ、掛止部材11は、複数の保持部材47により保持されつつ同足場8の建物31側の長手方向の端縁48に沿うように延在する。なお、掛止部材11は、保持部材47を各階の足場8に固定できるので、解体作業の進行に応じて上下方向へ移動可能である。
【0064】
また、掛止部材11は、保持部材47で足場8に保持される掛止部材11と足場には所定の隙間を有しておく。その隙間の上方から下方へ支持ワイヤー2を通す(
図6(a)参照)。そして、
図6(a)に示すように下方へ通された支持ワイヤー2はたわまないよう、同掛止部材11に水平張力が掛かった状態で足場8の下方に固定部材10によって固定されている。固定部材10は、支持ワイヤー2を足場8に固定する必要性から支持ワイヤー2と足場8を挟持できるレバーブロック(登録商標)を好適に用いることができる。
【0065】
次いで、
図6(b)に示すように最上階の床材5の外壁16を解体した後、足場8に固定部材10で固定された支持ワイヤー2の張りを緩める。支持ワイヤー2の張りを緩めるには、固定部材10を一旦、足場8の固定されていた箇所から外し、例えば、足場8の1階層分上に組まれる足場8に再度固定するとよい。
その後、掛止部材11を挟持する位置を足場8の下方へ移す。具体的には、階下の床材6の解体作業に取り掛かる際に、新たに最上端となる足場8の建物31側の端縁48に、掛止部材11を固定する。すなわち、掛止部材11は高さ方向に階層構造に組まれた足場8の例えば、2階層分下の位置に上記同様に固定する。
【0066】
支持ワイヤー2は掛止部材11に支えられているので、同掛止部材11を下方の足場8に移すときに、支持ワイヤー2も、掛止部材11の挟持位置の下方移動に伴い下がる。また、ロール状に巻かれた飛散防止用ネット端部41については、巻が解かれ、支持ワイヤー2に沿って掛止部材11の位置まで張られた状態となる。
【0067】
飛散防止用ネット端部41が張られた後、掛止部材11の新たな挟持位置よりも上部の足場8を解体し、解体後、上述した支柱25の階下への移動作業を行う。
【0068】
支柱25の下方への移動作業が完了したならば、支持ワイヤー2がたわまないよう、同掛止部材11に水平張力を掛けた状態にして支持ワイヤー2を固定部材10を用いて下方の足場8に固定する。そして、飛散防止用ネット端部41を例えば、再度ロール状に巻くなどして、同足場8に留めて置くとよい。
【0069】
なお、掛止部材11は直線的に延在する棒状部材であれば特に限定されないが、単管パイプを好適に用いることができる。単管パイプは、軽量であり所定強度を有し、単管パイプの長軸に対して垂直方向に力が加わってもたわみにくい。そのため、上記のごとく単管パイプを介して支持ワイヤー2を這わせても、単管パイプは所望の応力を発揮できる。
【0070】
以上の一連の作業により、飛散防止用ネット1の端部41は一つ階下に移動したことになる。同作業を四方すべての飛散防止用ネット端部41について行い、かつ、すべての支柱25の階下への移動を行うことで、瓦礫飛散防止構造15の一つ階下への移動が達成される。
【0071】
(特定形状の棒状部分3の実施形態)
支柱25の構成要素である棒状部分3を直方体形鋼3´とした場合の瓦礫飛散防止構造15の形態について以下に説明する。直方体形鋼3´は、例えば、平面上にある四角形の枠であってその四角形の内部は空洞であり、その枠状の四角形が高さ方向に連続して延在した形状である。
支柱25は、直方体形鋼3´と複数の固定部分4とで主に構成される。具体的には、直方体形鋼3´の一面とその面に対向する面(上記F1、F2に相当する。「F1´、F2´」とする)の下端にそれぞれ固定部分4の背面44が合計2つ接するように固定される。また、直方体形鋼3´の当該両面(F1´、F2´)における、直方体形鋼3´の中間固定部23にそれぞれ固定部分4の背面44が合計2つ接するように固定されて、同支柱25は構成される。
同支柱25の階下への移動について、支柱25を階下の床材6と最上階の床材5(又は、階下の更に階下の床材7と階下の床材6)に固定するときは、同両面(F1´、F2´)を上記長方形の通過穴14の長手方向に沿う方向にする。一方で、支柱25を階下の床材6に降ろすときは、同両面(F1´、F2´)と長方形の通過穴14の長手方向とでなす角度を所定の角度αにするとよい。
【0072】
(支柱25の配置の別の実施形態)
図7のように支柱25を矩形状に配置する実施形態を提示することができる。建物31の床面積が比較的広い場合に有用な配置である。
また、
図8のように支柱25を建物31のHD方向の中央にVD方向に一列に数本配置する実施形態を提示することができる。建物31の床面積が比較的狭い場合に有用な配置である。
【0073】
(その他)
言葉の定義について、建物31とは、外部を囲む壁材と、内部を複数の階に仕切る1又は複数の床材とを有する物体をいう。外壁16とは、建物31の外部を囲む壁材をいう。瓦礫とは、建物の解体工事において発生する産業廃棄物をいい、例えば、鉄筋、鉄材等の金属くず、コンクリート、アスファルト、レンガ、タイル、大谷石等の石材その他の廃材をいう。
【0074】
飛散防止用ネット1について、材質は、特に限定されず、例えば、高密度ポリエチレン、ABS、高密度ポリプロピレン、ポリプロピレン難燃原着糸、ポリエステル、ポリエステル難燃原着糸、東レテトロン(R)、東レ防炎テトロン(R)等を用いることができる。JIS L 1096 8.14.1 JIS法(ストリップ法)に準ずる、強度は150〜480Nとするとよい。強度がこの範囲を下回ると強風や重機械の接触等でネット繊維が破壊される可能性があり、上回るとネット繊維が硬く太くなり自重が増し飛散防止用ネット1のたわみ幅が大きくなので、高さ方向の作業空間が狭まり作業性を悪化させる。飛散防止用ネット1の目合いは、4〜20mm、特に5〜10mmが好ましい。飛散防止用ネット1の目合いが4mm未満だと風圧を大きく受け過ぎてしまい、飛散防止用ネット1にたわみが発生する可能性がある。20mmを超えると瓦礫片が飛散防止用ネット1を通り抜けてしまう。また、飛散防止用ネット1の防風率は、50%以下、特に40%以下が好ましい。防風率が50%を超えると、風圧により瓦礫片が飛散防止用ネット1にたわみが発生する可能性がある。