【課題を解決するための手段】
【0009】
驚くべきことに、単に、特定のアミン成分を選択して好ましい濃度範囲で使用するだけで、ポリウレタンまたはポリウレア材料からのアルデヒドの放出を、アルデヒドに対する放出レベルが自動車産業により定められている要求値を満たすように減らすことができ、これによってVDA276標準試験法を使用することができる、ということがわかった。
【0010】
本発明の第1の態様によれば、下記:
・ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリアミン、およびポリエステルポリアミンからなる群から選ばれる少なくとも1つの成分と;
・それぞれが下式:
【0011】
【化1】
【0012】
の1つによる構造を有する1つ以上のアミン成分と;
を含む組成物が提供され、式中、R
aおよびR
bは、それぞれ独立して、単位R
1、R
2、及び/
又はR
3のランダムシーケンスであり;ここでR
1は
【0013】
【化2】
【0014】
であり、R
2は
【0015】
【化3】
【0016】
であり、R
3は
【0017】
【化4】
【0018】
であり;R
4、R
5、R
6、およびR
7のそれぞれが独立して、-Hまたは-CH
3であり;R
aが3〜17個
の窒素原子を含み、R
bが2〜16個の窒素原子を含み、
ここで、組成物中の1つ以上のアミン成分の量は、組成物の総重量を基準として0.05重量%〜1.0重量%である。
【0019】
幾つかの実施態様によれば、前記1つ以上のアミン成分の平均窒素原子数は5〜10の範
囲である。
平均窒素原子数は、次の定義に従って算出される。
F = ΣVi*(fi)
2/ΣVi*fi
[式中、Viは成分iの体積分率であり、fiは成分i中の窒素原子数である]
本発明の組成物はイソシアネート反応性組成物と呼ばれることもあり、例えばポリイソシアネート成分のイソシアネート基と反応させるのに適している。この反応の結果、ポリウレア材料またはポリウレタン材料が得られる。
【0020】
幾つかの実施態様によれば、前記1つ以上のアミン成分の平均窒素原子数は5〜8の範囲であってよい。
代表的な平均は6.5〜7.5(例えば約7)である。
【0021】
1つ以上のアミン成分は、前記式に従った少なくとも2種の、そして好ましくは2種超のアミンを含んでよい。1つ以上のアミン成分は、合計で10種以上の異なるアミン(いずれ
も前記式のうちの1つに従った構造を有する)となってよい。これらの少なくとも2種の、
そして好ましくは2種超のアミンは、アミン混合物と呼ぶことができる。
【0022】
上記式に従った1つ以上のアミン成分は、該1つ以上のアミン成分を含むイソシアネート反応性組成物とポリイソシアネート成分とを反応させることによってPUフォームを得るプロセスにおいて使用すると、アルデヒド成分(例えばホルムアルデヒド、アセトアルデ
ヒド、およびプロピオンアルデヒド)に対するスカベンジャーとして、そして必要に応じ
てジメチルホルムアミド(DMF)に対するスカベンジャーとしても作用する、ということが
見出された。第一アミンと第二アミンは、ポリイソシアネートのイソシアネート基に対する反応性がかなり高いので、上記式に従った1つ以上のアミン成分を、ポリウレタンの化学構造中に簡単に組み込むことができる。したがって、上記式に従った1つ以上のアミン成分がフォーム中において結合する一方で、その分子量が低いこと、および使用される量が極めて少ないことから、フォームの化学的・物理的特性にほとんどもしくは全く影響を及ぼさない。
【0023】
好ましい実施態様によれば、上記式に従った1つ以上のアミン成分は、少なくとも1つ
の第一アミン基と少なくとも1つの第二アミン基を有する。該1つ以上のアミン成分は、
少なくとも2つの第一アミン基と少なくとも1つの第二アミン基を有する少なくとも1つの成分を含むのがさらに好ましい。
【0024】
他の実施態様によれば、上記式に従った1つ以上のアミン成分は、少なくとも2つの第
二アミン基を有する。
上記式に従った1つ以上のアミン成分は、ポリウレアまたはポリウレタンをもたらすのに適した反応混合物の一部であるので、いったんフォームが造られると、フォーム中にアルデヒド掃去特性を組み込むための後処理(例えば含浸によって)を行う必要がない。
【0025】
好ましい実施態様では、1つ以上のアミン成分の総重量が、前記本発明の組成物の0.1
〜1重量%を、あるいはさらには0.2〜0.7重量%を構成してよい。
幾つかの実施態様によれば、R
4基、R
5基、R
6基、およびR
7基の全てが水素であってよい。したがって、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリアミン、およびポリエステルポリアミンからなる群から選ばれる少なくとも1つの成分と;それぞれが下式:
【0026】
【化5】
【0027】
の1つによる構造を有する1つ以上のアミン成分と;を含む組成物が提供され、ここで、R
aおよびR
bのそれぞれは独立して、単位R
1、R
2、及び/又はR
3のランダムシーケンスであり; R
1は
【0028】
【化6】
【0029】
であり、R
2は
【0030】
【化7】
【0031】
であり、R
3は
【0032】
【化8】
【0033】
であり;R
aが3〜17個の窒素原子を含み、R
bが2〜16個の窒素原子を含み、このとき、組成
物中の1つ以上のアミン成分の量は、組成物の総重量を基準として0.05重量%〜1.0重量
%である。
【0034】
幾つかの実施態様によれば、前記1つ以上のアミン成分の平均窒素原子数は5〜10の範
囲である。
幾つかの実施態様によれば、1つ以上のアミン成分は、トリエチレンテトラミン(TETA)及び/又はテトラエチレンペンタミン(TEPA)及び/又はペンタエチレンヘキサミン(PEHA)及び/又はヘキサエチレンヘプタミン(HEHA)及び/又はヘプタエチレンオクタミン(HEOA)及び/又はオクタエチレンノナミン(OENO)及び/又はより高級のポリエチレンミンを含む混合物であってよい。
【0035】
幾つかの実施態様によれば、1つ以上のアミン成分は、トリエチレンテトラミン(TETA)及び/又はテトラエチレンペンタミン(TEPA)であってよい。これらの実施態様では、そし
て特にトリエチレンテトラミン(TETA)のみ又はテトラエチレンペンタミン(TEPA)のみが本発明の組成物中に組み込まれる場合、そのアミン成分は、本発明の組成物の0.1〜1重量%を、さらには0.2〜0.7重量%を構成してよい。
【0036】
この混合物は通常、その構造中に合計9〜18個の窒素原子を有するアミン成分をさらに
含む。この混合物は、二塩化エチレン(EDC)とアンモニアとを高温・高圧にて反応させる
ことによって得ることができる。次いで、この混合物を苛性アルカリで中和してから蒸留することにより、混合物から種々のアミン成分を分離することができる。
【0037】
本発明の組成物は、周囲条件下で液体としてもたらされ、したがってポリウレタンフォームまたはポリウレアフォームを得るのに適した反応性混合物中にこの組成物を加えるのが容易になる、というさらなる利点を有する。
【0038】
本発明の第2の態様によれば、ポリウレタンフォームまたはポリウレアフォームからの
ホルムアルデヒド及び/又はアセトアルデヒドの放出を低減する方法が提供され、該方法
は、1つ以上のアミン成分を、ポリウレタンフォームやポリウレアフォームを得るための反応混合物中への添加剤として使用し、該アミン成分のそれぞれが式:
【0039】
【化9】
【0040】
のうちの1つによる構造を有し、R
aおよびR
bのそれぞれが独立して、単位R
1、R
2、及び/
又はR
3のランダムシーケンスであり;ここでR
1は
【0041】
【化10】
【0042】
であり、R
2は
【0043】
【化11】
【0044】
であり、R
3は
【0045】
【化12】
【0046】
であり;R
4、R
5、R
6、およびR
7のそれぞれが独立して、-Hまたは-CH
3であり;R
aが3〜17個
の窒素原子を含み、R
bが2〜16個の窒素原子を含み、このとき反応混合物中の1つ以上の
アミン成分の量は、反応混合物の総重量を基準として0.05重量%〜0.50重量%である。
【0047】
幾つかの実施態様によれば、ポリウレタンフォームやポリウレアフォームを製造するのに適した反応混合物は、下記:
・少なくともあるイソシアネート成分;
・反応性水素原子を含んでいて、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリアミン、及び/又はポリエステルポリアミンから選ばれる少なくともイソ
シアネート反応性成分;
・本発明に従った少なくとも1つ以上のアミン成分;
・発泡触媒及び/又はゲル化触媒から選ばれる触媒;および
・必要に応じて、難燃剤、酸化防止剤、界面活性剤、物理的もしくは化学的発泡剤、フィラー、顔料、またはポリウレタン材料において使用される他の任意の一般的添加剤;
を含む。
【0048】
本発明の幾つかの実施態様によれば、1つ以上のアミン成分の平均窒素原子数は5〜10
の範囲である。
理解しておかねばならないことは、本発明の方法は、ポリウレタンフォームまたはポリウレアフォームを得るための前記反応混合物を反応させることを含む、という点である。
【0049】
本発明の幾つかの実施態様によれば、1つ以上のアミン成分は、式:
【0050】
【化13】
【0051】
を有するアミン成分であってよく、式中、R
aおよびR
bのそれぞれが独立して、単位R
1、R
2、及び/又はR
3のランダムシーケンスであり;ここでR
1は
【0052】
【化14】
【0053】
であり、R
2は
【0054】
【化15】
【0055】
であり、R
3は
【0056】
【化16】
【0057】
である。
好ましい実施態様によれば、1つ以上のアミン成分の総重量は、ポリウレタンフォームまたはポリウレアフォームを得るための前記反応混合物の0.10重量%〜0.35重量%を構成する。
【0058】
本発明の幾つかの実施態様によれば、前記1つ以上のアミン成分は、前記少なくとも1つのポリイソシアネート反応性成分をさらに含むイソシアネート反応性組成物の一部として反応混合物に供給することができる。
【0059】
少なくとも1つのポリイソシアネート反応性成分は、例えばポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリアミン、ポリエステルポリアミン、またはこれらの組み合わせであってよい。
【0060】
ポリエーテルポリオールの例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール-エチレングリコールコポリマー、ポリテトラメチレ
ングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリヘプタメチレングリコール、ポリデカメチレングリコール、およびアルキレンオキシド(例えば、エチレンオキシド及び/又は
プロピレンオキシド)と2〜8の官能価のイソシアネート反応性開始剤との開環共重合によ
って得られるポリエーテルポリオールなどがある。ポリエーテルポリオールは、プロピレンオキシドをベースにする〔必要に応じて最大20重量%(全アルキレンオキシドを基準と
して)のエチレンオキシドと組み合わせて〕のが好ましい。
【0061】
ポリエステルポリオールの例としては、多価アルコールと多塩基酸とを反応させることによって得られるポリエステルジオールがある。多価アルコールの例としては、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,9-ノナンジオ
ール、および2-メチル-1,8-オクタンジオール等がある。多塩基酸の例としては、フタル
酸、ダイマー酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、およびセバシン酸等がある。
【0062】
本発明において使用されるポリイソシアネート成分は、トルエンジイソシアネート(TDI)タイプのイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)タイプのイソシアネート、およびこれらのイソシアネートのプレポリマー(これらに限定されない)を含めて、いかなる種類のポリイソシアネートも含んでよい。
【0063】
本発明において使用されるジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)は、2,4'-異性体;2,2'-異性体;4,4'-異性体;これらの混合物;2より高いイソシアネート官能価を有する、当
業界において“クルード”MDIもしくはポリメリックMDI(ポリメチレンポリフェニレンポ
リイソシアネート)として知られているオリゴマーと、ジフェニルメタンジイソシアネー
ト(MDI)との混合物;あるいは、ウレタン基、イソシアヌレート基、アロファネート基、ビウレット基、ウレトンイミン基、ウレトジオン基、及び/又はイミノオキサジンジオン基
を有するこれらの誘導体とこれら誘導体の混合物のいずれか;の形態であってよい。
【0064】
他の好適なポリイソシアネートの例は、トリレンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチ
レンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ブチレンジイソシア
ネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、ジ(イソシアナートシクロヘキシル)メタン、イソシアナートメチル-1,8-オクタンジイソシアネート、およびテトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)である。
【0065】
イソシアネート反応性水素原子を含有する化合物とポリイソシアネートとを反応させることによって得られるセミプレポリマーとプレポリマーも使用することができる。イソシアネート反応性水素原子を含有する化合物の例としては、アルコール、グリコール、さらに比較的高分子量のポリエーテルポリオールとポリエステルポリオール、メルカプタン、カルボン酸、アミン、ウレア、およびアミドなどがある。好適なプレポリマーの例は、ポリイソシアネートと一価もしくは多価アルコールとの反応生成物である。
【0066】
プレポリマーは、従来の方法によって、例えば400〜5000の分子量を有するポリヒドロ
キシル化合物(特にモノもしくはポリヒドロキシルポリエーテル、必要に応じて400未満の分子量を有する多価アルコールと混合)と過剰量のポリイソシアネート(例えば脂肪族、脂環式、アリール脂肪族、芳香族、または複素環式ポリイソシアネート)とを反応させるこ
とによって製造される。ポリエーテルポリオールの例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール-エチレングリコールコポリマ
ー、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリヘプタメチレングリコール、ポリデカメチレングリコール、およびアルキレンオキシド(例えば、エチ
レンオキシド及び/又はプロピレンオキシド)と2〜8の官能価のイソシアネート反応性開始剤との開環共重合によって得られるポリエーテルポリオールなどがある。ポリエーテルポ
リオールは、プロピレンオキシドをベースにする〔必要に応じて最大20重量%(全アルキ
レンオキシドを基準として)のエチレンオキシドと組み合わせる〕のが好ましい。
【0067】
ポリエステルポリオールの例としては、多価アルコールと多塩基酸とを反応させることによって得られるポリエステルジオールがある。多価アルコールの例としては、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,9-ノナンジオ
ール、および2-メチル-1,8-オクタンジオール等がある。多塩基酸の例としては、フタル
酸、ダイマー酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、およびセバシン酸等がある。
【0068】
本発明の方法は、軟質PUフォーム、半硬質PUフォーム、硬質PUフォーム、粘弾性PUフォーム、インテグラルスキンPUフォーム、および水耕栽培用PUフォーム等のポリウレタンもしくはポリウレアフォーム(PUフォーム)を得るのに使用することができる。本発明の方法は特に、マットレス、寝具用フォーム、および自動車用PUフォーム(特
に、従来の軟質フォーム、HR軟質フォーム、粘弾性軟質フォーム)だけでなく、半硬質フ
ォームや硬質フォーム等のPUフォーム用途においても有用である。
【0069】
独立クレームと従属クレームは、本発明の特定の特徴と好ましい特徴を説明している。従属クレームからの特徴は、必要に応じて独立クレームまたは他の従属クレームの特徴と組み合わせることができる。
【0070】
本発明の上記の特性、特徴、および利点、ならびに他の特性、特徴、および利点は、本発明の原理を例証している以下の詳細な説明から明らかとなろう。この説明は、単に例証のためになされており、この例証によって本発明が限定されることはない。