【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の発明では、ガラス基板は、ガラス基板と同程度サイズ若しくはそれ以上のサイズの搬送用ステージ上に搭載され、当該ステージと共に移動する。また、レーザ照射部分は照射装置に固定されている。
図5(A)(B)は、従来の装置の一例の概略を示すものである。レーザ照射部50には、不活性ガス噴出部51が設けられており、不活性ガス噴出部51から下方に、例えば窒素または不活性ガスが噴出されるとともに、不活性ガス噴出部51を通して、ステージ60で搬送されるガラス基板100にレーザ50Aが照射される。
図5(A)に示すように、ガラス基板100がステージ60の移動に伴いレーザ照射部50の下方に進入すると、レーザ50Aの照射と同時に、例えば窒素といった不活性ガスを不活性ガス噴出部51から噴出することで、レーザ照射時にガラス基板100上から空気を取り除くようにしている。
【0005】
そもそもレーザ照射時に空気を取り除く理由は、レーザ照射中に空気中に含まれる酸素などを代表とする物質が、ガラス基板上に形成している非晶質半導体膜に作用することを防止するためである。また、照射するレーザは周りの流体の影響を受けるとされているため、噴出する不活性ガスは、レーザ照射部において極力乱れのない整流が望まれる。
前述のとおり、従来は、ステージがレーザ照射部に到達して、ステージ上に搭載されているガラス基板と、上部の不活性ガス噴出部の隙間により、レーザ照射部のまわりに不活性ガス雰囲気が造り出される。
【0006】
しかしながら、従来の方法では、不活性ガス雰囲気は、移動しているガラス基板がレーザ照射部に到達することで初めて形成されるため、不活性ガスが噴出される付近では、ガスの流れが乱れた状態のままでレーザ照射されている。また、
図5(B)に示すように、ガラス基板100がレーザ照射部50下にない場合、不活性ガス噴出部51周りに隙間が生じないため、不活性ガス雰囲気は形成されていない。
また、整った流れを実現するため、不活性ガス噴出部から流れ出る不活性ガスの流量は微量であるため、ステージとともに移動する空気を、レーザ照射部で完全に取り除くことができない。
以上のように、レーザ照射部は照射装置に固定され、ガラス基板は、これを搭載した搬送用ステージが移動した状態でレーザが照射するため、局所的かつ乱れの少ない不活性ガス雰囲気を作り出すことに問題がある。
【0007】
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、ワークを浮上搬送してレーザ光処理を行うレーザ処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のレーザ処理装置のうち、第1の形態は、
以下を有するレーザ処理装置:
レーザ光を出射するレーザ照射部;
前記レーザ光が照射されるワークを浮上させて搬送可能なフロートユニット;
前記ワークの上方に位置し、前記レーザ光の照射位置において、第1の不活性ガスを前記ワークに噴出する下方ガス噴出部;および
前記フロートユニットおよび前記ワークの上方であって、前記下方ガス噴出部の下方かつ周辺に位置する、開口部を有する上部壁面部、
ここで、
前記レーザ光は、前記開口部を介して前記ワークに照射され、
前記フロートユニットは、前記レーザ光の照射領域と平面視において重なる第1の領域と、前記第1の領域から離間した第2の領域を有し、
前記第1の領域はポーラス形状を有し、
前記第1の領域中の細孔を介して、第2の不活性ガスが前記ワークに噴射される。
【0009】
また、本発明外において、第1の形態の雰囲気形成装置は、ワークをガス噴出によって浮上支持して搬送する浮上搬送装置に設けられる雰囲気形成装置であって、
前記搬送が行われる搬送経路を含む大域的な領域における大域雰囲気を形成する大域雰囲気形成部と、前記大域雰囲気内で、前記搬送経路を含む小域的な領域で前記大域雰囲気と異なる小域雰囲気を形成する小域雰囲気形成部を有し、
前記小域雰囲気形成部は、少なくとも下方から噴出される前記浮上噴出ガスの全部または一部に合わせて上方から雰囲気ガスを噴出する下方ガス噴出部を有し、
大域雰囲気は、前記浮上支持のために下方から噴出される浮上噴出ガスを雰囲気ガスの一部として含み、
小域雰囲気は、前記浮上支持のために下方から噴出される浮上噴出ガスと、下方ガス噴出部によって上方から噴出される雰囲気ガスと、を雰囲気ガスの一部として含み、
前記小域雰囲気形成部で上方から噴出される雰囲気ガスと下方から噴出される浮上噴出ガスとが、窒素または不活性ガスであり、
前記大域雰囲気形成部で下方から噴出される前記浮上噴出ガスが、空気または前記小域雰囲気における前記浮上噴出ガスよりも純度が低い同一成分のガスであることを特徴とする。
【0010】
他の形態の雰囲気形成装置は、前記形態において、前記大域雰囲気形成部は、大域的な前記領域の外から雰囲気ガスを導入する大域ガス導入部を有することを特徴とする。
【0011】
他の形態の雰囲気形成装置は、前記形態において、前記大域雰囲気を形成する大域雰囲気形成部を有し、前記大域雰囲気形成部は、大域的な前記領域の外から雰囲気ガスを導入する大域ガス導入部を有することを特徴とする。
【0012】
上記によれば、大域ガス導入部によって大域的な領域外からガスを導入して大域雰囲気における雰囲気ガスの少なくとも一部として使用することができる。
【0013】
他の形態の雰囲気形成装置は、前記形態において、前記小域雰囲気形成部は、大域的な前記領域および小域的な前記領域の外から雰囲気ガスを導入する小域ガス導入部を有することを特徴とする。
【0014】
上記によれば、少なくとも、浮上噴出ガスと下方ガス噴出部から噴出されるガスとによって、小域雰囲気が形成される。また、浮上噴出ガスと下方ガス噴出部から噴出されるガスがバランスした位置でワークを移動させれば、ワークの搬送によるガスの乱れを極力少なくすることができる。
【0015】
他の形態の雰囲気形成装置は、前記形態において、下方ガス噴出部は、下方ガス噴出部から噴出されるガスと浮上噴出ガスとの間に、ワークの搬送経路が位置するように位置付けられていることを特徴とする。
【0016】
上記によれば、下方ガス噴出部から噴出されるガスと浮上噴出ガスとの間の搬送経路上でワークが搬送されることになり、大域雰囲気および小域雰囲気中でワークを移動させることができる。
【0017】
他の形態の雰囲気形成装置は、前記形態において、前記小域雰囲気が、前記ワークの加工エリアを含む領域に形成されることを特徴とする。
【0018】
上記によれば、ワークの加工エリアを小域雰囲気内に置くことができ、所望の雰囲気で加工を行うことが可能になる。
【0019】
他の形態の雰囲気形成装置は、前記形態において、前記小域雰囲気が、前記ワークの加工エリアの搬送方向上流側の領域を含むことを特徴とする。
【0020】
上記によれば、加工エリアにワークが到着する前に、小域雰囲気でワークを覆うことができ、安定した雰囲気を加工前に得ることができる。
【0021】
他の形態の雰囲気形成装置は、前記形態において、前記小域雰囲気が、前記ワークの加工エリアの搬送方向下流側の領域を含むことを特徴とする。
【0022】
他の形態の雰囲気形成装置は、前記形態において、前記小域雰囲気形成部は、前記小域雰囲気で搬送される前記ワークの上下方向および搬送方向の両側方を覆うように形成することを特徴とする。
【0023】
他の形態の雰囲気形成装置は、前記形態において、前記前記小域雰囲気内に、前記ワークの加工エリアが位置していることを特徴とする。
【0024】
上記によれば、ワークの搬送位置に対し、ワークを上下および両側方から囲むように小域雰囲気が形成され、ワークの搬送位置に拘わらず、安定した小域雰囲気を確保することができる。
【0025】
他の形態の雰囲気形成装置は、前記形態において、前記大域的な領域と、前記小域的な領域とを、前記ワークに対する処理を行う処理室内に有することを特徴とする。
【0026】
第1の形態の浮上搬送方法は、ワークをガス噴出によって浮上支持して搬送する浮上搬送方法であって、
前記搬送が行われる搬送経路を含む大域的な領域で大域雰囲気を形成する工程と、前記大域雰囲気内で、前記搬送が行われる搬送経路を含む小域的な領域で前記大域雰囲気と異なる小域雰囲気を形成する工程と、前記大域雰囲気と前記小域雰囲気を通して前記搬送経路に沿って前記ワークを搬送する工程と、を有し、
大域雰囲気を形成する工程は、前記浮上支持のために下方から噴出される浮上噴出ガスを雰囲気ガスの一部として含み、
小域雰囲気を形成する工程は、前記浮上支持のために下方から噴出される浮上噴出ガスと、少なくとも下方から噴出される前記浮上噴出ガスの全部または一部に合わせて上方から噴出される雰囲気ガスと、を雰囲気ガスの一部として含み、
前記小域雰囲気を形成する工程で、上方から噴出される前記雰囲気ガスと、下方から噴出される前記浮上噴出ガスが、窒素または不活性ガスであり、
前記大域雰囲気を形成する工程で、下方から噴出される前記浮上噴出ガスが、空気または前記小域雰囲気における前記浮上噴出ガスよりも純度が低い同一成分のガスであることを特徴とする。
【0027】
他の形態の浮上搬送方法は、前記形態において、前記大域的な領域で前記大域雰囲気を形成する工程を有することを特徴とする。