特許第6564481号(P6564481)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6564481
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】レーザ処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/268 20060101AFI20190808BHJP
   H01L 21/20 20060101ALI20190808BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   H01L21/268 G
   H01L21/20
   H01L21/68 A
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-38704(P2018-38704)
(22)【出願日】2018年3月5日
(62)【分割の表示】特願2016-192255(P2016-192255)の分割
【原出願日】2015年2月27日
(65)【公開番号】特開2018-113458(P2018-113458A)
(43)【公開日】2018年7月19日
【審査請求日】2018年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100091926
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 幸喜
(72)【発明者】
【氏名】藤 貴洋
(72)【発明者】
【氏名】清水 良
【審査官】 佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−179653(JP,A)
【文献】 特開2012−054603(JP,A)
【文献】 特開2006−264939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/268
H01L 21/20
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を有するレーザ処理装置:
レーザ光を出射するレーザ照射部;
前記レーザ光が照射されるワークを浮上させて搬送可能なフロートユニット;
前記ワークの上方に位置し、前記レーザ光の照射位置において、第1の不活性ガスを前記ワークに噴出する下方ガス噴出部;および
前記フロートユニットおよび前記ワークの上方であって、前記下方ガス噴出部の下方かつ周辺に位置する、開口部を有する上部壁面部、
ここで、
前記レーザ光は、前記開口部を介して前記ワークに照射され、
前記フロートユニットは、前記レーザ光の照射領域と平面視において重なる第1の領域と、前記第1の領域から離間した第2の領域を有し、
前記第1の領域はポーラス形状を有し、
前記第1の領域中の細孔を介して、第2の不活性ガスが前記ワークに噴射される。
【請求項2】
前記フロートユニットの前記第2の領域にはガスを噴出するための複数の穴が形成されている請求項1に記載のレーザ処理装置。
【請求項3】
前記下方ガス噴出部および前記上部壁面部によって、前記第1の不活性ガスによる局所的な雰囲気が形成可能である請求項1又は2に記載のレーザ処理装置。
【請求項4】
前記フロートユニットの前記第1の領域および前記第2の領域からそれぞれ種類の異なるガスを噴出可能である請求項1〜3のいずれか1項に記載のレーザ処理装置。
【請求項5】
前記フロートユニットの前記第2の領域からエアーが噴出される請求項1〜4のいずれか1項に記載のレーザ処理装置。
【請求項6】
前記第1の不活性ガスは窒素である請求項1〜5のいずれか1項に記載のレーザ処理装置。
【請求項7】
前記第2の不活性ガスは窒素である請求項1〜6のいずれか1項に記載のレーザ処理装置。
【請求項8】
前記レーザ光は、ラインビーム形状を有し、
前記ラインビーム形状の長辺方向と交差する方向に前記ワークが搬送される請求項1〜7のいずれか1項に記載のレーザ処理装置。
【請求項9】
前記下方ガス噴出部から、前記ラインビーム形状に沿ってライン状に前記第1の不活性ガスが噴出される請求項1〜8のいずれか1項に記載のレーザ処理装置。
【請求項10】
前記ワークは非晶質半導体膜が形成されたガラス基板である請求項1〜9のいずれか1項に記載のレーザ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ワークを浮上搬送してレーザ光を照射するレーザ処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイを製造するために、ガラス基板を搬送・加工するレーザ処理装置の一つとして、レーザによってアモルファスシリコン膜の結晶化を行う結晶化装置が知られている。
従来、この結晶化装置では、レーザ照射部付近を不活性ガスで充満させて、レーザをアモルファスシリコン膜に照射する技術が提案されている。
例えば、特許文献1では、ガス噴出部と走査方向に沿って伸張する端部整流面を設け、ガス噴出部から噴出されたガスを端部整流面とガラス基板との間に流すことで、レーザの照射部近傍からその周囲の走査方向に亘って雰囲気を適切に確保する方法が提案されている。
特許文献2では、スイングノズルで照射部分へ窒素ガスを噴出して窒素ガス雰囲気を確保するものとしている。
また、特許文献3では、真空チャンバ内を真空あるいは窒素(大気圧)雰囲気とすることによって、アニール中に空気中の物質が非晶質半導体薄膜に作用することを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−54603号公報
【特許文献2】特開2000−349041号公報
【特許文献3】特許3502981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の発明では、ガラス基板は、ガラス基板と同程度サイズ若しくはそれ以上のサイズの搬送用ステージ上に搭載され、当該ステージと共に移動する。また、レーザ照射部分は照射装置に固定されている。
図5(A)(B)は、従来の装置の一例の概略を示すものである。レーザ照射部50には、不活性ガス噴出部51が設けられており、不活性ガス噴出部51から下方に、例えば窒素または不活性ガスが噴出されるとともに、不活性ガス噴出部51を通して、ステージ60で搬送されるガラス基板100にレーザ50Aが照射される。
図5(A)に示すように、ガラス基板100がステージ60の移動に伴いレーザ照射部50の下方に進入すると、レーザ50Aの照射と同時に、例えば窒素といった不活性ガスを不活性ガス噴出部51から噴出することで、レーザ照射時にガラス基板100上から空気を取り除くようにしている。
【0005】
そもそもレーザ照射時に空気を取り除く理由は、レーザ照射中に空気中に含まれる酸素などを代表とする物質が、ガラス基板上に形成している非晶質半導体膜に作用することを防止するためである。また、照射するレーザは周りの流体の影響を受けるとされているため、噴出する不活性ガスは、レーザ照射部において極力乱れのない整流が望まれる。
前述のとおり、従来は、ステージがレーザ照射部に到達して、ステージ上に搭載されているガラス基板と、上部の不活性ガス噴出部の隙間により、レーザ照射部のまわりに不活性ガス雰囲気が造り出される。
【0006】
しかしながら、従来の方法では、不活性ガス雰囲気は、移動しているガラス基板がレーザ照射部に到達することで初めて形成されるため、不活性ガスが噴出される付近では、ガスの流れが乱れた状態のままでレーザ照射されている。また、図5(B)に示すように、ガラス基板100がレーザ照射部50下にない場合、不活性ガス噴出部51周りに隙間が生じないため、不活性ガス雰囲気は形成されていない。
また、整った流れを実現するため、不活性ガス噴出部から流れ出る不活性ガスの流量は微量であるため、ステージとともに移動する空気を、レーザ照射部で完全に取り除くことができない。
以上のように、レーザ照射部は照射装置に固定され、ガラス基板は、これを搭載した搬送用ステージが移動した状態でレーザが照射するため、局所的かつ乱れの少ない不活性ガス雰囲気を作り出すことに問題がある。
【0007】
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、ワークを浮上搬送してレーザ光処理を行うレーザ処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のレーザ処理装置のうち、第1の形態は、
以下を有するレーザ処理装置:
レーザ光を出射するレーザ照射部;
前記レーザ光が照射されるワークを浮上させて搬送可能なフロートユニット;
前記ワークの上方に位置し、前記レーザ光の照射位置において、第1の不活性ガスを前記ワークに噴出する下方ガス噴出部;および
前記フロートユニットおよび前記ワークの上方であって、前記下方ガス噴出部の下方かつ周辺に位置する、開口部を有する上部壁面部、
ここで、
前記レーザ光は、前記開口部を介して前記ワークに照射され、
前記フロートユニットは、前記レーザ光の照射領域と平面視において重なる第1の領域と、前記第1の領域から離間した第2の領域を有し、
前記第1の領域はポーラス形状を有し、
前記第1の領域中の細孔を介して、第2の不活性ガスが前記ワークに噴射される。
【0009】
また、本発明外において、第1の形態の雰囲気形成装置は、ワークをガス噴出によって浮上支持して搬送する浮上搬送装置に設けられる雰囲気形成装置であって、
前記搬送が行われる搬送経路を含む大域的な領域における大域雰囲気を形成する大域雰囲気形成部と、前記大域雰囲気内で、前記搬送経路を含む小域的な領域で前記大域雰囲気と異なる小域雰囲気を形成する小域雰囲気形成部を有し、
前記小域雰囲気形成部は、少なくとも下方から噴出される前記浮上噴出ガスの全部または一部に合わせて上方から雰囲気ガスを噴出する下方ガス噴出部を有し、
大域雰囲気は、前記浮上支持のために下方から噴出される浮上噴出ガスを雰囲気ガスの一部として含み、
小域雰囲気は、前記浮上支持のために下方から噴出される浮上噴出ガスと、下方ガス噴出部によって上方から噴出される雰囲気ガスと、を雰囲気ガスの一部として含み、
前記小域雰囲気形成部で上方から噴出される雰囲気ガスと下方から噴出される浮上噴出ガスとが、窒素または不活性ガスであり、
前記大域雰囲気形成部で下方から噴出される前記浮上噴出ガスが、空気または前記小域雰囲気における前記浮上噴出ガスよりも純度が低い同一成分のガスであることを特徴とする。
【0010】
他の形態の雰囲気形成装置は、前記形態において、前記大域雰囲気形成部は、大域的な前記領域の外から雰囲気ガスを導入する大域ガス導入部を有することを特徴とする。
【0011】
他の形態の雰囲気形成装置は、前記形態において、前記大域雰囲気を形成する大域雰囲気形成部を有し、前記大域雰囲気形成部は、大域的な前記領域の外から雰囲気ガスを導入する大域ガス導入部を有することを特徴とする。
【0012】
上記によれば、大域ガス導入部によって大域的な領域外からガスを導入して大域雰囲気における雰囲気ガスの少なくとも一部として使用することができる。
【0013】
他の形態の雰囲気形成装置は、前記形態において、前記小域雰囲気形成部は、大域的な前記領域および小域的な前記領域の外から雰囲気ガスを導入する小域ガス導入部を有することを特徴とする。
【0014】
上記によれば、少なくとも、浮上噴出ガスと下方ガス噴出部から噴出されるガスとによって、小域雰囲気が形成される。また、浮上噴出ガスと下方ガス噴出部から噴出されるガスがバランスした位置でワークを移動させれば、ワークの搬送によるガスの乱れを極力少なくすることができる。
【0015】
他の形態の雰囲気形成装置は、前記形態において、下方ガス噴出部は、下方ガス噴出部から噴出されるガスと浮上噴出ガスとの間に、ワークの搬送経路が位置するように位置付けられていることを特徴とする。
【0016】
上記によれば、下方ガス噴出部から噴出されるガスと浮上噴出ガスとの間の搬送経路上でワークが搬送されることになり、大域雰囲気および小域雰囲気中でワークを移動させることができる。
【0017】
他の形態の雰囲気形成装置は、前記形態において、前記小域雰囲気が、前記ワークの加工エリアを含む領域に形成されることを特徴とする。
【0018】
上記によれば、ワークの加工エリアを小域雰囲気内に置くことができ、所望の雰囲気で加工を行うことが可能になる。
【0019】
他の形態の雰囲気形成装置は、前記形態において、前記小域雰囲気が、前記ワークの加工エリアの搬送方向上流側の領域を含むことを特徴とする。
【0020】
上記によれば、加工エリアにワークが到着する前に、小域雰囲気でワークを覆うことができ、安定した雰囲気を加工前に得ることができる。
【0021】
他の形態の雰囲気形成装置は、前記形態において、前記小域雰囲気が、前記ワークの加工エリアの搬送方向下流側の領域を含むことを特徴とする。
【0022】
他の形態の雰囲気形成装置は、前記形態において、前記小域雰囲気形成部は、前記小域雰囲気で搬送される前記ワークの上下方向および搬送方向の両側方を覆うように形成することを特徴とする。
【0023】
他の形態の雰囲気形成装置は、前記形態において、前記前記小域雰囲気内に、前記ワークの加工エリアが位置していることを特徴とする。
【0024】
上記によれば、ワークの搬送位置に対し、ワークを上下および両側方から囲むように小域雰囲気が形成され、ワークの搬送位置に拘わらず、安定した小域雰囲気を確保することができる。
【0025】
他の形態の雰囲気形成装置は、前記形態において、前記大域的な領域と、前記小域的な領域とを、前記ワークに対する処理を行う処理室内に有することを特徴とする。
【0026】
第1の形態の浮上搬送方法は、ワークをガス噴出によって浮上支持して搬送する浮上搬送方法であって、
前記搬送が行われる搬送経路を含む大域的な領域で大域雰囲気を形成する工程と、前記大域雰囲気内で、前記搬送が行われる搬送経路を含む小域的な領域で前記大域雰囲気と異なる小域雰囲気を形成する工程と、前記大域雰囲気と前記小域雰囲気を通して前記搬送経路に沿って前記ワークを搬送する工程と、を有し、
大域雰囲気を形成する工程は、前記浮上支持のために下方から噴出される浮上噴出ガスを雰囲気ガスの一部として含み、
小域雰囲気を形成する工程は、前記浮上支持のために下方から噴出される浮上噴出ガスと、少なくとも下方から噴出される前記浮上噴出ガスの全部または一部に合わせて上方から噴出される雰囲気ガスと、を雰囲気ガスの一部として含み、
前記小域雰囲気を形成する工程で、上方から噴出される前記雰囲気ガスと、下方から噴出される前記浮上噴出ガスが、窒素または不活性ガスであり、
前記大域雰囲気を形成する工程で、下方から噴出される前記浮上噴出ガスが、空気または前記小域雰囲気における前記浮上噴出ガスよりも純度が低い同一成分のガスであることを特徴とする。
【0027】
他の形態の浮上搬送方法は、前記形態において、前記大域的な領域で前記大域雰囲気を形成する工程を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
すなわち、本発明によれば、ワークを浮上させてレーザ光を照射することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】大域雰囲気と小域雰囲気とを説明する図である。
図2】同じく、本発明の一実施形態のレーザ処理装置を示す図である。
図3】同じく、本発明の他の実施形態のレーザ処理装置を示す図である。
図4】同じく、本発明のさらに他の実施形態のレーザ処理装置を示す図である。
図5】従来のレーザ処理装置の概略を示す図であり、A図は、レーザ照射部50の下方にガラス基板が進入して不活性ガスを不活性ガス噴出部51から噴出してレーザ照射時にガラス基板100上から空気を取り除くようにした状態を示し、B図は、レーザ照射部50の下方からガラス基板が外れている状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、レーザ処理装置の平面を示す図であり、処理室1内に、大域的な雰囲気である大域雰囲気Aと、局所的な雰囲気である小域雰囲気Bとが形成されている。
【0031】
(実施形態1)
実施形態1では、大域的な雰囲気と小域的な雰囲気が処理室内で形成されているものとして説明するが、本発明としてはこれら雰囲気が処理室内に限られるものではない。また、図1では、処理室1が密閉した空間で示されているが、処理室1内で大域的な雰囲気と小域的な雰囲気とを形成する場合、処理室が密閉空間であるものに限定されず、ワークが連続して処理室内に搬送される構成を有するものであってもよい。この場合、処理室に開閉自在な扉やカーテンなどを設けるようにしてもよく、大域雰囲気を構成する雰囲気ガスを、大域領域に連続して、また適宜時期に導入することで雰囲気を維持することができる。
上記雰囲気は、以下の雰囲気形成装置で形成される。
【0032】
図2に示されるように、実施形態1におけるレーザ処理装置2では、ガラス基板100を搬送するために、外部より供給された圧縮流体を噴出するためのフロートユニット3を多数配置している。なお、ガラス基板100は、本発明のワークに相当する。本発明のワークがガラス基板に限定されるものではない。
ここで、フロートユニット3は、ポーラス形状や穴、溝などにより形成しており、圧縮流体を注入すると、ユニット上面より当該流体を噴出する。当該フロートユニット3から供給された流体により、ガラス基板100は下面に流体力を受け、フロートユニット3から離れたある一定の高さにおいて、浮上・非接触支持される。この支持位置に沿った経路が、本発明の搬送経路となる。ガラス基板100の搬送は、本発明とは別機構で図示しない搬送機構によって、ガラス基板100の一部を把持した状態で、フロートユニット3上に沿って移動するように行われる。なお、搬送機構の構成はこれに限定されるものではなく、要は、浮上したガラス基板を搬送できるものであればよい。
【0033】
実施形態1では、加工エリアWを有しており、加工エリアWの上方側にレーザ照射部5が設けられている。レーザ照射部5は、加工処理をするガラス基板100の搬送方向側方の形状に合わせた大きさを有しており、図示しないレーザ光源から出力されて所定の形状に整形されたレーザがガラス基板100に向けて照射される。また、レーザ照射部5付近では、レーザ照射部5の下面に、フロートユニットとは別の窒素噴出部6を有している。窒素噴出部6は、窒素を下方に噴出するとともに、前記レーザが下方に透過することができる。窒素噴出部6は、本発明の下方ガス噴出部に相当する。
この実施形態1では、レーザ光は、ラインビーム形状に整形されてラインビームのライン方向が搬送方向と交差するようにしてガラス基板100に照射される。また、窒素噴出部6は、ラインビームの形状に沿ってライン状に窒素が噴出される。
【0034】
レーザ照射部5と窒素噴出部6の下面でかつ周辺に、上部壁面部7を設置する。その間で、ガラス基板100が移動方向Dに沿って移動することで、ガラス基板100の有無によるガスの流れを僅かなものにする。上部壁面部7は、ラインビーム形状に合わせて搬送方向と直交する方向にも伸長している。
【0035】
上部壁面部7に対応する位置のフロートユニット3では、窒素ガスを上方に噴出するフロートユニット3Bで構成されており、その外側のフロートユニット3では、エアーを上方に噴出するフロートユニット3Aで構成されている。すなわち、フロートユニット3は、フロートユニット3Aとフロートユニット3Bを総称するものである。
【0036】
レーザ照射部5にある窒素噴出部6は、外部の窒素導入部21より供給された窒素を噴出して、窒素噴出部6内部の構造により乱れのない流れとして、当該窒素噴出部6よりガラス基板100上面に噴出される。噴出された窒素は、ガラス基板100上面と上部壁面部7の隙間に沿ってガラス基板100外側へ流れ出る。窒素導入部は、本発明の一形態の小域ガス導入部に相当する。
【0037】
また、ガラス基板100下面は、フロートユニット3Bより噴出する窒素により、浮上・非接触支持しており、ガラス基板100下面も上面と同様に窒素で充満している。フロートユニット3Bから噴出される噴出窒素は、本発明の浮上噴出ガスに相当する。
以上より、レーザ照射部5付近では、窒素噴出部6および上部壁面部7によって、窒素噴出部6から噴出されている窒素が、少なくともフロートユニット3Bの噴出窒素の全部または一部に合わせるように位置して窒素が充満するため、局所的な窒素雰囲気、すなわち小域雰囲気Bを形成・維持することができる。小域雰囲気Bは、ガラス基板100に対し、上方、下方および両側方を覆うようにして形成され、加工エリアWは、小域雰囲気B内に位置している。
すなわち、フロートユニット3B、窒素噴出部6および上部壁面部7は、本発明の小域雰囲気形成部を構成する。
【0038】
この実施形態では、ガラス基板100がレーザ照射部5下にない場合でも、上下面からの窒素噴出により、窒素雰囲気が形成される。ガラス基板100がレーザ照射部5下にない場合、ガラス基板100による窒素の広がりがないため、小域雰囲気は、ガラス基板がレーザ照射部5下にある場合よりも狭い範囲となるが、加工エリアWおよびその周囲を覆う大きさで確保されている。
なお、小域雰囲気は、ガラス基板搬送の際に常時形成されているものでなくてもよく、少なくとも、ガラス基板100が移動方向Dに搬送されて、小域雰囲気Bを形成する領域に至るまでに、または、加工エリアWに至るまでに形成されていればよい。
【0039】
また、大域領域では、空気による大域雰囲気Aが形成されており、大域雰囲気Aでは、大域領域外部のエアー導入部20から導入された清浄化した空気を用いてもよく、大気中の空気をそのまま用いてもよい。エアー導入部20は、本発明の一形態における大域ガス導入部に相当する。
さらに、大域雰囲気Aとなる大域領域では、フロートユニット3Aから上方に噴出される噴出エアーが加わって雰囲気が形成される。噴出エアーは、本発明の一形態における浮上噴出ガスに相当する。
【0040】
なお、本実施形態では、圧縮空気によりガラス基板100を浮上させ、レーザ照射部5付近では不活性ガスとして窒素を噴出しているが、これらの流体の組み合わせはこの限りではなく、レーザ照射に用いられる全ての流体に適用される。また、例えば、大域雰囲気と小域雰囲気で同成分のガスを用い、大域雰囲気と小域雰囲気とで互いに純度の異なるガスを用いるようにしてもよい。その場合、小域雰囲気で純度の高い不活性ガスを用いるのが好ましい。
また、本実施形態は、図2示手前および奥行方向にも同様の機構となっており、これにより、小域雰囲気Bにガラス基板100が到達すると、ガラス基板100の上方、下方および両側方から雰囲気ガスによりガラス基板100が覆われる。また、少なくとも窒素噴出部6のガスの噴出範囲および上面壁面部7では、加工エリアWよりも搬送方向直角方向に対し外側に位置するのが望ましく、フロートユニット3Bのガス噴出範囲を加工エリアWよりも同じく外側に位置するのが望ましい。
【0041】
(実施形態2)
次に、実施形態2の概略図を図3に示す。なお、実施形態1と同様の構成については同一の符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
本実施形態に示されるレーザ処理装置2Aでは、ガラス基板100を搬送するために、外部より供給された圧縮流体を噴出するためのフロートユニット3を搬送経路の下方側に多数配置している。ここで、フロートユニット3は、ポーラス形状や穴、溝などにより形成しており、圧縮流体を注入すると、ユニット上面より当該流体を噴出する。当該フロートユニット3から供給された流体により、ガラス基板100は下面に流体力を受け、フロートユニット100から離れたある一定の高さにおいて、浮上・非接触支持される。この支持位置に沿った経路が、本発明の搬送経路となる。ガラス基板100の搬送は、本発明とは別機構で図示しない搬送機構によって、ガラス基板100の一部を把持した状態で、フロートユニット3上に沿って移動するように行われる。
【0042】
レーザ処理装置2Aは、加工エリアWを有しており、加工エリアWの上方側にレーザ照射部5が設けられている。レーザ照射部5は、加工処理をするガラス基板100の搬送方向側方の形状に合わせた大きさを有しており、図示しないレーザ光源から出力されて所定の形状に整形されたレーザがガラス基板100に向けて照射される。また、レーザ照射部5付近では、レーザ照射部5の下面に、フロートユニットとは別の窒素噴出部6を有している。窒素噴出部6は、窒素を下方に噴出するとともに、前記レーザ光が下方に透過する。
【0043】
さらに、窒素噴出部6の両側方側には、下部のフロートユニット3と同程度の性能を有し、下面側に窒素を噴出する窒素下方噴出部8を有している。窒素下方噴出部8は、ラインビーム形状に従って、搬送方向と交差する方向に沿っても同様に配置されている。窒素下方噴出部8は、本発明の一形態における下方ガス噴出部に相当する。
窒素下方噴出部8に対応する位置のフロートユニット3は、窒素ガスを上方に噴出するフロートユニット3Bで構成されており、その外側のフロートユニット3では、エアーを上方に噴出するフロートユニット3Aで構成されている。すなわち、フロートユニット3は、フロートユニット3Aとフロートユニット3Bを総称するものである。
【0044】
レーザ照射部5にある窒素噴出部6は、外部の窒素導入部21より供給された窒素を噴出して、窒素噴出部6内部の構造により乱れのない流れとして、当該窒素噴出部6よりガラス基板100上面に噴出される。また、窒素下方噴出部8は、外部の窒素導入部21より供給された窒素を、鉛直下向きに噴出して、ガラス基板100上面に噴出される。窒素噴出部6と窒素下方噴出部8から噴出された窒素は、ガラス基板100上面と窒素下方噴出部6の隙間に沿ってガラス基板外側へ流れ出る。
【0045】
また、ガラス基板100下面は、フロートユニット3Bより噴出する窒素により、浮上・非接触支持している。ガラス基板100下面も上面と同様に窒素で充満している。
以上より、レーザ照射部5付近では、窒素噴出部6と窒素下方噴出部8から噴出される窒素が、少なくともフロートユニット3Bの噴出窒素の全部または一部に合わせるように位置して窒素が充満するため、局所的な窒素雰囲気、すなわち小域雰囲気Bを生成・維持することができる。
すなわち、フロートユニット3B、窒素噴出部6および窒素下方噴出部8は、本発明の小域雰囲気形成部を構成する。
【0046】
また、ガラス基板100がレーザ照射部5下にない場合でも、上下面からの窒素噴出により、窒素雰囲気が形成される。この実施形態では、窒素下方噴出部8によって直下に窒素が噴出されており、ガラス基板100の有無に拘わらず、小域雰囲気は確保されている。小域雰囲気Bは、ガラス基板100に対し、上方、下方および両側方を覆うようにして形成され、加工エリアWは、小域雰囲気B内に位置している。
【0047】
なお、小域雰囲気は、ガラス基板搬送の際に常時形成されているものでなくてもよく、少なくとも、移動方向Dによってガラス基板100が小域雰囲気Bを形成する領域に至るまでに、または、加工領域に至るまでに形成されていればよい。
【0048】
また、大域領域では、空気による大域雰囲気Aが形成されており、大域雰囲気Aでは、エアー導入部20から導入された清浄化した空気を用いてもよく、大気中の空気をそのまま用いてもよい。
さらに、大域雰囲気Aとなる大域領域では、フロートユニット3Aが上方に噴出される噴出エアーが加わって雰囲気が形成される。
【0049】
なお、本実施形態では、圧縮空気によりガラス基板100を浮上させ、レーザ照射部5付近では不活性ガスとして窒素を噴出しているが、これらの流体の組み合わせはこの限りではなく、レーザ照射に用いられる全ての流体に適用される。また、例えば、大域雰囲気と小域雰囲気で同種類のガスを用い、純度の異なるガスを用いるようにしてもよい。その場合、小域雰囲気で純度の高い不活性ガスを用いるのが好ましい。
【0050】
また、本実施形態は、図3示手前および奥行方向にも同様の機構となっており、これにより、小域雰囲気Bにガラス基板100が到達すると、ガラス基板100の上方、下方および両側方から雰囲気ガスによりガラス基板100が覆われる。また、少なくとも窒素噴出部6のガスの噴出範囲および上面壁面部7では、加工エリアWよりも搬送方向直角方向に対し外側に位置するのが望ましく、フロートユニット3Bのガス噴出範囲を加工エリアWよりも同じく外側に位置するのが望ましい。
【0051】
(実施形態3)
次に、実施形態3の概略図を図4に示す。なお、実施形態1と同様の構成については同一の符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
本実施形態に示されるレーザ処理装置2Bでは、ガラス基板100を搬送するために、外部より供給された圧縮流体を噴出するためのフロートユニット3を搬送経路の下方側に多数配置している。ここで、フロートユニット3は、ポーラス形状や穴、溝などにより形成しており、圧縮流体を注入すると、ユニット上面より当該流体を噴出する。当該フロートユニット3から供給された流体により、ガラス基板100は下面に流体力を受け、フロートユニット100から離れたある一定の高さにおいて、浮上・非接触支持される。この支持位置に沿った経路が、本発明の搬送経路となる。ガラス基板100の搬送は、本発明とは別機構で図示しない搬送機構によって、ガラス基板100の一部を把持した状態で、フロートユニット3上に沿って移動するように行われる。
【0052】
レーザ処理装置2Bは、加工エリアWを有しており、加工エリアWの上方側にレーザ照射部5が設けられている。レーザ照射部5は、加工処理をするガラス基板100の搬送方向側方の形状に合わせた大きさを有しており、図示しないレーザ光源から出力されて所定の形状に整形されたレーザがガラス基板100に向けて照射される。また、レーザ照射部5付近では、レーザ照射部5の下面に、フロートユニットとは別の窒素噴出部6を有している。窒素噴出部6は、窒素を下方に噴出するとともに、前記レーザ光が下方に透過する。
【0053】
さらに、窒素噴出部6の両側方側には、下部のフロートユニット3と同程度の性能を有し、下面側であって加工エリアWを基準にして搬送方向前後で外側(斜め方向)に窒素を噴出するように斜めに設置された窒素下方噴出部9を有している。窒素下方噴出部9は、本発明の一形態における下方ガス噴出部に相当する。
窒素下方噴出部9に対応する位置のフロートユニット3は、窒素ガスを上方に噴出するフロートユニット3Bで構成されており、その外側のフロートユニット3では、エアーを上方に噴出するフロートユニット3Aで構成されている。すなわち、フロートユニット3は、フロートユニット3Aとフロートユニット3Bを総称するものである。
【0054】
レーザ照射部5にある窒素噴出部6は、外部の窒素導入部21より供給された窒素を噴出して、窒素噴出部6内部の構造により乱れのない流れとして、当該窒素噴出部6よりガラス基板100上面に噴出される。また、窒素下方噴出部9は、外部の窒素導入部21より供給された窒素を、下向きで加工エリアWを基準にして斜め外側に噴出して、ガラス基板100上面に噴出される。窒素噴出部6と窒素下方噴出部9から噴出された窒素は、ガラス基板100上面と窒素下方噴出部6の隙間に沿ってガラス基板100の外側へ流れ出る。
【0055】
また、窒素下方噴出部9での窒素噴出の詳細を説明する。
図4に示すように、ガラス基板100が図示左側より加工エリアWに進入するとき、窒素下方噴出部9はガラス基板100の進行方向Dに対して反対側へ窒素を噴出する。このため、ガラス基板100に対しては、早期に窒素が十分に供給される。ガラス基板100が加工エリアWへ進入後、加工エリアWに対して図示右側の窒素下方噴出部9はガラス基板の進行方向と同方向に窒素を噴出する。
【0056】
窒素噴出部6と窒素下方噴出部9から噴出された窒素は、ガラス基板上面と窒素噴出部3の隙間に沿ってガラス基板100の外側へ流れ出る。
また、ガラス基板100下面は、フロートユニット3Bより噴出する窒素により、浮上・非接触支持している。ガラス基板100下面も上面と同様に窒素で充満している。
以上より、レーザ照射部5付近では、窒素噴出部6と窒素下方噴出部9から噴出される窒素が、少なくともフロートユニット3Bの噴出窒素の全部または一部に合わせるように位置して窒素が充満するため、局所的な窒素雰囲気、すなわち小域雰囲気Bを生成・維持することができる。
すなわち、フロートユニット3B、窒素噴出部6および窒素下方噴出部9は、本発明の小域雰囲気形成部を構成する。
【0057】
ガラス基板100がレーザ照射部5下にない場合でも、上下面からの窒素噴出により、窒素雰囲気が形成される。この実施形態では、窒素下方噴出部9によって直下に窒素が噴出されており、ガラス基板100の有無に拘わらず、小域雰囲気が確保されており、窒素下方噴出部9によって斜め方向に窒素が噴出されるため、ガラス基板100は、早期に窒素に接触する。小域雰囲気Bは、ガラス基板100に対し、上方、下方および両側方を覆うようにして形成され、加工エリアWは、小域雰囲気B内に位置している。
なお、小域雰囲気は、ガラス基板搬送の際に常時形成されているものでなくてもよく、少なくとも、移動方向Dによってガラス基板100が小域雰囲気Bを形成する領域に至るまでに、または、加工領域に至るまでに形成されていればよい。
【0058】
また、大域領域では、空気による大域雰囲気Aが形成されており、大域雰囲気Aでは、大域領域外部から導入された清浄化した空気を用いてもよく、大気雰囲気中の空気を用いてもよい。
さらに、大域雰囲気Aとなる大域領域では、フロートユニット3Aが上方に噴出される噴出エアーが加わって雰囲気が形成される。
【0059】
本実施形態では、圧縮空気によりガラス基板を浮上させ、レーザ照射部付近では不活性ガスとして窒素を噴出しているが、これらの流体の組み合わせはこの限りではなく、レーザ照射に用いられる全ての流体に適用される。
また、本実施形態は、図4示手前および奥行方向にも同様の機構となっており、これにより、小域雰囲気Bにガラス基板100が到達すると、ガラス基板100の上方、下方および両側方から雰囲気ガスによりガラス基板100が覆われる。また、少なくとも窒素噴出部6のガスの噴出範囲および上面壁面部7では、加工エリアWよりも搬送方向直角方向に対し外側に位置するのが望ましく、フロートユニット3Bのガス噴出範囲を加工エリアWよりも同じく外側に位置するのが望ましい。
【0060】
なお、上記各実施形態では、ガラス基板をワークとして浮上搬送させ、レーザ処理を行うものを対象として説明したが、ワークがガラス基板に限られるものではなく、また、加工の処理がレーザ処理に限定されるものではない。さらに、加工の有無によって限定されるものではない。
【0061】
以上、本発明について上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の説明に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りは適宜の変更が可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 処理室
2 レーザ処理装置
2A レーザ処理装置
2B レーザ処理装置
3 フロートユニット
3A フロートユニット
3B フロートユニット
5 レーザ照射部
6 窒素噴出部
7 上部壁面部
8 窒素下方噴出部
9 窒素下方噴出部
20 エアー導入部
21 窒素導入部
100 ガラス基板
A 大域雰囲気
B 小域雰囲気
D 進行方向
図1
図2
図3
図4
図5