(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
平板を折り曲げることによって形成される組立箱において、前記平板は、底面板と、前記底面板の第1辺に連接された第1側板と、前記第1辺に隣接する前記底面板の第2辺に連接された第2側板から構成され、前記第1側板は第1切込を有する係止片を備え、前記第2側板は前記係止片を係止するための前記第1切込と略同一の傾斜角度をもった第2切込を有し、前記組立箱は前記第1切込と前記第2切込が係合することで、前記係止片と前記第2切込の結合状態が保持されている組立箱であって、
前記組立箱の外側で前記第1切込の上片と前記第2切込の下片が当接し、前記組立箱の内側で前記第1切込の下片と前記第2切込の上片が当接することにより、前記第2側板の内側への倒れ込みおよび前記係止片の抜けが防止されており、
前記係止片は、前記第1切込の端部周辺に前記係止片の抜けを防止するための第3切込が設けられていることを特徴とする組立箱。
平板を折り曲げることによって形成される組立箱において、前記平板は、底面板と、前記底面板の第1辺に連接された第1側板と、前記第1辺に隣接する前記底面板の第2辺に連接された第2側板から構成され、前記第1側板は第1切込を有する係止片を備え、前記第2側板は前記係止片を係止するための前記第1切込と略同一の傾斜角度をもった第2切込を有し、前記組立箱は前記第1切込と前記第2切込が係合することで、前記係止片と前記第2切込の結合状態が保持されている組立箱であって、
前記係止片は、前記第2側板と略同一の幅で形成された前記第1側板に連接する補強部を備え、
前記第2側板はさらに前記補強部の端部と略同一の傾斜角度をもった第4切込を有し、前記組立箱の外側で前記第4切込と前記補強部の端部が当接し、前記組立箱の内側で前記第1切込と前記第2切込の上片が当接することにより、前記第2側板の内側への倒れ込みおよび前記係止片の抜けが防止されていることを特徴とする組立箱。
前記第2切込は、上端部が前記第1切込の傾斜角度と略同じ角度をもった斜め直線状部分を有し、下端部は前記底面板の第2辺と垂直な直線形状で形成され、前記第2辺まで伸張していることを特徴とする請求項1または2記載の組立箱。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の包装用箱に関しては、組立箱の側面同士の結合構造において、側面に設けられた係止片を切込みに差し込むだけの構造であるため、組立箱内の収納物が振動や衝撃により移動した等の理由で組立箱の内側面から外側へ力が加わった場合、係止片が切り込みから外れてしまい組立箱が分解してしまうことや、組立箱の外側から内側へ力が加わった場合、側面が内側に倒れてしまい組立箱が破損してしまう等の問題が発生する。
また、特許文献2の容器コーナー部の結合構造に関しては、係止舌片に設けられた切り込みが係止溝の一端に嵌まり込んで係止されるものの、係止溝になんら工夫がなされていないため、切り込みと係止溝の一端との結合が弱く、組立箱に強い衝撃が加えられると係止舌片から係止溝が抜け出てしまう。
また、耐久性や形状安定性を高めるためには、係止片が切り込みから外れないように工夫することに加えて、組立箱の側面同士の結合構造周辺や角部の強度に関しても考慮し、組立箱自体が潰れないように工夫する必要があるが、特許文献1の包装用箱および特許文献2の容器コーナー部の結合構造は、結合構造周辺や角部の強度に関してはなんら考慮されていない。
【0006】
そこで本発明の目的は、平板を折り曲げることにより形成される組立箱において、組立箱の内側や外側から力が加えられた場合でも確実に側面同士の結合状態を保持することが可能で、組立箱を積み上げたとしても潰れることのない耐久性および形状安定性を備えた組立箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、平板を折り曲げることによって形成される組立箱において、前記平板は、底面板と、前記底面板の第1辺に連接された第1側板と、前記第1辺に隣接する前記底面板の第2辺に連接された第2側板から構成され、前記第1側板は第1切込を有する係止片を備え、前記第2側板は前記係止片を係止するための前記第1切込と略同一の傾斜角度をもった第2切込を有し、前記組立箱は前記第1切込と前記第2切込が係合することで、前記係止片と前記第2切込の結合状態が保持されていることを特徴とする。
また本発明の組立箱は、前記組立箱の外側で前記第1切込の上片と前記第2切込の下片が当接し、前記組立箱の内側で前記第1切込の下片と前記第2切込の上片が当接することにより、前記第2側板の内側への倒れ込みおよび前記係止片の抜けが防止されていることを特徴とする。
本発明によれば、係止片を第2切込に差し込んだ際に係止片に備えられた第1切込と第2側板の第2切込とが係合することで、第1側板(係止片)と第2側板(第2切込)が結合して、組立箱を形成する。係止片を第2切込に差し込むと、係止片に備えられた第1切込が開口し、第1切込の上片と第2切込の下片が組立箱の外側において当接し、第1切込の下片と第2切込の上片が組立箱の内側において当接して、係止めされる。第1切込の傾斜角度と第2切込の傾斜角度が傾斜角度θで略同一となっているため、内側または外側から第2側板に対して力が加えられたとしても比較広い範囲で第1切込の上下片および第2切込の上下片が各々当接し、係止片が深く挿入されて第1側板が内側に倒れ込んでしまうといった問題や、係止片が第2切込から抜け出てしまい、第1側板が外側に倒れ込んで組立箱が分解しまうといった問題を回避することができる。
このように、確実に係止片と第2切込の結合状態を保持することができ、形状安定性を備えた組立箱を提供することが可能となる。
【0008】
本発明の組立箱は、前記係止片の前記第1切込の端部周辺に前記係止片の抜けを防止するための第3切込が設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、係止片を第2切込に差し込んでいくと、第3切込が押し開かれ、第3切込が第2切込の下片を挟み込み、第1切込の上片と第2切込の下片が重なり合って確実に固定される。
第3切込に第2切込の下片が嵌合し、第3切込によって係止片が深く挿入されることを避けることが可能となる。
【0009】
本発明の組立箱は、前記第2切込の上端部が前記第1切込の傾斜角度と略同じ角度で傾斜し、下端部は前記底面板の第2辺と垂直な直線形状で形成され、前記第2辺まで伸張していることを特徴とする。
本発明によれば、第2切込の上端は上方から下方に向かって直線状に傾斜角度θで傾斜し、第2切込の下端は第2切込の上端から連続して円弧状に形成され、その先は第2辺に向かって直線状に第2辺まで伸張している。このように第2切込は全体がくの字形状をなしているため、直線状の切込と比較すると小さな力を加えるだけで第2切込を大きく開口させることが可能となる。よって、より簡単に係止片を第2切込に挿入および取り外し可能で、組立箱の組み立て、分解を容易に行うことができ作業性を向上することが可能となる。
【0010】
本発明の組立箱は、前記係止片の左端が突出した円弧形状であることを特徴とする。
本発明によれば、係止片の左端が突出した円弧形状をなしているため、より簡単に係止片を第2切込に挿入および取り外し可能で、組立箱の組み立て、分解を容易に行うことができる。
【0011】
本発明の組立箱は、前記係止片が前記第2側板と略同一の幅で形成された前記第1側板に連接する補強部を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、係止片を第2切込に差し込むと、係止片の補強部が第2側板の端部に重なって、組立箱の角部全体を覆った状態となる。このように、組立箱を組み立てた際に、組立箱の角部において第2側板と係止片の補強部が重なり合って二重に形成されるため、組立箱を積み上げたとしても潰れることのない耐久性および形状安定性を備えた組立箱を提供することが可能となる。
【0012】
本発明の組立箱は、前記第2側板がさらに前記補強部の端部と略同一の傾斜角度をもった第4切込を有し、前記組立箱の外側で前記第4切込と前記補強部の端部が当接し、前記組立箱の内側で前記第1切込と前記第2切込の上片が当接することにより、前記第2側板の内側への倒れ込みおよび前記係止片の抜けが防止されていることを特徴とする。
本発明によれば、係止片を第2切込に差し込んだ際に係止片に備えられた第1切込と第2側板の第2切込とが係合し、さらに第2側板に設けられた第4切込と補強部が係合することで、組立箱を形成する。係止片を第2切込に差し込むと、係止片に備えられた第1切込の上部と第2切込の下片が組立箱の内側において当接し、組立箱の外側面で第4切込と補強部の端部が当接して、係止めされる。第1切込の上部の傾斜角度と第2切込の傾斜角度が傾斜角度θで略同一となっており、かつ第4切込の傾斜角度と補強部の端部の傾斜角度が傾斜角度αで略同一となっているため、第1切込の上部と第2切込の上片が当接し、第4切込に補強部の端部が引っかかることで固定され、内側または外側から第2側板に対して力が加えられたとしても係止片が深く挿入されて第1側板が内側に倒れ込んでしまうといった問題や、係止片が第2切込から抜け出てしまい、第1側板が外側に倒れ込んで組立箱が分解しまうといった問題を回避することができる。
このように、係止片と第2切込の結合状態および補強部と第4切込の結合状態を保持することができ、形状安定性を備えた組立箱を提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、係止片を第2切込に差し込んだ際に係止片に備えられた傾斜角度が略同一の第1切込と第2側板の第2切込とが係合することで、組立箱の内側や外側から力が加えられた場合でも確実に側面同士の結合状態を保持することが可能で、形状安定性を備えた組立箱を提供することが可能となる。
また本発明によれば、傾斜角度が同一の第4切込と補強部の端部が係合することで、さらに壊れにくい丈夫な組立箱を提供することが可能となる。
そして本発明によれば、第2切込の形状をくの字とすることや係止片の左端を円弧形状とすることで、より簡単に組立箱の組み立て、分解を容易に行うことができ作業性を向上することが可能となる。
また本発明によれば、負荷がかかりやすい組立箱の角部を係止片によって補強することで、組立箱を積み上げたとしても潰れることのない耐久性を備えた組立箱を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための一形態について図面を引用しながら説明する。
【0016】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施形態の組立箱100を示す斜視図であり、
図2は、上記実施形態の組立箱100を示す展開図である。
図3は、上記実施形態の組立箱100の結合位置を示すA拡大図である。
【0017】
本実施の形態の組立箱100は、段ボール、厚紙、薄紙、合成紙、合成樹脂シート等の平板101を折り曲げることによって形成される組み立て式の箱である。
平板101は、平面状の板を打ち抜いて形成されたものであり、その形状は左右対称であって、底面板10と、第1側板20と、第2側板30から構成される。
底面板10は、平板101を組み立てた際に組立箱100の底面となる矩形状の板であり、底面板10の紙面上左右端(
図2)に位置する一対の第1辺10a,10aと、紙面上上下端(
図2)に位置し、第1辺10aに隣接した一対の第2辺10b,10bを備える。
紙面上左右端には、第1辺10a,10aを介して第1側板20,20が連接され、紙面上上下端には、第2辺10b,10bを介して第2側板30,30が連接されている。
また、第1辺10a,10aと第2辺10b,10bは、組立箱100を組み立てる際に底面板10から第1側板20と第2側板30を起立させるための折曲線となっている。
【0018】
ここで、左右端とは、平板101におけるX軸負方向側の端部である左端とX軸正方向側の端部である右端を指し、左右(左右方向)とはX軸方向を指す(
図2)。
また上下端とは、平板101におけるY軸負方向側の端部である下端とY軸正方向側の端部である上端を指し、上下(上下方向)とはY軸方向を指す(
図2)。
また本明細書においては複数設けられた第2側板および係止片のうち、上端に設けられた第2側板および右上端に設けられた係止片に関して説明を行う。その他の第2側板および係止片は平板101の中心を基準として対称に設けられており形状は同様であるため説明を割愛する。
【0019】
第2側板30は、平板101を組み立てた際に組立箱100の正面および背面となる側板であり、第2側板30の紙面上左右位置(
図2)に一対の第2切込32,32が設けられている。
第2切込32,32は、係止片21を差し込むことで確実に第1側板20と第2側板30の端部同士を係止するための切れ込みで、第2側板30に線状の切れ込みを打抜機等で打ち抜くことで形成され、第2切込上部321と第2切込下部322から構成され、第2切込32全体はくの字形状をなしている。
第2切込上部321は、第2切込32の上端部であって、紙面上上方(
図3)から下方に向かって直線状に傾斜し、第2辺10bを基準として、傾斜角度θで傾斜している。
第2切込下部322は、第2切込32の下端部であって、第2切込上部321から連続して形成され、第2切込下部322の上端は第2切込上部321の下端から連続して緩やかに円弧状をなし、第2切込下部322の下端は、第2辺10bに向かって直線状に第2辺10bと垂直となるように形成され、第2辺10bまで伸張している。
ここで、便宜上、第2切込32を介して第2側板30の上方側を第2切込上片(第2切込の上片)32aとし、第2側板30の下方側を第2切込下片(第2切込の下片)32bとする。
【0020】
第1側板20は、平板101を組み立てた際に組立箱100の右側面および左側面となる矩形状の側板であり、第1側板20の紙面上上下端(
図2)に折曲線22,22を介して一対の係止片21,21が設けられている。
係止片21,21は、第2切込32に差し込むことで確実に第1側板20と第2側板30の端部同士を係止するためのもので、折曲線22,22を介して連接された補強部211と、補強部211から連続して形成された差込部212と、差込部212に設けられた第1切込213と、第1切込213の端部周辺に設けられた第3切込214から構成される。
補強部211は、第1側板20と第2側板30を起立させて端部同士を係止する際に組立箱100の結合構造周辺(係止箇所)および角部の強度を補うための部材であり、第2側板30と略同一の幅で形成される。第1側板20と第2側板30を起立させ、第1側板20の係止片21を第2側板30側に折り曲げて第2切込32に差し込むと、第2側板30の端部全体を覆うように補強部211が第2側板30の端部に重なって、組立箱100の結合構造周辺(係止箇所)および角部を補強することが可能となる。
差込部212は、差込部左端2121(
図3)を第2切込32に差し込んで固定する係止部材であり、第1切込213を中心として紙面上左側(
図3)が差込部左端2121であって第2切込32に差し込まれる箇所である。右側(
図3)の外周は直角形状で、差込部左端2121は補強部211から突出した円弧形状をなす。差込部左端2121が突出した円弧形状であることにより、第2切込32に簡単に差込部左端2121を差し込むことが可能となっている。差込部212の中心位置には、第1切込213が設けられている。
第1切込213は、差込部左端2121を第2切込32に差し込んだ際に第2切込32と係合することで、係止片21と第2切込32の結合状態を適切に保持するため切り込みで、紙面上上方(
図3)から下方に向かって直線状に傾斜している。第1切込213は、第1側板20と第2側板30を起立させ、第1側板20の係止片21を第2側板30側に折り曲げて第2切込32に差し込んだ場合に第2辺10bを基準として傾斜角度θで傾斜しており、第1切込213の傾斜角度と第2切込32の傾斜角度は、傾斜角度θで略同一となって、係止片21と第2切込32が結合時、第2切込32が第1切込213と重なり合うように形成される。
第3切込214は、係止片21が第2切込32から抜け出ることを防止するために設けられた切り込みであり、第1切込213の端部周辺に直線状に形成される。
ここで、便宜上、第1切込213を介して差込部212の上方側(組立箱100を組み立てた場合の上方側)を第1切込上片(第1切込の上片)212aとし、差込部212の下方側(組立箱100を組み立てた場合の下方側)を第1切込下片(第1切込の下片)212bとする。
また上述の係止片21において、平板101に設けられた4つの係止片21のうち紙面上右上端(
図2、
図3)に設けられた係止片21を例に挙げて説明を行ったが、紙面上左上端に設けられた係止片21とは上下方向を基準として線対称であって、紙面上右下端に設けられた係止片21とは左右方向を基準として線対称であって、紙面上左下端に設けられた係止片21とは平板101の中心を基準として点対称となっている。
【0021】
図4は、上記実施形態の組立箱100の組み立て途中の状態を外方からみた場合の正面模式図であり、
図5は、上記実施形態の組立箱100の組み立て後の状態を外方からみた場合の正面模式図である。
図6は、上記実施形態の組立箱100の組み立て後の状態を内方から見た場合の正面模式図であり、
図7は、上記実施形態の組立箱100の結合位置に外側から力が加わった場合の状態を説明する説明図である。
図8は、上記実施形態の組立箱100の結合位置に内側から力が加わった場合の状態を説明する説明図である。
次に、平板101から組立箱100を形成する流れに沿って係止片21と第2切込32の結合構造を説明する。
最初に、平板101の第1辺10a,10aおよび第2辺10b,10bに設けられた折曲線で第1側板20と第2側板30を底面板10から起立させるように折り曲げる(ステップ1)。
その後、第1側板20に設けられた折曲線22によって、第2側板30側へ係止片21を折り曲げる(ステップ2)。
次に、第2側板30の紙面上上辺および下辺(
図4)をお互い近づけるように力を加えると、第2切込上片32aが前方(後方)に、第2切込下片32bが後方(前方)に断面円弧状に変形し、第2切込32が大きく開口する(ステップ3)。
そして、差込部左端2121(
図4)を上方からスライドさせるように移動させ、開口した第2切込32に差し込む(ステップ4)。
第1切込213の位置まで差込部左端2121を差し込むと、第1切込213が少し開口し、第1切込上片212aと第2切込下片32bが組立箱100の外側において当接し(
図5)、第1切込下片212bと第2切込上片32aが組立箱100の内側において当接して(
図6)、係止めされ(ステップ5)、係止片21の補強部211が第2側板30の端部に重なって、組立箱100の角部全体を覆った状態となる。
その後、第1切込213の端部に設けられた第3切込214が押し開かれ、第3切込214が第2切込下片32bを挟み込み、第1切込上片212aと第2切込下片32bが重なり合って確実に固定される(
図5)(ステップ6)。
【0022】
例えば組立箱100の外側から内側へ力が加わった場合(
図7)、第1切込上片212aと第2切込下片32bが組立箱100の外側において当接しているため、差込部左端2121が第1切込213の位置よりも深く挿入されることがなく、第1側板20が内側に倒れ込んで組立箱100が潰れてしまうといった問題を回避することができる。また、第1切込213の端部に第3切込214が設けられている場合は、さらに第3切込214に第2切込下片32bが嵌合し、第3切込214によって差込部左端2121が深く挿入されることを避けることが可能となる。
一方、組立箱100の内側から外側へ力が加わった場合(
図8)、第1切込下片212bと第2切込上片32aが組立箱100の内側において当接するため、差込部左端2121が第1切込213の位置から抜け出てしまい、第1側板20が外側に倒れ込んで組立箱100が分解しまうといった問題を回避することができる。
このように、第1切込213の傾斜角度と第2切込32の傾斜角度が傾斜角度θで略同一となっており、内外側から衝撃を加えられたとしても組立箱100の内外面で第1切込213の上下片および第2切込32の上下片が各々当接するため、第1側板20が内外側に倒れることがなく、確実に係止片21と第2切込32の結合状態を保持することができ、形状安定性を備えた組立箱100を提供することが可能となる。
【0023】
また、第2切込32が第2切込上部321と第2切込下部322から構成されたくの字形状をなしているため、直線状の切込と比較すると小さな力を加えるだけで第2切込32を大きく開口させることが可能となる。さらに、差込部左端2121が円弧形状をなしているため第2切込32に差込部左端2121を挿入しやすく、組立箱100の組み立てが簡単となる。
そして、組立箱100を組み立てた際に、組立箱100の角部において第2側板30と係止片21の補強部211が重なり合って二重に形成されるため、組立箱100を積み上げたとしても潰れることのない耐久性および形状安定性を備えた組立箱100を提供することが可能となる。
【0024】
(第2の実施の形態)
図9は、本発明の第2の実施形態の組立箱400を示す斜視図であり、
図10は、上記実施形態の組立箱400を示す展開図である。
図11は、上記実施形態の組立箱400の結合位置を示すB拡大図である。第2の実施の形態の組立箱400は、第1の実施形態の組立箱100と比較して、係止片の形状および係止方法が異なるものであり、その他の構成は同様であるため、第1の実施の形態と同様の構成に関しては、同一部分に同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0025】
本実施の形態の組立箱400は、段ボール、厚紙、薄紙、合成紙、合成樹脂シート等の平板401を折り曲げることによって形成される組み立て式の箱である。
平板401は、形状が左右対称であって、底面板10と、第1側板20と、第2側板430から構成される。
【0026】
第2側板430は、平板401を組み立てた際に組立箱400の正面および背面となる側板であり、第2側板30の紙面上左右位置(
図10)に一対の第2切込32,32と一対の第4切込433,433が設けられている。
第4切込433,433は補強部4211の端部4221aと係合するための切込線であり、点線状(ミシン目状)に形成され、第2側板430の上辺430bから傾斜角度αで傾斜して直線状に形成されている。第4切込433,433は第2切込32,32の上方に位置し、上辺430bから第2側板430の中心周辺まで伸張している。
【0027】
また第1側板20の紙面上上下端(
図10)に折曲線22,22を介して一対の係止片421,421が設けられている。
係止片421,421は、第2切込32に差し込むことで確実に第1側板20と第2側板430の端部同士を係止するためのもので、折曲線22,22を介して連接された補強部4211と、補強部4211から連続して上方に形成された差込部4212と、差込部4212と補強部4211の間に設けられた第1切込4213から構成される。
補強部4211は、第1側板20と第2側板430を起立させて端部同士を係止する際に組立箱400の係止箇所および角部の強度を補うとともに、補強部4211の端部4211aと第4切込433を係合することで第1側板20と第2側板430の結合をより強固にするための部材であり、第2側板430と略同一の幅で形成される。
また折曲線22と相対する補強部4211の端部4211aは、差込部4212を第2切込32に差し込んだ際に第4切込433と係合するために、紙面上上方(
図11)から下方に向かって直線状に傾斜している。補強部4211の端部4211aは、第1側板20と第2側板430を起立させ、第1側板20の係止片421を第2側板430側に折り曲げて第2切込32に差し込んだ場合に第2辺10bを基準として傾斜角度αで傾斜している。よって、第4切込433の傾斜角度と補強部4211の端部4211aの傾斜角度は、傾斜角度αで略同一となって、係止片421と第2切込32が結合時、第4切込433が補強部4211の端部4211aと重なり合ように形成される。
差込部4212は、第2切込32に差し込んで固定する係止部材であり、差込部4212の紙面上左側(
図11)は補強部4211から突出した円弧形状に形成され、差込部4212の紙面上右側(
図11)は直線状に傾斜しており、第1切込4213となっている。差込部の左側が突出した円弧形状であることにより、第2切込32に簡単に差込部4212を差し込むことが可能となっている。
第1切込4213は、差込部4212を第2切込32に差し込んだ際に第2切込32と係合することで、係止片421と第2切込32の結合状態を適切に保持するため切り込みで、第1側板20と第2側板430を起立させ、第1側板20の係止片421を第2側板430側に折り曲げて第2切込32に差し込んだ場合に第2辺10bを基準として傾斜角度θで傾斜しており、第1切込4213の傾斜角度と第2切込32の傾斜角度は、傾斜角度θで略同一となっている。よって、係止片421と第2切込32が結合時、第2切込32が第1切込4213と重なり合うように形成される。
また上述の係止片421において、平板401に設けられた4つの係止片421のうち紙面上右上端(
図10、
図11)に設けられた係止片421を例に挙げて説明を行ったが、紙面上左上端に設けられた係止片421とは上下方向を基準として線対称であって、紙面上右下端に設けられた係止片421とは左右方向を基準として線対称であって、紙面上左下端に設けられた係止片421とは平板401の中心を基準として点対称となっている。
【0028】
図12は、上記実施形態の組立箱400の組み立て後の状態を外方からみた場合の正面模式図であり、
図13は、上記実施形態の組立箱400の組み立て後の状態を内方から見た場合の正面模式図である。
図14は、上記実施形態の組立箱400の結合位置に内側または外側から力が加わった場合の状態を説明する説明図である。
次に、平板401から組立箱400を形成する流れに沿って係止片421と第2切込32の結合構造を説明する。
最初に、平板401の第1辺10a,10aおよび第2辺10b,10bに設けられた折曲線で第1側板20と第2側板430を底面板10から起立させるように折り曲げる(ステップ1)。
その後、第1側板20に設けられた折曲線22によって、第2側板430側へ係止片421を折り曲げる(ステップ2)。
次に、第2側板430の紙面上上辺および下辺をお互い近づけるように力を加えると、第2切込上片32aが前方(後方)に、第2切込下片32bが後方(前方)に断面円弧状に変形し、第2切込32が大きく開口する(ステップ3)。
そして、差込部4212を上方からスライドさせるように移動させ、開口した第2切込32に差し込む(ステップ4)。
第1切込4213の位置まで差込部4212を差し込むと、第1切込4213と第2切込上片32aが組立箱400の内側において当接して(
図13)、係止めされる(ステップ5)。
また、係止片421の補強部4211が第2側板430の端部に重なって、組立箱400の角部全体を覆った状態となり、補強部4211の端部4211aと第4切込433が係合する(補強部4211の端部4211aが第4切込433に引っかかるように固定される)(
図12)(ステップ6)。
【0029】
例えば組立箱400の外側から内側へ力が加わった場合(
図14)、補強部4211の端部4211aが第4切込433に引っかかるように当接しているため、差込部4212が深く挿入されることがなく、第1側板20が内側に倒れ込んで組立箱400が潰れてしまうといった問題を回避することができる。
一方、組立箱100の内側から外側へ力が加わった場合(
図14)、第1切込4213と第2切込上片32aが組立箱400の内側において当接しているため、差込部4212が第2切込から抜け出てしまい、第1側板20が外側に倒れ込んで組立箱400が分解しまうといった問題を回避することができる。
このように、第1切込4213の傾斜角度と第2切込32の傾斜角度が傾斜角度θで略同一となっており、補強部4211の端部4211aと第4切込433の傾斜角度が傾斜角度αで略同一となっているため、内外側から衝撃を加えられたとしても組立箱400の内外面で第1切込4213と第2切込32および補強部4211の端部4211aと第4切込433が当接するため、第1側板20が内外側に倒れることがなく、確実に係止片421と第2切込32の結合状態を保持することができ、形状安定性を備えた組立箱400を提供することが可能となる。
【0030】
図15は本発明の第3の実施形態の組立箱500を示す斜視図である。第3の実施の形態の組立箱500は、第1の実施形態の組立箱100、第2の実施形態の組立箱400の上部に蓋50を設けたものであり、その他の構成は第1の実施形態、第2の実施形態と同様であるため重複する説明を省略する。
組立箱500は、第1側板20または第2側板30,430の上辺1箇所に蓋50を折曲線を介して設けており、組立箱500を組み立てた際に蓋50を閉めることによって、蓋付きの組立箱500を提供することが可能となる。
【0031】
以上、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であり、本実施の形態においては、係止片21と第2切込32が側板の両端に設けられていたが、一端のみに設けられた形態でもよい。また底面板10、第1側板20および第2側板30の形状は、矩形状に限定されず、三角形やその他の多角形および台形でもよく、蓋付きの組立箱へ適用することや組立箱100を2個形成して、一方を箱に他方を蓋にする等、種々変更可能である。