(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1種または複数の薬学的に許容される賦形剤であって、糖、糖アルコール、緩衝剤、保存剤、担体、酸化防止剤、キレート剤、天然ポリマー、合成ポリマー、凍結保護剤、凍結乾燥保護剤、界面活性剤、増量剤、安定化剤またはこれらの組合せを含む、1種または複数の薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の液状医薬製剤。
前記1種または複数の薬学的に許容される賦形剤が、ポリソルベート、ポロキサマー188、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオール、ポリ(エチレングリコール)、グリセロール、プロピレングリコールまたはポリ(ビニルアルコール)である、請求項7に記載の液状医薬製剤。
前記シリンジが、加熱シリンジ、自己混合式シリンジ、オートインジェクター、プレフィルドシリンジ、またはそれらの組合せである、請求項16に記載の液状医薬製剤。
前記液状医薬製剤が、ドレイズ評点システムを使用して評価した場合、3未満の一次刺激インデックスを惹起する、請求項15から18のいずれかに記載の液状医薬製剤。
前記注射が、直径がゲージ27〜31の間の針を使用して行われ、かつ該ゲージ27の針を使用した場合、前記射出力が30N未満である、請求項15から21のいずれか一項に記載の液状医薬製剤。
【発明を実施するための形態】
【0032】
I.定義
本明細書において一般に使用される、用語「タンパク質」とは、ペプチド結合により互いに連結されて、その鎖長が少なくとも検出可能な三次元構造を生じるのに十分な、ポリペプチドを形成する、アミノ酸のポリマーを指す。約100kDaを超える分子量(kDaで表され、ここで、「Da」は「ダルトン」を表し、1kDa=1,000Daである)を有する、タンパク質は、「高分子量タンパク質」と称することができる一方、約100kDa未満の分子量を有するタンパク質は、「低分子量タンパク質」と称することができる。用語「低分子量タンパク質」は、タンパク質と見なすのに必要な少なくとも三次元の構造という要件を欠く、小さなペプチドを除外する。タンパク質の分子量は、質量分析法(例えば、ESI、MALDI)または公知のアミノ酸配列およびグリコシル化からの計算を含むがこれらに限定されない、当業者に公知の標準方法を使用して決定することができる。タンパク質は、天然に存在するかまたは天然に存在しないもの、合成によるものまたは半合成によるものとすることができる。
【0033】
「本質的に純粋なタンパク質」および「実質的に純粋なタンパク質」は、本明細書において、互換的に使用され、少なくとも約90重量%純粋なタンパク質、好ましくは少なくとも約95重量%純粋なタンパク質を含む、組成物を指す。「本質的に均一な」および「実質的に均一な」は、本明細書において、互換的に使用され、存在するタンパク質の少なくとも約90重量%、好ましくは少なくとも約95%が、モノマーと可逆性のダイマーおよびオリゴマーの会合体(非可逆性凝集体ではない)との組合せである、組成物を指す。
【0034】
本明細書において一般に使用される、用語「抗体」は、mAb(免疫グロブリンFc領域を有する完全長抗体を含む)、ポリエピトープ特異性(polyepitopic specificity)を有する抗体組成物、二重特異的抗体、ダイアボディー(diabody)および単鎖抗体分子、ならびに抗体断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2およびFv)、単一ドメイン抗体、多価単一ドメイン抗体、Fab融合タンパク質、およびそれらの融合体に幅広く及ぶ。
【0035】
本明細書において一般に使用される、用語「モノクローナル抗体」または「mAb」とは、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、該集団を構成する個々の抗体が、微量に存在する場合がある考えられる天然に存在する変異を除くと、同一である。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一エピトープを対象とする。これらは、例えば、Kohlerら(Nature 256巻:495頁、1975年)により記載されているハイブリドーマ細胞を培養することにより、通常、合成されるか、または組換えDNA方法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照されたい)により作製され得るか、またはClacksonら(Nature 352巻:624〜628頁、1991年)およびMarksら(J.Mol. Biol. 222巻:581〜597頁、1991年)において記載されている技法を使用して、ファージ抗体ライブラリーから単離され得る。本明細書で使用する場合、「mAb」は、具体的に、誘導体化抗体、抗体−薬物コンジュゲート、および「キメラ」抗体(重鎖および/または軽鎖の一部分が、特定の種から誘導される抗体中または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体中の、対応する配列と同一または相同性である一方、該鎖(複数可)の残りが、別の種から誘導される抗体中または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体中の、対応する配列と同一または相同性である)、ならびにこうした抗体の断片が、所望の生物活性を示す限り、それらを含む(米国特許第4,816,567号、Morrisonら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81巻:6851〜6855頁、1984年)。
【0036】
「抗体断片」は、抗原の結合、および/またはインタクトな抗体の可変領域を含めた、該インタクトな抗体の一部分を含む。抗体断片の例には、Fab、Fab’、F(ab’)2およびFv断片;ダイアボディー;線状抗体(米国特許第5,641,870号;Zapataら、Protein Eng. 8巻:1057〜1062頁、1995年を参照されたい);単鎖抗体分子;多価単一ドメイン抗体;および抗体断片から形成される、多重特異的抗体が含まれる。
【0037】
非ヒト(例えば、ネズミ)抗体の「ヒト化」形態は、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖、またはほとんどがヒト配列のそれらの断片(Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2または抗体の別の抗原結合サブ配列など)であり、これらは、非ヒト免疫グロブリンに由来する、最少配列を含有する(例えば、Jonesら、Nature 321巻:522〜525頁、1986年;Reichmannら、Nature 332巻:323〜329頁、1988年、およびPresta、Curr. Op. Struct. Biol. 2巻:593〜596頁、1992年を参照されたい)。
【0038】
「レオロジー」とは、物質の変形および流れの研究を指す。
【0039】
「粘度」とは、物質(通常、液体)の流れに対する抵抗を指す。粘度は、せん断力の概念に関連している。粘度は、流体の異なる層が、互いに対して動くにつれて、互いにまたは他の表面にせん断力をはたらかせる、流体の異なる層の作用として理解することができる。いくつかの粘度の尺度がある。粘度の単位は、パスカル−秒(Pa−s)として公知の、Ns/m
2である。粘度は、「動的(kinematic)」または「絶対」とすることができる。動粘度は、運動量が流体を通して移動される速度の尺度である。動粘度は、ストークス(St)で測定される。動粘度は、重力の影響下における、流体の抵抗流の尺度である。等しい体積および異なる粘度の2種の流体が、同一のキャピラリー粘度計に置かれて、重量により流れた場合、より粘度の高い流体は、より粘度の低い流体よりもキャピラリーを流れるのに長い時間がかかる。例えば、1種の流体が、その流れを完了するのに200秒(s)かかり、別の流体は400sかかった場合、2番目の流体は、動粘度のスケールで、最初の流体の2倍粘度が高いと呼ばれる。動粘度の次元は、長さ
2/時間である。一般に、動粘度は、センチストークス(cSt)で表される。動粘度のSI単位はmm
2/sであり、これは1cStに等しい。時として「動的粘度」または「簡易粘度」と呼ばれる「絶対粘度」は、動粘度と流体密度の積である。絶対粘度は、センチポアズ(cP)の単位で表される。絶対粘度のSI単位は、ミリパスカル−秒(mPa−s)であり、ここで1cP=1mPa−sである。粘度は、例えば、所与のせん断速度または複数のせん断速度において、粘度計を使用することによって、測定することができる。「外挿したゼロせん断」粘度は、絶対粘度対せん断速度のプロットに基づいて、4つの最高のせん断点の最適直線を作製し、粘度を直線的に外挿してゼロせん断まで戻すことにより決定することができる。あるいは、ニュートン流体の場合、粘度は、複数のせん断速度における、粘度値を平均することにより決定することができる。粘度はまた、単一または複数のせん断速度において、マイクロ流体粘度計を使用して測定することもでき(流速とも呼ばれる)、この場合、絶対粘度は、液体がある通路に沿って流れる際の、圧力の変化から誘導される。粘度は、せん断速度全体を通して、せん断応力に等しい。一部の実施形態では、マイクロ流体粘度計を使用して測定される粘度は、外挿したゼロせん断粘度、例えば、円錐平板粘度計を使用して複数のせん断速度で測定した粘度から外挿したものと直接、比較することができる。
【0040】
「せん断速度」とは、流体の層の1つが、隣接する層の上を通過する、速度の変化率を指す。速度勾配は、プレートからの距離に伴う、速度の変化率である。この単純な場合は、(cm/秒)/(cm)=1/秒の単位の、せん断速度(v
1−v
2)/hを有する、一定の速度勾配を示す。したがって、せん断速度の単位は、秒の逆数、または一般には時間の逆数である。マイクロ流体粘度計の場合、圧力および流速の変化は、せん断速度に関連する。「せん断速度」は、ある材料が変形する、スピードを指すために使用される。タンパク質および粘度低下有機ホスフェートを含有する製剤は、通常、円錐平板粘度計、および目的の試料の粘度範囲において正確に粘度を測定するため、当業者により適切に選択されるスピンドル(すなわち、20cPの試料は、DV2T粘度計(Brookfield)に装着されるCPE40スピンドルで最も正確に測定される)を使用して測定した場合、約0.5s
−1〜約200s
−1の範囲のせん断速度で測定され、マイクロ流体粘度計を使用して測定した場合、約20s
−1超〜約3,000s
−1の範囲のせん断速度で測定される。
【0041】
本明細書において一般に使用される、古典的な「ニュートン」流体の場合、粘度はせん断速度に本質的に、無関係である。しかし、「非ニュートン流体」の場合、せん断速度を増加させるにつれて、粘度は、低下するかまたは増加するかのいずれかとなり、例えば、その流体は、それぞれ、「ずり流動化」または「ずり粘ちょう化」する。濃縮(すなわち、高濃度の)タンパク質溶液の場合、これは、擬塑性ずり流動化挙動、すなわち、せん断速度と共に粘度が低下するものとして、表すことができる。
【0042】
本明細書において一般に使用される、用語「化学的安定性」とは、製剤中のタンパク質構成成分が、酸化、脱アミド化または加水分解などの化学経路による分解に抵抗する能力を指す。タンパク質製剤は、4℃で24か月後に構成成分の約5%未満が分解される場合、化学的に安定であると、通常、見なされる。
【0043】
本明細書において一般に使用される、用語「物理的安定性」とは、タンパク質製剤が、凝集などの物理的な悪化に抵抗する能力を指す。物理的に安定である製剤は、生物活性なタンパク質剤の非可逆性凝集体(例えば、二量体、三量体または他の凝集体)を許容可能な割合のみ形成する。凝集体の存在は、動的光散乱により、製剤中のタンパク質の平均粒子サイズを測定することによるものを含む、いくつかの方法で評価することができる。製剤は、4℃で24か月後に、約5%未満の非可逆性凝集体が形成される場合、物理的に安定であると見なされる。凝集した夾雑物の許容可能なレベルは、約2%未満である。約0.2%という低いレベルが、実現可能であるが、約1%がより一般的である。
【0044】
本明細書において一般に使用される、用語「安定な製剤」とは、製剤が、化学的に安定である、と物理的に安定であるの両方を意味する。安定な製剤は、生物活性なタンパク質分子の約95%超が、4℃で24か月間の保管後に製剤における生物活性を保持しているかまたは40℃で1か月間の保管などの高温において、等価な溶液状態を保持している製剤とすることができる。タンパク質安定性を測定するための様々な分析技法は、当技術分野において利用可能であり、例えば、Peptide and Protein Drug Delivery、247〜301頁、Vincent Lee、(編)、Marcel Dekker,Inc.、New York、N.Y.(1991年)およびJones、A.、Adv. Drug Delivery Revs. 10巻:29〜90頁、1993年において概説されている。安定性は、選択された温度において、ある期間、測定することができる。迅速なスクリーニングの場合、例えば、製剤は、40℃において2週間から1か月、保存され得、この時点において、残存する生物活性を測定し、初期状態と比較して、安定性を評価する。製剤が、2℃〜8℃で保管されることになる場合、一般に、製剤は、30℃または40℃で、少なくとも1か月間、安定であるべきであり、および/または2℃〜8℃では、少なくとも2年、安定であるべきである。製剤が、室温、すなわち約25℃で保管されることになる場合、一般に、製剤は、約25℃で、少なくとも2年間、安定であるべきであり、および/または40℃では、少なくとも約6か月、安定であるべきである。凍結乾燥および保管後の凝集の程度は、タンパク質安定性の指標として使用することができる。一部の実施形態では、安定性は、製剤における、タンパク質の粒子サイズを測定することにより評価される。一部の実施形態では、安定性は、当業者の能力の十分な範囲内で、標準的な生物活性または結合アッセイを使用して、製剤の活性を測定することにより評価することができる。
【0045】
本明細書において一般に使用される、用語であるタンパク質の「粒子サイズ」は、周知の粒子サイズ測定機器、例えば、動的光散乱、SEC(サイズ排除クロマトグラフィー)、または当業者に公知の他の方法を使用することによって決定される、製剤中の、生物活性分子の粒子の主要集団の平均直径、またはその粒子サイズ分布を意味する。
【0046】
本明細書において一般に使用される、用語「濃縮されている」または「高濃度」は、タンパク質の最終濃度が、約10mg/mL超、好ましくは約50mg/mL超、より好ましくは約100mg/mL超、さらにより好ましくは約200mg/mL超、または最も好ましくは約250mg/mL超を有する、液状製剤を記載する。
【0047】
本明細書において一般に使用される、「再構成された製剤」とは、希釈剤中に、乾燥粉末、凍結乾燥されたタンパク質、噴霧乾燥されたタンパク質または溶媒−沈殿したタンパク質を溶解し、その結果、このタンパク質が投与用水溶液に溶解または分散していることにより調製される、製剤を指す。
【0048】
「凍結乾燥保護剤(lyoprotectant)」は、タンパク質と組み合わせた場合、凍結乾燥の際および/またはその後の保管の際に、タンパク質の化学的および/または物理的不安定性が有意に低減される、物質である。例示的な凍結乾燥保護剤には、スクロース、ラクトース、トレハロース、デキストラン、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトールおよびマンニトールなどの糖およびその対応する糖アルコール;アルギニンまたはヒスチジンなどのアミノ酸;硫酸マグネシウムなどの離液性塩(lyotropic salt);プロピレングリコール、グリセロール、ポリ(エチレングリコール)またはポリ(プロピレングリコール)などのポリオール;およびそれらの組合せが含まれる。追加の例示的な凍結乾燥保護剤には、ゼラチン、デキストリン、加工デンプン、およびカルボキシメチルセルロースが含まれる。好ましい糖アルコールは、ラクトース、トレハロース、マルトース、ラクツロースおよびマルツロースなどの、モノおよびジサッカライドの還元によって得られる、そうした化合物である。糖アルコールの追加の例は、グルシトール、マルチトール、ラクチトールおよびイソマルツロースである。凍結乾燥保護剤は、一般に、「凍結保護量」で、凍結乾燥前の製剤に、一般に加えられる。これは、凍結保護量の凍結乾燥保護剤の存在下で、タンパク質を凍結乾燥した後、タンパク質は、その物理的および化学的安定性、ならびに完全性を本質的に保持していることを意味する。
【0049】
本明細書において一般に使用される、「希釈剤」または「担体」は、薬学的に許容され(すなわち、ヒトまたは別の哺乳動物に投与する場合、安全および非毒性である)、凍結乾燥後に再構成される水性製剤などの液状製剤の調製のための有用な成分である。例示的な希釈剤には、滅菌水、注射用静菌水(BWFI)、pH緩衝溶液(例えば、リン酸緩衝食塩水)、滅菌食塩液、リンゲル液またはデキストロース溶液、およびそれらの組合せが含まれる。
【0050】
「保存剤」は、細菌、真菌もしくは別の感染因子による汚染または細菌、真菌もしくは別の感染因子の作用を低減するために、本明細書の製剤に添加され得る化合物である。保存剤の添加により、例えば、複数回使用(複数回用量)製剤の生産が容易になり得る。潜在的な保存剤の例には、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム(アルキル基が長鎖である、塩化アルキルベンジルジメチルアンモニウムの混合物)、および塩化ベンゼトニウムが含まれる。別のタイプの保存剤には、フェノールなどの芳香族アルコール、ブチルアルコールおよびベンジルアルコール、メチルパラベンまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3−ペンタノールおよびm−クレゾールが含まれる。
【0051】
本明細書において一般に使用される、「増量剤」は、凍結乾燥した混合物にかさを与え、凍結乾燥ケーキの物理的構造に寄与する化合物である(例えば、開放細孔構造を維持する、本質的に均一な凍結乾燥ケーキの生成を容易にする)。例示的な増量剤には、マンニトール、グリシン、ラクトース、加工デンプン、ポリ(エチレングリコール)およびソルビトールが含まれる。
【0052】
「治療有効量」は、任意の症状、または特定の状態もしくは障害の測定可能な改善あるいは予防を行うため、測定可能な余命の延長を行うため、あるいは患者のクオリティオブライフを一般に改善するために必要な、最低濃度である。治療有効量は、具体的な生物的に活性な分子、および処置される具体的な状態または障害に依存する。本明細書において記載されている、mAbなどの多くのタンパク質の治療有効量は、当技術分野において周知である。未だ確立されていない、またはさらなる障害を処置するために臨床的に適用される、mAbなどの公知のタンパク質を用いて特定の障害を処置するための、タンパク質の治療有効量は、医師などの当業者の技能の十分に範囲内である適切な標準的技法により、決定することができる。
【0053】
本明細書において一般に使用される、用語「注射可能性」または「注射針通過性」とは、18〜32ゲージの針を装着したシリンジによる、医薬製剤の注射性能を指す。注射可能性は、注射に必要な圧力または力、均等な流れ、吸引品質、およびつまりがないことなどの要因に依存する。本液状医薬製剤の注射可能性は、粘度低下製剤と粘度低下有機ホスフェートを添加しない標準製剤との射出力を比較することによって評価することができる。粘度低下有機ホスフェートを含有する製剤の射出力の低下は、その製剤の注射可能性の改善に反映する。粘度の低下した製剤は、粘度低下有機ホスフェートをほぼ同じ濃度の適切な緩衝剤により置き換えた以外、他は同一条件下で、同じ濃度のタンパク質を有する標準製剤と比較した場合、射出力が少なくとも10%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも50%、および最も好ましくは少なくとも75%、低下している場合、注射可能性が改善されている。あるいは、本液状医薬製剤の注射可能性は、シリンジを同じ力で押した場合に、異なる液状タンパク質製剤の0.5mL、またはより好ましくは約1mLなど、同一の体積を注入するのに要する時間を比較することによって、評価することができる。
【0054】
本明細書において一般に使用される、用語「射出力」とは、所与の注入速度において、所与の針ゲージを装着した所与のシリンジによって、所与の液状製剤を押し出すために必要な力を指す。この射出力は、通常、ニュートンで報告される。例えば、射出力は、250mm/分の注入速度において、0.50インチ27ゲージの針を装着した、内径0.25インチを有する1mLプラスチック製シリンジによって液状製剤を押し出すのに必要な力として測定することができる。射出力を測定するために、試験用器具を使用することができる。同一条件下で測定した場合、より低い粘度を有する製剤は、一般に、全体としてより小さな射出力を必要とする。
【0055】
一実施形態では、注射は27ゲージの針を用いて施行され、この射出力は、30N未満である。本製剤は、大部分の場合、非常に小さなゲージの針、例えば27〜31ゲージの間、通常、27、29または31ゲージの任意選択で薄壁の針を使用して投与することができる。
【0056】
本明細書で使用する場合、「粘度勾配」とは、タンパク質濃度が増加するにつれての、タンパク質溶液の粘度の変化率を指す。粘度勾配は、他は同じであるが、異なるタンパク質濃度を有する一連の製剤について、粘度をタンパク質濃度の関数としてプロットしたものから概算することができる。この粘度は、タンパク質濃度の増加に伴い、ほぼ指数関数的に増加する。特定のタンパク質濃度における粘度勾配は、粘度をタンパク質濃度の関数としてプロットしたものに対する接線の傾きから概算することができる。粘度勾配は、任意のタンパク質濃度の関数として、またはタンパク質濃度のある狭い幅(window)にわたりプロットした粘度に対する線形近似から概算することができる。一部の実施形態では、製剤は、タンパク質濃度の関数としての粘度が指数関数として概算される場合に、指数関数の指数が、粘度低下有機ホスフェートを含まないがそれ以外は同じ製剤について得られた指数よりも小さい場合、粘度勾配は低下したと言われる。同様の様式において、製剤は、第2の製剤と比べた場合、製剤の指数が、第2の製剤の指数よりも小さい/大きい場合、より小さな/より大きな粘度勾配を有すると言うことができる。粘度勾配は、熟練の製剤研究者に公知の別の方法によって、タンパク質濃度の関数としての粘度のプロットから、数値として概算することができる。
【0057】
本明細書において一般に使用される、用語「粘度低下製剤」とは、粘度低下性添加物(複数可)を含有していない対応する製剤と比べて、粘度を低下させる1種または複数の添加物の存在により改変される、mAbなどの高分子量タンパク質、または低分子量タンパク質を高い濃度で有する液状製剤を指す。
【0058】
本明細書において一般に使用される、用語「容量オスモル濃度」とは、1リットルあたりに溶解している構成成分の総数を指す。容量オスモル濃度は、モル濃度に類似しているが、溶液中の溶解種の総モル数を含む。1Osm/Lの容量オスモル濃度とは、溶液のLあたりに溶解している構成成分が1モルであることを意味する。溶液中で解離しているイオン性溶質などの一部の溶質は、溶液中の溶質のモルあたり、溶解している構成成分を1モル超与える。例えば、NaClは、溶液中で、Na
+およびCl
−に解離しており、すなわち、溶液中に溶解しているNaCl1モルあたり、溶解している構成成分2モルをもたらす。生理的容量オスモル濃度とは、通常、約280mOsm/L〜約310mOsm/Lの範囲にある。
【0059】
本明細書において一般に使用される、用語「張度」とは、半透膜によって2種の溶液が分離されることに起因する、浸透圧の勾配を指す。特に、張度は、細胞が外部溶液に曝露された場合に、細胞膜全体にわたって生じる浸透圧を記載するために使用される。細胞膜を通過することができる溶質は、最終的な浸透圧勾配に寄与しない。細胞膜を通過しない溶解種だけが、浸透圧差、すなわち張度に寄与する。
【0060】
本明細書において一般に使用される、用語「高張性」は、細胞内部に存在しているよりも高い濃度の溶質を有する溶液を指す。細胞が高張性溶液に浸漬されると、水は、溶質の濃度の平衡を保つため、細胞から流れ出る傾向がある。
【0061】
本明細書において一般に使用される、用語「低張性」は、細胞内部に存在しているよりも低い濃度の溶質を有する溶液を指す。細胞が低張性溶液に浸漬されると、水は、溶質の濃度の平衡を保つため、細胞に流入する。
【0062】
本明細書において一般に使用される、用語「等張性」は、細胞膜全体にわたる浸透圧勾配が、本質的に平衡を保っている、溶液を指す。等張性製剤は、ヒト血液と同じ浸透圧を本質的に有するものである。等張性製剤は、一般に、約250mOsm/kg〜350mOsm/kgの浸透圧を有する。
【0063】
用語「液状製剤」は、本明細書で使用する場合、許容される医薬品用希釈剤で供給されるか、または患者に投与する前に許容される医薬品用希釈剤で再構成されるかのいずれかのタンパク質である。
【0064】
用語「ブランド(branded)」および「参照」とは、タンパク質またはバイオロジックを指すために使用される場合、本明細書では互換的に使用され、U.S. Public Health Service Act(42U.S.C.§262)の351条(a)下で、認可されている単一の生物製品を意味する。
【0065】
用語「バイオシミラー」は、本明細書で使用する場合、「ジェネリック等価物」または「後続品」と互換的に、一般に使用される。例えば、「バイオシミラーmAb」とは、異なる会社により、通常、作製された、開発者のmAbの後続版を指す。「バイオシミラー」は、ブランドタンパク質またはブランドバイオロジックに言及して使用される場合、そのブランドタンパク質またはブランドバイオロジックに対して評価した生物製品であって、U.S. Public Health Service Act(42U.S.C.§262)の351条(k)下で、認可されている生物製品を指すことができる。バイオシミラーmAbは、欧州医薬品庁のヒト用医薬品委員会(CHMP)により、2012年5月30日に採択され、「モノクローナル抗体医薬品バイオシミラーに関するガイドライン:非臨床・臨床(Guideline on similar biological medicinal products containing monoclonal antibodies - non-clinical and clinical issues)」(参照文書EMA/CHMP/BMWP/403543/2010)として欧州連合により発行された、1種または複数のガイドラインを満足するものとすることができる。
【0066】
バイオシミラーは、微生物細胞(原核、真核)、ヒトまたは動物を起源とする細胞系(例えば、哺乳動物、鳥類、昆虫)、動物または植物に由来する組織によって産出することができる。提案されるバイオシミラー製品のための発現用構築物は、一般に、その参照製品と同じ、一次アミノ酸配列をコードする。安全性、純度または効力に影響を及ぼさない、N末端のまたはC末端の短縮などの小さな改変は、存在してもよい。
【0067】
バイオシミラーmAbは、安全性と効力の両方に関して、生理化学的または生物学的に参照mAbと同様である。バイオシミラーmAbは、標的抗原(複数可)への結合;Fcガンマ受容体(FcγRI、FcγRIIおよびFcγRIII)、FcRn、および補体(C1q)のアイソフォームへの結合;Fab関連機能(例えば、可溶性リガンドの中和、受容体活性化または遮断);またはFc関連機能(例えば、抗体依存性の細胞媒介性細胞傷害、補体依存性細胞傷害、補体活性化)を詳細に調べるアッセイを含めた、1種または複数のin vitro研究を使用して、参照mAbに対して評価され得る。In vitro比較は、in vivoデータと組み合わせることができ、それは、薬物動態、薬力学および/または安全性の類似性を実証する。参照mAbに対するバイオシミラーmAbの臨床評価は、薬物動態特性(例えば、AUC
0−inf、AUC
0−t、C
max、t
max、C
trough)、薬力学のエンドポイント、または臨床有効性の類似性(例えば、無作為化、並行群間比較臨床試験を使用する)の比較を含むことができる。バイオシミラーmAbと参照mAbとの間の品質比較は、「バイオテクノロジー由来のタンパク質を活性物質として含有するバイオシミラーに関するガイドライン:品質問題(Guideline on similar biological medicinal products containing biotechnology-derived proteins as active substance: Quality issues)」(EMEA/CHMP/BWP/49348/2005)および「モノクローナル抗体医薬品類の開発,製造,特性解析,規格及び試験方法に関するガイドライン(Guideline on development, production, characterization and specifications for monoclonal antibodies and related substances)」(EMEA/CHMP/BWP/157653/2007)において記載されているものを含めた、確立されている手順を使用して評価することができる。
【0068】
バイオシミラーmAbと参照mAbとの間の差異には、例えば、リン酸、様々な脂質および炭水化物などの他の生物化学基をmAbに結合させることによる;翻訳後のタンパク質分解による切断による;アミノ酸の化学的性質を変えること(例えば、ホルミル化)による;または他の多くの機構による、翻訳後修飾が含まれ得る。他の翻訳後修飾は、製造過程の操作の結果とすることができる。例えば、糖化反応が、産物の還元糖への曝露に伴って起こり得る。他の場合、保管条件は、酸化、脱アミド化または凝集などのある種の分解経路を許容し得る。これらの生成物関連の変異体の全ては、バイオシミラーmAbに含まれ得る。
【0069】
本明細書で使用する場合、用語「薬学的に許容される塩」とは、無機酸および無機塩基、ならびに有機酸および有機塩基を含めた、薬学的に許容される非毒性の酸および塩基から調製される塩を指す。適切な非毒性の酸には、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、およびp−トルエンスルホン酸などの無機酸および有機酸が含まれる。適切な正に帯電している対イオンには、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウムおよびマグネシウムが含まれる。
【0070】
本明細書で使用する場合、用語「イオン性液体」とは、最も慣用的な塩が固体である、温度またはその付近の温度:200℃未満、好ましくは100℃未満、またはより好ましくは80℃未満において、液状である、結晶塩または非晶質塩、双性イオン、またはそれらの混合物を指す。一部のイオン性液体は、室温付近、例えば10℃〜40℃の間または15℃〜35℃の間の融解温度を有する。用語「双性イオン」は、分子中の異なる化学基上に、正式な正および負の電荷を有する、全体として電荷が中性の分子を記載するために本明細書において使用される。イオン性液体の例は、Riduanら、Chem. Soc. Rev.、42巻:9055〜9070頁、2013年;Rantwijkら、Chem. Rev.、107巻:2757〜2785頁、2007年;Earleら、Pure Appl. Chem.、72巻(7号):1391〜1398頁、2000年;およびSheldonら、Green Chem.、4巻:147〜151頁、2002年に記載されている。
【0071】
本明細書で使用する場合、「水溶性有機色素」は、25℃およびpH7において、少なくとも0.001Mのモル溶解度を有する有機分子であって、ある種の波長の光、好ましくは電磁スペクトルの可視部から赤外部における波長の光を吸収する一方、他の波長の光を透過させることができるか、または反射することができる、有機分子である。
【0072】
本明細書で使用する場合、用語「カルコゲン」とは、任意の酸化状態にある、酸素、硫黄およびセレンを含めた、第16族元素を指す。例えば、特に指定しない限り、用語「カルコゲン」には、SO
2も含まれる。
【0073】
本明細書で使用する場合、用語「アルキル基」とは、直鎖、分岐鎖および環式炭化水素基を指す。特に指定しない限り、用語アルキル基は、1つまたは複数の二重結合または三重結合を含有する、炭化水素基を包含する。少なくとも1つの環系を含有するアルキル基は、「シクロアルキル」基である。少なくとも1つの二重結合を含有するアルキル基は、「アルケニル基」であり、および少なくとも1つの三重結合を含有するアルキル基は、「アルキニル基」である。
【0074】
本明細書で使用する場合、「アリール」は、縮合環系を含めた、芳香族炭素環系を指す。「アリール」基において、環を形成する原子のそれぞれは、炭素原子である。
【0075】
本明細書で使用する場合、「ヘテロアリール」とは、縮合環系を含めた、芳香族環系であって、環を形成する少なくとも1個の原子がヘテロ原子である、芳香族環系を指す。
【0076】
本明細書で使用する場合、「複素環」とは、芳香族ではない、縮合環系を含めた環系であって、環を形成する少なくとも1個の原子がヘテロ原子である、環系を指す。
【0077】
本明細書で使用する場合、用語「ヘテロ原子」は、非炭素原子または非水素原子のいずれかである。好ましいヘテロ原子には、酸素、硫黄および窒素が含まれる。例示的なヘテロアリールおよびヘテロシクリル環には、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサゾリニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾテトラゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイミダゾリニル、カルバゾリル、4aHカルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3b]テトラヒドロフラン、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H−インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H−インドリル、イサチノイル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、メチレンジオキシフェニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキシインドリル、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリドニル、4−ピペリドニル、ピペロニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、2H−ピロリル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H−キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラゾリル、6H−1,2,5−チアジアジニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニルおよびキサンテニルが含まれる。
【0078】
本明細書において、用語「有機ホスフェート」とは、1つまたは複数のホスホリル基を含有する化合物であって、ホスホリル基の少なくとも1つが、リン酸エステル結合により、有機基に共有結合で接続している、化合物を指す。有機ホスフェートは、天然に存在するかまたは天然に存在しない、合成または半合成のものとすることができる。
【0079】
用語「核酸塩基」とは、本明細書で使用する場合、好ましくは、水素結合供与基と水素結合受容基の両方を有しており、かつ相補的核酸塩基(complimentary nucleobase)とのワトソン−クリック型水素結合を形成することができる、置換されているおよび無置換の窒素含有複素芳香族環を広く指す。核酸塩基には、天然に存在する核酸塩基および天然に存在しない核酸塩基が含まれる。天然に存在しない核酸塩基には、天然の核酸においてまれにまたは一過性にのみ見出される核酸塩基、例えば、ヒポキサンチン、6−メチルアデニン、5−メチルピリミジン(5−メチルシトシンなど)、5−ヒドロキシメチルシトシン(HMC)、グリコシルHMCおよびゲントビオシルHMC、ならびに合成核酸塩基、例えば、2−アミノアデニン、2−チオウラシル、2−チオチミン、5−ブロモウラシル、5−ヒドロキシメチルウラシル、8−アザグアニン、7−デアザグアニン、N
6−(6−アミノヘキシル)アデニンおよび2,6−ジアミノプリンが含まれる。核酸塩基には、プリン、およびアデニン、グアニン、ヒポキサンチン、キサンチンおよび7−メチルグアニンなどのプリン塩基が含まれる。核酸塩基には、ピリミジン、ならびにチミン、シトシン、ウラシル、5,6−ジヒドロウラシル、5−メチルシトシンおよび5−ヒドロキシメチルシトシンなどのピリミジン塩基が含まれる。
【0080】
ある特定の有機ホスフェートは、酸性または塩基性官能基を含有する。これらの官能基が完全にまたは部分的にイオン化されているか否かは、それらが存在している製剤のpHに依存する。別段の指定がない限り、イオン化できる官能基を有する有機ホスフェートを含有する製剤の言及には、親化合物と、任意の可能なイオン化状態の両方が含まれる。
【0081】
用語「ヌクレオシド」は、核酸塩基が、好ましくはその環状形態にある五炭糖に共有結合でカップリングしている、任意の化合物を指すために、本明細書において使用される。五炭糖には、リボース、デオキシリボース、アラビノース、キシロース、リキソースおよびそれらの誘導体が含まれる。
【0082】
用語「ヌクレオチド」は、ヌクレオシドが、糖上の1つまたは複数の位置において、リン酸基またはポリリン酸基、例えば二リン酸基または三リン酸基に共有結合でカップリングしている、任意の化合物を指すために使用される。
【0084】
mAbのものなどの、生体適合性の低粘度タンパク質溶液は、治療有効量のタンパク質を、皮下(SC)および筋肉内(IM)注射に有用な体積、通常、SCの場合、通常、2mL未満または約2mL、およびIMの場合、5mL未満または約5mL、より好ましくは、SCの場合、1mL未満または約1mL、およびIMの場合、3mL未満または約3mLで送達するために使用することができる。タンパク質は、任意の分子量を一般に有することができるが、一部の実施形態では、高分子量タンパク質が好ましい。他の実施形態では、タンパク質は低分子量タンパク質である。
【0085】
製剤は、約10mg/mL〜約5,000mg/mLの間のタンパク質濃度を有することができる。mAb製剤を含めた、本製剤は、100mg/mL超、好ましくは150mg/mL超、より好ましくは約175mg/ml超、好ましくは約200mg/mLよりさらにより大、さらにより好ましくは約225mg/mL超、さらにより好ましくは約250mg/mL超、最も好ましくは300mg/mL超または約300mg/mLのタンパク質濃度を有することができる。有機ホスフェートの非存在下では、タンパク質製剤の粘度は、その濃度が増加するにつれて、指数関数的に増加する。有機ホスフェートの非存在下では、こうしたタンパク質製剤は、25℃において測定した場合、100cP超、150cP超、200cP超、300cP超、500cP超、またはさらには1,000cP超の粘度を有することができる。こうした製剤は、SC注射またはIM注射に不適切なことが多い。1種または複数の粘度低下有機ホスフェートの使用により、25℃で測定した場合、約100cP未満もしくは約100cP、好ましくは約75cP未満もしくは約75cP、より好ましくは約50cP未満もしくは約50cP、約30cP未満もしくは約30cP、約20cP未満もしくは約20cP、またはなおさらに最も好ましくは約10cP未満もしくは約10cPの粘度を有する製剤の調製が可能になる。
【0086】
粘度低下有機ホスフェートは、濃縮タンパク質製剤の粘度を低下させるために使用することができるが、それらは、同様に、それほど濃縮されていない製剤に使用することもできる。一部の実施形態では、製剤は、約10mg/mL〜約100mg/mLの間のタンパク質濃度を有することができる。製剤は、約20mg/mL超、約40mg/mL超、または約80mg/mL超のタンパク質濃度を有することができる。
【0087】
ある種のタンパク質の場合、粘度低下有機ホスフェートを有していない製剤は、約20cP超、約50cP超、または約80cP超の粘度を有することができる。1種または複数の粘度低下有機ホスフェートの使用により、25℃で測定した場合、約80cP未満もしくは約80cP、好ましくは約50cP未満もしくは約50cP、さらにより好ましくは約20cP未満、または最も好ましくは約10cP未満もしくは約10cPの粘度を有する製剤の調製が可能になる。
【0088】
一部の実施形態では、本水性タンパク質製剤は、同一条件下で測定した場合、粘度低下有機ホスフェート(複数可)を含まない、類似製剤よりも、少なくとも約30%低い粘度を有する。他の実施形態では、本製剤は、粘度低下有機ホスフェート(複数可)を含まない類似製剤よりも、40%未満、50%未満、60%未満、70%未満、80%未満、90%未満、またはさらに90%超よりも低い、粘度を有する。好ましい実施形態では、本製剤は、約2mL未満、好ましくは約1mL未満、またはより好ましくは約0.75mL未満の体積で、治療有効量の、mAbなどの1種または複数の高分子量タンパク質を含有する。
【0089】
粘度低下製剤は、注射可能性を改善し、他は同一条件下で、粘度低下有機ホスフェートを含まない類似製剤(例えば、リン酸ナトリウム緩衝液中)と比べて、より小さな射出力を必要とする。一部の実施形態では、射出力は、他は同一の注入条件下では、粘度低下有機ホスフェート(複数可)を含まない標準製剤と比べて、約20%超、約30%超、約40%超、約50%超、または約2倍超低下する。一部の実施形態では、本製剤は、せん断速度と実質的に無関係な粘度を有するものとして定義される、「ニュートン流の特徴」を有する。本タンパク質製剤は、約18〜32ゲージの針により容易に注入することができる。低粘度製剤を送達するための、好ましい針のゲージには、任意選択で薄壁の27、29および31ゲージが含まれる。
【0090】
本製剤は、緩衝剤、界面活性剤、糖および糖アルコール、他のポリオール、保存剤、酸化防止剤、およびキレート剤などの、1種または複数の追加の賦形剤を含有することができる。本製剤は、重大な有害的な副作用を引き起こすことのない、投与に適したpHおよび容量オスモル濃度を有する。一部の実施形態では、本低粘度濃縮製剤は、pH5〜8の間、5.5〜7.6の間、6.0〜7.6の間、または5.5〜6.5の間を有する。
【0091】
本低粘度タンパク質製剤は、製剤開発におけるより大きな適応性を可能にすることができる。本低粘度製剤は、粘度低下有機ホスフェートを含まない以外は同じ製剤と比べると、タンパク質濃度にそれほど依存しない、粘度変化を示し得る。本低粘度タンパク質製剤は、タンパク質の濃度の増加、およびその投与頻度の低減を可能にし得る。一部の実施形態では、本低粘度タンパク質製剤は、2種もしくはそれ超、3種もしくはそれ超、または4種もしくはそれ超の異なるタンパク質を含有する。例えば、2種またはそれ超のmAbの組合せを、単一低粘度タンパク質製剤中で提供することができる。
【0092】
タンパク質(mAbなど)製剤は、粘度低下有機ホスフェートが不含の、他は類似のタンパク質製剤よりも、高いタンパク質濃度で患者に投与することができるので、タンパク質の投与頻度を低減することができる。例えば、以前なら毎日1回の投与を必要としたタンパク質は、タンパク質が粘度低下有機ホスフェートと共に製剤化された場合、2日毎に1回、3日毎に1回、またはさらに少ない頻度で投与することができる。現在、同じ日(その日の同じ時間または違う時間のいずれか)に複数の投与を必要とするタンパク質は、1日あたりより少ない注射で投与することができる。一部の場合、この頻度は、1日1回、単一の注射に減らすことができる。注射あたりに投与される投与量を複数倍に増量することにより、投与頻度は、例えば、2週間毎に1回から6週間毎に1回に低減することができる。
【0093】
一部の実施形態では、本明細書における液状製剤は、例えば、約280mOsm/L〜約310mOsm/Lの間の生理学的容量オスモル濃度を有する。一部の実施形態では、本液状製剤は、約250mOsm/L超、約300mOsm/L超、約350mOsm/L超、約400mOsm/L超、または約500mOsm/L超の容量オスモル濃度を有する。一部の実施形態では、本製剤は、約200mOsm/L〜約2,000mOsm/Lまたは約300mOsm/L〜約1,000mOsm/Lの容量オスモル濃度を有する。一部の実施形態では、本液状製剤は、ヒト血液に本質的に等張である。本液状製剤は、一部の場合、高張性とすることができる。
【0094】
添加物は、粘度低下有機ホスフェートを含め、その量が有毒でないか、または他には有害でなく、製剤の化学的および/または物理的安定性に実質的に妨げにならない限り、液状製剤の所望の粘度レベルを達成する任意の量で含まれ得る。一部の実施形態では、本粘度低下有機ホスフェート(複数可)は、約1.0M未満の、好ましくは約0.50M未満の、約0.30M未満または約0.30Mに等しい、または0.15M未満もしくは0.15Mに等しい濃度で、独立して存在することができる。とりわけ好ましい濃度には、約0.10Mおよび約0.30Mが含まれる。2種またはそれ超の粘度低下有機ホスフェートを有する、一部の実施形態の場合、本化合物は、好ましくは必ずしも同じ濃度で存在する必要はない。
【0095】
粘度低下有機ホスフェートにより、凍結乾燥された投与量単位をより迅速に再構成することができる。投与量単位は、タンパク質、粘度低下有機ホスフェートおよび他の賦形剤の凍結乾燥ケーキであり、ここに、水、食塩水または別の薬学的に許容される流体が加えられる。粘度低下有機ホスフェートの非存在下では、タンパク質濃度が高い凍結乾燥ケーキを完全に溶解するために、10分またはそれ超の時間が必要になることが多い。凍結乾燥ケーキが、1種または複数の粘度低下有機ホスフェートを含有する場合、ケーキを完全に溶解させるのに必要な時間は、2倍、5倍、または10倍をも削減されることが多い。ある特定の実施形態では、150mg/mL超、200mg/mL超もしくはさらに300mg/mL超または約150、約200もしくはさらに約300mg/mLのタンパク質を含有する凍結乾燥ケーキを完全に溶解するのに、1分未満を必要とする。
【0096】
本低粘度タンパク質製剤は、製剤開発における一層大きな適応性を可能にすることができる。本低粘度製剤は、粘度低下有機ホスフェート(複数可)を含まないがそれ以外は同じ製剤と比べると、タンパク質濃度が増加するにつれて、それほど変化しない粘度を示す。本低粘度タンパク質製剤は、粘度低下有機ホスフェートを含まないがそれ以外は同じ製剤と比べて、粘度勾配の低下を示す。
【0097】
タンパク質製剤の粘度勾配は、粘度低下有機ホスフェート(複数可)を含まない、それ以外は同じタンパク質製剤の粘度勾配よりも、2倍少ない、3倍少ない、またはさらに3倍超少ない場合がある。本タンパク質製剤の粘度勾配は、10mg/mL〜2,000mg/mLの間のタンパク質濃度を有するタンパク質製剤の場合、2.0cPmL/mg未満、1.5cPmL/mg未満、1.0cPmL/mg未満、0.8cPmL/mg未満、0.6cPmL/mg未満、または0.2cPmL/mg未満であり得る。本製剤の粘度勾配を低下させることにより、タンパク質濃度を、粘度の指数関数的な増加が観察される前に、かなりの程度に高めることができる。
【0099】
組換え、単離もしくは合成タンパク質、糖タンパク質、またはリポタンパク質を含む、いかなるタンパク質も製剤化することができる。これらは、抗体(抗体断片および組換え抗体を含む)、酵素、成長因子もしくはホルモン、免疫調整薬、抗感染薬、抗増殖剤、ワクチン、または他の治療的、予防的もしくは診断的タンパク質であってもよい。ある特定の実施形態では、タンパク質は、約150kDa超、160kDa超、170kDa超、180kDa超、190kDa超、またはさらに200kDa超の分子量を有する。
【0100】
ある特定の実施形態では、タンパク質は、PEG化タンパク質とすることができる。用語「PEG化タンパク質」とは、本明細書で使用する場合、任意選択で、1つまたは複数のポリマー基とは異なっていてもよい、化学リンカーを介して、それに共有結合で結合している、1種または複数のポリ(エチレングリコール)または他のステルスポリマー基を有する、タンパク質を指す。PEG化タンパク質は、通常、その腎臓のろ過の減少、細網内皮系による取込みの低下、および酵素による分解の低減により特徴付けられ、例えば、半減期の延長および生体利用能の増加をもたらす。ステルスポリマーには、ポリ(エチレングリコール);ポリ(プロピレングリコール);ポリ(グルタミン酸)、ポリ(ヒドロキシエチル−L−アスパラギン)、およびポリ(ヒドロキシエチル−L−グルタミン)((poly(hydroxethyl-L-glutamine)))などのポリ(アミノ酸)ポリマー;ポリ(グリセロール);ポリ(2−メチル−2−オキサゾリン)およびポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)などのポリ(2−オキサゾリン)ポリマー;ポリ(アクリルアミド);ポリ(ビニルピロリドン);ポリ(N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド);およびコポリマー、ならびにそれらの混合物が含まれる。好ましい実施形態では、PEG化タンパク質中のステルスポリマーは、ポリ(エチレングリコール)またはそのコポリマーである。PEG化タンパク質はランダムにPEG化され得、すなわち、タンパク質上の非特異的部位(複数可)に共有結合で結合している、1種または複数のステルスポリマーを有するか、またはタンパク質上の特異的部位(複数可)にステルスポリマーが共有結合で結合することによって、部位特異的にPEG化され得る。部位特異的PEG化は、例えば、1つまたは複数の反応性官能基を有する、活性化ステルスポリマーを使用して、実施することができる。例には、例えば、Hoffmanら、Progress in Polymer Science、32巻:922〜932頁、2007年において記載されている。
【0101】
好ましい実施形態では、本タンパク質は、高分子量であって抗体であり、最も好ましくはmAbであり、SC投与の場合、1.0〜2.0mLを超えない、およびIM投与の場合、3.0〜5.0mLを超えない体積で、治療有効量を注射するのに十分、濃縮された場合、緩衝水溶液中で高い粘度を有する。高分子量タンパク質には、Scolnik、mAbs 1巻:179〜184頁、2009年;Beck、mAbs 3巻:107〜110頁、2011年;Baumann、Curr. Drug Meth. 7巻:15〜21頁、2006年;またはFederici、Biologicals 41巻:131〜147頁、2013年に記載されているものが含まれ得る。本明細書に記載されている製剤において使用するためのタンパク質は、好ましくは、本質的に純粋であり、かつ本質的に均一である(すなわち、実質的に、汚染タンパク質および/またはその非可逆性凝集体がない)。
【0102】
本明細書において好ましいmAbには、ナタリズマブ(TYSABRI(登録商標))、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標))、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標))、インフリキシマブ(REMICADE(登録商標))、リツキシマブ(RITUXAN(登録商標))、パニツムマブ(VECTIBIX(登録商標))、オファツムマブ(ARZERRA(登録商標))、およびそれらのバイオシミラーが含まれる。例示的な高分子量タンパク質には、トシリズマブ(ACTEMRA(登録商標))、アレムツズマブ(いくつかの商標で上市されている)、ブロダルマブ(Amgen,Inc(「Amgen」)により開発されている)、デノスマブ(PROLIA(登録商標)およびXGEVA(登録商標))、およびそのバイオシミラーが含まれ得る。
【0103】
本明細書に記載されている抗体に対する例示的な分子標的には、CD3、CD4、CD8、CD19、CD20およびCD34などのCDタンパク質;EGF受容体、HER2、HER3またはHER4受容体などのHER受容体ファミリーのメンバー;LFA−1,Mo1、p150,95、VLA−4、ICAM−1、VCAMおよびαv/β3インテグリン(そのαサブユニットまたはβサブユニットのいずれかを含む)(例えば、抗CD11a、抗CD18または抗CD11b抗体)などの細胞接着分子;VEGFなどの成長因子;IgE;血液型抗原;flk2/flt3受容体;肥満(OB)受容体;プロテインC;PCSK9などが含まれる。
【0105】
現在、上市されている多くのタンパク質治療薬、とりわけ本明細書で定義されている抗体は、高投薬量を必要とするため、IV注入により投与されている。製剤は、現在、上市されている抗体治療薬またはそのバイオシミラーの1つを含むことができる。現在、上市されている一部のタンパク質治療薬は、高分子量ではないが、治療有効性に高用量が必要なので、IV注入により依然として投与されている。一部の実施形態では、SC注射またはIM注射の場合、治療有効量を送達するための濃度を有する、本明細書で定義されているこうした低分子量タンパク質の液状製剤が提供される。
【0106】
現在、上市されている抗体治療薬には、ベリムマブ(BENLYSTA(登録商標))、ゴリムマブ(SIMPONI ARIA(登録商標))、アブシキシマブ(REOPRO(登録商標))、BEXXAR(登録商標)として上市されている、トシツモマブとヨウ素−131トシツモマブとの組合せ物、アレムツズマブ(CAMPATH(登録商標))、パリビズマブ(SYNAGIS(登録商標))、バシリキシマブ(SIMULECT(登録商標))、アド−トラスツズマブエムタンシン(KADCYLA(登録商標))、ペルツズマブ(PERJETA(登録商標))、カプロマブペンデチド(PROSTASCINT KIT(登録商標))、ダクリズマブ(caclizumab)(ZENAPAX(登録商標))、イブリツモマブチウキセタン(ZEVALIN(登録商標))、エクリズマブ(SOLIRIS(登録商標))、イピリムマブ(YERVOY(登録商標))、ムロモナブ−CD3(ORTHOCLONE OKT3(登録商標))、ラキシバクマブ、ニモツズマブ(THERACIM(登録商標))、ブレンツキシマブベドチン(ADCETRIS(登録商標))、アダリムバブ(HUMIRA(登録商標))、ゴリムマブ(SIMPONI(登録商標))、パリビズマブ(SYNAGIS(登録商標))、オマリズマブ(XOLAIR(登録商標))、およびウステキヌマブ(STELARA(登録商標))が含まれる。
【0107】
細胞接着分子であるα4−インテグリンに対する、ヒト化mAbであるナタリズマブは、多発性硬化症およびクローン病の処置において使用される。以前に、ANTEGREN(登録商標)という商標で上市されていたナタリズマブは、Biogen Idec(「Biogen」)およびElan Corp.(「Elan」)によって、現在、TYSABRI(登録商標)として、共同で上市されている。TYSABRI(登録商標)は、マウスの骨髄腫細胞で産出される。15mLの用量は、それぞれ、pH6.1において、IV注射用水(USP)中、300mgのナタリズマブ、123mgの塩化ナトリウム(USP)、17.0mgの第一リン酸ナトリウム一水和物(USP)、7.24mgの第二リン酸ナトリウム七水和物(USP)、3.0mgのポリソルベート80(USP/NF)を含有している。ナタリズマブは、毎月、静脈内(IV)注入によって、通常、投与され、多発性硬化症とクローン病の両方の症状の処置において、ならびに再発、視力喪失、認知低下の予防、および患者のクオリティオブライフの有意な改善にとって、有効であることが証明されている。
【0108】
本明細書で使用する場合、用語「ナタリズマブ」は、「ナタリズマブ(NATALIZUMAB)」という国際一般名で公知の、細胞接着分子であるα4−インテグリンに対するmAb、またはその抗原結合部分を含む。ナタリズマブは、米国特許第5,840,299号、米国特許第6,033,665号、米国特許第6,602,503号、米国特許第5,168,062号、米国特許第5,385,839号、および米国特許第5,730,978号において記載されている抗体を含む。ナタリズマブは、Biogen IdecおよびElan Corporationにより、TYSABRI(登録商標)という商標で上市されている製品、またはそのバイオシミラー製品中に活性剤を含む。
【0109】
セツキシマブは、転移性結腸直腸がんおよび頭頸部がんの処置に使用される、上皮成長因子受容体(EGFR)阻害剤である。セツキシマブは、通常、IV注入により投与される、キメラ(マウス/ヒト)mAbである。セツキシマブは、Bristol−Myers Squibb Company(北米;「Bristol−Myers Squibb」)、Eli Lilly and Company(北米;「Eli Lilly」)、およびMerck KGaAにより、ERBITUX(登録商標)という商標で、IV使用向けにのみ上市されている。ERBITUX(登録商標)は、哺乳動物(マウス骨髄腫)の細胞培養で産出されている。単回使用品である、ERBITUX(登録商標)の50mLバイアルはそれぞれ、100mgのセツキシマブを2mg/mLの濃度で含有しており、塩化ナトリウム8.48mg/mL、第二リン酸ナトリウム七水和物1.88mg/mL、第一リン酸ナトリウム一水和物0.42mg/mL、およびIV注射用水(USP)を含有する、保存剤不含の溶液で製剤化されている。
【0110】
セツキシマブは、オキサリプラチンおよびイリノテカンに基づく治療が不成功であった患者、またはイリノテカンに不耐容の患者において、化学療法と組み合わせて、および単剤として、上皮成長因子受容体(EGFR)発現性の、KRAS野生型の転移性結腸直腸がん(mCRC)の患者の処置に適応がある。セツキシマブは、再発性および/または転移性疾患の第1選択処置のための白金に基づく化学療法と組み合わせて、および局所進行性疾患のための放射線療法と組み合わせて、頭頸部の扁平上皮癌の患者の処置に適応がある。転移性結腸直腸がんの患者の約75%が、EGFR発現性腫瘍を有しており、したがって、FDA指針に従い、セツキシマブまたはパニツムマブによる処置に適格であると考えられる。
【0111】
本明細書で使用する場合、用語「セツキシマブ」は、「セツキシマブ(CETUXIMAB)」という国際一般名で公知のmAb、またはその抗原結合部分を含む。セツキシマブは、米国特許第6,217,866号に記載されている抗体を含む。セツキシマブは、ERBITUX(登録商標)という商標で上市されている製品およびそのバイオシミラー製品中に活性剤を含む。ERBITUX(登録商標)のバイオシミラーは、Amgen、AlphaMab Co.,Ltd.(「AlphaMab」)、およびActavis plc(「Actavis」)により、現在開発中のものを含むことができる。
【0112】
血管内皮成長因子A(VEGF−A)を阻害するヒト化mAbであるベバシズマブは、抗脈管形成剤として作用する。ベバシズマブは、Genentech,Inc.(「Genentech」)およびF.Hoffmann−La Roche,LTD(「Roche」)によって、AVASTIN(登録商標)という商標で上市されている。ベバシズマブは、直腸結腸がん、肺がん、乳がん(米国以外)、神経膠芽腫(米国のみ)、腎臓がんおよび卵巣がんを含む、様々ながんを処置するために認可されている。AVASTIN(登録商標)は、標準化学療法処置(第1選択処置として)、および第2選択の転移性結腸直腸がんに対する5−フルオロウラシルに基づく治療と一緒に使用する場合、転移性結腸直腸がんにおいて使用するため、2004年にFDAにより承認された。2006年、FDAは、AVASTIN(登録商標)をカルボプラチン/パクリタキセル化学療法と組み合わせる、第1選択の進行性非扁平上皮非小細胞肺がんにおいて使用するため承認した。AVASTIN(登録商標)は、15mg/kgまたは7.5mg/kgのいずれかの用量で、3週間毎にIV注入として投与される。カルボプラチンに基づく化学療法では、より高い用量が通常、投与される一方、シスプラチンに基づく化学療法では、より低い用量が投与される。2009年、FDAは、AVASTIN(登録商標)を転移性腎細胞癌(腎臓がんの形態)において使用するために承認した。FDAはまた、2009年に、AVASTIN(登録商標)の迅速承認を、再発性多形性神経膠芽腫の処置のために与えた。初期成長に対する処置は、依然として、第III相臨床試験中である。
【0113】
米国総合がんセンターネットワーク(The National Comprehensive Cancer Network)(「NCCN」)は、白金に基づく化学療法のいずれとも組み合わせ、その後、疾患が進行するまで、ベバシズマブを維持する、標準第1選択処置としてベバシズマブを推奨している。NCCNは、2010年に、その乳がんに関する腫瘍学臨床実践ガイドライン(Clinical Practice Guidelines for Oncology)(NCCNガイドライン)を更新し、転移性乳がんの処置における、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標)、Genentech/Roche)の使用に関する推薦を確認した。
【0114】
本明細書で使用する場合、用語「ベバシズマブ」は、「ベバシズマブ(BEVACIZUMAB)」という国際一般名/一般名で公知の、血管内皮成長因子A(VEGF−A)を阻害するmAb、またはその抗原結合部分を含む。ベバシズマブは、米国特許第6,054,297号に記載されている。ベバシズマブは、AVASTIN(登録商標)という商標で上市されている製品およびそのバイオシミラー製品中に活性剤を含む。AVASTIN(登録商標)のバイオシミラーは、Amgen、Actavis、AlphaMabおよびPfizer,Inc(「Pfizer」)により、現在開発中のものを含むことができる。AVASTIN(登録商標)のバイオシミラーは、Biocadにより製造されており、米国において現在臨床試験中の、BCD−021として公知のバイオシミラーを含むことができる。
【0115】
トラスツズマブは、HER2/neu受容体を妨害するmAbである。トラスツズマブは、Genentech,Inc.によりHERCEPTIN(登録商標)という商標で上市されている。HERCEPTIN(登録商標)は、哺乳動物の細胞(チャイニーズハムスターの卵巣(CHO))系により産出される。HERCEPTIN(登録商標)は、IV投与向けの、無菌で、白色から淡黄色の保存剤不含の凍結乾燥粉末である。HERCEPTIN(登録商標)のバイアルはそれぞれ、トラスツズマブ440mg、L−ヒスチジンHCl 9.9mg、L−ヒスチジン6.4mg、a,a−トレハロース二水和物400mg、およびポリソルベート20(USP)1.8mgを含有する。水20mLを用いて再構成すると、トラスツズマブ21mg/mLを含有する、複数回用量溶液が生じる。HERCEPTIN(登録商標)は、毎週という多い頻度で、約2mg/kg〜約8mg/kgの範囲の投与量で、IV注入により現在、投与されている。
【0116】
トラスツズマブは、ある種の乳がんを処置するために、主に使用されている。HER2遺伝子は、早期乳がんの20〜30%において増幅され、これにより、細胞膜において、上皮成長因子(EGF)受容体が過剰発現する。トラスツズマブは、通常、化学療法後1年間、HER2陽性乳がんの患者に対する維持療法として、一般に投与されている。トラスツズマブは、毎週という多い頻度で、約2mg/kg〜約8mg/kgの範囲の投与量で、IV注入により現在、投与されている。
【0117】
本明細書で使用する場合、用語「トラスツズマブ」は、「トラスツズマブ(TRASTUZUMAB)」という国際一般名/一般名で公知の、HER2/neu受容体を妨害するmAb、またはその抗原結合部分を含む。トラスツズマブは、米国特許第5,821,337号に記載されている。トラスツズマブは、HERCEPTIN(登録商標)という商標で上市されている製品、およびそのバイオシミラーに活性剤を含む。用語「トラスツズマブ」は、Mylan,Inc.(「Mylan」)によりHERTRAZ(登録商標)、およびBiocon,Ltd.(「Biocon」)によりCANMAB(登録商標)という商標で上市されている、バイオシミラーHERCEPTIN(登録商標)の製品中に活性剤を含む。トラスツズマブは、AmgenおよびPlantForm Corporation、Canadaにより開発中の、バイオシミラーHERCEPTIN(登録商標)の製品中に活性剤を含むことができる。
【0118】
インフリキシマブは、自己免疫疾患を処置するために使用されている、腫瘍壊死因子アルファ(TNF−α)に対するmAbである。インフリキシマブは、米国ではJanssen Global Services,LLC(「Janssen」)、日本では田辺三菱製薬株式会社、中国ではXian Janssen、および他ではMerck&Co(「Merck」)により、REMICADE(登録商標)という商標で上市されている。インフリキシマブは、約144kDaの高い分子量を有する、キメラマウス/ヒトモノクローナル抗体である。一部の実施形態では、本製剤は、REMSIMA(商標)またはINFLECTRA(商標)などの、REMICADE(登録商標)のバイオシミラーを含有する。Celltrion,Inc.(「Celltrion」)により開発されたREMSIMA(商標)とHospira Inc、英国により開発されたINFLECTRA(商標)のどちらも、欧州において規制当局の承認について勧告されている。Celltrionは、FDAにREMSIMA(商標)について承認申請を行った。インフリキシマブは、約3mg/kg〜約10mg/kgの範囲の用量で、IV注入により現在、投与されている。
【0119】
インフリキシマブは、約30%がマウスの可変領域のアミノ酸配列を含有しており、この配列が、ヒトTNFαに対する抗原結合特異性を付与している。残りの70%は、ヒトIgG1重鎖の定常領域およびヒトカッパ軽鎖の定常領域に相当する。インフリキシマブは、炎症応答の媒介および免疫系のモジュレーションを含めた、複数の生物作用を有するサイトカインである、ヒトTNFαに高い親和性を有している。
【0120】
インフリキシマブは、マウス骨髄腫細胞(SP2/0細胞)から一般に産生されて分泌される、組換え抗体である。この抗体は、連続かん流細胞培養によって、現在、製造されている。インフリキシマブモノクローナル抗体は、マウスの抗TNFαハイブリドーマA2からクローニングされる可変領域配列、およびプラスミド発現ベクターによって供給されるヒト抗体定常領域配列からなる、キメラ抗体遺伝子を使用して発現される。マウスの抗TNFαハイブリドーマの生成は、精製組換えヒトTNFαを用いてBALB/cマウスを免疫することにより実施される。重鎖および軽鎖のベクター構築物は、線状にされて、電気穿孔法によりSp2/0細胞にトランスフェクトされる。標準的な精製工程は、クロマトグラフィー精製、ウイルス不活性化、ナノろ過、および限外ろ過/ダイアフィルトレーションを含むことができる。
【0121】
本明細書で使用する場合、用語「インフリキシマブ」は、「インフリキシマブ(INFLIXIMAB)」という国際一般名で公知のキメラマウス/ヒトモノクローナル抗体、またはその抗原結合部分を含む。インフリキシマブは、TNFαの可溶性および膜貫通形態に高い親和性で結合することにより、TNFαの生物活性を中和し、TNFαの、その受容体との結合を阻害する。インフリキシマブは、米国特許第5,698,195号に記載されている。用語「インフリキシマブ」は、複数の実体によりREMICADE(登録商標)、CelltrionによりREMSIMA(商標)、およびHospira,Inc(「Hospira」)によりINFLECTRA(商標)という商標で市販されているか、または上市するよう企画されている製品中に活性剤を含む。インフリキシマブは、再構成および希釈用の無菌凍結乾燥ケーキとして供給されている。インフリキシマブのバイアルはそれぞれ、インフリキシマブ100mg、および第一リン酸ナトリウム一水和物、第二リン酸ナトリウム二水和物、スクロースおよびポリソルベート80などの賦形剤を含有する。
【0122】
デノスマブ(PROLIA(登録商標)およびXGEVA(登録商標))は、骨粗鬆症のリスクを有する閉経後女性、および固形腫瘍からの骨腫瘍転移の患者において使用するために承認された、ヒトmAbであり、最初のRANKL阻害剤である。デノスマブは、関節リウマチの処置に関して、第II相試験中である。
【0123】
パニツムマブは、疾患進行を伴う、EGFR発現性の転移性がんの処置のために、FDAにより承認された、完全ヒトmAbである。パニツムマブは、AmgenによりVECTIBIX(登録商標)という商標で上市されている。VECTIBIX(登録商標)は、IV注入用の5ml、10mlおよび15mlバイアル中に、20mg/mlのパニツムマブ濃縮製剤としてパッケージされている。添付文書に従って調製する場合、最終的なパニツムマブ濃度は、10mg/mlを超えない。VECTIBIX(登録商標)は、静脈内注入として、14日毎に、6mg/kgの投与量で投与される。本明細書で使用する場合、用語「パニツムマブ」は、国際一般名「パニツムマブ(PANITUMUMAB)」によって公知の、抗ヒト上皮成長因子受容体を含む。用語「パニツムマブ」は、AmgenによりVECTIBIX(登録商標)という商標で上市されている製品、およびそのバイオシミラーに活性剤を含む。用語「パニツムマブ」は、米国特許第6,235,883号において記載されている、モノクローナル抗体を含む。用語「パニツムマブ」は、BioXpress,SA(「BioXpress」)により開発中のバイオシミラーVECTIBIX(登録商標)を含めた、バイオシミラーVECTIBIX(登録商標)製品中に活性剤を含む。
【0124】
ベリムマブ(BENLYSTA(登録商標))は、B細胞活性化因子(BAFF)を阻害する、約151.8kDaの分子量を有する、ヒトmAbである。ベリムマブは、全身性エリテマトーデスの処置のために、米国、カナダおよび欧州において承認されている。ベリムマブは、10mg/kg投与量でIV注入により、ループス患者に現在投与されている。高分子量の低粘度タンパク質製剤は、ベリムマブを、好ましくは約400mg/mL〜約1,000mg/mLの濃度で含むことができる。好ましい範囲は、1mLの体積中、40〜100kg(約80〜220lbs)の体重に基づいて、計算される。
【0125】
アブシキシマブ(REOPRO(登録商標))は、Janssen Biologics BVにより製造され、Eli Lilly&Company(「Eli Lilly」)により販売されている。アブシキシマブは、キメラヒト−マウスモノクローナル抗体7E3のFab断片である。アブシキシマブは、ヒト血小板の糖タンパク質(GP)IIb/IIIa受容体に結合し、フィブリノーゲン、フォンヴィレブランド因子および他の接着分子の結合を阻止することにより、血小板凝集を阻害する。アブシキシマブは、血小板および血管壁内皮細胞および平滑筋細胞に見いだされる、ビトロネクチン(αvβ3)受容体にも結合する。アブシキシマブは、冠状動脈術中、およびその後に主に使用される、血小板凝集阻害剤である。アブシキシマブは、まず、0.25mg/kgのボーラスでIV注入により、続いて、0.125mcg/kg/分の12時間の連続IV注入により投与される。
【0126】
トシツモマブ(BEXXAR(登録商標))は、濾胞性リンパ腫の処置のための薬物である。トシツモマブは、不死化マウス細胞から誘導される、IgG2a抗CD20 mAbである。トシツモマブは、非放射性mAb、次いで放射性核種ヨウ素−131に共有結合している同じ抗体であるヨウ素(131I)トシツモマブという、逐次注入で投与される。臨床試験により、再発性の不応性濾胞性リンパ腫の患者における、トシツモマブ/ヨウ素トシツモマブレジメンの有効性が確立された。BEXXAR(登録商標)は、IV注入により、用量450mgで、現在投与されている。
【0127】
アレムツズマブ(CAMPATH(登録商標)、MABCAMPATH(登録商標)またはCAMPATH−1H(登録商標)として上市されており、また現在、LEMTRADA(登録商標)としてさらに開発中である)は、慢性リンパ性白血病(CLL)、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、およびT細胞リンパ腫の処置において使用される、mAbである。アレムツズマブは、多発性硬化症などのいくつかの自己免疫疾患の処置のために、臨床試験プロトコル下でも使用されている。アレムツズマブは約145.5kDaの重量を有する。アレムツズマブは、B細胞慢性リンパ性白血病の患者に、30mgのIV注入で毎日、投与されている。
【0128】
パリビズマブ(SYNAGIS(登録商標))は、呼吸器合胞体ウイルスのFタンパク質のA抗原部位におけるエピトープを対象とする、ヒト化mAbである。小児集団における、2つの第III相臨床試験において、パリビズマブにより、呼吸器合胞体ウイルス感染による入院リスクが55%および45%、低減された。パリビズマブは、15mg/kgのIM注射により、1か月に1回、投与される。
【0129】
オファツムマブは、早期のBリンパ球活性化を阻害すると思われる、ヒト抗CD20 mAbである。オファツムマブは、GlaxoSmithKline,plc(「GlaxoSmithKline」)により、ARZERRA(登録商標)という商標で上市されている。ARZERRA(登録商標)は、IV注入用に、100mg/5mLおよび1,000mg/50mLのオファツムマブを含有する、単回使用用バイアルで販売されている。オファツムマブは、慢性リンパ性白血病を処置するためにFDAにより承認され、濾胞性非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、関節リウマチ、および再発寛解型多発性硬化症を処置できる可能性も示している。オファツムマブは、約149kDaの分子量を有する。オファツムマブは、初期用量300mgでIV注入により、次いで、毎週、2,000mgの注入により、現在、投与されている。本明細書で使用する場合、用語「オファツムマブ」は、国際一般名「オファツムマブ(OFATUMUMAB)」により公知の、抗CD20 mAbを含む。用語「オファツムマブ」は、ARZERRA(登録商標)という商標で上市されている製品、およびそのバイオシミラー中に活性剤を含む。用語「オファツムマブ」は、BioExpressにより開発中の、バイオシミラーARZERRA(登録商標)製品中に、活性剤を含んでいる。高分子量の低粘度液状タンパク質製剤は、オファツムマブを、好ましくは約300mg/mL〜約2,000mg/mLの濃度で含むことができる。
【0130】
トラスツズマブエムタンシン(米国では、KADCYLA(登録商標)として上市されているアド−トラスツズマブエムタンシン)は、細胞傷害性剤であるメルタンシン(mertansine)(DM1(登録商標))に連結している、mAbトラスツズマブからなる、抗体−薬物コンジュゲートである。上で記載されているトラスツズマブは、HER2/neu受容体に結合することによって、がん細胞の成長を停止させる一方、メルタンシンは細胞に入り込み、微小管に結合することにより、細胞を破壊する。米国では、トラスツズマブエムタンシンは、再発性のHER2陽性の転移性乳がんの処置に、特に承認された。トラスツズマブエムタンシンの複数の第III相試験が計画されているか、または2014年において進行中である。トラスツズマブエムタンシンは、3.6mg/kgのIV注入により、現在、投与されている。高分子量の低粘度液状製剤は、トラスツズマブエムタンシンを、好ましくは約144mg/mL〜約360mg/mLの濃度で含むことができる。
【0131】
ペルツズマブ(PERJETA(登録商標))は、HER2の二量体化を阻害する、mAbである。ペルツズマブは、2012年に、HER2陽性の転移性乳がんの処置のためにFDA承認を受けた。現在推奨されている、ペルツズマブの投与量は、IV注入により、420mg〜840mgである。高分子量の低粘度液状製剤は、ペルツズマブを、好ましくは約420mg/mL〜約840mg/mLの濃度で含むことができる。
【0132】
ダクリズマブは、ヒト化抗CD25 mAbであり、臓器移植、とりわけ腎臓移植における拒絶を予防するために使用されている。この薬物はまた、多発性硬化症の処置について調査中である。ダクリズマブは、約143kDaの分子量を有する。ダクリズマブは、ZENAPAX(登録商標)としてHoffmann−La Roche,Ltd.(「Roche」)により米国で上市されており、1mg/kgのIV注入により投与された。再発寛解型多発性硬化症を処置するために、ダクリズマブハイ−イールドプロセス(Daclizumab High-Yield Process)(DAC HYP;BIIB019;Biogen Idec(「Biogen」)およびAbbVie,Inc.(「AbbVie」))が、1か月に1回、150mgの皮下注射として、第III相臨床試験にある。高分子量の低粘度液状製剤は、ダクリズマブを、好ましくは約40mg/mL〜約300mg/mLの濃度で含むことができる。
【0133】
エクリズマブ(SOLIRIS(登録商標))は、発作性夜間血色素尿症および非定型型溶血性尿毒症症候群などの、希な血液疾患の処置のために承認された、ヒト化mAbである。分子量約148kDaを有するエクリズマブは、Alexion Pharmaceuticals,Inc(「Alexion」)により開発中である。エクリズマブは、約600mg〜約1,200mgの量でIV注入により投与される。高分子量の低粘度液状製剤は、エクリズマブを、好ましくは約500mg/mL〜約1,200mg/mLの濃度で含むことができる。
【0134】
トシリズマブ(ACTEMRA(登録商標))は、インターロイキン−6受容体に対するヒト化mAbである。トシリズマブは、関節リウマチ(RA)、および小児におけるRAの深刻な形態である全身型若年性特発性関節炎を主に処置するための免疫抑制薬である。トシリズマブは、約6mg/kg〜約8mg/kgの用量で、IV注入により一般に、投与されている。高分子量の低粘度液状製剤は、トシリズマブを、好ましくは約240mg/mL〜約800mg/mLの濃度で含むことができる。
【0135】
リツキシマブ(RITUXAN(登録商標))は、過剰数のB細胞、過活性B細胞、または機能異常性B細胞により特徴付けられる、様々な疾患を処置するために使用される、キメラ抗CD20 mAbである。リツキシマブは、ホジキンリンパ腫、およびそのリンパ球優位型サブタイプを含めた、白血病およびリンパ腫などの、白血球系のがんを処置するために使用される。リツキシマブは、有効な関節リウマチ処置であることが示されている。リツキシマブは、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、および自己免疫貧血の困難な症例を処置するための、適応外で広く使用されている。
【0136】
リツキシマブは、米国では、BiogenおよびGenentechによりRITUXAN(登録商標)とういう商標で、および米国外では、Rocheにより、MABTHERA(登録商標)という商標で、共同で上市されている。RITUXAN(登録商標)は、100mg/10mLおよび500mg/50mLを含有する、単回使用用バイアルで販売されている。RITUXAN(登録商標)は、約375mg/m
2のIV注入により、通常、投与される。本明細書で使用する場合、用語「リツキシマブ」は、国際一般名/一般名「リツキシマブ(RITUXIMAB)」で公知の、抗CD20 mAbを含む。リツキシマブは、米国特許第5,736,137号に記載されているmAbを含む。リツキシマブは、RITUXAN(登録商標)およびMABTHERA(登録商標)という商標で上市されている製品、およびそのバイオシミラー中に活性剤を含む。
【0137】
高分子量の低粘度液状製剤は、リツキシマブを、好ましくは約475mg/mL〜約875mg/mLの濃度で含むことができる(5ft、40kg〜6ft、100kgの範囲のヒトに関して、Mostellerの式から誘導される、1.3〜2.3平方メートルの体表面積を使用して概算される)。濃度は、1mL製剤について計算されている。
【0138】
イピリムマブは、Bristol−Myers Squibb Company(「Bristol−Myers Squibb」)により開発された、ヒトmAbである。YERVOY(登録商標)として上市されている、イピリムマブは、黒色腫の処置に使用されており、かつ非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺がん(SCLC)、および転移性ホルモン不応性前立腺がんの処置のための臨床試験が行われている。イピリムマブは、3mg/kgのIV注入により、現在、投与されている。高分子量の低粘度液状製剤は、イピリムマブを、好ましくは約120mg/mL〜約300mg/mLの濃度で含むことができる。
【0139】
ラキシバクマブ(ABthrax(登録商標))は、吸入炭疽の予防および処置が意図される、ヒトmAbである。ラキシバクマブは、IV注入により、現在、投与されている。成人および50kgを超える小児において、示唆されている投与量は40mg/kgである。高分子量の低粘度液状製剤は、ラキシバクマブを、好ましくは約1,000mg/mL〜約4,000mg/mLの濃度で含むことができる。
【0140】
ニモツズマブ(THERACIM(登録商標)、BIOMAB EGFR(登録商標)、THERALOC(登録商標)、CIMAher(登録商標))は、頭頸部の扁平上皮癌、再発性または不応性の高悪性度悪性神経膠腫、未分化星状細胞腫、神経膠芽腫、およびびまん性内在性橋神経膠腫を処置するために使用されている、約151kDaの分子量を有する、ヒト化mAbである。ニモツズマブは、毎週、約200mgのIV注入により、通常、投与される。高分子量の低粘度液状製剤は、ニモツズマブを、好ましくは約200mg/mLの濃度で含むことができる。
【0141】
ブレンツキシマブベドチン(ADCETRIS(登録商標))は、古典型ホジキンリンパ腫および全身性未分化大細胞型リンパ腫において発現される、タンパク質CD30を対象とする、抗体−薬物コンジュゲートである。ブレンツキシマブベドチンは、約1.8mg/kgのIV注入により投与されている。高分子量の低粘度液状製剤は、ブレンツキシマブベドチンを、好ましくは約80mg/mL〜約200mg/mLの濃度で含むことができる。
【0142】
イトリズマブ(ALZUMAB(登録商標))は、Bioconにより開発されたヒト化IgG1 mAbである。イトリズマブは、中程度から重度の乾癬の患者において、第III相試験を成功裏に完了した。イトリズマブは、インドにおいて、販売承認を受けた。FDA承認を受けるための申請は、提出されていない。
【0143】
Rocheにより、元々、開発され、Biogenとの提携契約でさらに開発された、オビヌツズマブ(GAZYVA(登録商標))は、慢性リンパ性白血病の処置に承認された、ヒト化抗CD20 mAbである。オビヌツズマブはまた、様々なリンパ腫の患者を対象に、第III相臨床試験において、調査中である。約1,000mgという投与量がIV注入により、投与されている。
【0144】
セルトリズマブペゴル(CIMZIA(登録商標))は、約40kDaのポリエチレングリコール(PEG2MAL40K)にコンジュゲートされている、ヒト腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)に対する特異性を有する、組換えヒト化抗体Fab’断片である。セルトリズマブペゴルの分子量は、約91kDaである。
【0145】
粘度低下有機ホスフェートを用いて製剤化することができる、他の抗体治療薬は、Celltrion,Inc.(Celltrion)からのCT−P6を含む。
【0146】
後期段階の試験および開発中の抗体治療薬
【0147】
抗体治療薬の後期段階の臨床開発(late-stage clinical development)への進展、および規制当局による審査は、迅速なペースで進んでいる。2014年には、臨床試験において、300を超えるmAb、および後期段階の研究において評価を受けている、商業的に後援された30の抗体治療薬がある。2種のmAb(ベドリズマブおよびラムシルマブ)に関する最初の上市申請が、FDAに最近提出された。Amgenは、現在、追加的な試験の計画または患者の募集を含め、プラーク乾癬の患者において、ブロダルマブの使用に関する、複数の進行中の第III相試験を後援している。XBiotech,Incは、進行性がんまたは2型糖尿病の患者に対する、MABp1(Xilonix)の2つの第I相臨床試験を後援している。MABp1の追加の試験は、患者を募集しているところである。複数の試験がMedImmune,LLC(「MedImmune」)により後援され、モキセツモマブパスドトクス(moxetumomab pasudotox)による白血病の処置が進行中であるか、またはそのための患者を募集している。長期安全性および有効性研究が、慢性プラーク乾癬の処置のために、チルドラキズマブの使用が進行中である。様々ながんの処置のための、リロツムマブの使用に関する、複数の第II相試験は、最近、完了した。
【0148】
少なくとも28種のmAbが、炎症または免疫学的障害、がん、高コレステロール、骨粗鬆症、アルツハイマー病、および感染症の処置のための第III相研究が、現在行われているか、または最近完了した高分子量タンパク質である。第III相試験にあるか、またはそれを最近完了したmAbには、AMG145、エロツズマブ、エプラツズマブ、ファルレツズマブ(MORAb−003)、ガンテネルマブ(RG1450)、ゲボキズマブ、イノツズマブオゾガマイシン、イトリズマブ、イクセキズマブ、レブリキズマブ、メポリズマブ、ナプツモマブエスタフェナトクス、ネシツムマブ、ニボルマブ、オクレリズマブ、オナルツズマブ、ラコツモマブ、ラムシルマブ、レスリズマブ、ロモソズマブ、サリルマブ、セクキヌマブ、シルクマブ、ソラネズマブ、タバルマブおよびベドリズマブが含まれる。mAb混合物(アクトクスマブおよびベズロトクスマブ)も、第III相試験において評価中である。例えば、Reichert、MAbs 5巻:1〜4頁、2013年を参照されたい。
【0149】
ベドリズマブは、Millennium Pharmaceuticals,Inc(「Millennium」;武田薬品工業株式会社(「武田」)の子会社)により開発中のmAbである。ベドリズマブは、安全で、中程度から重症な潰瘍性大腸炎の患者における、臨床的寛解を誘導および維持するのに非常に有効であることが見いだされた。第III相臨床試験により、ベドリズマブが、クローン病および潰瘍性大腸炎の患者における、臨床的応答の誘導、および寛解の維持の目的に合致することが示された。長期臨床転帰を評価する研究により、患者のほぼ60%が臨床的寛解に達したことが示されている。ベドリズマブの一般的な用量は、IV注入による6mg/kgである。
【0150】
ラムシルマブは、固形腫瘍の処置のために開発中である、ヒトmAbである。乳がん、転移性胃腺癌、非小細胞肺がん、および他のタイプのがんを処置するための第III相臨床試験が、進行中である。ラムシルマブは、一部の第III相試験において、IV注入により、約8mg/kgで投入されている。
【0151】
リロツムマブは、肝細胞成長因子/分散因子の作用を阻害する、ヒトmAbである。Amgenにより開発されたリロツムマブが、固形腫瘍の処置として、第III相試験にある。進行性または転移性食道がんの患者における、リロツムマブ処置のオープン第III相研究により、IV注入による約15mg/kgのリロツムマブが投与される。
【0152】
やはりAmgenにより開発された、エボロクマブ(AMG145)は、PCSK9に結合する、mAbである。エボロクマブは、高コレステロール血症および高脂血症に適応される。
【0153】
アリロクマブ(REGN727)は、高コレステロール血症および急性冠症候群に適応される、Regeneron Pharmaceuticals,Inc.(「Regeneron」)およびSanofi−Aventis U.S.LLC(「Sanofi」)からのヒトmAbである。
【0154】
Active Biotech AB(「Active Biotech」)からの、ABR−217620すなわちナプツモマブエスタフェナトクスは、腎細胞癌に適応される、mAbである。
【0155】
CIMAB、SA(「CIMAB」);Laboratorio Elea S.A.C.I.F.y Aからのラコツモマブは、非小細胞肺がんに適応される、mAbである。
【0156】
粘度低下有機ホスフェートを用いて製剤化され得る、他の抗体には、ボコシズマブ(PF−04950615)およびタネズマブ;Amgenからのガニツマブ、ブリナツモマブ、トレバナニブ;Cangene Corporationからの炭疽免疫グロブリン;MacroGenics,Inc.からのテプリズマブ;Merck&Co(「Merck」)からのMK−3222、MK−6072;Wilex AGからのギレンツキシマブ;Navidea Biopharmaceuticals(「Navidea」)からのRIGScan;PfizerからのPF−05280014;中外製薬株式会社(「中外」)からのSA237;Janssen/Johnson and Johnson Services,Inc.(「J&J」)からのグセルクマブ;Kyowaからの抗トロンビンガンマ(KW−3357);およびCelltrionからのCT−P10が含まれる。
【0158】
多くのmAbが臨床試験に最近入ったか、または入っている。それらは、好ましくは、約120kDa超、通常、約140kDa〜約180kDaの分子量を有するものをIV注入により、現在、投与されているタンパク質を含むことができる。それらは、やはり臨床試験に入っているか、またはFDAにより承認された、アルブミン−コンジュゲートされている薬物またはペプチドなどの、こうした高分子量タンパク質も含むことができる。Amgenからの多数のmAbが、現在、臨床試験にある。これらは、高分子量タンパク質、例えば、AmgenおよびAstraZenecaにより共同で開発され、かつ現在、ループスの処置に関する第I相試験中の、ヒトモノクローナル抗体であるAMG557とすることができる。同様に、AMG729は、Amgenにより開発されており、かつ現在、ループスおよび関節リウマチの処置に関する第I相試験中の、ヒト化mAbである。さらに、AMG110は、上皮細胞接着分子に対するmAbである。AmgenおよびAstraZenecaにより共同開発されたAMG157は、喘息の処置に関して、現在第I相にある、ヒトmAbである。AMG167は、オステオペニアの処置に関して、複数の第I相試験において評価されている、ヒト化mAbである。第I相の用量研究を完了し、かつ片頭痛および潮紅の処置に関して、現在、第II相研究にある、AMG334は、カルシトニン遺伝子関連ペプチドを阻害する、ヒトmAbである。AMG780は、内皮細胞選択的Tie2受容体と、そのリガンドであるAng1およびAng2との間の相互作用を阻害する、ヒト抗アンジオポエチンmAbであり、がん処置としての第I相試験を最近、完了した。AMG811は、全身性エリテマトーデスの処置として調査中の、インターフェロンガンマを阻害するヒトモノクローナル抗体である。AMG820は、c−fmsを阻害し、腫瘍関連性マクロファージ(TAM)機能を低下させるヒトmAbであり、がん処置として調査中である。AmgenおよびAstraZenecaにより共同開発された、AMG181は、アルファ4/ベータ7の作用を阻害する、ヒトmAbであり、潰瘍性大腸炎およびクローン病の処置として、第II相試験にある。
【0159】
多くのmAbが、現在、自己免疫性障害の処置について、臨床試験にある。これらのmAbは、高分子量の低粘度液状製剤中に含まれ得る。RG7624は、サイトカインのヒトインターロイキン−17ファミリーに特異的かつ選択的に結合するよう設計されている、完全ヒトmAbである。自己免疫疾患に関して、RG7624を評価する第I相臨床試験が、進行中である。BIIB033は、多発性硬化症の処置に関して、現在、第II相試験中である、Biogenによる抗LINGO−1 mAbである。
【0160】
高分子量タンパク質はまた、ループスの処置に関して、最近、第I相試験を完了した、Argos Therapeutics,Inc.により開発された、IFNアルファを標的とするmAbであるAGS−009も含むことができる。患者は、IV注入により、AGS−009を最大30mg/kg投与される。AbbVieにより開発されたBT−061が、関節リウマチの患者に関して、第II相試験にある。セルトリズマブペゴル(CIMZIA(登録商標))は、強直性脊椎炎および若年性関節リウマチに関する第II相試験にある、mAbである。抗IL−6 mAbである、クラザキズマブは、Bristol−Myers Squibbにより第II相試験にある。
【0161】
CNTO−136(シルクマブ)およびCNTO−1959は、Janssenによる第II相試験および第III相試験を最近、完了したmABである。ダクリズマブ(Rocheにより、ZENAPAX(登録商標)として以前に上市された)は、多発性硬化症の処置に関して、現在、AbbVieによる複数の第III相試験中にあるか、または最近完了した。エプラツズマブは、ループスの処置に関する第III相試験にある、ヒト化mAbである。カナキヌマブ(ILARIS(登録商標))は、インターロイキン−1ベータを標的とする、ヒトmAbである。カナキヌマブは、クリオピリン関連周期熱症候群(periodic syndromes)の処置について承認された。カナキヌマブは、慢性閉塞性肺疾患、痛風および冠動脈疾患を処置できる可能性があるものとして、第I相試験中である。マブリリムマブは、関節リウマチの処置のために設計されている、ヒトmAbである。Cambridge Antibody TechnologyによりCAM−3001として発見された、マブリリムマブは、MedImmuneにより開発中である。
【0162】
MEDI−546およびMEDI−570は、ループスの処置に関して、AstraZenecaにより、現在、第I相および第II相試験中である、mAbである。MEDI−546は、300〜1,000mgの定期的なIV注入による第II相研究において、投与されている。様々な適応症のために、AstraZenecaにより開発中の別のmAbであるMEDI−551も、IV注入により、現在、投与されている。Novo Nordisk A/S(「Novo Nordisk」)により開発中の、C5aR受容体を遮断するmAbである、NN8209は、関節リウマチの処置に関する第II相用量試験を完了した。NN8210は、Novo Nordiskにより開発中の、別の抗C5aR mAbであり、現在、第I相試験中である。IPH2201(NN8765)は、炎症状態および自己免疫疾患の患者を処置するために、Novo Nordiskにより開発中の、NKG2Aを標的とするヒト化mAbである。NN8765は、最近、第I相試験を完了した。
【0163】
オロキズマブは、サイトカインIL−6を強力に標的とする、ヒト化mAbである。IL−6は、いくつかの自己免疫経路および炎症経路に関与している。オロキズマブは、関節リウマチの処置に関する第II相試験を完了した。TRX4としても知られているオテリキシズマブは、I型糖尿病、関節リウマチ、および他の自己免疫疾患を処置するために開発中の、mAbである。オゾラリズマブは、第II相試験を完了したヒト化mAbである。
【0164】
Pfizerは、ループスの処置のために、mAbであるPD−360324およびPF−04236921の第I相試験を現在、有している。リツキシマブバイオシミラーであるPF−05280586は、Pfizerにより開発されたものであり、関節リウマチに関する第I相/第II相試験中である。
【0165】
ロンタリズマブは、Genentechにより開発中の、ヒト化mAbである。ロンタリズマブは、ループスの処置に関する第II相試験を最近、完了した。SAR113244(抗CXCR5)は、第I相試験中の、SanofiによるmAbである。シファリムマブ(抗IFNアルファmAb)は、ループスの処置に関する第II相試験中のmAbである。
【0166】
高分子量の低粘度液状製剤は、様々な血液障害を処置するための臨床開発の早期段階にあるmAbの1つを含むことができる。例えば、ベリムマブ(BENLYSTA(登録商標))は、脈管炎の患者を対象とする第I相試験を最近、完了した。血液障害に関する試験の早期段階にある他のmAbには、Boehringer Ingelheim GmbH「Boehringer Ingelheim」からのBI−655075、Eli LilyからのフェロポーチンmAbおよびヘプシジンmAb、およびSelexys Pharmaceuticals,Corp.(「Selexys」)からのSelG1が含まれる。
【0167】
様々ながんおよび関連状態を処置するための開発の早期段階にある1種または複数のmAbが、低粘度の高分子量液状製剤中に含まれ得る。United Therapeutics,Corporationは、第I相試験中の2種のmAbである8H9 mAbおよびch14.18 mAbを有している。AbbVieからのmAbである、ABT−806、エナバツズマブ、およびボロシキシマブが、開発の早期段階にある。Actinium Pharmaceuticals,Incは、mAbである、アクチマブ−A(M195 mAb)、抗CD45 mAb、およびイオマブ−Bに関する、早期段階の試験を実施した。Seattle Genetics,Inc.(「Seattle Genetics」)はがんおよび関連状態に関する早期段階の試験中の、抗CD22 ADC(RG7593;ピナツズマブベドチン)、抗CD79b ADC(RG7596)、抗STEAP1 ADC(RG7450)、Agensys,Inc.(「Agensys」)からのASG−5MEおよびASG−22ME、抗体−薬物コンジュゲートであるRG7458、およびボルセツズマブマフォドチンを含む、いくつかのmAbを有する。ALT−836、抗体−薬物コンジュゲートであるRG7600およびDEDN6526A、抗CD22 ADC(RG7593)、抗EGFL7 mAb(RG7414)、抗HER3/EGFR DAF mAb(RG7597)、抗PD−L1 mAb(RG7446)、DFRF4539A、MINT1526Aを含む、Genentechからの早期がんの治療薬が、低粘度製剤中に含まれ得る。Bristol−Myers Squibbは、抗CXCR4、抗PD−L1、IL−21(BMS−982470)、リリルマブおよびウレルマブ(抗CD137)として特定されているものを含む、がんの治療薬に関する、早期段階のmAbを開発中である。がんの治療薬としての試験が早期段階にある他のmAbには、Apeiron Biologics AGからのAPN301(hu14.18−IL2)、AVEO Pharmaceuticals,Inc.(「AVEO」)からのAV−203、AlphaVaxからのAVX701およびAVX901、Baxter International,Inc.(「Baxter」)からのBAX−69、Bayer HealthCare AGからのBAY79−4620およびBAY20−10112、Novartis AGからのBHQ880、AREVA Medからの212−Pb−TCMCトラスツズマブ、AbGenomics International IncからのAbGn−7、およびAbiogen Pharma S.p.AからのABIO−0501(TALL−104)が含まれる。
【0168】
粘度低下有機ホスフェートを用いて製剤化することができる他の抗体治療薬には、アルズマブ、GA101、ダラツムマブ、シルツキシマブ、ALX−0061、ALX−0962、ALX−0761、ビマグマブ(BYM338)、CT−011(ピジリズマブ)、アクトクスマブ/ベズロトクスマブ(MK−3515A)、MK−3475(ペムブロリズマブ)、ダロツズマブ(MK−0646)、イクルクマブ(IMC−18F1、LY3012212)、AMG139(MEDI2070)、SAR339658、デュピルマブ(REGN668)、SAR156597、SAR256212、SAR279356、SAR3419、SAR153192(REGN421、エノチクマブ)、SAR307746(ネスバクマブ)、SAR650984、SAR566658、SAR391786、SAR228810、SAR252067、SGN−CD19A、SGN−CD33A、SGN−LIV1A、ASG15ME、抗LINGO、BIIB037、ALXN1007、テプロツムマブ、コンシズマブ、アンルキンズマブ(IMA−638)、ポネズマブ(PF−04360365)、PF−03446962、PF−06252616、エトロリズマブ(RG7413)、クイリズマブ、ラニビズマブ、ラムパリズマブ、オンクラクマブ、ゲンテネルマブ、クレネズマブ(RG7412)、IMC−RON8(ナルナツマブ)、トレメリムマブ、バンチクツマブ、エエムシズマブ(eemcizumab)、オザネズマブ、マパツムマブ、トラロキヌマブ、XmAb5871、XmAb7195、シクスツムマブ(LY3012217)、LY2541546(ブロソズマブ)、オララツマブ(LY3012207)、MEDI4893、MEDI573、MEDI0639、MEDI3617、MEDI4736、MEDI6469、MEDI0680、MEDI5872、PF−05236812(AAB−003)、PF−05082566、BI 1034020、RG7116、RG7356、RG7155、RG7212、RG7599、RG7636、RG7221、RG7652(MPSK3169A)、RG7686、HuMaxTFADC、MOR103、BT061、MOR208、OMP59R5(抗notch 2/3)、VAY736、MOR202、BAY94−9343、LJM716、OMP52M51、GSK933776、GSK249320、GSK1070806、NN8828、CEP−37250/KHK2804 AGS−16M8F、AGS−16C3F、LY3016859、LY2495655、LY2875358、およびLY2812176が含まれる。
【0169】
粘度低下有機ホスフェートを用いて製剤化することができる他の早期段階にあるmAbには、AstraZenecaおよびMedImmuneからのベンラリズマブ、MEDI−8968、アニフロルマブ、MEDI7183、シファリムマブ、MEDI−575、トラロキヌマブ;Biogen Idec/エーザイ株式会社(「エーザイ」)/BioArctic Neuroscience ABからのBAN2401;Biogenからの抗CD40Lの一価PEG化Fab抗体断片であるCDP7657、抗avB6 mAbであるSTX−100、BIIB059、抗TWEAK(BIIB023)およびBIIB022;JanssenおよびAmgenからのフルラヌマブ;BioInvent International/GenentechからのBI−204/RG7418;Biotest Pharmaceuticals CorporationからのBT−062(インダツキシマブラブタンシン);Boehringer Ingelheim/XencorからのXmAb;Bristol−Myers Squibbからの抗IP10;BZL Biologics LLCからのJ591Lu−177;Celldex TherapeuticsからのCDX−011(グレムバツムマブベドチン)、CDX−0401;Crucellからのフォラビルマブ;第一三共株式会社からのチガツズマブ;エーザイからのMORAb−004、MORAb−009(アマツキシマブ);Eli LillyからのLY2382770;EMD Serono Inc.からのDI17E6;Emergent BioSolutions,Inc.からのザノリムマブ;FibroGen,Inc.からのFG−3019;Fresenius SE&Co.KGaAからのカツマキソマブ;Genentechからのパテクリズマブ、ロンタリズマブ;Genzyme&Sanofiからのフレソリムマブ;GileadからのGS−6624(シムツズマブ);JanssenからのCNTO−328、バピネウズマブ(AAB−001)、カルルマブ、CNTO−136;KaloBios Pharmaceuticals,Inc.からのKB003;KyowaからのASKP1240;Labrys Biologics Inc.からのRN−307;Life Science Pharmaceuticalsからのエクロメキシマブ;Eli LillyからのLY2495655、LY2928057、LY3015014、LY2951742;MassBiologicsからのMBL−HCV1;MENTRIK Biotech,LLCからのAME−133v;Merck KGaAからのアビツズマブ;Merrimack PharmaceuticalsからのMM−121;Novartis AGからのMCS110、QAX576、QBX258、QGE031;Novartis AGおよびXOMA Corporation(「XOMA」)からのHCD122;Novo NordiskからのNN8555;Peregrine Pharmaceuticals,Inc.からのバビツキシマブ、コタラ;Progenics Pharmaceuticals,Inc.からのPSMA−ADC;Quest Pharmatech,Inc.からのオレゴボマブ;Regeneronからのファシヌマブ(REGN475)、REGN1033、SAR231893、REGN846;RocheからのRG7160、CIM331、RG7745;TaiMed Biologics Inc.からのイバリズマブ(TMB−355);Theraclone SciencesからのTCN−032;TRACON Pharmaceuticals,Inc.からのTRC105;United Biomedical Inc.からのUB−421;Viventia Bio,Inc.からのVB4−845;AbbVieからのABT−110;Ablynxからのカプラシズマブ、オゾラリズマブ;CytoDyn,Inc.からのPRO140;Medarex,Inc.からのGS−CDA1、MDX−1388;AmgenからのAMG827、AMG888;TG Therapeutics Inc.からのウブリツキシマブ;Tolera Therapeutics,IncからのTOL101;ImmunoGen Inc.からのhuN901−DM1(ロルボツズマブメルタンシン);Immunomedics,Inc.からのエプラツズマブY−90/ベルツズマブの組合せ物(IMMU−102);Agenix,Limitedからの抗フィブリンmAb/3B6/22 Tc−99m;Alder Biopharmaceuticals,Inc.からのALD403;PfizerからのRN6G/PF−04382923;CG Therapeutics,Inc.からのCG201;KaloBios Pharmaceuticals/SanofiからのKB001−A;KyowaからのKRN−23;Immunomedics,Inc.からのY−90hPAM4;Morphosys AG&OncoMed Pharmaceuticals,Inc.からのタレキシツマブ;Morphosys AG&Novartis AGからのLFG316;Morphosys AG&JannsenからのCNTO3157、CNTO6785;Roche&中外からのRG6013;Merrimack Pharmaceuticals,Inc.(「Merrimack」)からのMM−111;GlaxoSmithKlineからのGSK2862277;AmgenからのAMG282、AMG172、AMG595、AMG745、AMG761;BioconからのBVX−20;CelltrionからのCT−P19、CT−P24、CT−P25、CT−P26、CT−P27、CT−P4;GlaxoSmithKlineからのGSK284933、GSK2398852、GSK2618960、GSK1223249、GSK933776A;Morphosys AG&Bayer AGからのアネツマブラブタンシン;Morphosys AG&Boehringer IngelheimからのBI−836845;Morphosys AG&Novartis AGからのNOV−7、NOV−8;MerrimackからのMM−302、MM−310、MM−141、MM−131、MM−151;Roche&Seattle GeneticsからのRG7882;Roche/GenentechからのRG7841;PfizerからのPF−06410293、PF−06438179、PF−06439535、PF−04605412、PF−05280586;RocheからのRG7716、RG7936、ゲンテネルマブ、RG7444;AstrazenecaからのMEDI−547、MEDI−565、MEDI1814、MEDI4920、MEDI8897、MEDI−4212、MEDI−5117、MEDI−7814;Bristol−Myers Squibbからのウロクプルマブ、PCSK9アドネクチン;FivePrime Therapeutics,Inc.からのFPA009、FPA145;GileadからのGS−5745;協和発酵キリン株式会社からのBIW−8962、KHK4083、KHK6640;Merck KGaAからのMM−141;RegeneronからのREGN1154、REGN1193、REGN1400、REGN1500、REGN1908−1909、REGN2009、REGN2176−3、REGN728;SanofiからのSAR307746;Seattle GeneticsからのSGN−CD70A;AblynxからのALX−0141、ALX−0171;Immunomedics,Inc.からのミラツズマブ−DOX、ミラツズマブ、TF2;MillenniumからのMLN0264;AbbVieからのABT−981;AbGenomics International Inc.からのAbGn−168H;AVEOからのフィクラツズマブ;BioInvent InternationalからのBI−505;Celldex TherapeuticsからのCDX−1127、CDX−301;Cellerant Therapeutics Inc.からのCLT−008;CircadianからのVGX−100;第一三共株式会社からのU3−1565;Dekkun Corp.からのDKN−01;Eli Lillyからのフランボツマブ(TYRP1タンパク質)、IL−1β抗体、IMC−CS4;Eli LillyおよびImClone、LLCからのVEGFR3 mAb、IMC−TR1(LY3022859);Elusys Therapeutics Inc.からのアンチム;Galaxy Biotech LLCからのHuL2G7;ImmunoGen Inc.からのIMGB853、IMGN529;JanssenからのCNTO−5、CNTO−5825;化血研からのKD−247;KaloBios PharmaceuticalsからのKB004;MacroGenics,Inc.からのMGA271、MGAH22;MorphoSys AG/XencorからのXmAb5574;Neogenix Oncology,Inc.からのエンシツキシマブ(NPC−1C);Novartis AGおよびXOMAからのLFA102;Novartis AGからのATI355;Santarus Inc.からのSAN−300;SelexysからのSelG1;Targa Therapeutics,Corp.からのHuM195/rGel;Teva Pharmaceuticals,Industries Ltd.(「Teva」)およびVaccinex Inc.からのVX15;Theraclone SciencesからのTCN−202;XencorからのXmAb2513、XmAb5872;XOMAおよび米国国立アレルギー感染症研究所からのXOMA3AB;MabVax Therapeuticsからの神経芽細胞腫抗体ワクチン;CytoDyn,Inc.からのサイトリン;Emergent BioSolutions Inc.からのトラヴィキサ(Thravixa);およびCytovance BiologicsからのFB301;JanssenおよびSanofiからの狂犬病mAb;Janssenからのものであり、米国国立衛生研究所により一部、資金提供されているインフルエンザmAb;Mapp Biopharmaceutical,Inc.からのMB−003およびZMapp;およびDefyrus Inc.からのZMabが含まれる。
【0171】
タンパク質は、酵素、融合タンパク質、ステルスまたはPEG化タンパク質、ワクチン、または他には生物活性なタンパク質(またはタンパク質混合物)とすることができる。用語「酵素」とは、本明細書で使用する場合、標的分子の所望の産物への生化学的変換を触媒する、タンパク質またはその機能性断片を指す。
【0172】
薬物としての酵素は、少なくとも2つの重要な特徴を有する。すなわちi)多くの場合、高い親和性および特異性でその標的に結合して作用すること、およびii)触媒的であり、複数の標的分子を所望の産物に変換することである。ある特定の実施形態では、タンパク質は、本明細書で定義されている通り、PEG化され得る。
【0173】
用語「融合タンパク質」とは、本明細書で使用する場合、2種の個別のタンパク質をコードする、2種の異なる遺伝子から作られる、タンパク質を指す。融合タンパク質は、当業者に公知の組換えDNA技法により一般的に産生される。2種のタンパク質(またはタンパク質断片)は、共有結合で一緒に融合されて、両方の親タンパク質からの特性を示す。
【0174】
いくつかの融合タンパク質が、上市されている。
【0175】
ENBREL(登録商標)(エタネルセプト)は、TNFを競合的に阻害する、Amgenにより上市されている融合タンパク質である。
【0176】
抗血友病因子のFc融合タンパク質である、ELOCTATE(登録商標)(組換え体)は、血友病A(先天性第VIII因子欠損)の成人および小児において、出血エピソードの制御および予防、周術期管理、出血エピソードを予防するかまたはその頻度を低減するための日常的な予防に適応される、組換えDNAに由来する、抗血友病因子である。
【0177】
EYLEA(登録商標)(アフリベルセプト)は、硝子体内投与のための等浸透圧溶液として製剤化されている、ヒトIgG1のFc部分に融合したヒトVEGF受容体1および2の細胞外ドメインの一部からなる組換え融合タンパク質である。EYLEA(アフリベルセプト)は、硝子体内投与のための等浸透圧溶液として製剤化されている、ヒトIgG1のFc部分に融合したヒトVEGF受容体1および2の細胞外ドメインの一部からなる組換え融合タンパク質である。アフリベルセプトは、タンパク質の分子量が97キロダルトン(kDa)を有する二量体の糖タンパク質であり、かつ全分子質量のさらに15%を構成するグリコシル化を含有しており、結果として全分子量が115kDaになる。アフリベルセプトは、組換えチャイニーズハムスターの卵巣(CHO)細胞において産生され、Regeneronにより上市されている。
【0178】
凝固第IX因子のFc融合タンパク質である、ALPROLIX(商標)(組換え体)は、血友病Bの成人および小児において、出血エピソードの制御および予防、周術期管理、出血エピソードを予防するかまたはその頻度を低減するための日常的な予防に適応される、組換えDNAに由来する、凝固第IX因子濃縮製剤である。
【0179】
ペグロチカーゼ(KRYSTEXXA(登録商標))は、Savient Pharmaceuticals,Inc.により開発された、重度の処置不応性の慢性痛風の処置のための薬物であり、この適応症に最初に承認された薬物である。ペグロチカーゼは、分子量約497kDaを有する、PEG化されている組換えブタ様ウリカーゼである。ペグロチカーゼは、約8mg/kgのIV注入により、現在、投与されている。高分子量の低粘度液状製剤は、ペグロチカーゼを、好ましくは約300mg/mL〜約800mg/mLの濃度で含むことができる。
【0180】
アルテプラーゼ(ACTIVASE(登録商標))は、組換えDNA技術により産生された、組織プラスミノーゲン活性化因子である。アルテプラーゼは、527個のアミノ酸を含む精製された糖タンパク質であり、ヒト黒色腫細胞系から得られる、天然のヒト組織型プラスミノーゲン活性化因子に対する、相補的DNA(cDNA)を使用することにより合成される。アルテプラーゼは、卒中の症状の直後に、約100mgのIV注入により投与される。一部の実施形態では、好ましくは約100mg/mLの濃度で、アルテプラーゼを含有する低粘度製剤が提供される。
【0181】
グルカルピターゼ(VORAXAZE(登録商標))は、損傷した腎臓機能を有するがん患者の処置の間の、高レベルのメトトレキセート(少なくとも1micromol/Lとして定義)の処置のためのFDAが承認した薬物である。グルカルピターゼは、約50IU/kgの単回用量で、IVにより投与される。一部の実施形態では、グルカルピターゼを含有する低粘度製剤が提供される。
【0182】
アルグルコシダーゼアルファ(LUMIZYME(登録商標))は、希なリソソーム貯蔵障害である、ポンペ病(II型糖原病)の処置のための、酵素置換療法のオ−ファンドラッグである。アルグルコシダーゼアルファは、分子量約106kDaを有しており、約20mg/kgのIV注入により、現在、投与されている。一部の実施形態では、好ましくは濃度約100mg/mL〜約2,000mg/mLを有する、アルグルコシダーゼアルファの低粘度医薬製剤が提供される。
【0183】
ウシペガデマーゼ(Pegdamase bovine)(ADAGEN(登録商標))は、アデノシンデアミナーゼの欠損と関連する、重症複合型免疫不全症(SCID)の処置のための酵素置換療法に使用される、修飾酵素である。ウシペガデマーゼは、ウシの腸に由来するアデノシンデアミナーゼ酵素に共有結合で結合している、モノメトキシポリエチレングリコール(PEG)(分子量5,000Da)の様々な鎖のコンジュゲートである。
【0184】
α−ガラクトシダーゼは、糖脂質であるグロボトリアオシルセラミド(GL−3)の加水分解を触媒して、ガラクトースおよびセラミドジヘキソシドにする、リソソーム酵素である。ファブリー病は、α−ガラクトシダーゼの正常以下の酵素活性、およびその結果であるGL−3の蓄積を特徴とする、希な遺伝性リソソーム蓄積症である。アガルシダーゼアルファ(REPLAGAL(登録商標))は、ヒト細胞系により産生される、ヒトα−ガラクトシダーゼA酵素である。アガルシダーベータ(FABRAZYME(登録商標))は、CHO細胞系において発現する、組換えヒトα−ガラクトシダーゼである。レプラガルは、ファブリー病の処置、およびゴーシェ病の処置(適応外)のために、静脈内注入により、1週間おきに0.2mg/kgの用量で投与される。FABRAZYME(登録商標)は、IV注入により、1週間おきに1.0mg/kg体重の用量で投与される。他のリソソーム酵素も使用することができる。例えば、タンパク質は、US2012/0148556において記載されている、リソソーム酵素とすることができる。
【0185】
ラスブリカーゼ(ELITEK(登録商標))は、腫瘍の溶解およびその後の血漿尿酸の上昇をもたらすことが予期される、抗がん療法を受けている、白血病、リンパ腫および固形悪性腫瘍の小児および成人患者における、血漿尿酸レベルの初期管理を適応とする、組換え尿酸オキシダーゼである。ELITEK(登録商標)は、0.2mg/kgの投与量でIV注入により、毎日投与される。
【0186】
イミグルセラーゼ(CEREZYME(登録商標))は、ヒトβ−グルコセレブロシダーゼの組換えアナログである。初期投与量は、2.5U/kg体重で1週間に3回から60U/kgで2週間毎に1回の範囲である。CEREZYME(登録商標)は、IV注入により投与される。
【0187】
パクリタキセルがコンジュゲートしたアルブミンであるアブラキサンは、転移性乳がん、非小細胞肺がん、および末期のすい臓がんに承認を受けている。
【0188】
タリグルセラーゼアルファ(ELEYSO(登録商標))は、I型ゴーシェ病の長期酵素置換療法に適応される、加水分解性リソソームグルコセレブロシド特異的酵素である。推奨される用量は、60U/kg体重で、静脈内注入により、2週間毎に1回、投与される。
【0189】
ラロニダーゼ(ALDURAZYME(登録商標))は、CHO細胞系により産生される、ヒト酵素α−L−イズロニダーゼの多形変異体である。推奨されるALDURAZYME(登録商標)の投与量レジメンは、0.58mg/kgで、静脈内注入として毎週1回、投与される。
【0190】
エロスファーゼアルファ(VIMIZIM(登録商標))は、BioMarin Pharmaceuticals Inc(「BioMarin」)によりCHO細胞系によって産生される、ヒトN−アセチルガラクトサミン−6−スルファターゼである。エロスファーゼアルファは、IVA型ムコ多糖症の処置に、2014年2月14日にFDAにより承認された。エロスファーゼアルファは、2mg/kgの投与量で、静脈内注入により、毎週投与される。
【0191】
粘度低下有機ホスフェートを用いて製剤化することができる他のバイオロジックスには、黒脚病菌アスパラギナーゼ(asparaginase erwinia chrysanthemi)(ERWINAZE(登録商標))、インコボツリヌムトキシンA(XEOMIN(登録商標))、EPOGEN(登録商標)(エポエチンアルファ)、PROCRIT(登録商標)(エポエチンアルファ)、ARANESP(登録商標)(ダルベポエチンアルファ)、ORENCIA(登録商標)(アバタセプト)、BATASERON(登録商標)(インターフェロンベータ−1b)、NAGLAZYME(登録商標)(ガルスルファーゼ);ELAPRASE(登録商標)(イデュルスルファーゼ);MYOZYME(登録商標)(LUMIZYME(登録商標)、アルグコシダーゼアルファ);VPRIV(登録商標)(ベラグルセラーゼ)、アボボツリヌムトキシンA(abobotulinumtoxin A)(DYSPORT(登録商標));BaxterからのBAX−326、オクトコグアルファ;GlaxoSmithKlineからのシンクリア;Eli Lillyからのリプロタマーゼ;AuxiliumおよびBioSpecifics Technologies Corp.からのXiaflex(クロストリジウムヒストリチクムのコラゲナーゼ(collagenase clostridium histolyticum));Swedish Orphan Biovitrum ABからのアナキンラ;Bristol−Myers Squibbからのメトレレプチン;Biogenからのアボネックス、プレグリディ(BIIB017);Novo NordiskからのNN1841、NN7008;KyowaからのKRN321(ダルベポエチンアルファ)、AMG531(ロミプロスチム)、KRN125(ペグフィルグラスチム)、KW−0761(モガムリズマブ);Inspiration BiopharmaceuticalsからのIB1001;Canyon Pharmaceuticals Groupからのイプリバスクが含まれる。
【0193】
Versartis,Inc.のVRS−317は、XTEN半減期延長技術を利用する、組換えヒト成長ホルモン(hGH)融合タンパク質である。VRS−317は、hGH欠損患者にとって、必要なhGH注射の頻度を低減することを狙いとするものである。VRS−317は、その有効性を非誘導化hGHの毎日の注射と比較した第II相研究を、陽性結果をもって完了した。第III相研究が計画されている。
【0194】
ビブリオリシンは、グラム陰性海洋微生物である、Vibrio proteolyticusにより分泌される、タンパク質分解酵素である。このエンドプロテアーゼは、タンパク質の疎水性領域に対して特異的な親和性を有しており、タンパク質を疎水性アミノ酸の付近で切断することができる。ビブリオリシンは、火傷の清浄化および/または処置のために、Biomarinにより、現在、調査が行われている。ビブリオリシン製剤は、特許WO02/092014に記載されている。
【0195】
PEG−PAL(PEG化組換えフェニルアラニンアンモニアリアーゼまたは「PAL」)は、酵素のフェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)の欠乏により引き起こされる、遺伝性の代謝性疾患である、フェニルケトン尿症(PKU)の処置のための、治験が行われている酵素置換療法である。PEG−PALは、血液中フェニルアラニン(Phe)レベルが、KUVAN(登録商標)により適切に制御されない、患者を処置できる可能性があるものとして開発中のものである。PEG−PALは、現在、KUVAN(登録商標)に適切に応答しない患者を処置するための、第2相臨床開発中にある。
【0196】
粘度低下有機ホスフェートを用いて製剤化することができる、他のタンパク質治療薬には、アルプロリクス/rFIXFc、エロクテート/rFVIIIFc、BMN−190;BMN−250;ラマザイム;ガラザイム;ZA−011;セベリパーゼアルファ;SBC−103;およびHGT−1110が含まれる。さらに、XTEN半減期延長技術を含んでいる融合タンパク質であって、以下を含むがそれに限定されない融合タンパク質:VRS−317 GH−XTEN;第VIIa因子、第VIII因子、第IX因子;PF05280602、VRS−859;エクセナチド−XTEN;AMX−256;GLP2−2G/XTEN;およびAMX−179フォレート−XTEN−DM1が、粘度低下有機ホスフェートを用いて製剤化することができる。
【0197】
粘度低下有機ホスフェートを用いて製剤化することができる他の後期段階にあるタンパク質治療薬には、CureMark LLCからのCM−AT;Novo NordiskからのNN7999、NN7088、リラグルチド(NN8022)、NN9211、セマグルチド(NN9535);AmgenからのAMG386、フィルグラスチム;CSL BehringからのCSL−654、第VIII因子;Novartis AGからのLA−EP2006(ペグフィルグラスチムバイオシミラー);CEL−SCI Corporationからのムルチキン(白血球インターロイキン);Eli LillyからのLY2605541、テリパラチド(組換えPTH1−34);Nuron Biotech,Inc.からのNU−100;Sigma−Tau Pharmaceuticals,Inc.からのカラスパルガーゼペゴル;Polaris Pharmaceuticals,Inc.からのADI−PEG−20;BioMarinからのBMN−110、BMN−702;Molmed S.p.A.からのNGR−TNF;Pharming Group/Santarus Inc.からの組換えヒトC1エステラーゼ阻害剤;LG Life Sciences LTDからのソマトロピンバイオシミラー;NPS Pharmaceuticals,Inc.からのNatpara;旭化成株式会社からのART123;BaxterからのBAX−111;Inspiration BiopharmaceuticalsからのOBI−1;Octapharma AGからのウィレート(Wilate);Agennix AGからのタラクトフェリンアルファ;Lundbeckからのデスモテプラーゼ;Shireからのシンライズ(Cinryze);RocheおよびExelixis,Inc.からのRG7421(RG7421 and Roche and Exelixis, Inc.);Novartis AGからのミドスタウリン(PKC412);Bayer AGからのダモクトコグアルファペゴル(Damoctocog alfa pegol)、BAY86−6150、BAY94−9027;Bristol−Myers Squibbからのペグインターフェロンラムダ−1a、Nulojix(ベラタセプト);Merck KGaAからのPergoveris、コリフォリトロピンアルファ(MK−8962);Biogenからの組換え凝固第IX因子 Fc融合タンパク質(rFIXFc;BIIB029)および組換え凝固第VIII因子 Fc融合タンパク質(rFVIIIFc;BIIB031);およびAstraZenecaからのMyaleptが含まれる。
【0198】
粘度低下有機ホスフェートを用いて製剤化することができる、別の早期段階にあるタンパク質バイオロジックスには、Hemispherx BioPharma,Inc.からのアルフェロンLDO;Stemline Therapeutics,Inc.からのSL−401;Protalix Biotherapeutics,Inc.からのPRX−102;化血研/帝人ファーマ株式会社からのKTP−001;Bayer AGからのVericiguat;BioMarinからのBMN−111;JanssenからのACC−001(PF−05236806);Eli LillyからのLY2510924、LY2944876;Novo NordiskからのNN9924;ExsulinからのINGAPペプチド;AbbvieからのABT−122;AstraZenecaからのAZD9412;Biogenからのニューブラスチン(NEUBLASTIN)(BG00010);Celgene Corporationからのラスパテルセプト(Luspatercept)(ACE−536)、ソタテルセプト(Sotatercept)(ACE−011);GlaxoSmithKlineからのPRAME免疫療法薬;Merck KGaAからのプロヴァメル酢酸塩(Plovamer acetate)(PI−2301);Shireからのプレミプレックス(607);BioMarinからのBMN−701;エーザイからのOntak;Halozyme,Inc.からのrHuPH20/インスリン;PhaseBio Pharmaceuticals,Inc.からのPB−1023;Alvine Pharmaceuticals Inc.およびAbbvieからのALV−003;Novo NordiskからのNN8717;Proteon Therapeutics Inc.からのPRT−201;Halozyme,Inc.からのPEGPH20;アステラス製薬からのAmevive(登録商標)アレファセプト;RegeneronからのF−627;Allergan,Inc.からのAGN−214868(センレボターゼ(senrebotase));BaxterからのBAX−817;Portola Pharmaceuticals,Inc.からのPRT4445;Ventria BioscienceからのVEN100;Tamir Biotechnology Inc.からのオンコナーゼ/ランピルナーゼ;Medtronic,Incからのインターフェロンアルファ−2bインフュージョン;Synageva BioPharmaからのセベリパーゼアルファ;IRX Therapeutics,IncからのIRX−2;GlaxoSmithKlineからのGSK2586881;生化学工業株式会社からのSI−6603;AlexionからのALXN1101、アスフォターゼアルファ;ShireからのSHP611、SHP609(エラプラーゼ、イデュルスルファーゼ);PfizerからのPF−04856884、PF−05280602;Acceleron PharmaからのACE−031、ダランテルセプト(Dalantercept);Altor BioScience Corp.からのALT−801;BioAxone Biosciences,Inc.からのBA−210;GlaxoSmithKlineからのWT1免疫療法薬;SanofiからのGZ402666;Merck KGaAからのMSB0010445、アタシセプト;Bayer AGからのロイキン(Leukine)(サルグラモスチム);BaxterからのKUR−211;CardioVascular BioTherapeutics Inc.からの線維芽細胞成長因子−1;Hanmi Pharmaceuticals Co.,LTD/Spectrum PharmaceuticalsからのSPI−2012;Merck KGaAからのFGF−18(スプリフェルミン);MerckからのMK−1293;HanAll Biopharmaからのインターフェロン−アルファ−2b;Cytheris SAからのCYT107;Revance Therapeutics,Inc.からのRT001;AztraZenecaからのMEDI6012;BiogenからのE2609;BioMarinからのBMN−190、BMN−270;Acceleron PharmaからのACE−661;AmgenからのAMG876;GlaxoSmithKlineからのGSK3052230;RocheからのRG7813;SanofiからのSAR342434、ランタス;Allozyne Inc.からのAZ01;Ambrx,Inc.からのARX424.;FivePrime Therapeutics,Inc.からのFP−1040、FP−1039;Merck KGaAからのATX−MS−1467;Amunix Operating Inc.からのXTEN融合タンパク質;Cleveland BioLabs,Inc.からのエントリモド(entolimod)(CBLB502);ShireからのHGT2310;Hanmi Pharmaceuticals Co.、LTDからのHM10760A;AlexionからのALXN1102/ALXN1103;CSL BehringからのCSL−689、CSL−627;Acorda Therapeutics,Inc.からのグリア成長因子2;Nephrx CorporationからのNX001;Novo NordiskからのNN8640、NN1436、NN1953、NN9926、NN9927、NN9928;EMD SeronoからのNHS−IL12;ZZ Biotech LLCからの3K3A−APC;PhaseBio Pharmaceuticals,Inc.からのPB−1046;株式会社アールテック・ウエノからのRU−101;Adociaからのインスリンリスプロ/BC106;Iconic Therapeutics,Inc.からのhl−con1;Protalix BioTherapeutics,IncからのPRT−105;PfizerからのPF−04856883、CVX−096;AlphaCore Pharma LLCからのACP−501;BaxterからのBAX−855;Celldex TherapeuticsからのCDX−1135;Promedior,Inc.からのPRM−151;Thrombolytic Science InternationalからのTS01;Thrombotargets Corp.からのTT−173;Quintessence Biosciences,Inc.からのQBI−139;Glenmark Pharmaceuticalsからのバテリズマブ(Vatelizumab)、GBR500、GBR600、GBR830およびGBR900;およびCytimmune Sciences,Inc.からのCYT−6091が含まれる。
【0200】
粘度低下有機ホスフェートを用いて製剤化され得る他の生物学的薬物には、PfizerからのPF−05285401、PF−05231023、RN317(PF−05335810)、PF−06263507、PF−05230907、Dekavil、PF−06342674、PF06252616、RG7598、RG7842、RG7624d、OMP54F28、GSK1995057、BAY1179470、IMC−3G3、IMC−18F1、IMC−35C、IMC−20D7S、PF−06480605、PF−06647263、PF−06650808、PF−05335810(RN317) PD−0360324、PF−00547659;MerckからのMK−8237;BiogenからのBI033;SanofiからのGZ402665、SAR438584/REGN2222;ImClone LLCからのIMC−18F1、およびイクルクマブ(Icrucumab)、IMC−3G3;Novo Nordiskからのライゾデグ(Ryzodeg)、トレシーバ、Xultophy;Sanofiからのトウジェオ(Toujeo)(U300)、リキシラン(LixiLan)、リキスミア(リキセナチド);GlaxoSmithKlineからのMAGE−A3免疫療法薬;Merck KGaAからのテセモチド;Novartis AGからのセレラキシン(RLX030);エリスロポエチン;ペグフィルグラスチム;Eli LillyからのLY2963016、デュラグルチド(LY2182965);およびBoehringer Ingelheimからのインスリングラルギンが含まれる。
【0202】
低分子量および/または高分子量タンパク質を含む液状タンパク質製剤の粘度は、1種または複数の有機ホスフェートの添加により低下する。この医薬製剤は、一部の場合には、有効量の1種または複数の有機ホスフェートを添加することによって、非ニュートン流体からニュートン流体に変換される。本明細書において、「有機ホスフェート」とは、1つまたは複数のホスホリル基を含有する化合物であって、ホスホリル基の少なくとも1つが、リン酸エステル結合により、有機基に共有結合で接続している、化合物である。有機ホスフェートは、リン酸またはポリリン酸のモノエステルとすることができる。有機ホスフェートは、リン酸またはポリリン酸のジエステルとすることができる。有機ホスフェートは、塩または双性イオンとすることができる。用語「双性イオン」は、分子中の異なる化学基上に、正および負の形式電荷を有する、全体として電荷が中性の化学分子を記載するために本明細書において使用される。
【0203】
有機ホスフェートは、塩または双性イオンとすることができる。用語「双性イオン」は、分子中の異なる化学基上に、正および負の形式電荷を有する、全体として電荷が中性の化学分子を記載するために本明細書において使用される。
【0204】
有機ホスフェートが塩の形態にある場合、その対イオンは、ナトリウム、カルシウム、リチウム、カリウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属とすることができる。他の実施形態では、対イオンは、連続メチレン基および/またはメチン基、ベンゼン、ナフタレン、ショウノウ、アダマンタン、トルエン、キノン、アントラセン、フェナントレン、ピリジン、ピラジン、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チオフェン、ベンゾイミダゾール、またはそれらの置換類似体を有する、窒素含有化合物を含めた、窒素含有化合物とすることができる。例示的な窒素含有化合物には、以下に限定されないが、L−リシン、L−アルギニン、L−ヒスチジン、ペンタン−1,5−ジアミンおよびヘキサン−1,6−ジアミン、アダマンチルアミン、1−(3−アミノプロピル)−2−メチル−1H−イミダゾール、アミノメチルエチルピロリジン、ジメチルアミノプロピルピペラジン、アミノエチルピペリジン、アミノエチルピペラジン、およびエタノールアミンが含まれる。例えば、本有機ホスフェートは、TPP−APMIと呼ばれるチアミンピロリン酸と1−(3−アミノプロピル)−2−メチル−1H−イミダゾールとの塩とすることができる。
【0205】
一般に、任意の有機ホスフェートが、タンパク質製剤の粘度を低下し得るが、一部の実施形態では、粘度低下性有機ホスフェートは、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体であるか、またはヌクレオチドもしくはヌクレオチド誘導体を含有する。粘度低下性有機ホスフェートは、ヌクレオチド一リン酸、ヌクレオチド二リン酸、ヌクレオチド三リン酸、またはそれらの誘導体とすることができる。粘度低下性有機ホスフェートは、ヌクレオシド一リン酸、ヌクレオシド二リン酸、ヌクレオシド三リン酸、またはそれらの誘導体とすることができる。粘度低下性有機ホスフェートは、核酸塩基またはその誘導体を含有することができる。一部の実施形態では、粘度低下性有機ホスフェートは、核酸塩基とホスホリル基とのコンジュゲート;糖とホスホリル基とのコンジュゲート;または核酸塩基、糖およびホスホリル基のコンジュゲートである。糖は、任意選択で1つまたは複数の置換基を有する、5炭糖、6炭糖または7炭糖とすることができる。核酸塩基は、プリン、アデニン、グアニン、ヒポキサンチン、キサンチン、7−メチルグアニン、ピリミジン、チミン、シトシン、ウラシル、5,6−ジヒドロウラシル、5−メチルシトシン、5−ヒドロキシメチルシトシン、またはそれらの誘導体とすることができる。ヌクレオシドは、アデノシン、グアノシン、5−メチルウリジン、ウリジン、シチジン、デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、チミジン、デオキシウリジン、デオキシシチジン、またはそれらの誘導体とすることができる。ヌクレオチドは、上記のヌクレオシドのいずれかの一リン酸エステル、二リン酸エステル、または三リン酸エステルとすることができる。
【0206】
粘度低下性有機ホスフェートは、式Iによる構造を有することができ、式中、Xは、ホスフェート、好ましくはジホスフェートまたはトリホスフェートであり、Yは存在しないかもしくは糖、好ましくはリボース、デオキシリボース、またはそれらの誘導体であり、Zは核酸塩基、好ましくは上記のものの1つまたはそれらの誘導体である。
【化1】
【0207】
本粘度低下性有機ホスフェートは、式IIによる構造を有することができ、式中、nは、1〜20、1〜10、2〜10または2〜6の整数であり、R
1は、3〜50個の炭素原子、5〜30個の炭素原子または7〜20個の炭素原子を有する有機基であり、好ましくは、R
1は核酸塩基、ヌクレオシド、またはそれらの誘導体であり、R
2の各出現は、存在しない、水素、一価の陽イオン性基、および1〜50個の炭素原子、1〜30個の炭素原子、3〜30個の炭素原子または7〜20個の炭素原子を有する有機基からなる群から独立して選択される。一価の陽イオン性基には、カリウム、ナトリウム、リチウム、アンモニウムおよびアルキルアンモニウム基が含まれる。R
1およびR
2は、R
2が有機基である場合は常に、3〜50個の炭素原子、5〜30個の炭素原子または7〜20個の炭素原子を有する置換されているかもしくは無置換の炭素環または複素環とすることができる。R
1は、上で記載されているものの1つなどのヌクレオシド、またはその誘導体とすることができる。
【化2】
【0208】
本粘度低下性有機ホスフェートは、式IIIによる構造を有することができ、式中、nは、1〜20、1〜10、2〜10または2〜6の整数であり、R
3は存在しないか、または糖、好ましくは1〜30個の炭素原子、1〜20個の炭素原子または4〜20個の炭素原子を有する、モノサッカライドまたはジサッカライドであり、R
4は、置換されているかまたは無置換であり得る、かさ高い環式基、好ましくは3〜50個の炭素原子、5〜30個の炭素原子または7〜20個の炭素原子を有する、置換されているかもしくは無置換の炭素環または複素環であり、R
5の各出現は、存在しない、水素、一価の陽イオン性基、および1〜50個の炭素原子、1〜30個の炭素原子、3〜30個の炭素原子または7〜20個の炭素原子を有する有機基からなる群から独立して選択される。R
3は、任意選択で1つまたは複数の置換基を含有する、デオキシリボース、フルクトース、ガラクトース、ゲンチオビウロース、ゲンチオビオース、グルコース、ケストース、イソマルトース、イソマルトトリオース、コージビオース、ラミナリビオース、マルトース、マルツロース、マルトトリオース、マルトトリウロース、マンノビオース、マンノース、メリビオース、メリビウロース、ニゲロース、ニゲロトリオース、ラフィノース、リボース、ルチノース、ルチヌロース、ソフォロース、トレハロース、β,β−トレハロース、α,β−トレハロースまたはツラノースとすることができる。ある特定の実施形態では、置換基R
3およびR
5は、例えば、環状アデノシン一リン酸中に見いだされる通り、一緒になって環を形成していてもよい。
【0209】
R
4は、窒素含有複素環とすることができる。窒素含有複素環は、飽和または不飽和であり得る。窒素含有複素環は、置換されているおよび無置換のピロリジン、ピロール、イミダゾリジン、ピラゾリジン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾリジン、イソオキサゾリジン、オキサゾール、イソオキサゾール、ピペリジン、テトラヒドロピリジン、ジヒドロピリジン、ピリジン、ピリミジン、ピペラジン、それらの多環式環構造および縮合環構造、およびそれらの誘導体を含むことができる。R
4は、かさ高い環式基とすることができる。適切なかさ高い環式基は、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、ピロリジン、ピロール、イミダゾリジン、ピラゾリジン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾリジン、イソオキサゾリジン、オキサゾール、イソオキサゾール、テトラヒドロフラン、フラン、ジオキソラン、チオラン、チオフェン、ジチオラン、チアゾール、イソチアゾール、ホスホール、シロール、トリアゾール、オキサジアゾールなどの5員の炭素環(carbocylce)および複素環、ならびにそれらの誘導体を含むことができる。適切なかさ高い環式基は、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサ−1,3−ジエン、シクロヘキサ−1,4−ジエン、ベンゼン、ピペリジン、テトラヒドロピリジン、ジヒドロピリジン、ピリジン、オキサン、ピラン、ピペラジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、モルホリン、1,3,5−トリアジンなどの6員の炭素環および複素環、ならびにそれらの誘導体を含むことができる。適切なかさ高い環式基は、シクロヘプタン、シクロヘプテン、アゼパン、アゼピン、チエピン、ジアゼピン、チアゼピンなどの7員の炭素環および複素環、ならびにそれらの誘導体を含むことができる。適切なかさ高い環式基は、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、アクリジン、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、ジベンゾフラン、デカリンなどの、上記の炭素環および複素環のいずれかの多環式環構造および縮合環構造などの多環式化合物、ノルボルナン、アダマンタンなどの橋架け炭素環および複素環、およびスピロ[2.2]ペンタンなどのスピロ環式化合物を含むことができる。
【化3】
【0210】
粘度低下性有機ホスフェートは、ジヌクレオチドリン酸とすることができる。本粘度低下性有機ホスフェートは、式IVによる構造を有することができ、式中、nは、1〜20、1〜10、2〜10または2〜6の整数であり、R
6の各出現は、存在しない、または糖、好ましくは1〜30個の炭素原子、1〜20個の炭素原子または4〜20個の炭素原子を有する、モノサッカライドまたはジサッカライドから独立して選択され、R
7の各出現は、独立して、置換されているまたは無置換であり得るかさ高い環式基、好ましくは3〜50個の炭素原子、5〜30個の炭素原子または7〜20個の炭素原子を有する、置換されているかもしくは無置換の炭素環または複素環であり、R
8の各出現は、存在しない、水素、一価の陽イオン性基、および1〜50個の炭素原子、1〜30個の炭素原子、3〜30個の炭素原子または7〜20個の炭素原子を有する有機基からなる群から独立して選択される。R
6はそれぞれ独立して、任意選択で1つまたは複数の置換基を含有している、デオキシリボース、フルクトース、ガラクトース、ゲンチオビウロース、ゲンチオビオース、グルコース、ケストース、イソマルトース、イソマルトトリオース、コージビオース、ラミナリビオース、マルトース、マルツロース、マルトトリオース、マルトトリウロース、マンノビオース、マンノース、メリビオース、メリビウロース、ニゲロース、ニゲロトリオース、ラフィノース、リボース、ルチノース、ルチヌロース、ソフォロース、トレハロース、β,β−トレハロース、α,β−トレハロースまたはツラノースとすることができる。R
7はそれぞれ独立して、窒素含有複素環とすることができる。窒素含有複素環は、飽和または不飽和であり得る。窒素含有複素環は、置換されているおよび無置換のピロリジン、ピロール、イミダゾリジン、ピラゾリジン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾリジン、イソオキサゾリジン、オキサゾール、イソオキサゾール、ピペリジン、テトラヒドロピリジン、ジヒドロピリジン、ピリジン、ピリミジン、ピペラジン、それらの多環式環構造および縮合環構造、およびそれらの誘導体を含むことができる。R
7はそれぞれ独立して、かさ高い環式基とすることができる。適切なかさ高い環式基は、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、ピロリジン、ピロール、イミダゾリジン、ピラゾリジン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾリジン、イソオキサゾリジン、オキサゾール、イソオキサゾール、テトラヒドロフラン、フラン、ジオキソラン、チオラン、チオフェン、ジチオラン、チアゾール、イソチアゾール、ホスホール、シロール、トリアゾール、オキサジアゾールなどの5員の炭素環(carbocylce)および複素環、ならびにその誘導体を含むことができる。適切なかさ高い環式基は、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサ−1,3−ジエン、シクロヘキサ−1,4−ジエン、ベンゼン、ピペリジン、テトラヒドロピリジン、ジヒドロピリジン、ピリジン、オキサン、ピラン、ピペラジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、モルホリン、1,3,5−トリアジンなどの6員の炭素環および複素環、ならびにそれらの誘導体を含むことができる。適切なかさ高い環式基は、シクロヘプタン、シクロヘプテン、アゼパン、アゼピン、チエピン、ジアゼピン、チアゼピンなどの7員の炭素環および複素環、ならびにそれらの誘導体を含むことができる。適切なかさ高い環式基は、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、アクリジン、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、ジベンゾフラン、デカリンなどの、上記の炭素環および複素環のいずれかの多環式環構造および縮合環構造などの多環式化合物、ノルボルナン、アダマンタンなどの橋架け炭素環および複素環、およびスピロ[2.2]ペンタンなどのスピロ環式化合物を含むことができる。
【化4】
【0211】
粘度低下性有機ホスフェートは、その構造が、塩化物塩として以下に示されている、チアミンピロリン酸(TPP)、またはその誘導体とすることができる。TPPの誘導体は、ジホスフェートをモノホスフェートからトリホスフェートなどの異なるホスフェートにより置き換えること、塩素陰イオンを他の陰イオン性構成物により置き換えること、1つまたは複数のメチル置換基(substitutent)を高次アルキル置換基または高次N−アルキル置換基により置き換えること、1つまたは複数のアミノ置換基を1〜30個の炭素原子を有する、置換されているかまたは無置換のアルキル、アミノアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリール基により置き換えること、1つまたは複数のヒドロキシル基をO−アシルまたはO−アルキル基により置き換えること、またはそれらの組合せを含むことができる。適切な陰イオン性構成物には、好ましくは1〜20個または1〜12個の炭素原子を有する、1つまたは複数のアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環式またはヘテロ環式基により任意選択で置換されている、複数のハライドイオン、硫酸陰イオン、スルホン酸陰イオン、亜硫酸陰イオン、スルフィン酸陰イオン、リン酸陰イオン、ホスホン酸陰イオン、亜リン酸陰イオン、亜ホスホン酸陰イオン、炭酸陰イオンおよびカルボン酸陰イオンが含まれる。例示的な陰イオン性構成物(anionic constituent)には、塩素イオン、臭素陰イオン、メチルリン酸陰イオン、メチル−エチル−リン酸陰イオン、メチル硫酸陰イオン、メチルスルホン酸陰イオン、ギ酸陰イオン、酢酸陰イオン、酪酸陰イオン、クエン酸陰イオンおよび乳酸陰イオン、およびカンファースルホン酸(CSA)、ベンゼンスルホン酸(BSA)、トルエンスルホン酸(TSA)、1−(3−アミノプロピル)−2−メチル−1H−イミダゾール(APMI)、またはメタンスルホン酸(MSA)などのかさ高い疎水性陰イオンが含まれる。誘導体には、NaOHなどの一般的な無機塩基または上記の例示的な疎水性塩基を使用するTPPの塩基付加塩が含まれ得る。
【化5】
【0212】
他の実施形態では、本粘度低下性有機ホスフェートは、ベンフォチアミンまたはその対応するジホスフェートまたはトリホスフェート類似体であってもよい。粘度低下性有機ホスフェートは、フルスルチアミン一リン酸、プロスルチアミン一リン酸またはアリチアミン一リン酸、および上記のいずれかの対応する二リン酸または三リン酸であってもよい。
【0213】
粘度低下性有機ホスフェートは、その構造がナトリウム塩として以下に示されているアデノシン三リン酸(ATP)、またはその誘導体とすることができる。ATPの誘導体は、トリホスフェートをモノホスフェートまたはジホスフェートなどの異なるホスフェートにより置き換えること、アミノ置換基を1〜30個の炭素原子を有する、置換されているかまたは無置換のアルキル、アミノアルキル、アリール、ヘテロシクリルまたはヘテロアリール基により置き換えること、1つまたは複数のヒドロキシル基をO−アシルまたはO−アルキル基により置き換えること、またはそれらの組合せを含むことができる。
【化6】
【0214】
粘度低下性有機ホスフェートは、その構造が以下に示されているデオキシアデノシン三リン酸(dATP)、またはその誘導体とすることができる。dATPの誘導体は、トリホスフェートをモノホスフェートまたはジホスフェートなどの異なるホスフェートにより置き換えること、アミノ置換基を1〜30個の炭素原子を有する、置換されているかまたは無置換のアルキル、アミノアルキル、アリール、ヘテロシクリルまたはヘテロアリール基に置き換えること、1つまたは複数のヒドロキシル基をO−アシルまたはO−アルキル基により置き換えること、またはそれらの組合せを含むことができる。
【化7】
【0215】
粘度低下性有機ホスフェートは、その構造が以下に示されているデオキシグアノシン三リン酸(dGTP)、またはその誘導体とすることができる。dGTPの誘導体は、トリホスフェートをモノホスフェートまたはジホスフェートなどの異なるホスフェートにより置き換えること、アミノ置換基を1〜30個の炭素原子を有する、置換されているかまたは無置換のアルキル、アミノアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリール基に置き換えること、1つまたは複数のヒドロキシル基をO−アシルまたはO−アルキル基により置き換えること、またはそれらの組合せを含むことができる。
【化8】
【0216】
粘度低下性有機ホスフェートは、その構造が以下に示されているデオキシチミジン三リン酸(dTTP)、またはその誘導体とすることができる。dTTPの誘導体は、トリホスフェートをモノホスフェートまたはジホスフェートなどの異なるホスフェートにより置き換えること、メチル置換基を高次アルキル置換基または高次N−アルキル置換基により置き換えること、1つまたは複数のアミノ置換基を1〜30個の炭素原子を有する、置換されているかまたは無置換のアルキル、アミノアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリール基に置き換えること、1つまたは複数のヒドロキシル基をO−アシルまたはO−アルキル基に置き換えること、またはそれらの組合せを含むことができる。
【化9】
【0217】
粘度低下性有機ホスフェートは、その構造が以下に示されているデオキシシチジン三リン酸(dCTP)、またはその誘導体とすることができる。dCTPの誘導体は、トリホスフェートをモノホスフェートまたはジホスフェートなどの異なるホスフェートにより置き換えること、アミノ置換基を1〜30個の炭素原子を有する、置換されているかまたは無置換のアルキル、アミノアルキル、アリール、ヘテロシクリルまたはヘテロアリール基により置き換えること、1つまたは複数のヒドロキシル基をO−アシルまたはO−アルキル基により置き換えること、またはそれらの組合せを含むことができる。
【化10】
【0218】
粘度低下性有機ホスフェートは、その構造が以下に示されている環状アデノシン一リン酸(cAMP)、またはその誘導体とすることができる。cAMPの誘導体は、モノホスフェートをジホスフェートまたはトリホスフェートなどの異なるホスフェートにより置き換えること、アミノ置換基を1〜30個の炭素原子を有する、置換されているかまたは無置換のアルキル、アミノアルキル、アリール、ヘテロシクリルまたはヘテロアリール基により置き換えること、ヒドロキシル基をO−アシルまたはO−アルキル基により置き換えること、またはそれらの組合せを含むことができる。
【化11】
【0219】
粘度低下性有機ホスフェートは、その構造が以下に示されている環状グアノシン一リン酸(cGMP)、またはその誘導体とすることができる。cGMPの誘導体は、モノホスホネートをジホスフェートまたはトリホスフェートなどの異なるホスフェートにより置き換えること、アミノ置換基を1〜30個の炭素原子を有する、置換されているかまたは無置換のアルキル、アミノアルキル、アリール、ヘテロシクリルまたはヘテロアリール基により置き換えること、1つまたは複数のヒドロキシル基をO−アシルまたはO−アルキル基により置き換えること、またはそれらの組合せを含むことができる。
【化12】
【0220】
粘度低下性有機ホスフェートは、その構造が以下に示されている環状チミジン一リン酸(cTMP)、またはその誘導体とすることができる。cTMPの誘導体は、モノホスホネートをジホスフェートまたはトリホスフェートなどの異なるホスフェートにより置き換えること、メチル置換基を高次アルキル置換基または高次N−アルキル置換基により置き換えること、1つまたは複数のアミノ置換基を1〜30個の炭素原子を有する、置換されているかまたは無置換のアルキル、アミノアルキル、アリール、ヘテロシクリルまたはヘテロアリール基により置き換えること、1つまたは複数のヒドロキシル基をO−アシルまたはO−アルキル基により置き換えること、またはそれらの組合せを含むことができる。
【化13】
【0221】
粘度低下性有機ホスフェートは、その構造が以下に示されている環状シチジン一リン酸(cCMP)、またはその誘導体とすることができる。cCMPの誘導体は、モノホスホネートをジホスフェートまたはトリホスフェートなどの異なるホスフェートにより置き換えること、アミノ置換基を1〜30個の炭素原子を有する、置換されているかまたは無置換のアルキル、アミノアルキル、アリール、ヘテロシクリルまたはヘテロアリール基に置き換えること、1つまたは複数のヒドロキシル基をO−アシルまたはO−アルキル基により置き換えること、またはそれらの組合せを含むことができる。
【化14】
【0222】
粘度低下性有機ホスフェートは、その構造がナトリウム塩として以下に示されているニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)、またはその誘導体とすることができる。NADPの誘導体は、ジホスフェートをモノホスフェートまたはトリホスフェートなどの異なるホスフェートにより置き換えること、ジホスフェートを異なるホスフェートにより置き換えること、1つまたは複数のアミノ置換基を1〜30個の炭素原子を有する、置換されているかまたは無置換のアルキル、アミノアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリール基により置き換えること、1つまたは複数のヒドロキシル基をO−アシルまたはO−アルキル基により置き換えること、またはそれらの組合せを含むことができる。
【化15】
【0223】
粘度低下性有機ホスフェートは、その構造が以下に示されているピリドキサールリン酸、またはその誘導体とすることができる。ピリドキサールリン酸の誘導体は、モノホスフェートをジホスフェートまたはトリホスフェートなどの異なるホスフェートにより置き換えること、メチル置換基を高次アルキル置換基または高次N−アルキル置換基に置き換えること、1つまたは複数のヒドロキシル基をO−アシルまたはO−アルキル基により置き換えること、またはそれらの組合せを含むことができる。
【化16】
【0224】
粘度低下性有機ホスフェートは、その構造が以下に示されているリボフラビン−5’−リン酸、またはその誘導体とすることができる。リボフラビン−5’−リン酸の誘導体は、ホスフェートをジホスフェートまたはトリホスフェートなどの異なるホスフェートにより置き換えること、ナトリウム対イオンを他の陽イオン性構成物により置き換えること、1つまたは複数のメチル置換基を高次アルキル置換基または高次N−アルキル置換基により置き換えること、1つまたは複数のヒドロキシル基をO−アシルまたはO−アルキル基により置き換えること、またはそれらの組合せを含むことができる。
【化17】
【0226】
液状タンパク質製剤に有用な、広範囲の医薬品用賦形剤が、当業者に公知である。それらは、液状溶媒または共溶媒などの1種または複数の添加物;マンニトール、トレハロース、スクロース、ソルビトール、フルクトース、マルトース、ラクトースまたはデキストランなどの糖または糖アルコール;TWEEN(登録商標)20、60または80(ポリソルベート20、60または80)などの界面活性剤;緩衝剤;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、第三級アンモニウム塩およびクロルヘキシジンジアセテートなどの保存剤;ポリ(エチレングリコール)(PEG)などの担体;アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウムおよびメチオニンなどの酸化防止剤;EDTAまたはクエン酸などのキレート剤;または水溶性ポリエステルなどの生分解性ポリマー;凍結保護剤(cryoprotectant);凍結乾燥保護剤;増量剤;および安定化剤を含む。
【0227】
Remington:「The Science and Practice of Pharmacy」第20版、Alfonso R. Gennaro、編、Lippincott Williams & Wilkins(2000年)において記載されているものなどの、他の薬学的に許容される担体、賦形剤または安定剤もまた、本明細書に記載されているタンパク質製剤に含まれ得るが、但し、それらは、製剤の所望の特徴に悪影響を及ぼさないことを条件とする。
【0228】
本製剤は、上記の粘度低下性有機ホスフェートに加え、1つまたは複数の追加の粘度低下性賦形剤を含有することができる。本明細書に記載されている有機ホスフェート粘度低下剤は、1種または複数の他のタイプの粘度低下剤、例えば、Arsia Therapeuticsにより、LIQUID PROTEIN FORMULATIONS CONTAINING WATER SOLUBLE ORGANIC DYESと題して共同出願されているPCT出願において記載されている、水溶性有機色素;Arsia TherapeuticsによるLIQUID PROTEIN FORMULATIONS CONTAINING VISCOSITY-LOWERING AGENTSの、疎水性化合物、多数のGRAS(安全なものと一般に見なされている、米国食品医薬品局の化合物リスト)、および注射可能な不活性成分、およびFDAにより承認された治療薬などの、通常、かさ高い極性有機化合物;ならびにArsia Therapeuticsにより、LIQUID PROTEIN FORMULATIONS CONTAINING IONIC LIQUIDSと題して共同出願されているPCT出願において記載されている、イオン性液体と組み合わせることができる。
【0231】
製剤化される、mAbなどのタンパク質は、当技術分野で周知の、タンパク質をコードする1種または複数の核酸配列を含有するベクターを用いて、形質転換またはトランスフェクトした細胞を培養することによる、または合成技法(組換え技法およびペプチド合成、またはこれらの技法の組合せなど)によるなどの、任意の公知の技法によって産生することができ、またはタンパク質の内因性供給源から単離することができる。
【0232】
製剤化されるタンパク質の精製は、例えば、エタノールまたは硫酸アンモニウムによる沈殿、逆相HPLC、シリカまたは陽イオン交換樹脂(例えば、DEAE−セルロース)のクロマトグラフィー、透析、クロマトフォーカシング、夾雑物を除去するためのプロテインA SEPHAROSE(登録商標)カラム(例えば、SEPHADEX(登録商標)G−75)を使用するゲルろ過、エピトープタグ付き形態に結合させるための金属キレート形成カラム、および限外ろ過/ダイアフィルトレーション(非限定例には、遠心ろ過およびタンジェンシャルフローろ過(TFF)が含まれる)などの、当技術分野で公知の任意の適切な技法により行うことができる。
【0233】
0.010M〜1.0M、好ましくは0.050M〜0.50M、最も好ましくは0.10M〜0.30Mなどの、粘度を低下させる濃度で粘度低下有機ホスフェートが含まれると、薬学的に活性なmAbの溶液を、タンジェンシャルフローろ過、遠心濃縮および透析を含むがこれらに限定されない、当業者に公知の一般的な方法を使用して精製および/またはより高い濃度のmAbに濃縮することが可能になる。
【0234】
一部の実施形態では、低粘度の濃縮タンパク質製剤の調製および製造において、タンパク質の凍結乾燥製剤が提供および/または使用される。一部の実施形態では、粉末形態の凍結乾燥前のタンパク質は、水溶液中に溶解することによって再構成される。この実施形態では、本液状製剤は、バイアルまたは混合プレフィルドシリンジ(pre-filled mixing syringe)などの特定の投与量単位の容器に充填され、任意選択で、凍結乾燥保護剤、保存剤、酸化防止剤および他の通常の薬学的に許容される賦形剤と一緒に凍結乾燥され、次に、使用する直前まで、無菌保管条件下で保管され、使用する時点で、規定体積の希釈剤を用いて再構成され、この液体は所望の濃度および粘度にされる。
【0235】
本明細書に記載されている製剤は、当業者に公知の、任意の適切な方法により保管されてもよい。保管するためのタンパク質製剤を調製する方法の非限定例には、液状タンパク質製剤の凍結法、凍結乾燥法および噴霧乾燥法が含まれる。一部の場合、本凍結乾燥製剤は、約−80℃において、または液体窒素中などの零度以下の温度で保管するために凍結される。一部の場合、凍結乾燥した製剤または水性製剤は、2〜8℃で保管される。
【0236】
注射前に、凍結乾燥製剤を再構成するために有用な希釈剤の非限定例には、滅菌水、注射用静菌水(BWFI)、pH緩衝溶液(例えば、リン酸緩衝食塩水)、滅菌食塩液、リンゲル液、デキストロース溶液、または塩および/もしくは緩衝剤の水溶液が含まれる。一部の場合、本製剤は、噴霧乾燥されて、次に保管される。
【0238】
以下に限定されないが、再構成された製剤を含むタンパク質製剤は、それを必要とするヒトに、18〜32ゲージの針(任意選択で、薄壁針)を使用し、約5mL未満、約3mL未満、好ましくは約2mL未満、より好ましくは約1mL未満の体積で、筋肉内注射、腹腔内(すなわち、体腔内)注射、脳脊髄内注射または皮下注射により投与される。
【0239】
mAbなどのタンパク質の適切な投与量(「治療有効量」)は、処置される状態、疾患または状態の重症度および経過(タンパク質が、予防または治療目的のどちらかで投与されるかに関わらない)、以前の治療法、患者の病歴およびタンパク質に対する応答、使用されるタンパク質のタイプ、および担当医の判断に依存する。タンパク質は、単独処置として、または別の薬物もしくは治療法と組み合わせ、単回注射で1度にもしくは複数回注射で、または一連の処置にわたって、好適に投与される。
【0240】
注射が注射部位において刺激の有意な徴候を引き起こさないよう、投与製剤は設計され、例えば、この場合、一次刺激インデックスは、ドレイズ評点システムを使用して評価した場合、3未満である。代替的な実施形態では、注射は、等体積の生理食塩水の注射と比較した場合、肉眼的に類似のレベルの刺激を引き起こす。別の実施形態では、タンパク質の生体利用能は、同じ様式で投与される、有機ホスフェートを含まないがそれ以外は同じ製剤と比べた場合、より高い。
【0241】
好ましい実施形態では、本製剤が注射されて、高いレベルの治療用タンパク質が生じる。例えば、AUC値は、同じ様式で投与された、粘度低下有機ホスフェート(複数可)を含まないがそれ以外は同じ製剤について算出されたAUC値よりも、少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%高くなり得る。
【0242】
粘度低下有機ホスフェートは、生体利用能にも影響を及ぼし得る。例えば、タンパク質の生体利用率は、同じ様式で投与された、粘度低下有機ホスフェート(複数可)を含まないがそれ以外は同じ製剤の生体利用率よりも、少なくとも1.1倍、好ましくは少なくとも1.2倍になり得る。
【0243】
粘度低下有機ホスフェートは、薬物動態にも影響を及ぼし得る。例えば、SC注射またはIM注射後のC
MAXは、ほぼ等量で静脈内投与された、薬学的に有効な用量のC
MAXよりも、少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%小さい。
【0244】
一部の実施形態では、本タンパク質は、粘度低下有機ホスフェート(複数可)を含まないが、それ以外は同じ製剤よりも、高い投与量および少ない頻度で投与される。
【0245】
より低い粘度の製剤は、それほど射出力を必要としない。例えば、射出力は、同じ様式で投与された、粘度低下有機ホスフェート(複数可)を含まないがそれ以外は同じ製剤の場合の射出力よりも、少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%低い。一実施形態では、注射は27ゲージの針を用いて投与され、この射出力は、30N未満である。製剤は、大部分の場合、非常に小さなゲージの針、例えば、ゲージ27〜31の間、通常、ゲージ27、29または31を使用して投与することができる。
【0246】
本粘度低下有機ホスフェートを使用して、皮下注射または筋肉内注射用の液状医薬製剤を作製するための、再構成に適した、投与量単位製剤を調製することができる。この投与量単位は、1種または複数のタンパク質の乾燥粉末、1種または複数の粘度低下有機ホスフェート、および他の賦形剤を含有することができる。このタンパク質は、薬学的に許容される溶媒中で再構成された後、得られた製剤が、1mLあたり、約100mg〜約2,000mg(mg/mL)のタンパク質濃度を有するよう、投与量単位中に存在している。こうした再構成された製剤は、25℃において、約1cP〜約50cPの絶対粘度を有することができる。
【0247】
低粘度製剤は溶液としてまたは投与量単位の形態で提供することができ、投与量単位の形態の場合、タンパク質は、1つのバイアル中で粘度低下有機ホスフェートおよび他の賦形剤と一緒にしてまたは一緒にしないで凍結乾燥され、粘度低下有機ホスフェートおよび他の賦形剤を含むまたは含まない溶媒が第2のバイアルで提供される。この実施形態では、溶媒は、均一な混合および溶解を保証するため、注射の直前またはその時に、タンパク質に加えられる。
【0248】
粘度低下有機ホスフェート(複数可)は、皮下、筋肉内または他のタイプの注射により投与した場合、毒性の有意な徴候および/または毒性の非可逆的な徴候を引き起こさない濃度で、製剤中に存在する。本明細書で使用する場合、「毒性の有意な徴候」には、中枢神経系に対する損傷、不妊、不整脈、心筋症、心筋梗塞および心不全またはうっ血性心不全、腎不全、肝不全、呼吸困難および死亡などの深刻な心毒性の徴候を伴って起こるものなどの、中毒、嗜眠、行動修飾が含まれる。
【0249】
好ましい実施形態では、本製剤は、毎日2回、毎日1回、毎週2回、毎週1回、または毎月1回以下、投与した場合、有意な刺激を引き起こさない。本タンパク質製剤は、ドレイズ評点システムを使用して評価した場合、注射部位における刺激の有意な徴候、例えば、3未満、2未満または1未満の一次刺激インデックスを引き起こさない投与を行うことができる。本明細書で使用する場合、「刺激の有意な徴候」には、10cmより大きい、5cmより大きい、または2.5cmより大きい直径を有する注射の部位において、紅斑、赤みおよび/または腫れ、注射部位における壊死、注射部位における剥脱性皮膚炎、ならびに日常活動の妨げとなるおよび/または医療的注意もしくは入院を必要とする深刻な疼痛が含まれる。一部の実施形態では、タンパク質製剤の注射は、等体積の生理食塩水の注射と比較した場合、肉眼的に類似のレベルの刺激を引き起こす。
【0250】
本タンパク質製剤は、皮下注射または筋肉内注射により投与された場合、粘度低下有機ホスフェート(複数可)を含まないが他は同じタンパク質製剤と比べて、生体利用能の増加を示し得る。「生体利用能」とは、生物活性種(例えば、mAb)が、循環または作用部位に達する程度および速度を指す。SC注射またはIM注射の場合、全体的な生体利用能は、粘度低下有機ホスフェート(複数可)を含まないが、他は同じ製剤と比べて増加し得る。「生体利用率」とは、静脈内投与された用量に関して決定される、循環に入る生物活性種の投与された用量の割合を指す。生体利用能を測定する方法の1つは、時間の関数として血漿中濃度をプロットしたものにおける、「曲線下面積」(AUC)を比較することによる。AUCは、例えば、線形台形公式を使用して、算出することができる。「AUC
0−t」とは、本明細書で使用する場合、時間0から時間t後までの、血漿中濃度曲線下面積を指す。時間は、通常、日数で測定されるが、文脈によって明らかな通り、時間もやはり使用することができる。「AUC
∞」とは、本明細書で使用する場合、時間0から血漿中濃度がベースラインレベルに戻る時間までの血漿中濃度曲線下面積を指す。生体利用能を測定する方法の1つは、時間の関数としての血漿中濃度のプロットにおける、「曲線下面積」(AUC)を比較することによる。AUCは、例えば、線形台形公式を使用して、算出することができる。「AUC
∞」とは、本明細書で使用する場合、時間0から血漿中濃度がベースラインレベルに戻る時間までの血漿中濃度曲線下面積を指す。「AUC
0−t」とは、本明細書で使用する場合、時間0から時間t後、例えば、ベースラインに到達する時間までの、血漿中濃度曲線下面積を指す。時間は、通常、日数で測定されるが、文脈によって明らかな通り、時間もやはり使用することができる。例えば、AUCは、同じ様式で投与した、粘度低下有機ホスフェート(複数可)を含まないがそれ以外は同じ製剤と比べると、10%、20%、30%、40%または50%超大きくなり得る。
【0251】
本明細書で使用する場合、「t
max」とは、投与後、血漿中濃度が最大値に到達する時間を指す。
【0252】
本明細書で使用する場合、「C
max」とは、用量を投与した後、およびその後の用量を投与する前の、最大血漿中濃度を指す。
【0253】
本明細書で使用する場合、「C
min」または「C
trough」とは、用量を投与した後、およびその後の用量を投与する前の、最少血漿中濃度を指す。
【0254】
SC注射またはIM注射後のC
maxは、静脈内投与された用量のC
maxよりも、例えば、少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%小さくなり得る。このC
maxの低下は、毒性の低下をもたらし得る。
【0255】
薬物動態パラメータおよび薬力学パラメータは、種全体で、当業者に公知の手法を使用して概算され得る。
【0256】
抗体治療薬の薬物動態および薬力学は、特異的抗体に基づいて、かなり異なり得る。承認されたマウスのmAbは、ヒトにおいて約1日の半減期を有することが示された一方、ヒトmAbは、通常、約25日の半減期を有する(Waldmannら、Int. Immunol.、2001年、13巻:1551〜1559頁)。抗体治療薬の薬物動態および薬力学は、投与経路に基づいて、かなり異なり得る。IgGのIM注射またはSC注射の後、最大血漿中濃度に到達する時間は、通常、2〜8日間の範囲であるが、より短いまたはより長い時間になることもある(Wangら、Clin. Pharm. Ther.、2008年、84巻(5号):548〜558頁)。抗体治療薬の薬物動態および薬力学は、製剤に基づいて、かなり異なり得る。有機ホスフェートを含有するタンパク質製剤は、有機ホスフェート(複数可)を含まないが他は同じ製剤と比べて、SCまたはIM注射の場合、薬物動態の改善を示すことができる。SCまたはIM投与後のC
maxは、静脈内投与された、粘度低下性有機ホスフェート(複数可)を含まないが他は同じ製剤と比べると、低下され得る。例えば、C
MAXは、静脈内投与された、粘度低下性有機ホスフェートを含まないが他は同じ製剤の場合のC
MAXと比べて、1日、2日、3日または4日超まで低下され得、または10%、20%、30%、40%または50%超まで低下され得る。全体的な生体利用能は、粘度低下性有機ホスフェート(複数可)を含まないが他は同じ製剤と比べると、SCまたはIM注射の場合、増加し得る。全体的な生体利用能は、例えば、静脈内に投与された投与量に関して、1つまたは複数のAUC値を比較することにより、または算出される生体利用率を比較することにより評価することができる。例えば、AUCは、静脈内投与された粘度低下性有機ホスフェート(複数可)を含まないが他は同じ製剤と比較した場合、10%、20%、30%、40%または50%超増加し得る。
【0257】
本低粘度タンパク質製剤により、粘度低下有機ホスフェート(複数可)を含まないそうしたタンパク質製剤と比べて、投与の適応性の増加、および投与頻度の低減が可能になる。一部の実施形態では、注射1回あたりに投与される投与量を複数倍に増加することにより、投与頻度は、例えば、2週間毎に1回から6週間毎に1回に低減することができる。
【0258】
以下に限定されないが、再構成された製剤を含むタンパク質製剤は、加熱されたおよび/または自己混合式シリンジまたはオートインジェクターを使用して、投与することができる。本タンパク質製剤は、シリンジに充填する前に、個別の加温ユニット中で予め加熱することもできる。
【0260】
加熱シリンジ(heated syringe)は、シリンジウォーマーを使用して、予め加熱されている標準シリンジとすることができる。このシリンジウォーマーは、その各々がタンパク質製剤を含有するシリンジを受け入れることができる1つまたは複数の開口部、および使用前にシリンジを特定の(通常、周囲温度超)温度で加温および維持するための手段を一般に有している。これを、本明細書では、事前加熱シリンジ(pre-heated syringe)と呼ぶ。適切な加熱シリンジウォーマーには、Vista Dental Products and Inter−Medから入手可能なものが含まれる。ウォーマーは、様々なサイズのシリンジを収容すること、および、通常、1℃以内で、最大約130℃までの任意の温度まで加熱することが可能である。一部の実施形態では、シリンジは、所望の温度に維持されている水浴器(water bather)などの加熱浴中で予め加熱される。
【0261】
加熱シリンジは、自己加熱式シリンジとすることができ、すなわち、特定の温度において、シリンジ内部の液状製剤を加熱および維持することができる。自己加熱式シリンジはまた、それに加熱用デバイスが取り付けられている、標準的な医療用シリンジとすることもできる。シリンジに取り付けることが可能な適切な加熱用デバイスには、St.Louis、MOのWatlow Electric Manufacturing Co.から入手可能なシリンジ−ヒーターまたはシリンジヒーターテープ、およびHamden、CTのWarner Instrumentsから入手可能な、SW−61モデルのシリンジウォーマーなどの、シリンジヒーターブロック、ステージヒーターおよびインラインかん流式ヒーターが含まれる。ヒーターは、セントラルコントローラー、例えば、Warner Instrumentsから入手可能な、TC−324BまたはTC−344Bモデルのヒーターコントローラーにより制御することができる。
【0262】
加熱シリンジは、指定温度、または指定温度の1℃以内、2℃以内もしくは5℃以内に、液状タンパク質製剤を維持する。加熱シリンジは、タンパク質製剤が、その温度において十分に安定である限り、タンパク質製剤を室温から、最大約80℃まで、最大約60℃まで、最大約50℃まで、または最大約45℃までの任意の温度に維持することができる。加熱シリンジは、タンパク質製剤を、20℃〜60℃の間、21℃〜45℃の間、22℃〜40℃の間、または25℃〜37℃の間の温度に維持することができる。注射の間、タンパク質製剤を高温で維持することによって、この液状製剤の粘度が低下し、製剤中のタンパク質の溶解度が増加するか、またはそれらの両方となる。
【0264】
シリンジは、自己混合式とすることができるか、またはミキサーを取り付けることができる。ミキサーは、静的ミキサーまたは動的ミキサーとすることができる。静的ミキサーの例には、米国特許第5,819,988号、同第6,065,645号、同第6,394,314号、同第6,564,972号および同第6,698,622号に開示されているものが含まれる。一部の動的ミキサーの例には、米国特許第6,443,612号および同第6,457,609号、ならびに米国特許出願公開番号US2002/0190082号に開示されているものが含まれ得る。シリンジは、液状タンパク質製剤の構成成分を混合するための複数のバレル(barrel)を含むことができる。米国特許第5,819,998号には、2種の構成成分である粘性物質を混合するための2つのバレルおよび混合用チップを有するシリンジを記載している。
【0265】
iii.オートインジェクターおよびタンパク質製剤のプレフィルドシリンジ
【0266】
本液状タンパク質製剤は、プレフィルドシリンジのオートインジェクターまたは無針注射デバイスを使用して投与することができる。オートインジェクターは、交換可能なプレフィルドカートリッジを保持するための、携帯型の、多くの場合、ペン様のカートリッジホルダー、およびプレフィルドカートリッジから投与量の液状薬物を皮下または筋肉内に注射するための、バネに基づくまたは類似のメカニズムを含む。オートインジェクターは、通常、自己投与、または訓練を受けていない職員により投与するよう設計されている。オートインジェクターは、プレフィルドカートリッジから単回投与量または複数回投与量のいずれかを投薬するために利用可能である。オートインジェクターは、とりわけ、注射の深さ、注射速度などを含めた、様々な使用者の設定にすることが可能である。他の注射システムには、米国特許第8,500,681号に記載されているものが含まれ得る。
【0267】
凍結乾燥したタンパク質製剤は、プレフィルドシリンジまたは単位用量シリンジ中で提供することができる。米国特許第3,682,174号、同第4,171,698号および同第5,569,193号は、注射直前に混合することができる、乾燥製剤および液体を事前に充填することができる、2つのチャンバを含有する、滅菌シリンジを記載している。米国特許第5,779,668号は、医薬組成物の凍結乾燥、再構成および投与のためのシリンジシステムを記載している。一部の実施形態では、本タンパク質製剤は、投与前にシリンジ中で再構成されて、単回の皮下注射または筋肉内注射として投与される、プレフィルドシリンジまたは単位用量シリンジ中の、凍結乾燥形態で供給される。単位用量の凍結乾燥した薬物を送達するためのオートインジェクターは、WO2012/010,832に記載されている。Safe Click Lyo(商標)(Future Injection Technologies,Ltd.、Oxford、英国)により上市されている)などのオートインジェクターが、単位用量のタンパク質製剤を投与するために使用することができ、この場合、この製剤は、凍結乾燥形態で保管され、投与直前に再構成される。一部の実施形態では、本タンパク質製剤は、凍結乾燥した薬物用の単位用量カートリッジ中で提供される(時として、Vetterカートリッジと呼ばれる)。適切なカートリッジの例には、米国特許第5,334,162号および同第5,454,786号に記載されているものが含まれ得る。
【0269】
本粘度低下有機ホスフェートはまた、タンパク質の精製および濃縮を支援するために使用することもできる。タンパク質溶液の粘度を低下させる粘度低下有機ホスフェートの有効量で、本粘度低下有機ホスフェート(複数可)および賦形剤を、タンパク質に加える。例えば、本粘度低下有機ホスフェートは、約0.01M〜約1Mの間、好ましくは約0.01M〜約0.5Mの間、および最も好ましくは約0.01M〜約0.25Mの間の濃度まで加えられる。
【0270】
次に、有機ホスフェート溶液は、限外ろ過/ダイアフィルトレーション、タンジェンシャルフローろ過、遠心濃縮、および透析からなる群から選択される方法を使用して、精製または濃縮される。
【実施例】
【0271】
上記は、以下の非限定実施例によって、さらに理解される。
【0272】
十分に混合したmAb水溶液の粘度はすべて、25℃で5分間の平衡後(特に示されていない限り)、mVROCマイクロ流体粘度計(RheoSense)またはDV2T円錐平板粘度計(Brookfield;「C&P」)のいずれかを使用して測定した。mVROC粘度計は、チップ「A」または「B」を備えており、これらのチップはそれぞれ、50ミクロンのチェネルを有して製造されている。通常、0.10mLのタンパク質溶液を、上記のチップに取り付けられている気密microlab instrumentシリンジ(Hamilton;100μL)に戻し充填し(back-loaded)、複数の流速、すなわち各チップの最大圧力の約20%、40%および60%で測定した。例えば、約50cPの試料は、粘度が安定化するまで(通常、少なくとも30秒後)、約10,20および30μL/分(チップ「A」では、それぞれ、約180、350および530s
−1)で測定することになると思われる。次に、平均絶対粘度および標準偏差を、少なくともこれら3つの測定値から算出した。C&P粘度計に、CPE40またはCPE52のスピンドル(それぞれ、0.8°および3.0°の円錐角)を装着し、0.50mLの試料を、2〜400s
−1の間の複数のせん断速度で測定した。具体的には、試料は、少なくとも10%のトルクを与えるせん断速度で開始して、機器のトルクが100%に到達するまで継続し、それぞれ、22.58、24.38、26.25、28.13、30、31.88、45、67.5、90、112.5、135、157.5、180、202.5、247、270、292.5、315、337.5、360、382、400s
−1で、30秒間、測定した。次に、外挿したゼロせん断粘度を、DV2T円錐平板粘度計で測定した試料に関して、動的粘度対せん断速度のプロットから決定した。報告されている外挿したゼロせん断粘度は、少なくとも3つの測定値の平均および標準偏差である。
【0273】
(実施例1)
有機ホスフェートは、バイオシミラーAVASTIN(登録商標)の濃縮水溶液の粘度を低下させる
【0274】
医薬品賦形剤(ポリソルベート20、リン酸およびクエン酸緩衝液、マンニトールおよびNaCl)を含有する、商業的に得たバイオシミラーAVASTIN(登録商標)(100〜400mg)を精製した。まず、DETERGENT−OUT(登録商標)TWEENメディカラム(G−Biosciences)を使用して、ポリソルベート20を除去した。次に、得られた溶液を、PB試料用に、20mMのリン酸ナトリウム緩衝液(PB;pH7.0)および粘度低下有機ホスフェートの試料用に、2mMのPB(pH7.0)に十分に緩衝液交換し、Jumbosep遠心濃縮器(Pall Corp.)で、10mL未満の最終体積まで濃縮した。2mMのPBに緩衝液交換した試料を、まずアリコートに分けた。次に、適量の粘度低下有機ホスフェートの溶液(pH7.0)を、それぞれのアリコートに加えた。それにより水による再構成の際の賦形剤の最終濃度は0.10〜0.25Mであった。次に、このタンパク質溶液を冷凍乾燥した。タンパク質および粘度低下有機ホスフェート(および、無視できる量の緩衝塩)を含有する乾燥タンパク質ケーキを再構成して、最終体積約0.1mLおよび先に記載した粘度低下有機ホスフェートの濃度にした。20mMのPBに緩衝液交換した試料(PB対照試料)の場合、採集したタンパク質溶液を冷凍乾燥した。タンパク質および緩衝塩を含有する、乾燥タンパク質ケーキを、約0.10〜0.50mLの最終体積まで再構成した。これらの試料は、PBの最終濃度を0.25Mにするのに十分な、追加のPB(pH7.0)を使用して再構成した。溶液中のmAbの最終濃度は、クマシーによるタンパク質定量アッセイによる、未知濃度の試料をバイオシミラーAVASTIN(登録商標)の標準曲線と比較することによって決定した。報告されている粘度は、RheoSense mVROCマイクロ流体粘度計で測定した。同じプロトコルを使用し、バイオシミラーERBITUX(登録商標)、TYSABRI(登録商標)、HERCEPTIN(登録商標)およびREMICADE(登録商標)を含有する製剤も調製した。
【0275】
表1におけるデータは、バイオシミラーAVASTIN(登録商標)の水溶液の粘度は、0.10〜0.25Mの粘度低下性有機ホスフェートの存在下では、少なくとも2倍、低下され得ることを実証している。リン酸緩衝液中の200cPを超える粘度は、0.10〜0.25Mの粘度低下性有機ホスフェートを添加することにより、一部の場合、50cP未満に低下した。TPPは、ここで試験した粘度低下性有機ホスフェートの中で、最大の粘度低下能力(最低粘度)があることを実証している。
【0276】
【表1-1】
【表1-2】
【0277】
(実施例2)
バイオシミラーAVASTIN(登録商標)の水溶液の粘度低下は、有機ホスフェートの濃度に依存する
【0278】
商業的に得たバイオシミラーAVASTIN(登録商標)の水溶液を、実施例1に記載されている通りに調製した。乾燥タンパク質ケーキをリン酸緩衝液または水中で再構成し、最終体積約0.1mL、および粘度低下性有機ホスフェートを0.02M〜0.5Mの最終濃度にした。溶液中のmAbの最終濃度は、クマシーによるタンパク質定量アッセイにより、未知濃度の試料をバイオシミラーAVASTIN(登録商標)の標準曲線と比較することによって決定した。報告されている粘度は、RheoSense mVROCマイクロ流体粘度計で測定した。
【0279】
表2におけるデータは、バイオシミラーAVASTIN(登録商標)の水溶液の粘度は、粘度低下性有機ホスフェートの添加により、最初は低下することを実証している。しかし、粘度低下性有機ホスフェートの濃度が、ある値を超えて増加するにつれて、一層多くの粘度低下性有機ホスフェートの添加は、逆効果になり得る(粘度増加をもたらす)。ここで試験したバイオシミラーAVASTIN(登録商標)の水溶液の場合、粘度は、粘度低下性有機ホスフェートの濃度が約0.20Mを超える場合、粘度が増加し始める。
【0280】
【表2】
【0281】
(実施例3)
有機ホスフェートは、治療関連性のあるモノクローナル抗体の多くの粘度を低下させる。
【0282】
商業的に得たバイオシミラーAVASTIN(登録商標)の水溶液を、実施例1に記載されている通りに調製した。乾燥したタンパク質ケーキをリン酸緩衝液または水中で再構成し、最終体積約0.10mL、かつ0.02M〜0.50Mの最終粘度低下有機ホスフェート濃度にした。溶液中のmAbの最終濃度は、クマシーによるタンパク質定量アッセイにより、未知濃度の試料をバイオシミラーAVASTIN(登録商標)の標準曲線と比較することによって決定した。
【0283】
医薬品用賦形剤(リン酸ナトリウム緩衝液、NaCl、ポリソルベート80)を含有する、商業的に得たTYSABRI(登録商標)を、同じ様式で精製、緩衝液交換、濃縮、乾燥、再構成および分析した。医薬品用賦形剤(リン酸ナトリウム緩衝液、NaCl、ポリソルベート80)を含有する、商業的に得たバイオシミラーERBITUX(登録商標)を、同じ様式で精製、緩衝液交換、濃縮、乾燥、再構成、および分析した。医薬品用賦形剤(スクロース、ポリソルベート80、リン酸ナトリウム緩衝液)を含有する、商業的に得たREMICADE(登録商標)を、処方情報シートにおける指示に従い調製し、同じ様式で、精製、緩衝液交換、濃縮、乾燥、再構成、および分析した。医薬品用賦形剤(ヒスチジン緩衝液、トレハロース、ポリソルベート20)を含有する、商業的に得たHERCEPTIN(登録商標)を、処方情報シートにおける指示に従い調製し、同じ様式で、精製、緩衝液交換、濃縮、乾燥、再構成、および分析した。医薬品用賦形剤(クエン酸緩衝液、塩化ナトリウムおよびTWEEN(登録商標)80)を含有する、商業的に得たバイオシミラーRITUXAN(登録商標)を、同じ様式で精製、緩衝液交換、濃縮、乾燥、再構成、および分析した。報告されている粘度は、RheoSense mVROCマイクロ流体粘度計で測定した。
【0284】
表3におけるデータは、粘度低下有機ホスフェートが、多くの治療関連mAbの濃縮水溶液の粘度を低下させ得ることを実証している。cAMP−Trisにより、一部の場合には、最大約9倍粘度を低下させる。
【0285】
【表3-1】
【表3-2】
【0286】
上で特段明確に定義しない限り、本明細書において使用されている技術用語および科学用語はすべて、当業者により一般に理解されているものと同じ意味を有する。当業者は、型通りの実験だけを使用して、本明細書に記載されている本発明の具体的な実施形態に対する、多くの等価物を認めるか、または確認する。こうした等価物は、以下の特許請求の範囲により包含されることが意図されている。