(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6564542
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】熱処理された金属製品用の冷却剤噴射モジュールシステム
(51)【国際特許分類】
C21D 1/667 20060101AFI20190808BHJP
C21D 1/00 20060101ALI20190808BHJP
C21D 9/00 20060101ALI20190808BHJP
C21D 9/08 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
C21D1/667
C21D1/00 123B
C21D1/00 123Z
C21D9/00 H
C21D9/08 B
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-44715(P2019-44715)
(22)【出願日】2019年3月12日
【審査請求日】2019年3月12日
(31)【優先権主張番号】10-2018-0086947
(32)【優先日】2018年7月26日
(33)【優先権主張国】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516328557
【氏名又は名称】デウォン アプライド エンジニアリング カンパニー
【氏名又は名称原語表記】DAEWON APPLIED ENG.CO.
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】チョン、チャンキ
【審査官】
相澤 啓祐
(56)【参考文献】
【文献】
特表2016−527404(JP,A)
【文献】
特表2009−526135(JP,A)
【文献】
特開2013−019023(JP,A)
【文献】
特開2003−013135(JP,A)
【文献】
特開昭61−199025(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21D 1/00−1/84
C21D 9/00−9/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱処理された丸棒またはパイプ形状の金属製品の表面に冷却剤を噴射して製品の焼入れ及び表面洗浄を実行する冷却剤噴射モジュールシステムにおいて、
中央部に製品が通過する第1の製品出入口(11)が形成され、第1の製品出入口(11)の周囲に沿って冷却剤が満たされる第1の冷却剤分配管部材(12)が形成され、外側面に冷却剤供給口(14)が形成され、冷却剤供給口(14)が冷却剤供給管(15)によって第1の冷却剤分配管部材(12)と接続されるモジュールハウジング(10)と、
中央部に製品が通過する第2の製品出入口(21)が形成され、第2の製品出入口(21)の周囲に沿って冷却剤が満たされる第2の冷却剤分配管部材(22)が形成され、第2の製品出入口(21)とモジュールハウジング(10)の第1の製品出入口(11)の中心点がそれぞれ製品が通過される中心軸上に位置するようにモジュールハウジング(10)に装着されるモジュールカバー(20)であって、前記第1の冷却剤分配管部材(12)と第2の冷却剤分配管部材(22)とが向かい合わせることによって分配管を形成する、モジュールカバー(20)と、
製品が通過できるように中央部が空ディスク形状をなし、内周面に多数の溝が形成されてなるノズル溝(31)とノズルパネル(32)が歯車形状に交替で配列され、上記第1の冷却剤分配管部材(12)及び第2の冷却剤分配管部材(22)の表面にそれぞれ突出して形成された多数の第1のノズル固定ブロック(13)と第2のノズル固定ブロック(23)により固定されて製品に冷却剤を噴射するノズル(30)と、を有する冷却剤噴射モジュール(1)を構成することを特徴とする熱処理された金属製品用の冷却剤噴射モジュールシステム。
【請求項2】
2つ以上の冷却剤噴射モジュール(1)のモジュールハウジング(10)の端には、それぞれモジュールフレーム接続口(16)が形成され、それぞれの冷却剤噴射モジュール(1)のモジュールフレーム接続口(16)には、棒形状のモジュールフレーム(40)が挿入されながら冷却剤噴射モジュール(1)の製品出入口が同一軸上に形成されるように連続的に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の熱処理された金属製品用の冷却剤噴射モジュールシステム。
【請求項3】
上記冷却剤噴射モジュール(1)に装着された、それぞれのノズル(30)のノズルパネル(32)がなす傾斜角が異なるように形成され、製品の入口方向に配置された冷却剤噴射モジュール(1)のノズルパネル(32)の傾斜角が、製品の出口方向に配置された冷却剤噴射モジュール(1)のノズルパネル(32)の傾斜角より大きな角度をなし、ノズルパネル(32)の傾斜角方向は、製品の出口方向を向くように構成されることを特徴とする、請求項2に記載の熱処理された金属製品用の冷却剤噴射モジュールシステム。
【請求項4】
上記モジュールフレーム(40)には、それぞれの冷却剤噴射モジュール(1)の間ごとに、モジュール固定ブロック(41)が差し込まれて冷却剤噴射モジュール(1)の位置間隔が調整され、モジュールフレーム(40)の末端に接続されるモジュール固定部材(42)により冷却剤噴射モジュール(1)の位置が固定されることを特徴とする、請求項2に記載の熱処理された金属製品用の冷却剤噴射モジュールシステム。
【請求項5】
ノズル(30)から噴射される冷却剤の圧力を均一に維持するために、第1、2の冷却剤分配管部材(12、22)が2以上の部分に分かれ、冷却剤噴射モジュール(1)の上部に位置する第1、2の冷却剤分配管部材(12、22)より下部に位置する第1、2の冷却剤分配管部材(12、22)に流入される冷却剤に、より高い圧力がより高く作用するように構成されることを特徴とする、請求項1または請求項2のいずれかに記載の熱処理された金属製品用の冷却剤噴射モジュールシステム。
【請求項6】
冷却剤噴射モジュール(1)の上部に位置する第1、2の冷却剤分配管部材(12、22)に流入される冷却剤圧力と下部に位置する第1、2の冷却剤分配管部材(12、22)に流入される冷却剤圧力は、8.5:10.5〜9.5:11.5の割合の範囲内で形成されることを特徴とする、請求項5に記載の熱処理された金属製品用の冷却剤噴射モジュールシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱処理工程中で高温に加熱された金属製品を焼入れして製品の物理的な特性を改善するための冷却剤噴射装置に関し、より詳細には、モジュールハウジングとモジュールカバーが結合してなる冷却剤噴射モジュールの中央部に製品が通過する製品出入口が形成され、製品出入口の周囲に沿って冷却剤が満たされる冷却剤分配管が形成され、冷却剤分配管に形成されたノズル固定ブロックに固定された中央部が空ディスク形状のノズルから製品へ冷却剤を噴射することによって、熱処理された金属製品の冷却焼入れ及び洗浄を実行する熱処理された金属製品用の冷却剤噴射モジュールシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、金属製品の特性を改善するために加熱または冷却速度を調整する熱処理工程を実行することになり、熱処理中で高温に加熱された金属製品を急冷して金属組織の相変化を発生させる工程を焼入れというが、焼入れ工程は、金属製品の表面に水またはオイル等の冷却剤を噴射する方式等を通じて実行するようになる。
【0003】
このような焼入れ工程の実行のために、冷却剤を噴射する装置として、大韓民国公開特許公報第10-2016-0041996号(2016.04.18.公開)では、製品が通過する開口部が形成された外部リングと内部リングの内側結合面がそれぞれ傾斜するように構成されて円錐形状のノズルが形成され、ファスナーを通じて外部リングと内部リングの間隔を調整してノズルの形状およびサイズを変更することによって噴射される冷却剤の流量を調整する焼入れリングを1つ以上備える熱処理された金属製品用の噴射焼入れシステムを提案している。
【0004】
しかし、上記のような焼入れシステムでは、外部から供給される冷却剤を受容するために、焼入れリングに形成されたリングプレナムに接続されたノズルに同一の圧力の冷却剤が供給されるが、焼入れリングの上部と下部から噴射される冷却剤噴射圧力に重力の影響が作用しながらノズルの位置により噴射される冷却剤の圧力が互いに変わりながら製品表面の冷却が均一に発生できなくなる問題点があった。
【0005】
また、ノズルが焼入れリングと一体型になっており、冷却剤の噴射角度調整が不可能であり、ファスナーを用いて外部リングと内部リングの間隔を調整することによって噴射される冷却剤の流量を調整する方式では、冷却剤噴射量の精密な制御が難しくて製品の冷却速度を調整することが難しい問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】大韓民国公開特許公報第10-2016-0041996号(2016.04.18.公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の実施例では、噴射された冷却剤が冷却剤噴射モジュールの外部へ飛び散りながら製品表面の不均一な冷却発生の防止を提供することを目的とする。
【0008】
本発明の実施例では、重力の影響によりノズル上部から噴射される冷却剤とノズル下部から噴射される冷却剤の噴射圧力を一致させて製品表面の均一な冷却発生を提供することを目的とする。
【0009】
本発明の実施例では、冷却剤の噴射角度調整および噴射される冷却剤の量を容易に制御することができる冷却剤噴射モジュールを提供することを目的とする。
【0010】
本発明の実施例では、噴射された冷却剤が冷却剤噴射モジュールの外部へ飛び散りながら製品表面の不均一な冷却発生の防止を提供することを目的とする。
【0011】
本発明の実施例によると、熱処理された丸棒またはパイプ形状の金属製品の表面に冷却剤を噴射して製品の焼入れ及び表面洗浄を実行する冷却剤噴射システムで、中央部に製品が通過する第1の製品出入口(11)が形成され、第1の製品出入口の周囲に沿って冷却剤が満たされる第1の冷却剤分配管が形成され、外側面に冷却剤供給口が形成されるが、冷却剤供給口が冷却剤供給管により第1の冷却剤分配管と接続されるモジュールハウジングと、中央部に製品が通過する第2の製品出入口が形成され、第2の製品出入口の周囲に沿って冷却剤が満たされる第2の冷却剤分配管が形成され、第2の製品出入口とモジュールハウジングの第1の製品出入口の中心点がそれぞれ製品が通過される中心軸上に位置するようにモジュールハウジングに装着されるモジュールカバー及び製品が通過できるように中央部が空ディスク形状をなし、内周面に多数の溝が形成されてなるノズル溝とノズルパネルが歯車形状に交替で配列され、上記第1の冷却剤分配管及び第2の冷却剤分配管の表面にそれぞれ突出して形成された多数の第1のノズル固定ブロックと第2のノズル固定ブロックにより固定されて製品に冷却剤を噴射するノズルが冷却剤噴射モジュールを構成する。
【0012】
本発明の実施例によると、2つ以上の冷却剤噴射モジュールのモジュールハウジングの端には、それぞれモジュールフレーム接続口が形成され、それぞれの冷却剤噴射モジュールのモジュールフレーム接続口には、棒形状のモジュールフレームが挿入されながら冷却剤噴射モジュールの製品出入口が同一軸上に形成されるように連続的に配置される。
【0013】
本発明の実施例によると、上記冷却剤噴射モジュールに装着された、それぞれのノズルのノズルパネルがなす傾斜角が異なるように形成されるが、製品の入口方向に配置された冷却剤噴射モジュールのノズルパネルの傾斜角が製品の出口方向に配置された冷却剤噴射モジュールのノズルパネルの傾斜角より大きな角度をなし、ノズルパネルの傾斜角方向は製品の出口方向を向くように構成される。
【0014】
本発明の実施例によると、上記モジュールフレームには、それぞれの冷却剤噴射モジュールの間ごとに、モジュール固定ブロックが差し込まれて冷却剤噴射モジュールの位置間隔が調整され、モジュールフレームの末端に接続されるモジュール固定部材により冷却剤噴射モジュールの位置が固定される。
【0015】
本発明の実施例によると、ノズルから噴射される冷却剤の圧力を均一に維持するために、第1、2の冷却剤分配管が2以上の部分に分かれ、冷却剤噴射モジュールの上部に位置する第1、2の冷却剤分配管より下部に位置する第1、2の冷却剤分配管に流入される冷却剤に、より高い圧力がより高く作用するように構成される。
【0016】
本発明の実施例によると、冷却剤噴射モジュールの上部に位置する第1、2の冷却剤分配管に流入される冷却剤圧力と下部に位置する第1、2の冷却剤分配管に流入される冷却剤圧力は、8.5:10.5〜9.5:11.5の割合の範囲内で形成される。
【発明の効果】
【0017】
本発明の実施例によると、パイプまたは丸棒形状の製品表面に冷却剤を均一に噴射することによって、製品表面の熱処理加工が均一に発生できるようにして製品の品質を向上させる効果がある。
【0018】
本発明の実施例によると、ノズル交替を通じて様々な傾斜角及び厚さを有するノズルを適用することができるようにすることで、製品表面に噴射される冷却剤の噴射角度及び冷却剤噴射量を簡単に制御できるようにする効果がある。
【0019】
本発明の実施例によると、冷却剤噴射モジュールが2つ以上連続的に配列された冷却剤噴射モジュールシステムで製品の入口方向に配置された冷却剤噴射モジュールから噴射される冷却剤が製品の出口方向を向くようにし、製品の出口方向に配置された冷却剤噴射モジュールから噴射される冷却剤の傾斜角が徐々に減少するようにすることで、冷却剤噴射モジュール内に製品投入の際、冷却剤が外部へ飛び散ることを防いで製品表面の不均一な冷却発生を防止することができる効果がある。
【0020】
本発明の実施例によると、2つ以上の冷却剤噴射モジュールをモジュールフレームに接続する際、隣接する冷却剤噴射モジュールの間に差し込まれる固定ブロックにより冷却剤噴射モジュールの位置間隔を調整することによって、製品に冷却剤が噴射される範囲及び冷却剤噴射量を自由に調整することができる効果がある。
【0021】
本発明の実施例によると、ノズルから噴射される冷却剤を分配する冷却剤分配管が2以上の部分に分かれて冷却剤分配管内の冷却剤の圧力降下発生を防止し、重力による噴射圧力減少を防止するために、冷却剤噴射モジュールの下部に位置する冷却剤分配管に、より高い圧力で冷却剤を供給することによって、ノズルから製品表面に噴射される冷却剤の圧力を噴射方向と関係なく均一に維持することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施例による冷却剤噴射モジュールの組み立て及び分解状態の断面形状を示す図面である。
【
図2】本発明の実施例によるモジュールハウジングとモジュールカバーの形状構造を示す図面である。
【
図3】本発明の実施例によるノズルの形状とモジュールハウジング内にノズルが装着される位置及びノズルの形状を示す図面である。
【
図4】本発明の実施例による2つ以上の冷却剤噴射モジュールを連続的に配置されるモジュールフレーム、モジュール固定ブロック及びモジュール固定部材の形状と結合構造を示す図面である。
【
図5】本発明の実施例による2つ以上の冷却剤噴射モジュールを連続的に配置されるモジュールフレーム、モジュール固定ブロック及びモジュール固定部材の形状と結合構造を示す図面である。
【
図6】本発明の実施例によるノズルパネルがなす傾斜角が異なるように形成されたノズルの間に製品が通過する断面形状を示す図面である。
【
図7】本発明の実施例による2つ以上の冷却剤分配管が形成された冷却剤噴射モジュールから下部に位置する冷却剤分配管に流入される冷却剤に、より高い圧力がより高く作用する例を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施例を、添付された図面を参照して説明する。本発明による動作及び作用を理解するに必要な部分を中心に詳細に説明する。本発明の実施例を説明しながら、本発明が属する技術分野によく知られており、本発明と直接的に関連がない技術内容に対しては説明を省略する。これは不必要な説明を省略することによって、本発明の要旨がぼやけなく、より一層明確に伝えるためである。
【0024】
また、本発明の構成要素を説明することにおいて、同一の名称の構成要素に対して図面により他の参照符号を付与することもでき、互いに異なる図面であっても同一の参照符号を付与することもできる。しかし、このような場合であっても、当該構成要素が実施例により、互いに異なる機能を有することを意味したり、互いに異なる実施例で同一の機能を有することを意味することではなく、それぞれの構成要素の機能は、当該実施例でのそれぞれの構成要素に対する説明に基づいて判断すべきである。
【0025】
また、本明細書で使用される技術的な用語は、本明細書で特に他の意味に定義されていない限り、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解される意味に解釈されるべきであり、過度に包括的な意味に解釈されたり、過度に縮小された意味に解釈されないべきである。
【0026】
また、本明細書で使用される単数の表現は、文脈上、異なる意味を持たない限り、複数の表現を含む。本出願で、「構成される」または「含む」等の用語は、明細書上に記載された複数の構成要素ら、または複数の段階らを必ずしもすべて含むものに解釈されないべきであり、その中に一部の構成要素らまたは一部の段階らは、含まれていない可能性もあり、または追加的な構成要素または段階らを更に含むことができるものに解釈されるべきである。
【0027】
本発明の実施例による構成及び動作方法を調べてみると次の通りである。
【0028】
本発明の第1の実施例による冷却剤噴射モジュール(1)は、
図1及び
図2に示すように、中央部に製品が通過する第1、2製品出入口(11、21)がそれぞれ形成されたモジュールハウジング(10)とモジュールカバー(20)及びモジュールハウジング(10)とモジュールカバー(20)との間に装着されるノズル(30)からなるが、上記モジュールハウジング(10)の第1の製品出入口(11)の外側周囲に沿って冷却剤が満たされる溝形状の第1の冷却剤分配管(12)が形成され、モジュールハウジング(10)の外側面には、冷却剤供給口(14)が形成されてモジュールハウジング(10)の内部に形成された冷却剤通路である冷却剤供給管(15)を通じて第1の冷却剤分配管(12)の内部へ冷却剤を供給するようになる。
【0029】
また、モジュールカバー(20)の第2の製品出入口(21)の外側周囲に沿って冷却剤が満たされる溝形状の第2の冷却剤分配管(22)が形成され、モジュールハウジング(10)とモジュールカバー(20)の結合の際、モジュールハウジング(10)の第1の製品出入口(11)とモジュールカバー(20)の第2の製品出入口(21)の中心点がそれぞれ製品が通過される中心軸上に位置するようになる。
【0030】
この際、第1の冷却剤分配管(12)及び第2の冷却剤分配管(22)の溝中央部の表面には、それぞれ多数の第1のノズル固定ブロック(13)と第2のノズル固定ブロック(23)が突出するように形成され、第1、2のノズル固定ブロック(13、23)の間に製品が通過できるように中央部が空ディスク形状を有するノズル(30)が差し込まれて固定され、結合されたモジュールハウジング(10)とモジュールカバー(20)は、ボルト等からなる締結部材(24)によって互いに固定される。
【0031】
また、上記ノズル(30)は、
図3に示すように空いている中央部の内周面に多数の溝が形成されてなるノズル溝(31)とノズルパネル(32)が歯車形状に交替で配列される。
【0032】
熱処理された製品が冷却剤噴射モジュール(1)の第1、2の製品出入口(11、21)に進入する際、モジュールハウジング(10)の側面に形成された冷却剤供給口(14)へ冷却剤を供給すると、冷却剤供給管(15)を通じて第1、2の冷却剤分配管(12、22)の内部へ冷却剤を分配することになり、分配された冷却剤は、第1、2の冷却剤分配管(12、22)にそれぞれ形成された第1、2のノズル固定ブロック(13、23)により固定されたノズル(30)のノズル溝(31)へ排出されながら、ノズルパネル(32)の末端から製品表面に噴射されて製品の焼入れ及び洗浄を実行するようになる。
【0033】
この際、第1の実施例によるノズル(30)の中心点は、モジュールハウジング(10)の第1の製品出入口(11)とモジュールカバー(20)の第2の製品出入口(21)の中心点と同一軸上に位置するようになって、上記ノズル(30)の中心点がパイプまたは丸棒形状となった製品が通過される中心軸上に位置するようになるので、ノズル(30)から噴射される冷却剤が製品表面の全体に均一に噴射されながら製品の焼入れ加工が均一に発生できるようにし、これにより製品の品質を向上させることができるようにする。
【0034】
本発明の第2の実施例による冷却剤噴射モジュール(1)は、第1の実施例による冷却剤噴射モジュール(1)の構成をすべて含み、
図4及び
図5に示すように、冷却剤噴射モジュール(1)のモジュールハウジング(10)の端にモジュールフレーム接続口(16)が形成された冷却剤噴射モジュール(1)が2つ以上配置され、それぞれの冷却剤噴射モジュール(1)のモジュールフレーム接続口(16)には、棒形状のモジュールフレーム(40)が挿入されて、それぞれの冷却剤噴射モジュール(1)の製品出入口の中心点が、製品が通過される中心軸と同一線上に位置するように連続的に配置されるが、これを通じてそれぞれの冷却剤噴射モジュール(1)ごとに製品全体の表面への冷却剤の均一噴射が同時多発的に発生して製品の焼入れ加工速度を向上させることができるようにする。
【0035】
本発明の第3の実施例による冷却剤噴射モジュール(1)は、第2の実施例による冷却剤噴射モジュール(1)の構成をすべて含み、
図6に示すように、2つ以上の冷却剤噴射モジュール(1)に装着された、それぞれのノズル(30)のノズルパネル(32)は、互いに異なる傾斜角を形成することによって、ノズルパネル(32)の傾斜角が徐々に変化するように配置されるが、熱処理された製品が流入される入口方向に配置された冷却剤噴射モジュール(1)のノズルパネル(32)の傾斜角が焼入れが完了した製品が排出される出口方向に配置された冷却剤噴射モジュール(1)のノズルパネル(32)の傾斜角より大きな角度をなし、ノズルパネル(32)が傾斜する方向は出口方向を向くように構成される。
【0036】
これを通じて冷却剤噴射モジュール(1)内に製品投入の際、冷却剤が外部へ飛び散ることを防いで製品表面の不均一な冷却発生を防止し、ノズル(30)の交替を通じて様々な厚さのノズル(30)を適用して冷却剤噴射量を簡単に制御できるようにする。
【0037】
本発明の第4の実施例による冷却剤噴射モジュール(1)は、第2の実施例による冷却剤噴射モジュール(1)の構成をすべて含み、
図4及び
図5に示すように、モジュールフレーム(40)に結合される、それぞれの冷却剤噴射モジュール(1)の間に様々な長さのモジュール固定ブロック(41)を差し込んで冷却剤噴射モジュール(1)の位置間隔を調整できるようにし、冷却剤噴射モジュール(1)とモジュール固定ブロック(41)の配置が完了すると、モジュールフレーム(40)の末端にモジュール固定部材(42)を接続して冷却剤噴射モジュール(1)の位置を固定させることによって、製品表面に冷却剤が噴射される範囲を自由に調整できるようにする。
【0038】
本発明の第5の実施例による冷却剤噴射モジュール(1)は、第1または第2の実施例による冷却剤噴射モジュール(1)の構成をすべて含み、第1または第2の実施例による第1、2の冷却剤分配管(12、22)が2以上の部分に分かれ、それぞれの第1、2の冷却剤分配管(12、22)には、冷却剤供給管(15)及び冷却剤供給口(14)が接続されて冷却剤が個別に供給されるように構成されるが、冷却剤噴射モジュール(1)の下部に位置する第1、2の冷却剤分配管(12、22)に流入される冷却剤供給圧力が冷却剤噴射モジュール(1)の上部に位置する第1、2の冷却剤分配管(12、22)に流入される冷却剤供給圧力より高い圧力が作用するようになる。
【0039】
本発明の第6の実施例による冷却剤噴射モジュール(1)は、第5の実施例による冷却剤噴射モジュール(1)の構成と同一であり、冷却剤噴射モジュール(1)の上部に位置する第1、2の冷却剤分配管(12、22)及び冷却剤噴射モジュール(1)の下部に位置する第1、2の冷却剤分配管(12、22)に流入される冷却剤圧力の割合が8.5:10.5〜9.5:11.5の範囲内で形成されることが好ましく、各製品の種類ごとに要求する冷却速度による冷却剤噴射量が変化することにより適用される冷却剤圧力のサイズが上記割合内で異なって適用されることができる。
【0040】
これを通じて製品表面に冷却剤が噴射される際、重力の影響によりノズル(30)の下部から噴射される冷却剤の流量及び流速がノズル(30)の上部から噴射される冷却剤の流量及び流速より低くなりながら、ノズル(30)の上下位置により製品の焼入れ工程が不均一に発生して製品の品質が低下することを防止するようになる。
【0041】
上記内容を参照して本発明の実施例らを説明したが、本発明が属する技術分野の当業者は、本発明がその技術的な思想や必須的な特徴を変更せず、他の具体的な形態に実施できると理解できる。
【0042】
したがって、上述した実施例らは、すべての面で例示的であり限定的でないものとして理解されるべきであり、上記詳細な説明で記述された本発明の範囲は後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、そしてその等価概念から導出されるすべての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれると解釈されるべきである。
【要約】
【課題】本発明は、熱処理工程中で高温に加熱された金属製品を焼入れして製品の物理的な特性を改善する。
【解決手段】本発明は、モジュールハウジングとモジュールカバーが結合してなる冷却剤噴射モジュールの中央部に製品が通過する製品出入口が形成され、製品出入口の周囲に沿って冷却剤が満たされる冷却剤分配管が形成され、冷却剤分配管に形成されたノズル固定ブロックに固定された中央部が空ディスク形状のノズルから製品へ冷却剤を噴射することにより、熱処理された金属製品の冷却焼入れ及び洗浄を実行する熱処理された金属製品用の冷却剤噴射モジュールシステムを提供する。
【選択図】
図1