【実施例】
【0045】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。以下の実施例及び比較例における樹脂発泡体の物性の測定方法及び評価方法は下記の通りである。
【0046】
(1)見掛密度
樹脂発泡体の表面に形成されたスキン層をスライサーで除去した後、比重測定用の円形の試験片(直径29±1mm×厚み4±1mm)を3個作製した。この試験片について、電子比重計(JIS K 7112準拠)を用いて見掛密度の測定を行った。
【0047】
(2)硬度
樹脂発泡体の表面に形成されたスキン層をスライサーで除去した後、硬度測定用の円形の試験片(直径29mm×厚み10mm、必要な厚みが得られない場合は試験片を積み重ねて10mm以上にする)を作製した。この試験片について、JIS K7312に準拠するJIS−Cデュロメータ(高分子計器株式会社製、アスカーゴム硬度計C1L型)を用いて、23±2℃の温度条件下で硬度測定を行った。
【0048】
(3)気泡径(セル径)
樹脂発泡体の表面に形成されたスキン層をスライサーで除去した後、試験片(5mm×5mm×厚み1mm)を作製した。この試験片の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観測し、画像上に1mm換算の長さの直線を引き、その直線上に存在する気泡によるセルの個数を数え、1mmをセル数で除し、気泡径(セル径)を求めた。
【0049】
(4)発泡性
目視にて樹脂発泡体の発泡倍率、表面状態を確認し、発泡状態を評価した。著しく発泡倍率が低いもの、表面に気泡が見られるもの、表面が波打っているものを不可とし「×」とした。前記の不具合が見られないものを良とし「〇」とした。
【0050】
(5)圧縮永久歪み
樹脂発泡体の表面に形成されたスキン層をスライサーで除去した後、圧縮永久歪測定用の円形の試験片(直径29±1mm×厚み4±1mm)を3個作製した。この試験片について、ASTM D395準拠の定荷重式永久歪試験機(テスター産業株式会社製)を用いて、温度40±3℃の条件で400Nの荷重を1時間負荷し、除荷後30分経過した時の厚さ(T1)と負荷前の厚さ(T0)を計測し、((T0−T1)/T0)×100の計算値を圧縮永久歪の値とした。また、圧縮永久歪みの値が25以下を良「〇」とし、25超を不可「×」と評価した。
【0051】
(6)接着性
図2及び
図3を用いて接着強度の試験方法について具体的に説明する。
図2は本発明の樹脂発泡体の実施例及び比較例における試験片51から形成される試料片50の構成を概略的に示している。樹脂発泡体の上下両面のスキン層をスライサーで除去し、ストリップ状(幅20mm×長さ60mm×厚さ3mm)に作製した試験片51を同じストリップ状に作製したウレタン片52に接着剤53によって接着し、試料片50を作製した。より詳しくは、試験片51及びウレタン片52の表面をアセトンに浸したキムワイプ(登録商標)で拭いた後、60℃で5分間乾燥させた。試験片51の片面にプライマー(ノーテープ工業株式会社製、G−6626)を塗布し、60℃で5分間乾燥させた後、試験片51のプライマー塗布面及びウレタン片52の片面に接着剤(ノーテープ工業株式会社製、No.4950)を塗布し、60℃で5分間乾燥させた。その後、速やかに試験片51及びウレタン片52を貼り合わせ、試験片51を上にした状態で載置し、ハンドローラーにて可能な限り力を加えて圧着させることによって、試料片50を得た。
【0052】
図3は各試料片50の接着強度の試験方法を図示している。試料片50を室温で12時間以上養生した後、
図3(A)および(B)に示すように、引張試験機(株式会社島津製作所製オートグラフ(登録商標)AG−Xplus)により、試料片50の試験片51とウレタン片52とを剥離させて、剥離接着強度を測定した。なお、
図3において、54は固定側引張治具、55は可動側引張治具である。ロードセルは1kN(100kgf)であり、試験スピードは50mm/分、固定側引張治具54及び可動側引張治具55間の初期間隙は20mmとした。剥離接着強度が2kgf/20mm以上の試験片は接着性が良好「〇」、2kgf/20mm未満の試験片は接着性が不良「×」と評価した。
【0053】
(7)緩衝性
樹脂発泡体から150mm×150mm×厚さ20mmの試験片を作製した。試験片表面から50mmの高さから、重さ10kgの直径45mm平板からなる錘を落下させ、錘が試験片に落下衝突したときの加速度を錘に取り付けた加速度センサーで測定した。
【0054】
[実施例1]
架橋反応性樹脂(A)を構成するポリマーマトリックス(a1)として、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(Kraton(登録商標)MD1537;クレイトンポリマージャパン株式会社)52.5gと、低密度ポリエチレン(エボリュー(登録商標)SP1510;株式会社プライムポリマー)31.5gを準備した。シリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)には、充填材(D)としてシリカ微粒子が予め分散され、かつパラフィンオイル成分を15重量%含むシリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム組成物であるSEPX−917B−U(信越化学工業株式会社)を45g用いた。このシリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム組成物45g中には、シリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)が24.7g、充填材(D)であるシリカ微粒子が13.5g、可塑剤であるパラフィンオイルが6.8g含まれている。さらに、可塑剤としてパラフィンオイル(ダイアナ(登録商標)プロセスオイルPW380;出光興産株式会社)21gを準備した。これにより、本実施例において配合されるパラフィンオイルの重量は27.8g(SEPX−917B−Uに含まれるパラフィンオイル成分6.8gとの合計重量)とした。これらの配合成分をそれぞれ秤量して混合し、卓上型ニーダー(PBV−0.3;株式会社入江商会)を用いて130℃で20分間、加熱混練した。引き続き、架橋剤(B)としてジクミルパーオキサイド(パークミル(登録商標)D;日油株式会社)0.6gと、発泡剤(C)としてアゾジカルボンアミド(セルマイク(登録商標)C−22;三協化成株式会社)4.5gをそれぞれ秤量して混合したものを加熱混練物に加え、さらに120℃以下で6分間加熱混練して、実施例1の樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を、射出発泡成形機(STI−0.16−15V;三友工業株式会社)を用いて170℃、20分、型締圧15tonの条件で架橋発泡させて樹脂発泡体を作製した。この樹脂発泡体を用いて、上述した物性の測定方法及び評価方法に基づき、各種試験片又は試料片を作製し、(1)見掛密度、(2)硬度、(3)気泡径(セル径)、(4)発泡性、(5)圧縮永久歪み、(6)接着性及び(7)緩衝性の測定及び評価を行った。また、実施例1の樹脂発泡体のセル(気泡)構造を示すSEM写真を
図4に示す。
【0055】
[実施例2〜4]
実施例1と同じ材料と同じ方法によって、以下表1に示す配合割合で各実施例の樹脂発泡体を得た。実施例1と同様に、得られた各樹脂発泡体を用いて物性評価用の試験片又は試料片を作製し、各種物性の測定及び評価を行った。
【0056】
[実施例5]
シリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)として、実施例1で用いた材料に替えて、充填材(D)としてシリカ微粒子が予め分散され、かつパラフィンオイル成分を15重量%含むシリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム組成物であるSEPX−917A−U(信越化学工業株式会社)と、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(三井EPT4045;三井化学株式会社)とを1:1の重量割合で卓上型ニーダーを用いて混合した組成物45gを用いた以外は、実施例1と同じ材料と同じ方法によって、以下表1に示す配合割合で実施例5の樹脂発泡体を得た。実施例1と同様に、得られた各樹脂発泡体を用いて物性評価用の試験片又は試料片を作製し、各種物性の測定及び評価を行った。
【0057】
[実施例6]
シリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)として、実施例1で用いた材料に替えて、充填材(D)としてシリカ微粒子が予め分散され、かつパラフィンオイル成分を15重量%含むシリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム組成物であるSEPX−917A−U(信越化学工業株式会社)を45g用いた以外は、実施例1と同じ材料と同じ方法によって、以下表1に示す配合割合で実施例6の樹脂発泡体を得た。なお、このシリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム組成物45g中には、シリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)が24.7g、充填材(D)であるシリカ微粒子が13.5g、可塑剤であるパラフィンオイルが6.8g含まれている。実施例1と同様に、得られた各樹脂発泡体を用いて物性評価用の試験片又は試料片を作製し、各種物性の測定及び評価を行った。
【0058】
[実施例7]
シリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)として、実施例1で用いた材料に替えて充填材(D)としてシリカ微粒子が予め分散され、かつパラフィンオイル成分を15重量%含むシリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム組成物であるSEPX−921C−U(信越化学工業株式会社)を45g用いた以外は、実施例1と同じ材料と同じ方法によって、以下表1に示す配合割合で実施例7の樹脂発泡体を得た。なお、このシリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム組成物45g中には、シリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)が24.7g、充填材(D)であるシリカ微粒子が13.5g、可塑剤であるパラフィンオイルが6.8g含まれている。実施例1と同様に、得られた各樹脂発泡体を用いて物性評価用の試験片又は試料片を作製し、各種物性の測定及び評価を行った。
【0059】
実施例1〜7の結果を以下表1に示す。なお、表1において、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体をSEBS、低密度ポリエチレンをLDPE、シリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴムをシリコーン変性EPDMと表記している。
【0060】
【表1】
【0061】
[比較例1]
実施例1の樹脂組成物の構成において、シリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(a2)と充填材(D)であるシリカ微粒子を配合せず、以下表2の比較例1に示す配合割合とした以外は、実施例1と同様の材料及び方法で比較例1の樹脂発泡体を得た。実施例1と同様に、得られた樹脂発泡体を用いて物性評価用の試験片又は試料片を作製し、各種物性の測定及び評価を行った。また、比較例1の樹脂発泡体のセル(気泡)構造を示すSEM写真を
図5に示す。
【0062】
[比較例2]
実施例1の樹脂組成物の構成において、シリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)に代えて変性無しのエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPT4045;三井化学株式会社)を用い、充填材(D)であるシリカ微粒子を配合しないで、以下表2の比較例2に示す配合割合とした以外は、実施例1と同様の材料及び方法で比較例2の樹脂発泡体を得た。実施例1と同様に、得られた樹脂発泡体を用いて物性評価用の試験片又は試料片を作製し、各種物性の測定及び評価を行った。
【0063】
[比較例3]
実施例1の樹脂組成物の構成において、シリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)に代えて変性無しのエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPT4045;三井化学株式会社)を30g用いた。また、充填材(D)としてシリカ微粒子が予め分散されたシリコーンコンパウンド(KE−904;信越化学工業株式会社)を15g用いた。このシリコーンコンパウンド15g中には、シリコーンゴムが9g、充填材(D)であるシリカ微粒子が6g含まれている。そして、以下表2の比較例3に示す配合割合とした以外は、実施例1と同様の材料及び方法で比較例3の樹脂発泡体を得た。実施例1と同様に、得られた樹脂発泡体を用いて物性評価用の試験片又は試料片を作製し、各種物性の測定及び評価を行った。
【0064】
[比較例4及び比較例5]
実施例1の樹脂組成物の構成において、以下表2の比較例4及び比較例5に示す配合割合とした以外は、実施例1と同様の材料及び方法で比較例4、5の樹脂発泡体を得た。実施例1と同様に、得られた各樹脂発泡体を用いて物性評価用の試験片又は試料片を作製し、各種物性の測定及び評価を行った。
【0065】
比較例1〜5の結果を以下表2に示す。なお、表2において、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体をSEBS、低密度ポリエチレンをLDPE、シリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴムをシリコーン変性EPDM、エチレン−プロピレン−ジエンゴムをEPDMと表記している。
【0066】
【表2】
【0067】
実施例1〜7の結果と比較例1〜5の結果との比較から、本発明の構成を具えた樹脂発泡体は、気泡径が小さいセル構造を有し、緩衝性を向上または維持しつつ圧縮永久歪みが小さく、かつ接着性に優れることがわかった。以下、詳細に結果を述べる。
【0068】
実施例1〜7とシリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)が配合されていない比較例1〜3の結果との比較から、シリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)の配合によって、樹脂発泡体の気泡径が小さくなり(
図4及び
図5参照)、圧縮永久歪みが小さくできるとともに、優れた接着性が得られることがわかった。また、比較例3のように、シリコーン変性されていないエチレン−プロピレン−ジエンゴムとシリコーンゴムとを混合して配合したとしても、シリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴムを配合した場合と同じ効果は得られないことから、エチレン−プロピレン−ジエンゴムをシリコーン変性したものを配合することが重要であることがわかった。
【0069】
また、実施例1〜7の結果と比較例1の緩衝性評価の結果から、緩衝性に優れる比較例1と同等または向上した緩衝性が得られており、圧縮永久歪みの低減と緩衝性が両立できていることがわかった。
【0070】
また、実施例1〜4と比較例4、5との比較結果から、ポリマーマトリックス(a1)とシリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)の合計重量に対するシリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)の重量割合が、15重量%未満であると樹脂発泡体の気泡径を小さくする効果及び圧縮永久歪みの改善が得られず、45重量%を超えると接着性が低下することが示された。このことから、シリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)の重量割合として、a2/(a1+a2)が15重量%〜45重量%の範囲が有効である。
【0071】
また、実施例1〜7及び比較例4、5の結果から、シリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)中のシリコーン変性成分の重量割合は、架橋反応樹脂(A)の重量に対する重量割合として0.5〜8重量%であることがより好ましいことがわかった。
【0072】
本発明は、上記の実施形態又は実施例に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨を逸脱しない範囲内での種々、設計変更した形態も技術的範囲に含まれるものである。