特許第6564548号(P6564548)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6564548-樹脂発泡体及びそれを用いた靴底用部材 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6564548
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】樹脂発泡体及びそれを用いた靴底用部材
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/06 20060101AFI20190808BHJP
   A43B 13/04 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   C08J9/06CEQ
   A43B13/04 A
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-509777(P2019-509777)
(86)(22)【出願日】2018年3月26日
(86)【国際出願番号】JP2018012052
(87)【国際公開番号】WO2018181137
(87)【国際公開日】20181004
【審査請求日】2019年6月17日
(31)【優先権主張番号】特願2017-65136(P2017-65136)
(32)【優先日】2017年3月29日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】306026980
【氏名又は名称】株式会社タイカ
(74)【代理人】
【識別番号】100081271
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 芳春
(72)【発明者】
【氏名】菊井 浩輝
(72)【発明者】
【氏名】増田 政彦
【審査官】 鶴 剛史
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/06
A43B 13/04
CAplus/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋反応性樹脂(A)と架橋剤(B)と発泡剤(C)とを含む樹脂組成物を架橋発泡させた樹脂発泡体であって、
前記架橋反応性樹脂(A)は、
ビニル芳香族炭化水素単量体単位と共役ジエン単量体単位とを含有するブロック共重合体及び/またはビニル芳香族炭化水素単量体単位と共役ジエン単量体単位とを含有するブロック共重合体の水素添加物を含むポリマーマトリックス(a1)と、
シリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)とを含んでなり、
前記ポリマーマトリックス(a1)と前記シリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)の合計重量に対する前記シリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)の重量割合(a2/(a1+a2))が、15〜45重量%であることを特徴とする樹脂発泡体。
【請求項2】
前記ポリマーマトリックス(a1)は、さらにオレフィン樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の樹脂発泡体。
【請求項3】
前記架橋反応樹脂(A)の重量に対する前記シリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)中のシリコーン変性成分の重量割合は、0.5〜8重量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂発泡体。
【請求項4】
充填材(D)をさらに含んでなり、
前記架橋反応性樹脂(A)の重量に対する前記充填材(D)の重量割合は、5〜40重量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂発泡体。
【請求項5】
前記充填材(D)は、前記シリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)に分散された状態で含まれていることを特徴とする請求項4に記載の樹脂発泡体。
【請求項6】
前記充填材(D)がシリカ微粒子であることを特徴とする請求項4又は5に記載の樹脂発泡体。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂発泡体からなる靴底用部材。
【請求項8】
請求項7に記載の靴底用部材を具えることを特徴とする履物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩衝性、耐久性、接着性に優れた樹脂発泡体に関し、例えば、インナーソール、ソックライナー、ミッドソール或いはアウターソール等として用いられる靴底用部材として好適な樹脂発泡体に関する。
【背景技術】
【0002】
低比重すなわち軽量、かつ柔軟で機械強度の高い樹脂成型部材を得ることができるため、建築内外装材、内装材やドアグラスランなどの自動車部品、包装材料、日用品などに、樹脂の架橋発泡体に関する技術が広く用いられている。樹脂の単なる発泡体では、軽量化は実現できるが、機械強度の低下を招くため、樹脂の架橋反応により分子鎖を結合させつつ発泡体を形成する樹脂の架橋発泡体とすることで、機械強度の低下を抑制しつつ、発泡による軽量化を達成することが可能である。
【0003】
また、履物ないし履物用部品、たとえばスポーツシューズなどの靴底(主にミッドソール)にも、樹脂の架橋発泡体が使用されている。靴底等の履物用部品には、軽量で、かつ長期間の使用による変形を抑え、過酷な使用条件に耐え得る機械強度、着地時の衝撃を吸収する緩衝性を有する材料が求められているためである。
【0004】
従来、靴底用部品の材料として、エチレン・酢酸ビニル共重合体の架橋発泡体が広く知られている。しかしながら、このエチレン・酢酸ビニル共重合体の架橋発泡体は、接着性に優れるものの圧縮永久歪みが大きく、特に緩衝性を高めるために発泡倍率を大きくすると圧縮永久歪みがより大きくなり、へたりが著しいという問題を有している。この問題を解決するため、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体にエチレン・α−オレフィン共重合体と、有機ペルオキシド及び発泡剤からなる組成物の非架橋及び架橋発泡体が提案されている(特許文献1)。
【0005】
一方で、近年、エチレン・酢酸ビニル共重合体に比べて、低比重で軽量化が可能なビニル芳香族炭化水素単量体単位と共役ジエン単量体単位とを含有するブロック共重合体の発泡体が靴底用部材に適用されている。この種のブロック共重合体についても、エチレン・酢酸ビニル共重合体と同様に、緩衝性と圧縮永久歪みとの両立が求められており、様々な提案がされている。例えば、スチレン系熱可塑性エラストマーとポリエチレン系樹脂との混合物を架橋発泡させた連続気泡体(特許文献2)や、共役ジエン単位とビニル芳香族単位とを主体とする共重合体と、エチレン・α−オレフィン共重合体とから構成される架橋発泡用組成物からなる架橋発泡体(特許文献3)、ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位とを主体とする共重合体と、エチレンープロピレンージエンゴム(EPDM)等のゴム状重合体とから構成されるポリマー発泡体(特許文献4)などが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−194400号公報
【特許文献2】特開平6−001872号公報
【特許文献3】特許第5394757号公報
【特許文献4】特許第5153071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1〜4の何れの発泡体も高い緩衝性と低い圧縮永久歪みの両立に関して改善の余地があり、また特に靴底用部材に適用する場合に重要な接着性も兼ね備える発泡材が求められていた。
【0008】
すなわち、本発明の目的は、高い緩衝性と低い圧縮永久歪みとを両立するとともに、接着性にも優れる樹脂発泡体を提供することにある。
【0009】
また、本発明の第2の目的は、高い緩衝性と低い圧縮永久歪みとを両立するとともに、接着性にも優れる発泡体からなる靴底用部材と、その靴底用部材を具えた履物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本願の発明者らは、高い発泡倍率とした場合でも気泡径を小さく形成することにより、高緩衝性と低圧縮永久歪みとを両立できるとの仮説を立て、精意研究した結果、芳香族ビニル・共役ジエン系ブロック共重合体に特定のゴム成分を添加すると、発泡倍率を高めても気泡径を小さくできることを見出し、本発明に至った。
【0011】
本発明の樹脂発泡体は、架橋反応性樹脂(A)と架橋剤(B)と発泡剤(C)とを含む樹脂組成物を架橋発泡させた樹脂発泡体であって、架橋反応性樹脂(A)は、ビニル芳香族炭化水素単量体単位と共役ジエン単量体単位とを含有するブロック共重合体及び/またはビニル芳香族炭化水素単量体単位と共役ジエン単量体単位とを含有するブロック共重合体の水素添加物を含むポリマーマトリックス(a1)と、シリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)とを含んでなり、ポリマーマトリックス(a1)とシリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)の合計重量に対するシリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)の重量割合(a2/(a1+a2))が、15〜45重量%である。
【0012】
ビニル芳香族炭化水素単量体単位と共役ジエン単量体単位とを含有するブロック共重合体及び/またはビニル芳香族炭化水素単量体単位と共役ジエン単量体単位とを含有するブロック共重合体の水素添加物を含むポリマーマトリックス(a1)とシリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)とを含み、ポリマーマトリックス(a1)とシリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)の合計重量に対するシリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)の重量割合を15〜45重量%とすることで、架橋発泡時の気泡径が小さいセル構造を形成することができ、緩衝性が高く圧縮永久歪みが小さいとともに接着性にも優れる発泡体が得られる。
【0013】
また、本発明の樹脂発泡体において、ポリマーマトリックス(a1)は、さらにオレフィン樹脂を含むことも好ましい。これにより、樹脂発泡体の反発性や強度を高めることができる。
【0014】
また、本発明の樹脂発泡体において、架橋反応樹脂(A)の重量に対するシリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)中のシリコーン変性成分の重量割合は、0.5〜8重量%であることも好ましい。これにより、さらに、架橋発泡時の気泡径が小さいセル構造を有し、緩衝性が高く圧縮永久歪みが小さいとともに接着性に優れる発泡体が得られる。
【0015】
また、本発明の樹脂発泡体は、充填材(D)をさらに含んでなり、架橋反応性樹脂(A)の重量に対する充填材(D)の重量割合は、5〜40重量%であることも好ましい。これにより、緩衝性が高く圧縮永久歪みが小さく接着性に優れるとともに、引っ張り強度も大きい樹脂発泡体が得られる。
【0016】
また、本発明の樹脂発泡体は、充填材(D)がシリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)に分散された状態で含まれていることも好ましい。これにより、緩衝性が高く圧縮永久歪みが小さく接着性に優れるとともに、より安定して引っ張り強度が大きい樹脂発泡体が得られる。
【0017】
また、本発明の樹脂発泡体は、充填材(D)がシリカ微粒子であることも好ましい。これにより、緩衝性が高く圧縮永久歪みが小さく接着性に優れるとともに、引っ張り強度が大きい樹脂発泡体が得られる。
【0018】
また、本発明の靴底用部材は、上述した樹脂発泡体を用いてなるため、緩衝性が高く圧縮永久歪みが小さく接着性に優れ、引っ張り強度が大きい。それゆえ、装着走行時の衝撃を吸収できるとともに機械的な耐久性に優れる。また、接着性も改善されているため、履物に密着性が高い状態で組込むことができる。
【0019】
また、本発明の履物は、上述した樹脂発泡体からなる靴底用部材を具えているので、緩衝性が高く、さらに圧縮永久歪みが小さく、靴底用部材の接着性も高く、引っ張り強度も大きいので、耐久性に優れた履物が得られる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、緩衝性に優れるとともに、圧縮永久歪みが小さく、機械強度が大きく、接着性にも優れる樹脂発泡体が得られる。また、その樹脂発泡体からなる靴底用部材を履物に組込むことによって、緩衝性と耐久性に優れた履物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の樹脂発泡体からなる靴底用部材の一実施形態として、(A)靴底用部材が組み込まれたスポーツシューズを概略的に示す斜視図、(B)組み込まれた靴底用部材の構成を概略的に示す斜視図及び平面図である。
図2】実施例及び比較例における樹脂発泡体の接着強度試験のために作製した試料片の構成を概略的に示す(A)平面図及び(B)正面図である。
図3図2の試料片を用いて行った接着強度試験の方法を説明する図である。
図4】実施例1に示す樹脂発泡体のセル構造を示す走査型電子顕微鏡による写真(200倍)である。
図5】比較例1に示す樹脂発泡体のセル構造を示す走査型電子顕微鏡による写真(200倍)である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の樹脂発泡体は、架橋反応性樹脂(A)と架橋剤(B)と発泡剤(C)とを含む樹脂組成物を架橋発泡してなる架橋発泡体である。
【0023】
まず、本発明の樹脂発泡体を形成するための樹脂組成物を構成する架橋反応性樹脂(A)について説明する。架橋反応性樹脂(A)は、ビニル芳香族炭化水素単量体単位と共役ジエン単量体単位とを含有するブロック共重合体及び/またはビニル芳香族炭化水素単量体単位と共役ジエン単量体単位とを含有するブロック共重合体の水素添加物を含むポリマーマトリックス(a1)と、シリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)とを含んでいる。
【0024】
このうち、ポリマーマトリックス(a1)には、主要材料として、ビニル芳香族炭化水素単量体単位と共役ジエン単量体単位とを含有するブロック共重合体、および、ビニル芳香族炭化水素単量体単位と共役ジエン単量体単位とを含有するブロック共重合体の水素添加物からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物が用いられるが、2種類以上の化合物を組み合わせて用いてもよい。
【0025】
ビニル芳香族炭化水素単量体単位と共役ジエン単量体単位とを含有するブロック共重合体及びその水素添加物(水添ブロック共重合体)としては、例えば、スチレン−エチレン−ブテンブロック共重合体(SEB)、スチレン−エチレン−プロピレンブロック共重合体(SEP)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体ブロック(SEPS)、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)、及びスチレン−ビニル(エチレン−プロピレン)−スチレン共重合体(V−SEPS)などのスチレン系熱可塑性エラストマーをあげることができる。これらの中で、得られる樹脂発泡体の柔軟性及び高温環境下における耐圧縮歪性に優れる観点から、スチレン−エチレン−ブテン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、及びスチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)が好ましい。
【0026】
上述したスチレン系熱可塑性エラストマーが含まれるポリマーマトリックス(a1)には、樹脂発泡体の強度や反発特性の調整、及び樹脂組成物の溶融粘度等の調整のために、ポリオレフィン樹脂が配合されていてもよい。ポリオレフィン樹脂としては、各種ポリエチレン(LDPE、HDPE、VLDPEなど)やポリプロピレンなどが用いられる。ポリマーマトリックス(a1)に占めるポリオレフィン樹脂の重量割合が大きくなると、樹脂発泡体の接着性が低下するので、ポリマーマトリックス(a1)に占める重量割合は50重量%未満が好ましく、40重量%未満がより好ましい。
【0027】
架橋反応性樹脂(A)に含まれるシリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)について説明する。エチレン−プロピレン−ジエンゴムは、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)とも呼ばれるゴム状共重合体であるが、本発明では、シリコーン変性されたエチレン−プロピレン−ジエンゴムが用いられる。このシリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)は、樹脂の架橋発泡時において、自身が架橋すると共にポリマーマトリックス(a1)中の共役ジエンブロックと架橋していると考えられ、樹脂中の気泡の成長を抑制して気泡径が小さいセル構造を形成させる作用を有している。本発明で用いられるシリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴムは、エチレン−プロピレン−ジエンゴム成分とシリコーン変性成分とを架橋反応させて得られる架橋組成物である。このシリコーン変性成分としては、エチレン−プロピレン−ジエンゴム成分と直接またはシラノール等の架橋剤を介して架橋可能なシロキサン化合物等のシリコーン鎖を有する化合物のことをいい、例えば、各種オルガノポリシロキサンなどが挙げられる。このシリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴムには、一般に市販されている製品を用いることもでき、具体的には、特に限定されないが、TEQ215A、TSE216A、TSE217、TEQ237A等のTEQシリーズ(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製品)やSEPシリーズ(信越化学工業株式会社製品)等が挙げられる。
【0028】
上述したシリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)中のシリコーン変性成分の重量割合は、樹脂発泡体の緩衝性及び圧縮永久歪み等の物性が向上する観点から、架橋反応樹脂(A)の重量に対する重量割合として、0.5〜8重量%であることも好ましい。シリコーン変性成分の重量割合が0.5重量%未満であると、気泡径の抑制効果が低下してセル構造が大きくなる場合があり、8重量%を超えると、樹脂発泡体の接着性が低下する場合がある。それゆえ、上記範囲とすることで、架橋発泡時の気泡径が小さいセル構造を有し、緩衝性が高く圧縮永久歪みが小さいとともに接着性に優れる樹脂発泡体を安定して得ることができる。ここでシリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)中のシリコーン変性成分の重量とは、エチレン−プロピレン−ジエンゴム成分と少なくとも1箇所で架橋結合したシリコーン変性成分を含むシリコーン変性ブロックの総重量をいう。また、本発明で用いられるシリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)は、シリコーン分子鎖に架橋可能な官能基を多く有すると、架橋発泡後に残存する未架橋の官能基によって樹脂発泡体の接着性を低下させる場合もあるので、架橋発泡後の未架橋の官能基が少なくなるような分子構造とすることが好ましい。
【0029】
さらに、本発明における架橋反応性樹脂(A)を構成するポリマーマトリックス(a1)とシリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)との配合割合は、圧縮永久歪み及び接着性の観点から、ポリマーマトリックス(a1)とシリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)の合計重量に対するシリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)の重量割合(a2/(a1+a2))が、15〜45重量%である。この割合が15重量%未満であると圧縮永久歪みが大きくなり、45重量%を超えると接着性が低下する。それゆえ、上記範囲とすることで、圧縮永久歪みが小さく、接着性に優れる樹脂発泡体が得られる。
【0030】
次に、本発明の樹脂発泡体を形成するための樹脂組成物を構成する架橋剤(B)について説明する。架橋剤(B)は、共役ジエンに作用して架橋反応を起こさせるものであり、公知の架橋剤を用いることができ、架橋反応性樹脂(A)の種類や熱処理条件、架橋反応性等に応じて適当な架橋剤を選択することができる。本発明で用いられる架橋剤(B)としては、具体的には、有機過酸化物及びビスマレイミド系化合物からなる群から選ばれる1種または複数の化合物の組合せが好ましく、有機過酸化物がより好ましい。有機過酸化物としては、例えば、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド及び、t−ブチルクミルペルオキシド等のジアルキルモノペルオキシド;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン及び、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレレート等のジペルオキシド;ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド及び、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド等のジアシルペルオキシド;t−ブチルペルオキシベンゾエート等のモノアシルアルキルペルオキシド;t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート等の過炭酸;ジアセチルペルオキシド及び、ラウロイルペルオキシド等のジアシルペルオキシド等が挙げられる。これらは1種類を単独で使用してもよいし、複数種類を併用してもよい。このうち、反応性の観点から、ジクミルペルオキシド等のジアルキルモノペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン等のジペルオキシドが好ましい。他方、ビスマレイミド系化合物としては、ベンゼン環に結合したアルキル基部分および不飽和二重結合部分で架橋を生じさせ得るビスマレイミド系化合物であればいずれの化合物でもよく、例えばN,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−p−フェニレンビスマレイミド、N,N’−p−フェニレン(1−メチル)ビスマレイミド、N,N’−2,7−ナフテンビスマレイミド、N,N’−m−ナフテンビスマレイミド、N,N’−m−フェニレン−4−メチルビスマレイミド、N,N’−m−フェニレン(4−エチル)ビスマレイミドおよびトルイレンビスマレイミド等が挙げられる。中でも、反応性の観点から、N,N’−m−フェニレンビスマレイミドが好ましい。これらは、1種類を単独で使用してもよいし、複数種類を併用してもよい。
【0031】
また、本発明の樹脂発泡体を形成するための樹脂組成物を構成する発泡剤(C)は、特に限定されず、公知のものを用いることができる。具体的には、アゾジカルボンアミド(ADCA)、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルセミカルバジド及び、トリヒドラジノトリアジン等の有機系熱分解型発泡剤;炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウム及び、炭酸アンモニウム等の無機系熱分解型発泡剤等が挙げられる。それらの中でも、コストや反応性の観点から、アゾジカルボンアミド(ADCA)、炭酸水素ナトリウムが好ましい。
【0032】
上述した発泡剤(C)の配合割合は、架橋反応性樹脂(A)の重量に対する重量割合として、3〜20重量%であることが好ましい。発泡剤(C)の重量割合が3重量%未満であると、充分な樹脂発泡体が形成されにくく、20重量%を超えると均一な樹脂発泡体が得られ難くなるため、上記範囲が好ましい。
【0033】
本発明の樹脂発泡体は、機械強度を向上させるために、充填材(D)をさらに含んでいることも好ましい。この充填剤としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、クレー、タルク、マイカ、硫酸バリウム、炭酸マグネシウムガラス繊維、ガラスビーズ、チタン酸カリウム、カーボンブラック、カーボン−シリカ、デュアル・フェイズ・フィラー等が挙げられ、分散性と機械強度付与の観点からシリカ微粒子が好ましい。
【0034】
充填材(D)の配合割合は、架橋反応性樹脂(A)の重量に対する重量割合として、5〜40重量%であることが好ましい。充填材(D)の重量割合が、5重量%未満であると、充填材添加の効果が得られ難く、40重量%を超えると、樹脂発泡体の硬度が大きくなりすぎる場合があるので、上記範囲が好ましい。
【0035】
充填材(D)は、樹脂組成物の調整工程において、任意の過程で公知の方法で樹脂組成物中に分散させることができるが、シリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(a2)に分散させた状態で樹脂組成物に分散させることが好ましい。シリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(a2)に充填材(D)を予め分散させておくことにより、組成物全体への充填材の分散を高める効果がある。
【0036】
本発明の樹脂発泡体を形成するための樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、さらに硬度調整剤として、パラフィンオイル、ナフテンオイル及び、アロマチックオイル等のオイルや、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルセパケート及び、ジオクチルアジペート等の各種可塑剤や、さらに、酸化亜鉛などの発泡助剤、ステアリン酸などの滑剤など、公知の添加物を必要に応じて添加してもよい。
【0037】
(樹脂組成物の調製及び樹脂発泡体の製造方法)
本発明の樹脂発泡体は、主に、上記成分(A)〜成分(C)が配合された樹脂組成物を調整し、この樹脂組成物を架橋発泡することによって製造される。樹脂組成物は、上述した架橋反応性樹脂(A)と架橋剤(B)と発泡剤(C)を含み、架橋反応性樹脂(A)は、ビニル芳香族炭化水素単量体単位と共役ジエン単量体単位とを含有するブロック共重合体及び/またはビニル芳香族炭化水素単量体単位と共役ジエン単量体単位とを含有するブロック共重合体の水素添加物を含むポリマーマトリックス(a1)とシリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)とを含んでなり、ポリマーマトリックス(a1)とシリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)の合計重量に対するシリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)の重量割合が、15〜45重量%で配合されている。
【0038】
樹脂組成物を調製する際には、従来から公知の混練機、押出機等を用いることができる。また、架橋反応性樹脂(A)、架橋剤(B)及び発泡剤(C)の配合方法、配合順序としては、例えば、バンバリーミキサー等で、予め架橋反応性樹脂(A)の構成成分(a1)及び構成成分(a2)を100〜180℃で溶融混練させておき、ロール等を用いて架橋剤(B)と発泡剤(C)等を加えて混合する方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。また、充填材(D)を添加する場合には、バンバリーミキサー等を用いて、架橋反応樹脂(A)に分散させればよく、上述したように、予めシリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)に分散させたのち、樹脂組成物に分散させればよい。
【0039】
上述した樹脂組成物を所定の金型内に入れて温度を高めることにより発泡処理を行うか、あるいは押出成型機を用いて任意の形状に成型したのち、加熱槽内で加熱して発泡処理を行うことにより、本発明の樹脂発泡体が得られる。この場合、1次発泡処理を行ったに2次発泡処理を行って、樹脂発泡体の発泡倍率を上げることもできる。発泡条件は、発泡材及び架橋剤の種類や添加量に応じて所望の発泡状態となるように適宜調整することができる。一例として、加熱温度は120〜250℃の範囲が好ましく、140〜180℃の範囲がより好ましい。また、加熱時間としては3〜120分の範囲が好ましく、5〜60分の範囲がより好ましい。
【0040】
この樹脂組成物の発泡過程において、同時に架橋反応が行われる。本発明の樹脂発泡体の架橋形態は特には制限されず、例えば、硫黄架橋、過酸化物架橋等が適用され、樹脂発泡体のコスト及び強度の観点から、硫黄架橋が好ましい。また、この樹脂発泡体には、必要に応じ、シリル化剤、シランカップリング剤、老化防止剤、加硫促進剤、架橋助剤、着色剤等が適量配合されていてもよい。
【0041】
本発明で得られた樹脂発泡体の見掛密度は、0.05〜0.7g/ccであり、好ましくは0.1〜0.6g/ccである。見掛密度は、JIS K 7112に準拠して測定できる。また、本発明で得られた樹脂発泡体の圧縮永久歪みは、5〜25%(ASTM D395準拠)と低く、へたりにくく、耐久性が高い樹脂発泡体が得られる。
【0042】
本発明の靴底用部材は、樹脂組成物を射出成形品、中空成形品、圧空成形品、真空成形品、押出成形品等の方法により所定の形状に成形した樹脂発泡体からなり、圧縮永久歪みが小さく耐久性に優れ、さらに、緩衝性と接着性にも優れた靴底用部材として有用である。図1(A)には、本発明の靴底用部材の一実施形態として、スポーツシューズ40のソール部の踵部41及び側縁部42に配置された靴底用部材10及び11が示されている。
【0043】
本発明の履物は、この靴底用部材をインソール、ミッドソールまたはアウトソール等として公知の方法で組込むことによって得られる。
【0044】
また、本発明の樹脂発泡体は、上記の履物及び靴底用部材としての用途以外に、各種形状の射出成形品、中空成形品、圧空成形品、真空成形品、押出成形品等として活用できる。特に、本発明の樹脂発泡体は、軽量かつ柔軟であり、かつ圧縮永久歪み、引裂強度、反発弾性に優れており、更には成形安定性、加工性にも優れているので、自動車関係、建築関係、各種包装材料、日用品等にも広く用いることができる。
【実施例】
【0045】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。以下の実施例及び比較例における樹脂発泡体の物性の測定方法及び評価方法は下記の通りである。
【0046】
(1)見掛密度
樹脂発泡体の表面に形成されたスキン層をスライサーで除去した後、比重測定用の円形の試験片(直径29±1mm×厚み4±1mm)を3個作製した。この試験片について、電子比重計(JIS K 7112準拠)を用いて見掛密度の測定を行った。
【0047】
(2)硬度
樹脂発泡体の表面に形成されたスキン層をスライサーで除去した後、硬度測定用の円形の試験片(直径29mm×厚み10mm、必要な厚みが得られない場合は試験片を積み重ねて10mm以上にする)を作製した。この試験片について、JIS K7312に準拠するJIS−Cデュロメータ(高分子計器株式会社製、アスカーゴム硬度計C1L型)を用いて、23±2℃の温度条件下で硬度測定を行った。
【0048】
(3)気泡径(セル径)
樹脂発泡体の表面に形成されたスキン層をスライサーで除去した後、試験片(5mm×5mm×厚み1mm)を作製した。この試験片の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観測し、画像上に1mm換算の長さの直線を引き、その直線上に存在する気泡によるセルの個数を数え、1mmをセル数で除し、気泡径(セル径)を求めた。
【0049】
(4)発泡性
目視にて樹脂発泡体の発泡倍率、表面状態を確認し、発泡状態を評価した。著しく発泡倍率が低いもの、表面に気泡が見られるもの、表面が波打っているものを不可とし「×」とした。前記の不具合が見られないものを良とし「〇」とした。
【0050】
(5)圧縮永久歪み
樹脂発泡体の表面に形成されたスキン層をスライサーで除去した後、圧縮永久歪測定用の円形の試験片(直径29±1mm×厚み4±1mm)を3個作製した。この試験片について、ASTM D395準拠の定荷重式永久歪試験機(テスター産業株式会社製)を用いて、温度40±3℃の条件で400Nの荷重を1時間負荷し、除荷後30分経過した時の厚さ(T1)と負荷前の厚さ(T0)を計測し、((T0−T1)/T0)×100の計算値を圧縮永久歪の値とした。また、圧縮永久歪みの値が25以下を良「〇」とし、25超を不可「×」と評価した。
【0051】
(6)接着性
図2及び図3を用いて接着強度の試験方法について具体的に説明する。図2は本発明の樹脂発泡体の実施例及び比較例における試験片51から形成される試料片50の構成を概略的に示している。樹脂発泡体の上下両面のスキン層をスライサーで除去し、ストリップ状(幅20mm×長さ60mm×厚さ3mm)に作製した試験片51を同じストリップ状に作製したウレタン片52に接着剤53によって接着し、試料片50を作製した。より詳しくは、試験片51及びウレタン片52の表面をアセトンに浸したキムワイプ(登録商標)で拭いた後、60℃で5分間乾燥させた。試験片51の片面にプライマー(ノーテープ工業株式会社製、G−6626)を塗布し、60℃で5分間乾燥させた後、試験片51のプライマー塗布面及びウレタン片52の片面に接着剤(ノーテープ工業株式会社製、No.4950)を塗布し、60℃で5分間乾燥させた。その後、速やかに試験片51及びウレタン片52を貼り合わせ、試験片51を上にした状態で載置し、ハンドローラーにて可能な限り力を加えて圧着させることによって、試料片50を得た。
【0052】
図3は各試料片50の接着強度の試験方法を図示している。試料片50を室温で12時間以上養生した後、図3(A)および(B)に示すように、引張試験機(株式会社島津製作所製オートグラフ(登録商標)AG−Xplus)により、試料片50の試験片51とウレタン片52とを剥離させて、剥離接着強度を測定した。なお、図3において、54は固定側引張治具、55は可動側引張治具である。ロードセルは1kN(100kgf)であり、試験スピードは50mm/分、固定側引張治具54及び可動側引張治具55間の初期間隙は20mmとした。剥離接着強度が2kgf/20mm以上の試験片は接着性が良好「〇」、2kgf/20mm未満の試験片は接着性が不良「×」と評価した。
【0053】
(7)緩衝性
樹脂発泡体から150mm×150mm×厚さ20mmの試験片を作製した。試験片表面から50mmの高さから、重さ10kgの直径45mm平板からなる錘を落下させ、錘が試験片に落下衝突したときの加速度を錘に取り付けた加速度センサーで測定した。
【0054】
[実施例1]
架橋反応性樹脂(A)を構成するポリマーマトリックス(a1)として、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(Kraton(登録商標)MD1537;クレイトンポリマージャパン株式会社)52.5gと、低密度ポリエチレン(エボリュー(登録商標)SP1510;株式会社プライムポリマー)31.5gを準備した。シリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)には、充填材(D)としてシリカ微粒子が予め分散され、かつパラフィンオイル成分を15重量%含むシリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム組成物であるSEPX−917B−U(信越化学工業株式会社)を45g用いた。このシリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム組成物45g中には、シリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)が24.7g、充填材(D)であるシリカ微粒子が13.5g、可塑剤であるパラフィンオイルが6.8g含まれている。さらに、可塑剤としてパラフィンオイル(ダイアナ(登録商標)プロセスオイルPW380;出光興産株式会社)21gを準備した。これにより、本実施例において配合されるパラフィンオイルの重量は27.8g(SEPX−917B−Uに含まれるパラフィンオイル成分6.8gとの合計重量)とした。これらの配合成分をそれぞれ秤量して混合し、卓上型ニーダー(PBV−0.3;株式会社入江商会)を用いて130℃で20分間、加熱混練した。引き続き、架橋剤(B)としてジクミルパーオキサイド(パークミル(登録商標)D;日油株式会社)0.6gと、発泡剤(C)としてアゾジカルボンアミド(セルマイク(登録商標)C−22;三協化成株式会社)4.5gをそれぞれ秤量して混合したものを加熱混練物に加え、さらに120℃以下で6分間加熱混練して、実施例1の樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を、射出発泡成形機(STI−0.16−15V;三友工業株式会社)を用いて170℃、20分、型締圧15tonの条件で架橋発泡させて樹脂発泡体を作製した。この樹脂発泡体を用いて、上述した物性の測定方法及び評価方法に基づき、各種試験片又は試料片を作製し、(1)見掛密度、(2)硬度、(3)気泡径(セル径)、(4)発泡性、(5)圧縮永久歪み、(6)接着性及び(7)緩衝性の測定及び評価を行った。また、実施例1の樹脂発泡体のセル(気泡)構造を示すSEM写真を図4に示す。
【0055】
[実施例2〜4]
実施例1と同じ材料と同じ方法によって、以下表1に示す配合割合で各実施例の樹脂発泡体を得た。実施例1と同様に、得られた各樹脂発泡体を用いて物性評価用の試験片又は試料片を作製し、各種物性の測定及び評価を行った。
【0056】
[実施例5]
シリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)として、実施例1で用いた材料に替えて、充填材(D)としてシリカ微粒子が予め分散され、かつパラフィンオイル成分を15重量%含むシリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム組成物であるSEPX−917A−U(信越化学工業株式会社)と、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(三井EPT4045;三井化学株式会社)とを1:1の重量割合で卓上型ニーダーを用いて混合した組成物45gを用いた以外は、実施例1と同じ材料と同じ方法によって、以下表1に示す配合割合で実施例5の樹脂発泡体を得た。実施例1と同様に、得られた各樹脂発泡体を用いて物性評価用の試験片又は試料片を作製し、各種物性の測定及び評価を行った。
【0057】
[実施例6]
シリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)として、実施例1で用いた材料に替えて、充填材(D)としてシリカ微粒子が予め分散され、かつパラフィンオイル成分を15重量%含むシリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム組成物であるSEPX−917A−U(信越化学工業株式会社)を45g用いた以外は、実施例1と同じ材料と同じ方法によって、以下表1に示す配合割合で実施例6の樹脂発泡体を得た。なお、このシリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム組成物45g中には、シリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)が24.7g、充填材(D)であるシリカ微粒子が13.5g、可塑剤であるパラフィンオイルが6.8g含まれている。実施例1と同様に、得られた各樹脂発泡体を用いて物性評価用の試験片又は試料片を作製し、各種物性の測定及び評価を行った。
【0058】
[実施例7]
シリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)として、実施例1で用いた材料に替えて充填材(D)としてシリカ微粒子が予め分散され、かつパラフィンオイル成分を15重量%含むシリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム組成物であるSEPX−921C−U(信越化学工業株式会社)を45g用いた以外は、実施例1と同じ材料と同じ方法によって、以下表1に示す配合割合で実施例7の樹脂発泡体を得た。なお、このシリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム組成物45g中には、シリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)が24.7g、充填材(D)であるシリカ微粒子が13.5g、可塑剤であるパラフィンオイルが6.8g含まれている。実施例1と同様に、得られた各樹脂発泡体を用いて物性評価用の試験片又は試料片を作製し、各種物性の測定及び評価を行った。
【0059】
実施例1〜7の結果を以下表1に示す。なお、表1において、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体をSEBS、低密度ポリエチレンをLDPE、シリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴムをシリコーン変性EPDMと表記している。
【0060】
【表1】
【0061】
[比較例1]
実施例1の樹脂組成物の構成において、シリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(a2)と充填材(D)であるシリカ微粒子を配合せず、以下表2の比較例1に示す配合割合とした以外は、実施例1と同様の材料及び方法で比較例1の樹脂発泡体を得た。実施例1と同様に、得られた樹脂発泡体を用いて物性評価用の試験片又は試料片を作製し、各種物性の測定及び評価を行った。また、比較例1の樹脂発泡体のセル(気泡)構造を示すSEM写真を図5に示す。
【0062】
[比較例2]
実施例1の樹脂組成物の構成において、シリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)に代えて変性無しのエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPT4045;三井化学株式会社)を用い、充填材(D)であるシリカ微粒子を配合しないで、以下表2の比較例2に示す配合割合とした以外は、実施例1と同様の材料及び方法で比較例2の樹脂発泡体を得た。実施例1と同様に、得られた樹脂発泡体を用いて物性評価用の試験片又は試料片を作製し、各種物性の測定及び評価を行った。
【0063】
[比較例3]
実施例1の樹脂組成物の構成において、シリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)に代えて変性無しのエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPT4045;三井化学株式会社)を30g用いた。また、充填材(D)としてシリカ微粒子が予め分散されたシリコーンコンパウンド(KE−904;信越化学工業株式会社)を15g用いた。このシリコーンコンパウンド15g中には、シリコーンゴムが9g、充填材(D)であるシリカ微粒子が6g含まれている。そして、以下表2の比較例3に示す配合割合とした以外は、実施例1と同様の材料及び方法で比較例3の樹脂発泡体を得た。実施例1と同様に、得られた樹脂発泡体を用いて物性評価用の試験片又は試料片を作製し、各種物性の測定及び評価を行った。
【0064】
[比較例4及び比較例5]
実施例1の樹脂組成物の構成において、以下表2の比較例4及び比較例5に示す配合割合とした以外は、実施例1と同様の材料及び方法で比較例4、5の樹脂発泡体を得た。実施例1と同様に、得られた各樹脂発泡体を用いて物性評価用の試験片又は試料片を作製し、各種物性の測定及び評価を行った。
【0065】
比較例1〜5の結果を以下表2に示す。なお、表2において、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体をSEBS、低密度ポリエチレンをLDPE、シリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴムをシリコーン変性EPDM、エチレン−プロピレン−ジエンゴムをEPDMと表記している。
【0066】
【表2】
【0067】
実施例1〜7の結果と比較例1〜5の結果との比較から、本発明の構成を具えた樹脂発泡体は、気泡径が小さいセル構造を有し、緩衝性を向上または維持しつつ圧縮永久歪みが小さく、かつ接着性に優れることがわかった。以下、詳細に結果を述べる。
【0068】
実施例1〜7とシリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)が配合されていない比較例1〜3の結果との比較から、シリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)の配合によって、樹脂発泡体の気泡径が小さくなり(図4及び図5参照)、圧縮永久歪みが小さくできるとともに、優れた接着性が得られることがわかった。また、比較例3のように、シリコーン変性されていないエチレン−プロピレン−ジエンゴムとシリコーンゴムとを混合して配合したとしても、シリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴムを配合した場合と同じ効果は得られないことから、エチレン−プロピレン−ジエンゴムをシリコーン変性したものを配合することが重要であることがわかった。
【0069】
また、実施例1〜7の結果と比較例1の緩衝性評価の結果から、緩衝性に優れる比較例1と同等または向上した緩衝性が得られており、圧縮永久歪みの低減と緩衝性が両立できていることがわかった。
【0070】
また、実施例1〜4と比較例4、5との比較結果から、ポリマーマトリックス(a1)とシリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)の合計重量に対するシリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)の重量割合が、15重量%未満であると樹脂発泡体の気泡径を小さくする効果及び圧縮永久歪みの改善が得られず、45重量%を超えると接着性が低下することが示された。このことから、シリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)の重量割合として、a2/(a1+a2)が15重量%〜45重量%の範囲が有効である。
【0071】
また、実施例1〜7及び比較例4、5の結果から、シリコーン変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム(a2)中のシリコーン変性成分の重量割合は、架橋反応樹脂(A)の重量に対する重量割合として0.5〜8重量%であることがより好ましいことがわかった。
【0072】
本発明は、上記の実施形態又は実施例に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨を逸脱しない範囲内での種々、設計変更した形態も技術的範囲に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明に係る樹脂発泡体は、靴用ミッドソールやアウトソール又はインナーソール材料に適しており、さらに自動車部品、土木・建築用途、家電部品、スポーツ用品、雑貨品、文房具をはじめとする種々の成形品やその他の広範な分野において好適に使用できる。
【符号の説明】
【0074】
10、11 靴底用部材
40 スポーツシューズ
41 ソール部の踵部
42 ソール部の側縁部
50 試料片
51 試験片(実施例又は比較例の樹脂発泡体)
52 ウレタン片
53 接着層
54 固定側引張治具
55 可動側引張治具
図1
図2
図3
図4
図5