【実施例】
【0036】
本発明の表面改質チタン酸バリウム粒子材料、チタン酸バリウム含有樹脂組成物、及びチタン酸バリウム分散液について実施例に基づき詳細に説明を行う。
【0037】
(試験1:チタン酸バリウム粒子材料の表面処理の検討:表1)
・試験例1
チタン酸バリウム(比表面積16m
2/g)を10質量部、エタノールを90質量部、HMDSを0.03質量部(1μmol/m
2:チタン酸バリウムの表面積基準、以下同じ)、0.3mmジルコニアビーズを混合し、ビーズミル装置で回転数3000rpmで60分間分散を実施した。その後、ジルコニアビーズを除去し、表面改質チタン酸バリウム粒子材料が分散媒としてのエタノール中に分散された、本試験例のチタン酸バリウム分散液を得た。本試験例のチタン酸バリウム分散液について動的光散乱による平均粒径(D50)は125nm、ゼータ電位は82mVであった。粒度分布の測定結果を
図1に示す。
【0038】
本試験例のチタン酸バリウム分散液は1週間静置しても凝集沈降は発生しなかった。凝集沈降が発生したかどうかは、スラリー濃度が液面高さ10cmのガラス容器中に24時間静置した場合に、液面から10mm以上が透明でかつ、容器底面から1mm以上の沈降層が生成した場合に凝集沈降が発生したと判断した。
【0039】
本試験例のチタン酸バリウム分散液を遠心沈降し、得られた沈降物をメチルエチルケトン(MEK)で洗浄した後、120℃で乾燥し洗浄後試料とした。この洗浄・乾燥によりチタン酸バリウム分散液中の表面改質チタン酸バリウム粒子材料の表面に物理吸着しているHMDSが洗浄できたものと推測できる。
【0040】
洗浄後試料を50mg、40%フッ化水素酸を0.5mL、60%硝酸を5mLを密閉容器に入れ、200℃40分間マイクロ波加熱後、常温に戻し溶解液を回収した。回収した溶解液について、ICP分析を行った結果、Si量が0.05質量%だった。洗浄後試料についてFT−IRを上述した条件で測定した結果、TiO-H(3690cm
−1)のピークがほぼ消失し、1558cm
−1にピークが生成していることを確認した。そして、洗浄後試料についてカーボン量を測定した結果、0.9質量%であった。これらの評価値について表2に示す。
【0041】
・試験例2
試験例1のHMDSを全て、3−グリジシルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM403)0.09質量部(2μmol/m
2)に代えた以外は同様の操作で調製し本試験例の試験試料とした。本試験例の試験試料について試験例1と同様の評価を行った。試験例1の試験試料と同様に1週間静置しても凝集沈降は認められなかった。結果を表2に示す。
【0042】
・試験例3
試験例1のHMDSを全て、8−グリジシルオキシオクチルトリメトキシシラン(KBM4803)0.10質量部(2μmol/m
2)と、HMDS0.03質量部(1μmol/m
2)の2種類を併用した併用処理に代えた以外は同様の操作で調製し本試験例の試験試料とした。本試験例の試験試料について試験例1と同様の評価を行った。試験例1の試験試料と同様に1週間静置しても凝集沈降は認められなかった。結果を表2に示す。ここで、シラン化合物の2種類の併用処理とは、2つのシラン化合物を記載の順で順次反応させることを言う。
【0043】
・試験例4
試験例1のHMDSを全て、ビニルトリメトキシシラン(KBM1003)0.05質量部(2μmol/m
2)と、HMDS0.03質量部(1μmol/m
2)の2種類を併用した併用処理に代えた以外は同様の操作で調製し本試験例の試験試料とした。本試験例の試験試料について試験例1と同様の評価を行った。試験例1の試験試料と同様に1週間静置しても凝集沈降は認められなかった。結果を表2に示す。
【0044】
・試験例5
試験例1のHMDSを全て、N-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン(KBM573)0.09質量部(2μmol/m
2)と、HMDS0.03質量部(1μmol/m
2)の2種類を併用した併用処理に代えた以外は同様の操作で調製し本試験例の試験試料とした。本試験例の試験試料について試験例1と同様の評価を行った。試験例1の試験試料と同様に1週間静置しても凝集沈降は認められなかった。結果を表2に示す。
【0045】
・試験例6
試験例1のHMDSを全て、メタクリルオキシオクチルトリメトキシシラン(KBM5803)0.12質量部(2μmol/m
2)と、HMDS0.03質量部(1μmol/m
2)の2種類を併用した併用処理に代えた以外は同様の操作で調製し本試験例の試験試料とした。本試験例の試験試料について試験例1と同様の評価を行った。試験例1の試験試料と同様に1週間静置しても凝集沈降は認められなかった。結果を表2に示す。
【0046】
・試験例7
試験例1のHMDSを全て、オクテニルトリメトキシシラン(KBM1083)0.08質量部(2μmol/m
2)と、HMDS0.03質量部(1μmol/m
2)の2種類を併用した併用処理に代えた以外は同様の操作で調製し本試験例の試験試料とした。本試験例の試験試料について試験例1と同様の評価を行った。試験例1の試験試料と同様に1週間静置しても凝集沈降は認められなかった。結果を表2に示す。
【0047】
・試験例8
試験例1のHMDSを全て、フェニルトリメトキシシラン(KBM103)0.07質量部(2μmol/m
2)と、HMDS0.03質量部(1μmol/m
2)の2種類を併用した併用処理に代えた以外は同様の操作で調製し本試験例の試験試料とした。本試験例の試験試料について試験例1と同様の評価を行った。試験例1の試験試料と同様に1週間静置しても凝集沈降は認められなかった。結果を表2に示す。
【0048】
・試験例9
試験例1のエタノール90質量部をエタノール45質量部とトルエン45質量部に代えた以外は同様の操作で調製し本試験例の試験試料とした。本試験例の試験試料について試験例1と同様の評価を行った。試験例1の試験試料と同様に1週間静置しても凝集沈降は認められなかった。結果を表2に示す。
【0049】
・試験例10
試験例5のエタノール90質量部をエタノール45質量部とMEK45質量部に代えた以外は同様の操作で調製し本試験例の試験試料とした。本試験例の試験試料について試験例1と同様の評価を行った。試験例1の試験試料と同様に1週間静置しても凝集沈降は認められなかった。結果を表2に示す。
【0050】
・試験例11
試験例1のエタノール90質量部をエタノール45質量部とMEK45質量部に代えた以外は同様の操作で調製し本試験例の試験試料とした。本試験例の試験試料について試験例1と同様の評価を行った。試験例1の試験試料と同様に1週間静置しても凝集沈降は認められなかった。結果を表2に示す。
【0051】
・試験例12
チタン酸バリウム(比表面積16m
2/g)10質量部と、ヘキサメチルジシラザン0.03質量部(1μmol/m
2)を混合し表面改質を行った。その後、エタノール 90質量部と0.3mmジルコニアビーズで混合し、ビーズミル装置で回転数3000rpmで60分間分散を実施した。その後、ジルコニアビーズを除去し、表面改質チタン酸バリウム粒子材料が分散媒としてのエタノール中に分散された、本試験例のチタン酸バリウム分散液を得た。本試験例の試験試料について試験例1と同様の評価を行った。試験例1の試験試料と同様に1週間静置しても凝集沈降は認められなかった。結果を表2に示す。
【0052】
・試験例13
試験例12のHMDSを全て、N-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン(KBM573)0.09質量部(2μmol/m
2)と、ヘキサメチルジシラザン0.03質量部(1μmol/m
2)の2種類を併用した併用処理に代えた以外は同様の操作で調製し本試験例の試験試料とした。本試験例の試験試料について試験例1と同様の評価を行った。試験例1の試験試料と同様に1週間静置しても凝集沈降は認められなかった。結果を表2に示す。
【0053】
・比較例1
試験例1のHMDSを全て、8−グリジシルオキシオクチルトリメトキシシラン(KBM4803)0.30質量部(6μmol/m
2)に代えた以外は同様の操作で調製し本試験例の試験試料とした。本試験例の試験試料について試験例1と同様の評価を行った。1日静置したところ凝集沈降が認められた。結果を表2に示す。
【0054】
・比較例2
試験例1のHMDSを全て、8−メタクリルオキシオクチルトリメトキシシラン(KBM5803)0.34質量部(6μmol/m
2)に代えた以外は同様の操作で調製し本試験例の試験試料とした。本試験例の試験試料について試験例1と同様の評価を行った。1日静置したところ凝集沈降が認められた。結果を表2に示す。
【0055】
・比較例3
試験例1のHMDSを全て、8−オクテニルトリメトキシシラン(KBM1083)0.27質量部(6μmol/m
2)に代えた以外は同様の操作で調製し本試験例の試験試料とした。本試験例の試験試料について試験例1と同様の評価を行った。1日静置したところ凝集沈降が認められた。結果を表2に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
表より明らかなように、試験例1〜13の試験試料のチタン酸バリウム分散液は凝集沈降の発生が認められなかったのに対して比較例1〜3の試験試料のチタン酸バリウム分散液では凝集沈降の発生が認められた。シラン化合物の添加量が過剰であるため凝集が発生したものと推測できる。シラン化合物の処理量としては6μmol/m
2よりも小さいことが好ましいことが分かった。
【0059】
試験例1〜13のD50とゼータ電位の結果から、以下のことが分かった。試験例3ではD50が他の試験例よりも僅かではあるが大きいことと、ゼータ電位が38mVで他の試験例より低かったこととから、ゼータ電位の好ましい範囲としては、試験例3より大きい40mV以上であることが分かった。
【0060】
ここで、試験例1の洗浄後試料、試験例2の洗浄後試料、粒子材料(チタン酸バリウム原料)についてそれぞれFT−IRスペクトルを測定した結果を
図2に示し、試験例3〜8の洗浄後試料についてそれぞれ測定したFT−IRスペクトルを
図3に示し、比較例1〜3の洗浄後試料についてそれぞれ測定したFT−IRスペクトルを
図4に示す。
【0061】
図2〜4より明らかなように、試験例1〜8では、1550cm
−1〜1600cm
−1にピーク(1400cm
−1〜1500cm
−1に存在する大きなピークのショルダーに観測される)が観測されるのに対して、チタン酸バリウム原料である粒子材料ではそのようなピークは存在しないことが分かった。そして、過剰なシラン化合物により処理した比較例1〜3では1550cm
−1〜1600cm
−1にあるピークが大きくなることが分かった。つまり、1550cm
−1〜1600cm
−1にあるピークの存在はシラン化合物による処理を行っているか否かによって変化することが分かった。