特許第6564552号(P6564552)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6564552MXene粒子材料、スラリー、二次電池、透明電極、MXene粒子材料の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6564552
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】MXene粒子材料、スラリー、二次電池、透明電極、MXene粒子材料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/56 20060101AFI20190808BHJP
   C04B 35/00 20060101ALI20190808BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20190808BHJP
【FI】
   C04B35/56
   C04B35/00
   H01M4/58
【請求項の数】9
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2019-522342(P2019-522342)
(86)(22)【出願日】2018年12月28日
(86)【国際出願番号】JP2018048448
【審査請求日】2019年4月24日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501402730
【氏名又は名称】株式会社アドマテックス
(73)【特許権者】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】特許業務法人 共立
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 仁俊
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 友祐
(72)【発明者】
【氏名】冨田 亘孝
(72)【発明者】
【氏名】須田 明彦
(72)【発明者】
【氏名】深野 達雄
【審査官】 神▲崎▼ 賢一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/136136(WO,A1)
【文献】 特開2016−063171(JP,A)
【文献】 特開2017−076739(JP,A)
【文献】 特開昭11−279745(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 35/56
C04B 35/00
H01M 4/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Al、式中のMはTi、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Taからなる群から選択される1種類以上の元素であり、XはC、[C(1.0−x)(0<x≦1.0)]、からなる群から選択される1以上の構造からなる。aは2又は3、bは0.02超、cはaが2の時には0.8から1.2、aが3の時には1.8から2.6、で表される組成を持つ粒子材料からなり、
厚みの平均値が3.5nm以上20nm以下、大きさ[(長辺+短辺)/2]の平均値が50nm以上300nm以下である粒子材料。
【請求項2】
MがTiであって、下記(1)〜(4)のうちいずれか1つを満たす請求項1に記載の粒子材料。
(1)XがCからなり、a=2、0.65≧b≧0.03、1.2≧c≧0.8、
(2)Xが[C(1.0−x)(0<x≦1.0)]からなり、a=2、0.65≧b≧0.03、1.2≧c≧0.8、
(3)XがCからなり、a=3、0.65≧b≧0.03、2.6≧c≧1.8、
(4)Xが[C(1.0−x)(0<x≦1.0)]からなり、a=3、0.65≧b≧0.03、2.6≧c≧1.8。
【請求項3】
圧粉体の表面抵抗が0.1Ω/□以上300Ω/□以下である請求項1又は請求項2に記載の粒子材料。
【請求項4】
MがTiであって、下記(1)と(2)のうちいずれか1つを満たす請求項1から3のうちのいずれか1項に記載の粒子材料。
(1)XがCからなり、aが2の時、真密度が3.36g/cmから3.50g/cm、aが3の時、真密度が3.70g/cmから4.45g/cm
(2)Xが[C(1.0−x)(0<x≦1.0)]からなり、aが2の時、真密度が3.36g/cmから3.50g/cm、aが3の時、真密度が3.70g/cmから4.45g/cm
【請求項5】
請求項1から4のうちのいずれか1項に記載の粒子材料と、
前記粒子材料を分散する液状の有機材料と、
を有し、
前記粒子材料は前記有機材料中の粒子径分布におけるD50%が50nm以上500nm以下であるスラリー。
【請求項6】
請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の粒子材料を電極活物質材料として有する二次電池。
【請求項7】
請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の粒子材料を導電材料として有する透明電極。
【請求項8】
Al、式中のMはTi、V、Cr、Sc、Zr、Nb、Mo、Hf、Taからなる群から選択される1種類以上の元素である。XはC、[C(1.0−x)(0<x≦1.0)]、からなる群から選択される1以上の構造からなる。aは2又は3、bは0.02超、cはaが2の時には0.8から1.2、aが3の時には1.8から2.6、で表される組成を持つ原料から粒子材料を製造する製造方法であって
10μm〜300μmのビーズを用いたビーズミルによる剥離処理により、厚みの平均値が3.5nm以上20nm以下、大きさ[(長辺+短辺)/2]の平均値が50nm以上300nm以下である粒子材料を前記原料から製造する剥離工程を有する粒子材料の製造方法。
【請求項9】
Al、式中のMはTi、V、Cr、Sc、Zr、Nb、Mo、Hf、Taからなる群から選択される1種類以上の元素である。XはC、[C(1.0−x)(0<x≦1.0)]、からなる群から選択される元素からなる。aは2又は3、dは1、cはaが2の時には1、3の時には2で、表される組成を持つMAX相セラミックス粉末に対し、フッ化塩と塩酸との組み合わせでなる酸性物質を20℃から30℃に制御された状態で反応させて、含有するAl元素の一部を除去することで前記原料を製造する前処理工程を有する請求項8に記載の粒子材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子材料及びその製造方法、並びにその粒子材料を有するスラリー、二次電池、透明電極に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より層状化合物であるTiAlCなどのMAX相セラミックス粉末から酸処理によりAlを除去して得られるMXene層状化合物からなる粒子材料(本明細書では適宜「MXene粒子材料」と称したり、「層状化合物粒子材料」と称したり、単に「粒子材料」と称したりすることがある。)が知られている(特許文献1、2、3、4)。これらのMXene層状化合物は、Al層が除去された空隙層にNaイオンやLiイオンが貯蔵/脱離可能であることから二次電池(蓄電池)の負極活物質材料、また導電性が優れていることから透明導電膜材料などへの応用が期待されている。
【0003】
MAX相セラミックスは層状化合物であり、一般式はMn+1AXと表される。式中のMは遷移金属(Ti、Sc、Cr、Zr、Nbなど)、AはAグループ元素、XはCか、[C(1.0−x)(0<x≦1.0) ]、nは1から3、で構成されている。
【0004】
その中、AをAlとした時、M−Xとの結合よりもM−AあるいはA−Xの結合が弱いため、酸処理で選択的にAl層が除去される。HF水溶液、あるいは35℃から45℃のLiF+HCl水溶液あるいはKF+HCl水溶液に15時間から30時間、浸漬することによってAl層を溶解し、水洗後、沈降物(MXeneクレイ)を3本ローラーでフィルム化して、二次電池の負極活物質材料、電磁波吸収材、ガス分離膜などの産業への利用が試みられている。
【0005】
更に、水洗後の沈降物(MXeneクレイ)をエタノールなどのアルコールに置換した後、超音波照射し、その上澄み液を採取することで層間の剥離が進行した薄片状の形態を持つMXene粒子材料が得られることが報告され、二次電池の負極活物質材料、透明導電膜への利用が試みられている。
【0006】
用途によっては、均一に剥離させたMXene粒子材料であり、有機溶媒中に高分散させたスラリーが必須となる。従来技術においては、MAX相セラミックス粉末を酸処理し、Al層を完全に除去した後、有機溶剤に置換した後、剥離を超音波照射による方法で行っている。溶媒に超音波を照射すると、キャビテーションが発生し、その圧壊により、粉体どうしが衝突するメカニズムで層状化合物を構成する層の剥離が進行する。
【0007】
しかしながら、キャビテーションの発生が起き易い水を用いたとしても、剥離が進行するのは一部のみである。さらに水を用いるとMXene粒子材料の一部の表面が酸化して電気抵抗が増加するという課題もある。また用途によってはキャビテーション発生が起きにくい有機溶媒中にて超音波照射を行う必要がある。
【0008】
我々の検討では、従来から行われているHF水溶液、又は35℃から45℃のフッ化塩+塩酸への15時間から30時間の浸漬では、完全にAlを除去可能で、数層の単位格子まで剥離可能となるが、一方で表面の一部が酸化し電気抵抗の増加をまねくことが分かった。我々が鋭意検討した所、20℃から30℃のフッ化塩+塩酸水溶液に、12時間から30時間、浸漬すると、Alが残存するが、低抵抗のMXene粒子材料が得られることが分かった。しかし、従来の超音波照射などの剥離方法ではほとんど剥離できないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2016−63171号公報
【特許文献2】特開2017−76739号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2017/0294546号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2017/0088429号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記実情に鑑み完成したものであり、二次電池の負極活物質材料、透明導電膜、導電性フィラー及び電磁波吸収材料、ガス分離膜などに応用可能で、屈曲性に優れ、導電性を有する薄片状で層状化合物であるMXene粒子材料及びその製造方法、並びにその粒子材料を有するスラリー、二次電池の負極活物質、透明電極を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決する目的で本発明者らは鋭意検討を行い以下の知見を得た。すなわち、製造条件を調節することにより所定の組成を有し、所定の厚みと大きさの粒子材料を製造することで、Naイオン、Liイオンを貯蔵/脱離可能な二次電池の負極活物質材料、高い屈曲性などの高い性能を持つ電極を形成できる粒子材料を提供できることを見出した。
【0012】
層状化合物であるMXene粒子材料を電極などに応用する場合に、粉末状から剥離した薄片状の粉粒体とする必要がある。その場合に層状化合物は結晶構造的に、Al層を除去した時に形成される層間距離が大きな空隙層を有することにより、特許文献1〜4に示すように、二次電池の負極活物質材料などへの応用が可能な電気特性を持つことになる。また剥離させて薄片化することにより、粉体面に強固に面接触することが可能となる。そのため、結晶構造的にAl層を除去して得られる大きな空隙層を有する層状構造を保持したまま、剥離させて薄片状の粉粒体にする必要がある。
【0013】
従来技術においては、特許文献3に示すように、粉末状MXene層状化合物から剥離させて薄片化させる方法として、液中での超音波照射による方法が採用されている。超音波照射することにより層状化合物粉末を衝突させて、極めて薄く剥離することができ、遠心分離などの方法で、薄片状の粉粒体を取り出すことができている。薄片状の粉粒体の製造方法として一般的な粉砕操作を採用すると、粉末状層状化合物粒子から薄片状に剥離することができず、1μmほどまで粒子径が小さくなった粉末状層状化合物粒子が得られるのみであった。
【0014】
本発明は、遠心分離で微小ビーズとスラリーを分離可能な機能を具備したビーズミルにおいて、10μmから300μmの微小サイズのビーズを用いたビーズミル処理を行うことで、遠心分離で分級操作を行って一部のみを取り出すことなく、薄片の厚みと大きさを所定範囲まで剥離させることができ、二次電池の負極活物質材料、及び透明電極材料に適した粒子材料を提供することが可能になるとの発見に基づき完成した。従来から行われている300μmを超えるビーズやボールを用いたボールミルやビーズミル処理では、1μm程度の粉末状の層状化合物粉粒体が得られるのみで、薄片状に剥離させることが不可能であった。更に、薄片状の層状化合物である粒子材料中にAlを所定の範囲内で残存させることにより、表面酸化による電気抵抗の増加が抑制可能であった。
【0015】
(I)上記課題を解決する本発明の粒子材料は、MAl、式中のMはTi、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Taからなる群から選択される1種類以上の元素であり、XはC、[C(1.0−x)(0<x≦1.0)]からなる群から選択される1以上の構造からなる。aは2又は3、bは0.02超、cはaが2の時には0.8から1.2、aが3の時には1.8から2.6、で表される組成を持つ粒子材料からなる。そして、厚みの平均値が3.5nm以上20nm以下であり、大きさ[(長辺+短辺)/2]の平均値が、50nm以上300nm以下である。上述の組成と大きさと厚みにすることにより、低電気抵抗であり、二次電池の負極活物質材料や透明電極に有効な材料にすることができた。この(I)に開示の発明は、以下の(II)から(IV)の構成要素のうちの1つ以上を任意に組み合わせることができる。
【0016】
(II)MがTiであって、下記(1)〜(4)のうちいずれか1つを満たす粒子材料。
【0017】
(1)XがCからなり、a=2、0.65≧b≧0.03、1.2≧c≧0.8、
(2)Xが[C(1.0−x)(0<x≦1.0)]からなり、a=2、0.65≧b≧0.03、1.2≧c≧0.8、
(3)XがCからなり、a=3、0.65≧b≧0.03、2.6≧c≧1.8、
(4)Xが[C(1.0−x)(0<x≦1.0)]からなり、a=3、0.65≧b≧0.03、2.6≧c≧1.8。
【0018】
(III)圧粉体の表面抵抗が0.1Ω/□以上300Ω/□以下であることが好ましい。圧粉体とする条件は、0.5kg/cmでφ12mmの金型を用いてペレットを作製し、3t/cmでCIP処理することによりペレット状の圧粉体を作製し、0.1mmの銅線を用いた4端子法にて測定できる。
【0019】
(IV)MがTiであって、下記(1)、(2)のうちいずれか1つを満たす粒子材料。
【0020】
(1)XがCからなり、aが2の時、真密度が3.36g/cmから3.50g/cm、aが3の時、真密度が3.70g/cmから4.45g/cm
(2)Xが[C(1.0−x)(0<x≦1.0)]からなり、aが2の時、真密度が3.36g/cmから3.50g/cm、aが3の時、真密度が3.70g/cmから4.45g/cm
【0021】
(V)上記課題を解決する本発明のスラリーは上述の粒子材料と、前記粒子材料を分散する液状の有機材料とを有し、前記粒子材料は前記有機材料中の粒子径分布におけるD50%が50nm以上500nm以下である。
【0022】
(VI)上記課題を解決する本発明の二次電池は上述の粒子材料を電極材料活物質として有する。
【0023】
(VII)上記課題を解決する本発明の透明電極は上述の粒子材料を導電材料として有する。
【0024】
(VIII)上記課題を解決する本発明の粒子材料の製造方法は、MAl、式中のMはTi、V、Cr、Sc、Zr、Nb、Mo、Hf、Taからなる群から選択される1種類以上の元素である。XはC、[C(1.0−x)(0<x≦1.0)]からなる群から選択される1種類以上の構造からなる。aは2又は3、bは0.02超、cはaが2の時には0.8から1.2、aが3の時には1.8から2.6、で表される組成を持つ粒子材料からなる原料に対して、10μm〜300μmのビーズを用いたビーズミルによる剥離処理により、厚みの平均値が3.5nm以上20nm以下、大きさ[(長辺+短辺)/2]の平均値が50nm以上300nm以下である粒子材料を製造する剥離工程を有する。
【0025】
(IX)上述の(VIII)の製造方法は、MAl、式中のMはTi、V、Cr、Sc、Zr、Nb、Mo、Hf、Taからなる群から選択される1種類以上の元素である。XはC、[C(1.0−x)(0<x≦1.0)]、からなる群から選択される元素からなる。aは2又は3、dは1、cはaが2の時には1、3の時には2、で表される組成を持つMAX相セラミックス粉末に対し、フッ化塩と塩酸との組み合わせでなる酸性物質を20℃から30℃に制御された状態で反応させて、含有するAl元素の一部を除去することで前記原料を製造する前処理工程を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明の粒子材料によれば、酸処理工程での発熱反応で温度上昇が起きる、その際にAlが残存した結晶構造とすることにより、表面酸化が起こりにくく、低電気抵抗を示す薄片状の粒子材料を多く得ることができる。さらにこの大きさと厚みの薄片状の粒子材料とすることにより、Al層が除去されることで得られた大きな空隙層を有した薄片状の粒子材料を二次電池の負極活物質材料と、透明電極として有効であった。
【0027】
そして本発明の製造方法によれば、厚みと大きさが所定の範囲になるよう、ビーズの大きさを選択したビーズミル処理を行うことで、低電気抵抗を有する特性を保ったまま、薄片状に効果的に剥離することが可能になった。従来から行われてきた超音波照射による剥離では、ほんの一部のみが剥離されるのみなので、遠心分離によって、分級して取り出すことが必須であったが、この手法によれば、薄片化された粒子材料が大量に剥離され、ナノシート化された粒子を多く含むMXene粒子材料を製造することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】実施例1の粒子材料のSEM写真である。
図2】実施例2の粒子材料のSEM写真である。
図3】実施例4の粒子材料のSEM写真である。
図4】実施例5の粒子材料のSEM写真である。
図5】実施例6の粒子材料のSEM写真である。
図6】比較例1の粒子材料のSEM写真である。
図7】比較例2の粒子材料のSEM写真である。
図8】比較例3の粒子材料のSEM写真である。
図9】比較例4の粒子材料のSEM写真である。
図10】実施例1の粒子材料について測定したXRDプロファイルである。
図11】実施例2の粒子材料について測定したXRDプロファイルである。
図12】実施例4の粒子材料について測定したXRDプロファイルである。
図13】実施例5の粒子材料について測定したXRDプロファイルである。
図14】実施例6の粒子材料について測定したXRDプロファイルである。
図15】比較例2の粒子材料から剥離された粒子材料を分級する途中経過のSEM写真である。
図16】比較例7のシートの外観写真(a)とSEM写真(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の粒子材料及びその製造方法、スラリー、二次電池、透明電極について実施形態に基づいて以下に詳細に説明を行う。本実施形態の粒子材料は、導電性を示すなどの電気的特性に優れ、Al層が除去されたことから形成される大きな空隙層を有することから、二次電池(Liイオン二次電池、Naイオン二次電池、キャパシタなど)の負極活物質材料や、透明電極の電極材料などへの応用が可能である。本実施形態の粒子材料は、電極材料などへの応用のために薄片状に粒子化されている。薄片状の粒子材料は粉末状層状化合物である粒子材料を剥離することにより得られる。
【0030】
(粒子材料)
実施形態の粒子材料は、所定の組成式を持つ層状化合物からなる。この層状化合物は酸処理によってAl層の一部が除去されて大きな空隙層を有する。所定の組成式としては、MAlである。式中、MはTi、V、Cr、Sc、Zr、Nb、Mo、Hf、Taからなる群から選択される1種類以上の元素である。特にMはTiであることが好ましい。XとしてはC、[C(1.0−x)、(0<x≦1.0)]、からなる群から選択される1以上の構造である。また、これらの元素以外にもO、OH、ハロゲン基を表面官能基として有することができる。粒子材料の表面層、また酸処理によってAl層の一部が除去された空隙層、具体的にはAが存在した層にO、OH、ハロゲン基が吸着するために、Al層が除去された後、層間が広がる。
【0031】
そして、aは2又は3である。bは0.02超である。bの下限としては、0.03、0.04が採用でき、上限としては0.58、0.56が採用できる。cはaが2の時には0.8から1.2、aが3の時には1.8から2.6である。aが2である場合のcの下限としては、0.8、0.9が採用でき、上限としては、1.2、1.1が採用できる。aが3である場合のcの下限としては、1.8、1.9が採用でき、上限としては、2.6、2.4、2.2が採用できる。これらb及びcについて提示した下限及び上限については、それぞれ任意に組み合わせて採用することができる。
【0032】
MがTiである場合、X、a、b、cについて特に好ましい組み合わせを開示すると以下の(1)から(4)の通りである。
【0033】
(1)XがCからなり、a=2、0.65≧b≧0.03、1.2≧c≧0.8、
(2)Xが[C(1.0−x)(0<x≦1.0)]からなり、a=2、0.65≧b≧0.03、1.2≧c≧0.8、
(3)XがCからなり、a=3、0.65≧b≧0.03、2.6≧c≧1.8、
(4)Xが[C(1.0−x)(0<x≦1.0)]からなり、a=3、0.65≧b≧0.03、2.6≧c≧1.8。
【0034】
本実施形態の粒子材料の粒子形状は、板状、葉状、薄片状などである。層状化合物の層の積層方向を「厚み」とし、厚みと直行する方向における最大値を「長辺」最小値を「短辺」とした場合に、大きさ[(長辺+短辺)/2]の平均値が50nm以上300nm以下、厚みの平均値が3.5nm以上20nm以下である。大きさの下限としては50nm、70nm、100nm、上限としては300nm、250nmが採用できる。厚みの平均値としては、下限としては3.5nm、4.0nm、4.2nm、上限としては20nm、15nmが採用できる。これら「大きさ」「厚み」について提示した、下限及び上限については、それぞれ任意に組み合わせて採用することができる。
【0035】
本実施形態の粒子材料は圧粉体とした場合の表面抵抗が0.1Ω/□以上300Ω/□以下であることが好ましい。酸処理する際、発熱反応により温度上昇する際に表面が一部酸化し、抵抗増加してしまうため、ある程度の抵抗値(例えば0.1Ω/□以上)を許容することで製造条件を酸化が進行し難い雰囲気にしなくても容易に製造することが可能になる。一方、300Ω/□以下にすることにより、二次電池の負極活物質材料や透明電極へ応用した時に、必要な性能を得ることができる。表面抵抗値は、下限が0.1Ω/□、1.0Ω/□、3.0Ω/□、上限が300Ω/□、280Ω/□、260Ω/□とすることができる。
【0036】
表面抵抗測定時における圧粉体とする製造条件は、0.5kg/cmでφ12mmの金型を用いてペレットを作製し、3t/cmでCIP処理することによりペレット状の圧粉体を作製し、0.1mmの銅線を用いて4端子法にて測定できる。
【0037】
本実施形態の粒子材料の真密度は、下限が3.36g/cm、3.40g/cm、3.42g/cm、上限が4.10g/cm、4.20g/cm、4.45g/cmとすることができる。特にMがTiである場合に選択したXに応じて好ましい真密度の下限・上限は異なっており、その組み合わせにおける真密度の好ましい値としては下記の(1)又は(2)の通りである。
【0038】
(1)XがCからなり、aが2の時、真密度が3.36g/cmから3.50g/cm、aが3の時、真密度が3.70g/cmから4.45g/cm
(2)Xが[C(1.0−x)(0<x≦1.0)]からなり、aが2の時、真密度が3.36g/cmから3.50g/cm、aが3の時、真密度が3.70g/cmから4.45g/cm
【0039】
(粒子材料の製造方法)
本実施形態の粒子材料の製造方法は、上述の粒子材料を製造するのに好適な方法である。本実施形態の粒子材料は、粉末状の粒子材料を10μmから300μmのビーズを用いたビーズミル処理する剥離工程により薄片状の粒子材料にする方法である。
【0040】
剥離工程に供する原料としては、MAlの組成式を持つ層状化合物からなる粒子材料であり、最終的に製造する粒子材料の組成と同じ組成のものを採用することができる。従って、M、Xの種類、a、b、cの値、層状化合物の真密度などは上述した粒子材料にて説明したものがそのまま適用できるので詳細な説明は省略する。
【0041】
・前処理工程
剥離工程に供する原料は、MAX相セラミックス粉末に酸性物質を20℃から30℃で接触させて、MAX相セラミックス粉末に含まれるAl元素の一部を除去することで製造することができる。前処理工程に供する原料はMn+1AX、n=1又は2、式中のMは遷移金属、AはAl、XはCか[C(1.0−x)、0<x≦1.0]と表される組成を有するMAX相セラミックス粉末である。Alを除去する量は酸性物質により酸処理されて製造されるMAX相セラミックス粉末中のAlの量(bに相当)が0.02超になる程度に残存するように調節する。なお、Alを全部除去することも可能であり、その場合にはAlを完全に除去する以上にまで酸処理を進めないことが好ましい。
【0042】
除去されるAlの量は、酸性物質(酸水溶液など)と接触する時間(長くすると除去される量が増加する)、酸性物質の濃度(濃度が高い方が除去される量が増加する)、酸性物質の量(酸性物質の絶対量が多い方が除去され得る量を多くできる)、接触させる温度(温度が高い方が除去される量が増加する)を変化させることで調節できる。
【0043】
層状化合物であるMAX相セラミックス粉末(A元素がAl)に対して、酸処理を行うことによりAlを除去して粒子材料を構成する空隙層を有する層状化合物とする。Al層を除去するための酸としてはフッ酸と塩酸との組み合わせた酸性物質を採用する。フッ酸と塩酸との組み合わせを実現するためにはフッ酸の塩(KF、LiFなど)と塩酸とを混合してフッ酸と塩酸との混合物を得ることが好ましい。
【0044】
特に酸性物質としてはこれらの酸の水溶液を採用する。フッ化塩が完全に解離したと仮定した時に形成されるフッ酸と塩酸との混合濃度としては特に限定しない。フッ酸の濃度としては下限が1.7mol/L、2.0mol/L、2.3mol/L、上限が2.5mol/L、2.6mol/L、2.7mol/L程度にすることができる。塩酸の濃度としては下限が2.0mol/L、3.0mol/L、4.0mol/L、上限が13.0mol/L、14.0mol/L、15.0mol/L程度にすることができる。
【0045】
フッ化塩が完全に解離したと仮定した時に形成されるフッ酸と塩酸との混合比(モル比)についても特に限定しないが、フッ酸の下限として、1:13、1:12、1:11、上限として1:5、1:6、1:7程度を採用することができる。ここで示したフッ酸及び塩酸濃度、混合比についてはそれぞれ任意に組み合わせて採用することができる。酸処理温度については、20℃から30℃が好ましい。20℃から25℃がさらに好ましい。
【0046】
・剥離工程
1つの例として、剥離工程では剥離工程後に製造される薄片状の粒子が多く含まれる粒子材料が上述した粒子材料にて記載した形態になるようビーズ径、周速、スラリー送り速度、ビーズ充填量、スラリー粒子濃度を調節する。剥離工程は原料である層状化合物の層を剥離する工程である。10μm〜300μmの微小サイズのビーズを用いることで酸処理によってAl層を除去した空隙層から剥離することが可能となる。微小サイズのビーズを層状化合物の層間に衝突させることによってナノレベルの厚みで剥離させることができる。
【0047】
剥離工程に供される原料は、前述の粒子材料を構成する材料と同じ組成のものが採用できる。剥離工程では組成は概ね変化しない。
【0048】
遠心分離で微小なビーズとスラリーを分級する機構を具備したビーズミルで剥離することが可能となる。例えばビーズの大きさの下限を10μm、15μm、20μm、30μm、40μm、上限を300μm、200μm、100μmにすることができる。10μm以上であるとビーズとスラリーの分級が容易である。300μm以下のビーズを用いると粒子材料のサイズを小さくするよりも、剥離が優先して進行することができる。これらの下限及び上限は任意に組み合わせて採用することができる。ビーズの大きさが適正な範囲であると付与するエネルギーが大きくでき、且つ、剥離を優先して進行できるため、50μm〜100μmのビーズを採用することが最も好ましい。
【0049】
ビーズの材質は特に限定しないが、ジルコニア、アルミナ、窒化ケイ素などのセラミックスが採用できる。特に破壊靭性が大きい部分安定化ジルコニアが好ましい。一方、300μm超のビーズを用いる微小サイズの隙間でビーズとスラリーを分級させる一般的に用いられるビーズミルによると、粒子材料のサイズを小さくすることが、剥離に優先して進行する。また、300μm超のビーズやボールを用いた遊星ボールミルなどのボールミルによっても、粒子材料のサイズを小さくすることが剥離に優先する。
【0050】
剥離工程における周速は、6m/sec〜12m/secの周速が採用できる。8m/sec〜10m/secの周速が好ましい。6m/sec以上であると剥離効率が良く、12m/sec以下であると付与する過大なエネルギー付与が抑制され、得られる粒子材料の温度上昇が抑制できるため、得られる粒子材料の表面における酸化の進行が抑制でき、電気抵抗を低くできる。スラリー送り速度は100mL/分から300mL/分が採用できる。スラリー粒子濃度は5mg/mL〜1mg/mLが採用できる。5mg/mL以下の条件によると剥離が充分に進行でき、遠心分離などで分級することにより薄片状の粒子材料を選択する必要が低くなるため好ましい。さらに、スラリーの液中粒子径を小さく保つことが可能になる。1mg/mL以上にすると剥離の効率が良くなる。
【0051】
スラリー温度は35℃以下が好ましい。35℃以下にすると表面酸化が抑制でき、粒子材料の電気抵抗を低く保つことができる。
【0052】
ビーズの充填量は40%〜80%が採用できる。40%以上にすると剥離の効率が良くなり、80%以下にするとビーズとスラリーの分級が容易となる。ビーズの充填量としては45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%が例示できる。目的の薄片状の粒子を多く含む粒子材料が製造されたかどうかは、SEM、TEMなどの観察によって判断できる。特に粒子材料の厚みについてはAFM分析することによって判断できる。剥離工程で得られた粒子材料は、必要に応じて遠心分離などの方法によって分級して使用することも可能である。剥離工程における最適な条件については、装置の大きさによって変化するので、これらの数値は限定されるものではない。
【0053】
XRD分析の結果から、例えばTiAlCの例で説明すると、MAX相セラミックス(TiAlC)粉末における(002)面の面間隔は0.929nmであったが、本発明による剥離後の薄片状のMXene粒子材料では、(002)面の面間隔が1.360nmに広がった。具体的には約0.43nmの空隙が存在する。空隙層の層間距離は、剥離後の薄片状の粒子材料における002面の面間隔から、MAX相セラミックス粉末の002面の面間隔を差し引くことによって算出できる。この空隙層表面にはOH基、ハロゲン基などの官能基が付着しており、LiイオンやNaイオンとの親和性に優れている。この空隙面に二次電池材料の負極活物質に用いると、LiやNaイオンが貯蔵される。このために、本開発品は二次電池の負極活物質として有効である。
【0054】
なお、従来の剥離手法として、超音波照射や湿式ジェットミルやローラーを用いると、十分に剥離させることは困難である。
【0055】
(二次電池)
本実施形態の二次電池は上述した粒子材料を電極材料のうちの活物質として含有する。リチウム二次電池、及びナトリウム二次電池に有効である。酸処理によってAl層を除去した空隙層にリチウムイオンやナトリウムイオンが貯蔵、脱離される。
【0056】
ここではリチウム二次電池を例に挙げて説明する。電極は、本実施形態の粒子材料からなる活物質を含む活物質層と、金属の薄板などから構成され表面に活物質からなる活物質層が形成される集電体とを有する。活物質層を形成するためにはバインダを含むことができる。また活物質層には必要に応じて本実施形態の粒子材料以外の活物質・導電補助剤などを含有させることができる。バインダはカルボキシメチルセルロース、ポリフッ化ビニリデン、スチレン−ブタジエンゴム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなどの汎用されているバインダやその他バインダとして利用できるものが採用できる。導電補助剤としてはアセチレンブラック、ケツチェンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンファイバ、黒鉛粉末、ハードカーボン粉末などが採用できる。
【0057】
(透明電極)
本実施形態の透明電極は、本実施形態の粒子材料とバインダとその他必要な部材とを有する。バインダとしては上述の二次電池にて説明したものが採用でき、特に透明度が高い材料が好ましい。
【実施例】
【0058】
(実施例1)
TiC(3μm、レアメタリック)、Ti(35μm、高純度化学)、Al(30μm、高純度化学)のそれぞれの粉末を混合して混合粉末(TiC:Ti:AL=2:1:1モル)とした。得られた混合粉末を、小型真空加圧焼結炉により、Ar気流中1450℃で固相反応させてMAX相セラミックスを作製した。
【0059】
得られたMAX相セラミックスをアルミナ乳鉢で解砕した後、イソプロピルアルコール(IPA)中で直径5mmジルコニアボールを用いたボールミルにより粉砕(24h)、さらに直径0.5mmジルコニアボールを用いた遊星ボールミルにより粉砕(45分)を行った。動的光散乱式粒子径分布測定装置(マルバーン製ゼータサイザーナノZSP)によりIPA中の平均粒子径を測定した結果、1.0μmであった。
【0060】
真空中60℃の条件で、エバポレータを用いてIPAを除去した後、試料水平型多目的X線回折装置によりXRD分析し、TiAlC 単一相であることを確認した。結果を図10に示した。XRD回折試験は、「シリカガラス製ホルダー、40KV/40mA、Scan Speed;8°/min、Sampling Step;0.01°、2θ(5−80°)」の条件で行った。
【0061】
得られたTiAlC粉末10gを、LiFを18.0gと12MのHCLを300mLの混合水溶液(ポリテトラフルオロエチレンるつぼを氷で冷却)にゆっくり投入し、20℃から30℃に制御した水溶液温度で、24時間撹拌しながら放置した(前処理工程)。
【0062】
遠心分離により、10回 水洗した後、遠心分離、上澄み除去を3回繰り返して、溶媒をエタノールに置換した。室温でエタノールスラリーを乾燥し、XRD分析を行い、結果を図10に示した。また、エタノールスラリーを粒子濃度2mg/mLに希釈し、ビーズ径50μm(ニッカトーYTZ)を用いたビーズミル処理(3パス、周速 10m/sec、送液速度150mL/分、ビーズ充填率60%)を行った。
【0063】
剥離された薄片状の粒子材料のエタノールスラリーのエタノール中での平均粒子径を動的光散乱式粒子径分布測定装置で測定し、得られた結果を表1に示した。また得られたエタノールスラリー10mLをスピンコーター(ミカサ、MS-B100、600rpm)によりSi製ウエハ上に滴下して、SEM観察により、製造された粒子材料の大きさ(長辺と短辺の平均値)を、AFM分析で厚みをそれぞれ測定した。測定は、それぞれ100個の孤立した粒子を選択して平均の大きさと厚みを算出し、得られた結果を表1に示した。剥離した状態のSEM写真を図1に示した。SEM写真は走査型電子顕微鏡(日立製作所、SU8020)を用いた。AFMによる厚み測定は原子間力顕微鏡(ブルカー・エイエックス社製、Nano Scope/Dimension Icon、測定モード;タッピングモード、測定点数;512×512)を用いた。
【0064】
得られた粒子材料のエタノールスラリーを室温乾燥し、得られた粉末を用いて表面電気抵抗、化学分析によるTi、Al、C量の測定、真密度測定、XRD分析を行った。
【0065】
化学分析についてはTi、Al、Cのatom%を用いて、Tiを3とした時のAl、C量を算出した。得られた結果を表1に示した。化学分析は、試料を白金皿にはかりとり、硝酸+硫酸+フッ化水素酸を加えて、加熱(120℃程度)して溶解後、さらに高温(300℃)で加熱して硝酸とフッ化水素酸を飛ばして試料溶液(硫酸)を作製し、作製した試料溶液を適宜希釈してICPで定量分析を行った。
【0066】
表面電気抵抗については、直径12mm金型を用いてペレットを作製し、さらに冷間等方圧プレス(CIP)で3ton/cmで処理し、相対密度60%から65%の直径12mm×2mmの成形体を作製した。得られた成形体に対して、0.1mm径の銅線を成形体片表面に銀ペーストで固定し、4端子法で電気抵抗を測定し、表面抵抗(Ω/□)とした。得られた結果を表1に示した。真密度はHeガスを用いた定容積膨張法(島津製作所、アキュピックII1340)で測定し、表1に示した。さらにXRD分析し、結果を図10に示した。
【0067】
(実施例2)
TiC(3μm、レアメタリック)、TiN(3μm、レアメタリック)、Ti(35μm、高純度化学)、Al(30μm、高純度化学)のそれぞれの粉末を混合して混合粉末(TiC:TiN:Ti:Al=1:1:1:1モル)とした。得られた混合粉末を、CIP1t/cm処理し、Ar気流中1550℃で固相反応させてMAX相セラミックスを作製した。得られたMAX相セラミックスをアルミナ乳鉢で解砕した後、イソプロピルアルコール(IPA)中で直径5mmジルコニアボールを用いたボールミル粉砕(24h)、さらに直径0.5mmジルコニアボールを用いた遊星ボールミル粉砕(45分)を行った。
【0068】
動的光散乱式粒子径分布測定装置でIPA中の平均粒子径を測定した結果、1.0μmであった。真空中60℃の条件で、エバポレータを用いてIPAを除去した後、XRD分析し、TiAl(C0.50.5 単一相であることを確認した。結果を図11に示した。得られたTiAl(C0.50.5粉末10gを、実施例1と同様に前処理工程とビーズミル処理を行った。
【0069】
剥離された薄片状の粒子材料のエタノールスラリーのエタノール中での平均粒子径、平均の大きさと厚み、表面電気抵抗、化学分析によるTi、Al、C、N量の測定、真密度測定、XRD分析を実施例1と同様に行い、結果を表1と図11に示した。剥離した状態の粒子材料のSEM写真を図2に示した。
【0070】
(実施例3)
TiC(3μm、レアメタリック)、TiN(3μm、レアメタリック)、Ti(35μm、高純度化学)、Al(30μm、高純度化学)のそれぞれの粉末を混合して混合粉末(TiC:TiN:Ti:Al=1.8:0.2:1:1モル)とした。得られた混合粉末を、Ar気流中1450℃で固相反応させてMAX相セラミックスを作製した。得られたMAX相セラミックスをアルミナ乳鉢で解砕した後、イソプロピルアルコール(IPA)中で直径5mmジルコニアボールを用いたボールミル粉砕(24h)、さらに直径0.5mmジルコニアボールを用いた遊星ボールミル粉砕(45分)を行った。動的光散乱式粒子径分布測定装置でIPA中の平均粒子径を測定した結果、1.0μmであった。真空中60℃の条件で、エバポレータを用いてIPAを除去した後、XRD分析し、TiAl(C0.90.1 単一相であることを確認した。得られたTiAl(C0.90.1粉末10gを、実施例1と同様に前処理工程とビーズミル処理を行った。得られた剥離した状態の粒子材料のSEM観察を行い実施例1で示す図1と同等であった。
【0071】
剥離された薄片状の粒子材料のエタノールスラリーのエタノール中での平均粒子径、平均の大きさと厚み、表面電気抵抗、化学分析によるTi、Al、C、N量の測定、真密度測定を実施例1と同様に行い、結果を表1に示した。
【0072】
(実施例4)
TiC(3μm、レアメタリック)、Ti(35μm、高純度化学)、Al(30μm、高純度化学)のそれぞれの粉末を混合して混合粉末(TiC:Ti:Al=1:1:1モル)とした。得られた混合粉末を、CIP1t/cm処理し、その圧粉体破砕片をAr気流中1350℃で固相反応させてMAX相セラミックスを作製した。得られたMAX相セラミックスをアルミナ乳鉢で解砕した後、イソプロピルアルコール(IPA)中で直径5mmジルコニアボールを用いたボールミル粉砕(24h)、さらに直径0.5mmジルコニアボールを用いた遊星ボールミル粉砕(45分)を行った。真空中60℃の条件で、エバポレータを用いてIPAを除去した後、XRD分析し、TiAlC とTiAlC の混合相であることを確認した。結果を図12に示す。得られたTiAlC粉末5gを、LiFを4.5gと6MのHCLを300mLの混合水溶液(ポリテトラフルオロエチレンるつぼを氷で冷却)にゆっくり投入し、20℃から30℃に制御した水溶液温度で、18時間撹拌しながら放置した(前処理工程)。
【0073】
遠心分離により、5回 水洗した後、遠心分離、上澄み除去を3回繰り返して、溶媒をエタノールに置換した。室温でエタノールスラリーを乾燥し、XRD分析を行い、結果を図12に示した。
【0074】
実施例1と同様にビーズミル処理を行った。得られた剥離した状態の粒子材料のSEM観察を行い図3に示した。
【0075】
剥離された薄片状の粒子材料のエタノールスラリーのエタノール中での平均粒子径、平均の大きさと厚み、表面電気抵抗、化学分析によるTi、Al、C量の測定、真密度測定、XRDを実施例1と同様に行い、結果を表1と図12に示した。
【0076】
(実施例5)
TiC(3μm、レアメタリック)、Ti(35μm、高純度化学)、Al(30μm、高純度化学)のそれぞれの粉末を混合して混合粉末(TiC:Ti:Al=1:1.2:1.2モル)とした。得られた混合粉末を、CIP1t/cm処理し、その圧粉体をAr気流中1300℃で固相反応させてMAX相セラミックスを作製した。得られたMAX相セラミックスをアルミナ乳鉢で解砕した後、イソプロピルアルコール(IPA)中で直径5mmジルコニアボールを用いたボールミル粉砕(24h)、さらに直径0.5mmジルコニアボールを用いた遊星ボールミル粉砕(45分)を行った。動的光散乱式粒子径分布測定装置でIPA中の平均粒子径を測定した結果、1.0μmであった。真空中60℃の条件で、エバポレータを用いてIPAを除去した後、XRD分析し、TiAlC とTiAlC の混合相ではあるが、ほぼTiAlC 相であることを確認した。結果を図13に示す。得られたTiAlC粉末5gを、LiFを4.5gと6MのHCLを300mLの混合水溶液(ポリテトラフルオロエチレンるつぼを氷で冷却)にゆっくり投入し、20℃から30℃に制御した水溶液温度で、18時間撹拌しながら放置した(前処理工程)。
【0077】
遠心分離により、5回 水洗した後、遠心分離、上澄み除去を3回繰り返して、溶媒をエタノールに置換した。室温でエタノールスラリーを乾燥し、XRD分析を行い、結果を図13に示した。
【0078】
実施例1と同様に前処理工程とビーズミル処理を行った。得られた剥離した状態の粒子材料のSEM観察を行い図4に示した。
【0079】
剥離された薄片状の粒子材料のエタノールスラリーのエタノール中での平均粒子径、平均の大きさと厚み、表面電気抵抗、化学分析によるTi、Al、C量の測定、真密度測定、XRD測定を実施例1と同様に行い、結果を表1に示した。XRD測定結果を図13に示した。
【0080】
(実施例6)
TiC(3μm、レアメタリック)、TiN(3μm、レアメタリック)、Ti(35μm、高純度化学)、Al(30μm、高純度化学)のそれぞれの粉末を混合して混合粉末(TiC:TiN:Ti:Al=0.5:0.5:1:1モル)とした。得られた混合粉末を、CIP1t/cm処理し、その圧粉体破砕片をAr気流中1350℃で固相反応させてMAX相セラミックスを作製した。得られたMAX相セラミックスをアルミナ乳鉢で解砕した後、イソプロピルアルコール(IPA)中で直径5mmジルコニアボールを用いたボールミル粉砕(24h)、さらに直径0.5mmジルコニアボールを用いた遊星ボールミル粉砕(45分)を行った。
【0081】
真空中60℃の条件で、エバポレータを用いてIPAを除去した後、XRD分析し、ほぼTiAl(C0.50.5) 単一相であることを確認した。結果を図14に示す。得られたTiAl(C0.50.5)粉末5gを、LiFを4.5gと6MのHCLを300mLの混合水溶液(ポリテトラフルオロエチレンるつぼを氷で冷却)にゆっくり投入し、20℃から30℃に制御した水溶液温度で、18時間撹拌しながら放置した。
【0082】
遠心分離により、5回 水洗した後、遠心分離、上澄み除去を3回繰り返して、溶媒をエタノールに置換した。室温でエタノールスラリーを乾燥し、XRD分析を行い、結果を図14に示した。
【0083】
実施例1と同様にビーズミル処理を行った。得られた剥離した状態の粒子材料のSEM観察を行い図5に示した。
【0084】
剥離された薄片状の粒子材料のエタノールスラリーのエタノール中での平均粒子径、平均の大きさと厚み、表面電気抵抗、化学分析によるTi、Al、C、N量の測定、真密度測定、XRD測定を実施例1と同様に行い、結果を表1に示した。XRD測定結果を図14に示した。
【0085】
(実施例7)
TiC(3μm、レアメタリック)、TiN(3μm、レアメタリック)、Ti(35μm、高純度化学)、Al(30μm、高純度化学)のそれぞれの粉末を混合して混合粉末(TiC:TiN:Ti:Al=0.9:0.1:1:1モル)とした。得られた混合粉末を、CIP1t/cm処理し、その圧粉体破砕片をAr気流中1350℃で固相反応させてMAX相セラミックスを作製した。得られたMAX相セラミックスをアルミナ乳鉢で解砕した後、イソプロピルアルコール(IPA)中で直径5mmジルコニアボールを用いたボールミル粉砕(24h)、さらに直径0.5mmジルコニアボールを用いた遊星ボールミル粉砕(45分)を行った。
【0086】
真空中60℃の条件で、エバポレータを用いてIPAを除去した後、XRD分析し、TiAl(C0.90.1)とTiAl(C0.90.1 の混合相であることを確認した。得られたTiAl(C0.90.1)粉末5gを、実施例4と同様に前処理工程とビーズミル処理を行った。得られた剥離した状態の粒子材料のSEM観察を行い実施例4で示す図3と同等であった。
【0087】
剥離された薄片状の粒子材料のエタノールスラリーのエタノール中での平均粒子径、平均の大きさと厚み、表面電気抵抗、化学分析によるTi、Al、C、N量の測定、真密度測定を実施例4と同様に行い、結果を表1に示した。
【0088】
(実施例8)
TiC(3μm、レアメタリック)、Ti(35μm、高純度化学)、AlN(0.5μm、トクヤマ)のそれぞれの粉末を混合して混合粉末(TiC:Ti:AlN=1:2:1モル)とした。得られた混合粉末を、CIPで1ton/cm処理を行い、圧粉体破砕片をAr気流中1550℃で固相反応させてMAX相セラミックスを作製した。
【0089】
得られたMAX相セラミックスをアルミナ乳鉢で解砕した後、IPA中で直径5mmジルコニアボールを用いたボールミル粉砕(24h)、さらに直径0.5mmジルコニアボールを用いた遊星ボールミル粉砕(45分)を行った。
【0090】
真空中60℃の条件で、エバポレータでIPAを除去した後、XRD分析した結果、TiAl(C0.50.5の単一相であった。
【0091】
得られたTiAl(C0.50.5粉末10gを、KF 14.9gと6MのHCL、100mLの混合溶液にゆっくり投入し、20℃から30℃に制御した水溶液温度で、30時間撹拌しながら放置した(前処理工程)。遠心分離により10回水洗した後、遠心分離、上澄み液除去を3回繰り返し、溶媒をIPAに置換した。IPAスラリーを粒子濃度2mg/mLに薄め、ビーズ径50μm(部分安定化ジルコニア)のビーズミル処理(20パス、周速10m/sec、送液速度150mL/分、ビーズ充填率60%)を行った。得られた剥離した状態の粒子材料のSEM観察を行い実施例2で示す図2と同等であった。
【0092】
得られた薄片状の粒子材料の大きさと厚みの平均値、Ti、Al、C、N量、真密度、表面電気抵抗値、IPAスラリーのIPA中の平均粒子径を実施例2と同様に測定し、表1に示した。
【0093】
(実施例9)
ビーズ径100μm(ニッカトー、YTZ)のビーズミル処理(20パス)を行った以外は、実施例8と同様に薄片状の粒子材料を作製した。得られた粒子材料の大きさと厚みの平均値、Ti、Al、C、N量、表面電気抵抗値、IPAスラリーのIPA中の平均粒子径を実施例1と同様に測定し、表1に示した。得られた剥離した状態の粒子材料のSEM観察を行い実施例2で示す図2と同等であった。
【0094】
(実施例10)
ビーズ径30μm(ニイミNZビーズ30、ニイミ産業)のビーズミル処理(20パス)を行った以外は、実施例8と同様に薄片状の粒子材料を作製した。得られた粒子材料の大きさと厚みの平均値、Ti、AL、C、N量、表面電気抵抗値、IPAスラリーのIPA中の平均粒子径を実施例1と同様に測定し、表1に示した。得られた剥離した状態の粒子材料のSEM観察を行い実施例2で示す図2と同等であった。
【0095】
(実施例11)
Ti(35μm、高純度化学)、TiN(3μm、レアメタリック)、Al(30μm、高純度化学)の混合粉末(Ti:TiN:Al=1:2:1モル)を用いた以外は実施例8と同様に薄片状の粒子材料を作製した。得られた粒子材料の大きさと厚みの平均値、Ti、Al、N量、表面電気抵抗値、IPA中の平均粒子径を実施例8と同様に測定し、表1に示した。
【0096】
(比較例1)
実施例1と同様にTiAlC粉末を作製し。実施例8と同様に、酸処理、IPA置換を行い、2mg/cc濃度のIPAスラリーを作製した。そのスラリーを用いて、超音波ホモジナイザーにより、振幅40μm、周波数19.5kHz、出力150Wで3秒間超音波照射、1秒間休止の条件で、30分間超音波照射による剥離を行ない、粒子材料を作製した。得られた粒子材料の大きさと厚みの平均値、Ti、Al、C量、表面電気抵抗値、真密度、IPAスラリーのIPA中の平均粒子径を実施例1と同様に測定し、表1に示した。超音波照射で剥離を試みた後の粒子材料のSEM写真を図6に示した。
【0097】
(比較例2)
超音波ホモジナイザーにより、振幅40μm、周波数19.5kHz、出力150Wで3時間超音波照射による剥離を行った以外は、比較例1と同様に粒子材料を作製した。得られた粒子材料の大きさと厚みの平均値、Ti、Al、C、N量、表面電気抵抗値、真密度、IPAスラリーのIPA中の平均粒子径を実施例1と同様に測定し、表1に示した。超音波照射で剥離を試みた後の粒子材料のSEM写真を図7に示した。
【0098】
また、自然放置48時間行う方法で分級した。その上澄み液に存在する薄片状の粒子材料のSEM観察による形態とAFM分析による厚みと大きさの測定を行った。結果を図15に示した。
【0099】
(比較例3)
ビーズ径500μm(ニッカトー、YTZ)のビーズミル処理(20パス)を行った以外は、実施例8と同様に粒子材料を作製した。得られた粒子材料の大きさと厚みの平均値、Ti、Al、C、N量、表面電気抵抗値、真密度、IPAスラリーのIPA中の平均粒子径を実施例1と同様に測定し、表1に示した。ビーズ径500μmのビーズを用いたビーズミル処理で剥離を試みた後の粒子材料のSEM写真を図8に示した。
【0100】
(比較例4)
圧力200MPa、クロスノズルの湿式ジェットミル(30パス)による剥離を行った以外は、比較例1と同様に粒子材料を作製した。得られた粒子材料の大きさと厚みの平均値、Ti、Al、C、N量、表面電気抵抗値、真密度、IPAスラリーのIPA中の平均粒子径を実施例1と同様に測定し、表1に示した。湿式ジェットミルで剥離を試みた後の粒子材料のSEM写真を図9に示した。
【0101】
(比較例5)
実施例1と同様に、TiAlC粉末を作製し、前処理工程において、10%HF水溶液、20℃から30℃に制御した水溶液温度で30時間処理し、実施例8と同様に粒子材料を作製した。得られた粒子材料の大きさと厚みの平均値、Ti、Al、C、N量、表面電気抵抗値、真密度、IPAスラリーのIPA中の平均粒子径を実施例1と同様に測定し、表1に示した。
【0102】
(比較例6)
KF14.9g、6M HCl 300mLの混合溶液にゆっくりTiAlC粉末を投入した後、35℃〜40℃の水溶液温度で、30時間撹拌しながら放置した以外は、比較例5と同様に粒子材料を作製した。得られた粒子材料の大きさと厚みの平均値、Ti、Al、C、N量、表面電気抵抗値、真密度、IPAスラリーのIPA中の平均粒子径を実施例1と同様に測定し、表1に示した。
【0103】
(比較例7)
実施例1において、粉末10gをKF14.9gと6M HCl 300mLの混合溶液で酸処理し、IPAに置換した後、室温で風乾し、粒子材料を得た後、10μm〜300μmのビーズを用いたビーズミルによる剥離操作に代えて、少量の粒子材料をセルガードメンブランに挟み、応力を加えることによりローラーを用いて本比較例のフィルムを作製した。得られたフィルムの外観写真を図16に示した。得られたフィルムをIPAに投入し、超音波照射(振幅40μm、周波数19.5kHz、出力150W)を30分間行い均一に液中分散したスラリーを作製した。スラリーをSi製ウエハーにごく微量滴下し、乾燥後SEM観察し、粒子材料の剥離状況をSEMにより調べた(図16)。
【0104】
【表1】
【0105】
(結果及び考察)
(1)MAX相セラミックスの作製方法について
(a)TiAl(C0.50.5については、混合原料をCIPで1t/cmから3t/cmの圧力範囲で圧粉体破砕片を作製し、1500℃から1550℃不活性雰囲気中で焼成することで得られた。焼成温度を1500℃以上とすることで未反応生成物と中間生成物の残留が抑制でき、1550℃以下にすることでMAX相セラミックスが分解せずに回収できた。
【0106】
混合原料の圧粉体破砕片の作製条件については、より緻密にすると低い焼成温度で高純度MAX相セラミックスを得ることが可能となるが、酸処理工程でAlの除去が進行しにくくなる一方、10μmから300μmのビーズ径のビーズミルによる剥離工程で、薄片が剥離されにくくなった。用途に応じて、適した形態(圧粉体作製条件)を選択すればよいことが分かった。圧粉体作製を本実験ではCIPを用いているが、1t/cmから3t/cmの条件による一軸加圧など他の方法でも可能である。得られる薄片状の粒子材料の電気抵抗については、MAX相セラミックス粉末が単一相であることが重要で、Ti相との混合相であると酸処理工程で表面の酸化が進行し、電気抵抗が高くなり好ましくないことが分かった。
【0107】
(b)TiAlCとTiAl(C0.90.1については、1400℃から1450℃の範囲で、不活性雰囲気中で、焼成することによって得られた。焼成温度を1400℃以上にすることで未反応生成物と中間生成物の残留が抑制され、1450℃以下にすることでMAX相セラミックスを分解せずに回収できた。
【0108】
(c)TiAlCとTiAl(C0.50.5)とTiAl(C0.90.1)については、1300℃から1350℃の範囲で、不活性雰囲気中で、焼成することによって得られた。焼成温度を1300℃から1350℃の範囲にすることで、さらに、TiとAlを少し増量することで、未反応生成物を抑制し、Ti相の生成を抑制できることが分かった。圧粉体破砕片の作製条件については、TiAl(C0.50.5と同様であった。
【0109】
(2)得られた粒子材料の化学組成と真密度
酸処理を行う前処理工程において、20℃から30℃で制御した水溶液温度範囲で、10%以上のHF水溶液に24時間以上浸漬するとAlは完全に除去された(従来技術)。また35℃から45℃で、LiF+HClあるいはKF+HCl水溶液に、24時間以上浸漬してもAlは完全に除去された(従来技術)。いずれも酸処理工程で一部表面酸化が進行し、電気抵抗が増加することが分かった。
【0110】
20℃から30℃でLiF+HClあるいはKF+HCl水溶液に浸漬する条件においては、Alが残留するが、上記に比べると表面酸化の進行が緩く、得られる薄片状の粒子材料の電気抵抗が小さかった。
【0111】
したがって、Alが完全に除去されず残存する条件を採用すると、得られる薄片状の粒子材料の電気抵抗が低下することができるため好ましいことが分かった。
【0112】
また、詳細は示さないが出発原料にC源としてカーボンブラックを用いると、得られるMAX相セラミックスの結晶性が悪く、酸処理によって、Alの他、Tiも大量に溶解し、結果としてC、Cあるいは[C(1.0−x)(0<x≦1.0)]あるいは[C(1.0−x)(0<x≦1.0)]の比率が高くなってしまうことが分かっている。
【0113】
一方、20℃から30℃でLiF+HClあるいはKF+HCl水溶液に浸漬する条件においては、酸処理後の剥離工程において、従来の超音波照射による方法では粒子材料の剥離が極めて困難であることが明らかになった。
【0114】
MAX相セラミックス粉末の真密度は、TiAlCが4.16g/mL、TiAlCが4.30g/cm、TiAl(C0.50.5が4.53/cmであった。TiAlC粉末を35℃から45℃でKF+HCl水溶液に24時間浸漬した場合、真密度が3.35g/cm、20℃から30℃で10%HF水溶液に24時間浸漬した場合、真密度が3.35g/cmと小さかったが、TiAlC粉末を20℃から30℃でLiF+HCl水溶液に24時間浸漬した場合、真密度が3.88g/cmであった。MAX相セラミックス作製でCIP圧を小さくすると真密度は小さくなり、CIP圧を大きくすると真密度が大きくなった。これはMAX相セラミックス粉末からAlが除去される量が多いほど真密度が小さくなったためであり、CIP圧を小さくするとAlの除去量が大きくなるからである。
【0115】
TiAlC粉末については、35℃から45℃でKF+HCl水溶液に24時間浸漬した場合、真密度が3.35g/cm、20℃から30℃で10%HF水溶液に24時間浸漬した場合、真密度が3.35g/cmと小さかったが、20℃から30℃でLiF+HClに18時間浸漬した場合、真密度が3.42g/cmであった。
【0116】
(3)粒子材料の剥離手法について
剥離する方法として従来は超音波照射やローラーによる方法を用いていた。超音波照射による剥離方法について検討を行った結果、剥離して薄片状の粒子材料を製造するのは困難であることが分かった。超音波照射によって層間を剥離する速度は極めて遅い上に、超音波照射によっては剥離しない場合もあった。またローラーによる方法でも剥離はほとんど進行しなかった。
【0117】
また、湿式ジェットミルによる方法でも剥離が困難であった。ビーズ径10μmから300μmの範囲のビーズを用いたビーズミル処理することで、SEM像から得られる大きさ[(長辺+短辺)/2]の平均値が50nm以上300nm以下、AFM分析によって得られる厚みの平均値が3.5nm以上で20nm以下の薄片が均一な状態で速やかに得られることが分かった。
【0118】
特にスラリーの粒子濃度を1から5mg/mLに調整して有機溶媒中で剥離工程を行うことにより、有機溶媒中で測定した平均粒子径がD50%径で、50nm以上500nm以下で、かつ高分散のスラリーを得ることができた。一方、ビーズ径500μmのビーズを用いたビーズミル処理を行うと、粉砕が進行して剥離は十分に起きなかった。
【0119】
酸処理後に超音波照射して剥離を試みた粒子材料について、従来から行われている自然放置する手法で剥離されていない粗大粒子を除去する方法で分級し薄片状の粒子を作製した。大きさの平均値は26.7nm、厚みの平均値が4.2nmであり、本開発品の大きさの平均値が50nm以上300nm以下であり、かつ厚みの平均値が3.5nm以上20nm以下である薄片状の粒子材料を得ることができないことを確認した。
【0120】
図10図11図12図13図14に本開発品の代表例である実施例1、実施例2、実施例4、実施例5、と実施例6で作製した薄片状の粒子材料のXRDパターンを示した。例えば図10で示すと、(002)面が低角度にシフトし、Al層が除去され、表面官能基が付着したことによって、面間隔が0.923nmから1.360nmまで拡がり、約0.43nmの空隙層が形成されたことを示した。この層間にNaイオンやLiイオンが貯蔵されることによって、Naイオン電池やLiイオン電池に使用可能となる。
【0121】
(4)薄片状の粒子材料を含むスラリーについて
エタノール、IPA、その他のアルコール、N−メチルピロリドン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコール、モノメチルエーテルを分散媒として用いて実施例の薄片状の粒子材料を液中に分散したスラリーを調整できた。
【要約】
導電性を有するMXene粒子材料及びその製造方法を提供することを解決すべき課題とする。
Al、式中のMはTi、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Taからなる群から選択される1種類以上の元素であり、XはC、[C(1−x)(0<x≦1)]、からなる群から選択される1以上の構造からなる。aは2又は3、bは0.02超、cはaが2の時には0.8から1.2、aが3の時には1.8から2.6、で表される組成を持つMXene粒子材料からなる。そして、厚みの平均値が3.5nm以上20nm以下、大きさ[(長辺+短辺)/2]の平均値が50nm以上300nm以下である粒子材料。上述の組成を持つMXene粒子材料について粒子を上述した大きさと厚みにすることにより、電気的特性や機械的特性に優れたMXene粒子材料にすることができた。
図1
図2
図3
図4
図5
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図11
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図15
図16