(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6564572
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】X線装置
(51)【国際特許分類】
G01N 23/201 20180101AFI20190808BHJP
G01N 23/207 20180101ALI20190808BHJP
G01N 23/20008 20180101ALI20190808BHJP
【FI】
G01N23/201
G01N23/207
G01N23/20008
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-4708(P2015-4708)
(22)【出願日】2015年1月14日
(65)【公開番号】特開2015-132608(P2015-132608A)
(43)【公開日】2015年7月23日
【審査請求日】2017年9月8日
(31)【優先権主張番号】14151339.0
(32)【優先日】2014年1月15日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503310327
【氏名又は名称】マルバーン パナリティカル ビー ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】デトレフ ベッカーズ
(72)【発明者】
【氏名】ステパン ペルホフェスキ
【審査官】
越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−236116(JP,A)
【文献】
特開2004−093492(JP,A)
【文献】
特開平11−304728(JP,A)
【文献】
特開昭54−062883(JP,A)
【文献】
特開平04−215024(JP,A)
【文献】
特開平06−082398(JP,A)
【文献】
米国特許第06226349(US,B1)
【文献】
Herbert E. Gobel,"A new flat Goebel-mirror for the optimization of the primary beam in Bragg-Brentanao diffracrion geometry",Microstructure Analysis in Materials Science,2005年 6月20日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00−23/2276
G21K 1/00− 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
焦点を有するX線源;
試料台;
前記焦点から前記試料台へX線を案内するため、前記焦点と前記試料台との間に設けられた平坦な傾斜多層構造;及び
前記試料台上に載置された試料からのX線を検出するX線検出器;を有し、さらに
ブラッグ・ブレンターノ幾何学配置測定用の広い実効開口部及びSAXS測定用の狭い実効開口部に調節可能である可変の開口部を有する、前記平坦な傾斜多層構造と前記試料台との間に設けられたコリメータ;
を有し、
前記広い実効開口部のビーム発散角は少なくとも0.1°で、かつ、
前記狭い実効開口部のビーム発散角は0.07°を超えない、X線回折装置。
【請求項2】
前記狭い実効開口部の前記ビーム発散角は0.05°を超えない、請求項1に記載のX線回折装置。
【請求項3】
前記コリメータが幅が可変のスリット開口部を有する、請求項1に記載のX線回折装置。
【請求項4】
前記コリメータが可変幅及び/又は高さの開口部を有する2次元コリメータである、請求項1に記載のX線回折装置。
【請求項5】
前記平坦な傾斜多層構造と前記試料台の間に配置された他の平坦、放物形状、楕円形状、又は双曲形状の多層構造をさらに有する、請求項1に記載のX線回折装置。
【請求項6】
前記X線検出器は位置感受性を有する検出器である、請求項1に記載のX線回折装置。
【請求項7】
焦点を有するX線源;
試料台;
前記焦点から前記試料台へX線を案内するため、前記焦点と前記試料台との間に設けられた平坦な傾斜多層構造;
前記試料台上に載置された試料からのX線を検出するX線検出器;及び
ブラッグ・ブレンターノ幾何学配置測定用の広い実効開口部及びSAXS測定用の狭い実効開口部に調節可能である、前記平坦な傾斜多層構造と前記試料台との間に設けられたコリメータ;
を有するX線回折装置の操作方法であって:
前記コリメータを広い実効開口部に調節してブラッグ・ブレンターノ幾何学配置での測定を実行する段階;及び、
前記コリメータを狭い実効開口部に調節して小角X線散乱-SAXS-測定を実行する段階;
を有し、
前記広い実効開口部のビーム発散角は少なくとも0.1°で、かつ、
前記狭い実効開口部のビーム発散角は0.07°を超えない、方法。
【請求項8】
狭い実効開口部を用いて反射率測定を実行する段階をさらに有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
狭い実効2次元開口部を用いて微少スポット解析を実行する段階をさらに有する、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線回折装置及びX線回折測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
X線回折装置は、様々な状況及び用途において用いられている。
【0003】
一の用途は粉末試料の測定である。
【0004】
特に、小角X線散乱−SAXS-は、小角でのX線散乱−たとえば1nm〜100nmであり得る長さスケールでの試料の構造に対応する−を測定するのに用いられ得る。SAXSで用いられる小角(2θ)は典型的には5°未満である。角度が小さければ小さいほど、長さスケールが大きくなる。結果として粒径又は有孔性材料中の孔のサイズも大きくなり得る。
【0005】
X線ビームは典型的には、非常に細いビーム(線)又は粉末試料へ導かれる小さなスポットへコリメートされる。小角で試料によって散乱されるX線はX線検出器によって検出される。
【0006】
一部のSAXS法では、擬単色放射線で作業することが重要である。その理由は、擬単色放射線は、(より精度の高いデータを得るため)データの規格化の可能性を改善するからである。規格化は、試料ホルダからのバックグラウンドが試料の信号から差し引かれるときに実行されて良い。第1測定が、試料ホルダ内の試料を測定することによって実行される。第2測定が、試料ホルダのみを測定することによって実行される。結果はスケーリングされて規格化される。第2測定の結果は第1測定結果から差し引かれることで、試料からの結果の純粋な寄与が得られる。
【0007】
正確なSAXS測定のためには、コリメータは、SAXS測定の結果に影響を及ぼす恐れのあるさらなる妨害散乱放射線を生成しないことが重要である。
【0008】
正規に用いられた一の方法は、X線管からの強度のほとんどを阻止して非常に細いビーム路だけを残して試料に衝突させる高研磨コリメーションブロックを用いることだった。高品質コリメーションブロックが、さらなる散乱を防止するのに必要だった。
【0009】
SAXS用の最近の装置は、1次元又は2次元の多層プレコリメータを用いて、たとえばスリット又はピンホールで構成される最終コリメータの前方でプレコリメーションを起こした。各異なる型のコリメータ(1D又は2D)は、小角(2θ)での測定が可能で、かつ、SAXSの測定結果に影響を及ぼす恐れがある妨害散乱放射線が除去されることを保証する。
【0010】
1次元又は2次元の多層プレコリメータによるプレコリメーションは2つの効果を有する。第1には、プレコリメーションはX線ビームを単色とみなす。より重要なことは、プレコリメーションは、X線管からのX線ビームを収集及び再案内することによって、そのX線ビームがコリメータに到達する前にそのX線ビームの強度を増大させるように機能することである。プレコリメータは通常、1次元コリメーション又は2次元コリメーション用の放物形状又は楕円形状のミラーを用いる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
SAXS測定を実行する装置は市販されている。
【0012】
X線回折装置の購入者は、異なる測定を実行するために多数の装置部品を購入しなければならないことも、異なる測定手法用に装置を再設定する大変な作業を行わなければならないことも望んでいない。従って最小の再設定で他の種類の測定を実行できる装置を供すること、特にSAXSで用いられ得る装置と同一の装置を用いることは大きな利点である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1態様によると、X線回折装置が供される。当該装置は、焦点を有するX線源、試料台、前記焦点から前記試料台へX線を案内するため、前記焦点と前記試料台との間に設けられた平坦な傾斜多層構造、前記試料台上に載置された試料からのX線を検出するX線検出器、さらに前記X線源と前記試料台との間に設けられたコリメータを有する。前記コリメータは、ブラッグ・ブレンターノ測定用の広い実効開口部又はSAXS用の狭い実効開口部に調節可能である。
【0014】
平坦な傾斜多層構造は、複数の層と平坦な表面を有する。前記平坦な傾斜多層構造の機能は、発散光学系のモノクロメータとしての機能である。たとえばX線源から入射発散X線ビームは、平坦な傾斜多層構造へ入射し、かつ、前記入射発散X線ビームと同一の発散を有するように単色光を反射させる。
【0015】
よって平坦な傾斜多層構造はこれまで、発散ビームが必要な用途において用いられてきた。他方SAXSは、発散が(ほとんど)ないように可能な限り正確にコリメートされたビームを必要とする。よってSAXS装置内での平坦な傾斜多層構造の利用は、本願発明者が知る限り提案されてこなかった。
【0016】
このような明白な短所にもかかわらず、本願発明者等は、平坦な傾斜多層構造を用いて実行されるSAXS測定が、後述するように従来装置を用いたSAXS測定と同程度に良好で、かつ、装置は、ブラッグ・ブレンターノ測定の結果をさらに向上及び高品質にすることができることを発見した。
【0017】
前記狭い実効開口部は、SAXSに用いられて良く、かつ、さらに反射率測定又は前記狭い実効開口部を用いた他の測定−たとえば不均一試料上での微少スポット解析−に用いられても良い。
【0018】
SAXS又は他の測定用の前記狭い実効開口部は、0.07°−好適には0.05°−を超えないビーム発散角を実現し得る。ブラッグ・ブレンターノ測定用の前記広い実効開口部は一般的に、0.1°−好適には0.15°−を超えるビーム発散角を実現し得る。
【0019】
本発明のさらなる発展型は従属請求項に記載されている。
【0020】
好適実施例では、複数の種類の測定を実行するのに、第2面上でのさらなる光学系−たとえば−の追加又は第1面上での光学系の交換を必要としない。
【0021】
前記コリメータは、前記平坦な傾斜多層構造と前記試料台との間に設けられて良い。これにより、前記X線源からのX線が、広範囲の角度で前記平坦な傾斜多層構造上に衝突することが可能となる。その理由は、前記平坦な傾斜多層構造を前記X線源からある距離に保つコリメータが前記平坦な傾斜多層構造と前記X線源との間に存在しないためである。あるいはその代わりに前記コリメータは前記X線源と前記平坦な傾斜多層構造との間に設けられても良い。
【0022】
前記コリメータは、1次元コリメータ−たとえば幅が可変のスリット開口部−であって良い。
【0023】
前記コリメータは、可変幅及び/又は高さの開口部を有する2次元コリメータであっても良い。
【0024】
当該装置はさらに、前記平坦な傾斜多層構造と前記試料台の間に配置された他の平坦、放物形状、楕円形状、又は双曲形状の多層構造を有して良い。
【0025】
前記X線検出器は位置感受性を有する検出器であって良い。前記位置感受性を有する検出器は、一方向での位置を検出する1次元検出器又は2次元マトリックス内に配置される複数の画素を有する2次元検出器であって良い。
【0026】
他の態様では、本発明は、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の装置の操作方法に関する。当該方法は、前記コリメータを広い実効開口部に調節してブラッグ・ブレンターノ配置での測定を実行する段階;及び、前記コリメータを狭い実効開口部に調節して小角X線散乱-SAXS-測定を実行する段階を有する。
【0027】
当該方法はさらに、狭い実効開口部を用いて反射率測定を実行する段階を有して良い。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明による装置の実施例によるSAXS測定用配置の概略図である。
【
図2】
図1と同一の実施例によるブラッグ・ブレンターノ測定用配置の概略図である。
【
図3】
図2の配置を用いたブラッグ・ブレンターノ測定の結果と比較例を表している。
【
図4】
図1の配置を用いたSAXS測定の結果を表している。
【
図5】比較例を用いて得られたSAXS測定結果を表している。
【
図6】
図1の配置を用いた反射率測定と比較例を表している。
【発明を実施するための形態】
【0029】
ここで本発明の例を添付図面を参照しながら説明する。
【0030】
図1を参照すると、本発明による装置は、X線源2、粉末試料6を載置する試料台4、及び、X線検出器20を有する。
【0031】
平坦な傾斜多層構造8が、X線源2と試料台4との間のビーム10のビーム路中に供される。
【0032】
X線源の線状焦点12は発散X線ビーム10を生成する。発散X線ビーム10は平坦な傾斜多層構造8へ入射する。平坦な傾斜多層構造8は、単色光を試料台4上に試料6へ向かうように反射させる。平坦な傾斜多層構造8は発散ビーム10を変化させないので、試料は明確な焦点14から照射される。
【0033】
当該装置はまた、X線源2と試料台4との間の入射ビーム路10中にコリメータ16をも有する。
【0034】
SAXS測定を実行するため、X線源2、試料台4上の試料6、及び検出器20は、
図1のように配置される。ビーム10はコリメータ16によって、狭い範囲の角度−0.07°を超えない−に制限される。明確な焦点14、試料6、及び検出器20は、略直線上に配置される。検出器は、試料6による小角散乱を検出するのに用いられる。
【0035】
その後測定は試料6のない試料台4と試料ホルダだけの状態で繰り返される。その結果は規格化される。繰り返された測定結果は第1測定から差し引かれることで、試料6の散乱が計算される。
【0036】
コリメータ16は具体的に、平坦な傾斜多層構造8と試料台4との間に配置されるスリットコリメータであって良い。スリットは、広い範囲のX線が通過する第1状態(
図2の実線)とX線を狭い角度範囲に制限する第2状態(
図2の点線)との間で広範に調節されて良い。
【0037】
係るコリメータは入射X線をコリメートして良い。その結果コリメートされたビームは、SAXS測定又は反射率測定に用いられて良い。
【0038】
ブラッグ・ブレンターノ測定を可能にするため、幾何学的配置は、試料台4と検出器20の位置を回転させることによって
図2に表された幾何学的配置に再設定される。
【0039】
コリメータ16は、
図2の実線によって表されている広い開口部に調節される。
図1の狭いスリットは、比較用に
図2では点線を用いて表されている。
【0040】
ブラッグ・ブレンターノ幾何学配置を保証するため、明確な焦点14とX線検出器20は、以降の半径で表されるように、試料から同一距離に配置される。
【0041】
この配置はブラッグ・ブレンターノ幾何学配置を与える。平坦な傾斜多層構造8を用いることによって、配置は、高強度で、蛍光放射線を抑制して、様々な波長に適合できる単色X線を供し得る。
【0042】
さらにブラッグ・ブレンターノ幾何学配置を用いることで、位置感受性を有する検出器20の使用が可能となる。
【0043】
平坦な傾斜多層構造8と試料台との間のコリメータ16を供することで、平坦ミラーの取り込み角を大きくするのが有利である。その理由は、X線源2と平坦な傾斜多層構造8との間にコリメータ16用のさらなる空間を必要としないからである。これにより、X線源2と平坦な傾斜多層構造8とを接近させれることが可能となる。従って平坦ミラーの取り込み角は大きくなり得る。しかし他の配置では、コリメータはX線源2と平坦な傾斜多層構造8との間に配置されても良い。
【0044】
コリメータはスリットコリメータである必要はない。2次元コリメータが用いられても良い。2次元コリメータはたとえば、微小回折実験に適したビームをコリメータして良い。
【0045】
当該配置は多数の利点を有する。特に光学設計は一定のゴニオメータ半径に制限されない。平坦な傾斜多層構造8とコリメータ16の組み合わせが半径に独立、つまり半径の変化に伴って変える必要がないからである。
【0046】
重要な利点は、当該装置が一方でブラッグ・ブレンターノ配置と他方でSAXS又は反射率測定用に測定配置との間で切り換えられるときに、入射ビーム光学系の交換又はさらなる回折ビームモノクロメータの追加を必要としないことである。
【0047】
これと、たとえばブラッグ・ブレンターノ測定用光学系として可変発散スリットを用い、かつ、これをSAXS又は反射率測定用の小さな開口部に近づける別な方法とを比較する。しかし係る別な方法では、コリメータをSAXS又は反射率測定用の小さな開口部に単純に近づけるのは不可能である。なぜならさらなる回折ビームモノクロメータが必要だからである。
【0048】
さらに別な方法は、さらなるコリメーションシステムを備える入射ビーム放物ミラーを用いることである。放物ミラーを用いることでブラッグ・ブレンターノ幾何学配置が可能となる。しかし残念なことに、係る方法は、ブラッグ・ブレンターノ測定については非常に制限される。その理由は、ミラーの小さな一部にわたってしかブラッグ・ブレンターノ様幾何学配置を生成することができず、その結果深刻な強度の損失が起こるからである。大きな被照射スポットが用いられる場合、スポットサイズが増大することで反射が不鮮明になる恐れがある。そのように反射が不鮮明になることで、データの利用可能性が大きく減少する恐れがある。一例としては、多相系におけるピークの重なりがある。
【0049】
従って平坦な傾斜多層構造を用いた上の例の方法は予期せず、ブラッグ・ブレンターノ測定とSAXS測定の両方において同一の幾何学配置を用いることを可能にする。
【0050】
切り換えミラー又はモノクロメータの追加によって異なる測定種類間でビーム路を調節する必要がないため、測定方法間での切り換えが非常に容易になり、当該装置において過大に複雑となる事態は回避される。
【0051】
たとえ平坦な傾斜多層構造がブラッグ・ブレンターノ測定用に提案されたとしても、本願発明者等が知る限り、この方法がSAXS又は反射率測定にも同一の配置を用いることを可能にすることは、これまで実現されなかった。
【0052】
図3〜
図6は、
図1,2による装置を用いて行われた測定例を既存の従来装置で行われた測定と比較して表している。
【0053】
図3は、最初に従来のブラッグ・ブレンターノ法を用いた粉末のブラッグ・ブレンターノ測定の結果と、続いて平坦な傾斜多層構造を備える本発明の装置を用いて同一の粉末のブラッグ・ブレンターノ測定の結果を示している。
【0054】
図4は、SAXS測定に同一の装置を用いた結果を表している。この場合、上側の曲線は試料の測定から得られ、かつ、下側の曲線は空の試料容器での走査結果を示している。空の試料ホルダのバックグラウンドは低く、「特徴を示すことなく」低い2θ角度にまで低下している。このことは、SAXS解析に良く適していることを示している。
【0055】
比較用に
図5は、集束入射ビームミラーを用いた他の装置による同一試料での結果を示している。本発明の方法が、従来の装置を用いた結果と同じくらい良好な結果を与えていることがわかる。
【0056】
図6は反射率測定に同一の装置を用いた結果を表している。この場合、本発明の装置を用いた結果と従来装置を用いた結果とは事実上区別できない。
【0057】
よって本発明の配置は、ブラッグ・ブレンターノ測定、SAXS測定、及び反射率測定のいずれについても、当該装置を大きく変化させることなく良好な結果を与える。
【0058】
コリメータは単一スリットである必要はない。
【0059】
これは、第2方向でのコリメーション−つまり追加の測定−たとえばGI-SAXS(微小角入射SAXS)、面内回折等−を可能にする第1方向でのコリメーションに対して垂直なコリメーション−を追加しても良い。
【0060】
具体的には、コリメータ内に大きな開口部が存在する場合には、装置の設定はブラッグ・ブレンターノ測定に適し、開口部が非常に狭いスリットである場合には、装置の設定はSAXSと反射率測定に適する。狭いスリットに加えて、狭いスリットに対して垂直なスリットを備える2つの小さなマスクが設けられる場合、これは、狭いX線の照射線を生成するのではなく、微小回折に用いることのできる試料上での小さな照射領域を生成する。
【0061】
さらなるコリメーションを加える他のより複雑な方法は、平坦な傾斜多層構造8とコリメータ16−この場合具体的には可変2Dコリメータであって良い−との間にさらなる平坦、放物形状、楕円形状、又は双曲形状の多層構造を供することである。
【0062】
これらのさらなる配置は、当該装置の単純さをある程度犠牲にしてさらなる自由度を加える。しかし基本は依然として、平坦な傾斜多層構造と1つ以上のコリメータとの組み合わせである。
【0063】
場合によっては、コリメータ16は、ブラッグ・ブレンターノ測定時には完全に除去され、かつ、SAXS又は反射率測定時にのみ戻されて良い。
【0064】
任意の適切な検出器が用いられて良い。特に100μm×100μmよりも小さな点拡がり関数を有する2次元X線検出器が、相対的に小さな装置サイズを可能にするのに用いられて良い。
【0065】
上述の説明は粉末試料に焦点を当てたが、本発明は広範な種類の試料で用いられるときにも良好な結果を与えることができる。
【符号の説明】
【0066】
2 X線源
4 試料台
6 試料
8 平坦な傾斜多層構造
10 ビーム
12 線状焦点
14 明確な焦点
16 コリメータ
20 X線検出器