特許第6564579号(P6564579)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6564579
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】折り畳み容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 6/18 20060101AFI20190808BHJP
   B65D 33/02 20060101ALI20190808BHJP
   B65D 6/16 20060101ALI20190808BHJP
   B65D 37/00 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   B65D6/18 N
   B65D33/02
   B65D6/16
   B65D37/00
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-27338(P2015-27338)
(22)【出願日】2015年2月16日
(65)【公開番号】特開2016-150747(P2016-150747A)
(43)【公開日】2016年8月22日
【審査請求日】2017年10月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】304022115
【氏名又は名称】株式会社アイベックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 好明
【審査官】 長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3065857(JP,U)
【文献】 特開平08−230978(JP,A)
【文献】 特開平10−338301(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3181747(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3012256(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3070751(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 6/18
B65D 6/16
B65D 33/02
B65D 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟な素材で構成されている矩形状の下面部と、当該下面部と同一の素材で構成されており前記下面部の四辺とそれぞれ接続して相対向する二組の側面を形成している側面部と、を備えており、使用時には上面が開放された略立方体形状となる容器であって、
前記側面部の各々の上辺に沿って上辺支持部材が配置されており、隣り合う前記側面と前記側面との境界に沿って側辺支持部材が配置されており、前記下面部の四辺のうち互いに対して並行となるいずれか二つの辺に下辺支持部材が配置されており、
前記側面部の上側のコーナー部に、隣り合う二つの上辺支持部材と一つの側辺支持部材の上端部とを連結する上端連結部材が配置されており、
前記側面部の下側のコーナー部に、一つの下辺支持部材と一つの側辺支持部材の下端部とを連結する下端連結部材が配置されており、
前記上辺支持部材、前記側辺支持部材、前記下辺支持部材、前記上端連結部材、および前記下端連結部材を覆う帯状補強部材をさらに備えており、
前記上辺支持部材と前記側辺支持部材と前記下辺支持部材とが棒状の剛性部材で構成されており、
前記上端連結部材と前記下端連結部材とが前記棒状の剛性部材の端部を収容する柔軟な素材で構成されており、
前記側面部の上辺を平面視で右回りまたは左回りに回転させることで、前記上辺支持部材と前記側辺支持部材とが積み重なるように折り畳まれ
前記上端連結部材が、前記帯状補強部材に固定されていることを特徴とする折り畳み容器。
【請求項2】
前記下端連結部材が、前記帯状補強部材に固定されていることを特徴とする請求項
に記載の折り畳み容器。
【請求項3】
柔軟な素材で構成されている矩形状の下面部と、当該下面部と同一の素材で構成されており前記下面部の四辺とそれぞれ接続して相対向する二組の側面を形成している側面部と、を備えており、使用時には上面が開放された略立方体形状となる容器であって、
前記側面部の各々の上辺に沿って上辺支持部材が配置されており、隣り合う前記側面と前記側面との境界に沿って側辺支持部材が配置されており、前記下面部の四辺のうち互いに対して並行となるいずれか二つの辺に下辺支持部材が配置されており、
前記側面部の上側のコーナー部に、隣り合う二つの上辺支持部材と一つの側辺支持部材の上端部とを連結する上端連結部材が配置されており、
前記側面部の下側のコーナー部に、一つの下辺支持部材と一つの側辺支持部材の下端部とを連結する下端連結部材が配置されており、
前記上辺支持部材、前記側辺支持部材、前記下辺支持部材、前記上端連結部材、および前記下端連結部材を覆う帯状補強部材をさらに備えており、
前記上辺支持部材と前記側辺支持部材と前記下辺支持部材とが棒状の剛性部材で構成されており、
前記上端連結部材と前記下端連結部材とが前記棒状の剛性部材の端部を収容する柔軟な素材で構成されており、
前記側面部の上辺を平面視で右回りまたは左回りに回転させることで、前記上辺支持部材と前記側辺支持部材とが積み重なるように折り畳まれ、
前記上端連結部材が、隣り合う二つの上辺支持部材の端部を収容する円筒状の第一連結部材と、一つの側辺支持部材を収容している円筒状の第二連結部材とで構成されており、前記第二連結部材が前記帯状補強部材に縫い合けられて固定されていることを特徴とする折り畳み容器。
【請求項4】
前記第一連結部材が前記帯状補強部材に縫い合けられて固定されることで、前記上辺支持部材と前記側辺支持部材とが連結されることを特徴とする請求項に記載の折り畳み容器。
【請求項5】
前記下端連結部材が、前記帯状補強部材に固定されていることを特徴とする請求項またはに記載の折り畳み容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用時には自立した状態で物品を収容することができ、非使用時には折り畳むことができる折り畳み容器に関する。
【背景技術】
【0002】
発明者は、使用時には自立し、非使用時には折り畳むことが可能なごみ入れを発明し、特許文献1に開示している。 特許文献1のごみ入れは、柔軟性を有する袋状のごみ収容部と、ごみ収容部の上端開口に設けられた上枠と、ごみ収容部の底部に設けられた下枠と、上枠及び下枠を繋ぐ複数本の支柱とを具備している。特許文献1のごみ入れは、各支柱を直線状に延ばしてごみ収容部を筒状に保持する使用状態と、各支柱を湾曲させてごみ収容部を略扁平にする収納状態とが容易に切替え可能であることを特徴とする。
【0003】
また発明者は自立時の剛性が高く風等の外力に対して倒れにくい自立型の折り畳み容器を発明し、特許文献2で開示している。特許文献2の折り畳み容器は、シート部材又は網状部材によって下面と側面とが形成されている容器であって、相対向する一対の側面の側辺付近に合計四枚の板状補強材が設けられていることで、コーナー部に十分な強度が付与されて自立可能となっている。特許文献2の折り畳み容器の折り畳み手順は、概ね以下の四段階からなる。1)容器の上辺部の二つの稜角を相互接近させる。2)二つの側面部及び下面部の対角線に折れ線を生じさせて中折りにする。3)二つの稜角を接触させて容器を変形させ、他の稜角を相互接近させて順に中折りにする。4)板状補強材が設けられている側面部だけを残し、他の面部を全て折り畳む。
【0004】
特許文献3には、略正方形の下面と、略正方形の4つの側面を有する箱状の折畳容器が開示されている。特許文献3の容器は、側面のそれぞれを対角線で折り畳むことで側面の上端の辺と側面の垂直な辺と側面の下辺とを重ね合わせ、最終的には、開口部を下面に対して90°捻った状態で折畳めるようになっている。特許文献3の折畳容器は、4つの側面のうちの対向する位置にある任意の2つの側面に、折り畳む側の対角線と交差する対角線の両端に沿うようにされた紐が設けられており、それらを外側に引くことにより、折畳めるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3443281号公報
【特許文献2】特許第5302648号公報
【特許文献3】特許第5016793号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のごみ入れは、折り畳む際に複数の支柱を湾曲させる手順が必要となり、また使用時に個々の支柱を伸ばす必要があるため、形状を変えることに手間がかかっていた。特許文献2の折り畳み容器は、特に折り畳みのために複数の手順が必要であった。特許文献3の折畳容器は、両側面の紐を引くことで迅速な折り畳みが可能であるが、使用可能な状態に戻すには両側の持ち手を持って反対方向に引く必要があり、容器が大きい場合には単独の作業者による作業が困難となる可能性があった。そこで、容易に折り畳むことができ、且つ使用時の形状を容易に形成できる容器が求められていた。
【0007】
本発明の目的は、上記従来技術の解決すべき課題に鑑みてなされたものであって、使用時に自立可能な容器であって、作業者が単独で使用時の形状と折り畳んだ非使用時の形状とを容易に変更できる容器を提供することにある。
【0008】
本発明のもう一つの目的は、充分な剛性と耐久性とを有すると同時に、非常に軽量である折り畳み可能な容器を、安価に製造して提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明は、柔軟な素材で構成されている矩形状の下面部と、下面部と同一の素材で構成されており下面部の四辺とそれぞれ接続して相対向する二組の側面を形成している側面部と、を備えており、使用時には上面が開放された略立方体形状となる折り畳み容器に関する。本発明の折り畳み容器は、側面の各々の上辺に沿って上辺支持部材が配置されており、隣り合う側面部と側面部との境界に沿って側辺支持部材が配置されており、さらに、下面部の四辺のうち互いに対して並行となるいずれか二つの辺に沿って下辺支持部材が配置されている。側面部の上側のコーナー部には、隣り合う二つの上辺支持部材と一つの側辺支持部材の上端部とを連結する上端連結部材が配置されている。側面部の下側のコーナー部には、一つの下辺支持部材と一つの側辺支持部材の下端部とを連結する下端連結部材が配置されている。本発明の折り畳み容器は、側面部の上辺を平面視で右回りまたは左回りに回転させることで、上辺支持部材と側辺支持部材とが重ね合わされて折り畳まれる。本発明の折り畳み容器は、上辺支持部材、側辺支持部材、下辺支持部材、上端連結部材、および下端連結部材を覆う帯状補強部材をさらに備えており、上辺支持部材と側辺支持部材と下辺支持部材とが棒状の剛性部材で構成されており、上端連結部材と下端連結部材とが棒状の剛性部材の端部を収容する柔軟な素材で構成されている。請求項1記載の折り畳み容器は、上端連結部材が、帯状補強部材に固定されていることを特徴とする。
【0010】
発明者は、下辺支持部材の配置を最適化することによって、容器の折り畳みと使用時の形状への復元とがいずれも迅速に行えることを見いだして、本発明を完成させるに至った。本発明の折り畳み容器は、上辺を平面視で右回りまたは左回りに回転させることで、上辺支持部材および下辺支持部材が撓み、上端連結部材と下端連結部材とが変形し、同時に下辺支持部材が配置されていない下面部の二つの辺とその周辺が折れ曲がって変形することで、非常に迅速且つ容易に折り畳むことができる。
【0011】
請求項記載の折り畳み容器は、下端連結部材が、帯状補強部材に固定されていることを特徴とする。
【0012】
請求項記載の折り畳み容器は、上端連結部材が、隣り合う二つの上辺支持部材の端部を収容する第一連結部材と、一つの側辺支持部材を収容している第二連結部材とで構成されており、第二連結部材が帯状補強部材に縫い合けられて固定されていることを特徴とする。請求項記載の折り畳み容器は、第一連結部材が帯状補強部材に縫い合けられて固定されていることで上辺支持部材と側辺支持部材とが連結されることを特徴とする。請求項記載の折り畳み容器は、下端連結部材が、帯状補強部材に固定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
下面部の四辺のうちいずれか二つの相対する辺に下辺支持部材を配置し、他の二つの辺には支持部材を配置していない本発明の容器は、上辺支持部材を平面視で右回りまたは左回りに回転させることで、非常に迅速且つ容易に折り畳むことができる。また、折り畳んだ非使用時の形状の容器について、隣り合う二つの上辺支持部材を作業者が持ち上げることで側面の略四角形の形状を復元することができ、非常に迅速且つ容易に使用時の形状に復元することができる。このため、たとえ容器が大型である場合でも、折り畳みと使用時の形状への復元の両方を、作業者が単独で行うことが可能である。
【0014】
本発明の折り畳み容器は、折り畳むときの上辺支持部材の回転方向が限定されないため、平面視で右回りに回転させた場合であっても、平面視で左回りに回転させた場合であっても、同じような大きさに折り畳むことができる。
【0015】
本発明の折り畳み容器は、上辺支持部材と、側辺支持部材と、下面部の四辺のうちいずれか二つの相対する辺に配置された下辺支持部材とによって、使用時の略立方体の形状を維持可能な十分な強度を確保することができる。この結果、側面部と下面部とにより薄い素材や網目状の素材を使用することが可能となり、全体として非常に軽量な折り畳み容器を安価な材料で構成して提供することができる。
【0016】
本発明の折り畳み容器は、上辺支持部材と側辺支持部材と下辺支持部材と上側連結部と下端連結部材とを全て覆う帯状補強部材を更に備えている。上端連結部材と下端連結部材とが、帯状補強部材に固定されていることで、折り畳みと復元とを繰り返しても支持部材の位置がずれたり連結部材から外れて抜けたりする虞が低減されており、十分な耐久性を確保することができる。
【0017】
本発明の折り畳み容器は、上端連結部材が、隣り合う二つの上辺支持部材の端部を収容する第一連結部材と、一つの側辺支持部材を収容している第二連結部材とで構成することができる。第一連結部材と第二連結部材とがそれぞれ帯状補強部材に縫い合けられて固定されることで結果として上辺支持部材と側辺支持部材とが連結される構成とすることで、折り畳みと復元との繰り返しによるそれぞれの補強部材の変形とそれによる連結部への負荷を分散させて、より一層の耐久性を確保することができる。また、第一連結部材と第二連結部材とに、汎用の円筒容器、たとえばチューブ等を利用することが可能となり、一層安価に折り畳み容器を提供可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、使用時の状態の折り畳み容器の斜視図である。
図2図2は、折り畳み容器の隣りあう側面部の上辺付近を破断して示す部分拡大斜視図である。
図3図3は、側面部の上辺を平面視で左周りに回転させたときの、折り畳み容器全体の変形の一態様を模式的に示す斜視図である。
図4図4は、折り畳み容器の折り畳み完了状態の斜視図である。
図5図5は、側面部の上辺を平面視で右周りに回転させたときの、折り畳み容器全体の変形の一態様を模式的に示す斜視図である。
図6図6は、折り畳み容器を折り畳み完了状態で自立させたときの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[好適な実施形態]
以下、本発明の折り畳み容器の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1に、本実施形態に従った、使用時の自立している形状をとった折り畳み容器1を示す。折り畳み容器1は、四つの辺21を備える矩形状の下面部2(底面)を備えている。折り畳み容器1は略立方体形状とすることが好ましく、そのために、下面部2は略正方形であり、その四つの辺21の長さはほぼ同一である。下面部2の四つの辺21のことを、以下、下辺21ともいう。折り畳み容器1は、四つの下辺21の中の対向する二つの辺に接続しており、自立時に相対向する一対の側面を構成する略正方形の第一側面部3と、他の下辺21および第一側面部3の側辺と接続しており、第一側面部3と略垂直に配置されて他の相対向する一対の側面を構成する略正方形の第二側面部4とを備えている。以下では、第一側面部3と第二側面部4とを総称して、側面部3、4とも言う。また、第一側面部3と第二側面部4との境界となる辺で、下面部2に対して垂直な四つの辺を総称して側辺という。
【0020】
下面部2と側面部3,4は同一の網状(即ちネット状又はメッシュ状)またはシート状の樹脂または布からなる素材で形成されている。いずれの素材も、単独では自立できない程度の柔軟性を有している。下面部2と、側面部3,4は一枚の素材で形成されていても良く、また原材料として別体であった素材が、縫合や溶着で接続されて用いられても良い。下面部2と側面部3,4とを網状の素材で形成した場合には、風を通過させることができるので吹き飛ばないという効果が得られる。シート状の素材で形成した場合には、風雨や光を遮る効果を得ることができる。
【0021】
図2に、折り畳み容器1の隣りあう側面部3,4の上辺付近を一部破断した部分拡大斜視図を示す。側面部3,4の各々の上辺に沿って上辺支持部材5が配置されている。側辺に沿って、側辺支持部材6が配置されている。上辺支持部材5および側辺支持部材6は、樹脂や金属からなる棒状の剛性部材であって、折り畳み容器1の折り畳み工程および使用時の略立方体形状への復元工程で、撓み(弾性変形)は生じるが塑性変形することのない強度を備えており、折り畳み容器1の上辺と側辺の強度を確保している。
【0022】
図1に示すように、下面部2の下辺21のうち第一側面部3と接続している下辺21aに沿って、下辺支持部材7が配置されている。第二側面部4と接続する下辺21bには、下辺支持部材は配置されない。下辺支持部材7は、上辺支持部材5および側辺支持部材6と同一の棒状の剛性部材で構成されている。以下では、上辺支持部材5と、側辺支持部材6と、下辺支持部材7とを総称して、支持部材5,6,7とも言う。
【0023】
側面部3,4の上側のコーナー部に、隣り合う二つの上辺支持部材5同士を直角に連結する第一連結部材8aと、第一連結部材8aに近接して配置されている側辺支持部材6の上端部を二つの上辺支持部材5と連結する第二連結部材8bと、からなる上端連結部材8が配置されている。第一連結部材8aと第二連結部材8bとは、いずれも樹脂や布等からなる柔軟な円筒状の素材で構成されていて、内部に支持部材の端部を収容して支持部材の位置決めをすることができる。なお、ここでいう「上側のコーナー部」とは、折り畳み容器1を使用状態の形状に復元して自立させたときに側辺の上端部付近となる領域のことであり、折り畳み容器1を上面が開放可能な略立方体であるとみなしたとき、上面と側面とが交わる頂点とその周辺部分を指している。
【0024】
側辺支持部材6は、上端部が第二連結部材8bの下側の開口から挿入されて収容されている。第二連結部材8bの上端部は、側面部3,4上側のコーナー部付近に到達している。第二連結部材8bの上端部は、第一連結部材8aと交差したり、第一連結部材8aの上を通過して折り返されていても良い。第二連結部材8bと側辺支持部材6とは、帯状補強部材11に外面を覆われている。本実施形態では、帯状補強部材11が、側辺支持部材6と第二連結部材8bとを内包し、且つ側面部3,4の側辺とその周辺領域を挟み込んだ状態で、縫合線15の位置で側面部3,4と縫い合わされている。本実施形態の帯状補強材11は、樹脂または布からなるシート状の柔軟な素材であって、側辺支持部材6と第二連結部材8bとを側面部3,4に固定すると共に、折り畳み容器1の側辺の強度を増し、側辺支持部材6と第二連結部材8bを保護する部材として機能している。
【0025】
上辺支持部材5および第一連結部材8aは、第一連結部材8aの両端の開口から二つの上辺支持部材5の端部がそれぞれ挿入されている状態で、帯状補強部材12に外面を覆われている。本実施形態では、帯状補強材12は帯状補強材11と同一の柔軟な素材であって、第一連結部材8aの中央部分が二本の縫合線16の位置で帯状補強部材12に縫い合わされることで、第一連結部材8aと上辺支持部材5とが、帯状補強部材12に位置決め固定される。さらに帯状補強部材12は、上辺支持部材5と第一連結部材8bとを内包し、且つ側面部3,4の上辺の周辺領域を挟み込んだ状態で、縫合線17の位置で側面部3,4に縫い合わされる。特に、縫合線17の中の符号17aで示される区域は、側面部3,4の他に第二連結部材8bを挟み込んで押しつぶした状態で縫い合わせが行われる。縫合線16,17の縫い合わせを行うことによって、第一連結部材8aと第二連結部材8bとからなる上端連結部材8が、側面部3,4の上側のコーナー部に位置決め固定される。上端連結部材8は、縫合線16,17の位置で縫合によって押しつぶされて閉鎖されるので、収容されている支持部材5,6はその閉鎖位置に端部がつきあてられて位置決め固定される。結果として帯状補強部材12は、上辺支持部材5と側辺支持部材6とを上端連結部材8を介して連結し、側面部3,4に対して位置決め固定するという機能を有する。同時に、帯状補強部材12は、折り畳み容器1の上辺の強度を増し、上辺支持部材5と第一連結部材8aを保護する部材として機能している。
【0026】
帯状補強材11は、側面部3,4の側辺と側辺支持部材6とを挟み込んだ状態で、側面部3,4の上端部から下端部まで連続して配置されている。最も好ましい帯状補強材11の配置の態様は、図1に示すように、長尺の帯状補強部材11が、側面部3、4の一つの側辺と、下辺支持部材7の配置された下辺21aと、側面部3,4の隣り合う側辺とを連続して切れ目なく挟み込むように配置された形態である。
【0027】
側面部3,4の下側のコーナー部には、側辺支持部材6の下端部とこれに近接する下辺支持部材7の端部を連結する下端連結部材9が配置されている。下端連結部材9は、上端連結部材8と同様に、柔軟な円筒状の素材で構成されていて、内部に支持部材6,7の端部を収容して支持部材6,7の位置決めをすることができる。下端連結部材9は、一端側の開口から側辺支持部材6の下端部が挿入され、他端側の開口から下辺支持部材7が挿入されている状態で、帯状補強部材11に外面を覆われる。本実施形態では、下端連結部材9は、側辺支持部材6と下辺支持部材7とが到達していない中央部分で、帯状補強部材11に縫い合わされて位置決め固定される。帯状補強部材11は、側面部3,4の側辺の周辺領域の縫い合わせと同様にして、下辺支持部材7と下端連結部材9とを内包し、同時に側面部3と下面部2が接続している下辺21a周辺を挟み込んだ状態で、縫合線15の位置で側面部3と下面部2とに同時に縫い合わされる。このように、下辺支持部材7と下端連結部材9とは、帯状補強部材11によって、側面部3および下面部2に対して位置決め固定される。
【0028】
本実施形態では、折り畳み容器1の上面部に、上面を対角線で四分割した形状の四つの部材からなる蓋部材20を配置した形態を例示している。蓋部材20は、側面部3,4および下面部2と同一の素材で形成されており、先端に閉鎖手段としての紐22を通過させる穴が設けられており、開閉自在となっている。側面部3,4と蓋部材20とは、縫合によって接続されている。本実施形態では蓋は必須の構成要素ではなく、折り畳み容器1に収容する物品の種類等に応じて適宜形状や閉鎖方法を変更することができる。
【0029】
本実施形態では、側面部3,4と上端連結部材8との縫い合わせ位置の強度を向上させるために、側面部3,4の上辺に沿って第二の補強部材18を配置し、縫合線19で縫い合わせて側面部3,4に固定している。第二の補強部材18を配置することで、特に側面部3,4が網状の素材で形成されているときに、確実な縫い合わせを行って縫い合わせ位置の耐久性を向上させることができる。その他、収容する物品の重量や折り畳み容器1の大きさに応じて、上端連結部材8の縫い合わせ位置や下端連結部材9の縫い合わせ位置にも、追加の補強部材を配置することができる。
【0030】
[折り畳み容器の折り畳み方法]
本実施形態の折り畳み容器1は、使用時の形状である略立方体形状から、簡単に折り畳むことができる。折り畳み方法と、その工程における折り畳み容器の変形の態様について、図3から図6を参照しつつ説明する。なお、以下の図面においては、折り畳まれる側面部3,4と 下面部2の形状を識別しやすくするため、蓋20の記載を省略している。また図3から図6においては、説明の便宜上、上辺の各辺にa,b,c,dの符号を付し、側辺の各辺にe,f,g,hの符号を付している。折り畳み容器1は、側面部3,4の上辺付近を平面視で右回り(時計回り)または左回り(反時計回り)に回転させることで、非常に迅速且つ容易に折り畳むことができる。
【0031】
図3に示すように本発明の折り畳み容器1は、作業者が上辺を左回り(反時計回り)に回転させると、上辺支持部材5と側辺支持部材6と下辺支持部材7とがわずかに撓み、それ以上に上端連結部材8と下端連結部材9とが大きく変形する。上辺の開口部は、当所の略正方形から、一旦ひし形に近い形状となる。下辺支持部材7が配置されていない一対の下辺21bは、いずれも大きく折れ曲がって変形し、下辺支持部材7が配置されている二つの下辺21aが互いに接近する。このとき、一方の側面部3は、上辺aと側辺hとに挟まれた対角線の位置で内側に二つ折りになって、畳み込まれるように変形を始める。同様に、他方の側面部3は、上辺cと側辺fとに挟まれた対角線の位置で内側に二つ折りとなって、畳み込まれるように変形を始める。さらに回転が進むと、上辺aと側辺eとが接近し、上辺bと側辺fとが接近し、上辺cと側辺gとが接近し、上辺dと側辺hとが接近していく。それぞれの上辺と側辺との距離が短くなると、一対の側辺部4もまた対角線で内側に二つ折りとなる。最後に、上辺a,b,c,bが元の位置から90度回転した位置に到達すると、上面の開口部の形状が略正方形に戻り、上辺aと側辺eとが重なり合い、上辺bと側辺fとが重なり合い、上辺cと側辺gとが重なり合い、上辺dと側辺hとが重なり合い、さらにそれぞれの側辺e,f,g,hが使用時には向かって右側に位置していた下辺21aまたは下辺21bに重なり合う。図4に示すように、折り畳みが完了し、上辺と側辺と下辺とが重なり合って略平行な状態となる時、一旦折れ曲がった一対の下辺21bは、上側に重なり合った側辺eまたは側辺gに倣って再び直線状となる。本実施形態の折り畳み容器1は、図3の変形開始から図4の折り畳みの完了まではほとんど時間がかからず、また上辺を回転させる以外の工程は不要で、容易に折り畳むことができる。
【0032】
図5に示すように本発明の折り畳み容器1は、上辺を右回り(時計回り)に回転させることでも容易に折り畳むことができる。作業者が上辺の回転を開始すると、左周りの時と同様、上辺の開口部は、一旦、ひし形に近い形状となる。下辺支持部材7が配置されていない一対の下辺21bは、いずれも大きく折れ曲がって変形し、下辺支持部材7が配置されている二つの下辺21aが互いに接近する。このとき、一方の側面部3は、上辺aと側辺eとに挟まれた対角線の位置から内側に二つ折りになって、畳み込まれるように変形を始める。同様に、他方の側面部3は、上辺cと側辺gとに挟まれた対角線の位置から内側に二つ折りとなって変形を始める。さらに回転が進むと、上辺aと側辺hとが接近し、上辺bと側辺eとが接近し、上辺cと側辺fとが接近し、上辺dと側辺gとが接近していく。それぞれの上辺と側辺との距離が短くなると、他の一対の側辺部4もまた対角線で二つ折りとなる。最後に、上辺a,b,c,bが元の位置から右回りに90度回転した位置に到達すると、上辺aと側辺hとが重なり合い、上辺bと側辺eとが重なり合い、上辺cと側辺fとが重なり合い、上辺dと側辺gとが重なり合い、さらにそれぞれの側辺e,f,g,hが使用時には向かって左側に位置していた下辺21aまたは下辺21bに重なり合って折り畳みが完了する。
【0033】
折り畳み容器1は、回転させる向きによって、側面部3,4が異なる対角線で折り畳まれることになるが、側面部3,4が柔軟な素材であるため、変形の過程で特に不具合は生じない。また、下辺支持部材7が配置されていない一対の下辺21bが、折り畳みの途中の工程では適宜不定形で変形し、これに加えて上端連結部材8と下端連結部材9にも柔軟性が確保されているため、変形途中の形状の自由度が高く、結果として右回転と左回転のどちらを行っても容易且つ迅速に折り畳めることになる。一方、下辺支持部材7の配置されている下辺21aを有することで、完全に折り畳まれたときの折り畳み容器1は、下面部2の形状が安定しており、図6に示すように立てて保管することができる。
【0034】
[折り畳み容器の使用状態への復元方法]
本実施形態の折り畳み容器1を、非使用時の折り畳み状態から使用時の略立方体形状に展開して復元する工程は、折り畳まれた折り畳み容器1の任意の隣り合う二つの上辺を略直角に維持して持ち上げるとの一つの工程のみからなる。二つの上辺を持ち上げると、最初に側辺が上辺から離間して上面に対して略垂直に展開し、それとほぼ同時に下辺21aが両側の側辺に対して略垂直に展開し、最後に下辺21bが側辺に対して垂直に展開する。下面2の二つの下辺支持部材7は、折り畳み容器1を使用状態に復元する際には、上辺支持部材5と協働して側辺を常に平行に維持し滑らかに側面部3,4を展開させる効果と、下面部2の形状を規定する効果があり、一人の作業者が上面の一部分だけを持って展開した場合でも、折り畳み容器1全体が迅速に復元される。
【0035】
[その他の変更例]
本実施形態で説明した折り畳み容器1は、上端連結部材として第一連結部材と第二連結部材の二つの円筒状の部材を用いているが、例えば、T型形状の三つの開口を有する連結部材を形成し、それぞれの支持部材を挿入して用いても良い。また、下面部と側面部に対して、支持部材および連結部材を配置する方法は、補強部材を用いた縫合による本実施形態の方法の他、高分子化合物の直接の溶着や、紐等による結合も適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の折り畳み容器1は、収集ゴミの一時保管容器、資源回収ボックス、その他一般的な搬送容器として広く使用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1…折り畳み容器
2…下面部
3,4…側面部
5…上辺支持部材
6…側辺支持部材
7…下辺支持部材
8…上端連結部材
8a…第一連結部材
8b…第二連結部材
9…下端連結部材
11,12…帯状補強部材
15,16,17,19…縫合線
18…第二の補強部材
21a、21b…下辺
a,b,c,d…上辺
d,e,f,g…側辺
図1
図2
図3
図4
図5
図6