【実施例】
【0036】
以下に実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[原液の調製]
表1は、実施例および比較例の発泡性エアゾール洗浄剤組成物に用いられた各原液の成分および含有量を示したものである。表1に示した各成分および含有量により、原液1〜18を調製した。原液1〜5および9〜18を用いて、実施例1〜16の発泡性エアゾール洗浄剤組成物を作製した。また、表1に示した原液6〜7を用いて比較例1〜2の発泡性エアゾール洗浄剤組成物を作製した。なお、表1に示した各成分の含有量は、水溶液における水のように他の成分を含む態様の製品を用いた場合、当該製品ではなく製品に含まれている各成分の量を示している。
【0037】
【表1】
【0038】
表1に示した各成分として、以下のものを用いた。
[ノニオン性界面活性剤]
デシルグルコシド(商品名:マイドール10、花王(株)製)
ラウリルグルコシド(商品名:マイドール12、花王(株)製)
コカミドDEA(A)(ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、商品名:アミゾールCDE、川研ファインケミカル(株)製)
コカミドDEA(B)(ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、商品名:アミゾールFDE、川研ファインケミカル(株)製)
[両性界面活性剤]
ラウラミドプロピルベタイン(ラウリン酸アミドプロピルベタイン液、商品名:ソフタゾリンLPB−R、川研ファインケミカル(株)製)
コカミドプロピルベタイン(ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン液、商品名:ソフタゾリンCPB−R、川研ファインケミカル(株)製)
ココアンホ酢酸Na(2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、商品名:ソフタゾリンCL−R、川研ファインケミカル(株)製)
アルキル(C12,14)オキシヒドロキシプロピルアルギニンHCl(商品名:アミセーフLMA−60、味の素(株)製)
ラウロイルアルギニン(商品名:アミセーフAL−01、味の素(株)製)
[感触(きしみ)改良剤]
ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルなど(商品名:LUSPLAN SR−DM4、日本精化(株)製)
PPG−3 カプリリルエーテル(商品名:ソフケア GP−1、花王(株)製)
ポリクオタニウム−52(商品名:ソフケア KG−301W、花王(株)製)
ステアルトリモニウムクロリド(塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、商品名:コータミン86Pコンク、花王(株)製)
ポリクオタニウム−107など(商品名:Alfeel−SD、油化産業(株)製)
ポリクオタニウム−4(ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド、商品名:セルコートL−200、アクゾノーベル(株)製)
ポリクオタニウム−50(ポリメタクリロイルエチルジメチルベタイン液、商品名:プラスサイズL−410、互応化学工業(株)製)、ポリクオタニウム−50は両性界面活性剤でもある。
pH調整剤(クエン酸、クエン酸ナトリウム等)
防腐剤(フェノキシエタノール、安息香酸ナトリウム等)
保湿成分等(ベタイン、PCA−Na、アミノ酸、BG等)
【0039】
[評価方法]
実施例および比較例の発泡性エアゾール洗浄剤組成物を、下記に示す方法および基準を用いて評価した。
【0040】
[噴射時の起泡性]
噴射時に形成された泡を容積既知の容器にとって泡の重量を測定して、泡比重を求めた。下記の基準に基づいて、発泡性エアゾール洗浄剤組成物の噴射時における起泡性を評価した。
◎:泡比重0.050g/mL以上0.070g/mL未満(密な泡)
○:泡比重0.030g/mL以上0.050g/mL未満(中間程度の泡)または0.070g/mL以上0.090g/mL未満(中間程度の泡)
×:泡比重0.030g/mL未満(粗い泡)または0.090g/mL以上(水っぽい泡)
【0041】
[使用時(洗髪時)の泡立ち]
(1)数値化の基準(評価点)
下記の基準を用いて、発泡性エアゾール洗浄剤組成物の使用時(洗髪時)の泡立ち(起泡性)を数値化し、評価点とした。
5:使用時(洗髪時)、噴射により形成された泡がヘタらず、使用時に新たな泡が発生する。
3:使用時(洗髪時)、噴射により形成された泡はヘタらないが、使用時に新たな泡は発生しない。
1:使用時(洗髪時)、噴射により形成された泡がヘタって消えてしまう。
(2)泡立ちの評価
4名の専門家の評価点を平均した平均点を用いて、下記の基準に基づいて、発泡性エアゾール洗浄剤組成物を使用した時の泡立ちを評価した。
◎:平均点4.0以上
〇:平均点2.0以上4.0未満
×:平均点2.0未満
【0042】
[感触(きしみ)]
(1)数値化の基準(評価点)
下記の基準を用いて、発泡性エアゾール洗浄剤組成物の使用後(洗髪後)の泡立ち感触(きしみ)を数値化し、評価点とした。
5:泡を濯いだ後、手ぐしで髪をとかした際に、抵抗が少ない。
3:泡を濯いだ際、手ぐしで髪をとかした際に、抵抗をやや感じるが、使用に差し支えるほどではない。
1:泡を濯いだ際、手ぐしで髪をとかした際に、抵抗を感じ、使用に差し支えるほどである。
(2)感触の評価
4名の専門家の評価点を平均した平均点を用いて、下記の基準に基づいて、発泡性エアゾール洗浄剤組成物を使用した後の感触を評価した。
◎:平均点4.0以上
〇:平均点2.0以上4.0未満
×:平均点2.0未満
【0043】
[塩化物イオン濃度(原液)(ppm)]
中和滴定により、発泡性エアゾール洗浄剤組成物の原液中の塩化物イオン濃度を測定した。
【0044】
表1に示した各原液と、噴射剤としての液化石油ガスと炭酸ガスとを、耐圧容器に封入して、発泡性エアゾール洗浄剤組成物を作製した。原液と噴射剤との質量比(原液/噴射剤)が97/3〜90/10の範囲内となるようにした。
【0045】
[
参考例1〜7]
原液番号1〜5および6〜7(表1参照)の原液を用いて、
参考例1〜7の発泡性エアゾール洗浄剤組成物を作製した。得られた発泡性エアゾール洗浄剤組成物の噴射時の起泡性および使用時の泡立ちについて、上述した方法を用いて評価した。表2は各項目の評価結果を示している。
【表2】
【0046】
表2に示すように、(A)アルキルグルコシド系界面活性剤としてのデシルグルコシドおよび/またはラウリルグルコシド、(B)脂肪酸アルカノールアミドとしてのコカミドDEA、ならび
にコカミドプロピルベタインまたはラウラミドプロピルベタインを含有する原液番号1〜5の原液を用いた
参考例1〜5の発泡性エアゾール洗浄剤組成物はいずれも、噴射時の起泡性が非常に良好なものであった。この結果から、
上記の界面活性剤を併用することにより、アニオン性界面活性剤を実質的に含有しない発泡性エアゾール洗浄剤組成物の噴射時の起泡性が良好になることが分かった。
また、
参考例1〜5の発泡性エアゾール洗浄剤組成物はいずれも、噴射時の起泡性のみではなく、使用時の泡立ちも良好なものであった。この結果から、
上記の界面活性剤を併用することにより、噴射時の起泡性および使用時の泡立ちが良好な発泡性エアゾール洗浄剤組成物として好適な原液が得られることが分かった。
【0047】
[
比較例1〜10、実施例1]
原液番号8〜18(表1参照)の原液を用いて、
比較例1〜10および実施例1の発泡性エアゾール洗浄剤組成物を作製した。得られた発泡性エアゾール洗浄剤組成物の噴射時の起泡性、洗髪時の泡立ちおよび感触(きしみ)について、上述した方法を用いて評価した。表3は各項目の評価結果を示している。
【0048】
【表3】
表3に示すように、ステアルトリモニウムクロリドを含有する原液(11)を用いた
比較例4、(D)ポリクオタニウム−4を含有する原液(13)を用いた
比較例6ならびに(D)ポリクオタニウム−4および(E)ポリクオタニウム−50を含有する原液(15〜18)を用いた
比較例8〜10および実施例1の発泡性エアゾール洗浄剤組成物はいずれも、洗髪後における髪のきしみがなく指通りが良好なものとなった。この結果から、ステアルトリモニウムクロリドまたは(D)ポリクオタニウム−4を用いることにより、洗髪後における指通りがよく髪に良好な感触を与える洗浄剤組成物となることが分かった。
【0049】
(E)ポリクオタニウム−50は、単独で用いた場合、洗髪後における感触改善効果を奏さなかったが、(D)ポリクオタニウム−4と併用することにより、高い感触改善効果を奏した(
比較例6〜8)。すなわち(D)ポリクオタニウム−4と(E)ポリクオタニウム−50とを併用することにより、両者の相乗的な感触改善効果によって、特に洗髪後における指通りがよく髪に良好な感触を与える洗浄剤組成物が得られることが分かった。
【0050】
また、
実施例1の発泡性エアゾール洗浄剤組成物は、他の実施例と比較して、特に使用時の泡立ちが良好であった。この結果から、(A)〜(C)の界面活性剤を
実施例1に用いた原液18の比率とすれば、使用時の泡立ちが特に良好になることが分かった。
【0051】
[
比較例4、8および
実施例1]
比較例4、8および
実施例1の各発泡性エアゾール洗浄剤組成物に用いた各原液(11、15および18)中の塩化物イオン濃度を評価した。表4は各項目の評価結果を示している。
【0052】
【表4】
比較例8および実施例1に用いた原液(原液番号15および18)の塩化物イオン濃度は、
比較例4の塩化物イオン濃度よりも低かった。したがって、容器に対する塩化物イオンの影響を抑制する観点から、感触改良剤として、(D)ポリクオタニウム−4および(E)ポリクオタニウム−50を併用することが、ステアルトリモニウムクロリドを用いることよりも好ましいといえる。
実施例1に用いた原液の塩化物イオン濃度は35ppmと非常に低かった。このように(C)イミダゾリン型ベタインとしてココアンホ酢酸ナトリウムを用いることにより、噴射時の起泡性および洗髪時の泡立ちが良好になるとともに、原液中の塩化物濃度をきわめて低くすることができた。