(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6564612
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】角芯及びレバーハンドル構造体
(51)【国際特許分類】
E05B 3/04 20060101AFI20190808BHJP
E05B 3/10 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
E05B3/04 B
E05B3/10
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-97275(P2015-97275)
(22)【出願日】2015年5月12日
(65)【公開番号】特開2016-211278(P2016-211278A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2018年4月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】394016874
【氏名又は名称】河淳株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】特許業務法人あしたば国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100098682
【弁理士】
【氏名又は名称】赤塚 賢次
(74)【代理人】
【識別番号】100131255
【弁理士】
【氏名又は名称】阪田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100125324
【弁理士】
【氏名又は名称】渋谷 健
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 充嗣
(72)【発明者】
【氏名】鮎澤 佳雅
【審査官】
藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−172050(JP,A)
【文献】
中国実用新案公告第86209652(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00 − 85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハブの角孔に挿通し両端部にレバーハンドルが取り付けられる錠の角芯であって、
該角芯の一側面において長さ方向に延びる有底の溝と、
該溝が形成される面であって、該角芯の一方の端近傍に形成される凹部と、
該溝内において回動自在に軸支される板状体と、を有し、
該板状体は、角孔に対応する位置から該凹部に対応する位置まで延びており、
該板状体は、溝内において、該凹部の底面よりも突出する部分を該溝内に押し込むと、 該角孔に対応する部分の板状体が該溝の上縁よりも突出するように、ピンにより軸支されていることを特徴とする角芯。
【請求項2】
該板状体は、下端が下方に向けて凸の弧状であり、該溝の深さは、最大深さが軸支部分にあり、係止側の先端及び反係止側の先端に向けて共に緩やかにその深さが浅くなることを特徴とする請求項1項記載の角芯。
【請求項3】
該板状体は、バネ鋼製であり、厚さ0.8〜3.0mmであることを特徴とする請求項1又は2項記載の角芯。
【請求項4】
該溝は、該角芯の一方の端から角孔に対応する部分までの部分溝であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の角芯。
【請求項5】
該角芯の該凹部とは反対側の端近傍に、ネジ先が嵌る係合凹部を形成したことを特徴とする請求項4記載の角芯。
【請求項6】
該係合凹部は、長さ方向に隣接して2個形成したことを特徴とする請求項5記載の角芯。
【請求項7】
該凹部の長さ方向の長さが、10〜20mmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の角芯。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の角芯と、該角芯の両端部に取り付けられるレバー
ハンドルとを備えるレバーハンドル構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラッチハブなどハブの角孔に挿通し、その両端部に取り付けられたレバーハンドルを回すことによってラッチボルトを作動させる錠の角芯及びこれを備えるレバーハンドル構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ラッチ錠においては、ラッチハブの角孔に挿通された角芯をレバーハンドルを使って回動させ、ラッチハブを介してラッチボルトを作動させるようになっている。
【0003】
ラッチハブの角孔と、該角孔に挿通された角芯との当接面は、僅かな隙間があってもがたつき易く、角孔と角芯には強い力が加わるため、レバーハンドルの繰り返し操作や長期間の使用により更にがたつきが大きくなり、使用感の悪いものになるという問題がある。また、レバーハンドルを新たなものに取り替えたい場合、既存のラッチハブに対して、寸法の異なる角芯を使用する場合がある。この場合、角孔と角芯の寸法が対応せず、角孔と角芯との間に大きな隙間が生じ、同様に、がたつきの問題が生じる。
【0004】
従来、これらの問題を解決するものとして、角孔と角芯との隙間に弾性体を介在させてがたつきを防止する種々の技術が提案されている。
【0005】
特開2009−256954号公報には、角孔と角芯との隙間に所定形状に屈曲させた線材部材を介在させた角孔と角芯の嵌合構造体が開示されている。また、特開2003−328602号公報には、角孔と角芯との隙間に所定形状の板状スペーサーを介在させたハンドルレバー装置が開示されている。また、特開2000―120306号公報には、角芯に溝を設け、該溝に樹脂又はゴムを素材とする弾性部材を係合させた角芯の固定構造が開示されている。特開平10−280743号公報には、角芯の少なくとも一側面に設けた長さ方向の凹溝にバネ板を埋設し、バネ板の角孔に対応する部分を凹溝の上縁よりも突出形成した錠の角芯が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−256954号公報
【特許文献2】特開2003−328602号公報
【特許文献3】特開2000―120306号公報
【特許文献4】特開平10−280743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のレバーハンドル構造体は、長期間の使用により、角芯と角孔の間に介在する弾性体に多数回に亘り強い力が反復して作用し続けると、弾性体の弾発力は、金属疲労等により弱くなり、角芯ががたつき易くなってくる。また、ラッチハブの角孔に弾性体を装着するには、弾性体を大きく内側に撓ませて角孔に嵌挿しなければならず、ラッチハブへの取り付けが面倒であり、組み立てやすい構造とは言えなかった。また、これらのレバーハンドル構造体の角芯は、ドアの厚みが一定の場合に適用でき、ドアの厚みが異なる場合、サイズの異なる角芯を別途準備する必要があった。
【0008】
従って、本発明の目的は、長期間の使用によっても角孔と角芯ががたつかず、組立が容易な角芯及びレバーハンドル構造体を提供することにある。また、本発明の他の目的は、種々のドアの厚みに適用できる角芯及びレバーハンドル構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明は、上記課題を解決するものであり、ハブの角孔に挿通し両端部にレバーハンドルが取り付けられる錠の角芯であって、該角芯の一側面において長さ方向に延びる溝と、該溝が形成される面であって、該角芯の一方の端近傍に形成される凹部と、該溝内において回動自在に軸支される板状体と、を有し、該板状体は、角孔に対応する位置から該凹部に対応する位置まで延びており、該板状体は、溝内において、該凹部の底面よりも突出する部分を該溝内に押し込むと、該角孔に対応する部分の板状体が該溝の上縁よりも突出するように軸支されていることを特徴とする角芯を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、該板状体は、バネ鋼製であり、厚さ0.8〜3.0mmであることを特徴とする前記角芯を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、該溝は、該角芯の一方の端から角孔に対応する部分までの部分溝であることを特徴とする前記角芯を提供するものである。
【0012】
また、本発明は、該角芯の該凹部とは反対側の端近傍に、ネジ先が嵌る係合凹部を形成したことを特徴とする前記角芯を提供するものである。
【0013】
また、本発明は、該係合凹部は、長さ方向に隣接して2個形成したことを特徴とする前記角芯を提供するものである。
【0014】
また、本発明は、該凹部の長さ方向の長さが、10〜20mmであることを特徴とする前記角芯を提供するものである。
【0015】
また、本発明は、前記角芯と、該角芯の両端部に取り付けられるレバーハンドルとを備えるレバーハンドル構造体を提供するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、角芯の溝内に板状体がシーソー状に支持されている。このため、板状体の一端部をネジで押し込めば、他端の先端部分が溝の上縁より上方に突出し、角孔の内周面に強く当たる。このため、角孔と角芯の嵌合は強固なものとなり、長期間の使用によっても角孔と角芯ががたつかない。また、角芯の溝内に板状体を装着する際、溝内のピン孔と板状体とピン孔を対応させ、角芯の側方より軸支用ピンをピン孔に挿入すればよく、組立が容易である。また、角芯の一端の凹部の平坦な底面が長さ方向に所定の長さを有し、他端の係合凹部が複数形成されているため、種々のドアの厚みに対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施の形態における角芯の斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態における角芯の他の斜視図である。
【
図4】
図1の角芯の溝壁の長さ方向に沿って切断した断面図である。
【
図5】
図2の角芯の板状体の動きを説明する図である。
【
図6】
図2の角芯の板状体の動きを説明する他の図である。
【
図7】角孔と角芯との当接部を拡大して示す図である。
【
図8】本発明の実施の形態におけるドアハンドル構造体の分解斜視図である。
【
図9】
図8のドアハンドル構造体の部分断面図である。
【
図10】ドアハンドル構造体の変形例の他の部分断面図である。
【
図11】ドアハンドル構造体の変形例の他の部分断面図である
【
図12】ドアハンドル構造体の変形例の他の部分断面図である
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施の形態における角芯及びレバーハンドル構造体を
図1〜
図8を参照して説明する。角芯10は、角芯本体部11と、角芯本体部11に形成された溝1内に装着される板状体2とからなる。角芯10は、
図8に示すように、ハブ73の角孔71に挿通し両端部にレバーハンドル9、9が取り付けられる錠の角芯である。錠としては、例えばラッチ錠であり、ドアには円形の錠孔が形成され、ドアの端面からラッチボルト72が出入りするラッチ本体70がドア内に埋設され、ラッチ本体70のハブ73は錠孔の中心に配置され、ドアの内外面に錠孔を塞ぐ台座30、30を設け、この台座30、30を錠孔内でネジ60で互いに連結し、台座30、30に保持されたレバーハンドル9、9はハブ73に貫通した角芯10に嵌合される。これにより、レバーハンドル9、9を回動させることで、ドア端面から突出するラッチボルト72の出し入れを行うものである。符号50は化粧カバーである。
【0019】
角芯10において、角芯10の一側面14において長さ方向に延びる溝1と、溝1が形成される面14であって、角芯10の一方の端15近傍に形成される凹部4と、溝1内において回動自在に軸支される板状体2と、を有し、板状体2は、角孔71に対応する位置から凹部4に対応する位置まで延びている。
【0020】
角芯10の一側面14とは、断面の四角形を形成する4面の中の1面のいずれかであり、レバーハンドル9を固定するセットスクリュー(イモネジ)8に対応する面である。溝1は、少なくとも、板状体2が装着できる長さであり、本例では角芯10の一方の端15から角孔71に対応する部分までの長さLの部分溝である(
図4参照)。角孔71に対応する部分とは、角孔71の長さHに相当する部分である。このため、溝1の他端は、角孔71の長さH部分内であって、且つ軸支する側とは反対側の端まで延びているものが好ましい。また、溝1は、板状体2が溝1内に装着され、板状体2のシーソー運動で板状体2の係止側の先端21が高さhだけ突出できるような深さと形状を有する(
図5)。溝1の深さ形状は、最大深さが、本例では軸支部分にあり、板状体2の高さと略同じかそれより僅かに大であり、係止側の先端15及び反係止側の先端16に向けて共に緩やかにその深さが浅くなっている。溝1の両溝壁は垂直に起立しており、その溝幅は板状体2の厚みより僅かに大である。
【0021】
角芯10の一方の端15近傍に形成される凹部4は、板状体2の先端部を頭出しすると共に、セットスクリュー8のねじ込みにより、板状体2の頭出し部分211を溝1内に没入させ、セットスクリュウー8を停止させる機能を奏する。このため、凹部4の幅方向の中央には、溝1が通っている。この凹部4は、一対のレバーハンドル9の中の一方(第1)のレバーハンドルの基部92に嵌合する部分に相当する。凹部4は、四角断面の角芯の先端部13において、表面から深さ方向に切り欠かれたものであり、角芯の長さ方向に所定の長さを有する。凹部4は、本例では直線状平坦部41と平坦部41の両側のアール部42とからなる10〜20mmの全長長さを有し、セットスクリュー8が嵌る平坦部41の長さmは、概ね8〜18mmである。これにより、セットスクリュー8が嵌る位置が広く採れ、種々のドア厚みに対応できる。凹部4の深さとしては、2〜4mm程度でよい。
【0022】
角芯10の凹部4とは反対側の端16近傍には、ネジ先が嵌る係合凹部3が形成されている。これにより、角孔71への角芯10の固定が安定する。この係合凹部3は、一対のレバーハンドル9の中の他方(第2)のレバーハンドルの基部92に嵌合する部分に相当する。また、係合凹部3は、長さ方向に隣接して2個形成されている。これにより、ネジ先が嵌る位置を変更でき、種々のドア厚みに対応できる。係合凹部3(3a、3b)の深さ形状としては、特に制限されないが、本例では半円断面形状である。これにより、先端が丸みのネジが強く嵌る。また、係合凹部3(3a、3b)の深さは、2〜4mm程度でよい。
【0023】
板状体2は、溝1内において、凹部4の底面41よりも突出する部分(頭出し部分)を凹部4における溝1内に押し込むと、角孔71に対応する部分の板状体22が溝の上縁18よりも突出するように軸支されている。板状体2は、本例ではバネ鋼製であり、厚さ0.8〜3.0mm、好ましくは0.9〜2.0mmであり、下方に向けてやや凸の弧状である。また、板状体2の中央には、例えばスプリングピン6が嵌る貫通孔の軸孔24が形成されている。また、角孔71の内面に係止する先端21の上面は、係止の先端が尖り状となるように切り欠いて、内角が鈍角の角部26を形成している。これにより、
図5〜
図7に示すように、凹部4に位置する板状体2の一端部21をネジで押し込めば、他端の先端部分22が溝の上縁(上面)より上方に突出し、角部26が角孔71の内周面711を強く当たる。すなわち、角部26は角孔71の内周面711に食い込むような係止となる。また、板状体2にバネ鋼を使用することで、角孔71と角芯10の嵌合はより強いものとなる。このため、長期間の使用によっても角孔71と角芯10ががたつかない。
【0024】
溝1内における板状体2の軸支方法は、特に制限されないが、スプリングピンによる軸支方法が好ましい。スプリングピン6は、外周壁に軸方向に延びるスリットを有する中空短管であり、角芯10の軸孔5に叩き込むことで、軸孔5に強く嵌合する。すなわち、板状体2を溝1内に挿入し、板状体2の軸孔24と、角芯10の軸孔5を対応させ、この状態で、スプリングピン6を、角芯10の一方の側壁の軸孔5から挿入し、板状体2の軸孔24に通し、他方の側壁の軸孔5に通せばよい。また、スプリングピン6の長さは、角芯10の一辺の長さよりやや小とすればよい。これにより、スプリングピン6は、角芯10内に没入し、角孔71に角芯10を挿入する際、障害とならない。板状体2の軸孔24はスプリングピン6とは遊嵌しており、板状体2はスプリングピン6を軸として板状体2の厚み方向と直交する方向に延びる面に沿って回動する。
【0025】
角芯10の溝1内に軸支された板状体2は、
図1に示すように、凹部4側の先端21の上端が角芯本体部11の上面14と面一となる状態において、角孔71に対応する部分の板状体2の最上端である角部26は、溝1内に没入状態である。すなわち、
図1の板状体2は、角芯本体部11の最上面である上面14から上方へ突出する部分はない。これにより、角芯10は、角芯10の寸法に相当する角孔71に円滑に挿入することができる。また、
図1の角芯10の状態において、凹部4の底面41から板状体2の一部211が頭出しされている。そして、
図5及び
図6に示すように、凹部4における板状体2の頭出し部分211を上方から押して、溝1内に没入させると、角孔71に対応する位置にある板状体2の角部26は、角芯本体部11の上面14から突出高さh分、突出する。この突出高さhは、角孔71と角芯10の予想される最大隙間よりやや大とすればよい。これにより、角孔71と角芯10間のどのような隙間にも対応できる。
【0026】
本発明のレバーハンドル構造体20は、角芯10と、一対のレバーハンドル9、9と、両者を止めるセットスクリュー7、8と、ラッチ本体70と、台座30、30と、化粧カバー50と、ボルト60からなる(
図8)。このレバーハンドル構造体20は、角孔71と角芯10はほぼ隙間のない状態であるものの、長期間の繰り返し操作により、がたが生じる場合があり、その場合にセットスクリュー7、8の増し締めを行うことで、本発明の効果を発揮できる。
【0027】
次に、本発明のレバーハンドル構造体20の組付方法について説明する。先ず、ラッチ本体70をドア内に埋設させる。この際、ラッチボルト72をドアの端面から突出させる。次いで、ドアの内外面に錠孔を塞ぐ台座30、30を取り付け、この台座30、30を錠孔内でネジ60で互いに連結し、台座30、30に化粧カバー50を取り付ける。次いで、
図8の左側のレバーハンドル9に角芯10を取り付ける。すなわち、レバーハンドル9の基部92の係合孔に、角芯10の係合凹部3側の先端16を差し込み、セットスクリュー8でネジ止めする。セットスクリュー8は、ドアの厚みにより係合凹部3a又は3bのいずれかに係合する。なお、レバーハンドル9の基部92に、角芯10を差し込む際、角芯10の係合凹部3が形成される面が、レバーハンドル9のネジ孔側に位置するようにする。次いで、角芯10を、凹部4側の先端15から角孔71に挿入する。この際、角芯10は
図1及び
図4に示すように、板状体2は溝1の上縁より下方に位置しており、角芯10は角孔71に円滑に挿入できる。
【0028】
次いで、
図8の右側のレバーハンドル9を角芯10に取り付ける。具体的には角芯10の凹部4側の先端をレバーハンドル9の基部92に挿入する。次いで、レバーハンドル9のネジ孔93からセットスクリュー7を螺合により取り付ける。この際の、溝1内の板状体2の動きについて、
図4〜
図7を参照して説明する。セットスクリュー7は凹部4に相当する位置にあり、セットスクリュー7のネジ止めにより、凹部4に位置する板状体2の頭出し部分211を押し下げる(
図4及び
図5又は
図6)。すなわち、凹部4の底面41よりも突出する部分を溝1内に押し込む。この際、板状体2はシーソー運動を行い、角孔71に対応する部分の板状体2が溝1の上面14よりも上方に突出する。角孔71と角芯10間の隙間は、板状体2の突出量hよりも小であり、板状体2の角部26は角孔71の内面711に強く当たる(
図7)。なお、板状体2をバネ鋼とすることで、弾性変形と復元力の作用で、角孔71の内面711への板状体2の角部26の食い込みは一層強くなる。
【0029】
本発明のレバーハンドル構造体20において、ドア厚の異なる場合の組み付け方法について
図9〜
図10を参照して説明する。
図9〜
図10において、
図1〜
図8と同一構成要素には同一符号を付して、その説明を省略し、異なる点について主に説明する。
図9はドア80aの厚みが37mm(l
1)の場合である。レバーハンドル9a、9bの基部92a、92bには角芯10が係合する係合孔921a、921bが形成されており、
図9の場合、角芯10は係合孔921a、921bに奥深く差し込まれている。すなわち、
図9中、左側のレバーハンドル9aにおいて、角芯10の係合凹部3aにセットスクリュー8が係止し、右側のレバーハンドル9bにおいて、角芯10の凹部4の軸支側部分m
2にセットスクリュー8が係止している(
図3)。
図9のレバーハンドル構造体20bにおいて、板状体2の角部26は角孔71の内面に強く当たっており、角孔71と角芯10の嵌合は強いものとなっている。このため、長期間の使用によっても角孔71と角芯10ががたつかない。
【0030】
図10はドア80bの厚みが46mm(l
2)の場合である。
図10の場合、角芯10はレバーハンドル9aの係合孔921aに奥深く差し込まれ、レバーハンドル9bの係合孔921bには浅く差し込まれている。すなわち、
図10中、左側のレバーハンドル9aにおいて、角芯10の係合凹部3aにセットスクリュー8が係止し、右側のレバーハンドル9bにおいて、角芯10の凹部4の反軸支側部分m
1にセットスクリュー8が係止している。
図10のレバーハンドル構造体20cにおいて、板状体2の角部26は角孔71の内面に強く当たっており、角孔71と角芯10の嵌合は強いものとなっている。このため、長期間の使用によっても角孔71と角芯10ががたつかない。
【0031】
図11はドア80cの厚みが49mm(l
3)の場合である。
図11の場合、角芯10はレバーハンドル9aの係合孔921aに浅く差し込まれ、レバーハンドル9bの係合孔921bには奥深く差し込まれている。すなわち、
図11中、左側のレバーハンドル9aにおいて、角芯10の係合凹部3bにセットスクリュー8が係止し、右側のレバーハンドル9bにおいて、角芯10の凹部4の軸支側部分m
2にセットスクリュー8が係止している。
図11のレバーハンドル構造体20dにおいて、板状体2の角部26は角孔71の内面に強く当たっており、角孔71と角芯10の嵌合は強いものとなっている。このため、長期間の使用によっても角孔71と角芯10ががたつかない。
【0032】
図12はドア80dの厚みが60mm(l
4)の場合である。
図12の場合、角芯10はレバーハンドル9aの係合孔921aに浅く差し込まれ、レバーハンドル9bの係合孔921bに浅く差し込まれている。すなわち、
図12中、左側のレバーハンドル9aにおいて、角芯10の係合凹部3bにセットスクリュー8が係止し、右側のレバーハンドル9bにおいて、角芯10の凹部4の反軸支側部分m
1にセットスクリュー8が係止している。
図12のレバーハンドル構造体20eにおいて、板状体2の角部26は角孔71の内面に強く当たっており、角孔71と角芯10の嵌合は強いものとなっている。このため、長期間の使用によっても角孔71と角芯10ががたつかない。
【0033】
本発明のレバーハンドル構造体20a(不図示)は、角芯10と、角芯10の両端部に取り付けられる一対のレバーハンドル9、9を備える。すなわち、レバーハンドル構造体20aは、角芯10と、一対のレバーハンドル9、9と、両者を止めるセットスクリュー7、8とからなる。このようなレバーハンドル構造体20aは、既存のレバーハンドル構造体において、レバーハンドルのみを交換する際に使用される。すなわち、
図8のレバーハンドル構造体20において、ラッチ本体70、台座30、30及び化粧カバー50を既存のものを使用し、寸法の異なる角芯10を使用する場合である。このようなレバーハンドル構造体20aにおいては、当初から角孔71と角芯10の間に隙間が存在し、本発明の効果が顕著に発揮できる。
【0034】
本発明のレバーハンドル構造体20aの組付方法について説明する。既存のレバーハンドル構造体のレバーハンドルと角芯を取り除き、本発明のレバーハンドル構造体20aを新たに準備する。本発明のレバーハンドル構造体20aにおいて、
図8の左側のレバーハンドル9に角芯10を取り付ける。これ以降の、レバーハンドル構造体20aの組付方法は、レバーハンドル構造体20の組付方法と同じであり、その説明を省略する。
【0035】
本発明において、角芯及びこれを備えるレバーハンドル構造体は、上記実施の形態に限定されず、種々の変形を採ることができる。例えば、溝1は部分溝に限定されず、角芯10の全長に亘り形成された全長溝であってもよい。また、溝深さは溝全長に亘り一定の深さのものであってもよい。また、係合凹部3は複数の凹部に限定されず、凹部4のように、所定の長さを有する1つの凹部であってもよい。また、軸支を司るピンはスプリングピンに限定されず、公知の種々のピンを使用できる。また、板状体の形状も、
図3及び
図4の実施の形態例に限定されず、角部26を有するものであれば略長方形であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明によれば、角孔と角芯の間に隙間がある場合でも、角孔と角芯の嵌合は強固なものである。このため、長期間の繰り返し操作によっても角孔と角芯ががたつかない。また、角芯の溝内に板状体を装着する際、ピンをピン孔に挿入すればよく、組立が容易である。また、角芯の一端の凹部の平坦な底面が長さ方向に所定の長さを有し、他端の係合凹部が複数形成されているため、種々のドアの厚みに適用できる。
【符号の説明】
【0037】
1 溝
2 板状体
3、3a、3b 係合凹部
4 凹部
5 軸支孔
7、8 セットスクリュー
9、9a、9b レバーハンドル
10 角芯
11 角芯本体部
30 台座
70 ラッチ本体
71 角孔
72 ラッチボルト