(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6564616
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】フレキシブル基板の電源経路構造
(51)【国際特許分類】
H05K 1/14 20060101AFI20190808BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
H05K1/14 G
H05K1/02 C
H05K1/02 N
【請求項の数】17
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-104449(P2015-104449)
(22)【出願日】2015年5月22日
(65)【公開番号】特開2015-233136(P2015-233136A)
(43)【公開日】2015年12月24日
【審査請求日】2018年5月7日
(31)【優先権主張番号】103119829
(32)【優先日】2014年6月9日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】509216186
【氏名又は名称】易鼎股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(72)【発明者】
【氏名】蘇國富
(72)【発明者】
【氏名】卓志恆
(72)【発明者】
【氏名】林崑津
【審査官】
小林 大介
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−029652(JP,A)
【文献】
特開2011−249574(JP,A)
【文献】
特開2011−228077(JP,A)
【文献】
特開昭63−102397(JP,A)
【文献】
特開2007−335748(JP,A)
【文献】
特開2008−034661(JP,A)
【文献】
特開昭51−097769(JP,A)
【文献】
特開2004−221345(JP,A)
【文献】
特開平07−106749(JP,A)
【文献】
特開2008−041990(JP,A)
【文献】
特開2011−066086(JP,A)
【文献】
特開2012−033570(JP,A)
【文献】
特開2011−066379(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
H05K 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブル基板の電源経路構造であって、
第1の接続部分と、第1の反対側の接続部分と、前記第1の接続部分と前記第1の反対側の接続部分の間に接続し、伸長部分に延在する第1の伸長部分とを備える第1のフレキシブル基板であって、前記第1のフレキシブル基板は第1の表面を有し、前記第1の表面は、前記第1の表面上に形成された少なくとも1つの第1の接続パッドを前記第1の接続部分に備え、前記第1の表面上に形成された少なくとも1つの第1の反対側の接続パッドを前記第1の反対側の接続部分に備え、前記第1の接続パッドおよび前記第1の反対側の接続パッドは、前記第1の伸長部分にわたって延在する第1の電源経路を通じて互いに電気的に接続することを特徴とする、第1のフレキシブル基板と、
第2の接続部分と、第2の反対側の接続部分と、前記第2の接続部分と前記第2の反対側の接続部分との間に接続する第2の伸長部分とを備える第2のフレキシブル基板であって、前記第2のフレキシブル基板は第2の表面を有し、前記第2の表面は、前記第2の表面上に形成された少なくとも1つの第2の接続パッドを前記第2の接続部分に備え、前記第2の表面上に形成された少なくとも1つの第2の反対側の接続パッドを前記第2の反対側の接続部分に備え、前記第2の接続パッドおよび前記第2の反対側の接続パッドは、前記第2の伸長部分にわたって延在する第2の電源経路を通じて互いに電気的に接続することを特徴とする、第2のフレキシブル基板と、を備え、
前記第2のフレキシブル基板は、前記第2の接続パッド内に形成され、前記第2の接続パッドを貫通して延在する第1の貫通穴を備え、前記第1の貫通穴は、前記第2のフレキシブル基板を貫通して延在する第1の拡大穴をさらに備え、前記第2のフレキシブル基板を貫通して延在する前記第1の拡大穴の直径は、前記第2の接続パッドを貫通して延在する前記第1の貫通穴の直径より大きく、前記第2の接続パッドの一部が前記第2のフレキシブル基板を貫通して延在する前記第1の拡大穴を覆い、
第1の導電構造は、前記第1の貫通穴及び前記第1の拡大穴の内部に充填され、
前記第2のフレキシブル基板は、前記第2の反対側の接続パッド内に形成され、前記第2の反対側の接続パッドを貫通して延在する第2の貫通穴を備え、前記第2の貫通穴は、前記第2のフレキシブル基板を貫通して延在する第2の拡大穴をさらに備え、前記第2のフレキシブル基板を貫通して延在する前記第2の拡大穴の直径は、前記第2の反対側の接続パッドを貫通して延在する前記第2の貫通穴の直径より大きく、前記第2の反対側の接続パッドの一部が前記第2のフレキシブル基板を貫通して延在する前記第2の拡大穴を覆い、
第2の導電構造は、前記第2の貫通穴及び前記第2の拡大穴の内部に充填され、
前記第2のフレキシブル基板は、前記第1のフレキシブル基板に対応するように配置され、前記第1のフレキシブル基板上に積層されることを特徴とし、
前記第2のフレキシブル基板の前記第2の接続パッドは、前記第1のフレキシブル基板の前記第1の接続パッドに対応し、前記第2の接続パッドは前記第1の導電構造を通じて前記第1の接続パッドと電気的に接続し、
前記第2のフレキシブル基板の前記第2の反対側の接続パッドは、前記第1のフレキシブル基板の前記第1の反対側の接続パッドに対応し、前記第2の反対側の接続パッドは、前記第2の導電構造を通じて前記第1の反対側の接続パッドと電気的に接続し、
前記第1の電源経路および前記第2の電源経路は、並列型の前記フレキシブル基板用の電源経路を形成する、
フレキシブル基板の電源経路構造。
【請求項2】
前記第1の導電構造および前記第2の導電構造はそれぞれ、銀、アルミニウム、銅、スズ、導電性カーボンペースト、導電性粒子含有接着材のうち1つから形成されることを特徴とする、請求項1に記載の電源経路構造。
【請求項3】
前記第1のフレキシブル基板の前記第1の接続部分および前記第1の反対側の接続部分はそれぞれ、その上に形成される複数のはんだ区域を備え、前記複数のはんだ区域は、連結部分および電子部品のうちの1つを前記はんだ区域にはんだ付けすることを提供することを特徴とする、請求項1に記載の電源経路構造。
【請求項4】
前記第1のフレキシブル基板および前記第2のフレキシブル基板はそれぞれ、片面基板、両面基板、複層基板、およびリジッドフレックス基板のうちの1つであることを特徴とする、請求項1に記載の電源経路構造。
【請求項5】
前記第1の導電構造および前記第2の導電構造はそれぞれ上面を有し、前記上面上に絶
縁保護層が形成されることを特徴とする、請求項1に記載の電源経路構造。
【請求項6】
前記第2のフレキシブル基板の底面上に形成される第3の電源経路構造をさらに備える、請求項1に記載の電源経路構造。
【請求項7】
前記第1のフレキシブル基板の前記第1の伸長部分は、少なくとも一組の差動モード信号経路をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の電源経路構造。
【請求項8】
フレキシブル基板の電源経路構造であって、
第1のフレキシブル基板であって、第1の接続部分と、第1の反対側の接続部分と、前記第1の接続部分と前記第1の反対側の接続部分との間に接続し、伸長部分に延在する第1の伸長部分とを備え、前記第1のフレキシブル基板は第1の表面を有し、前記第1の表面は、前記第1の表面上に形成される少なくとも1つの第1の接続パッドを前記第1の接続部分に備え、前記第1の表面上に形成される少なくとも1つの第1の反対側の接続パッドを前記第1の反対側の接続部分に備え、前記第1の接続パッドおよび前記第1の反対側の接続パッドは、前記第1の伸長部分にわたって延在する第1の電源経路を通じて、互いに電気的に接続することを特徴とする、第1のフレキシブル基板と、
第2の接続部分と、第2の反対側の接続部分と、前記第2の接続部分と前記第2の反対側の接続部分との間に接続する第2の伸長部分とを備える第2のフレキシブル基板であって、前記第2のフレキシブル基板は第2の表面を有し、前記第2の表面は、前記第2の表面上に形成された少なくとも1つの第2の接続パッドを前記第2の接続部分に備え、前記第2の表面上に形成された少なくとも1つの第2の反対側の接続パッドを前記第2の反対側の接続部分に備え、前記第2の接続パッドおよび前記第2の反対側の接続パッドは、前記第2の伸長部分にわたって延在する第2の電源経路を通じて互いに電気的に接続することを特徴とする、第2のフレキシブル基板と、を備え、
前記第2のフレキシブル基板は、前記第2の接続パッド内に形成され、前記第2の接続パッドを貫通して延在する第1の貫通穴を備え、前記第1の貫通穴は、前記第2のフレキシブル基板を貫通して延在する第1の拡大穴をさらに備え、前記第2のフレキシブル基板を貫通して延在する前記第1の拡大穴の直径は、前記第2の接続パッドを貫通して延在する前記第1の貫通穴の直径より大きく、前記第2の接続パッドの一部が前記第2のフレキシブル基板を貫通して延在する前記第1の拡大穴を覆い、
第1の導電構造は、前記第1の貫通穴及び前記第1の拡大穴の内部に充填され、
前記第2のフレキシブル基板は、前記第2の反対側の接続パッド内に形成され、前記第2の反対側の接続パッドを貫通して延在する第2の貫通穴を備え、前記第2の貫通穴は、前記第2のフレキシブル基板を貫通して延在する第2の拡大穴をさらに備え、前記第2のフレキシブル基板を貫通して延在する前記第2の拡大穴の直径は、前記第2の反対側の接続パッドを貫通して延在する前記第2の貫通穴の直径より大きく、前記第2の反対側の接続パッドの一部が前記第2のフレキシブル基板を貫通して延在する前記第2の拡大穴を覆い、
第2の導電構造は、前記第2の貫通穴及び前記第2の拡大穴の内部に充填され、
前記第1のフレキシブル基板の前記第1の伸長部分は、前記伸長部分にスリットを入れられて複数のスリット線を形成し、前記複数のスリット線は前記第1のフレキシブル基板の前記第1の伸長部分を複数の分割された区域に分割し、前記分割区分は折り畳み可能かつ、互いに積層可能であり、折り畳み積層構造を形成することを特徴とし、
前記第2のフレキシブル基板は、前記第1のフレキシブル基板の前記複数の分割区分のうちの1つの分割された区域に対応して配置され、前記1つの分割された区域上に積層され、
前記第2のフレキシブル基板の前記第2の接続パッドは、前記第1のフレキシブル基板の前記第1の接続パッドに対応し、前記第2の接続パッドは前記第1の導電構造を通じて、前記第1の接続パッドと電気的に接続し、
前記第2のフレキシブル基板の前記第2の反対側の接続パッドは、前記第1のフレキシブル基板の前記第1の反対側の接続パッドに対応し、前記第2の反対側の接続パッドは前記第2の導電構造を通じて、前記第1の反対側の接続パッドと電気的に接続し、
前記第1の電源経路および前記第2の電源経路は、前記フレキシブル基板のための並列型の電源経路を形成することを特徴とする、
電源経路構造。
【請求項9】
前記第1の導電構造および前記第2の導電構造はそれぞれ、銀、アルミニウム、銅、スズ、導電性カーボンペースト、導電性粒子含有接着材のうち1つから形成されることを特徴とする、請求項8に記載の電源経路構造。
【請求項10】
折り畳み後の前記分割された区域の幅は前記第2のフレキシブル基板の幅と略等しいか、または、前記第2のフレキシブル基板より広く、または狭いことを特徴とする、請求項8に記載の電源経路構造。
【請求項11】
前記第1のフレキシブル基板の前記第1の接続部分および前記第1の反対側の接続部分はそれぞれ、その上に形成される複数のはんだ区域を備え、前記複数のはんだ区域は、連結部分および電子部品のうちの1つを前記はんだ区域にはんだ付けすることを提供することを特徴とする、請求項8に記載の電源経路構造。
【請求項12】
前記第1のフレキシブル基板および前記第2のフレキシブル基板はそれぞれ、片面基板、両面基板、複層基板、およびリジッドフレックス基板のうちの1つであることを特徴とする、請求項8に記載の電源経路構造。
【請求項13】
前記第1の導電構造および前記第2の導電構造はそれぞれ上面を有し、前記上面上に絶縁保護層が形成されることを特徴とする、請求項8に記載の電源経路構造。
【請求項14】
前記第2のフレキシブル基板の底面上に形成される第3の電源経路構造をさらに備える、請求項8に記載の電源経路構造。
【請求項15】
前記第1のフレキシブル基板の前記第1の伸長部分は、少なくとも一組の差動モード信号経路をさらに備えることを特徴とする、請求項8に記載の電源経路構造。
【請求項16】
前記第2のフレキシブル基板および前記第1のフレキシブル基板は、互いに積層後に、ループ部材およびらせん状のループ部材のうちの1つでループ状にされ、これらの部材は前記第1のフレキシブル基板の前記第1の伸長部分および前記第2のフレキシブル基板の前記第2の伸長部分に巻き付くことを特徴とする、請求項8に記載の電源経路構造。
【請求項17】
前記第1のフレキシブル基板の前記第1の伸長部分および前記第2のフレキシブル基板の前記第2の伸長部分が、互いに積層後に、蝶番構造の孔を貫通して通されることを特徴とする、請求項8に記載の電源経路構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフレキシブル基板の構造、具体的にはフレキシブル基板の電源経路構造に関する。フレキシブル基板の電源経路構造は、増大した定格電力をフレキシブル基板を通じて供給可能な電力経路または接地経路を備える。
【背景技術】
【0002】
フレキシブル基板は幅広い種類の電子製品、特に軽量で小型な電子製品、たとえば家電製品に用いられていた。家電製品には、携帯電話、デジタルカメラ、コンピュータ周辺機器、フラットディスプレイ、およびゲーム機などが含まれ、すべてフレキシブル基板を用いている。
【0003】
電子製品における信号伝送量が大幅に増大するにつれて、用いられる信号伝送線の数は増加する。一方、軽量で小型な電子製品が必要であることから、フレキシブル基板に含まれる導電経路線の幅は大幅に狭くなっている。
【0004】
信号伝送線の数がますます増加し、導電線の線の幅がますます狭くなるという新しい市場の性質に対処するため、製造者のほとんどは複数の一般的な解決法を採用している。たとえば、用いる伝送線の数を増やすこと、信号伝送ピンの数を増やすこと、フレキシブル基板の幅を広くすることなどである。
信号伝送線の数および導電経路の線の幅に関するこのような新しい需要を受けて、あらゆる種類の電子製品に対して、電力の供給を増やす必要性が発生している。したがって、フレキシブル基板を設計する当業者の課題は、フレキシブル基板を通じて十分な電力を供給可能な電力経路および接地経路を提供することである。ただし、現在までのところ、フレキシブル基板を通じて十分な電力を供給可能な電力経路を提供する設計は、どの製造者も提示していない。
【発明の概要】
【0005】
したがって、本発明の目的は、フレキシブル基板に十分な電力を提供するフレキシブル基板の電源経路構造を提供することである。
【0006】
前述の目的を実現するために本発明が採用する技術的な解決法は、少なくとも2つのフレキシブル基板を互いに積層して、並列型の電源経路を形成することである。構造的に、本発明は以下のように配置される。第1のフレキシブル基板は、少なくとも1つの第1の接続パッドと、第1の反対側の接続パッドと、第1の接続パッドと第1の反対側の接続パッドとの間に接続する第1の電源経路とを備える。第2のフレキシブル基板は、少なくとも1つの第2の接続パッドと、第2の反対側の接続パッドと、第2の接続パッドと第2の反対側の接続パッドとの間に接続する第2の電源経路とを備える。第1のフレキシブル基板は、垂直方向に、第2のフレキシブル基板の上に積層され、それによって、第1の電源経路および第2の電源経路は、第1のフレキシブル基板の電力経路または接地経路として機能する並列型の電源経路を形成する。
【0007】
第2のフレキシブル基板は、第1の貫通穴を備える。第1の貫通穴は、第2の接続パッドに形成され、第2の接続パッドを貫通して延在し、第1の導電構造は第1の貫通穴に沈着され、固定される。第2のフレキシブル基板は、第2の貫通穴を備える。第2の貫通穴は、第2の反対側の接続パッドに形成され、第2の反対側の接続パッドを貫通して延在する。第2の導電構造は、第2の貫通穴に沈着され、固定される。第1の導電構造および第2の導電構造はそれぞれ、銀、アルミニウム、銅、スズ、導電性カーボンペースト、導電性粒子含有接着材のうち1つから形成される。
【0008】
第1のフレキシブル基板は、複数の信号端子またはその上に形成されるはんだ区域を備える。
【0009】
第1のフレキシブル基板および第2のフレキシブル基板はそれぞれ、片面基板、両面基板、複層基板、およびリジッドフレックス基板のうちの1つである。
【0010】
第1の導電構造および第2の導電構造はそれぞれ表面を有し、表面上に絶縁保護層が形成される。
【0011】
第2のフレキシブル基板は表面とは反対側の底面を有し、底面上に形成された第3の電源経路構造を備える。
【0012】
第1のフレキシブル基板の第1の伸長部分はさらに、高周波差動モード信号を伝送するための少なくとも一組の差動モード信号経路を備える。
【0013】
本発明の別の実施形態では、第1のフレキシブル基板の第1の伸長部分は伸長部分にスリットを入れられ、複数のスリット線を形成する。複数のスリット線は、第1のフレキシブル基板の第1の伸長部分を複数の分割された区域に分割する。分割区分は折り畳み可能かつ、互いに積層可能であり、折り畳み積層構造を形成する。第2のフレキシブル基板は、第1のフレキシブル基板の複数の分割区分のうち1つの分割された区分に対応し、その区分上に積層するように配置される。第2のフレキシブル基板および第1のフレキシブル基板は、互いに積層後に、ループ部材およびらせん状のループ部材のうちの1つによってループ状にされる。ループ部材およびらせん状のループ部材のうちの1つは、蝶番構造の孔を貫通される第1のフレキシブル基板の第1の伸長部分の回りに巻き付く。
【0014】
本発明の効果は、2つ以上のフレキシブル基板を互いに積層するとき、接続パッドとフレキシブル基板の導電線との間の電気的接続を導電構造によって形成することができ、2つ以上のフレキシブル基板の電源経路が、フレキシブル基板の電力経路または接地経路として機能する、並列型の電源経路を形成するように配置されることである。このようにして、フレキシブル基板は、形成された電力を供給する十分な能力を有する。
さらに、並列型の電源経路は、フレキシブル基板の信号伝送線の数が増加し、導電線の幅が狭くなり、電力の需要は増大し、および接地経路が大きくなるという、フレキシブル基板を通じた信号伝送を実現するための要求を満たすことができる。
【0015】
さらに、第1のフレキシブル基板は、複数の分割された区域を含むように配置されてもよい。分割区分は、互いに積層されて、折り畳み積層構造を形成してもよい。第2のフレキシブル基板は、複数の分割された区域のうちの1つの分割された区域上に積層されてもよい。このような折り畳み積層構造によって、第1のフレキシブル基板の第1の伸長部分は、容易に狭い穴または蝶番構造の孔を貫通できる。
【0016】
本発明は、添付図と合わせて、下記の発明を実施するための好ましい形態を読むことによって、当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1のフレキシブル基板および第2のフレキシブル基板は互いに離れている条件の、本発明の第1の実施形態によるフレキシブル基板の電源経路構造の概略平面図である。
【
図2A】
図1の第1のフレキシブル基板の第1の接続パッドが、垂直方向に、第2のフレキシブル基板の第1の貫通穴に位置合わせされて対応している、空間的な関係を例示する斜視図である。
【
図2B】
図1の第1のフレキシブル基板の第1の接続パッドが、垂直方向に、第2のフレキシブル基板の第1の貫通穴に位置合わせされて対応している、空間的な関係を例示する別の斜視図である。
【
図2C】互いに垂直方向に積層されている、
図1の第1のフレキシブル基板および第2のフレキシブル基板の一部を示す斜視図である。
【
図3A】フレキシブル印刷基板(FPC)から形成される
図1の第2のフレキシブル基板を例示する断面図である。
【
図3B】
図1の第2のフレキシブル基板が、第2の電源経路を囲む絶縁材を有するフレキシブルフラットケーブル(FFC)から形成されることを例示する断面図である。
【
図3C】
図1の第2のフレキシブル基板が、第2の電源経路を囲む絶縁材を有する成形絶縁回路ケーブルから形成されることを例示する断面図である。
【
図4】互いに積層された後で、さらに折り畳まれて幅を狭めた
図1の第1のフレキシブル基板および第2のフレキシブル基板を示す概略平面図である。
【
図5B】
図4の線A−Aに沿った別の断面図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態の第1のフレキシブル基板および第2のフレキシブル基板が互いに分離していることを示す断面図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態の第1のフレキシブル基板および第2のフレキシブル基板が互いに分離していること、および貫通穴が第2のフレキシブル基板に形成されていることを示す断面図である。
【
図8】本発明の第1の実施形態の第1のフレキシブル基板および第2のフレキシブル基板が互いに積層されていることを示す断面図である。
【
図9】本発明の第1の実施形態の第1のフレキシブル基板および第2のフレキシブル基板が互いに積層され、導電構造で充填されることを示す断面図である。
【
図10】第1の接続部分上に形成されたはんだ区域、およびはんだ区域ではんだ付けされる電気コネクタまたは電子部品を提供する第1のフレキシブル基板の第1の対応部分を示す概略図である。
【
図11】代替構成の第1の接続部分および第2の接続部分に関与する、
図1の第1のフレキシブル基板の修正した構成を示す概略平面図である。
【
図12A】互いに積層された後で、さらに折り畳まれて幅を狭めた
図11の第2のフレキシブル基板および第1のフレキシブル基板を示す概略平面図である。
【
図12C】互いに積層された後で、さらにループ部材でループ状にされた
図12Aの第2のフレキシブル基板および第1のフレキシブル基板を示す概略平面図である。
【
図12D】互いに積層された後で、さらにらせん状のループ部材でループ状にされた
図12Aの第2のフレキシブル基板および第1のフレキシブル基板を示す概略平面図である。
【
図12E】互いに積層された後で、さらに蝶番構造の孔に通された
図12Aの第2のフレキシブル基板および第1のフレキシブル基板を示す概略平面図である。
【
図13】
図1の第1のフレキシブル基板が、代替構成の伸長部分を含むことを示す概略平面図である。
【
図14】互いに積層された後で、さらに折り畳まれて幅を狭めた
図13の第2のフレキシブル基板および第1のフレキシブル基板の概略平面図である。
【
図15】第1のフレキシブル基板および第2のフレキシブル基板が互いに分離している条件の、本発明の第1の実施形態によるフレキシブル基板の電源経路構造の断面図である。
【
図16】互いに積層された本発明の第2の実施形態の第1のフレキシブル基板および第2のフレキシブル基板を示す断面図である。
【
図17】互いに積層され、導電構造で充填された本発明の第2の実施形態の第1のフレキシブル基板および第2のフレキシブル基板を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1を参照する。
図1には、本発明の第1の実施形態によるフレキシブル基板の電源経路構造の概略平面図が示される。第1のフレキシブル基板および第2のフレキシブル基板は互いに離れている条件である。
【0019】
図に示すように、第1のフレキシブル基板1は、第1の接続部分A11と、第1の反対側の接続部分A12と、第1の伸長部分A13とを備える。第1の伸長部分A13は、第1の接続部分A11と第1の反対側の接続部分A12との間に接続し、伸長部分M1内に延在する。第1のフレキシブル基板1には伸長部分M1でスリットが入れられ、複数のスリット線15を形成する。スリット線15によって、第1のフレキシブル基板1は折り畳まれ、狭い幅のフラットケーブル状の構造を提供し、またはまとまった形態にまとめられる。
【0020】
第2のフレキシブル基板2は、第2の接続部分A21と、第2の反対側の接続部分A22と、第2の接続部分A21と第2の反対側の接続部分A22との間に接続する第2の伸長部分A23とを備える。
【0021】
同様に
図2A〜
図2Cを参照する。
図2Aは空間的な関係を例示する斜視図である。
図1の第1のフレキシブル基板1の第1の接続パッド12は、垂直方向に、第2のフレキシブル基板2の第1の貫通穴31に位置合わせされ、対応する。
図2Bは空間的な関係を例示する別の斜視図である。
図1の第1のフレキシブル基板1の第1の接続パッド12は、垂直方向に、第2のフレキシブル基板2の第1の貫通穴31に位置合わせされ、対応する。
図2Cは、
図1の第1のフレキシブル基板1および第2のフレキシブル基板2の一部を示す斜視図であり、互いに垂直方向に積層されている。第1のフレキシブル基板1は、第1の基材11、少なくとも1つの第1の接続パッド12、少なくとも1つの第1の電源経路13、および第1の基材11を覆う第1の絶縁層14を含む。第2のフレキシブル基板2は、第2の基材21、少なくとも1つの第2の接続パッド22、少なくとも1つの第2の電源経路23、および第2の基材21を覆う第2の絶縁層24を含む。
【0022】
第2のフレキシブル基板2は、目的を実現するために、様々な導電線構成から形成されることもある。たとえば、
図3Aはフレキシブル印刷基板(FPC)から形成される
図1の第2のフレキシブル基板2の断面図である。
図3Bは、
図1の第2のフレキシブル基板2が、第2の電源経路23を囲む絶縁材25を有するフレキシブルフラットケーブルから形成されることを例示する断面図である。
図3Cは、
図1の第2のフレキシブル基板2が、第2の電源経路23を囲む絶縁材25を有する成形絶縁回路ケーブルから形成されることを例示する断面図である。
【0023】
本発明の実際の適用では、本発明のフレキシブル基板は折り畳まれて、狭い空間または小穴に受容可能なように、折り畳み構成またはループ状構成を提示できる。たとえば、
図4は概略平面図であり、互いに積層された後で、さらに折り畳まれて幅を狭めた
図1の第1のフレキシブル基板1および第2のフレキシブル基板2を示す。それによって、第1のフレキシブル基板1の第1の伸長部分A13は、狭い穴または蝶番構造の孔に受容可能となる。
【0024】
図1に示すように、第1のフレキシブル基板1は複数のスリット線15を備えるようにスリットが入れられ、第1のフレキシブル基板1の第1の伸長部分A13は複数の分割区分B1、B2、B3、B4、B5に分割される。このようにして、分割区分B1、B2、B3、B4、B5はスリット線15に沿って折り畳まれて、互いに積層される。それによって、第1のフレキシブル基板1は折り畳み可能であり、折り畳まれた積層基板構造を示す。
折り畳み後の第1のフレキシブル基板1の最終的な幅は、スリット線15のスリットを入れられる場所によって決定される。それによって、折り畳み後の第1のフレキシブル基板1の幅を、第2のフレキシブル基板2の幅と等しくするか、第2のフレキシブル基板2の幅より大きくするか、または小さくすることができる。
【0025】
この結果として得られる折り畳み構成に関して、折り畳み後に、第2のフレキシブル基板2を折り畳み構成の一番外の面(
図5Aに図示)上に配置してもよく、または代替的に、第2のフレキシブル基板2を折り畳み積層構造(
図5Bに図示)で挟んでもよい。
【0026】
図6〜
図9に関して、第1のフレキシブル基板1の第1の接続部分A11は、少なくとも1つの第1の接続パッド12を備え、第1の反対側の接続部分A12は、少なくとも1つの第1の反対側の接続パッド12aを備える。第1の接続パッド12および第1の反対側の接続パッド12aは、第1の伸長部分A13にわたって延在する第1の電源経路13を通じて、互いに電気的に接続する。
【0027】
第2の接続部分A21は、少なくとも1つの第2の接続パッド22を備え、第2の反対側の接続部分A22は、少なくとも1つの第2の反対側の接続パッド22aを備える。第2の接続パッド22および第2の反対側の接続パッド22aは、第2の伸長部分A23にわたって延在する第2の電源経路23を通じて、互いに電気的に接続する。
【0028】
第2のフレキシブル基板2は、垂直方向に、第1のフレキシブル基板1上に積層され、それによって、第2のフレキシブル基板2の第2の接続パッド22が、第1のフレキシブル基板1の第1の接続パッド12に対応する。同様に、第2のフレキシブル基板2の第2の反対側の接続パッド22aは、第1のフレキシブル基板1の第1の反対側の接続パッド12aに対応する。
【0029】
本発明の好ましい実施形態では、第2のフレキシブル基板2は、第1の貫通穴31を備える。第1の貫通穴31は、第2の接続パッド22に形成され、第2の接続パッド22を貫通して延在し、それによって、第1の貫通穴31は、第2のフレキシブル基板2に形成される拡大穴壁32を備える。
第1の貫通穴31は、内部に充填され、沈着され、固定される第1の導電構造3(
図9に図示)を備え、それによって、第2のフレキシブル基板2の第2の接続パッド22は、第1の導電構造3を通じて、第1のフレキシブル基板1の第1の接続パッド12と電気的に接続する。
【0030】
さらに、第2のフレキシブル基板2は、第2の貫通穴41を備える。第2の貫通穴41は、第2の反対側の接続パッド22aに形成され、第2の反対側の接続パッド22aを貫通して延在し、それによって、第2の貫通穴41は、第2のフレキシブル基板2に形成される拡大穴壁42を備える。
第2の貫通穴41は、内部に充填され、沈着され、固定される第2の導電構造4を備え、それによって、第2のフレキシブル基板2の第2の反対側の接続パッド22aは、第2の導電構造4を通じて、第1のフレキシブル基板1の第1の反対側の接続パッド12aと電気的に接続する。
【0031】
前述の構造では、第1の電源経路13および第2の電源経路23は組み合わされて、並列型の電源経路を形成する。この電源経路は、第1のフレキシブル基板1の電力経路または接地経路として機能する。
【0032】
最後に、絶縁保護層6を、第1の導電構造3および第2の導電構造4それぞれの表面上にさらに形成してもよい。
【0033】
第1の導電構造3および第2の導電構造4は、銀、アルミニウム、銅、スズ、導電性カーボンペースト、導電性粒子含有接着材のうちの1つを、それぞれ備えていてもよい。
【0034】
図1の実施形態に示すように、第1のフレキシブル基板1の第1の接続部分A11および第1の反対側の接続部分A12はそれぞれ、その上に形成された複数の信号端子16を備える。または代替的に、第1のフレキシブル基板1の第1の接続部分A11および第1の反対側の接続部分A12はそれぞれ、その上に形成された複数のはんだ区域17を備えていてもよい。はんだ区域17の上に、連結部分71または電子部品72(
図10に図示)がはんだ付けされる。
【0035】
実際の適用では、第1のフレキシブル基板1および第2のフレキシブル基板2はそれぞれ、片面基板、両面基板、複層基板、およびリジッドフレックス基板のうちの1つであってもよい。
第1のフレキシブル基板1の第1の伸長部分A13は、少なくとも一組の差動モード信号経路18a、18bを備えていてもよい。差動モード信号経路18a、18bは、第1の接続部分A11および第1の反対側の接続部分A12の信号端子16の対応する端子間を接続して、高周波差動モード信号を伝送する。
【0036】
図1の実施形態に示すように、第1のフレキシブル基板1の第1の接続部分A11および第1の反対側の接続部分A12は、互いに対向する構成で配置されるが、他の配向配置を含む他の構成を採用してもよい。たとえば、
図11は
図1の第1のフレキシブル基板1を示す概略平面図である。第1のフレキシブル基板1は、第1の接続部分A11および第1の反対側の接続部分A12の間に配置されるサイドウェイを備えるように修正される。
【0037】
図11に示すように、第1のフレキシブル基板1の第1の伸長部分A13は、複数のスリット線15を形成するように伸長部分M1にスリットが入れられ、第1のフレキシブル基板1の第1の伸長部分A13は複数の分割区分B1、B2、B3に分割される。分割区分B1、B2、B3は、互いに折り畳んで積層され、折り畳み積層構造を形成する。
図12Aは概略平面図であり、互いに積層された後で、さらに折り畳まれて幅を狭めた
図11の第2のフレキシブル基板2および第1のフレキシブル基板1を示す。
図12Bは、
図12Aの線B−Bに沿った断面図である。
【0038】
図12Cは概略平面図であり、
図12Aの第2のフレキシブル基板2および第1のフレキシブル基板1を示す。第2のフレキシブル基板2および第1のフレキシブル基板1は、互いに積層後に、さらにループ部材81でループ状にされる。ループ部材81は、第1のフレキシブル基板1の第1の伸長部分A13および第2のフレキシブル基板2の第2の伸長部分A23の回りに巻き付く。
図12Dは、
図12Aの第2のフレキシブル基板2および第1のフレキシブル基板1を示す概略平面図である。第2のフレキシブル基板2および第1のフレキシブル基板1は、互いに積層後に、さらにらせん状のループ部材82でループ状にされる。らせん状のループ部材82は、らせん状の方向に、第1のフレキシブル基板1の第1の伸長部分A13および第2のフレキシブル基板2の第2の伸長部分A23に巻き付く。
【0039】
図12Eは、
図12Aの第1のフレキシブル基板1の第1の伸長部分A13および第2のフレキシブル基板2の第2の伸長部分A23を示す斜視図である。第1の伸長部分A13および第2の伸長部分A23は、互いに積層後に、蝶番構造9の孔91を貫通して通る。
第1のフレキシブル基板1の第1の伸長部分A13および第2のフレキシブル基板2の第2の伸長部分A23はまた、互いに積層後に、
図12Dに図示するように、さらにらせん状のループ部材82でループ状にされ、蝶番構造9の孔91に通されてもよい。
【0040】
図13は、代替構成の伸長部分を含む
図1の第1のフレキシブル基板1の概略平面図である。
図14は、互いに積層された後で、さらに折り畳まれて幅を狭めた、
図1の第2のフレキシブル基板2および第1のフレキシブル基板11を示す概略平面図である。
【0041】
図15を参照する。この断面平面図は、第1のフレキシブル基板1および第2のフレキシブル基板2が互いに分離している条件の、本発明の第1の実施形態によるフレキシブル基板の電源経路構造を例示する。本実施形態の構成部品は第1の実施形態と類似しているため、一貫性を保つために、類似している構成部品/部品/要素は同一の符号で示す。
本実施形態では、第2のフレキシブル基板2は底面を有し、底面上に第3の電源経路構造51が形成され、第3の絶縁層52は次に、第3の電源経路構造51の底面上に形成される。さらに、拡大穴壁32は、その上に穴壁導電層33が形成される内周面を有する。拡大穴壁42は、その上に穴壁導電層43が形成される内周面を有する。
【0042】
図16は本発明の第2の実施形態による、互いに垂直方向に積層されたフレキシブル基板の電源経路構造の第1のフレキシブル基板1および第2のフレキシブル基板2の断面図である。
【0043】
図17を参照する。第2のフレキシブル基板2が垂直方向に、第1のフレキシブル基板上に積層されるとき、第1の導電構造3は第1の貫通穴31に充填され、沈着され、固定される。それによって、第2のフレキシブル基板2の第2の接続パッド22および第3の電源経路構造51は、第1の導電構造3を通じて、第1のフレキシブル基板1の第1の接続パッド12と電気的に接続する。
【0044】
同様に、第2の導電構造4は第2の貫通穴41に充填され、沈着され、固定される。それによって、第2のフレキシブル基板2の第2の反対側の接続パッド22aおよび第3の電源経路構造51は、第2の導電構造4を通じて、第1のフレキシブル基板1の第1の反対側の接続パッド12aと電気的に接続する。
【0045】
前述の実施形態はそれぞれ、本発明を片面および両面基板に適用することを例示するために記載したが、本発明はそれらに限定されない。
本発明の第1のフレキシブル基板1および第2のフレキシブル基板2はそれぞれ、片面基板、両面基板、複層基板、およびリジッドフレックス基板のうちの1つであってもよい。複層基板は、複数の片面基板の組み合わせ、複数の両面基板の組み合わせ、または複数の片面基板と複数の両面基板の組み合わせであってもよい。リジッドフレックス基板は、フレキシブル基板とリジッド基板の組み合わせであってもよい。
【0046】
好ましい実施形態を参照しながら本発明について説明してきたが、当業者には、添付する請求項で規定する本発明の範囲から逸脱せずに、様々な修正および変更が行えることが明らかであろう。