(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の部材は、前記第3の部材側に突出した逆有底筒形状の空気室形成部を備え、 前記弾性部材は、前記空気室形成部とともに前記空気室形成部内の空間を前記出力流路と接続された空気室として規定する弁部を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の急速排気弁ユニット。
【背景技術】
【0002】
ダイヤフラムポンプは、ダイヤフラムによって形成された複数のポンプ室を拡縮し、加圧した空気を加圧対象物に供給するポンプである。この種のダイヤフラムポンプには、血圧計などの加圧対象物に加圧した空気を供給した後、その加圧対象物の空気を外部へ急速に排気する急速排気弁ユニットが一体に設けられることがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、ダイヤフラムポンプは、複数のポンプ室の拡縮により空気を加圧対象物に供給しているため、加圧対象物に供給する空気の流量が脈動する現象(以下、これを「リップル」と呼ぶ。)を生じさせていた。そこで、従来のダイヤフラムポンプにおいては、急速排気弁ユニットと加圧対象物との間にリップルを除去する機構を設けることがあった。
【0004】
リップルの除去機構を有する従来の急速排気弁ユニットが一体に設けられたダイヤフラムポンプ(以下、これを「リップル除去機構付きダイヤフラムポンプ」と呼ぶ。)の構成例を
図8に示す。
【0005】
図8に示すように、リップル除去機構付きダイヤフラムポンプ100は、急速排気弁ユニット120が一体に設けられたダイヤフラムポンプ110と、リップル除去機構130とからなる。
【0006】
ここで、ダイヤフラムポンプ110は、弾性変形可能なダイヤフラム部113aを有するダイヤフラム113と、モータ111の回転をピストン部113apの往復運動に変換し、ダイヤフラム部113aを変形させる駆動機構112とを有している。
【0007】
このダイヤフラムポンプ110は、ダイヤフラム113と隔壁体121との間に形成されるポンプ室Pを拡縮し、圧縮された空気を隔壁体121に形成された貫通孔121aを介して急速排気弁ユニット120に出力する。
【0008】
急速排気弁ユニット120は、隔壁体121と、弁体122と、上側筐体123とを備える。弁体122は、逆止弁122aと弁本体122bとを備え、隔壁体121と上側筐体123とによって形成される空間を、貫通孔121aと接続された入力側空間と、上側筐体123に形成された吐出流路123aおよび貫通孔123bと連通する出力側空間とに仕切っている。
【0009】
リップル除去機構130は、2つの貫通孔133aおよび133bを有する箱型のリップル除去構造体133と、パイプ131と接続可能に形成され、パイプ131とともにリップル除去構造体133の内部空間と急速排気弁ユニット120の出力側空間とを連通する円筒部132と、貫通孔133bを介して図示しない加圧対象物に供給される空気の流路を形成する円筒部134とを備えている。ここで、貫通孔133bの内径は、貫通孔133aの内径よりも小さい。
【0010】
このような構成を有するリップル除去機構付きダイヤフラムポンプ100において、ダイヤフラムポンプ110から急速排気弁ユニット120を介して出力された空気は、パイプ131を介してリップル除去構造体133の内部空間に供給され、貫通孔133bを通って加圧対象物に吐出される。
【0011】
このとき、加圧対象物への吐出流路となる貫通孔133bの菅路抵抗は、急速排気弁ユニット120からの供給流路となる貫通孔133aの菅路抵抗よりも大きく、かつ、リップル除去構造体133はダイヤフラムポンプ110から供給された空気を一時的に蓄える容量として作用する。
【0012】
したがって、リップル除去構造体133は内部空間から貫通孔133bを通り加圧対象物に供給する空気の流量を一定とすることにより、リップルを除去することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0026】
<リップル除去機構付きダイヤフラムポンプの構成>
図1乃至
図3に示すように、本発明の一実施の形態に係るリップル除去機構付きダイヤフラムポンプ1は、ダイヤフラムポンプ本体1aおよびリップル除去機構付き急速排気弁ユニット(以下、これを単に「急速排気弁ユニット」と呼ぶ。)1bを備えている。
【0027】
<ダイヤフラムポンプ本体の構成>
ダイヤフラムポンプ本体1aは、モータ2と、このモータ2に接続されたクランク11および駆動体12を収容したケース3と、このケース3上に配設されたダイヤフラムホルダ4と、ダイヤフラムホルダ4に保持されたダイヤフラム5と、ダイヤフラム5上に配設された隔壁体6とを備えている。
【0028】
ケース3は、一端が開口し、他端が閉塞された有底円筒状部材である。このケース3は、例えば樹脂から形成される。モータ2の出力軸2aは、ケース3の底部に形成された軸孔3hを介してケース3内に挿入され、クランク11と連結されている。
【0029】
クランク11は、例えば樹脂等からなる略円柱状部材である。クランク11の上面には、平面視リング状の係入溝11bが設けられている。クランク11は、モータ2の出力軸2aとともに回転する。
【0030】
駆動体12は、例えば樹脂等からなる独楽状の部材である。駆動体12の両端は半球状に形成され、一端部はクランク11の係入溝11bに挿入され、他端部はモータ2の出力軸2aと対向するダイヤフラムホルダ4の面の中央部に形成された半球状の凹部4eによって回動自在に支持されている。
【0031】
駆動体12は、軸線12dと直交する方向に突設された3つの駆動子12aを有している。
図2および
図3においては、1つの駆動子12aが描かれているが、これらの3つの駆動子12aは、軸線32dの方向からみて互いに120度の角度をなして放射状に設けられている。したがって、モータ2とともにクランク11が回転すると、駆動子12aの端部はモータ2の回転軸の方向に沿って往復運動する。
【0032】
ダイヤフラムホルダ4は、ケース3の開口部側に取り付けられ、後述するダイヤフラム5を保持する保持部材である。このダイヤフラムホルダ4は、例えば樹脂等から形成される。
【0033】
ダイヤフラムホルダ4は、円筒状に形成された3つの保持筒4bが設けられている。
図2および
図3においては、1つの保持筒4bが描かれているが、これらの保持筒4bは、平面視で円周方向に互いに120度間隔で設けられている。
【0034】
また、ダイヤフラムホルダ4の保持筒4bを除いた領域には、ケース3の方向に向かって突出した有底円筒状の突出部4cが設けられている。
図2および
図3においては、1つの突出部4cが描かれているが、本実施の形態においては、3つの突出部4cが平面視で円周方向に互いに120度間隔で設けられ、保持筒4bの間にそれぞれ配置されている。この突出部4cは、その内側に凹形状の空間(以下、これを「凹空間」と呼ぶ。)4sを有している。
【0035】
ダイヤフラム5は、ゴム等の弾性を有する材料によって形成された略円板状部材である。このダイヤフラム5には、3つのダイヤフラム部5aが平面視において円周方向に互いに120度間隔で設けられている。
【0036】
各ダイヤフラム部5aは、薄肉に形成されて半球形をなし、ダイヤフラムホルダ4の保持筒4bに挿入されて保持される。ダイヤフラム部5aの頂部には、ピストン部5apが一体に設けられている。
【0037】
ピストン部5apの先端部は、上述した駆動体12の駆動子12aに設けられた取付孔に取り付けられ、これにより、ピストン部5apと駆動子12aとが連結される。ダイヤフラム部5aの開口端部には、その開口端部の一部からダイヤフラム5と一体にダイヤフラム部5aの開口を一部塞ぐように水平方向に突設された吸入用弁体5asが設けられている。
【0038】
また、ダイヤフラム5には、これら3つのダイヤフラム部5aの間に、3つの第1逆止弁体5bがケース3に向かって設けられている。
図2および
図3においては、1つの第1逆止弁体5bが描かれているが、これらの3つの第1逆止弁体5bは、平面視で円周方向に互いに120度間隔で設けられている。この3つの第1逆止弁体5bは、平面視において円周方向に互いに120度間隔で配置されている。
【0039】
第1逆止弁体5bは、突出部4cの凹空間4sに突出した円錐台筒状に形成されている。第1逆止弁体5bにおける上方の開口基端側の内径は、第1逆止弁座6eの外径よりも大きく形成されている。また、第1逆止弁体5bにおける下方の開口先端側の内径は、第1逆止弁座6eの外径とほぼ同一に形成されている。
【0040】
さらに、ダイヤフラム5の中央部には、所定径の貫通孔5hが設けられており、この貫通孔5hとダイヤフラムホルダ4の突出部4cの凹空間4sとが連通されている。突出部4cの凹空間4sには、隔壁体6の円柱状でなる第1逆止弁座6eが配置される。
【0041】
隔壁体6は、例えば樹脂等からなる有底円筒状部材である。隔壁体6は、ダイヤフラムホルダ4の上端面に載置されて、ダイヤフラムホルダ4とともにダイヤフラム5を挟持する。このとき、隔壁体6の下面とダイヤフラム5のダイヤフラム部5aとにより3つのポンプ室70(残り2つのポンプ室70は図示せず)が形成される。
【0042】
隔壁体6の中央部には、貫通孔6hが形成されている。貫通孔6hは、ダイヤフラム5の貫通孔5hと連通している。この貫通孔6hの直径は、ダイヤフラム5の貫通孔5hの直径とほぼ等しい。この隔壁体6は、ダイヤフラムポンプ本体1aのポンプ室70から貫通孔6h経由で空気を通過させた後に、当該空気を急速排気弁ユニット1bに供給する。
【0043】
隔壁体6の下面の外周側端部には、所定の直径からなる3つの円柱状孔からなる凹部6sが形成されている。3つの凹部6sの内側には、3つの第1逆止弁座6e(残り2つの第1逆止弁座6eは図示せず)が設けられている。第1逆止弁座6eは、凹部6sの直径よりも僅かに小さい直径を有する円柱状部材であり、隔壁体6の下方のケース3へ突出した状態で一体に形成されている。
【0044】
この第1逆止弁座6eの周側面は、ダイヤフラム5の第1逆止弁体5bの先端部の内側に当接されており、第1逆止弁体5bおよび第1逆止弁座6eにより逆止弁を構成している。
【0045】
また、隔壁体6の下面の外周縁近傍には、各ポンプ室70と連通する吸入空間6dが設けられている。さらに、隔壁体6の下面の外周縁部分には、その一端が隔壁体6の周側面に開口し、かつ他端が吸入空間6dと連通した破線で示す吸入流路6k(
図3)が設けられている。
【0046】
この吸入空間6dは、ポンプ室70と連通されている。ただし、吸入空間6dとポンプ室70との間には、ダイヤフラム部5aの吸入用弁体5asが配置されている。この吸入用弁体5asは、ポンプ室70から吸入空間6dへの空気の逆流を規制する逆止弁として機能する。
【0047】
隔壁体6の中央部には、各ポンプ室70と凹部6sとを連通した破線で示す供給流路6u(
図3)が設けられている。この供給流路6uは、各ポンプ室70から凹部6sへ空気を供給するための流路である。
【0048】
なお、ダイヤフラムポンプ本体1aは、モータ2、ケース3、クランク11、駆動体12、ダイヤフラムホルダ4、ダイヤフラム5、および、隔壁体6が積層されて一体化される。
【0049】
<リップル除去機構付き急速排気弁ユニットの構成>
リップル除去機構付き急速排気弁ユニット1bは、隔壁体6、下側筐体7、および、上側筐体8、および、急排弁9を備えている。
【0050】
隔壁体6における貫通孔6hの近傍には、上面から上方に突出した円柱状の第2逆止弁座6kが一体に設けられている。
【0051】
また、隔壁体6の上面の第2逆止弁座6kよりも外周側には、上方に突出した円柱状の副排気用凸部6fが一体に設けられている。この副排気用凸部6fの周面には、当該副排気用凸部6fの上端面から供給側空間R1(後述する)に到達する程度の長さの切欠き部6pが形成されている。
【0052】
さらに、隔壁体6の上面には、当該隔壁体6を間に挟んで第1逆止弁座6eとは反対方向に向かって僅かに突出した2つの弁体受け6gが一体に設けられている。
【0053】
下側筐体7は、有底円筒状部材であり、例えば樹脂等からなる。下側筐体7は、急排弁9を間に挟んで隔壁体6の外周縁端部に載置されると、隔壁体6および急排弁9との間に空間(以下、これを「第1の空間」と呼ぶ。)A1を形成する。すなわち、第1の部材としての隔壁体6、第2の部材としての下側筐体7、および、弾性部材としての急排弁9により第1の空間形成部が構成される。なお、下側筐体7の構成については、
図4を併用して説明する。
【0054】
下側筐体7の下面7aにおいて、隔壁体6の副排気用凸部6fと対向する位置には、副排気用凸部6fよりも大きな内径の円柱孔の漏らし空間7sが下面7aから上方に向かって凹設されている。ここで、副排気用凸部6fの周面には切欠き部6pが形成されているので、第1の空間A1と漏らし空間7sとは切欠き部6pの隙間を介して連通される。
【0055】
また、下側筐体7の上面7bには、上方に突出した副排気用円筒部7cが一体に設けられている。この副排気用円筒部7cは、所定高さの円筒状に形成され、貫通孔からなる排気路7chを有している。この排気路7chは、漏らし空間7sと連通されている。
【0056】
また、下側筐体7の上面7bにおいて、隔壁体6の第2逆止弁座6kと対向する位置には、空気室形成部7eが上方に突出した状態で設けられている。この空気室形成部7eは、断面逆有底円筒形状に形成されている。
【0057】
空気室形成部7eは、第2逆止弁座6kの外径よりも大きな内径の内側空間を有し、この内側空間が空気室7kとなっている。空気室7kは、下側筐体7の下面7aから所定の深さの逆凹状空間であり、空気室形成部7e、第2逆止弁座6k、および、第2逆止弁体9bとにより形成されている。
【0058】
この空気室7kは、第1の空間A1の一部である。因みに、隔壁体6の上面と急排弁9との間の空間(以下、これを「供給側空間」と呼ぶ)R1についても、第1の空間A1の一部である。すなわち、第1の空間A1は、急排弁9の第2逆止弁体9bにより、空気室7kと供給側空間R1とに仕切られている。なお、空気室形成部7eは、第2逆止弁座6kを上方から囲うように配置される。
【0059】
空気室形成部7eの上方中央部には、空気室7kに供給された空気を通過させる貫通孔からなる出力流路7ehが形成されている。この出力流路7ehにおける流路方向に垂直な断面の面積は、隔壁体6の貫通孔6hおよびダイヤフラム5の貫通孔5hよりも小さく形成されている。
【0060】
下側筐体7の中央部7gの近傍には、貫通孔からなる排気孔7ghが形成されている。この排気孔7ghにおける流路方向に垂直な断面の面積は、空気室形成部7eにおける出力流路7ehよりも大きい。
【0061】
さらに、下側筐体7において、隔壁体6の弁体受け6gと対向する位置には、僅かに下方に湾曲した状態で突出した排気口弁座7fが設けられている。排気口弁座7fには、その中央部分に貫通孔からなる排気孔7fhが設けられている。
【0062】
下側筐体7の上面7bにおいて、排気口弁座7fの反対側の位置には、主排気用円筒部7jが設けられている。主排気用円筒部7jには、貫通孔からなる排気路7jhが形成されており、この排気路7jhと排気口弁座7fの排気孔7fhとが連通されている。
【0063】
この場合、主排気用円筒部7jの排気路7jhにおける流路方向に垂直な断面の面積は、排気口弁座7fの排気孔7fhよりも大きい。ただし、これに限るものではなく、排気路7jhにおける流路方向に垂直な断面の面積が排気孔7fhと同じであってもよい。
【0064】
急排弁9は、ゴム等の弾性を有する材料によって形成された略円板状部材であり、隔壁体6と下側筐体7との間に周縁部9eが挟持される。なお、急排弁9の構成については、
図5を併用して以下説明する。
【0065】
急排弁9は、そのほぼ中央に本体部9pを有している。この本体部9pは、下側筐体7の中央部7gの下面に固定されている。急排弁9において、隔壁体6の第2逆止弁座6kと対向する位置には、弁部としての第2逆止弁体9bが一体に設けられている。
【0066】
この第2逆止弁体9bは、上方に突出した円錐台筒状に形成されている。ただし、必ずしも第2逆止弁体9bである必要はなく、供給側空間R1と空気室7kとの間で圧力差を生み出す圧力損失発生部として機能するのであれば、逆止弁ではない構造の弁部であってもよい。
【0067】
この急排弁9において、隔壁体6の副排気用凸部6fと対向する位置には、その副排気用凸部6fの外径とほぼ同じ内径を有する貫通孔9hが形成されている。副排気用凸部6fは、この貫通孔9hに挿通されて漏らし空間7sに臨んでいる。ただし、副排気用凸部6fには切欠き部6pが形成されているため、急排弁9の貫通孔9hと副排気用凸部6fとの間には切欠き部6pに相当する隙間が存在している。
【0068】
第2逆止弁体9bにおける下方の開口基端側の内径は、第2逆止弁座6kの外径よりも大きく形成されている。また、第2逆止弁体9bにおける上方の開口先端側の内径は、第2逆止弁座6kの外径とほぼ同一に形成されている。
【0069】
ここで、空気室形成部7eの内周面と、第2逆止弁体9bの先端部の外側との間には一定の隙間が存在している。この隙間は、第2逆止弁体9bの先端部が第2逆止弁座6kに当接した状態から離間することが可能な大きさである。
【0070】
ダイヤフラムポンプ本体1aが駆動していない状態においては、第2逆止弁体9bの先端部の内側が第2逆止弁座6kの周側面に当接する。この状態では、第2逆止弁体9bが第1の空間A1を空気室7kと供給側空間R1とに仕切っている。このとき、第2逆止弁体9bにより仕切られた第1の空間A1の一部である空気室7kは、空気室形成部7eと第2逆止弁体9bとの間の閉ざされた空間として規定される。
【0071】
しかしながら、第2逆止弁体9bの先端部の内側が第2逆止弁座6kの周側面から離間したときには、第2逆止弁体9bにより仕切られていた空気室7kは解放された空間となり、隔壁体6の貫通孔6hから供給側空間R1を介して空気室7kに空気が流入する。
【0072】
第2逆止弁体9bは、第2逆止弁座6kとともに逆止弁を構成し、第1の空間A1における供給側空間R1から空気室7kに供給された空気が供給側空間R1に逆流することを規制する逆止弁として機能する。
【0073】
さらに、急排弁9の本体部9pにおいて、隔壁体6の弁体受け6gと対向する位置には、排気口弁体9cが第2逆止弁体9bと一体となって本体部9pに設けられている。排気口弁体9cは、下側筐体7の排気口弁座7fと弁体受け6gとの間で選択的に圧接される円板状の弁本体9caと、この弁本体9caの周囲に設けられた弁本体支持部9cbとを備えている。
【0074】
弁本体9caは、排気口弁座7fまたは弁体受け6gに圧接される際、ひずみが発生しない程度の剛性を有している。一方、弁本体支持部9cbは、撓み易いように断面が湾曲状に形成されている。これらの本体部9p、第2逆止弁体9b、排気口弁体9cおよび周縁部9eは一体に形成されている。
【0075】
なお、排気口弁体9cは、弁本体9caが排気口弁座7fに圧接されるのではなく、排気孔7ghに圧接される構成であってもよい。要は、排気口弁体9cは、排気口弁座7fまたは排気孔7ghの何れか一方に圧接されて排気流路を遮断できればよい。
【0076】
排気口弁体9cは、当該排気口弁体9cと下側筐体7との間に空間(以下、これを「排気側空間」と呼ぶ)R2を形成する。この排気側空間R2は、排気孔7gh、7fhに接続されている。
【0077】
上側筐体8は、逆有底円筒状部材であり、例えば樹脂等からなる。上側筐体8は、上方隔壁部8aおよび側方隔壁部8bを有し、上方隔壁部8aおよび測方隔壁部8bが一体に形成されている。この上側筐体8の構成については、
図6および
図7を併用して説明する。
【0078】
この上側筐体8が下側筐体7の上に載置されると、上方隔壁部8aおよび測方隔壁部8bは下側筐体7の上面7bとともに空間(以下、これを「第2の空間」と呼ぶ。)A2を形成する。すなわち、第2の部材としての下側筐体7および第3の部材としての上側筐体8により第2の空間形成部が構成される。なお、この第2の空間A2の容量は、第1空気室7kの容量に比べて非常に大きい。
【0079】
上側筐体8における第2の空間A2は、下側筐体7に設けられた排気孔7ghを介して排気側空間R2と連通されている。この場合、上側筐体8が下側筐体7の上に載置された状態において、第2の空間A2の中に空気室形成部7eが収納される。
【0080】
上側筐体8において、下側筐体70の副排気用円筒部7cと対向する位置には、上方隔壁部8aの下面から下側筐体70に向かって突出した副排気用円筒部8cが設けられている。この副排気用円筒部8cには、その内部に貫通孔からなる排気路8chが形成されている。
【0081】
この上側筐体8の副排気用円筒部8cおよび下側筐体7の副排気用円筒部7cは、双方共に同じ外径を有し、副排気用円筒部8cの排気路8chおよび副排気用円筒部7cの排気路7chについても双方共に同じ内径を有している。
【0082】
したがって、上側筐体8が下側筐体7の上に載置されると、副排気用円筒部8cと副排気用円筒部7cとが当接されて、排気路8chaと排気路7chとが連通される。
【0083】
上側筐体8において、下側筐体7の主排気用円筒部7jと対向する位置には、上方隔壁部8aの下面から下方の下側筐体70に向かって突出した主排気用円筒部8dが設けられている。この主排気用円筒部8dは、その内部に貫通孔からなる排気路8dhが形成されている。
【0084】
この上側筐体8の主排気用円筒部8dおよび下側筐体7の主排気用円筒部7jは、双方共に同じ外径を有し、主排気用円筒部8dの排気路8dhおよび主排気用円筒部7jの排気路7jhについても双方共に同じ内径を有している。
【0085】
したがって、上側筐体8が下側筐体7の上に載置されると、主排気用円筒部8dと主排気用円筒部7jとが当接されて、排気路8dhと排気路7jhとが連通される。
【0086】
上側筐体8において、上方隔壁部8aの下面には第2の空間A2側に突出した円筒部8eが一体に設けられている。円筒部8eにおいて、下側筐体7の排気孔7ghと対向する位置には、その中心軸に沿って所定径の吐出流路8ehが形成されている。この吐出流路8ehの内径は、下側筐体7の排気孔7ghの内径と同じである。
【0087】
また、上側筐体8において、上方隔壁部8aを間に挟んで円筒部8eの反対側の上面には、上側筐体8の外側空間に突出した円筒部8fが一体に設けられている。円筒部8fには、その中心軸に沿って所定径の吐出流路8fhが形成されている。
【0088】
円筒部8eおよび円筒部8fは、双方共に同じ外径を有し、円筒部8eの吐出流路8ehおよび円筒部8fの吐出流路8fhについても双方共に同じ内径を有している。
【0089】
さらに、上方隔壁部8aにおいて円筒部8eおよび円筒部8fが設けられた位置には、貫通孔からなる吐出流路8ahが形成されている。ここで、円筒部8eおよび円筒部8fは、上方隔壁部8aを間に挟んで互いに反対方向を指向した状態で配置されているので、円筒部8eの吐出流路8ehと円筒部8fの吐出流路8fhとは、隔壁部8aの吐出流路8ahを介して互いに連通されている。
【0090】
吐出流路8ahの長手方向に垂直な断面の面積は、円筒部8e、8fの吐出流路8eh、8fhよりも小さい。ただし、これに限るものではなく、吐出流路8eh、8fhの長手方向に垂直な断面の面積は、吐出流路8ahと同じであってもよい。
【0091】
加圧対象物から逆流した空気が吐出流路8ahを介して第2の空間A2に流入した場合、排気孔7gh、排気孔7fh、排気路7jhおよび排気路8dhを介して外部に排気される。この場合、下側筐体7の排気孔7gh、排気孔7fh、および、上側筐体8の排気路8dhにより加圧対象物から逆流した空気を排気する排気流路が構成される。
【0092】
空気室形成部7eの出力流路7ehの長手方向に垂直な断面の面積は、吐出流路8ahの長手方向に垂直な断面の面積よりも小さく、かつ、排気口弁座7fの排気孔7fhの長手方向に垂直な断面の面積は、吐出流路8ahの長手方向に垂直な断面の面積と同じか、それよりも大きい。この関係を表すと、出力流路7eh<吐出流路8ah≦排気孔7fhとなる。
【0093】
ただし、吐出流路8ahの長手方向に垂直な断面の面積は、加圧対象物から空気が逆流された場合に、従来のように、その空気が第2の空間A2に流入される際の大きな菅路抵抗とならない程度に設定されている。
【0094】
上述したダイヤフラム本体1aの隔壁体6の上に、急排弁9、下側筐体7、および、上側筐体8が順番に積層した状態で一体化される。隣り合う部材同士を互いに固定するには、接着剤等により固定しても良いが、上側筐体8をモータ2に向かって押圧した状態でケース3に固定するバネ等を用いても良い。
【0095】
<リップル除去機構付きダイヤフラムポンプの動作>
このような構成のリップル除去機構付きダイヤフラムポンプ1において、モータ2を駆動して出力軸2aを回転させると、クランク11も出力軸2aと一体的に回転し、駆動体12が傾斜した状態のまま出力軸2aの周囲を回転するため、3つの駆動子12aの端部がモータ2の回転軸の方向に沿って往復動する。
【0096】
従って、駆動子12aの上下方向への往復動とともに3つのダイヤフラム部5aが順次往復動し、その際に当該3つのダイヤフラム部5aが変形することにより3つのポンプ室70も交互に拡縮する。
【0097】
3つのポンプ室70が順番に拡張するときには、当該3つのポンプ室70が順次負圧状態となり、隔壁体6の吸入流路6k、吸入空間6d、および、吸入用弁体5asを介してポンプ室70内に空気が吸入される。
【0098】
図3に示すように、3つのポンプ室70が順番に収縮するときには、当該3つのポンプ室70内の空気の圧力が順次上昇するので、3つのポンプ室70内の空気は隔壁体6の供給流路6uから凹部6sを介して第1逆止弁体5bの先端部と第1逆止弁座6eとの周側面との隙間からダイヤフラムホルダ4の突出部4cの凹空間4sに供給される。
【0099】
凹空間4sに供給された空気は、ダイヤフラム5の貫通孔5hおよび隔壁体6の貫通孔6hを介して供給側空間R1に供給される。供給側空間R1に空気が供給されると、その空気の一部は、矢印に示すように、急排弁9の貫通孔9hと排気用凸部8fの切欠き部8pとの隙間から漏らし空間7sに流れた後、副排気用円筒部7の排気路7ch、および、副排気用円筒部8cの排気路8chを介して大気解放される。
【0100】
ところで、モータ2の回転数を上げると、3つのポンプ室70の拡張および収縮を繰り返す速度が上がるので、供給側空間R1に供給される空気の流量が増加する。排気用凸部8fの切欠き部8pによる隙間は非常に微小であるため、その隙間を通過する流量よりもダイヤフラム5の貫通孔5hおよび隔壁体6の貫通孔6hから供給側空間R1に供給される空気の流量の方が多くなる。
【0101】
これにより、供給側空間R1の圧力が排気側空間R2よりも高くなるので、排気口弁体9cの弁本体9caが上方に移動し、下側筐体7の排気口弁座7fに押し付けられる。この結果、下側筐体7における排気口弁座7fの排気孔7fhと、上側筐体11における吐出流路8ahとの連通が遮断される。
【0102】
さらに、モータ2の回転数の上昇に伴い、3つのポンプ室70から供給側空間R1に供給される空気の流量が所定の流量を超えると、その空気の圧力が第2逆止弁体9bの弾性力を上回り、その第2逆止弁体9bの開口先端部が下側ケース10の第2逆止弁座6kの周側面から次第に離間する。
【0103】
これにより、供給側空間R1に供給された空気は、第2逆止弁体9bと第2逆止弁座6kとの間に形成された隙間を介して空気室形成部7eの空気室7kに流入し、当該空気室7kから出力流路7ehを通過して第2の空間A2に供給される。このとき、空気室7kに流入した空気が出力流路7ehを通過する際の管路抵抗により、その出力流路7ehを通過する空気のリップルの大部分が除去される。
【0104】
第2の空間A2に供給された空気は、排気口弁座7fの排気孔7fhが排気口弁体9cにより閉塞されているため、排気孔7fhから外部に排気されることはなく、その全てが上側筐体8の吐出流路8ahを通過して加圧対象物に吐出される。
【0105】
このとき、第2の空間A2に流入された空気が吐出流路8ahを通過する際の管路抵抗により、出力流路7ehを通過した空気に残存しているリップルが除去されて加圧対象物に吐出される。
【0106】
次に、リップル除去機構付きダイヤフラムポンプ1において、モータ2の駆動が停止すると、
図2に示すように、モータ2の停止直後については供給側空間R1内の空気の圧力が高いため、その空気が排気用凸部6fの切欠き部6pによる隙間、漏らし空間7s、排気路7ch、8chを順次介して大気解放される。
【0107】
このとき、供給側空間R1の空気は大気解放されているため、排気側空間R2の圧力の方が供給側空間R1の圧力よりも大きくなる。これにより、排気口弁体9cの弁本体9caaが押し下げられ、弁本体9caが隔壁体6の弁体受け6gに圧接された状態に戻り、吐出流路8ahと排気孔7fhとが連通される。
【0108】
また、第2逆止弁体9bの先端部が第2逆止弁座6kの周面に当接されるので、供給側空間R1と空気室7kとは当該第2逆止弁体9bによって隔てられる。
【0109】
この状態で、加圧対象物に供給された空気が、円筒部8fの吐出流路8fh、上方隔壁部8aの吐出流路8ah、および、円筒部8eの吐出流路8ehを順次介して第2の空間A2に一気に逆流する。加圧対象物から第2の空間A2に逆流した空気は、下側筐体7の排気孔7ghから排気孔7fh、排気路7jh、8dhを順次介して排気される。
【0110】
このとき、第2逆止弁体9bの先端部が第2逆止弁座6kの周面に当接されているので、空気室7kは閉じた空間となっている。したがって、加圧対象物から逆流される空気が出力流路7ehを通過することなく、吐出流路8ah、排気孔7gh、排気孔7fh、および、排気路8dhを介して全て大気解放されるので、従来に比較して空気の排気速度が低下することがない。
【0111】
さらに、吐出流路8ahおよび排気孔7fhの流路方向に垂直な断面の面積よりも、主排気用円筒部7j、8dの排気路7jh、8dhの方が大きいので、排気孔7fhを通過した空気の排気速度が低下しない。
【0112】
このように、吐出流路8ahは、加圧対象物に空気を供給する際においては、出力流路7ehを通過するときに除去し切れなかった残存リップルを除去することができる。一方、吐出流路8ahは、その流路方向に垂直な断面の面積が出力流路7ehよりも大きいので、従来に比して、加圧対象物から逆流する空気の排気速度が低減することを防止することができる。
【0113】
<効果>
リップル除去機構付きダイヤフラムポンプ1は、空気室形成部7eの空気室7kに流入された空気が出力流路7ehを通過した後、上側筐体8の第2の空間A2に流入し、第2の空間A2から吐出流路8ahを通過することにより、2段階に分けて効率的にリップルを除去することができる。
【0114】
また、リップル除去機構付きダイヤフラムポンプ1は、ポンプ動作の停止時に、加圧対象物から逆流する空気の全てが、従来のリップル除去機構130における貫通孔133bよりも内径の大きい吐出流路8ah、排気孔7gh、7fhを通過して大気解放されるので、リップル除去機構付きダイヤフラムポンプ100よりも空気の排気速度を上げることができる。
【0115】
また、リップル除去機構付きダイヤフラムポンプ1は、上側筐体8における第2の空間A2の中に下側筐体7の空気室形成部7eを収納した2段リップル除去構成であるため、従来の1段構成のリップル除去部材200よりも高いリップル除去性能および急排弁性能を持ち、かつ、全体としても小型化することができる。
【0116】
<他の実施の形態>
なお、上述した実施の形態においては、下側筐体7の空気室形成部7eにおける空気室7k、および、上側筐体8における第2の空間A2を用いて、2段階に分けてリップルを除去するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、上側筐体8を更に覆う最上層の筐体(図示せず)における第3の空間を設け、3段階に分けてリップルを除去するようにしても良い。要は、2段または3段に限らず、複数段に分けてリップルを除去するようにしても良い。
【0117】
また、上述した実施の形態においては、空気室7kよりも大容量の第2の空間A2を設け、出力流路7ehよりも流路方向に垂直な断面の面積が大きな吐出流路8ahを設けるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、空気室7kの容量を第2の空間A2の容量よりも大きくし、出力流路7ehの流路方向に垂直な断面の面積を吐出流路8ahより大きくしても良い。この場合でも、2段階に分けてリップルを除去することが可能である。
【0118】
さらに、上述した実施の形態においては、ポンプ室70が3つ備えられた3気筒のダイヤフラムポンプ本体1aに適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、1気筒、2気筒、4気筒以上のダイヤフラムポンプ本体に適用するようにしても良い。