特許6564653IP Force 特許公報全文掲載

技術分野

低温硬化性被覆組成物、特に低温(具体的には15℃〜100℃)で硬化して耐溶剤性の硬化被膜を形成する低温硬化性被覆組成物を提供する。

発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋

本発明者等は、低温で硬化して、耐溶剤性の高い硬化被膜を形成する被覆組成物を鋭意検討の結果、水素結合を用いて形成した塗膜が、低温硬化と高い耐溶剤性を達成することを見出し、本発明をなすに至った。

課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋

即ち、本発明は、 (A)水素原子に共有結合しているヘテロ原子を有する水素供与性官能基を有する被膜形成性高分子、 (B)水素原子が共有結合していないヘテロ原子を有する水素受容性官能基を有し、水素受容性官能基が環構造を有しても有さなくてもよく、環構造を有する場合はヘテロ原子が窒素原子、酸素原子および/または硫黄原子であり、環構造を有さない場合はヘテロ原子が窒素原子のみまたは窒素原子と酸素・・・ 続きを知財ポータルサイト IP Force にログインして見る
【発明の効果】
本発明の低温硬化性被覆組成物は、水素結合を用いて硬化するので、低い硬化温度、特に15〜100℃の温度でも硬化し、それにより得られた被膜は耐溶剤性の高いものとなる。 何故、水素結合を用いると硬化温度が低くても、高い耐溶剤性の被膜が形成されるかは、まだ十分には解明されていないが、本発明者等は次のように考えている。水素結合とは、ヘテロ原子、特に酸素原子、窒素原子、硫黄原子等の電気陰性度の高いヘテロ原子に共有結合した水素原子が、近傍の他の官能基の非共有電子対と作る結合であり、その強さは10〜40kJ/molの間であり、ファンデルワールス力(1kJ/mol程度)よりは強いが、共有結合(150〜500kJ/mol程度)より弱く、室温で可逆的な結合・解離が可能である結合を言う。従って、水素結合は共有結合に比べて非常に弱い結合であり、塗料などの被膜形成性樹脂の硬化反応には不適切で使用できないと考えられてきた。しかし、水素結合は、単独では、弱い結合であるが、それが水素結合を形成する官能基をたくさん有する高分子間で数多く形成されると、非常に強力な結合力になって、高い耐溶剤性を達成できるのではないかと考えられる。また、ギブスエネルギー(ΔG)で考えると、ΔG=ΔH−TΔS(式中、Hはエンタルピー、Tは温度、Sはエントロピーである。)であり、水素結合は可逆性を有することから、それぞれの水素供与性官能基は他の複数の水素受容性官能基と結合相手を組み替えながらも水素結合ネットワーク全体としては架橋状態を保ちうる結合状態組合せの自由度を持ち、エントロピー項のエネルギー(−TΔS)の因子が大きくなって、結合を切断するには大きなエネルギーが必要になることからも理解できる。更に、のいわゆる熱力学的な結合の因子に加えて、次に述べる速度論的な結合の因子による面でも実質的に強い架橋ネットワーク形成が可能となるものと考えられる。即ち、可逆性を有する水素結合による架橋ネットワークが切断されるに至るには、一つの高分子鎖に含まれる水素結合が同時に全て切断され、なおかつ、その高分子鎖が他の高分子鎖の水素結合性官能基と接近しても、水素結合を一つも形成しない状態を常に保ちながら、水素結合ネットワークから脱離させていく必要がある。しかし、水素結合性高分子を適切に選択すれば、このような現象が起こる確率を極めて小さくすることができ、実質的に強い架橋ネットワーク形成が可能となると考えられる。 そして、水素結合を硬化反応に用いる際には、本発明の成分(C)の非塩基性揮発性溶媒の存在が重要である。塗料などの状態では、この溶媒が個々の高分子の水素結合を形成する能力のある官能基をキャップして、一時的に架橋反応を抑制しているが、この溶媒が高い蒸気圧を有するので、塗膜形成時には、低い硬化温度(例えば、60℃ぐらいの温度)であっても、この溶媒が空気中に蒸発し、溶媒の水素結合の束縛より解放された高分子の官能基が他の高分子と水素結合を形成する能力を取り戻し、高分子間の水素結合が形成され、のようにたくさんの水素結合による強固な被膜が形成されるものと理解している。

この発明についての権利主張の範囲[特許請求の範囲]

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