(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記内筒体は、前記外筒体内で長手方向へ摺動可能に配置されており、前記一端が前記所定長さの範囲内に位置する状態で前記外筒体に対して固定できることを特徴とする請求項1に記載の緩み止めリング取外し工具。
【背景技術】
【0002】
ボルトに締結されたナットの緩みを防止するために、従来から緩み止め具が考えられている。
図6には、従来の緩み止め具100の平面図が示されている。ここでは、緩み止め具100は実線で、ナットから突出したボルト挿通領域104は点線で、また、ボルト150及び取外し工具160は二点鎖線で表わされている。
【0003】
図6に示すように、緩み止め具100は正六角形の周囲壁101を有し、この周囲壁101の下方側(紙面裏側方向)の周端縁部102から縮径方向に延びるように6枚の板バネ片103が延設されている。これら板バネ片103の先端は二点鎖線で表わしたボルト150のネジ山に係合している。この緩み止め具100の外形は正六角形に形成されているので、一般的なスパナ、メガネレンチ、ラチェットレンチ等の一般工具によって脱着操作が可能である。このような構成の緩み止め具100については、特許文献1に記載がある。
【0004】
図7には、
図6とは別の形態の緩み止めナット200(
図6の緩み止め具100に相当。)と、この緩み止めナット200の脱着工具260が中央縦断面図によって示されている。緩み止めの対象であるナット265の外側に取り付けられた緩み止めナット200については、
図6の緩み止め具100と同様に、外周側板部200aから縮径方向に板バネ状の撓み羽根201が形成された構成となっている。
図7では、この撓み羽根201がボルト250のネジ山に係合して設置された状態が示されている。
【0005】
図7の従来例では、
図6の例とは異なり、緩み止めナット200の脱着のために専用工具である脱着工具260が用いられている。脱着工具260の先端には、隣接する撓み羽根201同士の隙間に挿入できる爪262が形成されている。
図7には、これら複数の爪262が撓み羽根201同士の隙間に挿入された状態が示されている。この状態でハンドル264を押し付けパイプ軸261回りに回転させると、ボルト250から緩み止めナット200を取り外すことができる。このような構成の緩み止めナット200及び脱着工具260については、特許文献2に記載がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述の
図6に示した従来の緩み止め具100の外形は正六角形であり、この外形に適合した汎用工具を正確に嵌め合せなければならない。しかし、遠隔操作においてレンチなどの汎用工具を緩み止め具100に嵌合させるのは容易ではない。また、緩み止め具100の外形が正多角形ではなく、円形であったり、回転対称でない形状に対しては汎用工具では対応できない。
【0008】
これに対して、
図7に示したような脱着工具260を用いれば、外形の形状に関わらず
、隣接する撓み羽根201同士の隙間に工具の爪262を係合させれば、脱着作業を行うことが可能である。しかし、遠隔操作においては、
図6の構成よりもさらに位置合わせが困難である。
【0009】
しかも、
図6、7に示した従来の構成では、取り外した緩み止め具100、緩み止めナット200を保持することについて考慮されていないので、取り外した後に落下する危険があり、高所作業には適さない。
【0010】
そこで、本発明では、遠隔操作が容易であり、且つ、取り外した緩み止めリングを安全に保持できる緩み止めリング取外し工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の緩み止めリング取外し工具は、ボルトのネジ山と係合する撓み片が径方向に突出形成されたナットの緩み止めリングを遠隔操作によって取り外す緩み止めリング取外し工具であって、前記緩み止めリングを収容する開口縁側から長手方向へ所定長さの範囲の円筒内面に、前記緩み止めリングの外周縁と係合可能な係合構造が形成されていると共に、前記所定長さの範囲内の少なくとも1箇所に貫通孔が形成されている外筒体と、前記開口縁から長手方向へ前記所定長さの範囲内に一端が位置するように前記外筒体内に配置され、前記一端に前記ボルトの収容孔が形成された内筒体と、前記内筒体の他端に延設され、遠隔操作棒と連結可能な連結部と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の緩み止めリング取外し工具は、上記構成に加えて、前記係合構造は、前記開口縁側から長手方向へ延びるように形成されたスリットであることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の緩み止めリング取外し工具は、上記構成に加えて、前記内筒体は、前記外筒体内で長手方向へ摺動可能に配置されており、前記一端が前記所定長さの範囲内に位置する状態で前記外筒体に対して固定できることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の緩み止めリング取外し工具は、上記構成に加えて、前記内筒体の前記一端には、前記スリットと一致する周方向位置に内スリットが形成されていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の緩み止めリング取外し工具は、上記構成に加えて、前記貫通孔は、周方向に延びる長孔状に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、ナットの外側において撓み片をネジ山に係合させた緩み止めリングを収容するように、外筒体の開口縁側から緩み止めリング取外し工具を押し付けると、ナットと共に緩み止めリングは外筒体の開口縁と内筒体の一端との間に形成された空間に収容される。また、ナットから突き出たボルトの軸の先端は、内筒体の一端に形成された収容孔に収容される。外筒体の開口縁側には、円筒内面に係合構造が形成されているので、遠隔操作棒を介して軸回りの力を伝達すると、この係合構造と緩み止めリングの外周縁との係合又は摩擦により、緩み止めリングはボルトの軸の回りを回転する。また、開口縁から所定長さの範囲内に貫通孔が形成されているので、この貫通孔と緩み止めリングの外周縁との間の係合又は摩擦も回転に寄与する。さらに、遠隔位置から貫通孔を通して内部の緩み止めリングの状態を視認することも可能である。
【0017】
また、本発明によれば、上記効果に加えて、係合構造として開口縁側から長手方向へスリットが形成されているので、開口縁側が僅かに拡張可能である。これにより、外筒体の
内径よりも大きい緩み止めリングも収容することが可能である。また、遠隔操作であっても、スリットが拡張されることにより位置ずれが緩和されるので、容易に遠隔操作を行うことができる。
【0018】
また、本発明によれば、上記効果に加えて、内筒体は外筒体内に摺動可能に配置されているので、所定長さの範囲内に一端が位置する状態で緩み止めリングを収容後、外筒体に対する固定を解除して開口縁側から離間する方向へ移動させると、収容された緩み止めリングと内筒体の一端との間に空間が形成される。これにより、緩み止めリングの外周縁近傍を長手方向に押し込むと、緩み止めリングは外筒体内で回転して外周縁が引き起こされるので、取り出しが容易になる。
【0019】
また、本発明によれば、上記効果に加えて、緩み止めリング取外し工具をボルトの軸回りに回転させて緩み止めリングを回転操作する際、内筒体の一端に形成されている内スリットと緩み止めリングの(撓み片を含む)凹凸形状との間に係合状態が生じ易く、回転力の伝達効率が向上する。また、内スリットの周方向の位置が外筒体のスリットに一致しているので、緩み止めリングをボルトから取り外した後、ドライバ等の棒状部材をスリット及び内スリットを通して緩み止めリングの裏側に差し込むことができる。これにより、内筒体と干渉することなく緩み止めリングを取り出し易くなる。
【0020】
また、本発明によれば、上記効果に加えて、貫通孔が外筒体の周方向へ延びるように長孔状に形成されているので、緩み止めリングの外周縁の一部が貫通孔内に進入できる。これにより、外筒体の内径よりも小さい緩み止めリングを収容した場合であっても、貫通孔との間で引っ掛かりが生じるので、収容した緩み止めリングを安全且つ確実に保持することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態に係る緩み止めリング取外し工具について図を用いて説明する。
【0023】
先ず、
図1に本実施の形態に係る緩み止めリング取外し工具(以下、取外し工具と呼ぶ。)1の全体斜視図を示す。
【0024】
取外し工具1では、外筒体2の内側に内筒体4が摺動可能に配置されている。外筒体2の開口縁2a側には、長手方向に延びるスリット2bが2箇所形成されている。
図1では正面側(紙面手前側)のスリット2bのみが表わされており、背面側のスリット2bは、正面側のスリット2bと対極の位置に形成されている。
【0025】
また、外筒体2の開口縁2a側には、貫通孔2cが形成されている。この貫通孔2cは
外筒体2の周方向に延びるように湾曲した長孔状に形成されている。この貫通孔2cも2箇所形成されており、
図1に表れている上面側の貫通孔2cと対極の下面側に同形状の貫通孔2cが形成されている。
【0026】
外筒体2には開口縁2aとは逆側寄りの位置に、ガイドピン10が設けられている。このガイドピン10は、長手方向に直交する方向に外筒体2と内筒体4とを貫通している。内筒体4側には、ガイドピン10が貫通可能なガイド孔(図示せず)が長手方向に延びており、このガイド孔に沿ってガイドピン10が相対移動することにより、内筒体4は外筒体2に対して摺動可能である。この摺動可能な内筒体4は外筒体2の側面に立設されたロックピン6により、外筒体2に対して固定することができる。
【0027】
図1に示すように、取付面50にナット51が取り付けられており、このナット51から突出したボルト52の軸に緩み止めリング23が取り付けられている。緩み止めリング23は外形が略円形であり、内側には、縮径方向へ複数の板状の撓み片23aが突出形成されている。これら複数の撓み片23aの先端がボルト52のネジ山と係合することにより、ナット51の緩みが抑止されている。
【0028】
緩み止めリング23を取り外す際は、先ず、開口縁2aにナット51、緩み止めリング23及びボルト52を収容するように、取外し工具1が取付面50に押し付けられる。そして、緩み止めリング23が外筒体2内に収容された状態で取外し工具1を軸回転させると、外筒体2の円筒内面との間に生じる摩擦により、緩み止めリング23は取外し工具1と一体に回転する。これにより、緩み止めリング23はボルト52のネジ溝に沿って取り外される。
【0029】
取外し工具1の内筒体4には、開口縁2aとは逆の他端側に連結部8が延設されている。この連結部8には遠隔操作棒の先端が連結可能である。ここでは、図示をしないが、遠隔操作棒には、内部に回転機構を備えたものや、回転機構を備えない単なる操作棒が状況に応じて使い分けられる。ナット51と共に緩み止めリング23を外筒体2の開口縁2aの内側に収容した状態で遠隔操作棒を軸回転させると、緩み止めリング23の撓み片23aの先端が、ボルト52のネジ山に沿って回転するので、ボルト52から取り外すことができる。
【0030】
次に、
図2に開口縁2aの周辺を拡大した正面図を示す。外筒体2には、上述のようにスリット2bが開口縁2a側から所定長さLの範囲で形成されている。そして、2箇所の貫通孔2cは、共に、所定長さLの範囲内に形成されている。本実施の形態に係る取外し工具1において、外筒体2の内径は、対象となる緩み止めリング23の外径と略同じ値となるように形成されている。具体的には、外径φが31mmの緩み止めリング23に対して、外筒体2の内径の基準寸法は同一の31mmとして設計される。この場合、寸法公差は±1.5mm程度に設定される。
【0031】
また、内筒体4の一端4a側には、ボルト52を収容できる程度に開口した収容孔4bが形成されている。これにより、内筒体4の一端4aに当接する位置まで緩み止めリング23を収容することができる。
【0032】
本実施の形態に係る取外し工具1によれば、仮に、緩み止めリング23に対して外筒体2の内径が僅かに小さい場合であっても、
図2に二点鎖線で表わしたように、外筒体2の開口縁2a側がスリット2bを中心に開くように弾性変形し、この変形により生じた反力によって収容された緩み止めリング23を把持できる。このように把持されることにより、緩み止めリング23の外周縁と外筒体2の円筒内面との間に摩擦が生じるので、上述のように取外し工具1を軸回転操作すると、緩み止めリング23をボルト52から解き外すことができる。
【0033】
なお、
図2に示したように、内筒体4は、その一端4aが外筒体2の開口縁2aから所定長さLの範囲内(スリット2bの形成されている範囲内)に位置するように設定され、この位置においてロックピン6により固定されている。次に、外筒体2に対して内筒体4が移動した状態について
図3を用いて説明する。
【0034】
図3(a)は、緩み止めリング23が外筒体2内に収容された状態において、ロックピン6を持ち上げることにより外筒体2に対する内筒体4のロック状態を解除し、内筒体4の一端4aがスリット2bの形成された範囲を外れて他端4d側へ移動(退避)された様子を示している。これにより、緩み止めリング23を内筒体4の一端4aに当接する位置まで収容した場合であっても、ロックピン6を解除して内筒体4を他端4d側へ退避させると、内筒体4の一端4aと緩み止めリング23との間に空間を形成することができる。
【0035】
この状態において、
図3(b)に示すように、緩み止めリング23の外周寄りの部分を押圧すると、緩み止めリング23は外筒体2内で回転する。そして、さらに押圧すると、最終的に、
図3(a)の状態から90度回転した状態にまで向きが変化する。これにより、緩み止めリング23の外周縁が外筒体2の開口縁2a側まで回動するので、この外周縁を掴んで容易に取り出すことが可能となる。
【0036】
さらに、
図3(c)の状態のように、緩み止めリング23の外周縁が外筒体2のスリット2bの位置と一致するように押圧回動させると、スリット2b内を外周縁が滑るように移動できるので、さらに取り出しが容易になる。
【0037】
ところで、本実施の形態に係る取外し工具1においては、内筒体4にも内スリット4cが形成されている。したがって、
図3に示したように内筒体4を他端4d側へ摺動させなくても、外筒体2のスリット2bから内筒体4の内スリット4cを通して緩み止めリング23を操作することができる。この様子が
図4に示されている。
【0038】
図4は、
図3(a)においてスリット2bの間を通るA−A線で切断した断面図である。本実施の形態に係る取外し工具1では、
図4に示すように、内スリット4cがスリット2bと周方向において一致するように形成されている。これにより、
図4中に二点鎖線で示したドライバー53等の棒状部材を、外筒体2のスリット2b及び内筒体4の内スリット4cを通して差し込むことができる。このようにして、内側から引き起こすようにして緩み止めリング23の向きを変えて取り出すことが可能となる。
【0039】
続いて、緩み止めリング23と外筒体2、内筒体4との相互作用について
図5を用いて説明する。
図5は、
図3(a)において貫通孔2cの略中心を通るB−B線で切断した断面図である。外筒体2の切断面には45度のハッチングが付されており、緩み止めリング23は二点鎖線で示されている。また、説明の便宜のため、内筒体4の端面はクロスハッチングによって表わされている。上述のように、内筒体4の内スリット4cは外筒体2のスリット2bに一致するように配置されている。そして、スリット2bが形成されている領域を挟んで上下に形成されている貫通孔2cは、それぞれ略90度の中心角で開口するように湾曲した長孔状に形成されている。このように、貫通孔2cがスリット2bの間に形成されているので、
図2に二点鎖線で示したような弾性変形が容易になる。スリット2bが柔軟に開放でき、弾性力に基づいて緩み止めリング23を把持できるためには、外筒体2が可撓性及び弾性を有する樹脂材で形成されていることが望ましい。しかし、弾力性が生じる程度に貫通孔2cを大きく形成すれば、金属等の部材でも構わない。
【0040】
このように構成されているので、緩み止めリング23には、外筒体2の円筒内面2dだ
けではなく、内筒体4の端面との間にも摩擦力が生じる。
【0041】
また、これらの摩擦力による作用に加えて、
図5に示すように、緩み止めリング23の外周縁に凹部23cが形成されている場合は、この凹部23cと貫通孔2cの内側エッジ2eとが係合することによって回転力が伝達される。これは、特に、最大許容寸法の外筒体2において、円筒内面2dからの摩擦力が十分に得られない場合に有効に作用する(上述の具体例で言うと、31φの緩み止めリングに対して外筒体の内径がプラス公差の32.5mmで形成されている場合)。
【0042】
同様に、緩み止めリング23の凹部23cは、外筒体2のスリット2bにも係合可能である。この意味において、スリット2b、貫通孔2cは緩み止めリング23の回転を補助する係合構造としての作用を生じさせるものである。本実施の形態では、外形が略円形の緩み止めリング23を例として示しているが、外形が正多角形状の緩み止めリングに対しては、特に、スリット2bとの係合状態が安定する。
【0043】
また、緩み止めリング23の複数の撓み片23aは
図2に示したように、長手方向他端側に反っているので、これら撓み片23aと内筒体4の内スリット4cとが係合し、回転力を伝達させることも可能である。
【0044】
また、上記作用とは別に、外筒体2の内径に対して緩み止めリング23の外径が小さい場合、緩み止めリング23の外周縁23bの一部が貫通孔2cの内側に進入することができるので、長手方向へ抜けようとする緩み止めリング23の外周縁23bを貫通孔2cで引っ掛けて脱落を防止することが可能である。
【0045】
ここで、緩み止めリング23を外筒体2に回収する毎に取り出さずに、連続して回収する作業について説明する(
図1を参照)。
【0046】
本実施の形態に係る取外し工具1によって緩み止めリング23を連続回収するには2つの方法がある。一つは、既に回収された緩み止めリング23を外筒体2内に残したまま、新たな対象であるボルト52の軸に沿って押し込む方法である。この場合、外筒体2内にある回収済みの緩み止めリング23の撓み片23aは、ボルト52のネジ山の通過により中央域を押し広げられ、進行方向に対して後方側へ撓む。このようにして、新たな緩み止めリング23が回収済みの緩み止めリング23に当接する状態まで取外し工具1が取付面50側に押し付けられる。そして、取外し工具1の軸回りの回転操作によって、回収済みの緩み止めリング23と共にボルト52のネジ溝に沿って一体的に回転しながら、新たな緩み止めリング23が取り外される。
【0047】
これに対して、もう一つは、既に回収された緩み止めリング23を外筒体2内に残したまま、新たな対象であるボルト52のネジ溝に沿って回転させながら押し込む方法である。すなわち、取外しの際とは逆の回転によって回収済みの緩み止めリング23が新たなボルト52に当接するまで押し込まれる。そして、外筒体2内に取り込まれた新たな緩み止めリング23は、取外し工具1を反転操作することによって、回収済みの緩み止めリング23と一体的に取り外される。
【0048】
上記2つの方法のうち、後者の場合は、特に、正反転動作が可能な電動工具を用いる構成において有用である。また、複数の緩み止めリング23を連続的に回収する場合には、互いに接する緩み止めリング23の撓み片23a同士が係合することによっても間接的に回転力が伝達されるという利点も有している。
【0049】
本実施の形態に係る取外し工具1では、外筒体2の緩み止めリング23を収容する領域に、中心角が略90度の大きく開口した貫通孔2cが2箇所形成されているので、遠隔操
作においても、内部の状態を確認するための視認性も十分である。このため、上述のような、連続回収においても作業が容易になる。
【0050】
以上のように、本実施の形態に係る取外し工具1によれば、外筒体2の内径寸法が、対象となる緩み止めリング23の外径寸法に対してプラス及びマイナスの何れ側に数値が振れていても、多少の差であれば、回転力を良好に伝達できると共に、取り外した緩み止めリング23を安全に保持することができる。従って、製品歩留まりも高くなり、製造コストを低減することが可能である。
【0051】
尚、上記の実施の形態では、外筒体2において周方向の対極位置にスリット2bが2箇所形成されている構成を例として示した。しかし、スリット2bは2箇所に限らず、さらに、周方向に回転対称となる位置に形成されていなくても構わない。
【0052】
また、上記の実施の形態では、外筒体2において周方向の対極位置に貫通孔2cが2箇所形成されている構成を例として示した。しかし、貫通孔2cが形成されるのは一方側だけでも構わない。また、貫通孔2cは長孔状に形成されていなくても構わない。
【0053】
また、上記の実施の形態では、内筒体4の端部に内スリット4cが形成されている構成を例として示した。しかし、内スリット4cは形成されていなくても構わない。
【0054】
また、上記の実施の形態では、外筒体2は、緩み止めリング23との係合作用を有するスリット2bが形成された構成を例として示した。しかし、係合構造としてのスリット2bの代わりに、円筒内面2dに突条又は溝が形成されている構成でも構わない。この場合、突条又は溝は、長手方向と平行に形成されていなくても良い(例えば、螺旋状等も可能である。)。また、所定長さLの範囲で連続して形成されていなくても良い。さらに、スリット2b、突条及び溝の任意の組み合わせにより係合構造が構成されていても構わない。