【実施例1】
【0038】
なお、
図1は配管締結構造1における上方からの外観斜視図を示し、
図2は配管締結構造1における幅方向Yに沿った断面図を示し、
図3は締結構造体4における要部の要部拡大断面図を示し、
図4はUボルト6における要部を説明する説明図を示し、
図5は一部を破断したスリーブ631の一部破断斜視図を示している。
【0039】
また、
図4(a)は
図3中のA−A矢視断面図を示し、
図4(b)は幅方向Yに沿った断面におけるボルト本体61、及び滑り部材62の断面図を示している。
さらに、
図1中において図示を簡略化するために架台2、及び配管3の一部分のみを図示、
図2中、及び
図3中において、図示を明確にするため、Uボルト6の断面の図示を省略している。
【0040】
加えて、
図1中において、矢印Xは前後方向を示し(以下「前後方向X」とする)、矢印Yは幅方向を示している(以下、「幅方向Y」とする)。さらに、
図1中の上側を上方とし、
図1中の下側を下方とする。
【0041】
配管締結構造1は、
図1及び
図2に示すように、略平板状の架台2、架台2の上面2aに配置した配管3、及び前後方向Xに所定の間隔を隔てて複数配置するとともに、架台2に対して配管3を締結する締結構造体4で構成している。
【0042】
架台2は、
図1及び
図2に示すように、上下方向に所定の厚みを有する略平板状であって、例えば、船舶の甲板などとする。この架台2には、
図2及び
図3に示すように、幅方向Yにおいて、配管3の外径よりも僅かに大きい間隔を隔てた位置で、上下方向に開口した貫通孔2bを2つ形成している。
【0043】
この貫通孔2bは、前後方向Xに所定間隔を隔てて複数形成している。なお、貫通孔2bは、後述するUボルト6の呼び径より大きい直径で開口形成している。
【0044】
配管3は、
図1及び
図2に示すように、前後方向Xを軸方向として、所定の内外径を有する略真円筒状の鋼管であって、例えば、マイナス167度からマイナス169度に冷却された液化天然ガスを流通可能に構成している。
【0045】
締結構造体4は、
図2及び
図3に示すように、架台2に載置される台座プレート5と、台座プレート5に載置した配管3を架台2とで挟持する略U字状のUボルト6と、架台2に対してUボルト6を締結する締結ナット7とで構成している。
【0046】
台座プレート5は、
図1及び
図2に示すように、略平板状のプレート本体51と、プレート本体51の上面における幅方向Yの略中央に貼付したスライドシート52とで構成している。
プレート本体51は、上下方向に所定の厚みを有するとともに、幅方向Yに長い平面視略矩形の平板状であって、SS材、あるいはSUS材で構成している。
【0047】
このプレート本体51には、
図2及び
図3に示すように、幅方向Yに所定間隔を隔てた位置において、架台2の貫通孔2bと連通するとともに、Uボルト6の両端が挿通する2つのボルト挿通孔51aを上下方向に開口形成している。
【0048】
スライドシート52は、プレート本体51におけるボルト挿通孔51aの間に貼付可能な幅方向Yの長さを有する平面視略矩形のシート状に形成している。このスライドシート52は、自己潤滑性と、配管3と対向する低摩擦係数の平滑面(図示省略)とを有するシート状部材であって、例えば、圧縮強度の高い充填剤入りPTFE材で構成している。
【0049】
また、Uボルト6は、
図2及び
図3に示すように、下方側が開口した略U字状のボルト本体61と、ボルト本体61の内面に装着した滑り部材62と、ボルト本体61に螺着するとともに、ボルト本体61とで滑り部材62の端部近傍を保持する保持体63とで構成している。
【0050】
ボルト本体61は、SS材、あるいはSUS材の丸鋼材を、略U字状に曲折して形成している。より詳しくは、ボルト本体61は、配管3の外径より僅かに大きい幅方向Yの間隔を隔てて上下方向に延びる一対のボルト脚部611と、一対のボルト脚部611における上端間を配管3の外周面に沿って橋架するように略半円状に湾曲したボルト湾曲部612とで略U字状に一体形成している。
【0051】
ボルト脚部611は、架台2とで配管3を挟持した状態において、架台2の貫通孔2bを介して、架台2の下面側へ先端が露出する上下方向長さで形成している。このボルト脚部611の下部には、
図2及び
図3に示すように、架台2とで配管3を挟持した状態において、架台2の上面2aよりも上方側の位置から先端に至る範囲に、保持体63、及び締結ナット7が螺合するネジ山611aを形成している。
【0052】
さらに、ボルト本体61には、
図2から
図4に示すように、配管3と対向する対向面側に滑り部材62が嵌合する嵌合溝部613を、一方のボルト脚部611からボルト湾曲部612を介して他方のボルト脚部611に至る範囲に凹設している。
【0053】
より詳しくは、嵌合溝部613は、架台2とで挟持された状態の配管3と滑り部材62との隙間よりも長い深さで凹設している。
滑り部材62は、
図2及び
図4(a)に示すように、ボルト本体61の嵌合溝部613に沿って嵌合可能な長さと、嵌合溝部613から露出可能な肉厚とを有する略四角柱状体に形成している。
【0054】
この滑り部材62は、自己潤滑性、及び可撓性と、配管3と対向する低摩擦係数の平滑面(図示省略)とを有する柱状部材であって、例えば、圧縮強度の高い充填剤入りPTFE材で構成している。
【0055】
さらに、滑り部材62の端面62aは、
図3及び
図4(b)に示すように、嵌合溝部613に嵌合した状態において、保持体63の上端面と当接可能に形成している。より詳しくは、幅方向Yに沿った断面において、滑り部材62の端面62aは、幅方向Yに内側における縁端から下方かつ、ボルト脚部611の中心へ向けて傾斜した傾斜端面に形成している。
【0056】
換言すると、滑り部材62の端面62aは、幅方向Yに内側における縁端に対して、幅方向Yの外側における縁端が、下方側に位置するように傾斜した傾斜端面で構成している。
【0057】
保持体63は、
図1乃至
図3に示すように、ボルト本体61のボルト脚部611に挿通するとともに、滑り部材62の端面と当接するスリーブ631と、スリーブ631の下方からボルト本体61に螺合するとともに、その下面がプレート本体51の上面51bと当接する位置決めナット632とで構成している。
【0058】
スリーブ631は、
図1乃至
図3に示すように、上下方向に開口を有する略円筒状であって、合成樹脂、SS材、あるいはSUS材で構成している。
より詳しくは、スリーブ631の外径は、
図3に示すように、幅方向Yに沿った断面において、上下方向に沿ったボルト脚部611の中心軸から、滑り部材62における配管3と対向する面までの幅方向Yの長さを半径とする大きさで形成している。
【0059】
一方、スリーブ631の内径は、ボルト脚部611の外径よりも僅かに大きい大きさで形成している。
さらに、スリーブ631における上端面631aは、
図3及び
図5に示すように、滑り部材62の端面62aと上下方向で当接可能に形成している。詳述すると、スリーブ631の上端面631aは、外周縁に対して内周縁が下方に位置するすり鉢状に傾斜した傾斜端面で構成している。
【0060】
このスリーブ631における上下方向の長さは、
図2に示すように、位置決めナット632の下面からボルト湾曲部612における滑り部材62までの内底高さHが、位置決めナット632を螺着した状態において所望される高さとなる上下方向の長さで形成している。なお、所望する高さとしては、例えば、台座プレート5のプレート本体51から配管3の上端までの高さに約1mm加算した高さとする。
【0061】
位置決めナット632は、上面がスリーブ631の下面と当接し、下面がプレート本体51の上面51bと当接する平面視略六角形状のナット部材であって、その内部をUボルト6のネジ山611aと螺合可能に形成している。
【0062】
次に、上述したボルト本体61に対して、滑り部材62、及び保持体63を組付ける工程について、詳しく説明する。
まず、滑り部材62を、その弾性に抗して略U字状に湾曲させながら、ボルト本体61の嵌合溝部613に嵌合させる。
【0063】
この際、滑り部材62は、幅方向Yに沿った断面において、端面62aにおける幅方向Yに内側の縁端に対して、端面62aにおける幅方向Yの外側の縁端が、下方側に位置するようにして嵌合溝部613に嵌合する。
【0064】
その後、ボルト本体61のボルト脚部611に対して、スリーブ631を挿通するとともに、ボルト脚部611のネジ山611aに位置決めナット632を螺合する。そして、スリーブ631の上端面631aが滑り部材62の端面62aに当接するまで、位置決めナット632を締め付ける。
【0065】
このようにして、ボルト本体61に対して、滑り部材62、及び保持体63を組付けてUボルト6を構成する。このように組み付けられたUボルトは、位置決めナット632の下面からボルト湾曲部612における滑り部材62までの内底高さHが、所望する高さとなっている。
【0066】
引き続き、上述した構成の締結構造体4を用いて、架台2配管3を固定する工程について、説明する。
まず、台座プレート5のボルト挿通孔51aと架台2の貫通孔2bとが連通するように、台座プレート5を架台2の上面2aに載置したのち、台座プレート5のスライドシート52に配管3を載置する。
【0067】
その後、台座プレート5のボルト挿通孔51a、及び架台2の貫通孔2bに、Uボルト6のボルト脚部611を挿通する。そして、架台2の下方から締結ナット7を、Uボルト6のネジ山611aに螺合するとともに、所定の締付けトルクで締め付けて架台2に配管3を固定する。
【0068】
この際、内底高さHが所望する高さであるUボルト6によって、例えば、Uボルト6のボルト湾曲部612における滑り部材62と配管3との間に、約1mmの隙間が確保された状態で、配管3が架台2に固定される。
【0069】
以上のような構成のUボルト6は、滑り部材62を安定して保持するとともに、熱収縮による滑り部材62の脱落を防止することができる。
具体的には、合成樹脂製の滑り部材62が略U字状に湾曲した状態で、ボルト本体61の嵌合溝部613に嵌合するため、滑り部材62には、ボルト湾曲部612の径方向外側への弾性力が生じることになる。
【0070】
この滑り部材62の弾性力は、滑り部材62におけるボルト本体61のボルト湾曲部612に嵌合している部分、及び滑り部材62におけるボルト本体61のボルト脚部611に嵌合している部分に対して、それぞれ作用することができる。
【0071】
さらに、滑り部材62の端面62aにスリーブ631の上端面631aが当接しているため、保持体63は、下方への滑り部材62の移動を規制することができる。これにより、Uボルト6は、滑り部材62の弾性力と保持体63とによって滑り部材62の移動を規制でき、ボルト本体61の嵌合溝部613に滑り部材62が嵌合した嵌合状態を安定して維持することができる。
【0072】
このため、Uボルト6は、例えば、金属製のボルト本体61を加締めて滑り部材62を固定することを不要にでき、加締めによるボルト本体61の傷付き部分の腐食を防止することができる。
【0073】
加えて、滑り部材62と当接する位置まで保持体63が螺合するため、Uボルト6は、螺合に伴う保持体63の移動を滑り部材62によって規制することができる。このため、Uボルト6は、ボルト本体61に対する保持体63の位置を容易に安定させることができる。つまり、Uボルト6は、滑り部材62の保持と、ボルト本体61に対する保持体63の位置決めとを略同時に行うことができる。
【0074】
さらに、架台2に配管3を固定した際、保持体63の位置決めナット632の下面がプレート本体51の上面51bに当接するため、Uボルト6は、架台2の上面2aに対するボルト本体61の位置を、滑り部材62、及び保持体63によって決定することができる。換言すると、滑り部材62、及び保持体63は、架台2の上面2aに対するボルト本体61の位置を決定する位置決め手段として機能することができる。
【0075】
これにより、Uボルト6は、架台2に配管3を固定する際、配管3と滑り部材62との間隔を、所望する間隔にして配管3を容易に固定することができる。あるいは、Uボルト6は、配管3を所望する一定荷重で押圧することができる。
【0076】
そして、架台2に配管3を固定した状態において、滑り部材62は、滑り部材62におけるボルト本体61のボルト湾曲部612に嵌合している部分が、ボルト本体61のボルト湾曲部612と配管3とで挟持され、滑り部材62の端部近傍が、保持体63によって保持されることになる。
【0077】
このため、例えば、金属製のボルト本体61、及び滑り部材62が熱収縮した際、Uボルト6は、少なくとも下方への滑り部材62の移動を規制することができ、ボルト本体61の嵌合溝部613から滑り部材62が脱落することを防止できる。
【0078】
従って、Uボルト6は、滑り部材62の端部を保持するとともに、プレート本体51の上面51b、及び滑り部材62に当接する保持体63によって、滑り部材62を安定して保持するとともに、熱収縮による滑り部材62の脱落を防止することができる。
【0079】
また、スリーブ631の上端面631aを傾斜端面で構成し、滑り部材62の端面62aをスリーブ631の上端面631aに当接可能に傾斜した傾斜端面で構成したことにより、Uボルト6は、熱収縮による滑り部材62の脱落をより確実に防止できるとともに、架台2に配管3を固定した際、配管3と保持体63との干渉を防止することができる。
【0080】
具体的には、スリーブ631の上端面631aを傾斜端面で構成し、滑り部材62の端面62aをスリーブ631の上端面631aに当接する傾斜端面で構成したことにより、保持体63のスリーブ631の上端面631aは、嵌合溝部613の底部分とで挟持するように、滑り部材62の端面62aを保持することができる。
【0081】
これにより、保持体63は、下方への滑り部材62の移動と、幅方向Yへの滑り部材62の移動とを規制することができる。このため、Uボルト6は、滑り部材62におけるボルト本体61のボルト脚部611に嵌合している部分が、嵌合溝部613から脱落することをより確実に防止することができる。
【0082】
さらに、例えば、ボルト本体61に螺着した状態において、滑り部材62を押圧する構成とした場合、下方への滑り部材62の移動と、幅方向Yへの滑り部材62の移動とをより確実に規制することができる。
【0083】
そして、例えば、略円筒状の保持体において、幅方向Yに沿った滑り部材62の移動を保持体の内周面で規制し、下方に沿った滑り部材62の移動を保持体63の内周面を縮径して形成した底面で規制した場合、保持体の外径が大きくなり易い。このため、架台2に配管3を固定した際、配管3と保持体とが干渉するおそれがある。
【0084】
これに対して、スリーブ631の上端面631aを傾斜端面で構成したことにより、Uボルト6は、幅方向Yに沿った断面において、滑り部材62の外面と連続する外径で保持体63を容易に形成でき、保持体63の外径が大きくなることを抑制することができる。このため、架台2に配管3を固定した際、Uボルト6は、配管3と保持体63とが干渉することを防止できる。
【0085】
従って、Uボルト6は、スリーブ631の上端面631aを傾斜端面で構成し、滑り部材62の端面をスリーブ631の上端面631aに当接する傾斜端面で構成したことにより、熱収縮による滑り部材62の脱落をより確実に防止できるとともに、架台2に配管3を固定した際、配管3と保持体63との干渉を防止することができる。
【0086】
また、ボルト本体61のボルト脚部611に挿入される略筒状のスリーブ631と、ボルト本体61のボルト脚部611に螺着する位置決めナット632とで保持体63を構成したことにより、Uボルト6は、架台2に配管3を固定する際の組付け作業性の向上を図ることができる。
【0087】
具体的には、スリーブ631と位置決めナット632とで保持体63を構成したことにより、Uボルト6は、上下方向の長さが異なるスリーブ631と位置決めナット632との組み合わせによって、上下方向に沿った保持体63の長さを容易に異ならせることができる。
【0088】
これにより、例えば、ボルト本体61に対する滑り部材62の位置ズレによって、スリーブ631と滑り部材62とが当接しない場合、Uボルト6は、長さが異なるスリーブ631に交換するだけで、滑り部材62とスリーブ631とを容易に、かつ確実に当接させることができる。
【0089】
さらに、Uボルト6は、架台2の上面2aと、これに対向する滑り部材62との間隔を、長さが異なるスリーブ631に交換するだけで、所望する間隔に容易に調整することができる。
【0090】
これにより、架台2の上面2aと、これに対向する滑り部材62との間隔を、ナットの螺合位置によって調整する場合に比べて、Uボルト6は、長さの異なるスリーブ631に交換するだけで、架台2と滑り部材62との間隔を容易に調整することができる。
【0091】
このため、Uボルト6は、架台2に配管3を固定する際の組付け作業性を向上できるとともに、ボルト本体61が配管3を過剰に押圧することを確実に防止できる。
従って、Uボルト6は、スリーブ631と、位置決めナット632とで保持体63を構成したことにより、架台2に配管3を固定する際の組付け作業性の向上を図ることができる。
【0092】
また、金属製のボルト本体61と、滑り部材62と、保持体63とで構成したことにより、Uボルト6は、耐食性を損なうことなく、熱収縮による滑り部材62の脱落を防止することができるとともに、機械的強度に優れたボルト本体61で配管3を固定できることができる。
【実施例2】
【0093】
上述の実施例1に対して、滑り部材、及び保持体が異なる実施形態について、
図6を用いて詳しく説明する。
なお、
図6は実施例2における締結構造体4の要部の説明図を示し、
図6(a)実施例2における締結構造体4の要部の要部拡大断面図を示し、
図6(b)は一部を破断した保持体65の一部破断斜視図を示している。
また、上述した実施例1と同じ構成は、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0094】
滑り部材64は、実施例1の滑り部材62に対して、その端面の形状が異なる。より詳しくは、滑り部材64の端面64aは、
図6(a)に示すように、幅方向Yに沿った断面において、幅方向Yの内側における縁端の上下方向の位置と、幅方向Yの外側における縁端の上下方向の位置とが略同位置の、幅方向Yに沿った略平面に形成している。
【0095】
また、保持体65は、実施例1の保持体63に対して、滑り部材64を保持する部分と、Uボルト6に螺合する部分とが一体形成されている点が異なる。さらに、保持体65は、実施例1の保持体63に対して、滑り部材64を保持する保持構造が異なる。
【0096】
より詳しくは、保持体65は、
図6(a)及び
図6(b)に示すように、上下方向が開口した略円筒状であって、滑り部材64の端部近傍を保持する保持部651と、Uボルト6のネジ山611aに螺合する螺合部652とを、上方からこの順番で一体形成している。
【0097】
保持部651は、滑り部材64の端部近傍、及びボルト本体61を一体的に囲繞する上部と、ボルト本体61のネジ山611aを囲繞する下部とを、上方からのこの順番で一体形成している。なお、保持部651の外周面は、ボルト本体61及び滑り部材64の端部近傍を一体的に囲繞可能な大きさの外径で形成している。
【0098】
保持部651の上部における内周面は、幅方向Yに沿った断面において、ボルト脚部611の中心軸から滑り部材64における配管3と対向する面までの幅方向Yの長さを半径とする大きさで形成している。
【0099】
なお、保持部651の上部において、滑り部材64における配管3と対向する面と、幅方向Yで当接する周面を側方当接面651aとし、滑り部材64の端面と上下方向で当接する面を下方当接面651bとする。
保持部651の下部における内周面は、ボルト脚部611の直径と略同径の内径で形成している。
【0100】
つまり、保持部651は、Uボルト6のボルト脚部611が挿通可能な内径で形成した筒状体における滑り部材64と対向する部分を、ボルト脚部611の中心軸から滑り部材64の外面までの長さと略同等の半径で拡径した形状に形成している。
【0101】
螺合部652は、保持部651よりも大径のナット形状であって、保持部651の内部と連通するとともに、Uボルト6のネジ山611aに螺合可能なネジ孔652aを内部に有する形状に形成している。この螺合部652の下面が、プレート本体51の上面51bと当接する。
【0102】
そして、螺合部652の下面から下方当接面651bまでの上下方向の長さは、螺合部652の下面からボルト湾曲部612における滑り部材64までの内底高さHが、所望される高さとなる上下方向の長さで形成している。
【0103】
以上のような構成のUボルト6は、上述した実施例1と同様に、滑り部材64を安定して保持するとともに、熱収縮による滑り部材64の脱落を防止することができる。
【0104】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の支持部材は、実施形態の架台2、及び台座プレート5に対応し、
以下同様に、
支持部材における一方の面は、プレート本体51の上面51bに対応し、
配管固定構造体は、Uボルト6に対応し、
湾曲部は、ボルト湾曲部612に対応し、
一対の脚部は、一対のボルト脚部611に対応し、
U字状部材は、ボルト本体61に対応し、
保持手段は、保持体63、及び保持体65に対応し、
支持部材側当接面は、位置決めナット632の下面、及び保持体65の螺合部652における下面に対応し、
滑り部材側当接面は、スリーブ631の上端面631a、及び保持体65の下方当接面651bに対応し、
螺合部材は、位置決めナット632に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0105】
例えば、上述した実施例1及び実施例2において、滑り部材62,64をPTFE材で形成したが、これに限定せず、自己潤滑性、及び可撓性を有するとともに、低摩擦係数の平滑面を構成可能な材料であれば、適宜の合成樹脂で滑り部材を形成してもよい。
【0106】
また、平面視略矩形のプレート本体51としたが、これに限定せず、平面視略長楕円形、あるいは平面視略円形のプレート本体としてもよい。もしくは、プレート本体51を不要にしてもよい。
また、平面視略矩形のスライドシート52としたが、これに限定せず、平面視略長楕円形、あるいは平面視略円形のスライドシートとしてもよい。
【0107】
また、ボルト本体61の嵌合溝部613に滑り部材62が嵌合した構成のUボルト6としたが、これに限定せず、嵌合溝部613に滑り部材62が嵌合した状態において、ボルト本体61を加締めて滑り部材62を保持してもよい。これにより、Uボルト6は、嵌合溝部613から滑り部材62が脱落することをより確実に防止できる。
【0108】
また、台座プレート5と保持体63との間に角座金や平座金を配置し、架台2と締結ナット7との間に平座金やバネ座金を配置してもよい。あるいは、座金にかえて絶縁性を有する絶縁座金とするとともに、架台2の貫通孔2b、及び台座プレート5のボルト挿通孔51aに絶縁性を有する絶縁スリーブを挿入して、絶縁性を向上させてもよい。
【0109】
また、別の配管締結構造100における正面図を示す
図7のように、上述した実施形態における締結構造体4のUボルト6にかえて、締結ボルト8が螺合するネジ孔911aを有するU字状部材9としてもよい。
【0110】
より詳しくは、U字状部材9は、
図7に示すように、下方側が開口した略U字状の部材本体91と、部材本体91の内面に装着した滑り部材62と、部材本体91に螺着するとともに、部材本体91とで滑り部材62の端部近傍を保持する保持体63とで構成している。
【0111】
部材本体91は、配管3の外径より僅かに大きい幅方向Yの間隔を隔てて上下方向に延びる2つの脚部911と、2つの脚部911における上端間を配管3の外周面に沿って橋架するように略半円状に湾曲した湾曲部912とで略U字状に形成している。
【0112】
この部材本体91の脚部911には、
図7に示すように、その外周面に保持体63の位置決めナット632が螺合するネジ山(図示省略)を形成するとともに、下方から締結ボルト8の螺合を許容するネジ孔911aを軸方向に沿って形成している。
【0113】
なお、部材本体91には、配管3と対向する対向面側に滑り部材62が嵌合する嵌合溝部913を、一方の脚部911から湾曲部912を介して他方の脚部911に至る範囲に凹設している。
【0114】
このような部材本体91に滑り部材62を嵌合するとともに、部材本体91に螺着した保持体63で滑り部材62を保持して、U字状部材9を構成する。
【0115】
そして、配管3を配置した台座プレート5に対して、角座金10、及びU字状部材9を載置し、架台2の下方から、平座金11、及びバネ座金12を介して、締結ボルト8をU字状部材9のネジ孔911aに螺合して、配管3を固定する。
【0116】
上述したようなU字状部材9であっても、上述した実施形態と同様に、滑り部材62を安定して保持するとともに、熱収縮による滑り部材62の脱落を防止することができる。