特許第6564784号(P6564784)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6564784ターボシャフトエンジン、そのようなターボシャフトエンジンを備える双発ヘリコプタ、および、そのような双発ヘリコプタの無負荷の超アイドル速度を最適化するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6564784
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】ターボシャフトエンジン、そのようなターボシャフトエンジンを備える双発ヘリコプタ、および、そのような双発ヘリコプタの無負荷の超アイドル速度を最適化するための方法
(51)【国際特許分類】
   F02C 3/107 20060101AFI20190808BHJP
   F02C 7/275 20060101ALI20190808BHJP
   F02C 7/32 20060101ALI20190808BHJP
   B64C 27/04 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   F02C3/107
   F02C7/275
   F02C7/32
   B64C27/04
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-558369(P2016-558369)
(86)(22)【出願日】2015年3月20日
(65)【公表番号】特表2017-520705(P2017-520705A)
(43)【公表日】2017年7月27日
(86)【国際出願番号】FR2015050699
(87)【国際公開番号】WO2015145043
(87)【国際公開日】20151001
【審査請求日】2018年3月7日
(31)【優先権主張番号】1452645
(32)【優先日】2014年3月27日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516235451
【氏名又は名称】サフラン・ヘリコプター・エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルコニ,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ティリエ,ロマン
(72)【発明者】
【氏名】ベドリーヌ,オリビエ
【審査官】 小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04064690(US,A)
【文献】 特表2011−515619(JP,A)
【文献】 米国特許第03237404(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64B 1/00− 1/70
B64C 1/00−99/00
B64D 1/00−47/08
B64F 1/00− 5/60
B64G 1/00−99/00
F02C 1/00− 9/58
F23R 3/00− 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転されることが可能なガス発生器(5)と、前記ガス発生器(5)のガスによって回転されるフリータービン(6)とを備えるターボシャフトエンジンであって、前記ガス発生器(5)および前記フリータービン(6)を自発的に機械的に結合させるための装置(20)であり、前記ガス発生器と共に減速比K1を有する第1シャフト(22)と、フリータービン(6)と共に減速比K2を有する第2シャフト(23)とを結合させる少なくとも1つのフリーホイール(21)を備える装置(20)を備え、前記フリータービンの回転速度(NTL)に対する前記ガス発生器(5)の回転速度(NGG)の比が比K2/K1より小さくなるとすぐに、前記第1シャフト、前記第2シャフトおよび前記フリーホイール(21)によって、前記フリータービン(6)が前記ガス発生器(5)を自発的に駆動するように、前記フリーホイール(21)が構成されていることを特徴とする、ターボシャフトエンジン。
【請求項2】
前記自発的に機械的に結合させる装置(20)は、速度の比が比K2/K1より小さくなるとすぐに、前記ガス発生器(5)および前記フリータービン(6)を機械的にかつ自発的に結合させることができ、速度の前記比が比K2/K1よりも大きくなるとすぐに前記ガス発生器(5)および前記フリータービン(6)を自発的に分離させることができることを特徴とする、請求項1に記載のターボシャフトエンジン。
【請求項3】
中間シャフト(25)に堅く連結された始動発電機(30)を備え、前記結合装置(20)は、2つのフリーホイール(24、26)であって、前記ガス発生器(5)と共に減速比K1を有する前記第1シャフト(22)と、前記第2シャフト(23)とにそれぞれ前記中間シャフト(25)を連結し、第2シャフトはフリータービン(6)と共に減速比K2を有する、2つのフリーホイール(24、26)を備え、速度の前記比(NGG/NTL)が比K2/K1よりも小さいときに、前記第1シャフト、前記第2シャフト、前記中間シャフトおよび前記2つのフリーホイールによって前記フリータービン(6)が前記ガス発生器(5)を自発的に駆動するように、前記ホイール(24、26)が構成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のターボシャフトエンジン。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の少なくとも1つのターボシャフトエンジンを備えることを特徴とする、双発ヘリコプタ。
【請求項5】
回転されることが可能なガス発生器(5)と、前記ガス発生器(5)のガスによって回転されるフリータービン(6)とを備える少なくとも1つのターボシャフトエンジンを備える双発ヘリコプタの無負荷の超アイドルモードを最適化するための方法であって、フリーホイール(21)によって、前記ガス発生器(5)と共に減速比K1を有する第1シャフト(22)と、前記フリータービン(6)と共に減速比K2を有する第2シャフト(23)とを連結することによって、前記ガス発生器(5)および前記フリータービン(6)を自発的に機械的に結合させるステップを備え、速度の比(NGG/NTL)が比K2/K1よりも小さいときに前記フリータービン(6)が前記ガス発生器(5)を自発的に駆動するように、前記フリーホイール(21)が構成されていることを特徴とする方法。
【請求項6】
前記機械的結合が、2つのフリーホイール(24、26)によって、始動発電機(30)に堅く連結された中間シャフト(25)を、前記ガス発生器(5)と共に減速比K1を有する前記第1シャフト(22)と、フリータービン(6)と共に減速比K2を有する前記第2シャフト(23)とにそれぞれ連結することによって達成されており、速度の前記比(NGG/NTL)が比K2/K1よりも小さいときに前記フリータービン(6)が前記ガス発生器(5)を自発的に駆動するように、前記ホイール(24、26)が構成されていることを特徴とする、請求項5に記載の最適化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターボシャフトエンジンであって、双発ヘリコプタが備えることを意図しているターボシャフトエンジンに関する。また、本発明は、この種の双発ヘリコプタの無負荷の超アイドルモードを最適化するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘリコプタは、一般に、ヘリコプタの飛行条件に応じた速度で動作する少なくとも2つのターボシャフトエンジンを備えている。以下の本文を通じて、ヘリコプタは、通常状態で進行しているとき、離陸、上昇、着陸またはホバリング飛行の移行段階から離れた飛行のすべての段階の間、巡航飛行状況にあると言われる。以下の本文を通じて、ヘリコプタは、搭載されている全動力をそのヘリコプタのために使用可能にすることが必要となるとき、すなわち、離陸、上昇、着陸の移行段階、かつ、略称OEI(1つのエンジンの作動不能)と呼ばれる1つのターボシャフトエンジンが誤動作しているモードの間、危機的飛行状況にあると言われる。
【0003】
ヘリコプタが巡航飛行状態にあるとき、ターボシャフトエンジンは、それらの最大連続動力(以下、MCT)よりも低い低動力レベルで動作することが知られている。いくつかの構成(例えば、最大速度より小さい前進速度であって、ヘリコプタが最大質量で飛んでいない前進速度)では、巡航飛行中のターボシャフトエンジンによって提供される動力は、最大離陸動力(以下、MTO)の50%より小さくしうる。これらの低動力レベルは、消費率(以下、SC)をもたらす。消費率は、ターボシャフトエンジンの燃焼室による毎時の燃料消費量と、前記ターボシャフトエンジンによって供給される機械的動力との間の関係として定義され、MTOのSCよりも約30%よりも大きい。したがって、低動力レベルは、巡航飛行中に燃料の過剰消費をもたらす。
【0004】
最後に、地面での保持段階中に、パイロットは、一般的に、それらを再起動することが確実となるように、様々なターボシャフトエンジンを地上のアイドリング状態に置くことを、一般的に好む。このように、ターボシャフトエンジンは、動力を供給していないにも関わらず、燃料を消費し続ける。
【0005】
同時に、航空機製造業者により指定された全飛行範囲にわたる飛行、特に、高高度かつ暑い天候中での飛行を確実にすることができるように、ターボシャフトエンジンも大型化されている。これらの飛行ポイントであって、特に、ヘリコプタがその最大離陸質量に近い質量を持っているときに非常に制限される飛行ポイントは、いくつかのヘリコプタの特定の使用例においてのみ見られる。結果として、このような動力を与えることができるように大きさが決められるにも拘わらず、いくつかのターボシャフトエンジンは、このような条件で飛ぶことはない。
【0006】
これらの大型化されたターボシャフトエンジンは、質量および燃料消費の点において不利である。巡航飛行中または地上での保持中のこの消費量を低減するために、ターボシャフトエンジンの1つを停止し、かつ、スタンバイモードと呼ばれるモードに置くことが、可能である。そのとき、動作している1つまたは複数のエンジンは、すべての必要な動力を提供するためにより高い動力レベルで、したがってより良好なSCレベルで、動作する。しかしながら、この実践は、現在の認証ルールに反しており、ターボシャフトエンジンは、安全規格と互換性のある再起動の信頼性のレベルを確保するように設計されていない。同様に、パイロットは、ターボシャフトエンジンを飛行中のスタンバイモードに置くというアイデアに現在気がついていないかまたは精通していない。
【0007】
知られているように、ヘリコプタのターボシャフトエンジンは、ガス発生器と、動力を供給するためにガス発生器によって駆動されるフリータービンと、を備える。ガス発生器は、従来、圧縮空気で燃料を燃焼させるための燃焼室に連結された空気圧縮機から構成されている。この燃焼室は、部分的にガスを膨張させるためにタービンに高温ガスを供給する。このタービンは、駆動シャフトによって圧縮機を回転させる。その後、ガスは、動力伝達フリータービンを駆動する。フリータービンは、ギアボックスによってヘリコプタのロータに動力を伝達する。
【0008】
仏国特許出願第1151717号および仏国特許出願第1359766号において、出願人は、少なくとも1つのターボシャフトエンジンを連続的な飛行モードと呼ばれる安定した飛行モードに置き、かつ、少なくとも1つのターボシャフトエンジンを、必要に応じて、緊急時にまたは通常のやり方で離脱することができる特定のスタンバイモードに置く可能性により、ヘリコプタのターボシャフトエンジンの消費率を最適化するための方法を提案した。飛行状況の変化が、例えば、ヘリコプタが、巡航飛行状況から着陸段階に移行しようとしているときに、スタンバイにあるターボシャフトエンジンが始動されることを必要とするときに、スタンバイモードからの移行は、「通常」と呼ばれる。この種のスタンバイモードからの通常の移行は、10秒から1分の間の期間にわたって起こる。動作しているエンジンの故障または動力不足があるとき、または、飛行状態が急激に困難になるときには、スタンバイモードからの移行は、「緊急」と呼ばれている。この種のスタンバイモードからの緊急移行は、10秒より小さな期間にわたって起こる。
【0009】
出願人は、特に次の2つのスタンバイモード、
通常超アイドルと呼ばれるスタンバイモードであって、燃焼室が点火され、ガス発生器のシャフトが、公称速度の20から60%の速度で回転するスタンバイモードと、
支援超アイドルと呼ばれるスタンバイモードであって、燃焼室が点火され、ガス発生器のシャフトが公称速度の20から60%の速度で、機械的な支援を受けて回転するスタンバイモードと、を提案している。
【0010】
通常超アイドルモードの欠点は、動作温度であり、この動作温度はより低いアイドリングに到達することが試みられると、ますます高くなる。
【0011】
支援超アイドルモードは、動作温度のこの問題を解決することができる。しかしながら、これは、電気駆動装置または空気圧駆動装置と対応する連結器の使用を必要とする。
【0012】
加えて、技術的な課題が、現在、機械的に支援されていないが、ターボシャフトエンジンの温度によって制限されない超アイドルモードを達成することについて生じている。したがって、この技術的課題が、この種の改良された超アイドルモードを提供することができるターボシャフトエンジンを提供することで、対処されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】仏国特許出願第1151717号
【特許文献2】仏国特許出願第1359766号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、超アイドルモードを有しうるターボシャフトエンジンであって、超アイドルモードにおいて、燃焼室が点火され、ガス発生器のシャフトが公称速度の20から60%の速度で回転し、ターボシャフトエンジンの動作温度による影響を受けることなく、外部駆動装置により機械的に支援されることなく、ターボシャフトエンジンを提供することを目的とする。
【0015】
したがって、本発明は、新しい超アイドルモードを有しうるターボシャフトエンジンを提供することを目的とする。
【0016】
本発明は、また、本発明に係る少なくとも1つのターボシャフトエンジンを備える双発ヘリコプタを提供することを目的とする。
【0017】
本発明は、また、本発明に係る少なくとも1つのターボシャフトエンジンを備える本発明に係る双発ヘリコプタの無負荷の超アイドルモードを最適化するための方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
このことを達成するために、本発明は、回転されることが可能なガス発生器と、前記ガス発生器のガスによって回転されるフリータービンとを備えるターボシャフトエンジンであって、前記ガス発生器および前記フリータービンを自発的に機械的に結合させるための装置であって、前記ガス発生器と共に減速比K1を有する第1シャフトと、フリータービンと共に減速比K2を有する第2シャフトとを結合させる少なくとも1つのフリーホイールを備える装置を備え、前記フリータービンの回転速度に対する前記ガス発生器の回転速度の比が比K2/K1よりも小さくなるとすぐに、前記シャフトおよび前記フリーホイールによって、前記フリータービンが前記ガス発生器を自発的に駆動するように、前記フリーホイールが構成されている、ターボシャフトエンジンに関する。
【0019】
このように、本発明に係るターボシャフトエンジンは、所定の条件が達成されたときに、フリータービンを駆動するようにガス発生器を強制できる。換言すれば、ガス発生器およびフリータービンを自発的に機械的に結合させるための装置を備える本発明に係るターボシャフトエンジンは、外部支援および/または制御装置なしで、フリータービンと呼ばれる構成から、連結されたタービンと呼ばれる構成に、ターボシャフトエンジンを自動的に切り替えることを可能にする。
【0020】
このように、本発明に係るターボシャフトエンジンは、フリータービンがガス発生器を駆動する超アイドルモードに置かれうる。超アイドルモードは、ターボシャフトエンジンの高温部の温度を低減し、かつ、燃料消費を低減することを可能にする。
【0021】
その上、アイドリングに近い連結されたタービンの動作は、過渡性能、特にロータの回転数が低下した場合の急激な縦揺れの間の過渡性能を、向上させる。これは、そのときガス発生器がフリータービンモードにおける無負荷で必要な速度よりも大きな速度で回転するためである。このように、エンジンは、フリータービンにおいて結果として生じる動力であって、フリータービンターボシャフトエンジンがこの速度で有するであろう値に対応する結果として生じる動力を、非常に急速に生成し、ガスタービンが加速を開始する前でさえ、急速に加速限界に達することから生じる追加の動力を加える。
【0022】
本文を通じて、用語「シャフト」は、回転されることおよびトルクを伝達することが可能な手段を指している。したがって、「シャフト」は、長手方向に伸びるシャフトでありうるし、単にピニオンギアでもありうる。
【0023】
フリータービンの回転速度に対するガス発生器の回転速度の比が比K2/K1より大きいときに、ターボシャフトエンジンはフリータービン構成にあり、ガス発生器およびフリータービンが機械的に連結されないように、減速比K1およびK2が選択されている。フリータービンの回転速度に対するガス発生器の回転速度の比が比K2/K1を下回るとすぐに、フリータービンがガス発生器を回転させ、かつ、ターボシャフトエンジンが、連結されたタービン構成に切り替える。
【0024】
有利なことに、本発明によれば、前記自発的に機械的に結合させる装置は、速度の比が比K2/K1よりも小さいときに前記ガス発生器および前記フリータービンを機械的に自発的に結合させることができ、速度の前記比が比K2/K1よりも大きくなるとすぐに前記ガス発生器および前記フリータービンを自発的に分離することができる。
【0025】
有利なことに、本発明によれば、ターボシャフトエンジンは、中間シャフトに堅く連結された始動発電機を備え、前記結合装置は、2つのフリーホイールであって、前記中間シャフトを、前記ガス発生器と共に減速比K1を有する前記第1シャフトと、フリータービンと共に減速比K2を有する前記第2シャフトとにそれぞれ連結し、速度の比が比K2/K1よりも小さくなるとすぐに前記シャフトおよび前記フリーホイールによって前記フリータービンが前記ガス発生器を自発的に駆動するように、前記ホイールが構成されている。
【0026】
本発明は、また、本発明に係る少なくとも1つのターボシャフトエンジンを備える双発ヘリコプタに関する。
【0027】
本発明は、また、回転されることが可能なガス発生器と、前記ガス発生器のガスによって回転されるフリータービンとを備える少なくとも1つのターボシャフトエンジンを備える双発ヘリコプタの無負荷の超アイドルモードを最適化するための方法であって、フリーホイールによって、前記ガス発生器と共に減速比K1を有する第1シャフトと、前記フリータービンと共に減速比K2を有する第2シャフトとを連結することによって、前記ガス発生器および前記フリータービンを自発的に機械的に結合させるステップを備え、速度の比が比K2/K1よりも小さくなるとすぐに前記フリータービンが前記ガス発生器を自発的に駆動させるように、前記フリーホイールが構成されている方法に関する。
【0028】
有利なことに、本発明によれば、機械的結合は、フリーホイールによって、前記ガス発生器と共に減速比K1を有する第1シャフトと、フリータービンと共に減速比K2を有する第2シャフトとを連結することによって達成され、速度の前記比が比K2/K1よりも小さくなるとすぐに前記フリータービンが自発的に前記ガス発生器を駆動するように、前記フリーホイールが構成されている。
【0029】
有利なことに、本発明によれば、機械的結合は、2つのフリーホイールによって、始動発電機に堅く連結された中間シャフトを、前記ガス発生器と共に減速比K1を有する前記第1シャフトと、フリータービンと共に減速比K2を有する前記第2シャフトとにそれぞれ連結することによって達成され、速度の前記比が比K2/K1よりも小さくなるとすぐに前記フリータービンが前記ガス発生器を自発的に駆動するように、前記ホイールが構成されている。
【0030】
本発明は、また、ターボシャフトエンジンと、ヘリコプタと、無負荷の超アイドルモードを最適化するための方法と、に関し、上述したまたは以下に述べる特徴の全部または一部によって組み合わせられることを特徴とする方法に関する。
【0031】
本発明の他の目的、特徴および利点は、以下の説明を読むことにより明らかになるであろう。以下の説明は、純粋に非限定的な例として与えられ、添付の図面に関する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係るターボシャフトエンジンの概略図である。
図2図2は、本発明の第2実施形態に係るターボシャフトエンジンの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図面に示されるように、本発明に係るターボシャフトエンジンは、ガス発生器5と、ガス発生器5によって駆動されるフリータービン6と、を備える。周知のように、ガス発生器5は、圧縮空気中で燃料を燃焼させるための燃焼室8に連結されかつ高温ガスを供給する少なくとも1つの空気圧縮機7と、部分的にガスを膨張させる少なくとも1つのタービン9とを備え、タービンは、駆動シャフト10によって圧縮機7を回転させる。ガスは、その後、動力伝達フリータービン6を駆動する。このフリータービン6は、フリーホイール12によって(図面に示されない)動力伝達ギアボックスに連結された動力伝達シャフト11を備える。このフリーホイール12は、ターボシャフトエンジンの機械的なロックが、動力伝達ギアボックスの機械的ロックと、拡張によって前記ターボシャフトエンジンが搭載されたヘリコプタのロータの機械的ロックとを引き起こすことを、防止できる。
【0034】
さらに、本発明に係るターボシャフトエンジンは、ガス発生器5およびフリータービン6を機械的に結合させるための装置20を備え、この装置は、フリータービン6のシャフト11の回転速度の比に対するガス発生器5のシャフト10の回転速度の比が所定のしきい値よりも小さくなるとすぐに、ガス発生器5およびフリータービン6を機械的にかつ自発的に結合させることができ、かつ、比がこの所定のしきい値を上回るとすぐにガス発生器5およびフリータービン6を自発的に分離させることができる。
【0035】
第1実施形態によれば、図1に示されるように、前記結合装置20は、ガス発生器5のシャフト10に機械的に連結されたシャフト22を備える。前記シャフト22および10は、それらの間に、K1の減速比を有する。
【0036】
結合装置20は、さらに、フリータービン6のシャフト11に機械的に連結されたシャフト23を備える。前記シャフト23および11は、それらの間に、K2の減速比を有する。
【0037】
結合装置20は、さらに、シャフト22および23の間に連結されたフリーホイール21を備える。
【0038】
したがって、シャフト22の回転速度は、K1.NGGに等しい。ここで、NGGは、ガス発生器5のシャフト10の回転速度である。
【0039】
シャフト23の回転速度は、K2.NTLに等しい。ここで、NTLは、フリータービン6のシャフト11の回転速度である。
【0040】
フリーホイール21は、シャフト23が前記フリーホイール21によってシャフト22を駆動することができるように、配向されている。
【0041】
シャフト23の回転速度がシャフト22の回転速度よりも小さいとき、2つのシャフトは独立している。そうでなければ、2つのシャフトは、連結されている。
【0042】
換言すれば、次の等式、K2.NTL<K1.NGGが適合されている場合、シャフトは独立している。比NGG/NTL>K2/K1である場合、結果として、シャフトは独立している。
【0043】
速度比がK2/K1以下である場合、結果として、エンジントルクが、フリータービン6からガス発生器5に伝達される。
【0044】
換言すれば、図1に関連して説明された結合装置20は、比NGG/NTLがK2/K1以下であって、したがって、比が所定のしきい値として作用するとき、ガス発生器5およびフリータービン6を機械的かつ自発的に連結することを可能にする。装置は、また、比NGG/NTLがK2/K1を超えるとすぐに、ガス発生器5およびフリータービン6を自発的に分離させることを可能にする。
【0045】
1つの実施形態によれば、K1およびK2の値は、それぞれ0.2567および0.2725である。
【0046】
第2実施形態によれば、図2に示されるように、ターボシャフトエンジンは、さらに、始動発電機30を備える。この場合、結合装置は、図1に関連して説明されたシャフト22および23に加えて、始動発電機30に堅く連結された中間シャフト25を備える。
【0047】
結合装置20は、中間シャフト25をシャフト23に連結する第1フリーホイール26を備える。前記装置は、中間シャフト25をシャフト22に連結する第2フリーホイール24をさらに備える。
【0048】
図1の実施形態の場合と同様に、シャフト22の回転速度は、K1.NGGに等しく、シャフト23の回転速度は、K2.NTLに等しい。
【0049】
フリーホイール26、24は、始動発電機30に堅く連結された中間シャフト25が、シャフト22を駆動することができるように、かつ、シャフト23が、始動発電機30に堅く連結された中間シャフト25を駆動することができるように、配向されている。
【0050】
2つのフリーホイール26、24は、比NGG/NTLがK2/K1に等しい場合、同時に駆動する。
【0051】
比NGG/NTLがK2/K1以下である場合、結果として、シャフト10、11が、機械的に連結され、かつ、エンジントルクが、フリータービン6からガス発生器5に伝達される。
【0052】
比NGG/NTLがK2/K1よりも大きい場合、結果として、シャフトは、機械的に独立している。
【0053】
始動発電機30は、(発電機として機能するとき)フリータービンによって駆動されるか、または、(スタータとして機能するとき)ガス発生器を駆動する。したがって、装置は、始動発電機30を、始動中にガス発生器に連結し、発電機として機能するときにフリータービンのシャフト11に連結することを含むGG−TL(フリータービン−ガス発生器)自動切替機能を保証する。
【0054】
換言すれば、図2に関連して説明された結合装置20は、また、比NGG/NTLがK2/K1以下であるときに、ガス発生器5およびフリータービン6を機械的にかつ自発的に連結することを可能にする。装置は、また、比NGG/NTLがK2/K1を超えるとすぐに、ガス発生器5およびフリータービン6を自発的に分離させることを可能にする。さらに、発電機および/またはスタータ機能が、本実施形態において可能である。
【0055】
本発明は、また、記載された実施形態の1つに係る少なくとも1つのターボシャフトエンジンを備える双発ヘリコプタの無負荷の超アイドルモードを最適化するための方法に関する。
【0056】
したがって、この種の方法は、フリータービンの回転速度に対するガス発生器の回転速度の比が、値K2/K1に到達するとすぐに、ガス発生器5およびフリータービン6を自発的に機械的に結合させるステップを備える。
【0057】
本発明に係る方法は、有利には、記載された実施形態の1つに係るターボシャフトエンジンによって実現される。記載された実施形態の1つに係るターボシャフトエンジンは、有利には、本発明に係る方法を実施する。
図1
図2