【氏名又は名称原語表記】INSTITUT NATIONAL DE LA SANTE ET DE LA RECHERCHE MEDICALE (I.N.S.E.R.M.)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
HO−1/CO系は、重金属、反応性酸素種、リポ多糖(LPS)及びその他の炎症性プロセスにより媒介される様々なストレス状態により与えられるダメージに対する防御の重要な部分であり、これにより、細胞保護及び抗炎症反応の調節において極めて重要な役割を担う。
【0003】
制限された時間、低用量(250ppm)で投与されるCOガスは、心血管機能障害、肺高血圧症、並びに敗血症及び炎症性腸疾患のような炎症状態のモデルにおいて、HO−1の多くの有益な効果を再現(回復)することを示した。
【0004】
HO−1/CO治療ポテンシャルの興味深さから、制御された量のCOを生体系に遊離させる化合物(CO−放出分子、CO−RM)が開発されており、CO放出に関連する多様な薬理効果を与えることが証明されている。文献に記載されている薬理活性のあるCO−RMの大部分は、Ru、Fe、Mn、Co及びMoの何れかを含有する金属カルボニルである。
【0005】
転写因子Nrf2は、ダメージを修復し、細胞恒常性を回復させるいくつかの抗酸化遺伝子及び解毒遺伝子の発現を調節するような細胞ストレス反応の重要な開始剤である。この誘導性反応の一部として、ヘムオキシゲナーゼ−1(HO−1)が、CO、ビリベルジン/ビリルビン及び鉄を生み出すヘム、重要なシグナル伝達並びに酸化ストレス及び炎症に対する保護分子を利用することにより優れた役割を果たす。
【0006】
Nrf2/HO−1活性剤として作用する多くの化学物質が、同定されており、中でも、クルクミン(HO−1発現を増加させることが分かった最初の化学物質)及びカルコンを含めて、α,β−不飽和カルボニル官能基を有するいくつかの天然由来の化合物が、同定されている。現在、Nrf2/HO−1活性剤のリストは拡大し、数百の化合物を含む。Nrf2/HO−1活性剤は、それらの作用機序により、細胞ストレス反応をマウントするのに時間を要するため、絶対不可欠な有益な効果にもかからわず遅れが生じる。
【0007】
放出COを急速に放出し、同時に長期持続Nrf2依存性保護プロテオームを刺激する両能力を有する分子を合成することは、これらの経路が組織保護のために重要である疾患において、単独のCO−RM又はNrf2活性化剤と比較して、有意な治療上の利点を与える。したがって、このような分子が必要とされる。
【0008】
Zhu et al. (J. Organomet. Chem. 2006, 691, 485-490)は、化合物[Co
2(CO
6)(μH
2CCH
2O)−]
2(CO)
2を開示している。しかしながら、高分子材料の合成用途でのC
2Co
2R
2を含む混合金属結合アルキン架橋バタフライクラスターにおけるその使用のみに言及している。
【0009】
WO2012/076696は、CO放出分子に結合したクルクミン誘導体を開示する。しかしながら、本発明の発明者らは、これらの分子が一酸化炭素を放出しないことを明らかにした。このようにCOを放出しないことにより、COによるHO−1の活性化に関する多様な有利な治療効果を示さない分子がもたらされる。
【0010】
また、WO 2008/003953は、COのヒト及び動物への治療送達のための式(I):Mn(CO)
4XY(式中、X及びYは、単座配位子であるか、或いは一緒になって二座配位子を形成する。)のCO放出分子を説明する。より具体的に、WO2008/003953は、CO放出化合物364(ただし、Xが、O(O)CCH2CH2C(O)OHを示し、YがBrを示す。)を開示する。しかしながら、この分子は、CO放出能が乏しいことが示された。
【0011】
意外なことに、フマレート部分及びCO放出分子(CORM)を含むハイブリッド分子が、COを急速に遊離させ、Nrf2/HO−1経路を活性化し、細胞の炎症防御及び向上した治療効果の二重活性化をもたらすことができることが発見された。
【0012】
本発明は、1つのCORM部分を有する化合物(モノCORM化合物)及び2つのCORM部分を有する化合物(ビCORM化合物)の両方に関する。発明者らは、両方のタイプの分子が、向上した治療活性を有することを発見した。さらに、モノCORM分子は、非常に急速に高レベルのCOを放出し、それにより、「バースト効果」を発揮することが観察された。その一方で、ビCORM化合物は、より高いレベルのCO(特に第二のCORM部分の存在による)を放出するが、あまり急速ではなく、より長い期間にわたって放出する。したがって、本発明のモノCORM化合物は、「バースト効果」が求められる場合に使用されるだろう。その一方で、本発明のビCORM化合物は、長期にわたる徐放が患者に或いは治療する疾患又は状態により適している場合に使用されるだろう。
【0013】
したがって、本発明は、式(I)のハイブリッドフマレート一酸化炭素放出分子(フマレートCORM)、それらの医薬上許容される塩、水和物及び溶媒和物に関する:
【0014】
【化1】
【0015】
[式中:
Aは、
● 単結合、又は
● −Z−Q−(式中:
〇 Qは、O、S又はNR
2(式中、R
2は、H、(C
1−C
6)アルキル、アリール、ヘテロアリール、(C
1−C
6)アルキル−アリール、(C
1−C
6)アルキル−ヘテロアリール又は(C
1−C
6)アルキル−(C
3−C
8)ヘテロシクリル、−(C
3−C
14)シクロアルキルを示すか、或いはR
2及びZがつながって(C
3−C
8)ヘテロシクリルを形成する。)を示し、
〇 Zは、−(C
1−C
6)アルキル−、−(C
2−C
6)アルケニル−、−アリール−、−ヘテロアリール−、−(C
2−C
6)アルキニル−、−(C
3−C
8)ヘテロシクリル−、−(C
3−C
14)シクロアルキル、−(C
1−C
6)アルキル−R
3−(C
1−C
6)アルキル−、−(C
2−C
6)アルケニル−R
3−(C
1−C
6)アルキル−、−(C
1−C
6)アルキル−R
3−(C
2−C
6)アルケニル−、−(C
2−C
6)アルケニル−R
3−(C
2−C
6)アルケニル−、−(C
1−C
6)アルキル−R
3−(C
2−C
6)アルキニル−、−(C
2−C
6)アルケニル−R
3−(C
2−C
6)アルキニル−、−(C
2−C
6)アルキニル−R
3−(C
2−C
6)アルキニル−、−(C
2−C
6)アルキニル−R
3−(C
1−C
6)アルキル−、−(C
2−C
6)アルキニル−R
3−(C
2−C
6)アルケニル−、−(C
1−C
6)アルキル−OCO−、又は−CH
2−(CHOR
3)CH
2O−(C
1−C
6)アルキル−(式中、R
3は、アリール、ヘテロアリール、(C
3−C
8)ヘテロシクリル、又は(C
3−C
14)シクロアルキルを示す。)を示す。)
を示し、
CORMは、
【0016】
【化2】
【0017】
(式中、
Wは、O又はNR
4(式中、R
4は、−(C
1−C
6)アルキル−を示す。)を示し、
Lは、ハロゲンのようなイオン配位子、又はBF
4若しくはPF
6のような対イオンを示し、
Mは、Rh、Co、Ru、Mn、Mo、V又はFeを示し、好ましくは、Co、Ru又はMnを示し、
nは、金属Mが遊離原子価を有さないように選択される整数である。)
の中から選択されるカルボニル金属錯体を示し、
好ましくは、CORMは、
【0018】
【化3】
【0019】
(式中、
Wは、O又はNR
4(式中、R
4は、−(C
1−C
6)アルキル−を示す。)を示し、
Lは、ハロゲンのようなイオン配位子、又はBF
4又はPF
6のような対イオンを示す。)
の中から選択されるカルボニル金属錯体を示し、
R
1は、
● −Q’−Y(式中、
〇 Q’は、O、S又はNR
5(式中、R
5は、H、(C
1−C
6)アルキル、アリール、ヘテロアリール、(C
1−C
6)アルキル−アリール、(C
1−C
6)アルキル−ヘテロアリール又は(C
1−C
6)アルキル−(C
3−C
8)ヘテロシクリル、−(C
3−C
14)シクロアルキルを示す。)を示し、
〇 Yは、H、−(C
1−C
6)アルキル、−(C
2−C
6)アルケニル、−アリール、−ヘテロアリール、−(C
2−C
6)アルキニル、−(C
3−C
8)ヘテロシクリル、−(C
3−C
14)シクロアルキル、−(C
1−C
6)アルキル−R
6−(C
1−C
6)アルキル、−(C
2−C
6)アルケニル−R
6−(C
1−C
6)アルキル、−(C
1−C
6)アルキル−R
6−(C
2−C
6)アルケニル、−(C
2−C
6)アルケニル−R
6−(C
2−C
6)アルケニル、−(C
1−C
6)アルキル−R
6−(C
2−C
6)アルキニル、−(C
2−C
6)アルケニル−R
7−(C
2−C
6)アルキニル、−(C
2−C
6)アルキニル−R
6−(C
2−C
6)アルキニル、−(C
2−C
6)アルキニル−R
6−(C
1−C
6)アルキル、−(C
2−C
6)アルキニル−R
6−(C
2−C
6)アルケニル、(C
1−C
6)アルキル−R
6、−(C
2−C
6)アルケニル−R
6、−(C
2−C
6)アルキニル−R
6(式中、R
6は、アリール、ヘテロアリール、(C
3−C
8)ヘテロシクリル、又は(C
3−C
14)シクロアルキルを示す。)、−CH
2(CHOR
6)CH
2−OR
7(式中、R
7は、H、(C
1−C
6)アルキル、アリール、ヘテロアリール、(C
1−C
6)アルキル−アリール、(C
1−C
6)アルキル−ヘテロアリール、(C
1−C
6)アルキル−(C
3−C
8)ヘテロシクリル、(C
1−C
6)アルキル−(C
3−C
14)シクロアルキルを示す。)を示す。)、又は
● A’−CORM’(式中、A’及びCORM’は、それぞれA及びCORMとして定義した通りである。)
を示す。]。
【0020】
有利には、CORMは:
【0021】
【化4】
【0022】
の中から選択され、より有利には:
【0023】
【化5】
【0024】
の中から選択され、さらに有利には:
【0025】
【化6】
【0026】
の中から選択される。
【0027】
本発明は、好ましくは、上記式(I)のハイブリッドフマレート一酸化炭素放出分子(フマレートCORM)、それらの医薬上許容される塩、水和物及び溶媒和物に関する[式中:
Aは:
● 単結合、又は
● −Z−Q−(式中:
〇 Qは、O、S又はNR
2(式中、R
2は、H、(C
1−C
6)アルキル、アリール、ヘテロアリール、(C
1−C
6)アルキル−アリール、(C
1−C
6)アルキル−ヘテロアリール又は(C
1−C
6)アルキル−(C
3−C
8)ヘテロシクリル、−(C
3−C
14)シクロアルキルを示すか、或いはR
2及びZがつながって(C
3−C
8)ヘテロシクリルを形成する)を示し、
〇 Zは、−(C
1−C
6)アルキル−、−(C
2−C
6)アルケニル−、−アリール−、−ヘテロアリール−、−(C
2−C
6)アルキニル−、−(C
3−C
8)ヘテロシクリル−、−(C
3−C
14)シクロアルキル、−(C
1−C
6)アルキル−R
3−(C
1−C
6)アルキル−、−(C
2−C
6)アルケニル−R
3−(C
1−C
6)アルキル−、−(C
1−C
6)アルキル−R
3−(C
2−C
6)アルケニル−、−(C
2−C
6)アルケニル−R
3−(C
2−C
6)アルケニル−、−(C
1−C
6)アルキル−R
3−(C
2−C
6)アルキニル−、−(C
2−C
6)アルケニル−R
3−(C
2−C
6)アルキニル−、−(C
2−C
6)アルキニル−R
3−(C
2−C
6)アルキニル−、−(C
2−C
6)アルキニル−R
3−(C
1−C
6)アルキル−、−(C
2−C
6)アルキニル−R
3−(C
2−C
6)アルケニル−、、−(C
1−C
6)アルキル−OCO−、又は−CH
2−(CHOR
3)CH
2O−(C
1−C
6)アルキル−(式中、R
3は、アリール、ヘテロアリール、(C
3−C
8)ヘテロシクリル、又は(C
3−C
14)シクロアルキルを示す。)示し、
R
1は:
● −Q’−Y(式中、
〇 Q’は、O、S又はNR
5(式中、R
5は、H、(C
1−C
6)アルキル、アリール、ヘテロアリール、(C
1−C
6)アルキル−アリール、(C
1−C
6)アルキル−ヘテロアリール又は(C
1−C
6)アルキル−(C
3−C
8)ヘテロシクリル、−(C
3−C
14)シクロアルキルを示す。)を示し、
〇 Yは、H、−(C
1−C
6)アルキル、−(C
2−C
6)アルケニル、−アリール、−ヘテロアリール、−(C
2−C
6)アルキニル、−(C
3−C
8)ヘテロシクリル、−(C
3−C
14)シクロアルキル、−(C
1−C
6)アルキル−R
6−(C
1−C
6)アルキル、−(C
2−C
6)アルケニル−R
6−(C
1−C
6)アルキル、−(C
1−C
6)アルキル−R
6−(C
2−C
6)アルケニル、−(C
2−C
6)アルケニル−R
6−(C
2−C
6)アルケニル、−(C
1−C
6)アルキル−R
6−(C
2−C
6)アルキニル、−(C
2−C
6)アルケニル−R
7−(C
2−C
6)アルキニル、−(C
2−C
6)アルキニル−R
6−(C
2−C
6)アルキニル、−(C
2−C
6)アルキニル−R
6−(C
1−C
6)アルキル、−(C
2−C
6)アルキニル−R
6−(C
2−C
6)アルケニル、(C
1−C
6)アルキル−R
6、−(C
2−C
6)アルケニル−R
6、−(C
2−C
6)アルキニル−R
6(式中、R
6は、アリール、ヘテロアリール、(C
3−C
8)ヘテロシクリル、又は(C
3−C
14)シクロアルキルを示す。)、−CH
2(CHOR
6)CH
2−OR
7(式中、R
7は、H、(C
1−C
6)アルキル、アリール、ヘテロアリール、(C
1−C
6)アルキル−アリール、(C
1−C
6)アルキル−ヘテロアリール、(C
1−C
6)アルキル−(C
3−C
8)ヘテロシクリル、(C
1−C
6)アルキル−(C
3−C
14)シクロアルキルを示す。)を示す。)、
又は、
● A’−CORM’(式中、A’及びCORM’は、それぞれA及びCORMとして定義された通りである。)を示し、
R
1が−Q’−Yを示す場合、CORMは:
【0028】
【化7】
【0029】
(式中、
Wは、O又はNR
4(式中、R
4は、−(C
1−C
6)アルキル−を示す。)を示し、
Lは、ハロゲンのようなイオン配位子、又はBF
4又はPF
6のような対イオンを示し、
Mは、Rh、Co、Ru、Mn、Mo、V又はFeを示し、好ましくは、Co、Ru又はMnを示し、
nは、金属Mが遊離原子価を有さないように選択される整数である。)
の中から選択されるカルボニル金属錯体を示し;
R
1がA’−CORM’を示す場合は、CORMは:
【0030】
【化8】
【0031】
(式中、
Wは、O又はNR
4(式中、R
4は、−(C
1−C
6)アルキル−を示す。)を示し、
Lは、ハロゲンのようなイオン配位子、又はBF
4又はPF
6のような対イオンを示し、
Mは、Rh、Co、Ru、Mn、Mo、V又はFeを示し、好ましくは、Fe、Co、Ru又はMnを示し、
nは、金属Mが遊離原子価を有さないように選択される整数である。)
の中から選択されるカルボニル金属錯体を示し;
好ましくは、CORMは:
【0032】
【化9】
【0033】
(式中、
Wは、O又はNR
4(式中、R
4は、−(C
1−C
6)アルキル−を示す。)を示し、
Lは、ハロゲンのようなイオン配位子、又はBF
4又はPF
6のような対イオンを示し、
Mは、Rh、Ru、Mn、Mo、V又はFeを示し、好ましくは、Fe、Ru又はMnを示し、
nは、金属Mが遊離原子価を有さないように選択される整数である。)
の中から選択されるカルボニル金属錯体を示し、
さらに好ましくは、CORMは:
【0034】
【化10】
【0035】
(式中、
Wは、O又はNR
4(式中、R
4は、−(C
1−C
6)アルキル−を示す。)を示し、
Lは、ハロゲンのようなイオン配位子、又はBF
4又はPF
6のような対イオンを示し、
Mは、Fe又はMnを示し、
nは、金属Mが遊離原子価を有さないように選択される整数である。)
の中から選択されるカルボニル金属錯体を示す。]。
【0036】
本発明は、さらに好ましくは、式(Ia)のハイブリッドフマレート一酸化炭素放出分子(フマレートCORM)、それらの医薬上許容される塩、水和物及び溶媒和物に関する:
【0037】
【化11】
【0038】
(式中、A、CORM及び−Q’−Yは、式(I)で定義された通りである。)。
【0039】
CORMが、式:
【0040】
【化12】
【0041】
のカルボニル金属錯体を示す場合、Mは、Rh、Co、Ru、Mn、Mo、V又はFeを示し、好ましくは、Co、Ru又はMnを示し、nは、金属Mが遊離原子価を有さないように選択される整数である。より好ましくは、nは、金属Mが遊離原子価を有さないように選択される1ないし4の整数である。特に、MがRhを示す場合は、nは2を示し;MがCoを示す場合、nは2を示し;MがRuを示す場合は、nは2を示し;MがMnを示し、nは3を示し;MがMoを示す場合は、nは3を示し;MがVを示す場合は、nは4を示し;MがFeを示す場合は、nは3を示す。
【0042】
有利には、Qは、O又はNR
2を示し、好ましくは、Oを示し、R
2は、H又は(C
1−C
6)アルキルを示す。
【0043】
有利には、Zは、−(C
1−C
6)アルキル−、−(C
2−C
6)アルケニル−又は−(C
3−C
8)ヘテロシクリル−、−(C
1−C
6)アルキル−R
3−(C
1−C
6)アルキル−、−(C
2−C
6)アルケニル−R
3−(C
1−C
6)アルキル−を示し、R
3は、ヘテロアリール又は(C
3−C
8)ヘテロシクリルを示す。
【0044】
有利には、Qは、O、S又はNR
2(式中、R
2は、H、(C
1−C
6)アルキルを示す。)を示し、Zは、−(C
1−C
6)アルキル−、−(C
2−C
6)アルケニル−、−(C
3−C
8)ヘテロシクリル−、−(C
1−C
6)アルキル−R
3−(C
1−C
6)アルキル−、−(C
2−C
6)アルケニル−R
3−(C
1−C
6)アルキル−(式中、R
3は、ヘテロアリール又は(C
3−C
8)ヘテロシクリルを示す。)を示す。
【0045】
より有利には、Zは:−CH
2−CH
2−、
【0046】
【化13】
【0047】
を示す。
【0048】
有利には、CORMは:
【0049】
【化14】
【0050】
の中から選択され、より有利には、
【0051】
【化15】
【0052】
の中から選択され、さらに有利には、
【0053】
【化16】
【0054】
の中から選択される。
【0055】
有利には、Q’は、O又はNR
5であり、好ましくは、Oである。
【0056】
有利には、Yは、H;−(C
1−C
6)アルキル、−(C
2−C
6)アルケニル;−アリール、−ヘテロアリール、−(C
2−C
6)アルキニル、−(C
3−C
8)ヘテロシクリル;−(C
3−C
8)シクロアルキル又は−(C
1−C
6)アルキル−アリールの中から選択される。
【0057】
第一実施形態によれば、本発明は、フマレート部分が、一方の側で、CO放出カルボニル錯体により置換され、他方の側で、酸、エステル、チオエステル又はアミドにより置換された式(Ia)のハイブリッドフマレート一酸化炭素放出分子(フマレート−CO−RM)に関する:
【0058】
【化17】
【0059】
(式中、A、CORM及び−Q’−Yは、式(I)で定義された通りである。)。
【0060】
意外なことに、式(Ia)の化合物が、早い速度でCOを放出することができることが見出された。例えば、式(Ia)の化合物の実例となる以下の実施例の化合物Aは、実施例で説明されるin vitro条件下で、およそ38分の半減期でCOを放出することができ、これは、本発明の意味においての速い速度である。したがって、式(Ia)の化合物は、比較的速い生物活性に有利である。さらに、実験は、1つのみのCORM基を含む本発明の化合物が、Nrf2の強力な活性剤であり、HO−1タンパク質発現誘導剤であり、ジメチルフマレートよりも効果的であるということを証明する。
【0061】
この第一実施形態のいくつかの有利な化合物は、式(Ia1)を有する:
【0062】
【化18】
【0063】
(式中:
Mは、Mn(CO)
4又はRu(CO)
3Clを示し、
Q、Q’、W、Z及びYは、式(I)で定義された通りである。)。
【0064】
有利には、式(Ia1)の化合物において、Z−Wが、−CH
2−CH
2−NR
7−、
【0065】
【化19】
【0066】
(式中、R
7は、(C
1−C
3)アルキルを示す。)
である。
【0067】
有利には、Qは、O又はNR
2であり、好ましくは、Oである。
【0068】
有利には、Q’は、O又はNR
5であり、好ましくは、Oである。
【0069】
有利には、Yは、H、−(C
1−C
6)アルキル又は−(C
2−C
6)アルケニルを示す。
【0070】
この第一実施形態のいくつかの他の有利な化合物は、式(Ia2)を有する:
【0071】
【化20】
【0072】
(式中:
Q’及びYは、式(I)で定義された通りである。)。
【0073】
有利には、Yは、H、−(C
1−C
6)アルキル又は−(C
2−C
6)アルケニルを示し、Q’は、Oを示す。
【0074】
この第一実施形態のいくつかのさらに有利な化合物は、式(Ia3)を有する:
【0075】
【化21】
【0076】
(式中:
Q、Q’、Y及びZは、式(I)で定義された通りである。)。
【0077】
有利には、Yは、H、−(C
1−C
6)アルキル又は−(C
2−C
6)アルケニルであり、Q’は、Oであり、Q及びZは、式(I)で定義された通りである。より有利には、Q−Zは、セリン、システイン、チロシン又はリジンのようなアミノ酸側鎖である。
【0078】
この第一実施形態のさらに有利な化合物は、式(Ia4)を有する:
【0079】
【化22】
【0080】
(式中:
M
x(CO)
yは、Co
2(CO)
6又はCo
4(CO)
10を示し、
Q’、Q、Y及びZは、式(I)で定義された通りである。)。
【0081】
有利には、Yは、H、−(C
1−C
6)アルキル又は−(C
2−C
6)アルケニルであり、Q’はOであり、Q及びZは、式(I)で定義された通りである。
【0082】
より有利には、Qは、Oであり、Zは、−(C
1−C
6)アルキルであり、好ましくは、(C
1−C
3)アルキルである。
【0083】
第二実施形態において、本発明は、フマレート部分が、両方の側でCO放出カルボニル錯体により置換されたハイブリッドフマレート一酸化炭素放出分子(フマレート−CO−RM)に関する。
【0084】
これらの二金属化合物は、一金属化合物と比較してより多量のCOを長期にわたって放出し、それにより、長期にわたって生物活性が持続するため有利であることが見出された。例えば、以下で説明する式(Ic)の化合物の実例である下記実施例の化合物Bは、実施例で説明されるin vitro条件下で480分にわたってCOを放出することができ、これは、本発明の意味において、長期である。
【0085】
この第二実施形態の一部の化合物では、ハイブリッドフマレート一酸化炭素放出分子は、式(Ib)に従い、一方の側で1つのCO放出カルボニル錯体により置換され、他方の側で異なるCO放出カルボニル錯体により置換されている:
【0086】
【化23】
【0087】
(式中、A−CORM及びA’−CORM’は、式(I)の上記又は下記の定義の通りである。)。
【0088】
有利には、CORM及びCORM’は、それぞれ、
【0089】
【化24】
【0090】
(式中、Mは、Mn(CO)
4又はRu(CO)
3Clである。)
である。
【0091】
有利には、式(Ib)の化合物では、Aは、Q−Z−W(式中、Z−Wは、−CH
2−CH
2−NR
7−、
【0092】
【化25】
【0093】
(式中、R
7は、(C
1−C
3)アルキルを示す。)である。)であり、A’は、Q’−Z’(式中、Z’は、−(C
1−C
6)アルキルであり、好ましくは、(C
1−C
3)アルキルである。)である。
【0094】
有利には、Qは、O又はNR
2であり、好ましくは、Oであり、Q’は、O又はNR
2であり、好ましくは、Oである。
【0095】
有利には、第二実施形態の化合物は、フマレート部分が、両方の側で同一のCO−放出カルボニル錯体により置換されている式(Ic)を有する:
【0096】
【化26】
【0097】
(式中、A−CORMは、式(I)の化合物で定義された通りである。)。
【0098】
この実施形態では、CORMは、好ましくは:
【0099】
【化27】
【0100】
(式中、
Wは、O又はNR
4(式中、R
4は、−(C
1−C
6)アルキル−を示す。)を示し、
Lは、ハロゲンのようなイオン配位子、又はBF
4又はPF
6のような対イオンを示し、
Mは、Rh、Co、Ru、Mn、Mo、V又はFeを示し、好ましくは、Fe、Co、Ru又はMnを示し、
nは、金属Mが遊離原子価を有さないように選択される整数である。)
の中から選択されるカルボニル金属錯体を示し;
好ましくは、CORMは:
【0101】
【化28】
【0102】
(式中、
Wは、O又はNR
4(式中、R
4は、−(C
1−C
6)アルキル−を示す。)を示し、
Lは、ハロゲンのようなイオン配位子、又はBF
4又はPF
6のような対イオンを示し、
Mは、Rh、Ru、Mn、Mo、V又はFeを示し、好ましくは、Fe、Ru又はMnを示し、
nは、金属Mが遊離原子価を有さないように選択される整数である。)
の中から選択されるカルボニル金属錯体を示し;
さらに好ましくは、CORMは:
【0103】
【化29】
【0104】
(式中、
Wは、O又はNR
4(式中、R
4は、−(C
1−C
6)アルキル−を示す。)を示し、
Lは、ハロゲンのようなイオン配位子、又はBF
4又はPF
6のような対イオンを示し、
Mは、Fe又はMnを示し、
nは、金属Mが遊離原子価を有さないように選択される整数である。)
の中から選択されるカルボニル金属錯体を示す。
【0105】
式(Ic)のいくつかの有利な化合物は、式(Ic1)を有する:
【0106】
【化30】
【0107】
(式中:
Mは、Mn(CO)
4又はRu(CO)
3Clを示し、
Q及びZは、式(I)で定義された通りである。)。
【0108】
有利には、式(Ic1)の化合物において、Z−Wは、−CH
2−CH
2−NR
7−、
【0109】
【化31】
【0110】
(式中、R
7は、(C
1−C
3)アルキルを示す。)
である。
【0111】
有利には、Qは、O又はNR
2であり、好ましくは、Oである。
【0112】
いくつかの他の有利な式(Ic)の化合物は、式(Ic2)を有する。
【0113】
【化32】
【0114】
いくつかのさらに有利な式(Ic)の化合物は、式(Ic3)を有する:
【0115】
【化33】
【0116】
(式中:
Q及びZは、式(I)で定義された通りである。)。
【0117】
有利には、Q−Zは、アミノ酸(例えば、セリン、システイン、チロシン又はリジン)の側鎖である。
【0118】
さらに有利な式(Ic)の化合物は、式(Ic4)を有する:
【0119】
【化34】
【0120】
(式中:
M
x(CO)
yは、Co
2(CO)
6又はCo
4(CO)
10を示し、好ましくは Co
4(CO)
10を示し、
Q及びZは、式(I)で定義された通りである。)。
【0121】
より有利には、Qは、Oであり、Zは、−(C
1−C
6)アルキルであり、好ましくは、(C
1−C
3)アルキルである。
【0122】
有利には、式(I)の化合物は:
【0123】
【化35】
【0124】
の中から選択される。
【0125】
特定の実施形態では、式(I)の化合物は:
【0126】
【化36】
【0127】
である。
【0128】
また、本発明は、既定の少なくとも1種の式(I)の化合物、その医薬上許容される塩、その溶媒和物又はその水和物、及び少なくとも1の 医薬上許容される賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0129】
本発明の医薬組成物は、有利には、経口、舌下、皮下、筋肉内、静脈内、経皮、局所又は直腸経路での投与に適している。また、本発明の医薬組成物は、例えばエアロゾルを用いて吸入投与してもよい。活性成分は、従来の医薬担体と混合して単位投与形態で動物又はヒトに投与することができる。
【0130】
固体組成物を錠剤の形態で調製する場合、主な活性成分を、医薬ビヒクル及び当業者に公知のその他の従来の賦形剤と混合する。
【0131】
本発明の化合物は、医薬組成物中にて、1日0.01mg〜1000mgの範囲の用量で用いることができ、1日1回1つの用量のみで投与或いは1日で複数の用量(例えば1日2回)で投与することができる。毎日の投与量は、有利には、5mgから500mgの間に含まれ、より有利には、10mgから200mgの間に含まれる。しかしながら、これらの範囲外の用量を使用する必要性があり得る。これは、当業者により見出され得る。
【0132】
さらに、本発明は、薬剤として用いるための、式(I)の化合物、その医薬上許容される塩、その溶媒和物若しくはその水和物、又は少なくとも1種の式(I)の化合物、その塩、その溶媒和物若しくはその水和物を含む医薬組成物に関する。
【0133】
さらに、本発明は、心血管疾患又は炎症性疾患の治療に用いるための、少なくとも1種の式(I)の化合物、その医薬上許容される塩、その溶媒和物若しくはその水和物、又は少なくとも1種の式(I)の化合物、その塩、その溶媒和物若しくはその水和物を含む医薬組成物に関する。
【0134】
さらに、本発明は、心血管疾患又は炎症性疾患の治療に用いる医薬の製造のための少なくとも1種の式(I)の化合物、その医薬上許容される塩、その溶媒和物又はその水和物の使用に関する。
【0135】
さらに、本発明は、少なくとも1種の式(I)の化合物、その医薬上許容される塩、その溶媒和物若しくはその水和物、又は少なくとも1種の式(I)の化合物、その医薬上許容される塩、その溶媒和物若しくはその水和物を含む医薬組成物を、それを必要とするヒトに投与することを含む心血管疾患又は炎症性疾患の治療方法に関する。
【0136】
本発明に基づく炎症性疾患及び心血管疾患は、例えば、心筋虚血及び心疾患、関節リウマチ、急性及び慢性皮膚創傷(創傷治癒)、炎症性腸疾患、術後イレウス、脳虚血、乾癬、糖尿病、糖尿病性腎症、メタボリックシンドローム、かま状赤血球症、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病又はパーキンソン病)、神経因性疼痛、高血圧症、肺動脈高血圧症、敗血症、敗血性又は内毒素性ショック、出血性ショック、多発性硬化症、癌及び慢性閉塞性肺疾患を含む。本発明に基づく好ましい炎症性疾患及び心血管疾患は、皮膚創傷(創傷治癒)、脳及び心臓虚血、乾癬、糖尿病、多発性硬化症、癌及び慢性閉塞性肺疾患である。
【0137】
さらに、本発明は、式(I)の化合物、それらの塩、それらの水和物又はそれらの溶媒和物の製造方法に関する。
【0138】
式(I)の化合物は、2つの方法に従って得ることができる。
【0139】
方法(a):
工程(1):フマル酸のジアシル塩化物、臭化物、フッ化物又はジ活性化エステル、或いはフマル酸のモノアシル塩化物、臭化物、フッ化物又はモノエステル、モノアミド若しくはモノチオエステルのモノ活性化エステルを:
【0140】
【化37】
【0141】
(式中、Z及びQは、上記定義の通りである。)
の中から選択される式(II)の化合物でエステル化する。
【0142】
或いは、フマル酸又はフマル酸のモノエステルを:
【0143】
【化38】
【0144】
(式中、Z及びQは上記定義の通りであり、Halは、脱離基(例えば、ハロゲン)又はスルホナート(例えば、トリフルオロメタンスルホナート)を示す。)
の中から選択される式(III)の化合物でアルキル化してもよい。
【0145】
工程(2):工程(1)で得られる化合物を、式L
1L
2M
x(CO)
y(式中、Xは、1又は2であり、yは、1ないし10であり、L
1及びL
2は、それぞれ、単座配位子を示すか或いはL
1L
2が二座配位子を示す。)の適切なカルボニル金属錯体と反応させ、任意の脱保護後に式(I)の化合物を得る。
【0146】
したがって、本発明は、式(IV)のフマル酸誘導体の反応を含む式(I)の化合物の合成方法に関する:
【0147】
【化39】
【0148】
(式中:
X
1は、式(I)で定義されるA−R
8、A−CORM、A’−CORM’又はQ’−Yを示し、
R
8は、式L
1L
2M
x(CO)
y(式中、xは1又は2であり、yは1ないし10であり、L
1及びL
2はそれぞれ単座配位子を示すか或いはL
1L
2が二座配位子を示す。)のカルボニル金属錯体を伴う:
【0149】
【化40】
【0150】
の中から選択される基を示す。)。
【0151】
方法(b):
フマル酸のジアシル塩化物、臭化物、フッ化物若しくはジ活性化エステル、或いはフマル酸のモノアシル塩化物、臭化物、フッ化物又はモノ−エステル、モノ−アミド若しくはモノ−チオエステルのモノ活性化エステルを、式H−A−CORMの化合物でエステル化する。
【0152】
或いは、フマル酸又はフマル酸のモノエステルは、式Hal−A−CORM(式中、Aは、上記定義の通りであり、Halは、脱離基(例えば、ハロゲン)又はスルホナート(例えば、トリフルオロメタンスルホナート)を示す。)の化合物でアルキル化してもよい。
【0153】
したがって、本発明は、また、
式(V):
【0154】
【化41】
【0155】
(式中:
X
1は、Cl、F、Br又はエステルを示し、有利には、活性化エステルを示し、
X
2は、Cl、F、Br又はエステルを示し、有利には、活性化エステルを示し、
A−CORM、A’−CORM’又はQ’−Yは、式(I)で定義された通りである。)
のフマル酸誘導体の、式H−A−CORM(式中、A−CORMは式(I)で定義された通り。)の化合物との反応、
或いは、
式(I)の化合物(ただしX
1及び/又はX
2がOHを示すもの)の、式Hal−A−CORM(式中、Halは、脱離基(例えば、ハロゲン)又はスルホナート(例えば、トリフルオロメタンスルホナート)を示す。)の化合物との反応、
を含む式(I)の化合物の合成方法に関する。
【0156】
本発明の意味において、用語「脱離基」とは、求核置換反応の間に求核基に容易に置き換えることができる化学基をいう。
【0157】
本発明の意味において、表現「活性化エステル」は、フマル酸のカルボニル基の反応性を高めるエステルを指定することを意図する。このような活性化エステル類を、周知の手順に従って、反応前に調製する或いはその場で生成させることができる。
【0158】
活性化エステル類を調製するのに用いることができる試薬の例としては、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)、カルボニルジイミダゾール(CDI)、ヘキサフルオロホスフェート2Hベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム(HBTU)、テトラフルオロボレート2−(lH−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム(TBTU)、ヘキサフルオロホスフェートO(7−アゾベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム(HATU)、又は(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリピロロジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)のようなカップリング剤;N−ヒドロキシ−スクシンイミド(NHS)、N−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール(HOBt)、3,4−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−4−オキソ−1,2,3−ベンゾトリアゾール(HOOBt)、l−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HAt)又はN−ヒドロキシスルホスクシンイミド(スルホNHS)のような補助カップリングに関連してもよいものが挙げられる。
【0159】
官能基は、存在する場合、所望の反応を妨げる傾向があり、例えば、ヘテロ原子(例えば、N又はO)を、合成の進行の間、望ましくない反応を避けるために保護してもよい。
【0160】
当業者は、保護基が必要な場合に決定する必要がある。適切な保護基は、当技術分野で周知であり、例えば、Greene「有機合成における保護基」(John Wiley & Sons、New York(1981))で開示されている。
【0161】
フマル酸のモノエステル類、即ち、式(II)(式中、X
1はQ’−Yを示す。)の化合物は、従来の条件下、フマル酸又はその誘導体の式H−Q’−Yの化合物を用いたエステル化、アミド化又はチオエステル化、或いはフマル酸の式Hal−Y(式中、Halは、脱離基(例えば、Br、Cl、I又はOSO
2CF
3)を示し、Yは、上記定義の通りである。)の化合物を用いたアルキル化により調製することができる。
【0162】
式(V)(式中、X
1は、A−CORMを示す。)の化合物は、上記で説明した方法(b)に従ってフマル酸を式H−A−CORM又はHal−A−CORMの化合物と反応させ、必要に応じて、カルボン酸をアシル塩化物、臭化物、フッ化物又は活性化エステルに変換することにより調製することができる。
【0163】
式(Ic)の化合物は、フマル酸のジアシルクロリドを、フマレートエステルの量に対して2当量の式H−A−CORMの化合物又は
【0164】
【化42】
【0165】
の中から選択される2当量の化合物と反応させ、続いて、少なくとも2当量の式L
1L
2M
x(CO)
y(式中、xは、1又は2であり、yは、1ないし10であり、L
1及びL
2は、それぞれ単座配位子を示すか、或いはL
1L
2が二座配位子を示す。)のカルボニル金属錯体と反応させることによる1工程手順で得ることができる。
【0166】
式(Ia2)及び(1c2)の化合物は、フマレートエステルのモノアシルクロリド又はフマル酸のジアシルクロリドを、適切な量のアニオン性マンガンカルボニル錯体(例えば、Na
+[Mn(CO)
5]
−)と反応させることにより得ることができる。
【0167】
方法(a)に従う式H−A−CORMの化合物又は式(I)の化合物の調製条件は、当技術分野で周知の方法及び手順を含む。
【0168】
定義:
本発明は、安定した化合物のみを包含する。この点において、「異性体」を言及する場合、安定した異性体のみを考慮する。
【0169】
明細書及び特許請求の範囲で定義される基、ラジカル又はフラグメントでは、炭素原子の数は、括弧内で特定される。例えば、(C
1−C
6)アルキルは、1ないし6個の炭素原子を有するアルキル基又はラジカルを指定する。
【0170】
式中、
【0171】
【化43】
【0172】
は、分子の残りにつながる結合を示す。
【0173】
2以上のサブグループを含む基については、連結を「−」で示す。例えば、「−(C
1−C
6)アルキル−アリール−(C
1−C
6)アルケニル−」は、ラジカルアルキルが、ラジカルアリールに結合し、それ自身アルケニルに結合し、アルキル基及びアルケニル基が、分子の残りに結合することを示す。
【0174】
本発明の意味において、表現「−(C
1−C
6)アルキル」は、1ないし6個の炭素原子を含む環式の、飽和した直鎖又は分枝鎖の炭化水素鎖を指定する。−(C
1−C
6)アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル又はヘキシルが挙げられる。明示的に述べない限り、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシルの定義は、全ての可能な異性体、特に、構造異性体を含む。例えば、ブチルは、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル及びtert−ブチルを含む。
【0175】
本発明の意味において、表現「−(C
2−C
6)アルケニル」は、2ないし6個の炭素原子を含み、その少なくとも2つが二重結合で結合する、環式の、飽和した直鎖又は分枝鎖の炭化水素鎖を指定する。「−(C
2−C
6)アルケニル」の例としては、エテニル又はビニル、プロぺニル、ブテニル、ペンテニル又はヘキセニルが挙げられる。明示的に述べない限り、プロぺニル、ブテニル、ペンテニル及びヘキセニルの定義は、全ての可能な異性体、特に、構造異性体及び/又は位置異性体を含む。
【0176】
本発明の意味において、表現「−(C
2−C
6)アルキニル」は、2ないし6個の炭素原子を含み、その少なくとも2つが三重結合で結合する環式の、飽和した直鎖又は分枝鎖の炭化水素鎖を指定する。「−(C
2−C
6)アルキニル」の例としては、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル又はヘキシニルが挙げられる。明示的に述べない限り、プロピニル、ブチニル、ペンチニル及びヘキシニルの定義は、全ての可能な異性体、特に、構造異性体及び/又は位置異性体を含む。
【0177】
本明細書で用いられる用語置換されたとは、水素原子のいずれかを置換基(例えばフッ素)で置き換えることができることを意味する。
【0178】
本発明の意味において、表現「−(C
3−C
14)シクロアルキル」は、3ないし14個の炭素原子を含む飽和又は部分飽和の単環式、二環式又は三環式構造を指定する。「−(C
3−C
14)シクロアルキル」の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロペンテニル及びシクロヘキセニルが挙げられる。
【0179】
「−(C
3−C
8)シクロアルキル」の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル又はシクロオクチルが挙げられる。明示的に述べない限り、シクロアルキルは、メチル、エチル、イソプロピル、ヒドロキシ、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードのような1個以上の基で置換されていてもよい。
【0180】
本発明の意味において、表現「−(C
3−C
8)ヘテロシクリル」は、N、O及びSの中から選択される1、2又は3個のヘテロ原子で、対応する数の炭素原子が置き換えられた、環中に3、4、5、6、7又は8個の原子を有する飽和の複素環を指定する。「−(C
3−C
8)ヘテロシクリル」の例としては、アジリジニル、オキシラニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、オキサゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル及びモルホリニルが挙げられる。
【0181】
用語「アリール」は、第二の飽和、不飽和又は芳香環と縮合していてもよい芳香族の単環式の環を指定する。用語アリールは、以下の実施例に限定されることなく、フェニル、インダニル、インデニル、ナフトイル、アントラセニル、フェナントレニル、テトラヒドロナフトイル及びジヒドロナフトイルが挙げられる。最も好ましいアリールは、1個の6員芳香環を含むものである。アリール基は、好ましくは、独立して、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、シアノ、トリフルオロ、カルボン酸又はカルボン酸エステルからなる群から選ばれる1個以上の基で置換されていてもよい。
【0182】
用語ヘテロアリールは、1以上の炭素原子がN、O及びSの中から選択される1個以上のヘテロ原子に置き換えられた上記定義の単環式又は多環式アリールを指定する。明示的に述べない限り、用語「ヘテロアリール」は、全ての可能な異性体、特に、位置異性体を含む。
【0183】
ヘテロアリール基の例としては、フリル、チエニル、イミダゾリル、ピリジル、ピロリル、N−アルキルピロリル、ピリミジニル、ピラジニル、テトラゾリル、トリアゾリル及びトリアジニルが挙げられる。ヘテロアリール基は、好ましくは、独立して、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、シアノ、トリフルオロ、カルボン酸又はカルボン酸エステルからなる群から選ばれる1個以上の基で置換されていてもよい。好ましいヘテロアリールは、インドリル、ピロリル、ピリジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、フラニル又はチエニルのような環中に5又は6個の原子を有するものである。
【0184】
本明細書で用いられるような用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素原子を指定する。
【0185】
本発明では、用語「医薬上許容される」は、医薬組成物の調製に有用なもの、及び医薬用途において一般的に安全で非毒性であるものを意味することを意図する。
【0186】
用語「医薬上許容される塩、溶媒和物の水和物」は、本発明の枠組みの中で、上記定義の通り、医薬上許容され、且つ対応する化合物の薬理活性を有する化合物の塩を意味すること意図する。このような塩は:
(1)水和物及び溶媒和物、
(2)無機酸類(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸及びリン酸等);又は有機酸類(例えば、酢酸、ベンゼンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシナフトエ酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムコン酸、2−ナフタレンスルホン酸、プロピオン酸、コハク酸、ジベンゾイル−L−酒石酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、トリメチル酢酸、及びトリフルオロ酢酸等)と形成する酸付加塩、及び
(3)化合物に存在する酸プロトンが金属イオン(例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、又はアルミニウムイオン)で置き換えられているか;或いは有機塩基又は無機塩基が配位する場合に形成する塩を含む。許容される有機塩基は、ジエタノールアミン、エタノールアミン、N−メチルグルカミン、トリエタノールアミン、トロメタミン等を含む。許容される無機塩基は、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムを含む。
【実施例】
【0189】
実施例1:本発明のハイブリッドフマレート−CO−RMの合成:
化合物A:
【0190】
【化44】
【0191】
工程1:下記の調製:
【0192】
【化45】
【0193】
フマル酸モノエチル(1.544 g, 10.78 mmol)、臭化プロパルギル(4.488 g, 37.73 mmol)及び炭酸カリウム(1.851 g, 13.34 mmol)のアセトン(104 mL)溶液を、室温で48時間攪拌する。形成する臭化カリウムをろ去し、溶媒を減圧下で除去する。粗混合物を、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル(8/2 Rf = 0.5)で溶出)で精製し、無色液体として収率68%で期待生成物を得る。
【0194】
NMR (400 MHz) in CDCl
3:
1H δ(ppm): 1.32 (t, 3H,CH
3, J=7,1 Hz) ; 2.52 (t, 1H, CH
, J= 0,1 Hz) ; 4.26 (q, 2H,CH
2, J=7,1 Hz) ; 4.8 (d, 2H,CH
2, J=2,4 Hz) ; 6.86 (d, 1H, CH=CH, J= 15,8 Hz) ; 6.92 (d, 1H, CH=CH, J= 15,8 Hz).
13C δ(ppm): 14.2 (CH
3-CH
2); 52.8 (CH
2O); 61.6 (CH
3-CH
2); 75.6 (CH); 76.8 (C); 132.5 (CH=CH); 134.9 (CH=CH); 164.3 (C=O); 164.8 (C=O).
元素分析: Calc.: C, 59.34; H, 5.53. Found: C, 59.13; H, 5.53.
MS (EI) m/z : [M+H]
+= 183 (17) ; 137 (25,44) ; 127 (100) ; 99,1 (29,44) ; 81,1 (17,05) ; 79,1 (24,25) ; 71,1 (17,94) ; 55 (48,89) ; 53,1 (31,65).
IR (ATR, cm
-1) : 3300, 1663, 1617.
【0195】
工程2:化合物Aの調製
【0196】
【化46】
【0197】
光から保護されたアルゴン不活性雰囲気下のシュレンク管内で、工程1で得られたフマレート(0.1012 g, 0.5560 mmol, 1 eq.)、ジコバルトオクタカルボニル(Co
2(CO)
8, 0.1901 g, 0.5560 mmol, 1 eq.)の無水ジエチルエーテル(2 mL)溶液を、3時間40分間室温で攪拌する(反応完了をTLCでモニターする。)。光を排除して溶媒を減圧下で除去する。粗混合物をシクロヘキサン(15 mL)で処理して、析出したKBrをセライトでろ過する。シクロヘキサンのエバポレーションの後、油状紫黒色残渣を得、分取アルミナクロマトグラフィー(溶離液: ペンタン/ジエチルエーテル: 9/1)で精製する。
【0198】
187.4 mgの油状化合物を得る。101 mgの油状物をヘキサン中で-18℃で再結晶し、赤黒色結晶として70 mgの化合物Aを得る。
【0199】
NMR (400 MHz) in CDCl
3
1H δ(ppm): 1.26 (s, 3H, CH
3); 4.19 (s, 2H, CH
2O) ; 5.35 (s, 2H, CH
2); 6.02 (s, 1H, CH) ; 6.85 (s, 2H, CH=CH).
13C δ(ppm): 13.1 (CH
3-CH
2); 60.4 (OCH
2); 64.8 (CH
3-CH
2); 70.9 (CH); 86.7 (C); 131.6 (CH=CH); 133.6 (CH=CH); 163.3 (C=O); 163.8 (C=O); 197.9 (C=O).
元素分析 : Calc.: C, 38.49 ; H, 2.15. Found: C, 38.45; H, 2.25.
IR (ATR, cm
-1) : 2100, 2050 (CO); 1967 (CO); 1717.
【0200】
化合物B:
【0201】
【化47】
【0202】
工程1:下記の調製:
【0203】
【化48】
【0204】
シュレンク管内で、0.1g (1eq, 7.10
-4mol)の炭酸カリウム及び0.275g (2eq, 1.4 10
-3mol)のテトラエチルアンモニウムブロミド(Et
4NBr)を、10 mLのクロロホルムに溶解し、76μl(1eq, 7.10
-4mol)のフマリルクロリド及び82μl(2eq, 1.4 10
-3mol)のプロパルギルアルコールを順次加える。次いで、溶液を室温で終夜攪拌する。
【0205】
溶媒を減圧下で除去し、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(溶離液: 8/2 シクロヘキサン/酢酸エチル)により、生成物を白色固体として収率50%で得る。
【0206】
1H NMR (CDCl
3): 2.46 (2H, 3Hz, t, H1), 4.74 (4H, 3Hz, t, H3), 6.87 (2H, s, H5)
13C NMR (CDCl
3) : 75.6 (C3), 133.7 (C5), 163.8 (C4)
IR:ν = 1650, 1720 cm
-1
【0207】
工程2:化合物Bの調製
【0208】
【化49】
【0209】
200mg(1.04 10
-3mol)の工程1で得られるフマレートを、光から保護されたシュレンク管内で10mlのクロロホルムに溶解する。ジコバルトオクタカルボニルのクロロホルム溶液(15mlのクロロホルム中で356mg, 1.04 10
-3mol)を室温で滴下し、反応の進行をTLCでモニターする。反応完結後、クロロホルムを圧力下で除去し、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液 6/4 シクロヘキサン/クロロホルム)により赤黒色粉末として生成物を得る。
【0210】
1H NMR (CDCl
3): 6,95 (1H, H5), 6,04 (1H, H1), 5,40 (2H, H3)
13C NMR (CDCl
3): 199 (12C, C6), 164,6 (2C, C4), 133, (2C, C5), 87,9 (2C, C2), 72 (2C, C1), 66,2 (2C, C3)
元素分析: Calc.: C, 34.58; H, 1.06; Found: C, 34.99; H, 1.30.
IR:ν = 2097, 2013, 1714 cm
-1
【0211】
化合物C:
【0212】
【化50】
【0213】
工程1:ナトリウム(2−ヒドロキシエチル)(メチル)カルバモジチオエートの調製
【0214】
【化51】
【0215】
二硫化炭素 (452 μL, 7.5 mmol, 1.5 eq.)の10mL無水THF溶液に、アルゴンの不活性雰囲気下、0℃で2-(メチルアミノ)エタノール(400 μL, 5.0 mmol, 1.0 eq.)を滴下する。0℃での5分間の撹拌後、水素化ナトリウム (鉱油中60%分散体, 200 mg, 5.0 mmol, 1.0 eq.)を小分けにして加える。0℃での30分の攪拌後、混合物を減圧下で濃縮し、シクロヘキサンで洗浄して鉱油を除去し、減圧下で終夜乾燥し、淡黄色粉末(842 mg, 4.9 mmol, 収率97%)を得る。
【0216】
1H NMR (400 MHz, MeOD) δ (ppm): 3,57 (s, 3H, CH
3), 3,87 (t, J = 6 Hz, 2H, CH
2N), 4,27 (t, J = 6 Hz, 2H, CH
2O)
13C NMR (100 MHz, MeOD) δ (ppm): 44,7 (CH
3N), 59,1 (CH
2N), 61,2 (CH
2O), 214,0 (CS
2).
【0217】
工程2:下記の調製
【0218】
【化52】
【0219】
Mn(CO)
5Br (137 mg, 0.50 mmol, 1.0 eq., US 2010/0105770に従って調製したもの)のアルゴンフラッシュメタノール(8 mL)溶液に、工程 1で調製されるナトリウム (2-ヒドロキシエチル)(メチル)カルバモジチオエート(87 mg, 0.50 mmol, 1.0 eq.)を加える。アルゴン不活性雰囲気下45℃での攪拌の3時間30分後、混合物をジエチルエーテルで処理し、セライトでろ過し、濃縮し、黄色油状物(149 mg, 0.47 mmol, 収率94%)を得、さらに精製することなく工程3で用いる。
【0220】
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ (ppm): 3.34 (s, 3H, CH
3N), 3.48 (s, 1H, OH), 3.92 (s, 4H, CH
2N, CH
2O)
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) δ (ppm): 38,5 (CH
3N), 53,4 (CH
2N), 60,3 (CH
2O), 198,7 (CS
2), 208,9 (CO)
55Mn NMR (100 MHz, CDCl
3) δ (ppm): - 993.1
【0221】
工程3:化合物Cの調製
【0222】
【化53】
【0223】
工程2で得られる化合物(149 mg, 0.47 mmol, 1.0 eq.)の無水ジクロロメタン(10 mL)溶液に、アルゴン不活性雰囲気下、(E)-エチル-4-クロロ-4-オキソブタ-2-エノアート(115 mg, 0.71 mmol, 1.5 eq., J. Am. Chem. Soc., 1996, 118, 8266-8277で説明されるように調製したもの)及びトリエチルアミン(99 μL, 0.71 mmol, 1.5 eq.)を加える。アルゴン下20℃での18時間の攪拌後、混合物を減圧下で濃縮する。粗混合物を、ジエチルエーテルで処理し、セライトでろ過する。溶媒のエバポレーション及びシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(溶離液: 酢酸エチル/シクロヘキサン: 3/7 + 0.1 %NEt
3)の後、107 mgの黄色固体を得る(0,24 mmol, 収率51%)。
【0224】
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ (ppm): 1.33 (s, 3H, CH
3C), 3.30 (s, 3H, CH
3N), 4,05 (s, 2H, CH
2N), 4.27 (s, 2H, CH
2O), 4,46 (s, 2H, CH
2O), 6.87 (s, 1H, CH=C), 6,88 (s, 1H, CH=C)
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) δ (ppm): 14,1 (CH
3C), 37,8 (CH
3N), 49,8 (CH
2N), 61,4 (CH
2O), 61,5 (CH
2O), 132,4 (CH=C), 134,9 (CH=C), 164,6 (CO
エステル), 164,7 (CO
エステル), 197,0 (CS
2), 210,1 (CO
金属)
55Mn NMR (100 MHz, CDCl
3) δ (ppm): - 984,5
元素分析: Calc. C (37,93), H (3,18), N (3,16); Found C (38,12), H (3.28), N (3,09).
【0225】
化合物D:
【0226】
【化54】
【0227】
工程1:化合物AO234の調製
【0228】
【化55】
【0229】
[RuCl
2(CO)
3]
2(324 mg, 0.63 mmol, 0.5 equiv.)のメタノール(13 mL)懸濁液に、ナトリウム (2-ヒドロキシエチル)(メチル)カルバモジチオエート(化合物Cの合成の工程1のように調製したもの)(219 mg, 1.26 mmol, 1;0 equiv.)を加えた。アルゴン下20℃での攪拌の3時間後、反応混合物を減圧下で濃縮し、EtOAcに溶解し、セライトでろ過し、減圧下で濃縮し、淡黄色固体として化合物AO234(435 mg, 1.17 mmol)を得、さらに精製することなく次工程で用いた。
【0230】
1H NMR (400 MHz, MeOD) δ 3.96-3.77 (M, 4H, CH
2N, CH
2O), 3.37 (s, 3H, CH
3N).
13C NMR (100 MHz, MeOD) δ 210.27 (CS
2), 188.95 (CO
金属), 188.72 (CO
金属), 59.81 (CH
2O), 55.03 (CH
2N), 38.86 (CH
3N).
【0231】
工程2:化合物Dの調製
【0232】
【化56】
【0233】
化合物AO234(435 mg, 1.17 mmol, 1.0 equiv.)の無水ジクロロメタン(16 mL)溶液に、アルゴン下で、(E)-4-クロロ-4-オキソ-2-ブテン酸エチルエステル (285 mg, 1.76 mmol, 1.5 equiv.)及び4-DMAP(215 mg, 1.76 mmol, 1.5 equiv.)を加えた。アルゴン下40℃での攪拌の17時間後、反応混合物を減圧下で濃縮した。得られた粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン/EtOAc(60/40)で溶離)で精製し、一晩中ベーンポンプで乾燥し、収率50%(2工程)で白色固体として化合物D(312 mg, 0.63 mmol)を得た。
【0234】
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 6.89 (d, J = 21.2 Hz, 1H, CH=C), 6.85 (d, J = 21.2 Hz, 1H, CH=C), 4.48 (m, 2H, CH
2O), 4.30 (m, 1H, CH
2N), 4.26 (q, J = 7.2 Hz, 2H, CH
2O), 3.80 (m, 1H, CH
2N), 3.35 (s, 3H, CH
3N), 1.32 (t, J = 7.2 Hz, 3H, CH
3C).
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) δ 211.09 (CS2), 186.98 (CO
金属), 186.67 (CO
金属), 186.66 (CO
金属), 164.59 (CO
エステル), 164.47 (CO
エステル), 135.07 (CH=C), 132.17 (CH=C), 61.51 (CH
2O), 61.13 (CH
2O), 50.09 (CH
2N), 37.92 (CH
3N), 14.05 (CH
3C). Anal. Calcd for C
13H
14ClNO
7RuS
2 (496.91): C, 31.42; H, 2.84; N, 2.82. Found: C, 31.49; H, 2.80; N, 2.79.
【0235】
化合物E:
【0236】
【化57】
【0237】
工程1:化合物AO83の調製
【0238】
【化58】
【0239】
1-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン(651 mg, 5.00 mmol, 1.0 equiv.)の無水テトラヒドロフラン(15 mL)溶液に、二硫化炭素(452 μL, 7.50 mmol, 1.5 equiv.)をアルゴン下0℃で滴下した。0℃での攪拌の15分後、水素化ナトリウム (鉱油中60%分散体) (200 mg, 5.00 mmol, 1.0 equiv.)を少しずつ加えた。0℃での撹拌の40分後、反応混合物を減圧下で濃縮した。得られた粗生成物を、シクロヘキサンで数回洗浄して鉱油を除去し、次いで、減圧下で濃縮し、一晩中ベーンポンプで乾燥した。淡黄色粉末として収率96%で化合物AO83(1.10 g, 4,82 mmol)を得た。さらに精製することなく次工程で用いた。
【0240】
1H NMR (400 MHz, MeOD) δ 4.46 (t, J = 4.8 Hz, 4H, CH
2N), 3.71 (t, J = 5.9 Hz, 2H, CH
2O), 2.55 (t, J = 5.1 Hz, 6H, CH
2N).
13C NMR (100 MHz, MeOD) δ 60.98 (CH
2N), 59.80 (CH
2O), 54.35 (CH
2N), 51.20 (CH
2N).
【0241】
工程2:化合物AO208の調製
【0242】
【化59】
【0243】
化合物AO83 (318 mg, 1.39 mmol, 1.1 equiv.)のメタノール (20 mL)溶液に、Mn(CO)
5Br(346 mg, 1.26 mmol, 1,0 equiv.)を加えた。アルゴン下45℃での攪拌の3時間後、反応混合物を減圧下で濃縮し、ジエチルエーテルに溶解した。セライトでろ過し、減圧下で濃縮し、収率94%で黄色油状物として化合物AO208(443 mg, 0.32 mmol)を得、さらに精製することなく次工程で用いた。
【0244】
1H NMR (400 MHz, MeOD) δ 3.91 (s, 4H, CH
2N), 3.68 (s, 2H, CH
2O), 2.58 (s, 6H, CH
2N).
13C NMR (100 MHz, MeOD) δ 207.67 (CO
金属), 60.60 (CH
2N), 59.79 (CH
2O), 53.34 (CH
2N), 46.86 (CH
2N).
55Mn NMR (100 MHz, MeOD) δ - 1025.7. Anal. Calcd for C
11H
13MnN
2O
5S
2(372.30): C, 35.49; H, 3.52; N, 7.52. Found: C, 35.64; H, 3.71; N, 7.10.
【0245】
工程3:化合物Eの調製
【0246】
【化60】
【0247】
化合物AO208(247 mg, 0.66 mmol, 1.0 equiv.)の無水ジクロロメタン(9 mL)溶液に、アルゴン下で(E)-4-クロロ-4-オキソ-2-ブテン酸エチルエステル(162 mg, 1.00 mmol, 1.5 equiv.)及び4-DMAP(122 mg, 1.00 mmol), 1.5 equiv.)を加えた。アルゴン下40℃での攪拌の18時間後、反応混合物を減圧下で濃縮し、次いで、ジエチルエーテルに溶解し、セライトでろ過し、減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン/EtOAc (70/30+0.1 %NEt
3)で溶離)で精製し、黄色固体として収率45%で化合物E(151 mg, 0.30 mmol)を得た。
【0248】
1H NMR (400 MHz, C
6D
6) δ 6.96 (s, 2H, CH
2=C), 3.88 (s, 2H, CH
2O), 3.79 (s, 2H, CH
2O), 3.23 (s, 4H, CH
2N), 1.87 (s, 2H, CH
2N), 1.65 (s, 4H, CH
2N), 0.86 (s, 3H, CH
3C).
13C NMR (100 MHz, C
6D
6) δ 206.93 (CO
金属), 164.55 (CO
エステル), 134.27 (CH
2=C), 133.33 (CH
2=C), 61.82 (CH
2O), 61.23 (CH
2O), 55.78 (CH
2N), 51.54 (CH
2N), 45.87 (CH
2N), 13.95 (CH
3C).
55Mn NMR (100 MHz, C
6D
6) δ - 990.3. Anal. Calcd for C
17H
19MnN
2O
8S
2(498.41): C, 40.97; H, 3.84; N, 5.62. Found: C, 41.08; H, 4.06; N, 5.73.
【0249】
化合物F:
【0250】
【化61】
【0251】
工程1:化合物AO228の調製
【0252】
【化62】
【0253】
[RuCl
2(CO)
3]
2(256 mg, 0.50 mmol, 0.5 equiv.)のメタノール(10 mL)懸濁液に、化合物AO83 (228 mg, 1.00 mmol, 1;0 equiv.)を加えた。アルゴン下20℃での攪拌の4時間後、反応混合物を減圧下で濃縮し、EtOAcに溶解し、セライトでろ過し、減圧下で濃縮し、収率87%で淡黄色固体としてAO228(370 mg, 0.87 mmol)を得、さらに精製することなく次工程で用いた。
【0254】
1H NMR (400 MHz, MeOD) δ 3.96 (d, J = 5.0 Hz, 4H, CH
2N), 3.72 (t, J = 5.6 Hz, 2H, CH
2O), 2.76 (s, 4H, CH
2N), 2.68 (s, 2H, CH
2N).
13C NMR (100 MHz, MeOD) δ 188.76 (CO
金属), 188.59 (CO
金属), 60.50 (CH
2N), 59.41 (CH
2O), 52.98 (CH
2N), 47.00 (CH
2N).
【0255】
工程2:化合物Fの調製
【0256】
【化63】
【0257】
化合物AO228(370 mg, 0.87 mmol, 1.0 equiv.)の無水ジクロロメタン(11 mL)溶液に、アルゴン下、(E)-4-クロロ-4-オキソ-2-ブテン酸エチルエステル(211 mg, 1.30 mmol, 1.5 equiv.)及び4-DMAP(159 mg, 1.30 mmol, 1.5 equiv.)を加えた。アルゴン下40℃での攪拌の16時間後、反応混合物を減圧下で濃縮し、EtOAcに溶解し、セライトでろ過し、減圧下で濃縮した。得られた粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン / EtOAc (50/50)で溶離)で精製し、一晩中ベーンポンプで乾燥し、収率40%で白色固体として化合物F(193 mg, 0.35 mmol)を得た。
【0258】
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 6.87 (s, 2H), 4.34 (t, J = 5.6 Hz, 2H), 4.27 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 3.88 (t, J = 4.9 Hz, 4H), 2.75 (t, J = 5.5 Hz, 2H), 2.65 (m, 4H), 1.33 (t, J = 7.1 Hz, 3H).
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) δ 186.78 (CO
金属), 164.82 (CO
エステル), 134.26 (CH
2=C), 133.07 (CH
2=C), 62.09 (CH
2O), 61.47 (CH
2O), 56.06 (CH
2N), 51.88 (CH
2N), 46.48 (CH
2N), 14.11 (CH
3C). Anal. Calcd for C
16H
19ClN
2O
7RuS
2(551.98): C, 34.81; H, 3.47; N, 5.08. Found: C, 35.04; H, 3.59; N, 4.91.
【0259】
化合物G:
【0260】
【化64】
【0261】
シュレンク管中で、アルゴン下20℃で、激しく攪拌しながらナトリウム(30 mg, 1.28 mmol, 2.8 equiv.)を水銀(240 μL)に少しずつ加える。ナトリウムの消失後、無水テトラヒドロフラン(5 mL)を加え、続いてデカカルボニルジマンガン(179 mg, 0.46 mmol, 1.0 equiv.)を加える。20℃で3時間激しく攪拌し、10分間のデカンテーションの後、上層を別のシュレンク管にカニューレで移し、-78℃に冷却し、その後、(E)-4-クロロ-4-オキソ-2-ブテン酸エチルエステル(242 mg, 1.00 mmol, 2.2 equiv.)を滴下した。-78℃で1時間撹拌し、20℃で18時間攪拌した後、混合物を真空中で濃縮する。粗生成物をヘキサン(6 mL)に溶解し、20℃で30分間撹拌し、フリットガラスでろ過し、ろ液を、結晶化のために18時間-18℃で保存する。結晶化された固体を、溶媒を除去することにより回収し、ベーンポンプで簡単に乾燥し、収率5%で橙赤色固体として化合物G(29 mg, 0.090 mmol)を得る。
【0262】
1H NMR (400 MHz, C
6D
6) δ 7.40 (d, J = 15.5 Hz, 1H), 5.87 (d, J = 15.3 Hz, 1H), 3.90 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 0.87 (t, J = 7.2 Hz, 3H).
55Mn NMR (100 MHz, C
6D
6) δ - 1779.7. Anal. Calcd for C
11H
7MnO
8 (322.11): C, 41.02; H, 2.19. Found: C, 40.76; H, 2.50.
【0263】
化合物I:
【0264】
【化65】
【0265】
工程1:化合物AO219の調製
【0266】
【化66】
【0267】
2-(メチルアミノ)エタノール(400 μL, 5.00 mmol, 1.0 equiv.)のクロロホルム(50 mL)溶液に、アルゴン下0℃で、チオニルクロリド(1.09 mL, 15.0 mmol, 3.0 equiv.)を加えた。50℃で17時間攪拌したあと、溶媒が約10 mLになるまで濃縮し、次いで、ジエチルエーテル(40 mL)を析出物に加え、化合物をフリットガラスで回収し、数回ジエチルエーテルで洗浄し、ベーンポンプで一晩中乾燥し、収率87%で白色固体として化合物AO219(567 mg, 4.36 mmol)を得、さらに精製することなく次工程で用いた。
【0268】
1H NMR (400 MHz, MeOD) δ 3.91 (t, J = 5.4 Hz, 2H, CH
2Cl), 3.42 (t, J = 5.4 Hz, 2H, CH
2N), 2.77 (s, 3H, CH
3N).
13C NMR (100 MHz, MeOD) δ 51.46 (CH
2N), 40.22 (CH
2Cl), 33.64 (CH
3N).
【0269】
工程2:化合物AO220の調製
【0270】
【化67】
【0271】
化合物AO219(567 mg, 4.36 mmol, 1.0 equiv.)の水(20 mL)溶液に、アジ化ナトリウム(850 mg, 13.1 mmol, 3.0 equiv.)を加えた。80℃で18時間攪拌した後、水酸化ナトリウム溶液(5%)(5 mL)を加えた。反応混合物をジエチルエーテル(x3)で抽出した。有機層を、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、HCl (ガス)で処理し、濃縮し、ベーンポンプで5時間乾燥し、収率80%で白色固体として化合物AO220(476 mg, 3.48 mmol)を得、さらに精製することなく次工程で用いた。
【0272】
1H NMR (400 MHz, MeOD) δ 3.75 (t, J = 5.6 Hz, 2H, CH
2N), 3.17 (t, J = 5.6 Hz, 2H, CH
2N
3), 2.73 (s, 3H, CH
3N).
13C NMR (100 MHz, MeOD) δ 49.05 (CH
2N), 48.29 (CH
2N
3), 33.66 (CH
3N).
【0273】
工程3:化合物AO222の調製
【0274】
【化68】
【0275】
CuSO
4.5H
2O(864 mg, 3.46 mmol, 1.0 equiv.)の水(40 mL)溶液に、プロパルギルアルコール(313μL, 5.19 mmol, 1.5 equiv.)及びアスコルビン酸ナトリウム(685 mg, 3.46 mmol, 1.0 equiv.)を加えた。20分間攪拌した後、化合物AO220(473 mg, 3.46 mmol, 1.0 equiv.)の水(20 mL)溶液を、反応混合物に加えた。50℃で24時間撹拌し、反応混合物を、フリットガラスでろ過し、ろ液を、ジクロロメタンで洗浄し、次いで、KOHを加えてpHを10に調整し、ろ過後、水溶液を減圧下で濃縮し、ジクロロメタンで数回抽出した。有機層を、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、濃縮し、ベーンポンプで簡単に乾燥し、収率68%で白色固体として化合物 AO222(366 mg, 2.34 mmol)を得、さらに精製することなく次工程で用いた。
【0276】
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.63 (s, 1H, CH=C), 4.80 (s, 2H, CH
2O), 4.46 (t, J = 5.8 Hz, 2H, CH
2N), 3.08 (t, J = 5.8 Hz, 2H, CH
2N), 2.45 (s, 3H, CH
3N), 1.61 (se, 2H, OH, NH).
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) δ 147.46 (C=C), 122.26 (CH=C), 56.73 (CH
2O), 51.04 (CH
2N), 50.01 (CH
2N), 36.00 (CH
3N).
【0277】
工程4:化合物AO224の調製
【0278】
【化69】
【0279】
化合物AO222(366 mg, 2.34 mmol, 1.0 equiv.)の無水テトラヒドロフラン(25 mL)溶液に、アルゴン下0℃で、二硫化炭素(212μL, 3.51 mmol, 1.5 equiv.)を滴下した。0℃で5分間攪拌した後、水素化ナトリウム(鉱油中60%分散体)(94 mg, 2.34 mmol, 1.0 equiv.)を少しずつ加えた。30分間0℃で撹拌した後、反応混合物を減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をメタノール/シクロヘキサン(1/1)混合液に溶解した。層分離した後、メタノール層を、シクロヘキサンで洗浄し、減圧下で濃縮した。粘着性固体を、最小量のジクロロメタンに溶解し、ジエチルエーテルに希釈し、真空中で濃縮し、一晩中ベーンポンプで乾燥し、収率69%で茶色固体として化合物AO224(444 mg, 1.75 mmol)を得、さらに精製することなく次工程で用いた。
【0280】
1H NMR (400 MHz, MeOD) δ 7.93 (s, 1H, CH=C), 4.68 (s, 2H, CH
2O), 4.51 (t, J = 6.2 Hz, 2H, CH
2N), 3.04 (t, J = 6.2 Hz, 2H, CH
2N), 2.39 (s, 3H, CH
3N).
13C NMR (100 MHz, MeOD) δ 149.10 (C=C), 124.51 (CH=C), 56.48 (CH
2O), 51.76 (CH
2N), 50.50 (CH
2N), 35.74 (CH
3N).
【0281】
工程5:化合物AO225の調製
【0282】
【化70】
【0283】
化合物AO224(444 mg, 1.75 mmol, 1.0 equiv.)のメタノール(30 mL)溶液に、Mn(CO)
5Br(487 mg, 1.75 mmol, 1,0 equiv.)を加えた。アルゴン下45℃で3時間攪拌した後、反応混合物を減圧下で濃縮し、酢酸エチルに溶解し、セライトでろ過し、減圧下で濃縮し、収率67%で黄色油状物として化合物AO225(464 mg, 1.16 mmol)を得、さらに精製することなく次工程で用いた。
【0284】
1H NMR (400 MHz, MeOD) δ 7.93 (s, 1H, CH=C), 4.75 (t, J = 5.7 Hz, 2H, CH
2N), 4.67 (s, 2H, CH
2O), 4.26 (t, J = 5.6 Hz, 2H, CH
2N), 3.19 (s, 3H, CH
3N).
13C NMR (100 MHz, MeOD) δ 210.99 (CO
金属), 177.03 (CS
2), 149.30 (C=C), 124.76 (CH=C), 56.50 (CH
2O), 51.63 (CH
2N), 47.86 (CH
2N), 37.31 (CH
3N).
55Mn NMR (100 MHz, MeOD) δ - 1019.2.
【0285】
工程6:化合物Iの調製:
【0286】
【化71】
【0287】
化合物AO225(462 mg, 1.16 mmol, 1.0 equiv.)の無水ジクロロメタン(15 mL)溶液に、アルゴン下で、(E)-4-クロロ-4-オキソ-2-ブテン酸エチルエステル(282 mg, 1.74 mmol, 1.5 equiv.)及び4-DMAP(213 mg, 1.74 mmol, 1.5 equiv.)を加えた。16時間攪拌した後、アルゴン下40℃で、反応混合物を減圧下で濃縮した。得られた粗生成物を、シクロヘキサンで洗浄し、乾燥し、最小量のジクロロメタンに溶解し、析出させるためにシクロヘキサンで希釈した。ろ過及び乾燥した後、残渣を酢酸エチルで抽出した(x6)。有機層を、セライトでろ過し、減圧下で濃縮し、ベーンポンプで乾燥し、石油エーテル及び酢酸エチルの混合液中で結晶化し、収率25%で黄色固体として化合物を得た。
【0288】
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 6.96 (d, J = 16.0 Hz, 1H, CH=C), 6.91 (d, J = 15.9 Hz, 1H, CH=C), 6.81 (s, 1H, CH=C), 5.12 (s, 2H, CH
2O), 3.86 (q, J = 7.2 Hz, 2H, CH
2O), 3.53 (t, J = 6.2 Hz, 2H, CH
2N), 3.11 (t, J = 6.1 Hz, 2H, CH
2N), 2.14 (s, 3H, CH
3N), 0.85 (t, J = 7.2 Hz, 3H, CH
3C).
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) δ 205.06 (CO
金属), 164.75 (CO
エステル), 164.74 (CO
エステル), 143.09 (C=C), 134.65 (CH=C), 132.88 (CH=C), 124.55 (CH=C), 61.14 (CH
2O), 58.38 (CH
2O), 50.24 (CH
2N), 45.85 (CH
2N), 36.98 (CH
3N), 13.92 (CH
3C).
55Mn NMR (100 MHz, CDCl
3) δ - 1011.8.
【0289】
実施例2:本発明の化合物によるCO放出評価
化合物A及びBによるミオグロビン酸化アッセイにおけるCO放出評価:
ミオグロビン(凍結乾燥されたウマの心臓;最終濃度44μM)を、キュベットにおいて500μM原液から1xリン酸緩衝食塩水(PBS、pH7.4)で調製し、亜ジチオン酸ナトリウムを加えることによりデオキシミオグロビン(deoxyMb)に変換した。溶液を、アッセイ中、JASCO温度制御装置を用いて分光光度計チャンバー内で37℃に維持した。deoxyMbスペクトルを記録し、560nmの特徴ピークを明らかにした。次いで、2倍過剰のCO−RM分子を、キュベットに加え、最大一酸化炭素ミオグロビン(Mb−CO)スペクトル(飽和Mb−CO)を得た。予想されたMb−COスペクトルの通り、542及び576nmの代表的な吸収ピークが観察された。化合物A、化合物B(30μM)又は下記式:
【0290】
【化72】
【0291】
のWO2012/076696のクルクミンCO−RM(30μM)からのCO放出を、化合物を44μMのdeoxyMbに加えることにより測定した。CO、又はミオグロビンへのCO結合と競合する酸素の拡散損失を防ぐために溶液を400μlのオリーブ油で覆った。化合物添加直後及び連続時点でサンプルをスキャンし、Mb−CO(μM)の形成をモニターした。
【0292】
生のMb−COデータを、CO放出化合物の吸光度のシフトを相殺するために4点非線形回帰法を用いて補正した。各時点のMb−COの濃度を、前述のような、540nmの吸光度の値、及び飽和Mb−COスペクトルに由来の吸光係数を用いて計算した
5。Mb−CO濃度(μM)を時間(分)に対してプロットし、t
1/2を、ボルツマンS字状非線形回帰曲線を当て嵌めることによりGraphPad Prismソフトウエアversion 5.0(カリフォルニア州サンディエゴ)を用いて決定した。t
1/2は、アッセイ条件下で形成するMb−COの最大値の半値と等しいMb−CO濃度となるのに要する時間を示す。
【0293】
540及び578nmの吸収ピークの存在は、CO−RM分子より放出された一酸化炭素によるMbCOの形成を示す。
【0294】
結果を
図1A〜Cに示す。
【0295】
これらの結果により示されるように、化合物A及び化合物Bは、一酸化炭素を放出する。その一方で、WO2012/076696のクルクミン誘導体は、放出しない。
【0296】
また、CO放出量を化合物A及びBに対する時間関数として測定した。結果を
図6に示す。
【0297】
結果は、化合物Aが、化合物Bに比べてより速い速度でCOを放出することを示す。しかしながら、最終的に放出するCOの量は、2つの二金属カルボニル錯体の存在により、化合物Bの場合がはるかに高い。
【0298】
したがって、式(Ia)の一金属ハイブリッドは、式(Ic)の二金属ハイブリッドに比べてより速い速度でCOを放出すると結論付けることができる。しかしながら、最終的に放出するCOの量は、2つの二金属カルボニル錯体の存在により、化合物(Ic)の場合にはるかに高い。したがって、式(Ia)の化合物は、速い生物活性(バースト効果)で有利である。しかしながら、式(Ic)の二金属ハイブリッドは、より長い時間にわたってCOをより放出することができる。そのため、持続的生物活性で有利である。
【0299】
COP−1アッセイで化合物Cに曝されたBV2ミクログリアにおけるCO検出
COの放出を検出するために、BV2ミクログリア細胞(10
6細胞/ml)を1回洗浄し、Ca
2+及びMg
2+を含むPBSとインキュベートし、次いで化合物C及び下記式:
【0300】
【化73】
【0301】
のWO2008/003953(5μM)の比較化合物CORM−401で37℃暗所中にて15分間処理した。次いで、細胞に、37℃暗所中で30分間CO感受性蛍光性プローブCOP−1(0.001mM)をロードした。結果を、フローサイトメトリーを用いる補正平均蛍光強度(MFIc)として示す。MFIc=MFI
染色処理細胞−MFI
COP−1バックグラウンド。
【0302】
結果を
図1Dに示す。
【0303】
これらの結果が示すように、化合物Cは、WO2008/003953の比較化合物CORM−401に比べて有意により一酸化炭素を放出する。
【0304】
これらの結果は、本発明の化合物のフマレート部分が、in celluloでの一酸化炭素放出に対して陽性の効果をもたらすことを証明する。また、これらの結果は、フマレート部分のCO放出分子(CORM)との組み合わせが、一酸化炭素放出に対する相乗作用を有することを証明する。
【0305】
実施例3:化合物A及びBの生物活性評価
実施例3.1a:化合物A及びBを用いたヘムオキシゲナーゼ活性評価
ヘムオキシゲナーゼ活性を、464と530nmの吸光度の差異としてビリルビンの形成を測定する分光光度アッセイにより測定した(ビリルビン40mM
−1・cm
−1の吸光係数)。BV2ミクログリアを、増加濃度の化合物Aで6時間インキュベートした。インキュベートした後、細胞を、2mM MgCl
2を含む氷冷PBS(pH7.4)に回収し、−80℃で保存した。細胞サンプルを、PBS/MgCl
2、ヘムオキシゲナーゼ基質としての20μMヘミン(Frontier Scientific、デラウェア州ニューアーク)、ビリベルジンレダクターゼのソースとしてのラット肝サイトゾル、2mMグルコース−6−ホスフェート、0.5U/mlグルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ及び0.8mM NADPHを含む反応混合物中で37℃暗所にて1時間インキュベートした。反応を、1ml純クロロホルムを加えて停止し、ビリルビンのみを含む溶液をボルテックス遠心分離サイクルで抽出した。ビリルビンの形成に対応する吸光度の値を、Ultraspec
TM 500pro可視分光光度計(GEヘルスケアライフサイエンス)を用いて得た。データをピコモルのビリルビン/mgタンパク質/hとして示した。タンパク質濃度を、Pierce BCAタンパク質アッセイキット(サーモサイエンティフィック)を用いて測定した。
【0306】
結果を
図2Aに示す。
【0307】
結果は、化合物Aが5μMという低濃度で有意にHO−1活性を向上させることを示す。
【0308】
実施例3.1b:化合物Cのヘムオキシゲナーゼ活性評価
化合物Cのヘムオキシゲナーゼ活性を、上記のように測定し、比較化合物CORM−401及び比較フマレート誘導体(化合物J)と比較した。
【0309】
【化74】
【0310】
結果を
図2Bに示す。
【0311】
これらの結果は、化合物Cが、1μMという低濃度でHO−1活性を有意に向上させることを示す。さらに、化合物Cが、どんなCORMも含まないフマレート誘導体である比較化合物Jと比較してHO−1活性を向上させることを示す。したがって、これは、フマレート部分及びCO放出分子(CORM)の組み合わせがヘムオキシゲナーゼ活性に対する相乗作用を有することを証明する。
【0312】
実施例3.2:炎症に対する化合物A、化合物B及び化合物Cの効果:亜硝酸生成の測定
亜硝酸生成(炎症指標)を、増加濃度の化合物A又は化合物Bの存在下或いは不存在下でリポ多糖(LPS、1μg/ml)で24時間処理したBV2細胞で測定した。インキュベーションの終わりに、亜硝酸レベルをGriess法を用いて測定した
12,14。簡単に述べると、細胞プレートを、10,000xgで5分間遠心分離した。細胞を含まない上清を、等量のGriess試薬(2mM N−(1−ナフトイル)エチレンジアミド、30mM スルファニルアミド及び140mM o−リン酸)で室温にて10分間インキュベートした。吸光度を560nmで測定した。亜硝酸濃度(μM)を亜硝酸ナトリウムの標準曲線から計算した。
【0313】
結果を
図3に示す。
【0314】
化合物Aは、LPS媒介の亜硝酸の蓄積を著しく減少させた。これは、Co
2(CO)
6基が、亜硝酸レベルの減少に寄与していることを示す。驚くべきことに、化合物Bも、濃度依存的に亜硝酸の生成を減少させたが、化合物Aと同等に効果的ではなかった。
【0315】
また、下記式のWO2012/076696のクルクミン誘導体を用いた比較アッセイで、化合物Cが亜硝酸レベルを低下させるその能力を評価した。
【0316】
【化75】
【0317】
結果を
図3Cに示す。
【0318】
これらの結果から明らかなように、亜硝酸生成の同様の低下が、2.5μMの化合物Cと5μMのクルクミン誘導体で観察されるため、化合物Cは、WO2012/076696のクルクミン誘導体よりも有意に活性がある(ほぼ2倍)。
【0319】
化合物Cについて、比較化合物CORM−401及び上述の比較化合物Jを用いた比較アッセイで亜硝酸レベルを低下させるその能力を評価した。
【0320】
結果を
図3Dに示す。
【0321】
表1.比較化合物ジメチルフマレート、比較化合物J及び化合物Aの抗炎症能の比較
【0322】
【表1】
【0323】
亜硝酸レベルを、0.5μg/mlリポ多糖(LPS)、±5μMの比較化合物ジメチルフマレート、比較化合物J又は化合物Aで24時間インキュベーションした後の細胞で測定した。全ての値(平均±SEM)をLPS単独での割合として示す。
【0324】
【数1】
【0325】
これらの結果から明らかなように、亜硝酸生成のほぼ同様の減少が、1μMの化合物C及び5μMのフマレート誘導体Jで観察されるので、化合物Cは、フマレート誘導体(比較化合物J)よりも有意に活性がある(ほぼ5倍)。さらに、比較化合物CORM−401は活性がない。
【0326】
また、化合物Aを、亜硝酸生成アッセイでジメチルフマレート誘導体(比較化合物J)と比較した。表1で示されるように、化合物Aは、LPS(63,3%)により引き起こされる炎症の有意な減少をもたらす。これは、同じ濃度のジメチルフマレート誘導体(比較化合物J)によりもたらされる減少の3倍を超える。したがって、これらの結果は、フマレート部分のCORMとの組み合わせが、疾患治療、特に、炎症治療で大きな利益をもたらすことを証明する。
【0327】
下記式:
【0328】
【化76】
【0329】
のWO2008/003953のCORM誘導体を、比較亜硝酸生成アッセイで評価した。
【0330】
図3Eに示すように、WO2008/003953の化合物364は、100μMという高い濃度で50%未満亜硝酸の生成を減少させることができる。したがって、WO2008/003953の化合物364は、5μMという低濃度で60%を上回る亜硝酸生成減少を示す本発明の化合物Aよりも非常に活性が低い(表1)。
【0331】
実施例3.3:本発明の化合物の細胞毒性評価
RAWマクロファージに対する化合物A及び化合物Bの細胞毒性評価
細胞毒性を、損傷細胞から放出した乳酸デヒドロゲナーゼを測定するための細胞毒性検出キット(LDH)(Roche Applied Science)を用いて、増加濃度の化合物A又は化合物Bでのインキュベーションの24時間後にBV2ミクログリア細胞で及び下記式:
【0332】
【化77】
,
【0333】
のWO2012/076696のクルクミン誘導体を伴うRAWマクロファージで評価した。培地に調製したX−100トリトン溶液(2%)を陽性対照(100%細胞毒性)として使用した。アッセイを製造業者の説明書に従って行った。簡単に述べると、インキュベーション後に、細胞プレートを、5分間300xgで遠心分離した。100μlの細胞を含まない上清を96ウェルプレートに移した。反応混合物を上清に加え、プレートを、10分間穏やかに振盪しながら室温で暗所内にてインキュベートした。吸光度を485nmで測定した。
【0334】
データは、2%トリトン(100%毒性)で細胞を処理することにより放出するLDHのパーセンテージとして示す。
【0335】
結果を
図4に示す。
【0336】
化合物Aの細胞毒性は、50μM以下の濃度では有意ではない。
【0337】
化合物Bが、100μMの濃度でのみ細胞毒性を示し、この濃度以下では細胞毒性を示さない。
【0338】
対照的に、WO2012/076696のクルクミン誘導体は、RAWマクロファージでは20μMの濃度ですでに細胞毒性を示す。
【0339】
ケラチノサイト細胞での化合物Aの細胞毒性評価
細胞毒性を、増加濃度の化合物Aでのインキュベーションの24時間後にケラチノサイト細胞で評価した。
【0340】
ヒトケラチノサイト(HaCaT細胞)を、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、1%ピルビン酸ナトリウム及び10%ウシ胎仔血清を加えたダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)で培養した。コンフルエンスで細胞をPBSで洗浄し、実験プロトコルに従って、異なる濃度及び異なる時間、化合物Aで処理した。化合物Aを、完全培地において最終濃度0.1%でDMSOに溶解した。
【0341】
24ウェルプレートで細胞が密集したときに、培地を新鮮培地に置き換え、その後、異なる濃度(1〜100μM)の化合物Aで24時間処理した。細胞を加湿5%CO
2中37℃で終夜インキュベートした。DMSO100%を陽性対照として用いた。24時間後、細胞を、1時間30分MTT溶液(0.5mg/ml)でインキュベートした。生細胞のMTTでの処理により、暗青色ホルマザン生成物が生成した一方で、死細胞では染色が観察されない。
【0342】
結果を
図4Eに示す。
【0343】
化合物Aの細胞毒性は、50μM以下の濃度では有意ではない。
【0344】
THP−1細胞での化合物Aの細胞毒性評価
細胞毒性を、増加濃度の化合物Aでのインキュベーションの24時間後にTHP−1細胞で評価した。
【0345】
ヒト単球(THP−1細胞)を、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、1%ピルビン酸ナトリウム及び10%ウシ胎仔血清(RPMIc)を加えたRPMI1640−Glutamax培地で培養した。コンフルエンスで細胞をPBSで洗浄し、実験プロトコルに従って、異なる濃度及び異なる時間、化合物Aで処理した。化合物Aを、完全培地において最終濃度0.1%でDMSOに溶解した。
【0346】
処理前に、細胞を、RPMIで1回洗浄し、カウントし、次いで、1x10
6細胞/mlで播種した。次いで、細胞を、異なる濃度(1〜100μM)の化合物Aで24時間処理した。24時間後、異なる条件の上清を回収した。LDHアッセイを、製造業者の説明書に従い、細胞毒性検出キット(LDH)(独国ロシュ)を用いて評価した。トリトン2%を陽性対照として用いた。
【0347】
結果を
図4Eに示す。
【0348】
化合物Aの細胞毒性は、100μM以下の濃度では有意ではない。
【0349】
実施例3.4:Nrf−2発現の評価
化合物A、化合物B、化合物Cにより誘導されるNrf−2発現、並びに化合物A及び化合物Cにより誘導されるHO−1発現の評価
BV2ミクログリアを、20μMの化合物A又は化合物Bで2時間インキュベートし、Nrf2の核転座を評価した。核フラクションを、製造業者の説明書に従い、Active Motif(ベルギーのラ・フルプ)の核抽出キットを用いて単離し、−80℃で保存した。タンパク質濃度を、Pierce BCAタンパク質アッセイキット(サーモサイエンティフィック)を用いて測定した。
【0350】
HO−1タンパク質発現を測定するために、BV2ミクログリアを、増加濃度の化合物Aで6時間インキュベートした。インキュベーション後に、細胞を、氷冷DPBS(−Ca,−Mg;Gibco(登録商標)細胞培養、ライフテクノロジーズ)で洗浄し、細胞溶解緩衝液(50mM HEPES、150mM NaCl、50mM NaF、50μM Na
3VO
4、1%v/vトリトンX−100及び1%哺乳動物のプロテアーゼ阻害剤)中で4℃で30分間インキュベーションしながら溶解した。溶解物を4℃にて15,000xgで10分間遠心分離した。上清を回収し、−80℃で保存した。タンパク質濃度を、Pierce BCAタンパク質アッセイキット(サーモサイエンティフィック)を用いて測定した。
【0351】
核抽出液(50μgタンパク質/サンプル)及び全細胞溶解物(20μgタンパク質/サンプル)を、10又は12%アクリルアミドゲル剤それぞれに溶解し、タンパク質をポリビニリデンジフルオリド膜(Millipore、ベルギーのブリュッセル)に移した。膜を、0.1%v/vTWEEN20及び5%w/v脱脂粉乳を含む1xトリス緩衝食塩水(pH7.5)中で室温にて1時間ブロックし、Nrf2のための以下の一次抗体で4℃にて終夜インキュベートした:クローンC−20ラビットポリクローナル(サンタクルーズバイオテクノロジー)。次いで、膜を、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(ヤギ抗マウス又は抗ウサギ(Cell Signaling Technology)又はロバ抗ヤギ(Jackson ImmunoResearch))に結合した二次抗体と室温で1時間インキュベートした。バンドを、化学発光基質(Pierce ECL(登録商標)、サーモサイエンティフィック又はRevelBlOt(登録商標) Intense、Ozyme)を用いて検出し、G:Box F3 Imagery Station及びGeneSysソフトウエア(Syngene、英国ケンブリッジ)を用いて画像を撮影した。
【0352】
結果を
図5A〜Cに示す。
【0353】
BV2ミクログリア細胞の20μMの化合物Aに対する2時間の曝露は、核内でのNrf2の蓄積を強力に促進させる。さらに、処置の6時間後、化合物Aは、HO−1タンパク質発現の濃度依存性の増加をもたらす。化合物Bは、Nrf2活性剤及びHO−1誘導剤の何れとしてもあまり効果的ではなかった。
【0354】
これらの実験は、化合物A、化合物B及び化合物Cが、毒性濃度範囲をはるかに下回る濃度でNrf2/HO−1軸を介するHO−1の強力な活性剤及びHO−1タンパク質発現誘導剤であることを証明する。
【0355】
さらに、化合物Cの活性を比較化合物CORM−401及びJと比較すると、同一の濃度(5μm)で、化合物Cは、Nrf2及びHO−1の活性化が、フマレート誘導体(比較化合物J)及び比較化合物CORM−401よりも強力であることを示す(
図5C)。
【0356】
ケラチノサイト細胞における化合物CによるNrf2及びHO−1の誘導
ケラチノサイト細胞の5μMの化合物Cに対する曝露は、核中でのNrf2の蓄積及びHO−1タンパク質の発現を経時的に強力に促進する(
図5D)。
【0357】
これらの実験は、化合物Cが、ケラチノサイト細胞において、毒性濃度範囲をはるかに下回る濃度で、Nrf2/HO−1軸を介するHO−1の強力な活性剤であることを証明する。従って、炎症性疾患、特に、創傷治癒又は乾癬のような皮膚の炎症の治療に有用であり得る。
【0358】
THP−1における化合物CによるNrf2及びHO−1の誘導
ケラチノサイト細胞及びBV2ミクログリア細胞に関し、THP−1細胞の化合物Cに対する6時間の曝露は、核中でのNrf2の蓄積及びHO−1タンパク質発現を強力に促進した(
図5E)。さらに、比較化合物JでのHO−1活性化と比較した場合、化合物Cは、5μMの化合物Cから始まるHO−1タンパク質発現の濃度依存的な増大を誘導した。その一方で、この濃度の10倍が、比較化合物Jと同様の結果が観察されるのに必要である。
【0359】
これらの実験は、化合物Cが、THP−1細胞においてもNrf2/HO−1軸を介するHO−1の強力な活性剤であることを証明する。
【0360】
従って、本発明の化合物が、炎症性疾患の治療に用いることができるということが証明された。
【0361】
THP−1における化合物A、B及びCによるNrf2及びHO−1の誘導
THP−1細胞を、異なる濃度の化合物A、B、及びCに6時間曝露した。BV2ミクログリア細胞で上記に示すように、化合物A及びCは、HO−1タンパク質発現及びNrf2活性化の濃度依存的な増大を誘導した。その一方で、化合物Bは、Nrf−2活性剤及びHO−1誘導剤の何れとしてもあまり効果的ではなかった(
図5F)。
【0362】
これらの実験は、化合物A及び化合物Cのような1つのみのCORM基を含む本発明の化合物(モノCORMとしても言及される、即ち、式(I)の化合物(ただしR
1が−Q’−Yを示す。))が、Nrf2の強力な活性剤及びHO−1タンパク質発現の誘導剤であることを証明する。
【0363】
実施例4:LPSで処理したヒトマクロファージにおけるTNF−α生成に対する本発明の化合物の評価
ヒトTHP−1細胞(ATCC;#TIB−202)を、10%ウシ胎仔血清、1%ピルビン酸ナトリウム、1%ペニシリン−ストレプトマイシン及び50μM β−メルカプトエタノールを加えたRPMI 1640 GlutaMax(Gibco、フランス)中で、37℃、5%CO2に維持した。細胞を、24ウェルプレートに播種し(5×105/ウェル/ml)、ホルボールミリスタートアセタート[PMA(50ng/ml)]で24時間処理して、マクロファージ分化を誘導した。次いで、ヒトマクロファージを、PBSで洗浄し、培地でインキュベートし、LPS単独で又は様々な化合物の存在下のLPSで24時間処理した。培地を24時間後に回収し、−20℃で保存した。TNF−αのELISAアッセイを、製造業者の説明書(BD OptEIA Set)に従って行った。簡単にいうと、プレート(F96 maxisorp−Nunc−immuno、Thermofischer)を、捕捉抗体で終夜コーティングした。次いで、プレートを、PBS/tween0.05%で洗浄し、PBS/FBS10%を用いて37℃で1時間飽和させた。数回洗浄した後、標準及びサンプルを、室温で2時間インキュベートした。その後、検出抗体及びストレプトアビジンHRPを、室温で1時間インキュベートした。終わりに、基質(TMB)を加え青色にした。反応を硫酸で停止させ、黄色にした。プレートを、マイクロプレートリーダーを用いて450nmで読み取った。結果を、1mlあたりのピコグラムで表した。
【0364】
図7に示されたように、ヒトマクロファージのLPSに対する24時間の曝露により、炎症のマーカーであるTNFアルファの生成の有意な増加がもたらされた。この効果は、マクロファージを増加濃度(1〜10μM)の化合物C、D又はEで同時処理した場合に有意に減少した。化合物Dが、試験した3つの化合物のうち最も効果的であるようであった。
【0365】
実施例5:LPSで処理したTHP−1細胞におけるTNF−αの生成に対する本発明の化合物の評価
実施例3.3のように培養されたヒトTHP−1細胞を、LPS(100μg/ml)単独で又は5μMの化合物C、化合物E又は比較のジメチルフマレート(DMF)の存在下で24時間処理した。
図8に示されるように、化合物C及び化合物Eの両方で、TNF−αの生成が有意に減少した。
その一方で、ジメチルフマレート(DMF)は、いかなる効果もなかった。