(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記補正処理部は、前記曲線化最外周線上に設定された複数の点のうち隣り合う3点を抽出し、前記3点のうち両端の点を結んだ線と、前記3点のうち中間の点と前記セミフィニッシュレンズの中心とを通る線と、の交点に対して、前記中間の点が所定長さ内側にある場合に前記中間の点を前記交点に置換して前記曲線化最外周線を補正する、請求項5に記載のレンズ形状生成装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。また、図面においては、適宜、一部分を大きくまたは強調して記載するなど縮尺を変更している。上記した特許文献1は、セミフィニッシュレンズから円もしくは楕円形状の中間レンズを作成するものである。この円もしくは楕円形状の中間レンズにおける幾何中心は、通常、セミフィニッシュレンズの幾何中心と一致するように設定され、その外形がセミフィニッシュレンズに比べて小さくなるため、最終的に得られる玉型レンズの縁厚を薄くするのに一定の効果がある。円もしくは楕円形状の中間レンズは、通常、セミフィニッシュレンズの第1面または第2面に固定治具を取り付け、カーブジェネレーター(CG)によって固定治具取り付け面と反対側の面を処方に合わせて研削する際、同時に外形も円もしくは楕円形状にカットされることにより得られる。そのため、中間レンズは玉型形状のみならず、この固定治具の外縁を包括する大きさの楕円形状に設定せざるを得ず、玉型レンズの縁厚を薄くするにも限界があった。そこで、本実施形態では、研磨に際して研磨パッドの負担が増加するのを避けつつ、円もしくは楕円形状の中間レンズを加工する場合よりも眼鏡レンズをより薄くすることが可能な中間レンズ形状生成装置、眼鏡レンズ製造システム、中間レンズ形状生成方法、眼鏡レンズ製造方法、及び中間レンズを提供する。
【0014】
まず、本実施形態に係る中間レンズについて説明する。中間レンズは、セミフィニッシュレンズから眼鏡フレームに取り付けられる眼鏡レンズを製造する工程における中間段階のレンズである。
図1は、実施形態の眼鏡レンズの各製造過程における形状の例を示す図である。
図1(A)の符号SFは、セミフィニッシュレンズであり、
図1(B)の符号ML1は、実施形態に係る中間レンズであり、
図1(C)の符号ELは、玉型眼鏡レンズである。以下の説明において、各レンズのうち、物体側の面を第1面Saと称し、第1面Saと反対側(眼球側)の面を第2面Sbと称する。眼鏡レンズは、例えば、第1面Saの形状と第2面Sbの形状の双方が処方値に応じた形状に加工されたレンズである。
図1(B)の中間レンズML1は、第1面Saの形状と第2面Sbの形状の少なくとも一方が処方値に応じた形状に加工される前のレンズである。
図1(C)の玉型眼鏡レンズELは、例えば、上述の眼鏡レンズのうち、外形がフレームの形状に合わせて加工されたレンズである。
【0015】
図1(A)に示すセミフィニッシュレンズSFはレンズブランクあるいはレンズブロックなどと呼ばれることもあり、例えば、強化ガラス母型の内部に原料モノマーを注入し、重合(硬化)させることで形成される。セミフィニッシュレンズSFは、一般的には物体側の第1面Saが所定のカーブの球面、回転対称非球面、もしくは累進面(自由曲面)として形成されており、もう一方の眼球側の第2面Sbが処方値に応じた形状へ加工される。なお、セミフィニッシュレンズSFは、第1面Saおよび第2面Sbの双方が処方値に応じた形状へ加工(両面加工)されるものでもよい。セミフィニッシュレンズSFの平面形状は、
図1(A)の例では円形であるが、楕円形状あるいはその他の形状でもよい。セミフィニッシュレンズSFは光学面として完成された第1面Saに対して低融点合金AMを介して固定治具TLに貼り付けられ(ブロッキング工程)、加工工程に移される。加工工程ではまずセミフィニッシュレンズSFの第2面Sbがカーブジェネレーター(CG)によって研削された後、研磨工程で研磨されることにより処方を満たす光学面が形成される。
【0016】
図1(B)に示す中間レンズML1は、セミフィニッシュレンズSFから眼鏡フレームに取り付けられる眼鏡レンズ(例、
図1(C)の玉型眼鏡レンズEL)を製造する工程における中間段階のレンズである。
図1(B)中の符号ML3は比較例の中間レンズであり、平面形状が楕円形状である。比較例の中間レンズML3は、例えば、研削工程で使用されるカーブジェネレーター(CG)によりセミフィニッシュレンズSFの外周を加工することで、得られる。すなわち、セミフィニッシュレンズSFは同一の加工機により、第2面の研削加工と外周加工が行なわれる。
【0017】
実施形態に係る中間レンズML1は、その外縁部分が最外周線OLに沿って切削された外形である。最外周線OLは、光学面の研削加工および外周加工時に取り付けられる固定治具TLの外縁に対応する第1形状線ALと、眼鏡フレームの形状に対応する第2形状線FLとに基づいて、両者を組み合わせた線である。
【0018】
図1(C)の玉型眼鏡レンズELは、例えば、
図1(B)の中間レンズML1の第2面Sbが処方値に応じて加工された後、適宜、ハードコート膜や反射防止膜などを形成した後、外形をフレームの形状に合わせて玉摺り加工したレンズである。玉型眼鏡レンズELは、フレームへの取付用にヤゲン、ツーポイント用の取付穴などが形成されたものでもよい。
【0019】
ところで、厚みが外縁(エッジ、外周)に向かうにつれて薄くなるプラスレンズの場合、カーブジェネレーター(CG)での研削加工後、レンズの外縁がナイフエッジになることがある。ナイフエッジは、例えば、外縁の厚みETが0.2mm以下、あるいは0.1mm以下のものである。研削加工後のレンズに対して研磨処理を行う場合、外縁がナイフエッジであると、例えば、研磨部材の消耗が激しくなり、製造コストの増加を招くことがある。従って、カーブジェネレーター(CG)での研削加工は、レンズ外縁において、一定の厚みを確保するように加工される。ここでもし、研削工程が、中間レンズを経ないでセミフィニッシュレンズSFの外径のまま加工される場合、70~85φの外形全ての外縁において、一定の厚みを確保する必要があり、結果的にレンズの中心厚が厚くなってしまう。
【0020】
図1(B)の楕円形状の中間レンズML3を加工してから研削する場合は、セミフィニッシュレンズSFに比べて外径が小さくなる。特に縦方向の径が小さくなるため、この方向においてレンズの縁厚が最小になるような処方の場合、この小さくなった外径で縁厚を確保すれば良いので、結果としてレンズの中心厚を薄くすることが出来る。実施形態に係る中間レンズML1は、第1形状線ALと第2形状線FLとに基づいて、両者を組み合わせた最外周線OLに沿って切削された外形になっており、比較例の中間レンズML3に比べてさらに外径を小さくすることが出来る。特に
図1(B)において、領域AR1、領域AR2、領域AR3で示した部分は特に外径を小さくすることのできる部分である。領域AR1は、中間レンズML1に対して鼻側あるいは耳側の部分である。領域AR2および領域AR3は、第1形状線AL(アロイ外形)から第2形状線FL(フレーム形状)が突出する部分に対して、額側あるいは顎側の部分である。この方向において縁厚が最小になるような処方の場合、特に効果的で、より中心厚の薄いレンズを得ることが可能となる。
【0021】
次に、
図2は、実施形態に係る中間レンズ形状生成装置1の一例を示すブロック図である。中間レンズ形状生成装置1は、セミフィニッシュレンズSFから眼鏡フレームに取り付けられる眼鏡レンズ(例、
図1(C)の玉型眼鏡レンズEL)を製造するための中間レンズML1の形状(中間レンズ形状ML1F)を生成する。中間レンズ形状生成装置1は、例えば、形状生成部2、曲線化処理部3、補正処理部4、及び記憶部5を備える。
【0022】
図3は、形状生成部2の処理の一例を示す図である。形状生成部2は、第1形状線ALと第2形状線FLとに基づいて、両者を組み合わせた1次生成曲線OL1(
図3(B)参照)を中間レンズ形状情報として生成する。1次生成曲線OL1は、中間レンズML1の外周(最外周線OL)の1つの形態である。第1形状線ALは、セミフィニッシュレンズSFの第1面Saまたは第2面Sbに取り付けられる固定治具TL(
図1(B)参照)の外縁に対応する。固定治具TLは、例えば、第1面Saと第2面Sbのうち、加工対象の面の反対側の面に取り付けられる。第1形状線ALは、例えば、セミフィニッシュレンズSFと固定治具とを低融点金属AM(例、アロイ)などにより接着する際に、低融点金属AMが設けられる領域(以下、アロイ形状という)の外周に相当する。第2形状線FLは、眼鏡フレームの形状に対応する。中間レンズ形状MLFは、例えば2次元座標上においてフレーム形状(第2形状線FL)とアロイ形状(第1形状線AL)を重ねた形状を含む。ここで、第1形状線ALと第2形状線FLとの交点を交点CP1、交点CP2とする。1次生成曲線OL1は、第1形状線ALのうち、交点CP1と交点CP2との間において第2形状線FLより外側の部分OL1aを含む。また、1次生成曲線OL1は、第2形状線FLのうち、交点CP1と交点CP2との間において第1形状線ALより外側の部分OL1bを含む。
【0023】
形状生成部2は、例えば、固定治具情報および眼鏡フレーム情報に基づいて、最外周線OLの形状および寸法を示す情報を生成する。固定治具情報および眼鏡フレーム情報は、例えば、中間レンズ形状生成装置1(
図2参照)の外部から供給され、記憶部5に記憶される。形状生成部2は、記憶部5から固定治具情報および眼鏡フレーム情報を読出し、最外周線OLを示す情報を生成する。
【0024】
固定治具情報は、例えば、固定治具TL(
図1(B)参照)の形状および寸法を含む。固定治具TLは、例えば、中間レンズML1と接着される面の外形が円形である。固定治具TLは、例えば、その中心を、中間レンズML1においてセミフィニッシュレンズSFの中心GC(幾何中心)と合わせて、中間レンズML1と接着される。中間レンズML1においてアロイが設けられる領域は、例えば、固定治具TLと同心の円形であり、その寸法が固定治具TLの寸法に応じて定められる。形状生成部2は、例えば、アロイが設けられる領域の外周を第1形状線ALに設定する。第1形状線ALの中心は、例えば、セミフィニッシュレンズSFの中心GCとほぼ同じ位置に設定される。
【0025】
眼鏡フレーム情報は、例えば、中間レンズMLに対応する玉型眼鏡レンズEL(
図1(C)参照)が取り付けられるフレームの形状および寸法を含む。第1形状線ALと第2形状線FLとの相対位置は、例えば、アイポイント(EP)位置、瞳孔間距離(PD)等の処方値に応じて定められる。第2形状線FLの幾何中心は、例えば、第1形状線ALの中心(セミフィニッシュレンズSFの中心GC)とずれている。形状生成部2は、例えば、フレームの形状を処方値に応じた位置に配置し、その外周を第2形状線FLに設定する。
【0026】
形状生成部2は、上述のような第1形状線ALと第2形状線FLの両者を組み合わせた最外周線OLを中間レンズ形状情報として生成する。例えば、形状生成部2は、第1形状線ALと第2形状線FLとの交点CP1、交点CP2を算出する。形状生成部2は、例えば、第1形状線ALのうち、交点CP1と交点CP2との間で第2形状線FLよりも外側の部分OL1aを、1次生成曲線OL1の一部とする。また、形状生成部2は、例えば、第2形状線FLのうち、交点CP1と交点CP2との間で第1形状線ALよりも外側の部分OL1bを、1次生成曲線OL1の一部とする。形状生成部2は、例えば、1次生成曲線OL1を点の集合と数式の少なくとも一方で表し、そのデータを記憶部5に記憶させる。なお、中間レンズ形状生成装置1は、1次生成曲線に対して曲線化処理(後述する)と補正処理(後述する)の少なくとも一方を施した曲線を最外周線OLとしてもよい。
【0027】
図4は、形状生成部2の処理の他の例を示す図である。
図4(A)において、形状生成部2は、アロイが設けられる領域TLaに対して、所定幅B1だけ外側に第1形状線ALを設定する。アロイが設けられる領域TLaと第1形状線ALとの間の領域Q1は、例えば、後述する加工処理(研磨処理)におけるマージンに利用される。例えば、固定治具TLがアロイを介して取り付けられた状態で加工処理を行う際に、領域Q1に相当する部分にはアロイが設けられていないため、アロイが削られない。これにより、例えば、アロイと研削くずとの混合を避けることができ、アロイを再利用することが容易になる。所定幅B1は、例えば、0.1mm以上3.0mm以下の範囲、好ましくは0.5mm以上2.0mm以下の範囲に設定される。所定幅B1の設定値は、例えば、記憶部5(
図2参照)に記憶される。形状生成部2は、例えば、記憶部5から所定幅B1の設定値および固定治具情報を読み出し、第1形状線ALを設定する。なお、所定幅B1は、固定治具TLの周方向で均一であってもよいし、固定治具TLの周方向の位置に応じて変化してもよい。
【0028】
図4(B)において、形状生成部2は、眼鏡フレームの形状FRaに対して所定幅B2だけ外側に第2形状線FLを設定する。眼鏡フレームの形状FRaと第2形状線FLとの間の領域Q2は、例えば、反射防止膜やハードコートなどのコーティングプロセス時における液だれを考慮した余白(マージン)に利用される。所定幅B2は、例えば、0.1mm以上3.0mm以下の範囲、好ましくは0.5mm以上2.0mm以下の範囲に設定される。所定幅B2の設定値は、例えば、記憶部5(
図2参照)に記憶されており、形状生成部2は、記憶部5から所定幅B2の設定値および眼鏡フレーム情報を読み出し、第2形状線FLを設定する。形状生成部2は、例えば、
図4(A)の処理で設定した第1形状線ALおよび
図4(B)で設定した第2形状線FLに基づいて、最外周線OLの情報を生成する。なお、所定幅B2は、眼鏡フレームの形状の周方向で均一であってもよいし、眼鏡フレームの形状の周方向の位置に応じて変化してもよい。
【0029】
図5は、曲線化処理部3による曲線化処理の一例を示す図である。
図5(A)に示すように、形状生成部2が生成した1次生成曲線OL1は、第1形状線AL(
図3参照)と第2形状線との交点の部分(交点CP1、交点CP2)が角になる。曲線化処理部3は、
図5(B)に示すように、1次生成曲線OL1に含まれるC1(交点CP1、交点CP2の近傍)を曲線化して2次生成曲線OL2(曲線化最外周線)を生成する。例えば、中間レンズ形状MLFは、研磨時に研磨パッドが損傷しないように、その外周に角を丸めた滑らかな曲線をもつ形状である。曲線化処理部3は、例えば、1次生成曲線OL1のうち交点CP1、交点CP2の近傍の所定の範囲を除去し、この範囲を周囲の情報からスプライン補間すること等により、角部分(交点CP1、交点CP2の近傍)を曲線化する。上記の所定の範囲の広さは、例えば、設定値として記憶部5(
図2参照)に記憶される。曲線化処理部3は、例えば、記憶部5から所定の範囲の広さの設定値を読出し、この設定値と形状生成部2が算出した交点CP1の座標および交点CP2の座標を用いて、1次生成曲線OL1の角を曲線化する。曲線化処理部3は、例えば、曲線化により生成した2次生成曲線OL2(曲線化最外周線)を点の集合と数式の少なくとも一方で表し、そのデータを記憶部5に記憶させる。
【0030】
図6および
図7は、補正処理部4による補正処理の一例を示す図である。補正処理部4は、
図6(A)に示すように、2次生成曲線OL2上に複数の点PTを設定する。例えば、補正処理部4は、セミフィニッシュレンズSFの中心GCから放射方向に延びる複数の線RL(放射方向の線)を所定角度間隔Δθで設定する。所定角度間隔Δθは、例えば、0.5°以上5.0°以下の範囲、好ましくは1.0°以上4.0°以下の範囲に設定される。所定角度間隔Δθは、例えば、データベース上で製品種別と関連付けられて管理されてもよくい。このデータベースは、記憶部5に格納されてもよいし、中間レンズ形状生成装置1がアクセス可能な記憶装置に格納されてもよい。
【0031】
また、補正処理部4は、例えば、複数の線RLのそれぞれと2次生成曲線OL2との交点を算出し、これら交点を複数の点PTとする。複数の点PTの数は任意であるが、例えば、所定角度間隔Δθが2.5°である場合、144個(360°/2.5°)になる。補正処理部4は、例えば、複数の点PTの少なくとも一部を補間により平滑に結び、2次生成曲線OL2(曲線化最外周線)を補正する。例えば、補正処理部4は、複数の点PTから隣り合う3以上の点を含む点群を選択し、この点群のうち両端の点を除く点を制御点とした曲線(例、ベジェ曲線、B−スプライン曲線)を補正曲線として求める。補正処理部4は、例えば、複数の点PTから順に点群を選択し、各点群に対応する補正曲線を結ぶことで2次生成曲線OL2を1次補正する。
【0032】
図6(B)に示すように、1次補正で用いる補間法によっては、1次補正後の曲線OL3aは、眼鏡フレームの形状(例、第2形状線FL、2次生成曲線OL2)の内側に配置される。補正処理部4は、例えば、1次補正後の曲線OL3aを1次生成曲線OL1の外側となるように2次補正する。例えば、補正処理部4は、
図7(A)に示すように、1次補正後の曲線OL3a上から隣り合う3点(点a、点b、点c)を抽出する。補正処理部4は、3点のうち両端の点aと点cとを結んだ線L1と、3点のうち中間の点bとセミフィニッシュレンズSFの中心GCを通る線L2との交点(点P)を算出する。補正処理部4は、点bが線L1に対して中心GCに近い側にあるか否かを判定する。
【0033】
図7(A)に示すように、点bが線L1に対して中心GCから遠い側にある場合、補正処理部4は、点bを2次補正後の曲線上の点として採用する。また、
図7(B)に示すように、点bが線L1に対して中心GCと近い側にある場合、補正処理部4は、点bの位置を中心GCに対する外側へ移動させる。例えば、補正処理部4は、点bと点Pとの距離Lが閾値以上(所定長さ以上)である場合に、点bを移動させる。点bを移動させる量は、例えば1mmなどのように、予め定められていてもよい。また、例えば、補正処理部4は、点bを点Pと置き換えることで、点bの位置を補正してもよく、点Pを2次補正後の曲線上の点として採用してもよい。
【0034】
補正処理部4は、例えば、2次補正後の曲線に対して、上述の1次補正および2次補正を再度行う。補正処理部4は、例えば、
図7(B)の状態において、点Pと点bとの距離Lが閾値以下となるまで1次補正および2次補正を繰り返し行う。この閾値(所定長さ)は、例えば、0mm以上0.5mm以下の範囲に設定される。この閾値は、例えば、データベース上で製品種別と関連付けられて管理されてもよく。このデータベースは、記憶部5に格納されてもよいし、中間レンズ形状生成装置1がアクセス可能な記憶装置に格納されてもよい。補正処理部4は、例えば、1次補正および2次補正で得られた曲線を点群と数式の少なくとも一方で表し、そのデータを3次生成曲線(補正後の曲線化最外周線)を示す情報として記憶部5(
図2参照)に記憶させる。
【0035】
図8は、中間レンズ形状生成装置1により生成される中間レンズ形状MLFの一例を示す図である。中間レンズ形状MLFは、固定治具TL(
図1(B)参照)の外縁に対応する第1形状線ALと、眼鏡フレームの形状に対応する第2形状線FLと、に基づいて、両者を組み合わせた最外周線OLに沿ってセミフィニッシュレンズSFの外縁を除いた形状である。本実施形態において、中間レンズ形状生成装置1は、
図6および
図7を参照して説明した補正処理により生成される3次生成曲線を最外周線OLとして採用する。なお、最外周線OLは、
図3(B)に示した1次生成曲線OL1でもよいし、
図5(B)に示した2次生成曲線OL2でもよい。
【0036】
図2の説明に戻り、中間レンズ形状生成装置1は、各種情報を記憶する記憶部5を備える。記憶部5は、例えば、ハードディスクなどの大容量記憶装置でもよいし、USBメモリなどの不揮発性メモリでもよい。中間レンズ形状生成装置1は、例えばコンピュータシステムを含む。中間レンズ形状生成装置1は、例えば、記憶部5に記憶されているプログラムを読み出し、このプログラムに従って各種の処理を実行する。このプログラムは、コンピュータに、セミフィニッシュレンズSFから眼鏡フレームに取り付けられる眼鏡レンズを製造するための中間レンズの形状を生成させる中間レンズ形状生成プログラムを含む。この中間レンズ形状生成プログラムは、コンピュータに、セミフィニッシュレンズSFの第1面Saまたは第2面Sbに取り付けられる固定治具TLの外縁に対応する第1形状線ALと、眼鏡フレームの形状に対応する第2形状線FLと、に基づいて、両者を組み合わせた最外周OLを中間レンズ形状情報として生成させる。このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記録されて提供されてもよい。
【0037】
中間レンズ形状生成装置1には、例えば、入力装置11および表示装置12が設けられる。入力装置11は、例えばユーザから情報の入力を受け付け、入力された情報を中間レンズ形状生成装置1に供給する。入力装置11は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、タッチ型ペン、及びLANボード(通信デバイス)の少なくとも一つを含む。入力装置11は、中間レンズ形状生成装置1と接続され、自装置(入力装置11)に入力された情報を中間レンズ形状生成装置1に供給する。例えば、中間レンズ形状生成装置1には、入力装置11を介して、固定治具情報および眼鏡フレーム情報が供給される。また、ユーザは、入力装置11を介して中間レンズ形状生成装置1に、各種設定値を入力可能である。また、ユーザは、入力装置11を介して、中間レンズ形状生成装置1に各種指令を入力可能である。中間レンズ形状生成装置1は、入力装置11から供給された情報を記憶部5に記憶させる。
【0038】
表示装置12は、例えば、液晶ディスプレイ又はタッチパネル型ディスプレイを含み、中間レンズ形状生成装置1と接続される。表示装置12は、例えば、中間レンズ形状生成装置1から供給される画像のデータにより、画像を表示する。例えば、中間レンズ形状生成装置1は、生成した中間レンズ形状を示す画像のデータを表示装置12に供給し、表示装置12は、この画像を表示する。また、例えば、中間レンズ形状生成装置1は、中間レンズ形状の生成の各種条件(例、設定値)を示す画像のデータを表示装置12に供給し、表示装置12は、この画像を表示する。ユーザは、例えば、表示装置12に表示された中間レンズ形状の生成の各種条件を見て、入力装置11を介して条件の変更を行うことができる。
【0039】
なお、補正処理部4は、2次生成曲線OL2の一部の区間を補正し、この区間以外における2次生成曲線OL2を補正しなくてもよい。例えば、補正処理部4は、2次生成曲線OL2が第1形状線ALから外れる区間のみを補正対象としてもよい。なお、中間レンズ形状生成装置1は、曲線化処理部3と補正処理部4の少なくとも一方を備えなくてもよい。
【0040】
次に、上述の中間レンズ形状生成装置1の動作に基づき、実施形態に係る中間レンズ形状生成方法について説明する。
図9は、実施形態に係る中間レンズ形状生成方法の一例を示すフローチャートである。ステップS1において、中間レンズ形状生成装置1は、固定治具の情報(固定治具情報)を取得する。例えば、中間レンズ形状生成装置1は、取得した固定治具情報を記憶部5に記憶させる。ステップS2において、中間レンズ形状生成装置1は、眼鏡フレーム情報を取得する。例えば、中間レンズ形状生成装置1は、取得した眼鏡フレーム情報を記憶部5に記憶させる。なお、中間レンズ形状生成装置1は、ステップS1の処理とステップS2の処理のいずれを先に行ってもよい。
【0041】
ステップS3において、中間レンズ形状生成装置1は、固定治具情報から第1形状線ALを作成する。例えば、形状生成部2は、記憶部5から固定治具情報を読出して、第1形状線ALを作成する。ステップS4において、中間レンズ形状生成装置1は、眼鏡フレーム情報から第2形状線FLを作成する。例えば、形状生成部2は、記憶部5から眼鏡フレーム情報を読出し、第2形状線FLを作成する。なお、中間レンズ形状生成装置1は、ステップS3の処理とステップS4の処理のいずれを先に行ってもよい。
【0042】
ステップS5において、中間レンズ形状生成装置1は、第1形状線ALと第2形状線FLとを組み合わせて最外周線OLを抽出する。例えば、形状生成部2は、第1形状線ALと第2形状線FLとを処方値に応じた相対位置に配置する(
図3(A)参照)。例えば、形状生成部2は、配置した第1形状線ALと第2形状線FLとの交点CP1、交点CP2を算出する。例えば、形状生成部2は、交点CP1と交点CP2との間の区間において、第1形状線ALと第2形状線FLのうち外側に配置される方を1次生成曲線OL1(例、最外周線OL)として採用する。最外周線OLは、
図3(B)に示した1次生成曲線OL1でもよいし、
図5(B)に示した2次生成曲線OL2でもよい。ステップS6において、中間レンズ形状生成装置1は、中間レンズ形状情報を作成する。例えば、中間レンズ形状生成装置1は、中間レンズ形状情報として、最外周線OLの形状および寸法を二次元座標上で表したデータを生成する。
【0043】
図10(A)及び(B)は、中間レンズ形状生成方法の他の例を示すフローチャートである。
図10(A)において、中間レンズ形状生成装置1は、ステップS2に続くステップS10において、固定治具TL(
図1(B)参照)の外縁から所定幅B1だけ外側に第1形状線ALを生成する(
図4(A)参照)。例えば、形状生成部2は、ステップS1において取得された固定治具情報、及び所定幅B1の設定値を記憶部5から読出し、第1形状線ALを生成する。
図10(B)において、中間レンズ形状生成装置1は、ステップS3に続くステップS11において、眼鏡フレームの形状(内縁)から所定幅B2だけ外側に第2形状線FLを生成する(
図4(B)参照)。例えば、形状生成部2は、ステップS2において取得された眼鏡フレーム情報、及び所定幅B2の設定値を記憶部5から読出し、第2形状線FLを生成する。なお、中間レンズ形状生成装置1は、ステップS3の代わりに
図10(A)のステップS10の処理を実行し、かつ、ステップS4の代わりに
図10(B)のステップS11の処理を実行してもよい。例えば、中間レンズ形状生成装置1は、ステップS2の処理に続いてステップS10の処理を実行し、次いでステップS11の処理を実行した後、ステップS5の処理を実行してもよい。
【0044】
図11は、中間レンズ形状生成方法の他の例を示すフローチャート図である。ステップS5に続くステップS20において、中間レンズ形状生成装置1は、1次生成曲線OL1(
図5(A)参照)の角を曲線化する曲線化処理を行う。例えば、曲線化処理部3は、1次生成曲線OL1(
図5(A)参照)において、第1形状線ALと第2形状線FLとの交点(交点CP1、交点CP2)に相当する部分(角部分C1)をスプライン補間などの補間法により曲線化し、2次生成曲線OL2を生成する。
【0045】
また、ステップS21〜ステップS23の処理において、中間レンズ形状生成装置1は、2次生成曲線OL2に対して補正処理を行う。例えば、ステップS21において、補正処理部4は、2次生成曲線OL2上に複数の点PT(
図6(A)参照)を設定する。また、ステップS22において、補正処理部4は、複数の点PTから3つ以上の点を含む点群を順に選択し、選択した点を用いて曲線(例、ベジェ曲線)を生成する(1次補正)。また、ステップS23において、補正処理部4は、ステップS22で生成された1次補正後の曲線が眼鏡フレームの形状(例、第2形状線FL、2次生成曲線OL2)の内側に入るか否かを判定し、1次補正後の曲線が眼鏡フレームの形状の内側に入る場合には外側へ補正する(
図7(B)参照)。
【0046】
[実施例]
次に、本発明における具体的な実施例について説明する。
図12は、第1実施例の中間レンズML1a、比較例の中間レンズML2aおよび中間レンズML3aを示す図である。本実施例では外面(物体側の面)を累進面とするセミフィニッシュレンズの内面を研削、研磨することにより累進焦点レンズを製造する場合において、上述の実施形態を適用して中間体レンズML1aを得るものとする。
【0047】
下記の表1は、玉型レンズの処方を示す表である。本実施例において、球面度数は+4.50、乱視度数は−4.00、軸度は40、加入度は3.50、累進帯長14mmである。球面度数、乱視度数、加入度の単位は、ディオプター(DP)である(以下同様)。また、軸度の単位はdegである(以下同様)。
【0049】
下記の表2は、セミフィニッシュレンズの諸元を示す表である。本実施例において、セミフィニッシュレンズの屈折率は1.67、外径は78mm、遠用部の外面カーブは6.5、アロイ接着部の外径は50mmである。遠用度の外面カーブの単位はディオプターである(以下同様)。
【0051】
下記の表3は、フレーム情報を示す表である。本実施例において、フレームの横幅は48.66mm、縦幅は30.43mm、瞳孔間距離は35mm、アイポイントの位置は19.01mm、フレームPDは65.8mmである。
【0053】
下記の表4は、中間レンズ形状の決定に用いるパラメータを示す表である。本実施例において、所定幅B1(
図4(A)参照)は0.5mm、所定幅B2(
図4(B)参照)は2.0mm、所定角度の間隔(
図6(A)参照)は2.5deg、補正曲線の種類はベジェ曲線、二次補正(
図7参照)の閾値は0.01mmである。
【0055】
図12において、符号FLaは第1実施例における玉型形状および位置を示し、ML1aは本実施例において計算された中間レンズ形状およびその位置を示したものである。中間レンズ形状ML1aにおいて、縁厚が最も薄くなる点はP1aであった。この点P1aにおいて、最少縁厚0.2mmを確保するよう、セミフィニッシュレンズSFを研削し、研磨した場合、得られるレンズの中心厚は、3.3mmとなった。比較例の中間レンズ形状ML2aは、円形状(真円状)である。中間レンズ形状ML2aの形状決定のためのパラメータは、実施例と同様であり、所定幅B1が0.5mm、所定幅B2が2.0mmである。この条件で計算された円の直径は62.7mmであった。中間レンズ形状ML2aにおいて縁厚が最も薄くなる点はP2aであった。この点P2aにおいて、最少縁厚0.2mmを確保するよう、セミフィニッシュレンズSFを研削し、研磨した場合、得られるレンズの中心厚は、4.9mmとなった。比較例の中間レンズ形状ML3aは、楕円形状である。中間レンズ形状ML3aの形状決定のためのパラメータは、実施例と同様であり、所定幅B1が0.5mm、所定幅B2が2.0mmである。この条件で計算された楕円の長径は64.0mm、短径は52.0mmであった。中間レンズ形状ML3aにおいて縁厚が最も薄くなる点はP3aであった。この点P3aにおいて、最少縁厚0.2mmを確保するよう、セミフィニッシュレンズを研削し、研磨した場合、得られるレンズの中心厚は、3.9mmとなった。以上のように、上述の実施形態を適用した第1実施例によれば、真円状の中間レンズ形状ML2aあるいは楕円状の中間レンズ形状ML3aを採用する場合と比較して、レンズの中心厚を減らすことができる。
【0056】
図13は、第2実施例の中間レンズML1b、比較例の中間レンズML2bおよび中間レンズML3bを示す図である。本実施例では外面(物体側の面)を累進面とするセミフィニッシュレンズの内面を研削、研磨することにより累進焦点レンズを製造する場合において、上述の実施形態を適用して中間体レンズML1bを得るものとする。
【0057】
下記の表5は、玉型レンズの処方を示す表である。本実施例において、球面度数は+4.50、乱視度数は−2.00、軸度は0、加入度は3.50、累進帯長14mmである。
【0059】
下記の表6は、セミフィニッシュレンズの諸元を示す表である。本実施例において、セミフィニッシュレンズの屈折率は1.60、外径は78mm、遠用部の外面カーブは5.5、アロイ接着部の外径は50mmである。
【0061】
下記の表7は、フレーム情報を示す表である。本実施例において、フレームの横幅は47.81mm、縦幅は54.19mm、瞳孔間距離は30mm、アイポイントの位置は31.19mm、フレームPDは72.0mmである。
【0063】
下記の表8は、中間レンズ形状の決定に用いるパラメータを示す表である。本実施例において、所定幅B1(
図4(A)参照)は0.5mm、所定幅B2(
図4(B)参照)は2.0mm、所定角度の間隔(
図6(A)参照)は2.5deg、補正曲線の種類はベジェ曲線、二次補正(
図7参照)の閾値は0.01mmである。
【0065】
図13において、符号FLbは第2実施例における玉型形状および位置を示し、ML1bは本実施例において計算された中間レンズ形状およびその位置を示したものである。中間レンズ形状ML1bにおいて、縁厚が最も薄くなる点はP1bであった。この点P1bにおいて、最少縁厚0.2mmを確保するよう、セミフィニッシュレンズSFを研削し、研磨した場合、得られるレンズの中心厚は、4.5mmとなった。比較例の中間レンズ形状ML2bは、円形状(真円状)である。中間レンズ形状ML2bの形状決定のためのパラメータは、実施例と同様であり、所定幅B1が0.5mm、所定幅B2が2.0mmである。この条件で計算された円の直径は70.7mmであった。中間レンズ形状ML2bにおいて縁厚が最も薄くなる点はP2bであった。この点P2bにおいて、最少縁厚0.2mmを確保するよう、セミフィニッシュレンズSFを研削し、研磨した場合、得られるレンズの中心厚は、6.7mmとなった。比較例の中間レンズ形状ML3bは、楕円形状である。中間レンズ形状ML3bの形状決定のためのパラメータは、実施例と同様であり、所定幅B1が0.5mm、所定幅B2が2.0mmである。この条件で計算された楕円の長径は75.0mm、短径は66.0mmであった。中間レンズ形状ML3bにおいて縁厚が最も薄くなる点はP3bであった。この点P3aにおいて、最少縁厚0.2mmを確保するよう、セミフィニッシュレンズを研削し、研磨した場合、得られるレンズの中心厚は、6.9mmとなった。以上のように、上述の実施形態を適用した第2実施例によれば、真円状の中間レンズ形状ML2bあるいは楕円状の中間レンズ形状ML3bを採用する場合と比較して、レンズの中心厚を減らすことができる。
【0066】
次に、実施形態に係る眼鏡製造システムについて説明する。
図14は、実施形態に係る眼鏡レンズ製造システムの一例を示すブロック図である。眼鏡レンズ製造システム20は、例えば、眼鏡フレームに対応した玉型形状を有するカット済みの玉型眼鏡レンズELを製造する。なお、玉型眼鏡レンズELは、累進屈折力レンズでもよいし、他の種類の眼鏡レンズであってもよく、例えば単焦点レンズでもよい。眼鏡レンズ製造システム20は、眼鏡販売店などの発注者から眼鏡レンズ製造業者などの受注者に対して玉型眼鏡レンズELを注文する際に用いられる。
【0067】
眼鏡レンズ製造システム20は、発注側コンピュータ(外部入力装置)21と、管理サーバ22と、受注側コンピュータ23と、加工データ制御用コンピュータ24と、加工装置M1と、玉型加工装置M2とを備える。例えば、発注側コンピュータ21は発注者側に設置され、管理サーバ22、受注側コンピュータ23、玉型加工装置M2は受注者側に設置される。なお、玉型加工装置M2は、眼鏡販売店などの発注者が玉型加工を行う場合、発注者側に設置されていてもよい。例えば、眼鏡レンズ製造システム20は、玉型加工装置M2を備えなくてもよい。
【0068】
発注側コンピュータ21、管理サーバ22、受注側コンピュータ23は、それぞれCPU(Central Processing Unit)などの演算処理装置と、主記憶装置や補助記憶装置などの記憶装置と、電子情報を送受信するための通信インターフェースとを有する。通信インターフェースは、有線方式及び無線方式のいずれでもよい。
【0069】
発注側コンピュータ21は、例えば、デスクトップ型又はノート型のパーソナルコンピュータ、タブレット型携帯端末などでもよい。発注側コンピュータ21は、インターネットなどのネットワークNWを介して管理サーバ22に接続される。
図12では、発注側コンピュータ21が1つのネットワークNWに接続されるが、複数の発注側コンピュータ21がネットワークNWに接続されてもよい。このネットワークNWとしては、インターネットの他に、例えばイントラネットやLAN(Local Area Network)などの通信回線網を用いることができる。発注側コンピュータ21は、ネットワークNWを介して装用者のフィッティング情報や眼鏡フレーム形状に関する情報(枠入れ情報)、その他の装用者の処方情報等を管理サーバ22に送信する。例えば装用者の処方情報(処方値)としては、度数(球面度数、S度)、乱視度数(C度)、軸度(乱視軸の角度)、加入度、及びプリズムが含まれる。さらに、処方情報は、装用者の瞳孔間距離に関する情報や、フレームに対する装用者の天地方向(上下方向)の瞳位置(アイポイント)に関する情報が含まれてもよい。処方情報は、右眼及び左眼のそれぞれについて取得される。
【0070】
発注側コンピュータ21には、表示装置25及び入力装置26が接続される。表示装置25は、発注側コンピュータ21における算出結果や、発注側コンピュータ21に格納されるアプリケーションの実行結果、入力装置26によって入力される情報、発注側コンピュータ21がネットワークNWを介して受信した情報などを表示する。表示装置25としては例えば、液晶表示ディスプレイなどが用いられる。入力装置26は、例えば、装用者の処方情報や枠入れ情報等を入力するために用いられる。入力装置26としては、例えば、キーボードやマウスが用いられる。なお、入力装置26として、例えば表示装置25上に形成されたタッチパネルが用いられてもよい。
【0071】
管理サーバ22は、上記のようにネットワークNWを介して発注側コンピュータ21に接続されると共に、受注側コンピュータ23に接続されている。なお、複数の管理サーバ22がネットワークNWに接続された構成であってもよい。この場合、一部の管理サーバ22をバックアップ用として用いてもよい。
【0072】
受注側コンピュータ23は、管理サーバ22から送信される情報を受信し、その情報を加工データ制御用コンピュータ24に送信する。加工データ制御用コンピュータ24は、受注側コンピュータ23から送信される情報を受信し、その情報に基づいて眼鏡レンズの設計情報を生成する。なお、受注側コンピュータ23及び加工データ制御用コンピュータ24は、複数設けられてもよい。また、受注側コンピュータ23及び加工データ制御用コンピュータ24は、1つのコンピュータで構成されてもよい。すなわち、1つのコンピュータが、受注側コンピュータ23の機能と加工データ制御用コンピュータ24の機能とを有してもよい。
【0073】
加工データ制御用コンピュータ24は、中間レンズ形状生成装置1を含む。中間レンズ形状生成装置1は、
図2に示したように、形状生成部2を備える。形状生成部2は、固定治具TLの外縁に対応する第1形状線ALと、眼鏡フレームの形状に対応する第2形状線FLと、に基づいて、両者を組み合わせた最外周線OLを中間レンズ形状情報として生成する。中間レンズ形状生成装置1は、加工装置M1に中間レンズ形状情報を供給する。
【0074】
加工装置M1は、中間レンズ形状生成装置1から供給された中間レンズ形状情報に基づいてセミフィニッシュレンズSFを加工して、眼鏡フレームに取り付けられる眼鏡レンズELを製造するための中間レンズML1(
図1(B)参照)を生成する。加工装置M1は、例えば、中間レンズ形状情報に基づいて、セミフィニッシュレンズSFの外周を切削加工し、中間レンズML1を生成する。加工装置M1は、中間レンズML1を生成した後、続いて、研磨処理を行う。加工装置M1は、中間レンズML1を、第1面Saの形状および第2面Sbの形状(光学面の形状)の少なくとも一方に対して研磨処理を行うことにより、その形状を処方値に応じた形状に加工する。中間レンズML1は、第1面Saの形状および第2面Sbの形状の少なくとも一方が研磨処理により加工され、第1面Saの形状および第2面Sbの形状(光学面の形状)が処方値に応じた形状とされる。なお、上述の研磨処理を行う装置は、加工装置M1と別に設けられてもよい。玉型加工装置M2は、光学面の形状が定められた中間レンズMLを、眼鏡フレームの形状に加工する。中間レンズMLは、玉型加工装置M2による加工前または加工後に、ハードコートあるいは反射防止などのコーティング処理などが施されてもよい。
【0075】
本発明の態様によれば、研磨に際して研磨パッドの負担が増加するのを避けつつ、眼鏡レンズを薄くすることができる。以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術範囲は上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。上述の実施形態などで説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上述の実施形態などで説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、法令で許容される限りにおいて、特願2015−154186号、及び、上述の実施形態などで引用した全ての文献の開示を援用して本文の記載の一部とする。