(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記冷却部は、前記第1領域における冷却媒体の流通量に対して、前記第1領域より前記径方向隙間が狭い前記第2領域における前記冷却媒体の流通量が多く設定されることを特徴とする請求項1に記載の燃焼用筒。
前記接続部は、前記燃焼用筒における軸方向の端部と前記トランジションピースにおける軸方向の端部が径方向に重なることで構成され、前記冷却部は、前記燃焼用筒における軸方向の端部または前記トランジションピースにおける軸方向の端部に設けられることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の燃焼用筒。
前記冷却部は、前記燃焼用筒における燃焼ガスの流動方向の下流側の端部に、燃焼ガスの流動方向に沿うと共に周方向に所定間隔を空けて設けられる複数の冷却通路を有し、前記第1領域における前記複数の冷却通路の平均間隔に対して、前記第2領域における前記複数の冷却通路の平均間隔が小さく設定されることを特徴とする請求項4に記載の燃焼用筒。
前記複数の冷却通路は、一端部が前記径方向隙間に開口し、他端部が前記燃焼用筒における燃焼ガスの流動方向の下流側の端面に開口することを特徴とする請求項5に記載の燃焼用筒。
前記第2領域に設けられる前記複数の冷却通路は、一端部が前記径方向隙間に開口する第1通路と、一端部が前記燃焼用筒の前記端面に開口する前記第1通路より数が多い第2通路と、前記第1通路の他端部と前記第2通路の他端部とが連通する合流部とを有することを特徴とする請求項6に記載の燃焼用筒。
前記トランジションピースは、燃焼ガスの流動方向の上流側が円筒形状をなし、燃焼ガスの流動方向の下流側がガスタービンの径方向に沿う第1辺の長さに対して前記ガスタービンの周方向に沿う第2辺の長さが長い矩形筒形状をなし、前記第1領域は、第1辺側に設けられ、前記第2領域は、第2辺側に設けられることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の燃焼用筒。
前記冷却部は、前記燃焼用筒における燃焼ガスの流動方向の下流側の端部に、燃焼ガスの流動方向に沿うと共に周方向に所定間隔を空けて設けられる複数の冷却通路を有し、周方向における単位長さ当りの前記冷却通路の断面積は、前記第1領域より前記第2領域が大きく設定されることを特徴とする請求項4に記載の燃焼用筒。
前記外側領域は、前記第1領域を構成する外側第1領域と、前記外側第1領域より前記ガスタービンの径方向の外側で前記第2領域を構成する外側第2領域とに設定され、前記外側第1領域より前記外側第2領域が大きく設定されることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の燃焼用筒。
前記内側領域は、前記第1領域を構成する内側第1領域と、前記内側第1領域より前記ガスタービンの径方向の内側で前記第2領域を構成する内側第2領域とに設定され、前記内側第1領域より前記内側第2領域が小さく設定されることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の燃焼用筒。
前記外側領域は、前記第1領域を構成する外側第1領域と、前記外側第1領域より前記ガスタービンの径方向の外側で前記第2領域を構成する外側第2領域とに設定され、前記外側第1領域より前記外側第2領域が大きく設定されると共に、前記内側領域は、前記第1領域を構成する内側第1領域と、前記内側第1領域より前記ガスタービンの径方向の内側で前記第2領域を構成する内側第2領域とに設定され、前記内側第2領域より前記外側第2領域が大きく設定されることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の燃焼用筒。
前記第1領域及び前記第2領域は、それぞれ前記基準線及び燃焼用筒の軸方向に垂直な第2基準線に対して線対称に設定されることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の燃焼用筒。
前記冷却部は、前記燃焼用筒における燃焼ガスの流動方向の下流側の端部に、燃焼ガスの流動方向に沿うと共に周方向に所定間隔を空けて設けられる複数の冷却通路を有し、前記外側領域における前記冷却通路の数は、前記内側領域における前記冷却通路の数より多く設定されることを特徴とする請求項4に記載の燃焼用筒。
前記冷却部は、前記燃焼用筒における燃焼ガスの流動方向の下流側の端部に、燃焼ガスの流動方向に沿うと共に周方向に所定間隔を空けて設けられる複数の冷却通路を有し、前記第1領域における前記冷却通路の数は、前記第2領域における前記冷却通路の数より少なく設定されることを特徴とする請求項4に記載の燃焼用筒。
前記複数の冷却通路における平均間隔は、前記第1領域で5.5mm〜8.5mmに設定され、前記第2領域で2.0mm〜5.0mmに設定されることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか一項に記載の燃焼用筒。
前記外側第1領域と前記外側第2領域は、前記燃焼用筒の周方向に隣接し、前記外側第1領域と前記外側第2領域の境界位置は、前記基準線から15度〜30度の範囲に設定されることを特徴とする請求項10または請求項12に記載の燃焼用筒。
前記内側第1領域と前記内側第2領域は、前記燃焼用筒の周方向に隣接し、前記内側第1領域と前記内側第2領域の境界位置は、前記基準線から60度〜75度の範囲に設定されることを特徴とする請求項11または請求項12に記載の燃焼用筒。
前記燃焼用筒と前記基準線とが交差する位置における接続角度が0度に設定され、前記外側領域のうちの前記第2基準線と交差する位置における接続角度が12度〜16度に設定され、前記内側領域のうちの前記第2基準線と交差する位置における接続角度が8度〜12度に設定されることを特徴とする請求項13に記載の燃焼用筒。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した内筒と尾筒は、径方向に段差をもって連結されていることから、内筒の燃焼ガスが尾筒に流れ込むとき、内筒の端部から外側に位置する尾筒の端部側に流れ込み、内筒の端部が高温化してしまう。そのため、内筒は、端部を冷却するための冷却構造が採用されている。ところで、ガスタービン燃焼器は、圧縮機とタービンとの間でリング形状をなして複数配置されており、各尾筒は、圧縮機側の端部が円筒形状をなすものの、タービン側の端部の一部が絞り加工を施されて矩形状をなしている。そのため、内筒と尾筒が連結される位置での連結形状が周方向で相違することとなり、周方向の一部で内筒の端部を十分に冷却できないおそれがある。
【0007】
本発明は上述した課題を解決するものであり、燃焼用筒を効率良く冷却することで信頼性の向上を図ると共に長寿命化を図る燃焼用筒、ガスタービン燃焼器及びガスタービンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本発明の燃焼用筒は、内部で圧縮空気と燃料が混合されて燃焼し、燃焼ガスの流動方向の下流側の端部が周方向に沿う径方向隙間を介してトランジションピースに挿入されて接続され、前記トランジションピースとの接続部に設けられる冷却部の冷却媒体により冷却するガスタービンの燃焼用筒において、前記ガスタービンの径方向及び軸方向に垂直な直線で、且つ、前記燃焼用筒の中心を通る基準線に対し、前記基準線よりも前記ガスタービンの径方向の外側の領域にある前記冷却部の外側領域と、前記基準線に対して前記基準線よりも前記ガスタービンの径方向の内側の領域にある前記冷却部の内側領域と、が設定され、前記燃焼用筒の外面の軸方向に沿う延長線と前記トランジションピースの内面との交点における接続角度が設定され、前記外側領域または前記内側領域のいずれかの領域における前記基準線寄りの位置に設定される第1領域と、前記第1領域よりも前記基準線から遠い位置に設定されて前記第1領域よりも前記接続角度が大きい第2領域と、が設定され、前記第2領域は、前記第1領域よりも冷却媒体の流通量が多く設定される、ことを特徴とするものである。
【0009】
従って、燃焼用筒とトランジションピースとの接続部に冷却媒体により冷却する冷却部が設けられており、燃焼ガスにより燃焼用筒の端部の高温化が冷却部の冷却媒体により抑制される。このとき、接続角度が大きい第2領域では、燃焼ガスにより燃焼用筒の端部が高温化しやすい。そのため、冷却部は、接続角度が小さい第1領域における冷却媒体の流通量に対して、接続角度が大きい第2領域における冷却媒体の流通量が多く設定されている。そのため、トランジションピースの形状に拘わらず、燃焼用筒の端部を冷却媒体により適正に冷却することができる。その結果、燃焼用筒を効率良く冷却することで信頼性を向上することができると共に長寿命化を図ることができる。
【0010】
本発明の燃焼用筒では、前記冷却部は、前記第1領域における冷却媒体の流通量に対して、前記第1領域より前記径方向隙間が狭い前記第2領域における前記冷却媒体の流通量が多く設定されることを特徴としている。
【0011】
従って、前記第1領域より径方向隙間が狭くて燃焼ガスにより燃焼用筒の端部が高温化しやすい第2領域に対して冷却媒体の流通量が多く設定されることから、トランジションピースの形状に拘わらず、燃焼用筒の端部を冷却媒体により適正に冷却することができる。
【0012】
また、本発明の燃焼用筒は、内部で圧縮空気と燃料が混合されて燃焼し、燃焼ガスの流動方向の下流側の端部が周方向に沿う径方向隙間を介してトランジションピースに挿入されて接続され、前記トランジションピースとの接続部に設けられる冷却部の冷却媒体により冷却するガスタービンの燃焼用筒において、前記ガスタービンの径方向及び軸方向に垂直な直線で、且つ、前記燃焼用筒の中心を通る基準線に対して前記基準線よりも前記ガスタービンの径方向の外側の領域にある前記冷却部の外側領域と、前記基準線に対し、前記基準線よりも前記ガスタービンの径方向の内側の領域にある前記冷却部の内側領域と、が設定され、前記外側領域または前記内側領域のいずれかの領域における前記基準線寄りの位置に設定される第1領域と、前記第1領域よりも前記基準線から遠い位置に設定されて前記第1領域よりも前記径方向隙間が狭い第2領域と、が設定され、前記第2領域は、前記第1領域よりも冷却媒体の流通量が多く設定される、ことを特徴とするものである。
【0013】
従って、燃焼用筒とトランジションピースとの接続部に冷却媒体により冷却する冷却部が設けられており、燃焼ガスにより燃焼用筒の端部の高温化が冷却部の冷却媒体により抑制される。このとき、前記第1領域より径方向隙間が狭い第2領域では、燃焼ガスにより燃焼用筒の端部が高温化しやすい。そのため、冷却部は、径方向隙間が広い第1領域における冷却媒体の流通量に対して、前記第1領域より径方向隙間が狭い第2領域における冷却媒体の流通量が多く設定される。そのため、トランジションピースの形状に拘わらず、燃焼用筒の端部を冷却媒体により適正に冷却することができる。その結果、燃焼用筒を効率良く冷却することで信頼性を向上することができると共に長寿命化を図ることができる。
【0014】
本発明の燃焼用筒では、前記接続部は、前記燃焼用筒における軸方向の端部と前記トランジションピースにおける軸方向の端部が径方向に重なることで構成され、前記冷却部は、前記燃焼用筒における軸方向の端部または前記トランジションピースにおける軸方向の端部に設けられることを特徴としている。
【0015】
従って、燃焼用筒における軸方向の端部またはトランジションピースにおける軸方向の端部に冷却部を設けることで、冷却媒体により燃焼用筒の端部を効率良く冷却することができる。
【0016】
本発明の燃焼用筒では、前記冷却部は、前記燃焼用筒における燃焼ガスの流動方向の下流側の端部に、燃焼ガスの流動方向に沿うと共に周方向に所定間隔を空けて設けられる複数の冷却通路を有し、前記第1領域における前記複数の冷却通路の平均間隔に対して、前記第2領域における前記複数の冷却通路の平均間隔が小さく設定されることを特徴としている。
【0017】
従って、冷却部を燃焼ガスの流動方向に沿う複数の冷却通路とすることで、冷却部の簡素化を図ることができると共に、第1領域における複数の冷却通路の平均間隔に対して、第2領域における複数の冷却通路の平均間隔を小さく設定することで、簡単な構成で第2領域における燃焼用筒の端部を効率良く冷却することができる。
【0018】
本発明の燃焼用筒では、前記複数の冷却通路は、一端部が前記径方向隙間に開口し、他端部が前記燃焼用筒における燃焼ガスの流動方向の下流側の端面に開口することを特徴としている。
【0019】
従って、複数の冷却通路の一端部を径方向隙間に開口させ、他端部を燃焼用筒の端面に開口することで、外部から取り入れた冷却媒体により燃焼用筒の端部を冷却した後、燃焼ガス通路に排出することで、燃焼器効率の低下を抑制することができる。
【0020】
本発明の燃焼用筒では、前記第2領域に設けられる前記複数の冷却通路は、一端部が前記径方向隙間に開口する第1通路と、一端部が前記燃焼用筒の前記端面に開口する前記第1通路より数が多い第2通路と、前記第1通路の他端部と前記第2通路の他端部とが連通する合流部とを有することを特徴としている。
【0021】
従って、冷却媒体は、複数の第1通路から合流部に流れて合流した後、数が増加した第2通路を流れて排出されることとなり、高温化される燃焼用筒の端部における冷却面積が増加し、燃焼用筒の端部を効率良く冷却することができる。
【0022】
本発明の燃焼用筒では、前記トランジションピースは、燃焼ガスの流動方向の上流側が円筒形状をなし、燃焼ガスの流動方向の下流側がガスタービンの径方向に沿う第1辺の長さに対して前記ガスタービンの周方向に沿う第2辺の長さが長い矩形筒形状をなし、前記第1領域は、第1辺側に設けられ、前記第2領域は、第2辺側に設けられることを特徴としている。
【0023】
従って、円筒形状から矩形筒形状に変化するトランジションピースであっても、このトランジションピースに接続される燃焼用筒の端部を全周にわたって効率良く冷却することができる。
【0024】
本発明の燃焼用筒では、前記冷却部は、前記燃焼用筒における燃焼ガスの流動方向の下流側の端部に、燃焼ガスの流動方向に沿うと共に周方向に所定間隔を空けて設けられる複数の冷却通路を有し、周方向における単位長さ当りの前記冷却通路の断面積は、前記第1領域より前記第2領域が大きく設定されることを特徴としている。
【0025】
従って、第1領域における冷却通路の断面積より第2領域における冷却通路の断面積が大きく設定されることで、簡単な構成で第2領域における燃焼用筒の端部を効率良く冷却することができる。
【0026】
本発明の燃焼用筒では、前記外側領域は、前記第1領域を構成する外側第1領域と、前記外側第1領域より前記ガスタービンの径方向の外側で前記第2領域を構成する外側第2領域とに設定され、前記外側第1領域より前記外側第2領域が大きく設定されることを特徴としている。
【0027】
従って、外側第1領域より外側第2領域を大きく設定することで、外側第2領域における燃焼用筒の端部を効率良く冷却することができる。
【0028】
本発明の燃焼用筒では、前記内側領域は、前記第1領域を構成する内側第1領域と、前記内側第1領域より前記ガスタービンの径方向の内側で前記第2領域を構成する内側第2領域とに設定され、前記内側第1領域より前記内側第2領域が小さく設定されることを特徴としている。
【0029】
従って、内側第1領域より内側第2領域を小さく設定することで、外側第2領域における燃焼用筒の端部を効率良く冷却することができる。
【0030】
本発明の燃焼用筒では、前記外側領域は、前記第1領域を構成する外側第1領域と、前記外側第1領域より前記ガスタービンの径方向の外側で前記第2領域を構成する外側第2領域とに設定され、前記外側第1領域より前記外側第2領域が大きく設定されると共に、前記内側領域は、前記第1領域を構成する内側第1領域と、前記内側第1領域より前記ガスタービンの径方向の内側で前記第2領域を構成する内側第2領域とに設定され、前記内側第2領域より前記外側第2領域が大きく設定されることを特徴としている。
【0031】
従って、内側第2領域より外側第2領域を大きく設定することで、高温化しやすい外側第2領域を効率良く冷却することができる。
【0032】
本発明の燃焼用筒では、前記第1領域及び前記第2領域は、それぞれ前記基準線及び燃焼用筒の軸方向に垂直な第2基準線に対して線対称に設定されることを特徴としている。
【0033】
従って、第1領域及び第2領域を第2基準線に対して線対称に設定することで、燃焼用筒をバランス良く冷却することができる。
【0034】
本発明の燃焼用筒では、前記冷却部は、前記燃焼用筒における燃焼ガスの流動方向の下流側の端部に、燃焼ガスの流動方向に沿うと共に周方向に所定間隔を空けて設けられる複数の冷却通路を有し、前記外側領域における前記冷却通路の数は、前記内側領域における前記冷却通路の数より多く設定されることを特徴としている。
【0035】
従って、外側領域における冷却通路の数を内側領域における冷却通路の数より多く設定することで、簡単な構成で第2領域における燃焼用筒の端部を効率良く冷却することができる。
【0036】
本発明の燃焼用筒では、前記冷却部は、前記燃焼用筒における燃焼ガスの流動方向の下流側の端部に、燃焼ガスの流動方向に沿うと共に周方向に所定間隔を空けて設けられる複数の冷却通路を有し、前記第1領域における前記冷却通路の数は、前記第2領域における前記冷却通路の数より少なく設定されることを特徴としている。
【0037】
従って、第1領域における冷却通路の数を第2領域における冷却通路の数より少なく設定することで、簡単な構成で第2領域における燃焼用筒の端部を効率良く冷却することができる。
【0038】
本発明の燃焼用筒では、前記複数の冷却通路における平均間隔は、前記第1領域で5.5mm〜8.5mmに設定され、前記第2領域で2.0mm〜5.0mmに設定されることを特徴としている。
【0039】
従って、複数の冷却通路における平均間隔を第1領域と第2領域で最適値に設定することで、燃焼用筒の端部を効率良く冷却することができる。
【0040】
本発明の燃焼用筒では、前記外側第1領域と前記外側第2領域は、前記燃焼用筒の周方向に隣接し、前記外側第1領域と前記外側第2領域の境界位置は、前記基準線から15度〜30度の範囲に設定されることを特徴としている。
【0041】
従って、外側第1領域と外側第2領域の境界位置を最適位置に設定することで、燃焼用筒の端部を効率良く冷却することができる。
【0042】
本発明の燃焼用筒では、前記内側第1領域と前記内側第2領域は、前記燃焼用筒の周方向に隣接し、前記内側第1領域と前記内側第2領域の境界位置は、前記基準線から60度〜75度の範囲に設定されることを特徴としている。
【0043】
従って、内側第1領域と内側第2領域の境界位置を最適位置に設定することで、燃焼用筒の端部を効率良く冷却することができる。
【0044】
本発明の燃焼用筒では、前記燃焼用筒と前記基準線とが交差する位置における接続角度が0度に設定され、前記外側領域のうちの前記第2基準線と交差する位置における接続角度が12度〜16度に設定され、前記内側領域のうちの前記第2基準線と交差する位置における接続角度が8度〜12度に設定されることを特徴としている。
【0045】
従って、外側領域のうちの第2基準線と交差する位置における接続角度と、内側領域のうちの第2基準線と交差する位置における接続角度を最適位置に設定することで、燃焼用筒の端部を効率良く冷却することができる。
【0046】
また、本発明のガスタービン燃焼器は、内部で圧縮空気と燃料が混合されて燃焼する前記燃焼用筒と、前記燃焼用筒における燃焼ガスの流動方向の下流側の端部が周方向に沿う径方向隙間を介して挿入されて接続されるトランジションピースと、を備えることを特徴とするものである。
【0047】
従って、燃焼用筒を効率良く冷却することで、ガスタービンの信頼性を向上することができると共に長寿命化を図ることができる。
【0048】
また、本発明のガスタービンにあっては、空気を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機が圧縮した圧縮空気と燃料を混合して燃焼する燃焼器と、前記燃焼器が生成した燃焼ガスにより回転動力を得るタービンと、を備え、前記燃焼器として前記ガスタービン燃焼器が用いられる、ことを特徴とするものである。
【0049】
従って、トランジションピースの形状に拘わらず、燃焼用筒の端部を冷却媒体により適正に冷却することができ、燃焼用筒を効率良く冷却することで、ガスタービンの信頼性を向上することができると共に長寿命化を図ることができる。
【発明の効果】
【0050】
本発明の燃焼用筒、ガスタービン燃焼器及びガスタービンによれば、燃焼用筒を効率良く冷却することで信頼性を向上することができると共に長寿命化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る燃焼用筒、ガスタービン燃焼器及びガスタービンの好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0053】
[第1実施形態]
図6は、第1実施形態のガスタービンを表す概略構成図、
図7は、ガスタービン燃焼器を表す概略図、
図8は、燃焼器尾筒を表す斜視図である。
【0054】
第1実施形態において、
図6に示すように、ガスタービン10は、圧縮機11と燃焼器12とタービン13により構成されている。このガスタービン10は、同軸上に図示しない発電機が連結されており、発電可能となっている。
【0055】
圧縮機11は、空気を取り込む空気取入口20を有し、圧縮機車室21内に入口案内翼(IGV:Inlet Guide Vane)22が配設されると共に、複数の静翼23と動翼24が前後方向(後述するロータ32の軸方向)に交互に配設されてなり、その外側に抽気室25が設けられている。燃焼器12は、圧縮機11で圧縮された圧縮空気に対して燃料を供給し、点火することで燃焼可能となっている。タービン13は、タービン車室26内に複数の静翼27と動翼28が前後方向(後述するロータ32の軸方向)に交互に配設されている。このタービン車室26の下流側には、排気車室29を介して排気室30が配設されており、排気室30は、タービン13に連続する排気ディフューザ31を有している。
【0056】
また、圧縮機11、燃焼器12、タービン13、排気室30の中心部を貫通するようにロータ(回転軸)32が位置している。ロータ32は、圧縮機11側の端部が軸受部33により回転自在に支持される一方、排気室30側の端部が軸受部34により回転自在に支持されている。そして、このロータ32は、圧縮機11にて、各動翼24が装着されたディスクが複数重ねられて固定され、タービン13にて、各動翼28が装着されたディスクが複数重ねられて固定されており、排気室30側の端部に図示しない発電機の駆動軸が連結されている。
【0057】
そして、このガスタービン10は、圧縮機11の圧縮機車室21が脚部35に支持され、タービン13のタービン車室26が脚部36により支持され、排気室30が脚部37により支持されている。
【0058】
従って、圧縮機11の空気取入口20から取り込まれた空気が、入口案内翼22、複数の静翼23と動翼24を通過して圧縮されることで高温・高圧の圧縮空気となる。燃焼器12にて、この圧縮空気に対して所定の燃料が供給され、燃焼する。そして、この燃焼器12で生成された作動流体である高温・高圧の燃焼ガスが、タービン13を構成する複数の静翼27と動翼28を通過することでロータ32を駆動回転し、このロータ32に連結された発電機を駆動する。一方、タービン13を駆動した燃焼ガスは、排気ガスとして大気に放出される。
【0059】
上述した燃焼器12において、
図7に示すように、燃焼器外筒41は、内部に所定間隔をあけて燃焼器内筒42が支持され、この燃焼器内筒42の先端部に燃焼器尾筒43が連結されて燃焼器ケーシングが構成されている。燃焼器内筒42は、内部の中心に位置してパイロット燃焼バーナ44が配置されると共に、燃焼器内筒42の内周面に周方向に沿ってパイロット燃焼バーナ44を取り囲むように複数のメイン燃焼バーナ45が配置されている。また、燃焼器尾筒43はバイパス管46が連結されており、このバイパス管46にバイパス弁47が設けられている。
【0060】
詳細に説明すると、燃焼器外筒41は、基端部に燃焼器内筒42の基端部が装着されることで、両者の間に空気流路51が形成されている。そして、燃焼器内筒42は、内部の中心に位置してパイロット燃焼バーナ44が配置され、その周囲に複数のメイン燃焼バーナ45が配置されている。
【0061】
パイロット燃焼バーナ44は、燃焼器内筒42に支持されたパイロットコーン52と、パイロットコーン52の内部に配置されたパイロットノズル53と、パイロットノズル53の外周部に設けられる旋回翼(スワラーベーン)54とから構成されている。また、各メイン燃焼バーナ45は、バーナ筒55と、バーナ筒55の内部に配置されたメインノズル56と、メインノズル56の外周部に設けられる旋回翼(スワラーベーン)57とから構成されている。
【0062】
また、燃焼器外筒41は、図示しないパイロット燃料ラインがパイロットノズル53の燃料ポート58に連結され、図示しないメイン燃焼ラインが各メインノズル56の燃料ポート59に連結されている。
【0063】
従って、高温・高圧の圧縮空気の空気流が空気流路51に流れ込むと、この圧縮空気が燃焼器内筒42内に流れ込み、この燃焼器内筒42内にて、この圧縮空気がメイン燃焼バーナ45から噴射された燃料と混合され、予混合気の旋回流となる。また、圧縮空気は、パイロット燃焼バーナ44から噴射された燃料と混合され、図示しない種火により着火されて燃焼し、燃焼ガスとなって燃焼器内筒42内に噴出される。このとき、燃焼ガスの一部が燃焼器内筒42内に火炎を伴って周囲に拡散するように噴出されることで、各メイン燃焼バーナ45から燃焼器内筒42内に流れ込んだ予混合気に着火されて燃焼する。即ち、パイロット燃焼バーナ44から噴射されたパイロット燃料による拡散火炎により、メイン燃焼バーナ45からの希薄予混合燃料の安定燃焼を行うための保炎を行うことができる。
【0064】
ところで、燃焼器尾筒43は、
図8に示すように、平板が曲げ加工されると共に、端部同士が溶接(溶接部W)されて筒形状に形成されている。このとき、燃焼器尾筒43は、一端部側が円筒形状に曲げ加工される一方、他端部側が矩形状に曲げ加工及び絞り加工される。そのため、燃焼器尾筒43は、円筒部61と、形状移行部62と、矩形筒部63とから構成され、円筒部61と矩形筒部63が形状移行部62により滑らかに連続されている。この燃焼器尾筒43は、ガスタービン10(
図6参照)の周方向に所定間隔を空けて複数がリング状に配置されている。そのため、各燃焼器尾筒43は、燃焼ガスGが流れる軸中心Oの先端部が、ロータ32(
図6参照)の軸中心に近づくように傾斜して配置される。そして、矩形筒部63の開口は、ガスタービン10の径方向に沿う第1辺64a,64bと、ガスタービン10の周方向に沿う第2辺65a,65bにより形成され、ガスタービン10の径方向の外側に位置する第2辺65aの周方向長さが、ガスタービン10の径方向の内側に位置する第2辺65bの長さより長くなっている。
【0065】
また、
図7に示すように、燃焼器内筒42における燃焼ガスGの流動方向の下流側の端部71が、燃焼器尾筒43における燃焼ガスGの流動方向の上流側の端部(円筒部61)に周方向に沿う径方向隙間を介して挿入されている。そして、燃焼器内筒42の端部71と燃焼器尾筒43の円筒部61が径方向に重なる位置の周方向にスプリングクリップ(ばね部材)66が介装されることで、燃焼器内筒42と燃焼器尾筒43が接続されている。
【0066】
ここで、燃焼器内筒42と燃焼器尾筒43の接続部について詳細に説明する。
図1は、第1実施形態のガスタービン燃焼器における燃焼器内筒と燃焼器尾筒の接続部を表す断面図、
図2は、燃焼器内筒と燃焼器尾筒の接続部を表す
図1のII−II断面図、
図3は、燃焼器内筒と燃焼器尾筒の接続部を表す
図2のIII−III断面図、
図4は、燃焼器内筒と燃焼器尾筒の接続部を表す
図1のIV−IV断面図、
図5は、燃焼器内筒と燃焼器尾筒の接続部を表す
図4のV−V断面図である。
【0067】
図1及び
図2に示すように、燃焼器内筒42は、円筒形状をなし、燃焼ガスGの流動方向の下流側の端部71の外径が、燃焼器尾筒43における燃焼ガスGの流動方向の上流側の端部、つまり、円筒部61の内径より小さい寸法に設定されている。この場合、燃焼器内筒42の端部71が、燃焼器尾筒43の円筒部61内に周方向に沿う径方向隙間Sを介して挿入されており、この燃焼器内筒42の端部71と燃焼器尾筒43の円筒部61が径方向に重なる領域が接続部Cとなる。そして、燃焼器内筒42の端部71と燃焼器尾筒43の円筒部61との間の径方向隙間Sにスプリングクリップ66が配置されている。
【0068】
燃焼器内筒42は、端部71の外周面に弾性変形可能な板状のバギークリップ67が固定されている。このバギークリップ67は、燃焼ガスGの流動方向の中間部が外側に突出した湾曲形状をなし、端部71の外周面に固定されている。このスプリングクリップ66は、燃焼器内筒42を燃焼器尾筒43に対して脱落不能に接続する役割を果たすものである。このスプリングクリップ66は、弾性変形可能な板バネ部材であって、燃焼ガスGの流動方向の下流側の端部が燃焼器内筒42における円筒部61の外周面に固定される一方、燃焼ガスGの流動方向の上流側の端部が燃焼器内筒42の外周面から浮いてバギークリップ67と円筒部61の内面との間に挟持されている。
【0069】
このスプリングクリップ66とバギークリップ67は、燃焼器内筒42の外側に全周に渡って配置されている。そして、燃焼器内筒42の端部71が燃焼器尾筒43の円筒部61に挿入された状態にて、燃焼器内筒42と燃焼器尾筒43との間で押し潰されたバギークリップ67が元の形状に復元しようとする力により、スプリングクリップ66が燃焼器尾筒43の内周面に押し付けられている。そのため、燃焼器内筒42は、燃焼器尾筒43から脱落することが防止されている。
【0070】
そして、第1実施形態では、
図1から
図5に示すように、燃焼器内筒(燃焼用筒)42と燃焼器尾筒(トランジションピース)43との接続部Cに冷却媒体としての圧縮空気により冷却する冷却部81,91が設けられている。本実施形態にて、冷却部81,91は、燃焼器内筒42の端部71に設けられ、燃焼器内筒42の端部71に対して燃焼器尾筒43の形状移行部62が離間している第1領域θ1,θ2に設けられる第1冷却部81における圧縮空気の流通量に対して、燃焼器内筒42の端部71に対して燃焼器尾筒43の形状移行部62が接近している第2領域θ3,θ4に設けられる第2冷却部91における圧縮空気の流通量が多く設定されている。
【0071】
燃焼器尾筒43は、前述したように、円筒部61に対して形状移行部62及び矩形筒部63が絞り形状をなしていることから、燃焼器内筒42の端部71に対して燃焼器尾筒43の形状移行部62の後端部が中心側に屈曲し、接続角度αが設定されており、この接続角度αが周方向で相違している。
【0072】
即ち、
図2及び
図4に示すように、燃焼器内筒42の外面を軸方向に沿うように、燃焼ガスGの流れ方向の下流側に向けて直線状に延長する延長線Lが、燃焼器尾筒43の形状移行部62内面との交点(接続点D)で当接する。このとき、交点(接続点D)における延長線Lと形状移行部62内面とがなす角度を接続角度αと規定する。そのため、本実施形態では、接続角度αが小さい第1領域θ1,θ2に設けられる第1冷却部81における圧縮空気の流通量に対して、接続角度αが大きい第2領域θ3,θ4に設けられる第2冷却部91における圧縮空気の流通量が多く設定されている。
【0073】
ここで、燃焼器内筒42の後端から接続点Dまでの距離は、周方向で一定となっており、円筒部61と形状移行部62との連結屈曲部に位置が周方向で軸方向に相違している。但し、連結屈曲部に位置を周方向で軸方向に一定とし、燃焼器内筒42の後端から接続点Dまでの距離を周方向で相違させてもよい。また、燃焼器内筒42の外面が湾曲している場合、後端の位置における接線が延長線Lとなり、燃焼器尾筒43の内面が湾曲している場合、燃焼器尾筒43の内面における接続点Dで内面の接線と延長線Lとがなす角度が接続角度αとなる。更に、形状移行部62が傾斜しておらず、延長線Lが形状移行部62内面と交差しないとき、接続角度α=0と規定する。
【0074】
図1及び
図4に示すように、ガスタービン10における周方向の両側の第1領域θ1,θ2では、形状移行部62の壁面の傾斜角度が小さいことから接続角度α2が小さい。一方、
図1及び
図2に示すように、ガスタービン10における径方向の外側と内側の第2領域θ3,θ4では、形状移行部62の壁面の傾斜角度が大きいことから接続角度α1が大きい。そのため、第2領域θ3,θ4では、燃焼器内筒42を流れる燃焼ガスGが端部71から形状移行部62の内側に流れ込み、燃焼器内筒42の端部71が高温化し、高温酸化減肉が発生するおそれがある。そのため、接続角度α2が小さい第1領域θ1,θ2に対して、接続角度α1が大きい第2領域θ3,θ4を効率良く冷却する必要がある。
【0075】
この場合、第1冷却部81は、接続角度α2が小さい第1領域θ1,θ2に設けられ、第2冷却部91は、接続角度α1が大きい第2領域θ3,θ4に設けられている。また、第1領域θ1,θ2は、第1辺64a,64b(
図8参照)側に設けられ、第2領域θ3,θ4は、第2辺65a,65b(
図8参照)側に設けられている。この場合、第2辺65aが第2辺65bより長いことから、第2領域θ3の周方向長さが、第2領域θ4の周方向長さより長く設定されている。なお、第1辺64a,64b側の長さは同じであるから、第1領域θ1,θ2の周方向長さは同じに設定されている。なお、燃焼器尾筒43における溶接部W(
図8参照)は、第1領域θ2に配置される。
【0076】
図1、
図4及び
図5に示すように、第1冷却部81は、燃焼器内筒42における軸方向の端部71であって、第1領域θ1,θ2(第1辺64a,64b側)に設けられている。第1冷却部81は、燃焼器内筒42における燃焼ガスGの流動方向の下流側の端部71に、燃焼ガスGの流動方向に沿うと共に、燃焼器内筒42の周方向に所定間隔を空けて貫通して設けられる複数の冷却通路である。即ち、第1冷却部81は、燃焼器内筒42の軸方向に沿うと共に周方向に所定間隔を空けて形成される複数の第1冷却通路82と、燃焼器内筒42の径方向に沿うと共に周方向に所定間隔を空けて形成される複数の第1冷却孔83とから構成されている。第1冷却通路82は、一端部が第1冷却孔83に連通し、他端部が燃焼器内筒42の端面に開口している。第1冷却孔83は、径方向隙間Sに開口している。
【0077】
図1から
図3に示すように、第2冷却部91は、燃焼器内筒42における軸方向の端部71であって、第2領域θ3,θ4(第2辺65a,65b側)に設けられている。第2冷却部91は、燃焼器内筒42における燃焼ガスGの流動方向の下流側の端部71に、燃焼ガスGの流動方向に沿うと共に、燃焼器内筒42の周方向に所定間隔を空けて貫通して設けられる複数の冷却通路である。即ち、第2冷却部91は、燃焼器内筒42の軸方向に沿うと共に周方向に所定間隔を空けて形成される複数の第1通路92及び第2通路93と、燃焼器内筒42の周方向に沿って第1通路92と第2通路93が連通する合流部94と、燃焼器内筒42の径方向に沿うと共に周方向に所定間隔を空けて形成される複数の第2冷却孔95とから構成されている。ここで、第1通路92と第2通路93と合流部94により第2冷却通路が構成されている。第1通路92は、一端部が第2冷却孔95に連通し、他端部が合流部94に連通している。第2通路93は、一端部が合流部94に連通し、他端部が燃焼器内筒42の端面に開口している。第2冷却孔95は、径方向隙間Sに開口している。
【0078】
そして、
図5に示すように、第1冷却部81における複数の第1冷却通路82は、周方向に所定のピッチ(間隔)P1をもって配置されている。一方、
図3に示すように、第2冷却部91における複数の第1通路92は、周方向に所定のピッチ(間隔)P1をもって配置され、複数の第2通路93は、周方向に所定のピッチ(間隔)P2をもって配置されている。ここで、第1冷却部81における第1冷却通路82のピッチP1と、第2冷却部91における第1通路92のピッチP1は、同ピッチに設定されている。一方、第1冷却通路82及び第1通路92のピッチP1に対して、第2冷却部91における第2通路93のピッチ(間隔)P2が小さく(P1>P2)に設定されることで、第2通路93の本数が多くなっている。なお、第1冷却通路82と第1通路92と第2通路93の内径は、同径となっている。
【0079】
そのため、第1冷却部81及び第2冷却部91は、燃焼器内筒42の板厚内を貫通して設けられていることから、接続角度α2が小さい第1領域θ1,θ2に設けられる第1冷却部81(第1冷却通路82)における圧縮空気の合計通路面積に対して、接続角度α1が大きい第2領域θ3,θ4に設けられる第2冷却部91(第2通路93)における圧縮空気の合計通路面積が大きくなる。その結果、接続角度α2が小さい第1領域θ1,θ2に設けられる第1冷却部81における圧縮空気の流通量に対して、接続角度α1が大きい第2領域θ3,θ4に設けられる第2冷却部91における圧縮空気の流通量が多くなる。
【0080】
すると、
図2及び
図4に示すように、圧縮機11により圧縮された圧縮空気は、その一部がスプリングクリップ66の隙間を通って径方向隙間Sに導入される。第1冷却部81では、径方向隙間Sの圧縮空気が各第1冷却孔83から各第1冷却通路82に導入され、各第1冷却通路82内を流れることで燃焼器内筒42の端部71における第1領域θ1,θ2を冷却する。また、第2冷却部91では、径方向隙間Sの圧縮空気が各第2冷却孔95から各第1通路92に導入され、合流部94で合流する。そして、圧縮空気は、合流部94から各第2通路93に導入され、この各第2通路93内を流れることで燃焼器内筒42の端部71における第2領域θ3,θ4を冷却する。
【0081】
ここで、燃焼器尾筒43は、第1領域θ1,θ2で接続角度α2が小さく、第2領域θ3,θ4で接続角度α1が大きいことから、第2領域θ3,θ4にて、燃焼器内筒42を流れる燃焼ガスGが端部71から形状移行部62の内側に流れ込み、この燃焼器内筒42の端部71が高温化しやすい。ところが、第2冷却部91は、第1冷却部81に比べて、各第2通路93に多量の圧縮空気を流すことから、高温化しやすい燃焼器内筒42の端部71における第2領域θ3,θ4を効率良く冷却することかできる。
【0082】
このように第1実施形態のガスタービン燃焼器にあっては、内部で圧縮空気と燃料が混合されて燃焼する燃焼器内筒42と、燃焼器内筒42における燃焼ガスの流動方向の下流側の端部71が周方向に沿う径方向隙間Sを介して挿入されて接続される燃焼器尾筒43と、燃焼器内筒42と燃焼器尾筒43との接続部Cに設けられて圧縮空気(冷却媒体)により冷却する冷却部81,91とを設け、接続角度α2が小さい第1領域θ1,θ2を冷却する第1冷却部81による圧縮空気の流通量に対して、接続角度α1が大きい第2領域θ3,θ4を冷却する第2冷却部91における圧縮空気の流通量を多く設定している。
【0083】
従って、燃焼器内筒42と燃焼器尾筒43との接続部Cに圧縮空気により冷却する冷却部81,91が設けられており、燃焼ガスにより燃焼器内筒42の端部71の高温化が冷却部81,91の圧縮空気により抑制される。このとき、接続角度α1が大きい第2領域θ3,θ4では、燃焼ガスにより燃焼器内筒42の端部71が高温化しやすい。そのため、第1冷却部81による圧縮空気の流通量に対して、第2冷却部91における圧縮空気の流通量が多いことから、燃焼器尾筒43の周方向における形状に拘わらず、燃焼器内筒42の端部71を圧縮空気により適正に冷却することができる。その結果、燃焼器内筒42を効率良く冷却することで信頼性を向上することができると共に、補修コストを低減して長寿命化を図ることができる。
【0084】
第1実施形態のガスタービン燃焼器では、接続部Cは、燃焼器内筒42の端部71と燃焼器尾筒43の円筒部61が径方向に重なることで構成され、冷却部81,91を燃焼器内筒42における軸方向の端部71に設けている。圧縮空気により燃焼器内筒42の端部71を効率良く冷却することができる。
【0085】
第1実施形態のガスタービン燃焼器では、第1冷却部81として周方向に所定間隔を空けて設けられる複数の第1冷却通路82を設け、第2冷却部91として周方向に所定間隔を空けて設けられる複数の第1通路92を設け、複数の第1冷却通路82のピッチP1に対して、複数の第2通路93のピッチP2を小さく設定している。従って、冷却部81,91を燃焼ガスの流動方向に沿う複数の通路82,92,93とすることで、冷却部81,91の簡素化を図ることができ、また、第1冷却通路82のピッチP1より第2通路93のピッチP2を小さく設定することで、簡単な構成で接続角度α1が大きい第2領域θ3,θ4における燃焼器内筒42の端部71を効率良く冷却することができる。
【0086】
第1実施形態のガスタービン燃焼器では、冷却部81,91の通路82,92,93の一端部を径方向隙間Sに開口し、他端部を燃焼器内筒42における燃焼ガスの流動方向の下流側の端面に開口している。従って、外部から取り入れた圧縮空気により燃焼器内筒42の端部71を冷却した後、燃焼ガス通路に排出することで、燃焼器効率の低下を抑制することができる。
【0087】
第1実施形態のガスタービン燃焼器では、第2冷却部91として、一端部が径方向隙間Sに開口する第2冷却孔95と、一端部が第2冷却孔95に連通する第1通路92と、一端部が燃焼器内筒42の端面に開口する第1通路92より数が多い第2通路93と、第1通路92の他端部と第2通路93の他端部とが連通する合流部94とを設けている。従って、圧縮空気は、複数の第2冷却孔95から第1通路92を通して合流部94に流れて合流した後、数が増加した第2通路93を流れて排出されることとなり、高温化される燃焼器内筒42の端部71における冷却面積が増加し、燃焼器内筒42の端部71を効率良く冷却することができる。
【0088】
第1実施形態のガスタービン燃焼器では、燃焼器尾筒43は、円筒部61と形状移行部62と、矩形筒部63とから構成され、第1領域θ1,θ2は、径方向に沿う第1辺64a,64b側に設けられ、第2領域θ3,θ4は、周方向に沿う第2辺65a,65b側に設けられる。従って、円筒形状から矩形筒形状に変化する燃焼器尾筒43であっても、この燃焼器尾筒43に接続される燃焼器内筒42の端部71を全周にわたって効率良く冷却することができる。
【0089】
第1実施形態のガスタービン燃焼器では、ガスタービン10の径方向の外側に位置する第2領域θ3の周方向長さを、ガスタービン10の径方向の内側に位置する第2領域θ4の周方向長さより長く設定している。従って、燃焼器尾筒43の形状に応じて第2領域θ3,θ4の周方向長さを設定することで、燃焼器内筒42の端部71を全周にわたって効率良く冷却することができる。
【0090】
また、第1実施形態のガスタービンにあっては、空気を圧縮する圧縮機11と、圧縮機11が圧縮した圧縮空気と燃料を混合して燃焼する燃焼器12と、燃焼器12が生成した燃焼ガスにより回転動力を得るタービン13とを備え、燃焼器12にて、燃焼器内筒42と燃焼器尾筒43との接続部Cに圧縮空気(冷却媒体)により冷却する冷却部81,91を設けている。従って、燃焼器内筒42を効率良く冷却することで信頼性を向上することができると共に長寿命化を図ることができる。
【0091】
[第2実施形態]
図9は、第2実施形態のガスタービン燃焼器における燃焼器内筒と燃焼器尾筒の接続部を表す断面図、
図10は、燃焼器内筒と燃焼器尾筒の接続部を表す
図9のX−X断面図、
図11は、燃焼器内筒と燃焼器尾筒の接続部を表す
図9のXI−XI断面図である。なお、上述した第1実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0092】
第2実施形態では、
図9からび
図11に示すように、燃焼器内筒42と燃焼器尾筒43との接続部Cに冷却媒体としての圧縮空気により冷却する冷却部81,91が設けられている。本実施形態にて、冷却部81,91は、燃焼器内筒42の端部71に設けられ、径方向隙間S1が広い第1領域θ1,θ2に設けられる第1冷却部81における圧縮空気の流通量に対して、第1領域θ1,θ2の径方向隙間S1よりも径方向隙間S2が狭い第2領域θ3,θ4に設けられる第2冷却部91における圧縮空気の流通量が多く設定されている。
【0093】
燃焼器尾筒43は、前述したように、円筒部61に対して形状移行部62及び矩形筒部63が絞り形状をなしていることから、燃焼器内筒42の端部71と燃焼器尾筒43の形状移行部62との径方向隙間S1,S2が周方向で相違している。即ち、ガスタービン10における周方向の両側の第1領域θ1,θ2では、形状移行部62の壁面が直線状をなすことから、燃焼器内筒42と燃焼器尾筒43との径方向隙間S1が第2領域θ3,θ4の径方向隙間S2よりも広い。一方、ガスタービン10における径方向の外側と内側の第2領域θ3,θ4では、形状移行部62の壁面が中心部側に傾斜していることから、燃焼器内筒42と燃焼器尾筒43との径方向隙間S2が第1領域θ1,θ2の径方向隙間S1よりも狭い。そのため、第2領域θ3,θ4では、燃焼器内筒42を流れる燃焼ガスGが端部71から形状移行部62の内側に流れ込み、燃焼器内筒42の端部71が高温化し、高温酸化減肉が発生するおそれがある。そのため、径方向隙間S1が広い第1領域θ1,θ2に対して、第1領域θ1,θ2の径方向隙間S1よりも径方向隙間S2が狭い第2領域θ3,θ4を効率良く冷却する必要がある。
【0094】
この場合、第1冷却部81は、径方向隙間S1が広い第1領域θ1,θ2に設けられ、第2冷却部91は、第1領域θ1,θ2の径方向隙間S1よりも径方向隙間S2が狭い第2領域θ3,θ4に設けられている。また、第1領域θ1,θ2は、第1辺64a,64b(
図8参照)側に設けられ、第2領域θ3,θ4は、第2辺65a,65b(
図8参照)側に設けられている。この場合、第2辺65aが第2辺65bより長いことから、第2領域θ3の周方向長さが、第2領域θ4の周方向長さより長く設定されている。なお、第1辺64a,64b側の長さは同じであるから、第1領域θ1,θ2の周方向長さは同じに設定されている。なお、燃焼器尾筒43における溶接部W(
図8参照)は、第1領域θ2に配置される。
【0095】
なお、第1冷却部81と第2冷却部91は、第1実施形態と同様であることから、説明は省略する。
【0096】
そのため、第1冷却部81及び第2冷却部91は、燃焼器内筒42の板厚内を貫通して設けられていることから、径方向隙間S1が広い第1領域θ1,θ2に設けられる第1冷却部81(第1冷却通路82)における圧縮空気の合計通路面積に対して、第1領域θ1,θ2の径方向隙間S1よりも径方向隙間S2が狭い第2領域θ3,θ4に設けられる第2冷却部91(第2通路93)における圧縮空気の合計通路面積が大きくなる。その結果、径方向隙間S1が広い第1領域θ1,θ2に設けられる第1冷却部81における圧縮空気の流通量に対して、第1領域θ1,θ2の径方向隙間S1よりも径方向隙間S2が狭い第2領域θ3,θ4に設けられる第2冷却部91における圧縮空気の流通量が多くなる。
【0097】
すると、圧縮機11により圧縮された圧縮空気は、その一部がスプリングクリップ66の隙間を通って径方向隙間Sに導入される。第1冷却部81では、径方向隙間Sの圧縮空気が各第1冷却孔83から各第1冷却通路82に導入され、各第1冷却通路82内を流れることで燃焼器内筒42の端部71における第1領域θ1,θ2を冷却する。また、第2冷却部91では、径方向隙間Sの圧縮空気が各第2冷却孔95から各第1通路92に導入され、合流部94で合流する。そして、圧縮空気は、合流部94から各第2通路93に導入され、この各第2通路93内を流れることで燃焼器内筒42の端部71における第2領域θ3,θ4を冷却する。
【0098】
ここで、燃焼器尾筒43は、第1領域θ1,θ2で径方向隙間S1が広く、第2領域θ3,θ4で径方向隙間S2が狭いことから、第2領域θ3,θ4にて、燃焼器内筒42を流れる燃焼ガスGが端部71から形状移行部62の内側に流れ込み、この燃焼器内筒42の端部71が高温化しやすい。ところが、第2冷却部91は、第1冷却部81に比べて、各第2通路93に多量の圧縮空気を流すことから、高温化しやすい燃焼器内筒42の端部71における第2領域θ3,θ4を効率良く冷却することかできる。
【0099】
このように第2実施形態のガスタービン燃焼器にあっては、内部で圧縮空気と燃料が混合されて燃焼する燃焼器内筒42と、燃焼器内筒42における燃焼ガスの流動方向の下流側の端部が径方向隙間Sを介して挿入されて接続される燃焼器尾筒43と、燃焼器内筒42と燃焼器尾筒43との接続部Cに設けられて圧縮空気(冷却媒体)により冷却する冷却部81,91とを設け、径方向隙間S1が広い第1領域θ1,θ2を冷却する第1冷却部81による圧縮空気の流通量に対して、径方向隙間S2が狭い第2領域θ3,θ4を冷却する第2冷却部91における圧縮空気の流通量を多く設定している。
【0100】
従って、燃焼器内筒42と燃焼器尾筒43との接続部Cに圧縮空気により冷却する冷却部81,91が設けられており、燃焼ガスにより燃焼器内筒42の端部71の高温化が冷却部81,91の圧縮空気により抑制される。このとき、径方向隙間S2が狭い第2領域θ3,θ4では、燃焼ガスにより燃焼器内筒42の端部71が高温化しやすい。そのため、第1冷却部81による圧縮空気の流通量に対して、第2冷却部91における圧縮空気の流通量が多いことから、燃焼器尾筒43の周方向における形状に拘わらず、燃焼器内筒42の端部71を圧縮空気により適正に冷却することができる。その結果、燃焼器内筒42を効率良く冷却することで信頼性を向上することができると共に、補修コストを低減して長寿命化を図ることができる。
【0101】
なお、第1実施形態では、接続角度α2が小さい第1領域θ1,θ2への圧縮空気の流通量に対して、接続角度α1が大きい第2領域θ3,θ4への圧縮空気の流通量を多く設定し、第2実施形態は、径方向隙間S1が広い第1領域θ1,θ2への圧縮空気の流通量に対して、径方向隙間S2が狭い第2領域θ3,θ4への圧縮空気の流通量を多く設定した。ここで、第1実施形態に第2実施形態を加味することで、接続角度α2が小さく、且つ、径方向隙間S1が広い第1領域θ1,θ2への圧縮空気の流通量に対して、接続角度α1が大きく、且つ、径方向隙間S2が狭い第2領域θ3,θ4への圧縮空気の流通量を多く設定してもよい。
【0102】
[第3実施形態]
図12は、第3実施形態のガスタービン燃焼器における燃焼器内筒と燃焼器尾筒の接続部を表す断面図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0103】
第3実施形態において、
図12に示すように、燃焼器内筒42は、端部71が燃焼器尾筒43の円筒部61内に径方向隙間Sを介して挿入され、この燃焼器内筒42の端部71と燃焼器尾筒43の円筒部61が径方向に重なる領域が接続部Cとなる。そして、燃焼器内筒42の端部71と燃焼器尾筒43の円筒部61との間の径方向隙間Sにスプリングクリップ66が配置されている。
【0104】
そして、第3実施形態では、燃焼器内筒42と燃焼器尾筒43との接続部Cに圧縮空気(冷却媒体)により冷却する冷却部101が設けられている。本実施形態にて、冷却部101は、燃焼器尾筒43の円筒部61に設けられ、径方向隙間S1が広い第1領域θ1,θ2(
図1参照)に設けられる第1冷却部における圧縮空気の流通量に対して、径方向隙間S2が狭い第2領域θ3,θ4(
図1参照)に設けられる第2冷却部における圧縮空気の流通量が多く設定されている。具体的に、冷却部101は、燃焼器尾筒43における燃焼ガスGの流動方向の上流側の端部(円筒部61)に、燃焼ガスGの流動方向に沿うと共に、燃焼器尾筒43の周方向に所定間隔を空けて貫通して設けられる複数の冷却通路102である。各冷却通路102は、一端部が燃焼器尾筒43の外面に開口し、他端部が燃焼器尾筒43の内面であって、燃焼器内筒42の端部に対向して開口している。
【0105】
第3実施形態では、図示しないが、第1実施形態と同様に、径方向隙間S1が広い第1領域θ1,θ2(
図1参照)に設けられる冷却通路102の本数に対して、径方向隙間S2が狭い第2領域θ3,θ4(
図1参照)に設けられる冷却通路102の本数が多く設定されている。
【0106】
そのため、圧縮機11により圧縮された圧縮空気は、その一部が複数の冷却通路102から径方向隙間Sに導入され、燃焼器内筒42の端部71に接触することで燃焼器内筒42の端部71を冷却する。ここで、径方向隙間S2が狭い第2領域θ3,θ4では、冷却通路102の本数が多いことから、高温化しやすい燃焼器内筒42の端部71における第2領域θ3,θ4を効率良く冷却することかできる。
【0107】
なお、ここでは、冷却部101を燃焼器尾筒43の円筒部61に設けられる複数の冷却通路102としたが、この構成に限定されるものではない。
図13は、第3実施形態のガスタービン燃焼器における燃焼器内筒と燃焼器尾筒の接続部の変形例を表す断面図である。
【0108】
第3実施形態の変形例では、
図13に示すように、燃焼器内筒42と燃焼器尾筒43との接続部Cに圧縮空気(冷却媒体)により冷却する冷却部111が設けられている。本実施形態にて、冷却部111は、燃焼器尾筒43の円筒部61及び形状移行部62に設けられ、径方向隙間S1が広い第1領域θ1,θ2(
図1参照)に設けられる第1冷却部における圧縮空気の流通量に対して、第1領域θ1,θ2の径方向隙間S1よりも径方向隙間S2が狭い第2領域θ3,θ4(
図1参照)に設けられる第2冷却部における圧縮空気の流通量が多く設定されている。具体的に、冷却部111は、燃焼器尾筒43における燃焼ガスGの流動方向の上流側の円筒部61及び形状移行部62に、燃焼器尾筒43の径方向に沿うと共に、燃焼器尾筒43の周方向に所定間隔を空けて貫通して設けられる複数の冷却通路112,113である。各冷却通路112,113は、燃焼ガスGの流動方向にずれて配置され、一端部が燃焼器尾筒43の外面に開口し、他端部が燃焼器尾筒43の内面であって、燃焼器内筒42の端部71に対向して開口している。
【0109】
第3実施形態の変形例では、図示しないが、第3実施形態と同様に、径方向隙間Sが広い第1領域θ1,θ2(
図1参照)に設けられる冷却通路112,113の本数に対して、第1領域θ1,θ2の径方向隙間S1よりも径方向隙間S2が狭い第2領域θ3,θ4(
図1参照)に設けられる冷却通路112,113の本数が多く設定されている。なお、作用は、第3実施形態と同様であることから、説明は省略する。
【0110】
このように第3実施形態のガスタービン燃焼器にあっては、燃焼器内筒42と燃焼器尾筒43との接続部Cに、圧縮空気(冷却媒体)により冷却する冷却部101,111を設け、径方向隙間S1が広い第1領域θ1,θ2を冷却する第1冷却部による圧縮空気の流通量に対して、第1領域θ1,θ2の径方向隙間S1よりも径方向隙間S2が狭い第2領域θ3,θ4を冷却する第2冷却部における圧縮空気の流通量を多く設定している。
【0111】
従って、燃焼器尾筒43の周方向における形状に拘わらず、燃焼器内筒42の端部71を圧縮空気により適正に冷却することができる。その結果、燃焼器内筒42を効率良く冷却することで信頼性を向上することができると共に長寿命化を図ることができる。
【0112】
[第4実施形態]
図14は、第4実施形態のガスタービン燃焼器における燃焼器内筒と燃焼器尾筒の接続部を表す断面図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0113】
第4実施形態において、
図14に示すように、ガスタービンの径方向及び軸方向に垂直な直線で、且つ、燃焼器内筒42の軸中心Oを通る基準線L1に対してこの基準線L1よりもガスタービンの径方向の外側の領域にある冷却部81,91(
図2及び
図4参照)の外側領域と、基準線L1に対してこの基準線L1よりもガスタービンの径方向の内側の領域にある冷却部81,91の内側領域とが設定される。そして、燃焼器内筒42の外面の軸方向に沿う延長線Lと燃焼器尾筒43の内面との交点(接続点D)における接続角度αが設定される。また、外側領域または内側領域のいずれかの領域における基準線L1寄りの位置に設定される第1領域θ1,θ2と第1領域θ1,θ2よりも基準線L1から遠い位置に設定されて第1領域θ1,θ2よりも接続角度αが大きい第2領域θ3,θ4とが設定される。そして、第2領域θ3,θ4(第2冷却部91)は、第1領域θ1,θ2(第1冷却部81)よりも圧縮空気(冷却媒体)の流通量が多く設定される。この構成は、第1実施形態とほぼ同様の構成となっている。
【0114】
また、外側領域または内側領域のいずれかの領域における基準線L1寄りの位置に設定される第1領域θ1,θ2と、第1領域θ1,θ2よりも基準線L1から遠い位置に設定されて第1領域θ1,θ2よりも径方向隙間Sが狭い第2領域θ3,θ4とが設定され、第2領域θ3,θ4は、第1領域θ1,θ2よりも圧縮空気(冷却媒体)の流通量が多く設定される。この構成は、第2実施形態とほぼ同様の構成となっている。
【0115】
以下、第1領域θ1,θ2と第2領域θ3,θ4の関係、また、第1冷却部81と第2冷却部91との関係について、具体的に説明する。
【0116】
燃焼器内筒42及び燃焼器尾筒43の周方向における単位長さ当りの冷却部81,91の断面積は、第1領域θ1,θ2より第2領域θ3,θ4が大きく設定されている。即ち、第1冷却部81の周方向における単位長さ当りの断面積は、第2冷却部91の周方向における単位長さ当りの断面積より大きく設定されている。
【0117】
外側領域は、第1領域θ1,θ2の一部を構成する外側第1領域θ11,θ21と、外側第1領域θ11,θ21よりガスタービンの径方向の外側で第2領域を構成する外側第2領域θ3とに設定され、外側第1領域θ11,θ21の合計領域より外側第2領域θ3が大きく設定されている。
【0118】
内側領域は、第1領域θ1,θ2の一部を構成する内側第1領域θ12,θ22と、内側第1領域θ12,θ22よりガスタービンの径方向の内側で第2領域を構成する内側第2領域θ4とに設定され、内側第1領域θ12,θ22の合計領域より内側第2領域θ4が小さく設定されている。
【0119】
この場合、内側第2領域θ4より外側第2領域θ3が大きく設定されている。
【0120】
第1領域θ1,θ2及び第2領域θ3,θ4は、それぞれ基準線L1及び燃焼器内筒42の軸方向に垂直な第2基準線L2に対して線対称に設定されている。
【0121】
外側領域における冷却通路の数は、内側領域における冷却通路の数より多く設定されている。また、第1領域θ1,θ2における冷却通路の数は、第2領域θ3,θ4における冷却通路の数より少なく設定されている。
【0122】
複数の冷却通路における平均間隔は、第1領域θ1,θ2で5.5mm〜8.5mmに設定され、第2領域θ3,θ4で2.0mm〜5.0mmに設定されている。即ち、第1冷却部81における冷却通路の平均間隔は、5.5mm〜8.5mmに設定され、第2冷却部91における冷却通路の平均間隔は、2.0mm〜5.0mmに設定されている。
【0123】
外側第1領域θ11,θ21と外側第2領域θ3は、燃焼器内筒42の周方向に隣接し、外側第1領域θ11,θ21と外側第2領域θ3の境界位置は、基準線L1から15度〜30度の範囲に設定されている。
【0124】
内側第1領域θ12,θ22と内側第2領域θ4は、燃焼器内筒42の周方向に隣接し、内側第1領域θ12,θ22と内側第2領域θ4の境界位置は、基準線L1から60度〜75度の範囲に設定されている。
【0125】
燃焼器内筒42と基準線L1とが交差する位置における接続角度αが0度に設定され、外側領域のうちの第2基準線L2と交差する位置における接続角度αが12度〜16度に設定され、内側領域のうちの第2基準線L2と交差する位置における接続角度αが8度〜12度に設定されている。
【0126】
第1領域θ1,θ2と第2領域θ3,θ4の関係、第1冷却部81と第2冷却部91との関係は、上述した範囲に設定することが望ましく、この構成により、燃焼器内筒42を効率良く冷却することができる。
【0127】
なお、上述した第1実施形態では、冷却部81,91として、燃焼器内筒42の板厚内に燃焼ガスGの流動方向に沿って貫通した通路82,92,93としたり、冷却部101,111として、燃焼器尾筒43に形成した通路102,112,113としたりしたが、この構成に限定されるものではない。例えば、この通路は、燃焼ガスGの流動方向に対して傾斜していても、燃焼器内筒42の周方向に沿っていてもよい。