特許第6564887号(P6564887)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6564887
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】土供給装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/08 20060101AFI20190808BHJP
【FI】
   A01G9/08 604F
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-6137(P2018-6137)
(22)【出願日】2018年1月18日
(65)【公開番号】特開2019-122322(P2019-122322A)
(43)【公開日】2019年7月25日
【審査請求日】2018年1月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208433
【氏名又は名称】大和精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120341
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】木村 善律
【審査官】 竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−015448(JP,U)
【文献】 実開平06−015447(JP,U)
【文献】 特開2001−269061(JP,A)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
育苗箱(N)を載置して搬送する搬送コンベヤ(3)と、この搬送コンベヤ(3)の上方で前後ローラ(4)に巻掛けられていて育苗箱(N)内に土を落下供給する土送りベルト(5A)を有する土送りベルト機構(5)と、この土送りベルト(5A)の上方に配置されていて漏斗状ホッパ体(6)内の撹拌部材(7)を回転して前記土送りベルト(5A)上に土を繰り出すホッパ機構(8)とを備える土供給装置において、
前記土送りベルト(5A)の土送り出し側に送り出し土を一時ストックしておいて搬入される育苗箱(N)の前端部にストック土を落下する一時土保留機構(11)を設けており、
前記一時土保留機構(11)は、土送りベルト(5A)の土送り出し側の前方に揺動可能に配置されていて作用位置(S)で土送りベルト(5A)と相まって送り出し土を保留する保留部材(12)と、搬送コンベヤ(3)上に配置されていて搬入される育苗箱(N)の前端部を検出する検出部材(14)と、この検出部材(14)の検出動作によって保留部材(12)を作用位置(S)から解放位置(K)へ移動する連動部材(16)とを有しており、
前記一時土保留機構(11)の保留部材(12)は回動軸(12a)に板材(12b)の上部を固定して形成されており、作用位置(S)での板材(12b)の上部は送り出し土のオーバフローを許容するべく土送りベルト(5A)の上面と略同じ高さに配置されていることを特徴とする土供給装置。
【請求項2】
前記ホッパ機構(8)は、前記ホッパ体(6)の土繰り出し側の側壁の下部に繰り出し土量を調整する調整ゲート(18)を設けており、この調整ゲート(18)に、土送りベルト(5A)上に繰り出し土を中央側より両側で多量にする切欠(18c)を形成するとともに、この切欠(18c)の開口幅を調整する土量補助調整部材(19)を設けていることを特徴とする請求項1に記載の土供給装置。
【請求項3】
前記ホッパ機構(8)は、前記ホッパ体(6)の土繰り出し側の側壁の下部に繰り出し土量を調整する調整ゲート(18)を設けるとともに、前記土繰り出し側の側壁の下部に調整ゲート(18)よりも内側でかつ撹拌部材(7)に近接して上方土の堆積圧を担持する規制部材(20)を設けていることを特徴とする請求項1又は2に記載の土供給装置。
【請求項4】
前記ホッパ機構(8)の撹拌部材(7)は、ホッパ体(6)に枢支された回転軸(7a)に複数枚の円板(7b)を軸芯に対して傾斜して固定しており、回転軸(7a)の両軸端側に位置する円板(7b)にホッパ体(6)の周囲壁に近接する延長撹拌部材(7c)を設けていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の土供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、育苗箱内に土を供給する土供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
床土供給システムや播種一貫システムに組み込み、育苗箱に播種のための床土、覆土を供給する土供給装置として、特許文献1に開示された土入れ装置がある。この土入れ装置は、育苗箱を搬送する搬送機構の上方にベルトコンベヤを配置し、このベルトコンベヤの上方に土を収納しかつベルトコンベヤに土を載せるホッパを配置し、ベルトコンベヤを掛けた前ローラの前下方に土落下案内板を配置しており、ベルトコンベヤから送り出される土を土落下案内板で案内して、育苗箱内に均一に供給できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−98669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来技術は、土落下案内板によって育苗箱の前部から後部まで、また、左右全幅に亘って略均一に土を供給できるが、特に前端はその前に土が供給されていないので、局部的に土量が少なくなる。
本発明は、このような従来技術の問題点を解決できるようにした土供給装置を提供することを目的とする。
【0005】
本発明は、送り出し土を一時ストックしておいて搬入される育苗箱の前端部にストック土を落下して、育苗箱の前端部に供給する土量を増量できるようにした土供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明における課題解決のための具体的手段は、次の通りである。
第1に、育苗箱Nを載置して搬送する搬送コンベヤ3と、この搬送コンベヤ3の上方で前後ローラ4に巻掛けられていて育苗箱N内に土を落下供給する土送りベルト5Aを有する土送りベルト機構5と、この土送りベルト5Aの上方に配置されていて漏斗状ホッパ体6内の撹拌部材7を回転して前記土送りベルト5A上に土を繰り出すホッパ機構8とを有する土供給装置において、
前記土送りベルト5Aの土送り出し側に送り出し土を一時ストックしておいて搬入される育苗箱Nの前端部にストック土を落下する一時土保留機構11を設けていることを特徴とする。
【0007】
第2に、前記一時土保留機構11は、土送りベルト5Aの土送り出し側の前方に揺動可能に配置されていて作用位置Sで土送りベルト5Aと相まって送り出し土を保留する保留部材12と、搬送コンベヤ3上に配置されていて搬入される育苗箱Nの前端部を検出する検出部材14と、この検出部材14の検出動作によって保留部材12を作用位置Sから解放位置Kへ移動する連動部材16とを有することを特徴とする。
【0008】
第3に、前記一時土保留機構11の保留部材12は回動軸12aに板材12bの上部を固定して形成されており、作用位置Sでの板材12bの上部は送り出し土のオーバフローを許容するべく土送りベルト5Aの上面と略同じ高さに配置されていることを特徴とする。
第4に、前記ホッパ機構8は、前記ホッパ体6の土繰り出し側の側壁の下部に繰り出し土量を調整する調整ゲート18を設けており、この調整ゲート18に、土送りベルト5A上に繰り出し土を中央側より両側で多量にする切欠18cを形成するとともに、この切欠18cの開口幅を調整する土量補助調整部材19を設けていることを特徴とする。
【0009】
第5に、前記ホッパ機構8は、前記ホッパ体6の土繰り出し側の側壁の下部に繰り出し土量を調整する調整ゲート18を設けるとともに、前記土繰り出し側の側壁の下部に調整ゲート18よりも内側でかつ撹拌部材7に近接して上方土の堆積圧を担持する規制部材2
0を設けていることを特徴とする。
第6に、前記ホッパ機構8の撹拌部材7は、ホッパ体6に枢支された回転軸7aに複数枚の円板7bを軸芯に対して傾斜して固定しており、回転軸7aの両軸端側に位置する円板7bにホッパ体6の周囲壁に近接する延長撹拌部材7cを設けていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、送り出し土を一時ストックしておいて搬入される育苗箱の前端部にストック土を落下して、育苗箱の前端部に供給する土量を増量できる。
即ち、請求項1に係る発明は、土送りベルト5Aの土送り出し側に送り出し土を一時ストックしておく一時土保留機構11を設けているので、搬入される育苗箱Nの前端部にストック土を落下することができ、育苗箱の前端部に供給する土量を増量できる。一時土保留機構11は、作用位置Sで土送りベルト5Aと相まって送り出し土を保留する保留部材12と、搬入される育苗箱Nの前端部を検出する検出部材14と、この検出部材14の検出動作によって保留部材12を作用位置Sから解放位置Kへ揺動する連動部材16とを有するので、育苗箱Nの前端部を正確に検出して、その検出動作で保留部材12を解放して、育苗箱の前端部にストック土を供給できる。また、作用位置Sでの板材12bの上部を土送りベルト5Aの上面と略同じ高さに配置しているので、ストック土が過多になると送り出し土をオーバフローさせることができ、育苗箱の前端部に供給されるストック土の土量過多を防止できる。
【0011】
請求項2に係る発明は、調整ゲート18に左右切欠18cを形成しかつこの切欠18cの開口幅を調整する土量補助調整部材19を設けているので、土送りベルト5A上に繰り出し土を中央側より両側で多量にすることができ、供給土量が過少になり易い育苗箱の左右両端部への土量を確保できる。
【0012】
請求項3に係る発明は、ホッパ体6の土繰り出し側の側壁の下部に規制部材20を設けているので、調整ゲート18よりも内側でかつ撹拌部材7に近接して上方土の堆積圧を担持することができ、撹拌部材7で撹拌された土を円滑にかつ抵抗少なくして土送りベルト5A上に繰り出すことができる。
【0013】
請求項4に係る発明は、撹拌部材7は回転軸7aの両軸端側に位置する円板7bにホッパ体6の周囲壁に近接する延長撹拌部材7cを設けているので、ホッパ体6の内部の隅々まで貯溜土を撹拌することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態を示す土供給装置の要部の断面正面図である。
図2】床土供給システムの断面正面図である。
図3】一時土保留機構の背面図である。
図4】一時土保留機構の断面側面図である。
図5図1のX矢視説明図である。
図6図1のY−Y線断面図である。
図7】ホッパ機構の平面図である。
図8】鎮圧ローラ機構の断面側面図である。
図9】回転ブラシ機構の断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図2において、育苗箱Nに床土を供給する床土供給システム2の全体を示しており、この床土供給システム2は、育苗箱Nを載置して搬送する前後方向(育苗箱Nの搬送方向)に長い搬送コンベヤ3と、育苗箱Nを数十枚上下方向にストックできると共に下端側から育苗箱Nを一枚ずつ前方に繰り出す育苗箱供給装置21と、搬送コンベヤ3に跨って配置されていて搬送される育苗箱Nに土を供給する土供給装置1と、育苗箱N内に供給した土を鎮圧する鎮圧ローラ機構22と、鎮圧後の育苗箱Nの表面を清掃しかつ土量を調整可能な回転ブラシ機構23とを備えている。
【0016】
前記床土供給システム2は、搬送コンベヤ3を延長してまたは別個の搬送コンベヤ3を
連結して、潅水機構、播種装置、覆土装置を直線配列して組み合わせて、育苗箱Nを連続供給しながら、床土供給、潅水、播種、覆土供給を行う播種一貫システムに組み込むことができる。
育苗箱Nは、縦横多数の凹部を形成したポット苗床を作るセルトレイを苗箱内に収納したもの、または苗箱が単体で使用される。
【0017】
図1〜7において、前記土供給装置1は、育苗箱Nを載置して搬送する搬送コンベヤ3と、この搬送コンベヤ3の上方で前後ローラ4F,4Rに巻掛けられていて育苗箱N内に土を落下供給する土送りベルト5Aを有する土送りベルト機構5と、この土送りベルト5Aの上方に配置されていて漏斗状ホッパ体6内の撹拌部材7を回転して前記土送りベルト5A上に土を繰り出すホッパ機構8と、土送りベルト5Aからの送り出し土を一時ストックする一時土保留機構11と、駆動機構10とを備えている。
【0018】
搬送コンベヤ3は、左右一対のチャンネル材を連結して前後方向に長く形成したコンベヤフレーム26と、このコンベヤフレーム26を支持する前後の支持脚27と、コンベヤフレーム26の搬送方向前後部に設けた駆動軸28A及び従動軸28Bと前後各軸28A,28Bに設けた左右一対のスプロケット29と、前後スプロケット29間に巻き掛けられていて育苗箱Nを載置可能なチェーン30と、各チェーン30に前後方向一定間隔に設けられていて育苗箱Nと同伴移動するために係合する係合部材31とを有している。
【0019】
また、コンベヤフレーム26の左右チャンネル材間には、搬送される育苗箱Nを載置して案内する左右一対の箱レール34と、チェーン30を載置して案内する中央1本のチェーンレール35とが設けられている。
前記搬送コンベヤ3は、育苗箱供給装置21内の最下段の育苗箱Nがチェーン30及び箱レール34上に載置すると、その育苗箱Nを係合部材31が係合して取り出し、チェーン30上に載置したまま一定速度で土供給装置1内を搬送し、鎮圧ローラ機構22及び回転ブラシ機構23内を通過させる。
【0020】
なお、土供給装置1は鎮圧ローラ機構22及び回転ブラシ機構23を含むものとしてもよい。
土供給装置1は、図1〜7に示すように、コンベヤフレーム26に左右一対の板金製の基台39を立設し、この各基台39上に側板40を立設してフレーム41を形成しており、前記左右基台39に土送りベルト機構5及び一時土保留機構11の一部を支持し、左右側板40でホッパ機構8のホッパ体6の側壁を構成している。
【0021】
また、前記左右基台39の内面には、土供給装置1内に搬入される育苗箱Nの左右上面と当接して、上下振動、特にセルトレイの浮き上がりを防止する上ガイド部材47が設けられている。
土送りベルト機構5は前ローラ4Fと後ローラ4Rとそれらに巻き掛けられたエンドレス状の土送りベルト5Aとを有する。前ローラ4Fのローラ軸43は基台39に回転自在に支持されていて、駆動機構10からの動力が伝達されており、後ローラ4Rのローラ軸44は基台39に前後位置調整自在に支持された支持部材45に回転自在に支持されていて、支持部材45を調整具46で前後位置調整することにより、土送りベルト5Aのテンションを調整可能になっている。
【0022】
一時土保留機構11は、図1〜4に示すように、土送りベルト5Aの土送り出し側に送り出し土を一時ストックしておいて搬入される育苗箱Nの前端部にストック土を落下するものであり、土送りベルト5Aの土送り出し側の前方に配置された保留部材12と、搬送コンベヤ3上に配置されていて搬入される育苗箱Nの前端部を検出する検出部材14と、この検出部材14の検出動作によって保留部材12を移動(揺動)する連動部材16とを有する。
【0023】
前記保留部材12は、基台39に回動自在に支持された回動軸12aに平らな板材12bの上部を固定して形成されており、板材12bは回動軸12aを介して揺動して下部が移動することにより、下部が土送りベルト5Aに近接する作用位置Sと、下部が土送りベルト5Aから下方へ離れる解放位置Kとに姿勢変更される。
検出部材14はコンベヤフレーム26に枢支された軸14aに左右一対のL字状棒材1
4bを固着して形成されており、左右L字状棒材14bの上部はチェーン30より上方に突出しており、チェーン30で同伴移動される育苗箱Nの先端と係合して押し倒され、L字状棒材14bの揺動で軸14aが回動する。
【0024】
コンベヤフレーム26には中間軸50が枢支され、この中間軸50と軸14aとがアーム及びリンク51を介して連動連結され、中間軸50と保留部材12の回動軸12aとがアーム及びターンバックル52を介して連動連結され、これらによって検出部材14の検出動作を保留部材12に伝達する連動部材16が構成されている。
前記中間軸50に嵌装した復帰付勢部材(コイルバネ)53はアーム及びターンバックル52を上向きに付勢していて、保留部材12の板材12bを作用位置Sになるように弾発している。
【0025】
前記保留部材12の板材12bは復帰付勢部材53によって作用位置Sにあるとき、上部から下部へ後ろ下がり傾斜し、下端が前ローラ4Fによって円弧状になっている土送りベルト5Aの土送り出し側に当接又は近接し、土送りベルト5A上に繰り出されて移動してくる土が土送りベルト5Aから送り出されたとき、その送り出し土を受け止め、土送りベルト5Aと相まってストック(保留)する。
【0026】
搬送コンベヤ3のチェーン30で育苗箱Nが搬入されてくると、育苗箱Nの先端が検出部材14を係合して復帰付勢部材53に抗して揺動し、軸14a及び連動部材16を介して板材12bの下部を作用位置Sから解放位置Kへ移動する、
このとき、土送りベルト5Aと相まって送り出し土を受け止めて一時ストックしていた保留部材12が、上部から下部が略垂下姿勢になるので、送り出しストック土を一度に解放して育苗箱Nの前部に落下供給する。
【0027】
保留部材12は人為的に板材12bを押し下げて解放位置Kにすることができ、土送りベルト5A上に繰り出されて移動してくる土を保留させることなく落下させることができる。
前記連動部材16を構成する軸14aと中間軸50とは左右一対の支持板55に支持され、この支持板55がコンベヤフレーム26に前後位置調整可能に取り付けられており、検出部材14による育苗箱Nの検出タイミングを調整可能にしている。
【0028】
中間軸50に嵌装した復帰付勢部材53はコイル先端がターンバックル52と連結されているアームに係止され、コイル基端は前記支持板55に形成された穴53aに係止されている。前記穴53aは中間軸50を中心に複数円弧配列されており、この穴53aを選択することにより、ターンバックル52を押し上げる力を増減変更できる。
保留部材12は解放位置Kから作用位置Sへの復帰と作用位置Sでのストック土の担持とを、復帰付勢部材53の復帰付勢力で行っており、床土の土質、水分量又はストックする土量等に応じて、必要な復帰付勢力を保留部材12に付与できるようにしている。
【0029】
前記保留部材12の板材12bは上部が回動軸12aに装着されており、作用位置Sでの板材12bの上部は土送りベルト5Aの上面と略同じ高さに配置されている。板材12bの上部のこの高さは、板材12b上にストックされる送り出し土がオーバフローできる高さであり、送り出し土が保留部材12上に溜まりすぎるとオーバフローして、床土として使用することなく落下放出することができる。
【0030】
図1、2、6、7において、ホッパ機構8はフレーム41の左右側板40間に傾斜した前後側壁を取り付けて下の口が小さい漏斗状のホッパ体6を形成し、このホッパ体6の内部に下側の撹拌部材7と上部の撹拌部材60とを配置し、土繰り出し側の前側壁6Aの下部にゲートを開口して調整ゲート18を設けている。
撹拌部材7は回転軸7aがホッパ体6の左右側板40に回転自在に枢支され、この回転軸7aに複数枚の円板7bを軸芯に対して傾斜して固定しており、左右の円板7bは回転軸7aに対する傾斜が左右で面対称になっており、両端の円板7bには、左右側板40から離れた部分に延長撹拌部材7cが設けられている。
【0031】
前記延長撹拌部材7cは円板7bに支持部材61を固定し、この支持部材61にボルト62を固定しており、ボルト62は回転軸7aと略平行であって、その先端は左右側板40近くまで突出されている。
前記撹拌部材7はホッパ体6の内下部の堆積している土を円板7bで撹拌できる。左右側板40近くの土も円板7bが傾斜していることにより1回転毎に撹拌できるが、その頻度は低いので、円板7bにおいて側板40から離れた部分に延長撹拌部材7cを設けることにより、左右側板40近くの土を頻度多くしてかつより確実に撹拌できるようにしている。
【0032】
上部撹拌部材60は回転軸60aに一対の略L字棒60bを固着している。前記ホッパ体6の背面には駆動機構10のモータ10aが装着されており、このモータ10aから撹拌部材7の回転軸7aに動力を伝達し、この回転軸7aから回転軸60aへ動力を伝達するとともに、土送りベルト機構5の前ローラ4Fのローラ軸43に動力を伝達しており、土送りベルト機構5及び上下撹拌部材7、60は同期して同時に駆動されている。
【0033】
前記調整ゲート18は垂直部18aの左右端部にラック66を形成し、このラック66と噛合するピニオン軸67を設けて構成されており、ピニオン軸67を介して垂直部18aの高さを調整することにより、ホッパ体6から土送りベルト5A上に繰り出される土量を調整できる。
前記調整ゲート18は垂直部18aの下部から土繰り出し方向前下向きヘの字状に屈曲した調整部18bを形成しており、この調整部18bは左右両端に切欠18cが形成され、この各切欠18cを塞ぐように土量補助調整部材19が左右方向位置調整自在に取り付けられている。
【0034】
前記調整ゲート18は、土量補助調整部材19により調整部18bの左右両端の切欠18cに開口を形成することにより、土送りベルト5A上に繰り出される土量がベルト幅方向中央部よりも左右両端部で多くなり、育苗箱Nに供給した際には育苗箱Nの左右両縁近くで十分な床土が確保され、または過剰供給される。
土送りベルト5A上に繰り出される土量がベルト幅方向全域で均一であれば、土の流れ易さもあるが、育苗箱Nの左右両縁近くは中央部よりも少なくなり、左右切欠65bで両端部の土繰り出し量を多くすると、育苗箱Nでの床土量が均一化される。土質、土の流れ易さ等を考慮して、切欠65bの開口量を調整し、育苗箱Nの左右両縁近くへの床土の過少供給を防止する。
【0035】
前記ホッパ機構8は、前記ホッパ体6の土繰り出し側の側壁(前側壁6A)の下部に調整ゲート18よりも内側でかつ撹拌部材7に近接して上方土の堆積圧を担持する規制部材20を設けている。
前記前側壁6Aは上部から下部へ内向きに傾斜しており、その傾斜した下部に傾斜延長方向に突出した規制部材20が設けられており、この規制部材20の下端は撹拌部材7の円板7bに近接しており、調整ゲート18との間に空間が形成され、規制部材20より上方の土はそれより下方の調整ゲート18との間の空間へ出る土には堆積圧を与えなくなり、撹拌部材7で撹拌された土は規制部材20の下方を通って調整ゲート18との間に空間へ出て、調整ゲート18によって繰り出し土量が調整されて送り出される。
【0036】
前記規制部材20は前側壁6Aの傾斜面に対して上下位置調整可能に設けて、撹拌部材7との間隔を調整するようにしてもよい。
図2、8、9において、鎮圧ローラ機構22及び回転ブラシ機構23はコンベヤフレーム26上に配置した断面門型形状の共通の枠フレーム70に支持されている。
鎮圧ローラ機構22は、鎮圧ローラ71を装着したローラ軸72の両端を軸受部材73で支持し、両軸受部材73に略門型の連結部材74の両端を連結し、この連結部材74を枠フレーム70の左右両側に上方突出状に設けた高さ調整部材75に引っ掛けて支持している。
【0037】
前記ローラ軸72の一端にはスプロケット76が設けられており、コンベヤフレーム26に支持された回転軸77からチェーン78を介して鎮圧ローラ71に動力が伝達可能になっている。
前記鎮圧ローラ機構22は、育苗箱Nの搬送と同期してローラ周面が同一方向になるように鎮圧ローラ71を回転し、育苗箱Nに供給された床土を鎮圧ローラ71で押し固める。
【0038】
前記高さ調整部材75には連結部材74を引っ掛ける凹部75aが高さを異ならせて複数形成されており、この凹部75aを選択することにより、鎮圧ローラ71の高さを変更して床土に対する鎮圧力を変更できる。ローラ軸72はスプリング79によって下向きの弾発力が付与されている。
回転ブラシ機構23は、回転ブラシ80を装着したブラシ軸81の両端を軸受部材82で支持し、両軸受部材82に略門型の連結部材83の両端を連結し、この連結部材83を枠フレーム70の左右両側に上方突出状に設けた高さ調整部材84に引っ掛けて支持している。
【0039】
前記ブラシ軸81の一端にはスプロケット85が設けられており、コンベヤフレーム26に支持された駆動軸28Aからチェーン86を介して回転ブラシ80に動力が伝達可能になっている。
前記回転ブラシ機構23は育苗箱Nの搬送とブラシ周面が反対方向になるように回転ブラシ80を回転し、育苗箱N内に鎮圧された床土の表面をブラッシングし、床土の量を修正し、また、育苗箱N上に載っている不要な土を掃除する。
【0040】
前記高さ調整部材84には連結部材83を引っ掛ける凹部84aが高さを異ならせて複数形成されており、この凹部84aを選択することにより、回転ブラシ80の高さを変更して床土に対する修正量を変更できる。ブラシ軸81はスプリング89によって下向きの弾発力が付与されている。
前記駆動軸28Aは搬送コンベヤ3用の駆動装置によって駆動されるものであるが、床土供給システム2を播種一貫システムに組み込む場合は播種装置用駆動装置から動力が伝達される。
【0041】
この駆動軸28Aには、回転ブラシ機構23へ動力を伝達するスプロケット90と鎮圧ローラ機構22へ動力を伝達するスプロケット91とが設けられており、スプロケット91から中間軸92に動力伝達され、中間軸92から一対のギヤ93を介して回転軸77へ逆転動力が伝達される。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、部材の形状、構成及び組み合わせ等を変更したりすることもできる。
【0042】
例えば、土供給装置1は播種した後の育苗箱Nに覆土を供給する覆土供給装置としても利用できる。
一時土保留機構11は、保留部材12の板材12bを土送りベルト5Aの土送り出し側に向かって遠近直線移動するように構成してもよい。
また、一時土保留機構11は、検出部材14をリミットスイッチとし、連動部材16をリミットスイッチからの電気信号で作動して板材12bを移動させるソレノイドとしてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 土供給装置
3 搬送コンベヤ
4F 前ローラ
4R 後ローラ
5 ベルト機構
5A ベルト
6 ホッパ体
6A 前側壁
7 撹拌部材
7a 回転軸
7b 円板
7c 延長撹拌部材
8 ホッパ機構
10 駆動機構
11 一時土保留機構
12 保留部材
12b 板材
14 検出部材
16 連動部材
18 調整ゲート
18c 切欠
19 土量補助調整部材
20 規制部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9