【実施例】
【0009】
以下で述べる「接続」とは、「直接的な接続」又は「間接的な接続」を含むが、これに制限されない。
【0010】
図1と
図2は本発明の実施例のソーラー発電装置1の二つの状態の概略図である。
図3は、本発明第一実施例のソーラー発電装置1の立体図である。
図1〜
図3に示されるように、本発明第一実施例の弾性拘束ケーブル制御太陽追尾型ソーラー発電装置1は、固定構造体2に弾性的に取り付けられ、ソーラー発電モジュール10と、中柱20と、第一及び第二巻取装置31,32と、第一ケーブル50と、第二ケーブル60と、第三ケーブル55と、第四ケーブル65と、第一から第四弾性アンカー部41〜44とを含む。特に、
図1及び
図2の第一及び第二巻取装置31,32は、本発明の特徴をあいまいにしない程度に適切に簡略されている。この他、第一から第四ケーブルはそれぞれが直接接続されておらず、且つケーブルは連結ロープ、特に鋼索と称してもよい。固定構造体2は、地面、建造物、金属ベースなどを含むがこれに限定されない。
【0011】
ソーラー発電モジュール10は、光エネルギーを電気エネルギーに変換し、又第一から第四の角部11〜14を有する。第一から第四の角部11〜14は、ソーラー発電モジュール10の四つの角に非常に隣接させなくてもよく、四つの角の付近であればいい。
【0012】
中柱20の第一端21は固定構造体2に取付けられ、中柱20の第二端22はソーラー発電モジュール10の底部10Bの中間部10Mにヒンジ接続され、ソーラー発電モジュール10を回動自在に支持する。中間部10Mはソーラー発電モジュール10の重心に位置することが最も好ましいが、ソーラー発電モジュール10の重心付近でもよく、これは特に制限されない。中柱20の第二端22は、ユニバーサルジョイント25を介してソーラー発電モジュール10の底部10Bの中間部10Mにヒンジ接続される。ユニバーサルジョイント25は、ボール及びボールに合わせた球形の窪み部を有するが、これは当業者が熟知しているところであるので、詳細に説明しない。このように、ソーラー発電モジュール10は、ユニバーサルジョイント25を中心に回動自在であり、ユーザーがソーラー発電モジュール10の設置角度を容易に調整でき、太陽追尾の効果が達成できる。中柱20の長さは伸縮可能であるが、固定されてもよい。第一/第二巻取装置31/32の回動により、第一/第二巻取装置31/32の両側の第一/第二ケーブル50/60の一部の長さを変更でき、それによりソーラー発電モジュール10の角度を変更できる。
【0013】
第一及び第二巻取装置31、32は中柱20に設置される。特に、第一及び第二巻取装置31、32は、中柱20に移動可能に設置されて、第一及び第二巻取装置31、32の高さが調整できる。例えば、歯車とラックの組合せ、ナットとスクリューの組合せなどの機構により第一及び第二巻取装置31、32の高さが調整できる。この種の機構は当業者であれば容易に理解できるので、ここでは詳細に述べない。第一及び第二巻取装置31、32は、手動又は電動の巻取装置であってもよい。第一及び第二巻取装置31、32は中柱20の内部に、又は中柱20の外部に設置できるが、これは特に限定しない。
【0014】
第一ケーブル50は、第一角部11に接続される第一端51及び第一巻取装置31に接続される第二端52を有する。第一ケーブル50は第一巻取装置31に巻き付けられる。
【0015】
第二ケーブル60は第二角部12に接続される第一端61及び第二巻取装置32に接続される第二端62を有する。第二ケーブル60は第二巻取装置32に巻き付けられる。
【0016】
第三ケーブル55は、第三角部13に接続される第一端56及び第一巻取装置31に接続される第二端57を有する。第三ケーブル55は第一巻取装置31に巻き付けられる。
【0017】
第四ケーブル65は第四角部14に接続される第一端66及び第二巻取装置32に接続される第二端67を有する。第四ケーブル65は第二巻取装置32に巻き付けられる。第一巻取装置31及び第二巻取装置32の一方又は両者を回動させて、ソーラー発電モジュール10の方位角度を調整することにより、太陽追尾の効果が達成でき発電効果を最適化することができる。
【0018】
各第一から第四弾性アンカー部41〜44は、並列接続された弾性部材81及び拘束部材82を含み、故に弾性拘束アンカー部と称され、拘束部材82は、弾性部材81の最大変形量を制限し、長さ制限部材とも称される。特に、実施例で挙げたものは、第一から第四弾性アンカー部41〜44のそれぞれが弾性部材81及び拘束部材82を含むものであるが、しかし、実際の設計時において、第一から第四弾性アンカー部41〜44のうちの一つ、二つ、または三つが弾性部材81及び拘束部材82を有するだけでも本発明の効果が達成できる。故に、本発明はこれに制限されない。第一から第四弾性アンカー部41〜44は弾性的に固定構造体2に取り付けられ、第一から第四角部11〜14にそれぞれ対応し、第一ケーブル50、第二ケーブル60、第三ケーブル55及び第四ケーブル65はそれぞれ第一弾性アンカー部41、第二弾性アンカー部42、第三弾性アンカー部43及び第四弾性アンカー部44を貫通して二つのW字型構造を形成する。第一/第二巻取装置31/32が回動することにより、第一/第二巻取装置31/32の両側のケーブルの一部長さを変更させ、これにより、ソーラー発電モジュール10の角度を変更することができる。このような二つのW字構造は、ソーラー発電装置1全ての構造を更に安定させ、強風や地震などの外力を受けても容易に破損することがない。
【0019】
この他、ソーラー発電装置1は、複数のバッファー部材70を更に含み、バッファー部材70は、中柱20及びソーラー発電モジュール10に伸縮自在に接続されて、ソーラー発電モジュール10の支持を補助し、且つ外力を緩衝する。バッファー部材70は、例えば油圧シリンダー、気圧シリンダー等緩衝作用を提供する部材であり、これによりソーラー発電モジュール10が受ける大きな外力を緩衝して、破損を低減させる。
【0020】
図4及び
図5は、本発明の実施例のソーラー発電モジュール10の俯瞰図の二つの例である。
図4及び
図5に示されるように、ソーラー発電モジュール10は、フレーム15及び複数のソーラーパネル16を含む。フレーム15は第一ケーブル50、第二ケーブル60、第三ケーブル55、第四ケーブル65及び中柱20に接続される。複数のソーラーパネル16は、フレーム15に取り付けられ、整列して配列され、且つ並列及び/または直列の方法により電気的に接続される。
図4と
図5との差異は、第一角部11と第二角部12の定義位置が異なることにより、4本のケーブルの経路を異ならせることである。
【0021】
図6は、本発明の実施例に基づくソーラー発電装置1のソーラーパネル16の俯瞰図である。
図6に示すように、各ソーラーパネル16は複数の太陽電池17を並列及び/又は直列に接続してなる。太陽電池17は、単結晶、多結晶、フィルム又はその他種類の太陽電池であってもよい。
【0022】
図7は、本発明実施例のソーラー発電モジュールと第一及び第二巻取装置の接続ブロック図である。
図7に示されるように、第一及び第二巻取装置31,32は、ソーラー発電モジュール10又は充電池又は一般電力供給による電動巻取装置である。
【0023】
図8は、
図3の弾性アンカー部の別の実施例の概略図である。
図8に示されるように、第一から第四弾性アンカー部41〜44のうちの一つ又はそれぞれが更に、固定部品83と、第一連結部品84と、第二連結部品85と、方向変更ガイド部材86とを含む。固定部品83は、固定構造体2に固定される。第一連結部品84は、固定部品83に回動可能に連結される。弾性部材81及び拘束部材82は、第一連結部品84を第二連結部品85に連結させる。方向変更ガイド部材86は第二連結部品85に回動可能に連結される。方向変更ガイド部材86に対応する第一から第四ケーブル50,60,55,65のうち一のケーブルは、方向変更ガイド部材86に連結されるとともに方向変更ガイド部材86により方向を変更する。
【0024】
第一連結部品84と第二連結部品85は、掛けがね(または、字型金具、シャックル(SHACKLE)と称す)であってもよく、形状はほぼU字型である。第一連結部品84はピンPと合わせて弾性部材81と拘束部材82に接続される。第二連結部品85はピンPと合わせて方向変更ガイド部材86に接続される。第一連結部品84と第二連結部品85の断面部CによりU字型構造の底部を示しされ、それぞれ弾性部材及び固定部品83を掛ける。
【0025】
本実施例において、方向変更ガイド部材86は、滑車であり、且つ第一から第四ケーブルのそれぞれは鋼索である。弾性部材81は引張コイルバネであり、拘束部材82は引張コイルバネの中空空間を貫通し、拘束部材82金属チェーンであり、相互に掛ける複数の環状構造を有する。これら環状構造は弛緩状態では引張コイルバネの内部空間に当接することができる。
【0026】
この他、金属チェーンは、第一区間82A及び第二区間82Bを有し、第一区間82Aは、弾性部材81の最大変形量を制限し、第二区間82Bは弾性部材81の最大変形量を制限せずに、長さを調節するための遊びとする。第二区間82Bが移動しないように、金属チェーンの第二区間82Bを固定構造体2に固定して、固定機能を補助する。つまり、第二区間82B、固定部材83と第一連結部品84はともに作用して、更なる補償を提供して、強風による破損を共に防ぐことができる。
【0027】
図9〜
図11はそれぞれ、
図3の第一巻取装置の別の実施例の立体図、前面図及び一部断面図である。第一巻取装置は、第一駆動輪33を含む。また別の実施例において、第一巻線装置は更に、第一駆動輪33を駆動させるモーターを含む。第一駆動輪33は第一巻取溝34と第三巻取溝35を含み、それぞれ第一ケーブル50及び第三ケーブル55を収容し、第一巻取溝34と第三巻取溝35は仕切輪縁辺36Cにより分割される。本実施例において、第一ケーブル50及び第三ケーブル55はいずれも常に張力を維持し、つまり弛緩状態にならない。従って、第一ケーブル50及び第三ケーブル55は第一駆動輪33に対して第一駆動輪33の軸孔33Sを介して第一合力Fを提供する。この効果を達成するため、第一ケーブル50及び第三ケーブル55は、径方向に累積する方法でそれぞれ逆向きに第一巻取溝34と第三巻取溝35に巻き取ることのみ行うことにより、第一ケーブル50及び第三ケーブル55双方の張力を維持することができる。第一巻取溝34と第三巻取溝35の底部の円周面34Cと35Cは、同一のサイズを有するので、第一巻取溝34に巻き取られる第一ケーブル50の長さは、第三巻取溝35に巻き取られる第三ケーブル55の長さに等しく、更に径方向に堆積する方法によりケーブルの引込に対して同期の効果が達成でき、ケーブルの張力の状態が有効に維持でき、弛緩したケーブルが強風にあおられて移動して大きな変位によりその他の部材に衝突破損を与えることを防止できる。従って、
図11の巻取溝はV字型溝であるものの、その最大サイズはケーブルの直径の2倍より小さいことが好ましく、又ケーブルの直径の1.8より小さいことがより好ましく、更にはケーブルの直径の1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍より小さいことがより好ましい。
【0028】
現場作業でのケーブルの簡便な取り付けのために、第一ケーブル50の第二端52を第一巻取溝34の第一側部輪縁36の第一嵌め込み溝37に嵌め込んで固定し、且つ第三ケーブル55の第二端57を第三巻取溝35の第三側部輪縁38の第三嵌め込み溝39に嵌め込んで固定する。そのうち、第一嵌め込み溝37と第三嵌め込み溝39は相互に相反するC字型に延伸する形状を有し、且つ第一嵌め込み溝37と第三嵌め込み溝39の開口部分37A,39Aのサイズは封止部分37B、39Bのサイズより大きい。鋼索の末端は一般的に閉じられて大きな頭部が形成される必要があるので、大きな頭部により鋼索を固定することができる。
【0029】
図12は
図3の第二巻取装置の別の実施例の前面図である。
図12に示されるように、第二巻取装置32は、第二駆動輪33´を含み、第二駆動輪33´は第二巻取溝34´と第四巻取溝35´を含みそれぞれ第二ケーブル60及び第四ケーブル65を収容する。第二ケーブル60及び第四ケーブル65は第二駆動輪33´に第二駆動輪33´の軸孔33S´を介して第二合力F´を提供する。そのうち、第二ケーブル60及び第四ケーブル65は、径方向に累積するようにそれぞれ逆方向に第二巻取溝34´と第四巻取溝35´に巻き取るだけで、第二ケーブル60及び第四ケーブル65双方の張力を維持することができる。第二駆動輪と第一駆動輪は類似する構造を有することができる。
【0030】
従って、第二ケーブル60の第二端62は、第二巻取溝34´の第二側部輪縁36´の第二嵌め込み溝37´に嵌め込み固定され、且つ第四ケーブル65の第二端67は第四巻取溝35´の第四側部輪縁38´の第四嵌め込み溝39´に嵌め込み固定される。そのうち、第二嵌め込み溝37´と第四嵌め込み溝39´は相互に逆方向のC字型に延伸する形状を有し、且つ第二嵌め込み溝37´と第四嵌め込み溝39´の開口部分37A´、39A´のサイズは封止部分37B´、39B´のサイズより大きい。
【0031】
本発明の弾性拘束ケーブル制御太陽追尾型ソーラー発電装置により、安定して弾性的に拘束して支持し、太陽追尾の効果が達成でき、且つ張力滑車を更に設けてケーブルの張力程度を維持する必要がないので、大型発電などに適しており、更に、自由度が高い回動及び移動能力を有し、太陽追尾の効果が達成でき、又強風に耐えることができ、各種異なる応用にも適合して、ソーラー発電の稼働率を有効に向上させ、ソーラー発電装置の破損率を低下させることができる。
【0032】
実施例により本発明を説明したが、しかし、本発明の範囲をこれに限定するものではない。本発明の本質内であれば、当業者は各種変形や変更を行うことができる。