特許第6564894号(P6564894)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6564894フィルタ装置、フィルタ装置の交換方法及びフィルタ装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6564894
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】フィルタ装置、フィルタ装置の交換方法及びフィルタ装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 46/52 20060101AFI20190808BHJP
   B01D 39/12 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   B01D46/52 A
   B01D46/52 B
   B01D39/12
【請求項の数】16
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-19687(P2018-19687)
(22)【出願日】2018年2月6日
(65)【公開番号】特開2019-136626(P2019-136626A)
(43)【公開日】2019年8月22日
【審査請求日】2018年4月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】591105063
【氏名又は名称】みすず精工株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 宣久
(72)【発明者】
【氏名】室下 善治
【審査官】 宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−035216(JP,A)
【文献】 特開2012−213722(JP,A)
【文献】 特開2014−117633(JP,A)
【文献】 英国特許出願公告第01329865(GB,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0199525(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 39/00−39/20
B01D 46/52
B32B 1/00−43/00
F02M 35/024
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
網目を有する金網に、一方向に延在する山部と谷部とが、前記一方向に交わる交差方向に亘って交互に形成された波形状のフィルタ濾材と、
前記フィルタ濾材の前記一方向の両側端部に重ね合わせて接合され、前記交差方向に延在して設けられる補強部材と、
前記フィルタ濾材を囲う枠材と、
前記フィルタ濾材と前記枠材との当接部を接着固定する接着剤と、を備えるフィルタ装置。
【請求項2】
前記枠材は、前記フィルタ濾材との前記当接部に形成される溝を有する請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項3】
前記補強部材は、前記フィルタ濾材よりも粗目の網目を有する金網である請求項1又は2に記載のフィルタ装置。
【請求項4】
前記補強部材の前記網目は、100メッシュ以上である請求項3に記載のフィルタ装置。
【請求項5】
前記フィルタ濾材の前記山部及び前記谷部の形状に沿って前記一方向に延在して設けられ、前記山部及び前記谷部が外側に突出する突出方向の内側に当接して設けられる棒状部材を、さらに備える請求項1から4のいずれか一項に記載のフィルタ装置。
【請求項6】
前記棒状部材は、前記フィルタ濾材の前記山部及び前記谷部と当接する当接面が柱面となっている請求項5に記載のフィルタ装置。
【請求項7】
前記フィルタ濾材の前記交差方向の両側端部は、前記枠材の前記一方向に延びる部分に溶接されている請求項1から6のいずれか一項に記載のフィルタ装置。
【請求項8】
前記フィルタ濾材の前記交差方向の両側端部は、前記枠材の前記一方向に延びる部分にカシメ加工によって固定されている請求項1から6のいずれか一項に記載のフィルタ装置。
【請求項9】
前記枠材の開口方向の両面にシール材を備える請求項1から8のいずれか一項に記載のフィルタ装置。
【請求項10】
前記枠材の下面に設けられたキャスターを、さらに有する請求項1から9のいずれか一項に記載のフィルタ装置。
【請求項11】
請求項10に記載のフィルタ装置の交換方法であって、
前記フィルタ装置の運搬経路の床面には、前記キャスターに係合する案内レールが予め設けられており、
前記案内レールに前記キャスターを係合させ、前記案内レールに沿って前記キャスターを移動させることによって前記フィルタ装置を運搬する工程を含むフィルタ装置の交換方法。
【請求項12】
前記案内レールは、前記フィルタ装置が設置される設置面に対して平行な第1レールと、前記第1レールから分岐して設けられ、前記設置面と前記フィルタ装置とが対向する方向に延びる第2レールと、を有する請求項11に記載のフィルタ装置の交換方法。
【請求項13】
網目を有する金網の一方向の両側端部に、前記一方向に交わる交差方向に延在する補強部材を重ね合わせ、前記金網と前記補強部材とを接合する補強工程と、
前記補強部材が接合された前記金網に対して、前記一方向に延在する山部と谷部とを、前記交差方向に亘って交互に形成することで、波形状のフィルタ濾材を成形する成形工程と、
前記フィルタ濾材を囲うように枠材を配置する枠材配置工程と、
前記フィルタ濾材と前記枠材との当接部に接着剤を使用して、前記フィルタ濾材と前記枠材とを接着固定する接着工程と、を有するフィルタ装置の製造方法。
【請求項14】
前記枠材配置工程より前に、前記枠材の前記当接部に溝を加工する溝加工工程を有し、
前記枠材配置工程では、前記フィルタ濾材を前記枠材の前記溝に挿し込み、
前記接着工程では、前記溝に前記接着剤を充填する請求項13に記載のフィルタ装置の製造方法。
【請求項15】
前記一方向に延在する柱面形状の凸部と凹部とを、前記交差方向に亘って交互に有する波形状の雄治具と、前記雄治具の前記凸部及び凹部に係合する凹部及び凸部を有する雌治具とを備え、
前記成形工程では、前記雄治具と前記雌治具との間に前記金網を挟んで、前記雄治具を前記雌治具に押圧することによって、前記フィルタ濾材を成形する請求項13又は14に記載のフィルタ装置の製造方法。
【請求項16】
前記一方向に延在する凸部と凹部とを、前記交差方向に亘って交互に有する波形状の雄治具と、前記雄治具の前記凸部及び凹部に係合する凹部及び凸部を有する雌治具と、前記雄治具及び前記雌治具の凸部に柱面を有する棒状部材を備え、
前記成形工程では、前記雄治具と前記雌治具との間に前記金網を挟んで、前記雄治具を前記雌治具に押圧することによって、前記フィルタ濾材を成形し、前記棒状部材が、前記フィルタ濾材の前記山部及び前記谷部が外側に突出する突出方向の内側に固着される請求項13又は14に記載のフィルタ装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタ装置、フィルタ装置の交換方法及びフィルタ装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空調設備、ガスタービン又は発電機等の吸気口に取り付けられ、外気の塵埃又は火山灰等の浮遊粒状物質を捕集する多種多様なフィルタ装置が知られている。例えば特許文献1には、平板状のフィルタ濾材をプリーツ形状にして、空気の通過面積に対して濾材面積を大きくしたフィルタ装置の一例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−117633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、フィルタ装置は、フィルタ濾材と枠材とをホットメルト等の接着剤で隙無く塞ぐことによって空気の漏出を防いでいる。しかしながら、従来のフィルタ装置では、フィルタ濾材のプリーツ形状を維持するために、枠材の内側全体に接着剤が塗布されている。すなわち、枠材の内側においてフィルタ濾材との当接部以外にも余分に接着剤が塗布されているため、接着剤の使用量が多くなり、フィルタ装置全体が重くなって交換性が低下する。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、交換性を向上させることができるよう軽量化したフィルタ装置、フィルタ装置の交換方法及びフィルタ装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のフィルタ装置は、網目を有する金網に、一方向に延在する山部と谷部とが、前記一方向に交わる交差方向に亘って交互に形成された波形状のフィルタ濾材と、前記フィルタ濾材の前記一方向の両側端部に重ね合わせて接合され、前記交差方向に延在して設けられる補強部材と、前記フィルタ濾材を囲う枠材と、前記フィルタ濾材と前記枠材との当接部を接着固定する接着剤と、を備えることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、フィルタ濾材及び補強部材の剛性によって波形状を維持するため、フィルタ濾材と枠材との当接部のみに接着剤を使用するだけでよく、接着剤の使用量を最小限に抑えることができ、大幅な軽量化が可能となる。これにより、フィルタ装置の運搬及び交換作業が容易となり、作業時間を短縮できる。また、接着剤の使用量を抑制し作業時間を短縮することによってコストを低減できる。さらに、フィルタ濾材に金網を適用することにより、フィルタ濾材が目詰まりした場合に、エアブロー、振動及び加振により、付着物を落下させることが容易であり、再利用が可能である。
【0008】
また、前記枠材は、前記フィルタ濾材との前記当接部に形成される溝を有することが好ましい。
【0009】
この構成によれば、フィルタ濾材を枠材に接着固定する際の位置決めを容易にすることが可能である。また、フィルタ濾材と枠材との間に接着剤を適切に充填できることから、溝(当接部)以外への接着剤の充填を省くことができ、より軽量化を図ることが可能である。
【0010】
また、前記補強部材は、前記フィルタ濾材よりも粗目の網目を有する金網であることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、板材を使用する場合に比べ、さらに軽量化することが可能である。また、補強部材においても流体が通過可能となる。さらに、網目の粗い金網とすることで、線径の太い線材を用いて金網を構成できるため、補強部材を、フィルタ濾材よりも剛性の高いものにすることができる。
【0012】
また、前記補強部材の前記網目は、100メッシュ以上であることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、補強部材によってフィルタ濾材の波形状を好適に維持することができる。
【0014】
また、前記フィルタ濾材の前記山部及び前記谷部の形状に沿って前記一方向に延在して設けられ、前記山部及び前記谷部が外側に突出する突出方向の内側に当接して設けられる棒状部材を、さらに備えることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、棒状部材によってフィルタ濾材の波形状を好適に維持することができる。また、フィルタ濾材を波形状に成形する際に、フィルタ濾材を均一な波形状に成形することができる。
【0016】
また、前記棒状部材は、前記フィルタ濾材の前記山部及び前記谷部と当接する当接面が柱面となっていることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、フィルタ濾材を波形状に成形する際に、フィルタ濾材が傷つかないようにすることができる。
【0018】
また、前記フィルタ濾材の前記交差方向の両側端部は、前記枠材に溶接されていることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、フィルタ濾材の剛性を向上させることができる。
【0020】
また、前記フィルタ濾材の前記交差方向の両側端部は、前記枠材にカシメ加工によって固定されていることが好ましい。
【0021】
この構成によれば、フィルタ濾材の剛性を向上させることができる。
【0022】
また、前記枠材の開口方向の両面にシール材を備えることが好ましい。
【0023】
この構成によれば、フィルタ装置が設置される対象物の設置面に対していずれの面であっても装着可能であり、また、本発明のフィルタ濾材は、その表裏面が同等の機能を有することから、空気が流通する流通方向において、表裏面のいずれの面が上流側又は下流側になっても配置できる。また、一方のシール材が破損した際に、他方のシール材を使用することができるので、シール材の損傷リスクを低減することが可能である。また、取り付け時の人為的なミスによる不具合を防止できる。
【0024】
また、前記枠材の下面に設けられたキャスターを、さらに有することが好ましい。
【0025】
この構成によれば、フィルタ装置の交換時にフィルタ装置の運搬が容易となる。
【0026】
また、本発明のフィルタ装置の交換方法は、前記フィルタ装置の運搬経路の床面には、前記キャスターに係合する案内レールが予め設けられており、前記案内レールに前記キャスターを係合させ、前記案内レールに沿って前記キャスターを移動させることによって前記フィルタ装置を運搬する工程を含むことを特徴とする。
【0027】
この構成によれば、フィルタ装置の運搬がさらに容易となる。
【0028】
また、前記案内レールは、前記フィルタ装置が設置される設置面に対して平行な第1レールと、前記第1レールから分岐して設けられ、前記設置面と前記フィルタ装置とが対向する方向に延びる第2レールと、を有することが好ましい。
【0029】
この構成によれば、フィルタ装置の設置面に対してフィルタ装置の開口方向の端面が平行に維持したまま運搬され、設置面に案内されるので、フィルタ装置の取り付け及び取り外しが容易である。
【0030】
また、本発明のフィルタ装置の製造方法は、網目を有する金網の一方向の両側端部に、前記一方向に交わる交差方向に延在する補強部材を重ね合わせ、前記金網と前記補強部材とを接合する補強工程と、前記補強部材が接合された前記金網に対して、前記一方向に延在する山部と谷部とを、前記交差方向に亘って交互に形成することで、波形状のフィルタ濾材を成形する成形工程と、前記フィルタ濾材を囲うように枠材を配置する枠材配置工程と、前記フィルタ濾材と前記枠材との当接部に接着剤を充填して、前記フィルタ濾材と前記枠材とを接着固定する接着工程と、を有することを特徴とする。
【0031】
この構成によれば、フィルタ濾材及び補強部材の剛性によって波形状を維持するため、フィルタ濾材と枠材との当接部のみに接着剤を使用するだけでよく、接着剤の使用量を最小限に抑えることができ、大幅な軽量化が可能となる。これにより、フィルタ装置の運搬及び交換作業が容易となり、作業時間を短縮できる。また、金網に補強部材を接合してから波形状のフィルタ濾材に成形するため、補強部材の接合が容易である。また、フィルタ濾材及び補強部材の剛性によって波形状を維持するため、波形状を型崩れさせることなく、枠材に位置決めすることが可能である。また、接着剤の使用量の抑制、作業時間の短縮、製造工程の簡略化によってコストを低減できる。
【0032】
また、前記枠材配置工程より前に、前記枠材の前記当接部に溝を加工する溝加工工程を有し、前記枠材配置工程では、前記フィルタ濾材を前記枠材の前記溝に挿し込み、前記接着工程では、前記溝に前記接着剤を充填することが好ましい。
【0033】
この構成によれば、フィルタ濾材を枠材に接着固定する際の位置決めを容易にすることが可能である。また、フィルタ濾材と枠材との間に接着剤を適切に充填できることから、溝(当接部)以外への接着剤の充填を省くことができ、より軽量化を図ることが可能である。
【0034】
また、前記一方向に延在する柱面形状の凸部と凹部とを、前記交差方向に亘って交互に有する波形状の雄治具と、前記雄治具の前記凸部及び凹部に係合する凹部及び凸部を有する雌治具とを備え、前記成形工程では、前記雄治具と前記雌治具との間に前記金網を挟んで、前記雄治具を前記雌治具に押圧することによって、前記フィルタ濾材を成形することが好ましい。
【0035】
この構成によれば、フィルタ濾材を波形状に成形する際に、フィルタ濾材が傷つかないようにすることができる。また、成形工程が一度のプレスでなされるため、製造工程が簡略化できる。また、フィルタ濾材を均一な波形状に成形することができる。
【0036】
また、前記一方向に延在する山部と谷部とを、前記交差方向に亘って交互に有する波形状の雄治具と、前記雄治具の前記凸部及び凹部に係合する凹部及び凸部を有する雌治具と、前記雄治具及び前記雌治具の凸部に柱面を有する棒状部材を備え、前記成形工程では、前記雄治具と前記雌治具との間に前記金網を挟んで、前記雄治具を前記雌治具に押圧することによって、前記フィルタ濾材を成形し、前記棒状部材が、前記フィルタ濾材の前記山部及び前記谷部が外側に突出する突出方向の内側に固着されることが好ましい。
【0037】
この構成によれば、フィルタ濾材を波形状に成形する際に、フィルタ濾材が傷つかないようにすることができる。また、成形工程が一度のプレスでなされるため、製造工程が簡略化できる。また、フィルタ濾材を均一な波形状に成形することができる。また、棒状部材によってフィルタ濾材の波形状を好適に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1は、本実施形態のフィルタ装置を示す概略斜視図である。
図2図2は、本実施形態のフィルタ装置の正面図である。
図3図3は、図2におけるX−X断面図である。
図4図4は、図3におけるA部分詳細図である。
図5図5は、図2におけるY−Y断面図である。
図6図6は、図5におけるB部分詳細図である。
図7図7は、本実施形態のフィルタ装置が設置される設置面周辺の床面を示す概略平面図である。
図8図8は、本実施形態のフィルタ装置の製造方法を示すフローチャートである。
図9図9は、本実施形態のフィルタ装置の製造方法を示す説明図である。
図10図10は、本実施形態のフィルタ装置の製造方法を示す説明図である。
図11図11は、本実施形態のフィルタ装置の製造方法を示す説明図である。
図12図12は、本実施形態のフィルタ装置の製造方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下に、本発明に係るフィルタ装置の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、以下の実施形態の説明において、同一構成には同一符号を付し、異なる構成には異なる符号を付すものとする。
【0040】
[実施形態]
図1から図6を用いて、本実施形態のフィルタ装置の概略構成を説明する。図1は、本実施形態のフィルタ装置を示す概略斜視図である。図2は、本実施形態のフィルタ装置の正面図である。図3は、図2におけるX−X断面図である。図4は、図3におけるA部分詳細図である。図5は、図2におけるY−Y断面図である。図6は、図5におけるB部分詳細図である。
【0041】
本実施形態のフィルタ装置10は、例えば、外気を取り込む吸気口に設置されるものであり、外気中に含まれる塵埃を捕捉し除去するものである。なお、フィルタ装置10は、吸気口を有する設備であれば、取り付ける対象物を特に限定しない。
【0042】
図1から図6に示すように、フィルタ装置10は、フィルタ濾材20と、補強部材30と、枠材40と、接着剤50と、シール材60と、棒状部材70と、キャスター80と、を有する。
【0043】
フィルタ濾材20は、一方向(以下、高さ方向と称する)に延在する山部と谷部とが、一方向に交わる交差方向(以下、長さ方向と称する)に亘って交互に形成された波形状である。フィルタ濾材20の波形状は、平面視において連続したV字状となるよう形成される。フィルタ濾材20は、金網で形成されている。金網は、例えば、金属の線材が格子状に編まれたものである。フィルタ濾材20は、後述する補強部材30のメッシュ数より大きいメッシュ数、すなわち、網目が細かい金網で形成されている。フィルタ濾材20には、軽量且つ海塩耐食性材料を用いることが好ましく、例えば、SUS316L、チタン(Ti)、ハステロイ等を用いることができる。フィルタ濾材20は、その表裏面が同等の機能を有することから、外気が流通する流通方向において、表裏面のいずれの面が上流側又は下流側になるように配置されても構わない。
【0044】
補強部材30は、フィルタ濾材20の高さ方向の両端部に一対設けられている。すなわち、一対の補強部材30,30は、その一方の補強部材30が、フィルタ濾材20の高さ方向の一方側の側端部21(図1の上端部)に設けられ、その他方の補強部材30が、フィルタ濾材20の高さ方向の他方側の側端部21(図1の下端部)に設けられている。この補強部材30は、フィルタ濾材20の表面又は裏面を覆うように重ね合わされ、長さ方向に延在する帯状の部材となっている。
【0045】
補強部材30の高さ方向の長さは、例えば、10mm以上30mm以下である。補強部材30は、フィルタ濾材20の面形状に沿った形状、すなわちフィルタ濾材20と同様に、高さ方向に延在する山部と谷部とが長さ方向に亘って交互に形成された波形状である。補強部材30は、フィルタ濾材20の表面又は裏面を覆うように重ね合わされ、接合されている(図9のステップS1及び図12のステップS8参照)。補強部材30は、フィルタ濾材20に対して、スポット溶接によって接合されている。補強部材30のスポット溶接は、例えば、千鳥状にピッチ5mm以上15mm以下で行われることが好ましい。補強部材30がフィルタ濾材20の側端部21に接合されていることによって、フィルタ濾材20は、補強され、剛性が増大する。すなわち、フィルタ濾材20の波形状は、フィルタ濾材20自体の剛性と補強部材30の剛性とによって維持される。補強部材30は、フィルタ濾材20よりも剛性が高い材料で形成されている。補強部材30は、フィルタ濾材20のメッシュ数より小さいメッシュ数である粗目の金網で形成されていることが好ましいが、金属等の板材でも構わない。補強部材30は、例えば、100メッシュ以上の網目を有する金網である。補強部材30には、軽量且つ海塩耐食性材料を用いることが好ましく、例えば、SUS316L、チタン(Ti)、ハステロイ等を用いることができる。補強部材30の材料は、フィルタ濾材20の材料と同様であってもよく、異なっていてもよい。
【0046】
枠材40は、正面視で矩形をなしている。枠材40は、水平方向(横方向)に延びる一対の横枠41,41と、垂直方向(縦方向)に延びて一対の横枠41,41を上下方向に接続する一対の縦枠42,42と、を有する。枠材40には、海塩耐食性材料を用いることが好ましく、例えば、SUS304等のステンレス鋼を用いることができる。一対の横枠41,41と一対の縦枠42,42とに囲まれた開口部43は、フィルタ装置10において空気が流通する流通方向の上流側及び下流側に開口している。すなわち、枠材40の開口方向は、外気の流通方向と同一方向である。フィルタ装置10を対象物に取り付ける際には、枠材40が対象物に対して隙間なく取り付けられるため、空気は開口部43のみを通過する。開口部43は、全体をフィルタ濾材20によって覆われている。フィルタ濾材20及び補強部材30は、高さ方向の端部である側端部21において横枠41の内側に当接する。フィルタ濾材20及び補強部材30は、長さ方向の端部である始終端部22において縦枠42の内側に当接する。
【0047】
横枠41の内側の面、すなわち、下側の横枠41の上面と上側の横枠41の下面とには、平面視において連続したV字状であって、フィルタ濾材20及び補強部材30の側端部21の形状に沿った形状の溝44を有する。溝44の深さは、例えば、0.5mm以上2mm以下である。溝44の幅は、フィルタ濾材20及び補強部材30の厚みより若干大きい。溝44には、フィルタ濾材20及び補強部材30の側端部21が挿し込まれている。すなわち、枠材40は、下側の横枠41の上面に形成された溝44と、上側の横枠41の下面に形成された溝44とが、フィルタ濾材20を挟み込むよう形成されている。
【0048】
溝44は、接着剤50が充填されている。すなわち、フィルタ濾材20及び補強部材30の側端部21と横枠41との当接部は、接着剤50によって接着固定されている。接着剤50は、フィルタ濾材20及び補強部材30の側端部21と横枠41との間から空気が漏出しないように密封するシール機能を有する。接着剤50は、フィルタ濾材20及び補強部材30と横枠41との当接部のみに塗布されている。
【0049】
なお、本実施形態においては、横枠41の内側の面に溝44を形成し、溝44内にフィルタ濾材20の側端部21に位置決めしたが、溝44は、形成されなくてもよく、側端部21の位置決め方法はどのようなものであってもよい。本実施形態のフィルタ濾材20は、フィルタ濾材20自体の剛性と補強部材30の剛性とによって波形状を維持される、すなわち、フィルタ濾材20は、例えば、平らな面上であっても自立可能なので、溝44によって側端部21を固定する必要はない。したがって、溝44によってフィルタ濾材20の側端部21を支持しなくても、フィルタ濾材20の側端部21と横枠41との当接部のみに接着剤50を塗布することが可能である。
【0050】
フィルタ濾材20及び補強部材30の始終端部22は、枠材40の縦枠42に溶接されている。または、フィルタ濾材20及び補強部材30の始終端部22は、枠材40の縦枠42にカシメ加工によって固定されてもよい。フィルタ濾材20及び補強部材30の始終端部22を、枠材40の縦枠42に溶接又はカシメ加工によって固定することにより、フィルタ濾材20の剛性を向上させることができる。フィルタ濾材20及び補強部材30の始終端部22と縦枠42とは、例えば、接着剤50によって、空気が漏出しないように密封されている。
【0051】
枠材40の開口方向のいずれか一方の面は、フィルタ装置10が設置される設置面95(図7参照)と面合わせする。設置面95は、フィルタ装置10を取り付ける対象物の吸気口の上流端面である。本実施形態において、設置面95は、垂直平面である。フィルタ装置10は、設置面95との密着性を高めるため、枠材40の設置面95に対向する面を覆うシール材60を有することが好ましい。本実施形態において、図1に示すように、フィルタ装置10は、枠材40の開口方向の両面にシール材60を有する。シール材60は、例えば、ガスケットである。
【0052】
図3から図6に示すように、フィルタ装置10は、フィルタ濾材20の波形状の山部及び谷部が外側に突出する突出方向の内側に当接して設けられる棒状部材70を有してもよい。棒状部材70は、例えば、ホットメルトである。棒状部材70の長さは、フィルタ濾材20の高さ方向の長さに略一致する。補強部材30が接合される面側に棒状部材70が設けられる場合、棒状部材70は、フィルタ濾材20及び補強部材30に固着されている。補強部材30が接合されない面側に棒状部材70が設けられる場合、棒状部材70は、フィルタ濾材20に固着されている。棒状部材70のフィルタ濾材20に当接する面は、フィルタ濾材20の山部及び谷部の内側の形状に沿う柱面71として形成されている。本実施形態において、棒状部材70は、円形断面を有する円柱形状であるが、円弧形又は半円形の断面を有してもよい。棒状部材70は、中実であってもよいし、中空であってもよい。棒状部材70の断面が、円形かつ中実であればフィルタ濾材20の剛性が最も向上し、円弧形かつ中空であれば最も軽量化に寄与する。
【0053】
棒状部材70を有する場合、横枠41の溝44は、山部及び谷部の内側の形状が棒状部材70の端面形状に沿った形状を有する。図5及び図6に示すように、横枠41の内側の面に、保持板75を有してもよい。この場合、溝44は、保持板75に形成されている。
【0054】
フィルタ装置10は、枠材40の下側の横枠41の下面に、図2及び図6に示すようなキャスター80を有してもよい。キャスター80は、例えば、ボールキャスターである。本実施形態においては、キャスター80が2つずつ2列に4つ設けられているが、キャスター80の数及び位置はこれに限定されるものでなく、フィルタ装置10の重量及び寸法に応じて、フィルタ装置10が自立する範囲で自由に設けて構わない。キャスター80を設けることによって、フィルタ装置10の交換時にフィルタ装置10の運搬が容易となる。
【0055】
次に、図7を用いて、フィルタ装置の交換方法について説明する。より詳しくは、フィルタ装置10を取り付ける対象物までの運搬方法について説明する。図7は、本実施形態のフィルタ装置が設置される設置面周辺の床面を示す概略平面図である。なお、以下の説明において、フィルタ装置10は、キャスター80を2つずつ2列に4つ有する。また、フィルタ装置10を取り付ける対象物の隣接する2つの設置面95に対し、2つのフィルタ装置10を取り付けるものとする。また、フィルタ装置10を取り付ける対象物の設置面95は、図7において、フィルタ装置10の運搬経路の床面90に対して上方に位置するものとする。
【0056】
設置面95は、フィルタ装置10を取り付ける対象物の吸気口の上流端面である。フィルタ装置10のシール材60(図1)は、設置面95に面合わせされて設置される。すなわち、フィルタ装置10は、シール材60が設けられた面が、図7における上方に向いて設置される。したがって、設置面95は、フィルタ装置10の開口方向の端面に平行である。床面90は、左右に2列ずつの4つの案内レール91を有する。1つの案内レール91は、1つの第1レール92と、2つの第2レール93とを有する。第1レール92は、設置面95に対して平行に形成される。第2レール93は、第1レール92から分岐して設けられ、設置面95側とフィルタ装置10が対向する方向に延びる。フィルタ装置10が床面90上を運搬される際、キャスター80は、案内レール91に係合し、案内レール91に沿って移動する。フィルタ装置10が設置される際に、キャスター80は、第2レール93の端部(図7における上端部)に位置する。すなわち、1つの案内レール91内では、2つのキャスター80が移動する。案内レール91をキャスター80が移動する際、フィルタ装置10の開口方向の端面は、常に設置面95に対して平行である。
【0057】
次に、図8から図12を用いて、フィルタ装置の製造方法について説明する。図8は、本実施形態のフィルタ装置の製造方法を示すフローチャートである。図9から図12は、本実施形態のフィルタ装置の製造方法を示す説明図である。図8に示すステップS1からS9は、図9から図12に示すステップS1からS9に対応する。なお、以下では、作業者の作業として説明するが、加工装置や搬送装置を用いて自動で作業を行うようにしてもよい。
【0058】
まず、作業者は、図9に示すステップS1からS3において、一対の補強用金網300,300によって濾材用金網200の補強を行う(ステップS1からS3:補強工程)。濾材用金網200は、金属の線材が格子状に編まれた矩形の金網である。補強部材30は、濾材用金網200のメッシュ数より大きいメッシュ数、すなわち、網目が細かい矩形の金網である。濾材用金網200と補強用金網300との長手方向の長さは略同一である。補強用金網300の短手方向の長さは、濾材用金網200の短手方向の長さよりも小さい。すなわち、補強用金網300は、帯状形状である。
【0059】
まず、作業者は、ステップS1に示すように、濾材用金網200の一方の面に補強用金網300,300を重ね合わせる。この際、濾材用金網200の長手方向の辺である側端部21と補強用金網300の長手方向の一方の辺とを位置合わせする。同様に、濾材用金網200の短手方向の辺である始終端部22と補強用金網300の短手方向の辺とを位置合わせする。
【0060】
次に、作業者は、ステップS2において、補強用金網300を濾材用金網200にスポット溶接する。補強用金網300の短手方向の長さが、例えば、10mm以上30mm以下の場合、溶接部SWのピッチは、例えば、千鳥状に5mm以上15mm以下である。
【0061】
以上の補強工程により、補強用金網300が濾材用金網200に接合され、濾材用金網200の側端部21は補強される(ステップS3)。この際、補強用金網300に、濾材用金網200のメッシュ数よりも大きいメッシュ数の粗い金網を用いることによって、濾材用金網200の通気性を損なわずに補強することが可能である。
【0062】
次に、作業者は、図10に示すステップS4からS5において、補強用金網300が接合された濾材用金網200を、波形状のフィルタ濾材20に成形する(ステップS4からS5:成形工程)。ステップS4に示す雄治具100は、一方向に延在する柱面形状の凸部と凹部とを、一方向に交差する交差方向に亘って交互に有する波形状の型材である。雌治具110は、一方向に延在する柱面形状の凸部と凹部とを、一方向に交差する交差方向に亘って交互に有する波形状の型材である。雄治具100の凸部が雌治具110の凹部に係合し、雄治具100の凹部が雌治具110の凸部に係合する。雄治具100の凸部と雌治具110の凸部とは同一形状である。雄治具100の凹部と雌治具110の凹部とは同一形状である。
【0063】
雄治具100は、凸部に円柱形状の棒状部材70を有する。雌治具110は、凸部に円柱形状の棒状部材70を有する。棒状部材70の軸線は、雄治具100及び雌治具110の凸部及び凹部が延在する方向に平行である。本実施形態において、棒状部材70は、円形断面を有する円柱形状であるが、円弧形又は半円形の断面を有してもよい。棒状部材70は、中実であってもよいし、中空であってもよい。
【0064】
まず、作業者は、ステップS4に示すように、雄治具100と雌治具110との間に、補強用金網300が接合された濾材用金網200を配置する。この際、濾材用金網200の長手方向、すなわち側端部21の方向と、雄治具100及び雌治具110の凸部及び凹部が延在する方向とが直交するようにする。
【0065】
次に、作業者は、雄治具100を雌治具110に対して押圧する。濾材用金網200及び補強用金網300は、雄治具100と雌治具110とに挟まれて波形状のフィルタ濾材20及び補強部材30に成形される(ステップS5)。すなわち、雄治具100の凹部と雌治具110の凸部とによって、フィルタ濾材20及び補強部材30の山部が成形される。雄治具100の凸部と雌治具110の凹部とによって、フィルタ濾材20及び補強部材30の谷部が成形される。この際、棒状部材70が、フィルタ濾材20及び補強部材30の山部及び谷部の内側に入り込んで固着される。
【0066】
以上の成形工程により、濾材用金網200及び補強用金網300は、波形状のフィルタ濾材20及び補強部材30に成形される。なお、本実施形態においては、棒状部材70が、雄治具100及び雌治具110から分離して、フィルタ濾材20及び補強部材30に固着する構成であるが、棒状部材70が雄治具100及び雌治具110に一体化するもの、すなわち、雄治具100及び雌治具110の凸部が柱面形状に形成されるものであっても構わない。
【0067】
次に、作業者は、図11のステップS6からS7において、フィルタ濾材20を囲うように枠材40を配置する(ステップS6:溝加工工程、ステップS7:枠材配置工程)。ステップS7に示すように、枠材40は、水平方向(横方向)に延びる一対の横枠41,41と、垂直方向(縦方向)に延びて一対の横枠41,41を上下方向に接続する一対の縦枠42,42と、に分割されている。
【0068】
まず、作業者は、ステップS6に示すように、枠材40の横枠41の内側の面に溝44を加工する。溝44の加工方法は、例えば、エッジング加工である。溝44は、連続したV字状であって、補強部材30が接合されたフィルタ濾材20の側端部21の形状に沿った形状である。溝44の深さは、例えば、0.5mm以上2mm以下である。溝44の幅は、フィルタ濾材20及び補強部材30の厚みより若干大きい。溝44の底部の内側には、棒状部材70の端部形状に沿った形状の凹部を有する。本実施形態において、棒状部材70は円柱形状なので、凹部の形状は円である。なお、本実施形態において、ステップS6に示す溝加工工程を、フィルタ濾材20の成形工程より後に行っているが、それより前に行っても構わない。フィルタ濾材20は、予め決定された設計値に基づいて、雄治具100及び雌治具110によって成形されるため、この設計値に基づいて溝44の形状を決定し、予め溝加工工程を行うことも可能である。
【0069】
次に、作業者は、ステップS7に示すように、補強部材30が接合されたフィルタ濾材20の側端部21を横枠41の溝44に挿し込む。この際、溝44の形状は、フィルタ濾材20の側端部21の形状に沿うものであり、フィルタ濾材20は、フィルタ濾材20及び補強部材30の剛性によって波形状を維持するため、作業者は、フィルタ濾材20を型崩れさせることなく、側端部21を横枠41の溝44に容易に挿し込むことができる。
【0070】
以上の溝加工工程及び枠材配置工程により、フィルタ濾材20は、枠材40の横枠41に位置決めされる。なお、本実施形態においては、横枠41の内側の面に溝44を形成し、溝44内にフィルタ濾材20の側端部21に位置決めしたが、溝44は、形成されなくてもよく、側端部21の位置決め方法はどのようなものであってもよい。本実施形態のフィルタ濾材20は、フィルタ濾材20及び補強部材30の剛性によって波形状を維持される、すなわち、フィルタ濾材20は、平らな面上であっても自立するので、溝44によって側端部21を固定する必要はない。
【0071】
次に、作業者は、図12のステップS8において、枠材40にフィルタ濾材20及び補強部材30を接着剤50によって接着固定する(ステップS8:接着工程)。本実施形態においては、横枠41の溝44内に補強部材30が接合されたフィルタ濾材20の側端部21が挿し込まれて位置決めされている。作業者は、溝44を接着剤50によって充填することによって、横枠41とフィルタ濾材20及び補強部材30とを接着固定する。なお、ステップS6の溝加工工程を行わない場合は、フィルタ濾材20の側端部21と横枠41との当接部に接着剤50を充填する。本実施形態のフィルタ濾材20は、補強部材30によって波形状を維持されるので、フィルタ濾材20及び補強部材30の側端部21と横枠41との当接部のみに接着剤50を充填することが可能である。
【0072】
作業者は、フィルタ濾材20と一対の横枠41,41及び一対の縦枠42,42とを接着固定し、且つ一対の横枠41,41及び一対の縦枠42,42を枠材40に組み立てることにより、ステップS9に示すようなフィルタ装置10を得る。なお、フィルタ濾材20と一対の縦枠42,42との固定方法は特に限定されない。例えば、接着剤50によって接着固定してもよく、フィルタ濾材20と一対の縦枠42,42との間から空気が漏出しないように密封されればよい。さらに、フィルタ濾材20の長さ方向の端部である始終端部22を、枠材40の縦枠42に溶接してもよい。または、フィルタ濾材20の始終端部22を、枠材40の縦枠42にカシメ加工によって固定してもよい。
【0073】
本実施形態のように、溝44にフィルタ濾材20の側端部21を挿し込む様態の場合は、枠材配置工程の後に枠材40を組み立てる必要がある。溝44を形成せず、横枠41の内面を平らな面とする様態の場合は、既に組み立てられた枠材40に対し、開口部43からフィルタ濾材20及び補強部材30を嵌め込んで位置決めを行うことも可能である。
【0074】
以上のように、本実施形態のフィルタ装置10によれば、フィルタ濾材20及び補強部材30の剛性によって波形状を維持するため、フィルタ濾材20と枠材40との当接部のみに接着剤50を使用するだけでよく、接着剤50の使用量を最小限に抑えることができ、大幅な軽量化が可能となる。これにより、フィルタ装置10の運搬及び交換作業が容易となり、作業時間を短縮できる。また、接着剤50の使用量を抑制し作業時間を短縮することによってコストを低減できる。さらに、フィルタ濾材20に金網を適用することにより、フィルタ濾材20が目詰まりした場合に、エアブロー、振動及び加振により、付着物を落下させることが容易であり、再利用が可能である。
【0075】
また、枠材40のフィルタ濾材20との当接部に溝44を設けることによって、フィルタ濾材20を枠材40に接着固定する際の位置決めを容易にすることが可能である。また、フィルタ濾材20と枠材40との間に接着剤50を適切に充填できることから、溝44(当接部)以外への接着剤50の充填を省くことができ、より軽量化を図ることが可能である。
【0076】
また、補強部材30にフィルタ濾材20よりも粗目の網目を有する金網を適用することによって、板材を使用する場合に比べ、さらに軽量化することが可能である。また、補強部材30においても流体が通過可能となる。さらに、網目の粗い金網とすることで、線径の太い線材を用いて金網を構成できるため、補強部材30を、フィルタ濾材20よりも剛性の高いものにすることができる。
【0077】
また、補強部材30に100メッシュ以上の網目を有する金網を適用することによって、補強部材30によってフィルタ濾材20の波形状を好適に維持することができる。
【0078】
また、棒状部材70によってフィルタ濾材20の波形状を好適に維持することができる。また、フィルタ濾材20を波形状に成形する際に、フィルタ濾材20を均一な波形状に成形することができる。
【0079】
また、棒状部材70のフィルタ濾材20との当接面を柱面71とすることによって、フィルタ濾材20を波形状に成形する際に、フィルタ濾材20が傷つかないようにすることができる。
【0080】
また、フィルタ濾材20の始終端部22が枠材40に溶接されることによって、フィルタ濾材20の剛性を向上させることができる。
【0081】
また、フィルタ濾材20の始終端部22が枠材40にカシメ加工によって固定されることによって、フィルタ濾材20の剛性を向上させることができる。
【0082】
また、枠材40の開口方向の両面にシール材60を備えることによって、フィルタ装置10が設置される対象物の設置面95に対していずれの面であっても装着可能であり、また、本実施形態のフィルタ濾材20は、その表裏面が同等の機能を有することから、空気が流通する流通方向において、表裏面のいずれの面が上流側又は下流側になっても配置できる。また、一方のシール材60が破損した際に、他方のシール材60を使用することができるので、シール材60の損傷リスクを低減することが可能である。また、取り付け時の人為的なミスによる不具合を防止できる。
【0083】
また、枠材40の下面にキャスター80を備えることによって、フィルタ装置10の交換時にフィルタ装置10の運搬が容易となる。
【0084】
また、本実施形態のフィルタ装置10の交換方法によれば、フィルタ装置10の運搬がさらに容易となる。
【0085】
また、案内レール91が、設置面95に対して平行な第1レール92と、設置面95とフィルタ装置10とが対向する方向に延びる第2レール93とを有することによって、フィルタ装置10の設置面95に対してフィルタ装置10の開口方向の端面が平行に維持したまま運搬され、設置面95に案内されるので、フィルタ装置10の取り付け及び取り外しが容易である。
【0086】
また、本実施形態のフィルタ装置10の製造方法によれば、フィルタ濾材20及び補強部材30の剛性によって波形状を維持するため、フィルタ濾材20と枠材40との当接部のみに接着剤50を使用するだけでよく、接着剤50の使用量を最小限に抑えることができ、大幅な軽量化が可能となる。これにより、フィルタ装置10の運搬及び交換作業が容易となり、作業時間を短縮できる。また、濾材用金網200に補強用金網300を接合してから波形状のフィルタ濾材20に成形するため、補強部材30の接合が容易である。また、フィルタ濾材20及び補強部材30の剛性によって波形状を維持するため、波形状を型崩れさせることなく、枠材40に位置決めすることが可能である。また、接着剤50の使用量の抑制、作業時間の短縮、製造工程の簡略化によってコストを低減できる。
【0087】
また、枠材配置工程より前に、枠材40に溝44を加工する溝加工工程を有することによって、フィルタ濾材20を枠材40に接着固定する際の位置決めを容易にすることが可能である。また、フィルタ濾材20と枠材40との間に接着剤50を適切に充填できることから、溝44(当接部)以外への接着剤50の充填を省くことができ、より軽量化を図ることが可能である。
【0088】
また、フィルタ濾材20を波形状に成形する際に、柱面形状の山部と谷部とを有する波形状の雄治具100と雌治具110との間に挟んで、雄治具100を雌治具110に押圧することによって、フィルタ濾材20が傷つかないようにすることができる。また、成形工程が一度のプレスでなされるため、製造工程が簡略化できる。また、フィルタ濾材20を均一な波形状に成形することができる。
【0089】
また、フィルタ濾材20を波形状に成形する際に、柱面形状を有する棒状部材70を備える山部と谷部とを有する波形状の雄治具100と雌治具110との間に挟んで、雄治具100を雌治具110に押圧することによって成形し、且つ棒状部材70がフィルタ濾材20の山部及び谷部の内側に固着されることによって、フィルタ濾材20が傷つかないようにすることができる。また、成形工程が一度のプレスでなされるため、製造工程が簡略化できる。また、フィルタ濾材20を均一な波形状に成形することができる。また、棒状部材70によってフィルタ濾材20の波形状を好適に維持することができる。
【符号の説明】
【0090】
10 フィルタ装置
20 フィルタ濾材
21 側端部
22 始終端部
30 補強部材
40 枠材
41 横枠
42 縦枠
43 開口部
44 溝
50 接着剤
60 シール材
70 棒状部材
71 柱面
75 保持板
80 キャスター
90 床面
91 案内レール
92 第1レール
93 第2レール
95 設置面
100 雄治具
110 雌治具
200 濾材用金網
300 補強用金網
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12