(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6564912
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】ワーク搬送装置及び一枚取りユニット
(51)【国際特許分類】
B25J 15/06 20060101AFI20190808BHJP
B65H 3/08 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
B25J15/06 A
B65H3/08 321
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-113285(P2018-113285)
(22)【出願日】2018年6月14日
【審査請求日】2019年5月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正昭
(72)【発明者】
【氏名】高橋 祐希
(72)【発明者】
【氏名】岩永 洋志
【審査官】
松井 裕典
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−193463(JP,A)
【文献】
特開昭49−26970(JP,A)
【文献】
特公昭49−22190(JP,B1)
【文献】
特開昭60−242144(JP,A)
【文献】
特開平1−156242(JP,A)
【文献】
特開2012−86950(JP,A)
【文献】
特開平2−198933(JP,A)
【文献】
米国特許第6345818(US,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0043747(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00−21/02
B65H 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向及びその反対方向へ移動可能かつ昇降可能な搬送体と、
前記搬送体に設けられ、ワークの表面を吸着する主パッドと、
前記搬送体の端部側に揺動可能に設けられたシーソー部材と、
前記シーソー部材の中央部側に設けられ、ワークの表面に接触する接触子と、
前記シーソー部材における前記搬送体側の反対側の端部に設けられ、ワークの表面を吸着する第1補助パッドと、
前記シーソー部材における前記搬送体側の端部に設けられ、ストローク量が前記第1補助パッドのストローク量よりも大きく設定され、ワークの表面を吸着する第2補助パッドと、を備えたことを特徴とするワーク搬送装置。
【請求項2】
積載されたワークのうち最上部のワークの表面に前記接触子を接触又は近接させた状態で、前記主パッド、前記第1補助パッド、及び前記第2補助パッドの吸着動作を開始すると、前記第2補助パッドが収縮しながら、前記シーソー部材の揺動によって前記第1補助パッドが持ち上げられるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のワーク搬送装置。
【請求項3】
前記搬送体の端部側に着脱可能に設けられた接続部材を備え、
前記シーソー部材が前記接続部材に揺動可能に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のワーク搬送装置。
【請求項4】
積載された板状のワークを搬送方向へ搬送するワーク搬送装置に用いられる一枚取りユニットであって、
前記ワーク搬送装置における搬送体の端部側に装着される接続部材と、
前記搬送体の端部側に揺動可能に設けられたシーソー部材と、
前記シーソー部材の中央部側に設けられ、ワークの表面に接触する接触子と、
前記シーソー部材における前記搬送体側の反対側の端部に設けられ、ワークの表面を吸着する第1補助パッドと、
前記シーソー部材における前記搬送体側の端部に設けられ、ストローク量が前記第1補助パッドのストローク量よりも大きく設定され、ワークの表面を吸着する第2補助パッドと、を備えたことを特徴とする一枚取りユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積載された板状のワーク(板金)を搬送方向へ搬送するワーク搬送装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
ワーク搬送装置によって板状のワークを一枚ずつ搬送するには、積載されたワークのうち最上部のワークの一枚取りを行うことが必要である。また、最上部のワークの一枚取りを行うための機能(以下、適宜に一枚取り機能という)を付加したワーク搬送装置が広く普及している。そして、一枚取り機能を付加したワーク搬送装置の構成について簡単に説明すると、次の通りである。
【0003】
ワーク搬送装置は、搬送方向及びその反対方向へ移動可能かつ昇降可能(上下方向へ移動可能)な搬送体を備えている。搬送体には、ワークの表面を吸着する複数の主パッドが間隔を置いて設けられている。また、搬送体の端部側には、揺動部材が上下方向へ揺動可能に設けられており、揺動部材の先端部側には、ワークの端部側の表面を吸着する補助パッドが設けられている。更に、搬送体の適宜位置には、揺動部材を上下方向へ揺動させるエアシリンダ等のアクチュエータが設けられている(特許文献1及び特許文献2等参照)。
【0004】
従って、積載されたワークのうち最上部のワークの表面を複数の主パッド及び補助パッドによって吸着した状態で、アクチュエータの駆動により揺動部材を上方向へ揺動させることにより、補助パッドが持ち上げられる。すると、最上部のワークの端部側がめくり上げられ、他のワークと部分的に分離される。そして、搬送体を上昇させて、最上部のワークの一枚取りを行う。
【0005】
なお、本発明に関連する先行技術として特許文献1及び特許文献2の他に、特許文献3及び特許文献4に示すものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−361139号公報
【特許文献2】特開平7−330179号公報
【特許文献3】特開2016−112667号公報
【特許文献4】特開2017−124469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ワーク搬送装置に一枚取りの機能を付加するには、前述のように、専用のアクチュエータが必要である。そのため、ワーク搬送装置に用いられるアクチュエータ等の駆動源が増えて、ワーク搬送装置の構成が複雑化する。また、ワークの搬送中に、専用のアクチュエータの重量分だけ搬送体に働く慣性力が大きくなって、ワークの搬送位置決めを高速かつ高精度に行うことが困難になる。
【0008】
そこで、本発明は、前述の問題を解決することができる、新規な構成からなるワーク搬送装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1実施態様に係るワーク搬送装置は、搬送方向及びその反対方向へ移動可能かつ昇降可能(上下方向へ移動可能)な搬送体と、前記搬送体に設けられ、ワークの表面を吸着する主パッドと、前記搬送体の端部側に揺動可能に設けられたシーソー部材(揺動部材)と、前記シーソー部材の中央部側に設けられ、ワークの表面に接触する接触子と、前記シーソー部材における前記搬送体側の反対側の端部に設けられ、ワークの表面を吸着する第1補助パッドと、前記シーソー部材における前記搬送体側の端部に設けられ、ストローク量(最大収縮量)が前記第1補助パッドのストローク量よりも大きく設定され、ワークの表面を吸着する第2補助パッドと、を備えている。
【0010】
本発明の第1実施態様では、積載されたワークのうち最上部のワークの表面に前記接触子を接触又は近接させた状態で、前記主パッド、前記第1補助パッド、及び前記第2補助パッドの吸着動作を開始すると、前記第2補助パッドが収縮しながら、前記シーソー部材の揺動によって前記第1補助パッドが持ち上げられるように構成されてもよい。
【0011】
本発明の第1実施態様では、前記搬送体の端部側に着脱可能に設けられた接続部材を備え、前記シーソー部材が前記接続部材に揺動可能に設けられてもよい。換言すれば、前記シーソー部材が前記接続部材を介して前記搬送体の端部側に揺動可能に設けられてもよい。
【0012】
本発明の第1実施態様によると、積載されたワークのうち最上部のワークの表面に前記接触子を接触又は近接させた状態で、前記主パッド、前記第1補助パッド、及び前記第2補助パッドの吸着動作を開始する。すると、前記第2補助パッドが収縮しながら、前記シーソー部材の揺動によって前記第1補助パッドが持ち上げられる。その結果、最上部のワークの端部側がめくり上げられ、他のワークと部分的に分離される。そして、前記搬送体を上昇させて、最上部のワークの一枚取りを行う。つまり、本発明の第1実施態様によると、専用のアクチュエータを用いることなく、前記ワーク搬送装置によって最上部のワークの一枚取りを行うことができる。
【0013】
本発明の第2実施態様に係る一枚取りユニットは、積載された板状のワーク(板金)を搬送方向へ搬送するワーク搬送装置に用いられ、前記ワーク搬送装置における搬送体の端部側に装着される接続部材と、前記搬送体の端部側に揺動可能に設けられたシーソー部材と、前記シーソー部材の中央部側に設けられ、ワークの表面に接触する接触子と、前記シーソー部材における前記搬送体側の反対側の端部に設けられ、ワークの表面を吸着する第1補助パッドと、前記シーソー部材における前記搬送体側の端部に設けられ、ストローク量(パット軸方向のストローク量)が前記第1補助パッドのストローク量よりも大きく設定され、ワークの表面を吸着する第2補助パッドと、を備えている。
【0014】
本発明の第2実施態様によると、積載されたワークのうち最上部のワークの表面に前記接触子を接触又は近接させた状態で、前記第1補助パッド及び前記第2補助パッドの吸着動作を開始する。すると、前記第2補助パッドが収縮しながら、前記シーソー部材の揺動によって前記第1補助パッドが持ち上げられる。その結果、最上部のワークの端部側がめくり上げられ、他のワークと部分的に分離される。そして、前記搬送体を上昇させて、最上部のワークの一枚取りを行う。つまり、本発明の第2実施態様によると、専用のアクチュエータを用いることなく、前記ワーク搬送装置によって最上部のワークの一枚取りを行うことができる。
【0015】
本発明の第3実施態様に係るロボットハンドは、多関節ロボットの先端部に装着されるハンド本体と、前記ハンド本体に設けられ、ワークの表面を吸着する主パッドと、前記ハンド本体の端部側に揺動可能に設けられたシーソー部材と、前記シーソー部材の中央部側に設けられ、ワークの表面に接触する接触子と、前記シーソー部材における前記ハンド本体側の反対側の端部に設けられ、ワークの表面を吸着する第1補助パッドと、前記シーソー部材における前記ハンド本体側の端部に設けられ、ストローク量(最大収縮量)が前記第1補助パッドのストローク量よりも大きく設定され、ワークの表面を吸着する第2補助パッドと、を備えている。
【0016】
本発明の第3実施態様によると、積載されたワークのうち最上部のワークの表面に前記接触子を接触又は近接させた状態で、前記主パッド、前記第1補助パッド、及び前記第2補助パッドの吸着動作を開始する。すると、前記第2補助パッドが収縮しながら、前記シーソー部材の揺動によって前記第1補助パッドが持ち上げられる。その結果、最上部のワークの端部側がめくり上げられ、他のワークと部分的に分離される。そして、前記ハンド本体を上昇させて、最上部のワークの一枚取りを行う。つまり、本発明の第3実施態様によると、専用のアクチュエータを用いることなく、前記多関節ロボットによって最上部のワークの一枚取りを行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、前記ワーク搬送装置に用いられるアクチュエータ等の駆動源の増加を抑えて、前記ワーク搬送装置の構成の簡略化を図ることができる。また、ワークの搬送中に、前記搬送体に働く慣性力が大きくなることを抑えて、ワークの搬送位置決めを高速かつ高精度に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る多関節ロボットの一部を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係るロボットハンドを示す側面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係るロボットハンドを主パッド側から見た図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係るロボットハンドを主パッド側から見た斜視図である。
【
図5】
図5(a)は、本発明の実施形態に係る一枚取りユニットの側面図である。
図5(b)は、本発明の実施形態に係る一枚取りユニットの底面図である。
【
図6】
図6(a)は、本発明の実施形態に係る一枚取りユニットの平面図である。
図6(b)は、一方の固定プレートを取り外した本発明の実施形態に係る一枚取りユニットの内部構造を示す図である。
【
図7】
図7(a)は、各主パッド等の吸着動作を開始する直前の様子を示す図である。
図7(b)は、各主パッド等の吸着動作を開始した直後の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態について
図1から
図7(a)(b)を参照して説明する。
【0020】
なお、本願の明細書及び特許請求の範囲において、「設けられる」とは、直接的に設けられることの他に、別部材を介して間接的に設けられることを含む意である。「ハンド長さ方向」とは、ロボットハンドの長さ方向のことをいい、ハンド本体(搬送体)の長さ方向及び一枚取りユニットの長さ方向と同義である。「ハンド幅方向」とは、ロボットハンドの幅方向のことをいい、ハンド本体(搬送体)の幅方向及び一枚取りユニットの幅方向と同義である。「ハンド高さ方向」とは、ロボットハンドの高さ方向のことをいい、ハンド本体(搬送体)の高さ方向及び一枚取りユニットの高さ方向と同義である。
【0021】
図面中、「FF」は、前方向、「FR」は、後方向、「U」は、上方向、「D」は、下方向をそれぞれ指している。「HA」は、ハンド長さ方向、「HB」は、ハンド幅方向、「HC」は、ハンド高さ方向をそれぞれ指している。
【0022】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る多関節ロボット10は、積載エリアAの後方に配置されたプレスブレーキ(図示省略)の曲げ加工の補助等を行うロボットである。また、多関節ロボット10は、積載エリアAにパレットPを介して積載された板状のワークWを搬送方向である後方向へ搬送するワーク搬送装置の1つである。
【0023】
多関節ロボット10は、多関節のロボットアーム12を備えており、ロボットアーム12は、その先端部側に、リスト14を有している。リスト14は、その軸心14c周りに回転可能に構成されている。また、リスト14の先端部には、ワークWを保持するロボットハンド16が着脱可能に設けられている。換言すれば、多関節ロボット10の先端部には、ロボットハンド16が着脱可能に装着されている。なお、多関節ロボット10の構成のうち、ロボットハンド16を除く構成は、特許文献3に記載の多関節ロボットと同じ構成であり、その構成の詳細については、省略する。
【0024】
続いて、本発明の実施形態に係るロボットハンド16の具体的な構成について説明する。
【0025】
図1から
図4に示すように、ロボットハンド16は、トレイ状のハンド本体18を備えており、ハンド本体18は、多関節ロボット10の先端部であるリスト14の先端部に着脱可能に装着される。ハンド本体18は、ワーク搬送装置の搬送体に相当し、前後方向(搬送方向及びその反対方向)へ移動可能かつ昇降可能(上下方向へ移動可能)である。
【0026】
ハンド本体18のハンド幅方向の両端側には、ハンド長さ方向に延びたガイドレール20がそれぞれ設けられている。一対のガイドレール20には、ハンド幅方向に延びたパッド支持部材22がハンド長さ方向へ移動可能に支持されている。パッド支持部材22には、ワークWの表面を吸着する複数の平型の主パッド24がハンド幅方向に間隔を置いて設けられている。換言すれば、ハンド本体18には、複数の平型の主パッド24が一対のガイドレール20及びパッド支持部材22を介して設けられている。複数の主パッド24は、エア吸引源としての吸引ポンプ(図示省略)に接続されている。
【0027】
ハンド本体18の中央部には、パッド支持部材22をハンド長さ方向へ移動させるロッドレスシリンダ26が設けられている。ロッドレスシリンダ26は、ハンド長さ方向へ移動可能な可動ブロック28を有している。また、ハンド本体18のハンド幅方向の一端側には、ハンド長さ方向へ揺動する揺動リンク(連結リンク)30の基端部が連結ピン32を介して連結されている。揺動リンク30の先端部側は、長穴30h等を介してパッド支持部材22に連結されている。揺動リンク30の中間部側は、長穴30vを介して可動ブロック28に連結されている。なお、パッド支持部材22をハンド長さ方向へ移動させるのは、ワークWの曲げ加工中に複数の主パッド24の吸着位置を変更するためであり、ロッドレスシリンダ26の動作等は、本発明に直接関係ないので、その説明を省略する。
【0028】
パット支持部材22には、主パッド24が積載エリアAに積載されたワークWのうち最上部のワークWの表面に接触又は近接したことを検出する検出器(図示省略)が設けられている。検出器は、特許文献3に記載の検出器と同様に、パット支持部材22にハンド高さ方向へ移動可能に設けられかつ主パッド24に先立って最上部のワークWの表面に接触する接触ピンを有している。検出器は、接触ピンの基端側に設けられたドグと、ハンド支持部材22に設けられかつドグの近接を検出するセンサとを有している。そして、主パッド24が最上部のワークWの表面に接触又は近接したことが検出されると、吸引ポンプの駆動を開始する。
【0029】
パッド支持部材22の両端側には、積載エリアAに積載されたワークWのうちの最上部のワークWの一枚取りを行うための一枚取りユニット34がそれぞれ設けられている。換言すれば、ハンド本体18のハンド幅方向の両端側には、一枚取りユニット34がパッド支持部材22を介してそれぞれ設けられている。そして、一枚取りユニット34の具体的な構成は、次の通りである。
【0030】
図5(a)(b)から
図7(a)に示すように、パッド支持部材22の端側には、接続部材36が複数の取付ボルト38によって着脱可能に装着されている。換言すれば、ハンド本体18のハンド幅方向の両端側には、接続部材36がパッド支持部材22を介して着脱可能に装着されている。また、接続部材36は、L型形状の一対の固定プレート40を有しており、一対の固定プレート40は、ハンド長さ方向に対向している。一対の固定プレート40の先端部は、連結軸42によって一体的に連結されている。各固定プレート40の基端部側には、ハンド長さ方向に延びた突出フランジ44が設けられている。
【0031】
一対の固定プレート40の間には、シーソー部材(揺動部材)46が揺動軸48により揺動可能に設けられている。換言すれば、ハンド本体18のハンド幅方向の端部側には、シーソー部材46がパッド支持部材22及び接続部材36を介して揺動軸48により揺動可能に設けられている。また、シーソー部材46は、T字形状の揺動プレート50を有しており、揺動プレート50は、接続部材36からハンド幅方向の外側に突出している。
【0032】
揺動プレート50の中央部側には、U字形状の支持ブロック(回転支持部)52が設けられており、支持ブロック52には、揺動軸48が貫通している。揺動プレート50におけるハンド本体18側の反対側の端部には、第1取付片(第1取付部)54が設けられている。また、揺動プレート50におけるハンド本体18側の端部には、第2取付片(第2取付部)56が設けられている。第2取付片56は、第1取付片54側に働く重力によって突出フランジ44に当接可能である。換言すれば、シーソー部材46は、第2取付片56と突出フランジ44の当接によって一方向の揺動が規制されるように構成されている。
【0033】
支持ブロック52には、ワークWの表面に接触する接触子としての接触ローラ58がベアリング(図示省略)によって揺動軸48の軸心周りに回転可能に設けられている。換言すれば、シーソー部材46の中央部側には、接触ローラ58が揺動軸48の軸心周りに回転可能に設けられている。接触ローラ58は、例えばシリコンゴム等の弾性体により構成されている。接触ローラ58の接触部58cのハンド高さ方向の位置は、主パッド24の吸着面24fのハンド高さ方向の位置と同じである。接触ローラ58は、積載エリアAに積載されたワークWのうち最上部のワークWの表面に主パッド24と略同時に接触する。
【0034】
第1取付片54には、ワークWの端部側の表面を吸着する二段のベローズ型の第1補助パッド60が設けられている。換言すれば、シーソー部材46におけるハンド本体18側の反対側の端部には、二段のベローズ型の第1補助パッド60が設けられている。また、第2取付片56には、ワークWの端部側の表面を吸着する三段のベローズ型の第2補助パッド62が設けられている。換言すれば、シーソー部材46におけるハンド本体18側の端部には、三段のベローズ型の第2補助パッド62が設けられている。
【0035】
第2補助パッド62のストローク量(最大収縮量)は、第1補助パッド60のストローク量よりも大きく設定されている。また、第1補助パッド60及び第2補助パッド62は、複数の主パッド24及び接触ローラ58に先立ってワークWの表面に接触する。第1補助パッド60及び第2補助パッド62は、複数の主パッド24と同様に、吸引ポンプに接続されている。なお、第1補助パッド60は、平型でもよい。
【0036】
前述のように、主パッド24が積載エリアAに積載された最上部のワークWの表面に接触又は近接したことが検出されると、吸引ポンプの駆動を開始する。換言すれば、最上部のワークWの表面に接触ローラ58を接触又は近接させた状態で、各主パッド24、第1補助パッド60、及び第2補助パッド62の吸着動作を開始する。そして、
図7(b)に示すように、一枚取りユニット34は、その状態で、各主パッド24等の吸着動作を開始すると、第2補助パッド62が収縮しながら、シーソー部材46の揺動によって第1補助パッド60が持ち上げられるように構成されている。なお、吸引ポンプの駆動を開始する前は、第2取付片56が突出フランジ44に当接しかつ第1補助パッド60の吸着面58f及び第2補助パッド62の吸着面60fが主パッド24の吸着面24fに平行になっている。
【0037】
続いて、本発明の実施形態の作用及び効果について説明する。
【0038】
多関節ロボット10の動作の制御によってロボットハンド16(ハンド本体18)を前方向(搬送方向の反対方向)へ移動させて、積載エリアAの真上に位置させる。次に、多関節ロボット10の動作の制御によってロボットハンド16を下降させて、複数の主パッド24及び接触ローラ58を積載エリアAに積載されたワークWのうちの最上部のワークWの表面に接触又は近接させる。そして、その状態で、各主パッド24、各第1補助パッド60、及び各第2補助パッド62の吸着動作を開始する。すると、各第2補助パッド62が収縮しながら、各シーソー部材46の揺動によって各第1補助パッド60が持ち上げられる。その結果、最上部のワークWの両端部側がめくり上げられて、他のワークWと部分的に分離される。更に、多関節ロボット10の動作の制御によってロボットハンド16を上昇させて、最上部のワークWの一枚取りを行う。その後、多関節ロボット10の動作の制御によってロボットハンド16を後方向(搬送方向)へ移動させて、ワークWを後方向へ搬送してプレスブレーキに供給する。
【0039】
つまり、本発明の実施形態によると、専用のアクチュエータを用いることなく、多関節ロボット10によって最上部のワークWの一枚取りを行うことができる。そのため、本発明の実施形態によれば、ワーク搬送装置としての多関節ロボット10に用いられるアクチュエータ等の駆動源の増加を抑えて、多関節ロボット10(ワーク搬送装置)の構成の簡略化を図ることができる。また、ワークWの搬送中に、搬送体としてのハンド本体18に働く慣性力が大きくなることを抑えて、ワークWの搬送位置決めを高速かつ高精度に行うことができる。
【0040】
なお、本発明は、前述の実施形態の説明に限るものでなく、例えば、多関節ロボット10に適用した技術思想を多関節ロボット10以外のワーク搬送装置(図示省略)等に適用する等、その他、種々の態様で実施可能である。また、本発明に包含される権利範囲は、前述の実施形態に限定されるものでない。
【符号の説明】
【0041】
10 多関節ロボット(ワーク搬送装置)
12 ロボットアーム
14 リスト
14c 軸心
16 ロボットハンド
18 ハンド本体(搬送体)
20 ガイドレール
22 パッド支持部材
24 主パッド
24f 吸着面
26 ロッドレスシリンダ
28 稼動ブロック
30 連結リンク
30h 長穴
30v 長穴
32 連結ピン
34 一枚取りユニット
36 接続部材
38 取付ボルト
40 固定プレート
42 連結軸
44 突出フランジ
46 シーソー部材(揺動部材)
48 揺動軸
50 揺動プレート
52 支持ブロック
54 第1取付片
56 第2取付片
58 接触ローラ(接触子)
58c 接触部
60 第1補助パッド
62 第2補助パッド
A 積載エリア
P パレット
W ワーク(板金)
【要約】
【課題】多関節ロボット10の構成の簡略化を図ると共に、ワークWの搬送位置決めを高速かつ高精度に行うこと。
【解決手段】ハンド本体18には、複数の主パッド24が一対のガイドレール20及びパッド支持部材22を介して設けられている。ハンド本体18のハンド幅方向の端部側には、シーソー部材46がパッド支持部材22等を介して揺動軸48により揺動可能に設けられている。シーソー部材46の支持ブロック52には、接触ローラ58が設けられている。シーソー部材46の第1取付片54には、二段のベローズ型の第1補助パッド60が設けられている。シーソー部材46の第2取付片56には、三段のベローズ型の第2補助パッド62が設けられている。第2補助パッド62のストローク量は、第1補助パッド60のストローク量よりも大きく設定されている。
【選択図】
図7