特許第6564950号(P6564950)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6564950
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】光学材料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 1/04 20060101AFI20190808BHJP
   C08F 2/00 20060101ALI20190808BHJP
   C08F 20/18 20060101ALI20190808BHJP
   C08F 18/24 20060101ALI20190808BHJP
   C08G 18/38 20060101ALI20190808BHJP
   C08G 18/32 20060101ALI20190808BHJP
   C08G 75/08 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   G02B1/04
   C08F2/00
   C08F20/18
   C08F18/24
   C08G18/38
   C08G18/32
   C08G75/08
【請求項の数】2
【全頁数】42
(21)【出願番号】特願2018-529686(P2018-529686)
(86)(22)【出願日】2018年6月6日
(86)【国際出願番号】JP2018021769
【審査請求日】2018年6月7日
(31)【優先権主張番号】特願2018-59326(P2018-59326)
(32)【優先日】2018年3月27日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】古屋 政幸
(72)【発明者】
【氏名】西村 雄
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 伸介
(72)【発明者】
【氏名】小川 達矢
【審査官】 三宅 澄也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−091688(JP,A)
【文献】 特開2003−252910(JP,A)
【文献】 特開2001−106703(JP,A)
【文献】 特開2009−226742(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/035457(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/047626(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC C08F 2/00− 2/60
G05B 1/00− 24/00
B29C 39/00− 39/24
39/38− 39/44
43/00− 43/34
43/44− 43/48
43/52− 43/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップ(A)により、重合時間内において所定時間おきに重合温度条件を算出する工程と、
下記組成物(1)を、モールド内に注入する工程と、
算出された前記重合時間毎の重合温度条件を満たすように、前記組成物(1)を重合硬化する工程と、
を含む光学材料の製造方法。
ステップ(A):
下記組成物(1)を加温し、所定の温度で保温した場合における、当該組成物(1)に含まれる重合反応性化合物の加温前の官能基由来の物性値aおよび所定時間保温した後の残存官能基由来の物性値bを取得する、物性取得工程(ここで、物性値aおよび物性値bは、発熱量または比重である。)と、
前記物性値aおよび前記物性値bから、残存官能基率を算出する残存官能基率算出工程と、
前記残存官能基率から、反応速度式に基づいて反応速度係数を算出する反応速度係数算出工程と、
下記条件を満足するように、前記反応速度係数を用い、反応速度式に基づいて重合時間内において所定時間おきに各重合温度を逆算する重合温度算出工程と、
を含む。
(条件)
重合率10%の時点から重合率80%の時点に至るまでの平均重合速度を0.4%/hr以上15%/hr以下の範囲内から選択して決定し、
重合率が10%以上80%以下となる時間内において所定時間おきに複数の重合速度を計算し、
前記複数の重合速度と前記平均重合速度の分散の正の平方根である、標準偏差を算出し、
算出された前記標準偏差が2.3%/hr以下となるようにする。
組成物(1):
脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、複素環ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートから選択される少なくとも1種のポリイソシアネート化合物と、2以上のメルカプト基を有するポリチオール化合物、1以上のメルカプト基と1以上の水酸基を有するヒドロキシチオール化合物、2以上の水酸基を有するポリオール化合物、およびアミン化合物からなる群から選択される少なくとも一種の活性水素化合物と、重合触媒と、を含む。
【請求項2】
以下のステップ(A)により、重合時間内において所定時間おきに重合温度条件を算出する工程と、
下記組成物(2)を、モールド内に注入する工程と、
算出された前記重合時間毎の重合温度条件を満たすように、前記組成物(2)を重合硬化する工程と、
を含む光学材料の製造方法。
ステップ(A):
下記組成物(2)を加温し、所定の温度で保温した場合における、当該組成物(2)に含まれる重合反応性化合物の加温前の官能基由来の物性値aおよび所定時間保温した後の残存官能基由来の物性値bを取得する、物性取得工程(ここで、物性値aおよび物性値bは、発熱量または比重である。)と、
前記物性値aおよび前記物性値bから、残存官能基率を算出する残存官能基率算出工程と、
前記残存官能基率から、反応速度式に基づいて反応速度係数を算出する反応速度係数算出工程と、
下記条件を満足するように、前記反応速度係数を用い、反応速度式に基づいて重合時間内において所定時間おきに各重合温度を逆算する重合温度算出工程と、
を含む。
(条件)
重合率10%の時点から重合率80%の時点に至るまでの平均重合速度を0.4%/hr以上15%/hr以下の範囲内から選択して決定し、
重合率が10%以上80%以下となる時間内において所定時間おきに複数の重合速度を計算し、
前記複数の重合速度と前記平均重合速度の分散の正の平方根である、標準偏差を算出し、
算出された前記標準偏差が2.3%/hr以下となるようにする。
組成物(2):
下記一般式(1)で表されるアリルカーボネート化合物、下記一般式(2)で表される(メタ)アクリレート化合物、または下記一般式(3)で表されるエピスルフィド化合物から選択される少なくとも1種の化合物と、重合開始剤または重合触媒と、を含む。
【化1】
一般式(1)中、は、ヘテロ原子を含んでいてもよい鎖状または分岐したC3〜C35の脂肪族ポリオール由来の2〜20価の基またはヘテロ原子を含んでいてもよいC5〜C40の環状脂肪族ポリオール由来の2〜20価の基を示す。mは、2〜10の整数を示す。なお、Rはアリルオキシカルボニル基を含まない。)
【化2】
一般式(2)中、は、ヘテロ原子または芳香族基を含んでいてもよい炭素数1〜30の2〜4価の有機基を示す。Rは、水素原子あるいはメチル基を示す。nは2〜4の整数を示す。)
【化3】
(一般式(3)中、R〜Rは同一または異なっていてもよく、水素原子、C1以上C10以下の直鎖または分岐アルキル基、C6以上C18以下の置換または無置換アリール基を示す。mは0以上2以下の整数を示す。pは0以上4以下の整数を示す。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合条件設定方法、外観に優れる光学材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックレンズは、無機レンズに比べ軽量で割れ難く、染色が可能なため眼鏡レンズ、カメラレンズ等の光学材料として急速に普及してきている。これまでに様々なレンズ用成形体が開発され使用されている。
【0003】
その中でも代表的な例として、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートやジアリルイソフタレートから得られるアリル樹脂や、(メタ)アクリレートから得られる(メタ)アクリル樹脂、イソシアネートとチオールから得られるポリチオウレタン樹脂等が挙げられる。
【0004】
特許文献1においては、高屈折率で厚いプラスチックレンズの製造方法として、重合性組成物を成形型に充填した後、重合性組成物を充填時の初期温度以上に保つ保持工程と、前記重合性組成物を冷却する冷却工程と、を備える製造方法が提案されている。
【0005】
特許文献2においては、プラスチックレンズの製造方法として、硬化工程は、充填工程の後、重合性組成物を充填工程時の初期温度以上に保つ保持工程と、保持工程の後、重合性組成物を冷却する冷却工程と、を備える製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−240414号公報
【特許文献2】特開2009−226742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1または特許文献2に開示されているように、プラスチックレンズは、通常、1対のモールド内に充填された重合性組成物を重合硬化させることで形成されるが、重合性組成物の重合速度は温度によって変化し、わずかな温度分布で局所的に重合速度の上昇、低下を発生させる。
このため、例えば、重合速度が上昇した部分は、他よりも分子量が増大し、下方へ沈降または上方へ上昇する。また、モールド内で重合性組成物の対流が発生する場合もある。そして、これらの形跡が残ったまま重合性組成物が硬化すると、プラスチックレンズに光学歪み、あるいは脈理が発生するおそれがある。
【0008】
重合温度条件は、光学歪みや脈理を抑制するために極めて重要な条件である。これまで、重合温度条件としては、例えば、特許文献1または特許文献2に開示された条件を挙げることができるが、重合性組成物の反応速度論的解析による温度条件の設定はこれまで行われてこなかった。
【0009】
本発明は、重合性組成物の硬化に伴う光学歪みまたは脈理を抑制し、さらに外観に優れる光学材料が得られる重合温度条件を設定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、所定の解析にしたがって重合温度条件を適切に設定することにより、光学材料の重合率を高め、さらに光学材料が重合硬化する過程で、重合速度のばらつきを抑制することができ、その結果として光学歪みや脈理の発生が抑制され、外観に優れた光学材料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は以下に示すことができる。
[1] 以下のステップ(A)により、重合時間内において所定時間おきに重合温度条件を算出する工程と、
下記組成物(1)を、モールド内に注入する工程と、
算出された前記重合時間毎の重合温度条件を満たすように、前記組成物(1)を重合硬化する工程と、
を含む光学材料の製造方法。
ステップ(A):
下記組成物(1)を加温し、所定の温度で保温した場合における、当該組成物(1)に含まれる重合反応性化合物の加温前の官能基由来の物性値aおよび所定時間保温した後の残存官能基由来の物性値bを取得する、物性取得工程(ここで、物性値aおよび物性値bは、発熱量または比重である。)と、
前記物性値aおよび前記物性値bから、残存官能基率を算出する残存官能基率算出工程と、
前記残存官能基率から、反応速度式に基づいて反応速度係数を算出する反応速度係数算出工程と、
下記条件を満足するように、前記反応速度係数を用い、反応速度式に基づいて重合時間内において所定時間おきに各重合温度を逆算する重合温度算出工程と、
を含む。
(条件)
重合率10%の時点から重合率80%の時点に至るまでの平均重合速度を0.4%/hr以上15%/hr以下の範囲内から選択して決定し、
重合率が10%以上80%以下となる時間内において所定時間おきに複数の重合速度を計算し、
前記複数の重合速度と前記平均重合速度の分散の正の平方根である、標準偏差を算出し、
算出された前記標準偏差が2.3%/hr以下となるようにする。
組成物(1):
脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、複素環ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートから選択される少なくとも1種のポリイソシアネート化合物と、2以上のメルカプト基を有するポリチオール化合物、1以上のメルカプト基と1以上の水酸基を有するヒドロキシチオール化合物、2以上の水酸基を有するポリオール化合物、およびアミン化合物からなる群から選択される少なくとも一種の活性水素化合物と、重合触媒と、を含む。
[2] 以下のステップ(A)により、重合時間内において所定時間おきに重合温度条件を算出する工程と、
下記組成物(2)を、モールド内に注入する工程と、
算出された前記重合時間毎の重合温度条件を満たすように、前記組成物(2)を重合硬化する工程と、
を含む光学材料の製造方法。
ステップ(A):
下記組成物(2)を加温し、所定の温度で保温した場合における、当該組成物(2)に含まれる重合反応性化合物の加温前の官能基由来の物性値aおよび所定時間保温した後の残存官能基由来の物性値bを取得する、物性取得工程(ここで、物性値aおよび物性値bは、発熱量または比重である。)と、
前記物性値aおよび前記物性値bから、残存官能基率を算出する残存官能基率算出工程と、
前記残存官能基率から、反応速度式に基づいて反応速度係数を算出する反応速度係数算出工程と、
下記条件を満足するように、前記反応速度係数を用い、反応速度式に基づいて重合時間内において所定時間おきに各重合温度を逆算する重合温度算出工程と、
を含む。
(条件)
重合率10%の時点から重合率80%の時点に至るまでの平均重合速度を0.4%/hr以上15%/hr以下の範囲内から選択して決定し、
重合率が10%以上80%以下となる時間内において所定時間おきに複数の重合速度を計算し、
前記複数の重合速度と前記平均重合速度の分散の正の平方根である、標準偏差を算出し、
算出された前記標準偏差が2.3%/hr以下となるようにする。
組成物(2):
下記一般式(1)で表されるアリルカーボネート化合物、下記一般式(2)で表される(メタ)アクリレート化合物、または下記一般式(3)で表されるエピスルフィド化合物から選択される少なくとも1種の化合物と、重合開始剤または重合触媒と、を含む。
【化1】
一般式(1)中、は、ヘテロ原子を含んでいてもよい鎖状または分岐したC3〜C35の脂肪族ポリオール由来の2〜20価の基またはヘテロ原子を含んでいてもよいC5〜C40の環状脂肪族ポリオール由来の2〜20価の基を示す。mは、2〜10の整数を示す。なお、Rはアリルオキシカルボニル基を含まない。)
【化2】
一般式(2)中、は、ヘテロ原子または芳香族基を含んでいてもよい炭素数1〜30の2〜4価の有機基を示す。Rは、水素原子あるいはメチル基を示す。nは2〜4の整数を示す。)
【化3】
(一般式(3)中、R〜Rは同一または異なっていてもよく、水素原子、C1以上C10以下の直鎖または分岐アルキル基、C6以上C18以下の置換または無置換アリール基を示す。mは0以上2以下の整数を示す。pは0以上4以下の整数を示す。)
【0012】
本発明において、重合率[%]とは、使用した重合反応性化合物のうち重合した重合反応性化合物の割合である。重合速度[%/h]とは、重合率を時間で除した値である。重合時間とは、重合反応性化合物と、重合触媒および/または重合開始剤との組み合わせからなる組成物を混合してから、硬化するまでの時間である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の重合条件設定方法によれば、光学歪みや脈理の発生が抑制され、外観に優れた光学材料が得られる重合温度条件を得ることができる。さらに、得られた重合温度条件を用いた光学材料の製造方法により、光学歪みや脈理の発生が抑制され、外観に優れた光学材料を得ることができる。
またさらに、本発明によれば、重合温度条件を算出するための重合条件設定装置およびコンピュータプログラム、当該重合条件設定装置を備える光学材料製造装置を提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
図1】本実施形態に係る重合条件設定方法のフローである。
図2】本実施形態に係る重合条件設定装置の構成を示すブロック図である。
図3】実施例1における重合条件設定方法により得られた重合時間毎の重合温度条件と、重合時間と、重合率とをプロットしたチャートである。
図4】実施例3における重合条件設定方法により得られた重合時間毎の重合温度条件と、重合時間と、重合率とをプロットしたチャートである。
図5】実施例5における重合条件設定方法により得られた重合時間毎の重合温度条件と、重合時間と、重合率とをプロットしたチャートである。
図6】実施例7における重合条件設定方法により得られた重合時間毎の重合温度条件と、重合時間と、重合率とをプロットしたチャートである。
図7】実施例9における重合条件設定方法により得られた重合時間毎の重合温度条件と、重合時間と、重合率とをプロットしたチャートである。
図8】実施例11における重合条件設定方法により得られた重合時間毎の重合温度条件と、重合時間と、重合率とをプロットしたチャートである。
図9】比較例1における重合条件設定方法により得られた重合時間毎の重合温度条件と、重合時間と、重合率とをプロットしたチャートである。
図10】比較例4における重合条件設定方法により得られた重合時間毎の重合温度条件と、重合時間と、重合率とをプロットしたチャートである。
図11】比較例6における重合条件設定方法により得られた重合時間毎の重合温度条件と、重合時間と、重合率とをプロットしたチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0016】
なお、以下に示す説明において、重合条件設定装置10の記憶部100、物性取得部120、残存官能基率算出部140、反応速度係数算出部160、および重合温度算出部180は、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。重合条件設定装置10の記憶部100、物性取得部120、残存官能基率算出部140、反応速度係数算出部160、および重合温度算出部180は、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされた本図の構成要素を実現するプログラム、そのプログラムを格納するハードディスクなどの記憶メディア、ネットワーク接続用インタフェースを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置には様々な変形例がある。
【0017】
図1は、本実施形態に係る重合条件設定方法のフローである。
本実施形態に係る重合条件設定方法は、重合反応性化合物と、重合触媒および/または重合開始剤と、を含む組成物における、重合温度条件の設定方法である。
【0018】
当該重合条件設定方法は、図1に示すように、物性取得工程S10、残存官能基率算出工程S20、反応速度係数算出工程S30、および重合温度算出工程S40を含む。
物性取得工程S10では、重合反応性化合物と、重合触媒および/または重合開始剤と、を含む組成物を加温し、所定の温度で保温した場合における、該重合反応性化合物の加温前の官能基由来の物性値aおよび所定時間保温した後の残存官能基由来の物性値bを取得する。残存官能基率算出工程S20では、物性値aおよび物性値bから、残存官能基率を算出する。反応速度係数算出工程S30では、前記残存官能基率から、反応速度式に基づいて反応速度係数を算出する。重合温度算出工程S40では、前記反応速度係数および下記条件に基づいて重合温度を算出する。
条件:10%以上80%以下の重合率範囲において、重合速度が0.4%/hr以上15%/hr以下、1時間ごとの重合速度の標準偏差が2.3%/hr以下
【0019】
以下に、本実施形態において用いられる、重合反応性化合物、重合触媒、重合開始剤、これらを含む組成物について説明する。
【0020】
重合反応性化合物としては、例えば、イソシアナト基またはイソチオシアナト基を2個以上を有するポリイソ(チオ)シアネート化合物、エポキシ基またはチオエポキシ基を1個以上有する(チオ)エポキシド化合物、オキセタニル基を1個以上有するオキセタニル化合物、チエタニル基を1個以上有するまたはオキセタニル基とチエタニル基を有するチエタニル化合物、(メタ)アクリレート化合物、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルチオ基、アクリロイルチオ基、メタクリルアミド基、またはアクリルアミド基を1個以上有する(メタ)アクリロイル化合物、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルチオ基、アクリロイルチオ基、メタクリルアミド基、またはアクリルアミド基以外の重合性炭素炭素二重結合基を1個以上有するアルケン化合物、重合性炭素炭素三重結合基を1個以上有するアルキン化合物、二官能以上の活性水素化合物、酸無水基を1個以上有する酸無水物、アリルカーボネート化合物などが挙げられ、これらから選択される1種または2種以上の化合物を用いることができる。
【0021】
ポリイソ(チオ)シアネート化合物としては、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアナトメチルエステル、リジントリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート化合物;
イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、ジシクロヘキシルジメチルメタンイソシアネート、2,5−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタン、2,6−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタン、3,8−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、3,9−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、4,8−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、4,9−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン等の脂環族ポリイソシアネート化合物;
トリレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルスルフィド−4,4−ジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート化合物;
2,5−ジイソシアナトチオフェン、2,5−ビス(イソシアナトメチル)チオフェン、2,5−ジイソシアナトテトラヒドロチオフェン、2,5−ビス(イソシアナトメチル)テトラヒドロチオフェン、3,4−ビス(イソシアナトメチル)テトラヒドロチオフェン、2,5−ジイソシアナト−1,4−ジチアン、2,5−ビス(イソシアナトメチル)−1,4−ジチアン、4,5−ジイソシアナト−1,3−ジチオラン、4,5−ビス(イソシアナトメチル)−1,3−ジチオラン等の複素環ポリイソシアネート化合物;
ヘキサメチレンジイソチオシアネート、リジンジイソチオシアネートメチルエステル、リジントリイソチオシアネート、m−キシリレンジイソチオシアネート、ビス(イソチオシアナトメチル)スルフィド、ビス(イソチオシアナトエチル)スルフィド、ビス(イソチオシアナトエチル)ジスルフィド等の脂肪族ポリイソチオシアネート化合物;
イソホロンジイソチオシアネート、ビス(イソチオシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス(イソチオシアナトシクロヘキシル)メタン、シクロヘキサンジイソチオシアネート、メチルシクロヘキサンジイソチオシアネート、2,5−ビス(イソチオシアナトメチル)ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタン、2,6−ビス(イソチオシアナトメチル)ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタン、3,8−ビス(イソチオシアナトメチル)トリシクロデカン、3,9−ビス(イソチオシアナトメチル)トリシクロデカン、4,8−ビス(イソチオシアナトメチル)トリシクロデカン、4,9−ビス(イソチオシアナトメチル)トリシクロデカン等の脂環族ポリイソチオシアネート化合物;
トリレンジイソチオシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソチオシアネート、ジフェニルジスルフィド−4,4−ジイソチオシアネート等の芳香族ポリイソチオシアネート化合物;
2,5−ジイソチオシアナトチオフェン、2,5−ビス(イソチオシアナトメチル)チオフェン、2,5−イソチオシアナトテトラヒドロチオフェン、2,5−ビス(イソチオシアナトメチル)テトラヒドロチオフェン、3,4−ビス(イソチオシアナトメチル)テトラヒドロチオフェン、2,5−ジイソチオシアナト−1,4−ジチアン、2,5−ビス(イソチオシアナトメチル)−1,4−ジチアン、4,5−ジイソチオシアナト−1,3−ジチオラン、4,5−ビス(イソチオシアナトメチル)−1,3−ジチオラン等の含硫複素環ポリイソチオシアネート化合物等を挙げることができる。
【0022】
(チオ)エポキシ化合物としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等のポリエポキシ化合物;
ビス(2,3−エポキシプロピル)スルフィド、ビス(2,3−エポキシプロピル)ジスルフィド、ビス(2,3−エポキシプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(2,3−エポキシプロピルチオ)エタン、1,2−ビス(2,3−エポキシプロピルチオ)プロパン、1,3−ビス(2,3−エポキシプロピルチオ)プロパン、1,3−ビス(2,3−エポキシプロピルチオ)−2−メチルプロパン、1,4−ビス(2,3−エポキシプロピルチオ)ブタン、1,4−ビス(2,3−エポキシプロピルチオ)−2−メチルブタン、1,3−ビス(2,3−エポキシプロピルチオ)ブタン、1,5−ビス(2,3−エポキシプロピルチオ)ペンタン、1,5−ビス(2,3−エポキシプロピルチオ)−2−メチルペンタン、1,5−ビス(2,3−エポキシプロピルチオ)−3−チアペンタン、1,6−ビス(2,3−エポキシプロピルチオ)ヘキサン、1,6−ビス(2,3−エポキシプロピルチオ)−2−メチルヘキサン、3,8−ビス(2,3−エポキシプロピルチオ)−3,6−ジチアオクタン、1,2,3−トリス(2,3−エポキシプロピルチオ)プロパン、2,2−ビス(2,3−エポキシプロピルチオ)−1,3−ビス(2,3−エポキシプロピルチオメチル)プロパン、2,2−ビス(2,3−エポキシプロピルチオメチル)−1−(2,3−エポキシプロピルチオ)ブタン、1,5−ビス(2,3−エポキシプロピルチオ)−2−(2,3−エポキシプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1,5−ビス(2,3−エポキシプロピルチオ)−2,4−ビス(2,3−エポキシプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1−(2,3−エポキシプロピルチオ)−2,2−ビス(2,3−エポキシプロピルチオメチル)−4−チアヘキサン、1,5,6−トリス(2,3−エポキシプロピルチオ)−4−(2,3−エポキシプロピルチオメチル)−3−チアヘキサン、1,8−ビス(2,3−エポキシプロピルチオ)−4−(2,3−エポキシプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(2,3−エポキシプロピルチオ)−4,5−ビス(2,3−エポキシプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(2,3−エポキシプロピルチオ)−4,4−ビス(2,3−エポキシプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(2,3−エポキシプロピルチオ)−2,5−ビス(2,3−エポキシプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(2,3−エポキシプロピルチオ)−2,4,5−トリス(2,3−エポキシプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,1,1−トリス[[2−(2,3−エポキシプロピルチオ)エチル]チオメチル]−2−(2,3−エポキシプロピルチオ)エタン、1,1,2,2−テトラキス[[2−(2,3−エポキシプロピルチオ)エチル]チオメチル]エタン、1,11−ビス(2,3−エポキシプロピルチオ)−4,8−ビス(2,3−エポキシプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(2,3−エポキシプロピルチオ)−4,7−ビス(2,3−エポキシプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(2,3−エポキシプロピルチオ)−5,7−ビス(2,3−エポキシプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン等の鎖状脂肪族の2,3−エポキシプロピルチオ化合物;
1,3−ビス(2,3−エポキシプロピルチオ)シクロヘキサン、1,4−ビス(2,3−エポキシプロピルチオ)シクロヘキサン、1,3−ビス(2,3−エポキシプロピルチオメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(2,3−エポキシプロピルチオメチル)シクロヘキサン、2,5−ビス(2,3−エポキシプロピルチオメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス[[2−(2,3−エポキシプロピルチオ)エチル]チオメチル]−1,4−ジチアン、2,5−ビス(2,3−エポキシプロピルチオメチル)−2,5−ジメチル−1,4−ジチアン等の環状脂肪族の2,3−エポキシプロピルチオ化合物;
1,2−ビス(2,3−エポキシプロピルチオ)ベンゼン、1,3−ビス(2,3−エポキシプロピルチオ)ベンゼン、1,4−ビス(2,3−エポキシプロピルチオ)ベンゼン、1,2−ビス(2,3−エポキシプロピルチオメチル)ベンゼン、1,3−ビス(2,3−エポキシプロピルチオメチル)ベンゼン、1,4−ビス(2,3−エポキシプロピルチオメチル)ベンゼン、ビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)フェニル]メタン、2,2−ビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)フェニル]プロパン、ビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)フェニル]スルフォン、4,4'−ビス(2,3−エポキシプロピルチオ)ビフェニル等の芳香族の2,3−エポキシプロピルチオ化合物等を挙げることができる。
【0023】
チオエポキシド化合物(エピスルフィド化合物とも言う)としては、例えば、ビス(1,2−エピチオエチル)スルフィド、ビス(1,2−エピチオエチル)ジスルフィド、ビス(エピチオエチルチオ)メタン、ビス(エピチオエチルチオ)ベンゼン、ビス[4−(エピチオエチルチオ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(エピチオエチルチオ)フェニル]メタン等のエピチオエチルチオ化合物;
ビス(2,3−エピチオプロピル)スルフィド、ビス(2,3−エピチオプロピル)ジスルフィド、ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)エタン、1,2−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)プロパン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)プロパン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−2−メチルプロパン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ブタン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−2−メチルブタン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ブタン、1,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ペンタン、1,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−2−メチルペンタン、1,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−3−チアペンタン、1,6−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ヘキサン、1,6−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−2−メチルヘキサン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−3,6−ジチアオクタン、1,2,3−トリス(2,3−エピチオプロピルチオ)プロパン、2,2−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)プロパン、2,2−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−1−(2,3−エピチオプロピルチオ)ブタン、1,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−2−(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−2,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1−(2,3−エピチオプロピルチオ)−2,2−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−4−チアヘキサン、1,5,6−トリス(2,3−エピチオプロピルチオ)−4−(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアヘキサン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−4−(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−4,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−4,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−2,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−2,4,5−トリス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,1,1−トリス[[2−(2,3−エピチオプロピルチオ)エチル]チオメチル]−2−(2,3−エピチオプロピルチオ)エタン、1,1,2,2−テトラキス[[2−(2,3−エピチオプロピルチオ)エチル]チオメチル]エタン、1,11−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−4,8−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−4,7−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−5,7−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン等の鎖状脂肪族の2,3−エピチオプロピルチオ化合物;
1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)シクロヘキサン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)シクロヘキサン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)シクロヘキサン、2,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス[[2−(2,3−エピチオプロピルチオ)エチル]チオメチル]−1,4−ジチアン、2,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−2,5−ジメチル−1,4−ジチアン等の環状脂肪族の2,3−エピチオプロピルチオ化合物;
1,2−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ベンゼン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ベンゼン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ベンゼン、1,2−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)ベンゼン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)ベンゼン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)ベンゼン、ビス[4−(2,3−エピチオプロピルチオ)フェニル]メタン、2,2−ビス[4−(2,3−エピチオプロピルチオ)フェニル]プロパン、ビス[4−(2,3−エピチオプロピルチオ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−エピチオプロピルチオ)フェニル]スルホン、4,4'−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ビフェニル等の芳香族の2,3−エピチオプロピルチオ化合物;
ビス(2,3−エピチオプロピル)エーテル、ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)メタン、1,2−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)エタン、1,2−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)プロパン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)プロパン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−2−メチルプロパン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)ブタン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−2−メチルブタン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)ブタン、1,5−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)ペンタン、1,5−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−2−メチルペンタン、1,5−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−3−チアペンタン、1,6−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)ヘキサン、1,6−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−2−メチルヘキサン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−3,6−ジチアオクタン、1,2,3−トリス(2,3−エピチオプロピルオキシ)プロパン、2,2−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)プロパン、2,2−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)−1−(2,3−エピチオプロピルオキシ)ブタン、1,5−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−2−(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)−3−チアペンタン、1,5−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−2,4−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)−3−チアペンタン、1−(2,3−エピチオプロピルオキシ)−2,2−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)−4−チアヘキサン、1,5,6−トリス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−4−(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)−3−チアヘキサン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−4−(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−4,5−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−4,4−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−2,5−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−2,4,5−トリス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,1,1−トリス[[2−(2,3−エピチオプロピルオキシ)エチル]チオメチル]−2−(2,3−エピチオプロピルオキシ)エタン、1,1,2,2−テトラキス[[2−(2,3−エピチオプロピルオキシ)エチル]チオメチル]エタン、1,11−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−4,8−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−4,7−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−5,7−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン等の鎖状脂肪族の2,3−エピチオプロピルオキシ化合物;
1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)シクロヘキサン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)シクロヘキサン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)シクロヘキサン、2,5−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス[[2−(2,3−エピチオプロピルオキシ)エチル]チオメチル]−1,4−ジチアン、2,5−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)−2,5−ジメチル−1,4−ジチアン等の環状脂肪族の2,3−エピチオプロピルオキシ化合物;および、
1,2−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)ベンゼン、1,2−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)ベンゼン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)ベンゼン、ビス[4−(2,3−エピチオプロピルオキシ)フェニル]メタン、2,2−ビス[4−(2,3−エピチオプロピルオキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(2,3−エピチオプロピルオキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−エピチオプロピルオキシ)フェニル]スルホン、4,4'−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)ビフェニル等の芳香族の2,3−エピチオプロピルオキシ化合物等が挙げられる。
【0024】
エピスルフィド化合物としては、下記一般式(3)で表される化合物を用いることが好ましい。
【0025】
【化4】
【0026】
一般式(3)中、R〜Rは同一または異なっていてもよく、水素原子、C1以上C10以下の直鎖または分岐アルキル基、C6以上C18以下の置換または無置換アリール基を示す。R〜Rは、それぞれ同一または異なっていてもよい。
C1以上C10以下の直鎖または分岐アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
アリール基としては、フェニル、トリル、キシリル、ビフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリルなどの炭素数6以上18以下のアリール基等が挙げられる。
【0027】
置換アリール基の置換基としては、炭素原子数1以上10以下のアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子1以上10以下のアルコキシル基またはアルキルチオ基、アミノ基等が挙げられる。
〜Rは同一または異なっていてもよく、水素原子またはC1以上C10以下の直鎖または分岐アルキル基が好ましく、いずれも水素原子であることが好ましい。
【0028】
mは0以上2以下の整数を示し、好ましくは0または1、さらに好ましくは0である。pは0以上4以下の整数を示す。
【0029】
オキセタニル化合物としては、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、ジ[1−エチル−(3−オキセタニル)]メチルエーテル、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、フェノールノボラックオキセタン等を挙げることができる。
【0030】
チエタニル化合物としては、1−{4−(6−メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアニルチオ}−3−{2−(1,3−ジチエタニル)}メチル−7,9−ビス(メルカプトメチルチオ)−2,4,6,10−テトラチアウンデカン、1,5−ビス{4−(6−メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアニルチオ}−3−{2−(1,3−ジチエタニル)}メチル−2,4−ジチアペンタン、4,6−ビス[3−{2−(1,3−ジチエタニル)}メチル−5−メルカプト−2,4−ジチアペンチルチオ]−1,3−ジチアン、3−{2−(1,3−ジチエタニル)}メチル−7,9−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,11−ジメルカプト−2,4,6,10−テトラチアウンデカン、9−{2−(1,3−ジチエタニル)}メチル−3,5,13,15−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−1,17−ジメルカプト−2,6,8,10,12,16−ヘキサチアヘプタデカン、3−{2−(1,3−ジチエタニル)}メチル−7,9,13,15−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−1,17−ジメルカプト−2,4,6,10,12,16−ヘキサチアヘプタデカン、3,7−ビス{2−(1,3−ジチエタニル)}メチル−1,9−ジメルカプト−2,4,6,8−テトラチアノナン、4,5−ビス[1−{2−(1,3−ジチエタニル)}−3−メルカプト−2−チアプロピルチオ]−1,3−ジチオラン、4−[1−{2−(1,3−ジチエタニル)}−3−メルカプト−2−チアプロピルチオ]−5−{1,2−ビス(メルカプトメチルチオ)−4−メルカプト−3−チアブチルチオ}−1,3−ジチオラン、4−{4−(5−メルカプトメチルチオ−1,3−ジチオラニル)チオ}−5−[1−{2−(1,3−ジチエタニル)}−3−メルカプト−2−チアプロピルチオ]−1,3−ジチオラン等を挙げることができる。
【0031】
(メタ)アクリレート化合物は、以下の式で表すことができる。
【0032】
【化5】
【0033】
は、ヘテロ原子または芳香族基を含んでいてもよい炭素数1〜30の2〜4価の有機基を示す。Rは、水素原子あるいはメチル基を示す。nは2〜4の整数を示す。
また、(メタ)アクリレート化合物(B)は、一般式(2−1)、一般式(2−2)で表される化合物を挙げることができる。
【0034】
【化6】
【0035】
pは1〜100の数値を示し、Rは水素原子またはメチル基を示し、それぞれ同一でなくても良い。pは1〜50の数値が好ましく、1〜20の数値がより好ましく、2〜10の数値がさらに好ましく、2〜4の数値が特に好ましい。
【0036】
一般式(2−1)で表される(メタ)アクリレート化合物は、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジアクリレートから選択される少なくとも一種を挙げることができる。
【0037】
【化7】
【0038】
qは、それぞれ1以上の数値を示し、2つのqの合計は2〜100の数値を示す。Rは、水素原子またはメチル基を示し、それぞれ同一でなくても良い。Xは、置換または無置換の2価の芳香族基、置換または無置換の炭素数1〜20の芳香族基を含んでいても良い2価の脂肪族基を示す。
【0039】
一般式(2−2)で表される(メタ)アクリレート化合物としては、ビスフェノールAジメタクリレート、メチレン−ビス−(4,1−フェニレン)−ビス−(2−メタクリレート)、ビスフェノールAジアクリレート、メチレン−ビス−(4,1−フェニレン)−ビス−(2−アクリレート)、2,2−ビス−(4−メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−アクリロイルオキシフェニル)プロパン、2−(4−メタクリロイルオキシフェニル)-2−(4−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2−(4−アクリロイルオキシフェニル)-2−(4−アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2−(4−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)−2−(4−(メタクリロイルオキシエトキシ)エトキシフェニル)プロパン、2−(4−アクリロイルオキシエトキシフェニル)-2−(4−(アクリロイルオキシエトキシ)エトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−(メタクリロイルオキシエトキシ)エトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−(アクリロイルオキシエトキシ)エトキシフェニル)プロパンから選択される少なくとも一種を挙げることができる。
【0040】
上記以外の(メタ)アクリレート化合物としては、ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサメチレンジメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−メタクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパン、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテルジアクリレート系、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテルジメタアクリレート系、テトラブロモビスフェノールA−ジグリシジルエーテルジアクリルレート系、テトラブロモビスフェノールA−ジグリシジルエーテルジメタアクリレートからなる群から選択された少なくとも一種を挙げることができる。
【0041】
(メタ)アクリレート化合物(B)は、これら例示化合物の中で、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレートから選択された少なくとも一種が好ましく、
ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、およびトリエチレングリコールジアクリレートから選択される少なくとも一種であることがより好ましく、
ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレートから選択された少なくとも一種が特に好ましい。
【0042】
アルケン化合物としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
【0043】
アルキン化合物としては、2−ブチン、2−ペンチン、2−ヘキシン、3−ヘキシン、2−ヘプチン、3−ヘプチン、2−オクチン、3−オクチン、4−オクチン、ジイソプロピルアセチレン、2−ノニン、3−ノニン、4−ノニン、5−ノニン、2−デシン、3−デシン、4−デシン、5−デシン、ジ−tert−ブチルアセチレン、ジフェニルアセチレン、ジベンジルアセチレン、メチル−iso−プロピルアセチレン、メチル−tert−ブチルアセチレン、エチル−iso−プロピルアセチレン、エチル−tert−ブチルアセチレン、n−プロピル−iso−プロピルアセチレン、n−プロピル−tert−ブチルアセチレン、フェニルメチルアセチレン、フェニルエチルアセチレン、フェニル−n−プロピルアセチレン、フェニル−iso−プロピルアセチレン、フェニル−n−ブチルアセチレン、フェニル−tert−ブチルアセチレンなどの炭化水素系アルキン類;
アセチレンジオール、プロピンオール、ブチンオール、ペンチンオール、ヘキシンオール、ヘキシンジオール、ヘプチンオール、ヘプチンジオール、オクチンオール、オクチンジオール等のアルキニルアルコール類、および上記アルキニルアルコール類の一部または全部のOH基がNH2基に置換されたアルキニルアミン類などが挙げられる。
【0044】
二官能以上の活性水素化合物としては、ヒドロキシ基またはメルカプト基を2個以上有するポリ(チ)オール化合物、アミノ基または第二アミノ基を2個以上有するポリアミン化合物、カルボキシル基を2個以上有するポリカルボン酸化合物等を挙げることができる。また、一分子中に、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、第二アミノ基、カルボキシル基等から選ばれる2個以上の活性水素基を有する化合物も挙げることができる。2個以上の活性水素基は同一でも異なっていてもよい。
【0045】
ポリ(チ)オール化合物のうち、ポリオール化合物としては、たとえばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ブタントリオール、1,2−メチルグルコサイド、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ソルビトール、エリスリトール、スレイトール、リビトール、アラビニトール、キシリトール、アリトール、マニトール、ドルシトール、イディトール、グリコール、イノシトール、ヘキサントリオール、トリグリセロース、ジグリペロール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、シクロブタンジオール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘプタンジオール、シクロオクタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ヒドロキシプロピルシクロヘキサノール、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−ジメタノール、ビシクロ[4.3.0]−ノナンジオール、ジシクロヘキサンジオール、トリシクロ[5.3.1.1]ドデカンジオール、ビシクロ[4.3.0]ノナンジメタノール、トリシクロ[5.3.1.1]ドデカンジエタノール、ヒドロキシプロピルトリシクロ[5.3.1.1]ドデカノール、スピロ[3.4]オクタンジオール、ブチルシクロヘキサンジオール、1,1'−ビシクロヘキシリデンジオール、シクロヘキサントリオール、マルチトール、ラクトース等の脂肪族ポリオール;
ジヒドロキシナフタレン、トリヒドロキシナフタレン、テトラヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゼン、ベンゼントリオール、ビフェニルテトラオール、ピロガロール、(ヒドロキシナフチル)ピロガロール、トリヒドロキシフェナントレン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、キシリレングリコール、ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ビスフェノールA−ビス−(2−ヒドロキシエチルエーテル)、テトラブロムビスフェノールA、テトラブロムビスフェノールA−ビス−(2−ヒドロキシエチルエーテル)等の芳香族ポリオール;
ジブロモネオペンチルグリコール等のハロゲン化ポリオール;
エポキシ樹脂等の高分子ポリオールが挙げられる。
本実施形態においては、これらから選択される少なくとも1種を組み合わせて用いることができる。
【0046】
また、ポリオール化合物として他に、シュウ酸、グルタミン酸、アジピン酸、酢酸、プロピオン酸、シクロヘキサンカルボン酸、β−オキソシクロヘキサンプロピオン酸、ダイマー酸、フタル酸、イソフタル酸、サリチル酸、3−ブロモプロピオン酸、2−ブロモグリコール、ジカルボキシシクロヘキサン、ピロメリット酸、ブタンテトラカルボン酸、ブロモフタル酸などの有機酸と上記ポリオールとの縮合反応生成物;
上記ポリオールとエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドなどアルキレンオキサイドとの付加反応生成物;
アルキレンポリアミンとエチレンオキサイドや、プロピレンオキサイドなどアルキレンオキサイドとの付加反応生成物;さらには、ビス−[4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルフィド、ビス−[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]スルフィド、ビス−[4−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)フェニル]スルフィド、ビス−[4−(4−ヒドロキシシクロヘキシロキシ)フェニル]スルフィド、ビス−[2−メチル−4−(ヒドロキシエトキシ)−6−ブチルフェニル]スルフィドおよびこれらの化合物に水酸基当たり平均3分子以下のエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドが付加された化合物;
ジ−(2−ヒドロキシエチル)スルフィド、1,2−ビス−(2−ヒドロキシエチルメルカプト)エタン、ビス(2−ヒドロキシエチル)ジスルフィド、1,4−ジチアン−2,5−ジオール、ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)スルフィド、テトラキス(4−ヒドロキシ−2−チアブチル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン(ビスフェノールS)、テトラブロモビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールS、4,4'−チオビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、1,3−ビス(2−ヒドロキシエチルチオエチル)−シクロヘキサンなどの硫黄原子を含有したポリオール等が挙げられる。本実施形態においては、これらから選択される少なくとも1種を組み合わせて用いることができる。
【0047】
ポリチオール化合物としては、メタンジチオール、1,2−エタンジチオール、1,2,3−プロパントリチオール、1,2−シクロヘキサンジチオール、ビス(2−メルカプトエチル)エーテル、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、ジエチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールエタントリス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ビス(メルカプトメチル)スルフィド、ビス(メルカプトメチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトプロピル)スルフィド、ビス(メルカプトメチルチオ)メタン、ビス(2−メルカプトエチルチオ)メタン、ビス(3−メルカプトプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エタン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)エタン、1,2−ビス(3−メルカプトプロピルチオ)エタン、1,2,3−トリス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(2−メルカプトエチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(3−メルカプトプロピルチオ)プロパン、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン、5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、テトラキス(メルカプトメチルチオメチル)メタン、テトラキス(2−メルカプトエチルチオメチル)メタン、テトラキス(3−メルカプトプロピルチオメチル)メタン、ビス(2,3−ジメルカプトプロピル)スルフィド、2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン、2,5−ジメルカプト−1,4−ジチアン、2,5−ジメルカプトメチル−2,5−ジメチル−1,4−ジチアン、及びこれらのチオグリコール酸およびメルカプトプロピオン酸のエステル、ヒドロキシメチルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピネート)、2−メルカプトエチルエーテルビス(2−メルカプトアセテート)、2−メルカプトエチルエーテルビス(3−メルカプトプロピオネート)、チオジグリコール酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、ジチオジグリコール酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,1,2,2−テトラキス(メルカプトメチルチオ)エタン、4,6−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアン、トリス(メルカプトメチルチオ)メタン、トリス(メルカプトエチルチオ)メタン等の脂肪族ポリチオール化合物;
1,2−ジメルカプトベンゼン、1,3−ジメルカプトベンゼン、1,4−ジメルカプトベンゼン、1,2−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3,5−トリメルカプトベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、2,5−トルエンジチオール、3,4−トルエンジチオール、1,5−ナフタレンジチオール、2,6−ナフタレンジチオール等の芳香族ポリチオール化合物;
2−メチルアミノ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、3,4-チオフェンジチオール、ビスムチオール、4,6−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアン、2−(2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)−1,3−ジチエタン等の複素環ポリチオール化合物等が挙げられる。
【0048】
ポリアミン化合物としては、エチレンジアミン、1,2−、あるいは1,3−ジアミノプロパン、1,2−、1,3−、あるいは1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,10−ジアミノデカン、1,2−、1,3−、あるいは1,4−ジアミノシクロヘキサン、o−、m−あるいはp−ジアミノベンゼン、3,4−あるいは4,4'−ジアミノベンゾフェノン、3,4−あるいは4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3'−、あるいは4,4'−ジアミノジフェニルスルフォン、2,7−ジアミノフルオレン、1,5−、1,8−、あるいは2,3−ジアミノナフタレン、2,3−、2,6−、あるいは3,4−ジアミノピリジン、2,4−、あるいは2,6−ジアミノトルエン、m−、あるいはp−キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、ジアミノメチルビシクロヘプタン、1,3−、あるいは1,4−ジアミノメチルシクロヘキサン、2−、あるいは4−アミノピペリジン、2−、あるいは4−アミノメチルピペリジン、2−、あるいは4−アミノエチルピペリジン、N−アミノエチルモルホリン、N−アミノプロピルモルホリン等の1級ポリアミン化合物;
ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−3−ペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジオクチルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、メチルヘキシルアミン、ジアリルアミン、N−メチルアリルアミン、ピペリジン、ピロリジン、ジフェニルアミン、N−メチルアミン、N−エチルアミン、ジベンジルアミン、N−メチルベンジルアミン、N−エチルベンジルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、ジナフチルアミン、1−メチルピペラジン、モルホリン等の単官能2級アミン化合物;
N,N'−ジメチルエチレンジアミン、N,N'−ジメチル−1,2−ジアミノプロパン、N,N'−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N'−ジメチル−1,2−ジアミノブタン、N,N'−ジメチル−1,3−ジアミノブタン、N,N'−ジメチル−1,4−ジアミノブタン、N,N'−ジメチル−1,5−ジアミノペンタン、N,N'−ジメチル−1,6−ジアミノヘキサン、N,N'−ジメチル−1,7−ジアミノヘプタン、N,N'−ジエチルエチレンジアミン、N,N'−ジエチル−1,2−ジアミノプロパン、N,N'−ジエチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N'−ジエチル−1,2−ジアミノブタン、N,N'−ジエチル−1,3−ジアミノブタン、N,N'−ジエチル−1,4−ジアミノブタン、N,N'−ジエチル−1,5−ジアミノペンタン、N,N'−ジエチル−1,6−ジアミノヘキサン、N,N'−ジエチル−1,7−ジアミノヘプタン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、2,6−ジメチルピペラジン、ホモピペラジン、1,1−ジ−(4−ピペリジル)メタン、1,2−ジ−(4−ピペリジル)エタン、1,3−ジ−(4−ピペリジル)プロパン、1,4−ジ−(4−ピペリジル)ブタン、テトラメチルグアニジン等の2級ポリアミン化合物;等が挙げられる。
【0049】
ポリカルボン酸化合物としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、ダイマー酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ε−カプロラクトン等が挙げられる。
【0050】
2個以上の異なる活性水素基を有する化合物としては、1以上のメルカプト基と1以上の水酸基を有するヒドロキシチオール化合物等を挙げることができる。
ヒドロキシチオール化合物としては、たとえば、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、グルセリンジ(メルカプトアセテート)、1−ヒドロキシ−4−メルカプトシクロヘキサン、2,4−ジメルカプトフェノール、2−メルカプトハイドロキノン、4−メルカプトフェノール、3,4−ジメルカプト−2−プロパノール、1,3−ジメルカプト−2−プロパノール、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、1,2−ジメルカプト−1,3−ブタンジオール、ペンタエリスリトールトリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールモノ(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールペンタキス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチル−トリス(メルカプトエチルチオメチル)メタン、1−ヒドロキシエチルチオ−3−メルカプトエチルチオベンゼン、4−ヒドロキシ−4'−メルカプトジフェニルスルホン、2−(2−メルカプトエチルチオ)エタノール、ジヒドロキシエチルスルフィドモノ(3−メルカプトプロピオネート)、ジメルカプトエタンモノ(サルチレート)、ヒドロキシエチルチオメチル−トリス(メルカプトエチルチオ)メタン等が挙げられる。
【0051】
酸無水物としては、無水コハク酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸またはドデシル無水コハク酸等が挙げられる。
【0052】
アリルカーボネート化合物は、以下の式で表すことができる。
【0053】
【化8】
【0054】
は、ヘテロ原子を含んでいてもよい鎖状または分岐したC3〜C35の脂肪族ポリオール由来の2〜20価の基またはヘテロ原子を含んでいてもよいC5〜C40の環状脂肪族ポリオール由来の2〜20価の基を示す。mは、2〜10の整数を示す。なお、Rはアリルオキシカルボニル基を含まない。
【0055】
アリルカーボネート化合物は、そのオリゴマーを含むことができる。オリゴマーはたとえば、ジアリルカーボネートとポリオールのエステル交換反応により生成する、カーボネート結合を介して2分子以上のポリオールが連結したポリ(アリルカーボネート)である。このアリルカーボネート化合物は、3〜35個の炭素原子を有する鎖状または分岐鎖状の脂肪族ポリオールのポリ(アリルカーボネート)である。分子中に5〜40個の炭素原子を有する環状脂肪族ポリオールのポリ(アリルカーボネート)もこの目的に好適である。これらのポリオールは、通常は分子中に2〜6個、好ましくは2〜4個の水酸基を有することができる。混合ポリ(アリルカーボネート)、すなわち2種類以上のポリオールに由来し、単一のポリオールのポリ(アリルカーボネート)の混合によって得ることができるもの、またはポリオールの混合物とジアリルカーボネートから出発して化学反応によって直接得ることができるものを使用することも可能である。最後に、これら総てのポリ(アリルカーボネート)は、モノマーまたはモノマーとオリゴマーとの混合物の形態であることができる。
【0056】
一般式(1)のRを構成するポリオールは、具体例としては、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、4,8−ビス(ヒドロキシメチル)−[5.2.1.02,6]トリシクロデカン、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトール、ジグリセロール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等を挙げることができる。
【0057】
したがって、アリルカーボネート化合物の例は、例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−ジメチロールシクロヘキサンおよび4,8−ビス(ヒドロキシメチル)−[5.2.1.02,6]トリシクロデカンから選択される少なくとも1種のジオールのビス(アリルカーボネート)化合物、グリセロール、トリメチロールプロパンおよびトリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートから選択される少なくとも1種のトリオールのトリス(アリルカーボネート)化合物、ペンタエリスリトール、ジグリセロールおよびジトリメチロールプロパンから選択される少なくとも1種のテトラオールのテトラ(アリルカーボネート)化合物、ジペンタエリスリトールのヘキサ(アリルカーボネート)化合物、および前記ジオール、前記トリオール、前記テトラオールおよび前記ジペンタエリスリトールから選択される少なくとも2種類の化合物の混合ポリ(アリルカーボネート)化合物、から選択される少なくとも1種を含む。
【0058】
なお、「少なくとも2種類のジオールの混合物のビス(アリルカーボネート)」とは、例えば、ジオールがジエチレングリコールとネオペンチルグリコールの場合、以下のモノマー成分とオリゴマー成分の混合物として得られる。
モノマー成分
(1)ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)
(2)ネオペンチルグリコールビス(アリルカーボネート)
オリゴマー成分
(3)ジエチレングリコール由来の炭化水素(およびエーテル)のみを含むオリゴマー
(4)ネオペンチルグリコール由来の炭化水素のみを含むオリゴマー
(5)ジエチレングリコール由来の炭化水素(およびエーテル)とネオペンチルグリコール由来の炭化水素の両方を含む複合的なオリゴマー
【0059】
下記のものは、本発明の目的に好適なアリルカーボネート重合性化合物の好ましい例である。
(i) ジエチレングリコールのビス(アリルカーボネート)化合物およびそのオリゴマーとの混合物
ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)は、式(1−1)で定義することができる。
【0060】
【化9】
【0061】
また、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)のオリゴマーは、式(1−2)で定義することができる。
【0062】
【化10】
【0063】
式中、rは2以上である。
化合物(1−1)は、例えば「化学技術の百科辞典」、Kirk-Othmer 、III 版、第2巻、111〜112頁に記載のように、ジエチレングリコールビス(クロロホルメート)をアリルアルコールと反応させることによって製造することができる。ジエチレングリコービス(アリルカーボネート)(式(1−1))とそのオリゴマー(式(1−2))の混合物は、例えば、欧州特許第35,304号明細書に記載されているように、塩基性触媒の存在下にて操作して、ジアリルカーボネートとジエチレングリコールとのエステル交換によって簡便に製造することができる。これらの混合物は通常はオリゴマー約80重量%までを含む。
【0064】
(ii) ジエチレングリコールとネオペンチルグリコールの混合物のビス(アリルカーボネート)化合物およびそのオリゴマーとの混合物
このビス(アリルカーボネート)化合物は、ジエチレングリコールをジエチレングリコールとネオペンチルグリコールとの混合物で置換したこと以外は、前記の(i) のビス(アリルカーボネート)と同様である。
【0065】
(iii) ジエチレングリコールとトリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートの混合物のポリ(アリルカーボネート)化合物およびそのオリゴマーとの混合物
このポリ(アリルカーボネート)化合物は、例えば、米国特許第4,812,545号に記載されているように、ジエチレングリコールとトリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートとの混合物のジアリルカーボネートのエステル交換によって得ることができる。
【0066】
(iv) ジエチレングリコールとトリメチロールプロパンの混合物のポリ(アリルカーボネート)化合物およびそのオリゴマーとの混合物
このポリ(アリルカーボネート)化合物は、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートをトリメチロールプロパンで置換したこと以外は、前記の(iii) のポリ(アリルカーボネート)と同様である。
【0067】
(v) ジエチレングリコールとペンタエリスリトールの混合物のポリ(アリルカーボネート)化合物およびそのオリゴマーとの混合物
このポリ(アリルカーボネート)化合物は、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートをペンタエリスリトールで置換したこと以外は、前記の(iii) のポリ(アリルカーボネート)化合物と同様である。
【0068】
(vi) ジエチレングリコールとネオペンチルグリコールとペンタエリスリトールの混合物のポリ(アリルカーボネート)化合物およびそのオリゴマーとの混合物
このポリ(アリルカーボネート)化合物は、ジエチレングリコールをジエチレングリコールとネオペンチルグリコールの2種のジオールで置換したこと以外は、前記の(v) のポリ(アリルカーボネート)化合物と同様である。
【0069】
(vii) ジエチレングリコールとネオペンチルグリコールとペンタエリスリトールの混合物のポリ(アリルカーボネート)化合物およびそのオリゴマーの混合物と、
ジエチレングリコールのビス(アリルカーボネート)化合物およびそのオリゴマーとの混合物と、を含むポリ(アリルカーボネート)混合物
【0070】
本実施形態における光学材料を構成する硬化樹脂について、さらに詳細に説明する。硬化樹脂は、重合反応性化合物と、重合触媒および/または重合開始剤と、を含む組成物を加熱重合することで得られ、注型作業が容易な液状の組成物から得られる硬化樹脂が好ましく、それらの硬化樹脂の中でも以下の(a1)〜(a29)に記載の硬化樹脂が好ましい。
(a1)ポリイソ(チオ)シアネート化合物とポリ(チ)オール化合物が重合したポリ(チオ)ウレタン樹脂
本願においてポリ(チオ)ウレタン樹脂とは、ポリウレタン樹脂、ポリチオウレタン樹脂およびポリジチオウレタン樹脂を意味する。
(a2)ポリイソシアネート化合物またはポリイソチオシアネート化合物と、ポリアミン化合物が重合したポリ(チオ)ウレア樹脂
本願においてポリ(チオ)ウレア樹脂とは、ポリウレア樹脂およびポリチオウレア樹脂を意味する。
(a3)ポリイソシアネート化合物またはポリイソチオシアネート化合物と、ポリアミン化合物およびポリチオール化合物が重合したポリチオウレタン−ポリウレア樹脂またはポリジチオウレタン−ポリウレア樹脂
(a4)ポリイソシアネート化合物またはポリイソチオシアネート化合物と、ポリオール化合物およびポリチオール化合物が重合したポリチオウレタン−ポリウレタン樹脂またはポリジチオウレタン−ポリウレタン樹脂
(a5)(チオ)エポキシド化合物が重合したポリ(チオ)エポキシド樹脂
(a6)(チオ)エポキシド化合物とポリ(チ)オール化合物が重合したポリ(チオ)エポキシド−ポリ(チ)オール樹脂
(a7)(チオ)エポキシド化合物とポリアミン化合物が重合したポリ(チオ)エポキシド−ポリアミン樹脂
(a8)(チオ)エポキシド化合物と酸無水物が重合したポリ(チオ)エポキシド−酸無水物樹脂
(a9)(メタ)アクリロイル化合物が重合したポリ(メタ)アクリロイル樹脂
(a10)(メタ)アクリロイル化合物とポリ(チ)オール化合物が重合したポリ(メタ)アクロイル−ポリ(チ)オール樹脂
(a11)(メタ)アクリロイル化合物とアルケン化合物が重合したポリ(メタ)アクリロイル−ポリアルケン樹脂
(a12)(メタ)アクリロイル化合物とアルキン化合物が重合したポリ(メタ)アクリロイル−ポリアルキン樹脂
(a13)(メタ)アクリロイル化合物とポリアミン化合物が重合したポリ(メタ)アクロイル−ポリアミン樹脂
(a14)(メタ)アクリレート化合物が重合したポリ(メタ)アクリレート樹脂
(a15)アリルカーボネート化合物が重合したポリアリルカーボネート樹脂
(a16)(メタ)アクリレート化合物とアリルカーボネート化合物が重合したポリ(メタ)アクリレート−アリルカーボネート樹脂
(a17)アルケン化合物が重合したポリアルケン樹脂
(a18)アルケン化合物とポリ(チ)オール化合物が重合したポリアルケン−ポリ(チ)オール樹脂
(a19)アルケン化合物とポリアミン化合物が重合したポリアルケン−ポリアミン樹脂
(a20)アルキン化合物が重合したポリアルキン樹脂
(a21)アルキン化合物とポリ(チ)オール化合物が重合したポリアルキン−ポリ(チ)オール樹脂
(a22)アルキン化合物とポリアミン化合物が重合したポリアルキン−ポリアミン樹脂
(a23)アルキン化合物とアルケン化合物が重合したポリアルキン−ポリアルケン樹脂
(a24)オキセタニル化合物が重合したポリオキセタニル樹脂
(a25)オキセタニル化合物とポリ(チ)オール化合物が重合したポリオキセタニル−ポリ(チ)オール樹脂
(a26)オキセタニル化合物とポリアミン化合物が重合したポリオキセタニル−ポリアミン樹脂
(a27)オキセタニル化合物と酸無水物が重合したポリオキセタニル−酸無水物樹脂
(a28)チエタニル化合物とポリ(チ)オール化合物が重合したポリチエタニル−ポリ(チ)オール樹脂
(a29)チエタニル化合物とポリアミン化合物が重合したポリチエタニル−ポリアミン樹脂
(a30)チエタニル化合物と酸無水物が重合したポリチエタニル−酸無水物樹脂
(a31)(a1)〜(a30)から選ばれた2種以上が共重合した混合樹脂
【0071】
上記(a1)〜(a31)に硬化樹脂の中でも、より好ましい硬化樹脂を挙げるならば、(a1)〜(a4)、(a6)および(a14)〜(a16)に記載の樹脂及びそれらの混合樹脂(共重合体および樹脂の混合物)が挙げられる。
【0072】
[添加剤等の他成分]
本実施形態に用いられる重合性組成物には、上記重合反応性化合物およびポリエーテル変性化合物、エステル化合物、またはエーテル化合物等の上記改質剤以外の成分が含まれていてもよい。
例えば、単官能のイソ(チオ)シアネート化合物、単官能の(チオ)エポキシ化合物、単官能のオキセタニル化合物、単官能のチエタニル化合物、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルチオ基、アクリロイルチオ基、メタクリルアミド基、またはアクリルアミド基から任意に選ばれた官能基を1個有する単官能の(メタ)アクリロイル化合物、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルチオ基、アクリロイルチオ基、メタクリルアミド基、またはアクリルアミド基以外の重合性炭素炭素2重結合を1個有する単官能のアルケン化合物、溶剤として使用されたアルコール以外の単官能のアルコール化合物、単官能のチオール化合物、アミノ基、第二アミノ基から任意に選ばれた1個の官能基有する単官能のアミン化合物、カルボキシル基を1個有する単官能のカルボン酸化合物、溶剤、および水分などが挙げられる。
【0073】
本実施形態における組成物を注型重合して成形体を製造する過程において、熱により硬化させる場合には重合触媒または熱重合開始剤が添加され、紫外線等の赤外線(熱)以外の放射線により硬化させる場合には光重合開始剤が添加される。
【0074】
重合触媒としては、ルイス酸、アミン化合物、3級アミン化合物およびその無機酸塩または有機酸塩、金属化合物、4級アンモニウム塩、または有機スルホン酸等を挙げることができる。
【0075】
上記重合触媒の使用量は、重合性組成物に対して、好ましくは5ppm〜15重量%の範囲、より好ましくは10ppm〜10重量%の範囲、さらに好ましくは50ppm〜3重量%の範囲である。
重合触媒として用いられる金属化合物としては、ジメチル錫クロライド、ジブチル錫クロライド、ジブチル錫ラウレート等を挙げることができる。
用いられる熱重合開始剤としては、例えば、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド化合物;
イソブチリルパーオキサイド、o−クロロベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド化合物;
トリス(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、t−ヌチルクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド化合物;
1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,1−ジ(t−アミルパーオキシ)シクロヘキサン等のパーオキシケタール化合物;
α−クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、2,4,4−トリメチルペンニルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシネオデカノエート等のアルキルパ−オキシエステル化合物;
ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジエチレングリコールビス(t−ブチルパーオキシカーボネート)等のパーオキシカーボネート化合物等が挙げられる。
【0076】
用いられる光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤、および光アニオン重合開始剤等が挙げられるが、これら光重合開始剤の中でも、光ラジカル重合開始剤が好ましい。
【0077】
上記光ラジカル重合開始剤としては、例えば、イルガキュアー127(BASF社製)、イルガキュアー651(BASF社製)、イルガキュアー184(BASF社製)、ダロキュアー1173(BASF社製)、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イルガキュアー500(BASF社製)、イルガキュアー2959(BASF社製)、イルガキュアー907(BASF社製)、イルガキュアー369(BASF社製)、イルガキュアー1300(BASF社製)、イルガキュアー819(BASF社製)、イルガキュアー1800(BASF社製)、ダロキュアーTPO(BASF社製)、ダロキュアー4265(BASF社製)、イルガキュアーOXE01(BASF社製)、イルガキュアーOXE02(BASF社製)、エサキュアーKT55(ランベルティー社製)、エサキュアーONE(ランベルティー社製)、エサキュアーKIP150(ランベルティー社製)、エサキュアーKIP100F(ランベルティー社製)、エサキュアーKT37(ランベルティー社製)、エサキュアーKTO46(ランベルティー社製)、エサキュアー1001M(ランベルティー社製)、エサキュアーKIP/EM(ランベルティー社製)、エサキュアーDP250(ランベルティー社製)、エサキュアーKB1(ランベルティー社製)、2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げられる。
【0078】
これら光ラジカル重合開始剤の中でも、イルガキュアー127(BASF社製)、イルガキュアー184(BASF社製)、ダロキュアー1173(BASF社製)、イルガキュアー500(BASF社製)、イルガキュアー819(BASF社製)、ダロキュアーTPO(BASF社製)、エサキュアーONE(ランベルティー社製)、エサキュアーKIP100F(ランベルティー社製)、エサキュアーKT37(ランベルティー社製)およびエサキュアーKTO46(ランベルティー社製)などが好ましい。
【0079】
上記光カチオン重合開始剤としては、例えば、イルガキュアー250(BASF社製)、イルガキュアー784(BASF社製)、エサキュアー1064(ランベルティー社製)、CYRAURE UVI6990(ユニオンカーバイト日本社製)、アデカオプトマーSP−172(ADEKA社製)、アデカオプトマーSP−170(ADEKA社製)、アデカオプトマーSP−152(ADEKA社製)、アデカオプトマーSP−150(ADEKA社製)等が挙げられる。
【0080】
上記光重合開始剤を使用する場合には、光重合促進剤を併用してもよい。光重合促進剤としては、例えば、2,2−ビス(2−クロロフェニル)−4,5'−テトラフェニル−2'H−<1,2'>ビイミダゾルイル、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)メタン、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−エチルアントラキノン、カンファーキノン等が挙げられる。
【0081】
上記光重合開始剤および熱重合開始剤の使用量は、重合性組成物中に、好ましくは0.1〜20重量%の範囲、より好ましくは0.5〜10重量%の範囲、さらに好ましくは1〜5重量%の範囲である。
【0082】
本実施形態における組成物は、本発明の効果の観点から以下の構成であることが好ましい。
組成物(1):重合反応性化合物としてポリイソシアネート化合物および活性水素化合物と、前記重合触媒と、を含む組成物。
組成物(2):重合反応性化合物としてアリルカーボネート化合物、(メタ)アクリレート化合物またはエピスルフィド化合物から選択される少なくとも1種の化合物と、前記重合開始剤または前記重合触媒と、を含む組成物。
【0083】
組成物(1)において、ポリイソシアネート化合物は、脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、複素環ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートから選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、活性水素化合物は、2以上のメルカプト基を有するポリチオール化合物、1以上のメルカプト基と1以上の水酸基を有するヒドロキシチオール化合物、2以上の水酸基を有するポリオール化合物、およびアミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0084】
組成物(2)において、前記アリルカーボネート化合物が、上記一般式(1)で表されることが好ましく、前記(メタ)アクリレート化合物が上記一般式(2)で表されることが好ましく、前記エピスルフィド化合物が、上記一般式(3)で表されることが好ましい。
【0085】
また、本実施形態における組成物を注型重合して成形体を製造する過程においては、必要に応じて、内部離型剤を添加してもよい。
内部離型剤としては、酸性リン酸エステルを用いることができる。酸性リン酸エステルとしては、リン酸モノエステル、リン酸ジエステルを挙げることができ、それぞれ単独または2種類以上混合して使用することできる。
内部離型剤として用いる酸性リン酸エステルは、一般式(a)で表すことができる。
【0086】
【化11】
【0087】
一般式(a)中、xは1または2の整数を示し、yは0〜18の整数を示し、R27は炭素数1〜20のアルキル基を示し、R28、R29はそれぞれ独立に水素原子または、メチル基、エチル基を示す。[ ]x内の炭素数は4から20であることが好ましい。複数存在するR27同士、複数存在するR28同士、または複数存在するR29同士は、同一でも異なっていてもよい。
【0088】
一般式(a)中のR27としては、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、へプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、テトラデカン、へキサデカン等の直鎖の脂肪族化合物から誘導される有機残基、2−メチルプロパン、2−メチルブタン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、3−エチルペンタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、3−エチルヘキサン、2−メチルへプタン、3−メチルへプタン、4−メチルへプタン、3−エチルへプタン、4−エチルへプタン、4−プロピルへプタン、2−メチルオクタン、3−メチルオクタン、4−メチルオクタン、3−エチルオクタン、4−エチルオクタン、4−プロピルオクタン等の分岐鎖の脂肪族化合物から誘導される有機残基、シクロペンタン、シクロへキサン、1,2−ジメチルシクロヘキサン、1,3−ジメチルシクロヘキサン、1,4−ジメチルシクロヘキサン等の脂環族化合物から誘導される有機残基等を挙げることができ、これらから選択される少なくとも一種を用いることができる。なお、これら例示化合物のみに限定されるものではない。酸性リン酸エステルは、少なくとも一種または二種以上の混合物を用いることができる。
上記一般式(a)において、yは0または1が好ましい。
yが0の場合、R27は、炭素数4〜12の直鎖または分岐鎖アルキル基が好ましく、炭素数4〜12の直鎖アルキル基がさらに好ましい。
yが1の場合、R27は、炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖アルキル基が好ましく、炭素数3〜12の直鎖または分岐鎖アルキル基が好ましい。
酸性リン酸エステルは、これらから選択される一種または二種以上の混合物として用いることができる。
【0089】
酸性リン酸エステルとしては、ZelecUN(STEPAN社製)、MR用内部離型剤(三井化学社製)、城北化学工業社製のJPシリーズ、東邦化学工業社製のフォスファノールシリーズ、大八化学工業社製のAP、DPシリーズ等を用いることができ、ZelecUN(STEPAN社製)、MR用内部離型剤(三井化学社製)がより好ましい。
【0090】
本実施形態における硬化樹脂からなる成形体が長期間外部に曝されても変質しないようにするために、本実施形態における組成物に、さらに紫外線吸収剤およびヒンダードアミン系光安定剤を添加し、耐候性を付与した組成とすることが望ましい。
【0091】
上記紫外線吸収剤は特に限定はされず、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、プロパンジオック酸エステル系紫外線吸収剤、オキサニリド系紫外線吸収剤等の種々の紫外線吸収剤を用いることができる。
【0092】
具体的には、例えば、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイビジルメチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−tert−ブチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(3−オン−4−オキサ−ドデシル)−6−tert−ブチル−フェノール、2−{5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル}−4−(3−オン−4−オキサ−ドデシル)−6−tert−ブチル−フェノール、2−{5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル}−4−メチル−6−tert−ブチル−フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール、2−{5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル}−4,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−tert−オクチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−n−ドデシルフェノール、3−[3−tert−ブチル−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸オクチル、3−[3−tert−ブチル−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸2−エチルヘキシル、メチル−3−{3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル}プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物、商品名Viosorb583(共同薬品株式会社製)、商品名チヌビン326(BASF社製)、商品名チヌビン384−2(BASF社製)、商品名チヌビンPS(BASF社製)、商品名Seesorb706(シプロ化成株式会社製)、商品名EVERSORB109(EVER LIGHT社製)等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2−(4−フェノキシ−2−ヒドロキシ−フェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オキサ−ヘキサデシロキシ)−4,6−ジ(2,4−ジメチル−フェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オキサ−ヘプタデシロキシ)−4,6−ジ(2,4−ジメチル−フェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−iso−オクチロキシ−フェニル)−4,6−ジ(2,4−ジメチル−フェニル)−1,3,5−トリアジン、商品名チヌビン400(BASF社製)、商品名チヌビン405(BASF社製)、商品名チヌビン460(BASF社製)、商品名チヌビン479(BASF社製)等のトリアジン系紫外線吸収剤;2−ヒドロキシ−4−n−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系紫外線吸収剤;プロパンジオック酸−{(4−メトキシフェニル)−メチレン}−ジメチルエステル、商品名ホスタビンPR−25(クラリアント・ジャパン株式会社製)、商品名ホスタビンB−CAP(クラリアント・ジャパン株式会社製)等のプロパンジオック酸エステル系紫外線吸収剤;2−エチル−2'−エトキシ−オキサニリド、商品名Sanduvor VSU(クラリアント・ジャパン株式会社製)等のオキサニリド系紫外線吸収剤等が挙げられる。これら紫外線吸収剤の中でもベンゾトリアゾール系およびトリアジン系紫外線吸収剤が好ましい傾向にある。
【0093】
さらに、調光性を付与する目的で、調光染料または調光色素を添加しても良い。代表的な調光染料または調光色素としては、例えば、スピロピラン系化合物、スピロオキサジン系化合物、フルギド系化合物、ナフトピラン系化合物、ビスイミダゾール化合物から所望の着色に応じて、1種または2種以上を用いることができる。
【0094】
本実施形態における組成物には、さらに必要に応じて、重合促進剤、触媒、赤外線吸収剤、ラジカル捕捉剤、酸化防止剤、重合禁止剤、調光ではない色素および染料、バインダー、分散剤、消泡剤、ナノメートルサイズの有機または無機粒子等のさまざまな添加剤を加えても良い。
【0095】
本実施形態における組成物を加熱重合して得られる硬化樹脂およびその樹脂からなる成形体は重合反応性化合物および必要に応じて上記の様々な添加剤等が添加されて製造される。また、本実施形態における組成物に、本願に記載されていない重合反応性化合物および添加剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で添加されてもよい。
【0096】
本実施形態に係る重合条件設定方法および重合条件設定装置10を以下に説明する。
図2は、本実施形態に係る重合条件設定装置10の構成を示すブロック図である。本実施形態に係る設定装置10は、上述の組成物における重合条件を算出する設定装置である。
設定装置10は、物性取得部120、残存官能基率算出部140、反応速度係数算出部160、および重合温度算出部180を備える。
【0097】
重合条件設定装置10は、記憶部100をさらに備える。記憶部は、測定結果、算出結果やプログラムを記録することができるコンピューターで読み取り可能な媒体である。例えば、半導体メモリ、ICカード、光ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク、磁気テープ、デジタルビデオディスクなどを含む。記憶部に記録されたプログラムは、本実施形態の重合条件設定方法をコンピュータに実現させることができる。
【0098】
物性取得部120は、重合反応性化合物と、重合触媒および/または重合開始剤と、を含む組成物を加温し、所定の温度で保温した場合における、該重合反応性化合物の加温前の官能基由来の物性値aおよび所定時間保温した後の残存官能基由来の物性値bを取得する。残存官能基率算出部140は、前記物性値aおよび前記物性値bから、残存官能基率を算出する。反応速度係数算出部160は、前記残存官能基率から、反応速度式に基づいて反応速度係数を算出する。重合温度算出部180は、前記反応速度係数および下記条件に基づいて重合温度を算出する。
条件:重合率が10%以上80%以下の範囲において、重合速度が0.4%/hr以上15%/hr以下、標準偏差が2.3%/hr以下
以下に詳しく説明する。
【0099】
物性取得部120は、組成物を加温し、所定の温度で保温した場合における、重合反応性化合物の加温前の官能基由来の物性値a、および所定の温度で所定時間保温した後の残存官能基由来の物性値bをたとえば記憶部100から取得する(物性取得工程S10)。
重合反応性化合物を加温する温度は、当該重合反応性化合物が重合する温度によって異なるが、例えば5℃以上140℃以下の範囲から1以上選択することができる。保温時間は、保温温度によって異なり、重合が完結しなければ特に限定されない。
【0100】
記憶部100には、上記した重合反応性化合物と、重合触媒および/または重合開始剤との組み合わせからなる組成物において、重合反応性化合物の加温前の官能基由来の物性値a、および所定の温度で所定時間保温した後の残存官能基由来の物性値bが記憶されている。物性値bは、保温温度(加温後の温度)と関連付けて記憶されており、複数の保温温度毎に、少なくとも1つの経過時間に対して存在する。物性値aおよびbは、図示しない入力部から、記憶部100に直接入力される。
記憶されている物性値は、発熱量、比重、重量平均分子量、数平均分子量、IR測定におけるスペクトル強度、H−NMRスペクトル強度、または13C−NMRスペクトル強度である。
【0101】
物性取得部120は、たとえば記憶部100に記憶された物性値aおよび物性値bを読み出して取得できる。なお、熱分析装置、比重測定装置、GPC測定装置、IR測定機器、NMR装置等の測定機器で得られた物性値aおよびbは、図示しない入力部から、物性取得部120に直接入力することもできる。
【0102】
本実施形態で用いることができる熱分析装置としては具体的には、例えば示差走査熱量計、熱量計、微少熱量計、示差熱測定装置、示差熱−熱重量同時測定装置、熱重量分析装置、熱機械測定装置、動的熱機械測定装置などをあげることができる。
【0103】
次いで、残存官能基率算出部140は、物性取得部120から物性値aおよび物性値bを取得し、これらの物性値に基づき残存官能基率を算出する(残存官能基率算出工程S20)。
【0104】
残存官能基率算出部140が、例えば熱分析により測定された熱量により残存官能基率を演算する場合を下記に説明する。
残存官能基率は、以下の式1で表すことができる。
【0105】
式1: 残存官能基率=Xt/X
(J/g):調合直後(重合前)の調合液のDSC熱分析による測定熱量
Xt(J/g):特定の温度でt時間保温した後の調合液の熱量
本実施形態において、Xは物性値aに相当し、Xtは物性値bに相当する。
【0106】
例えば比重により残存官能基率を演算する場合、残存官能基率は式2で表すことができる。
式2:残存官能基率=[1−[(特定の温度でt時間保温した後に測定した比重−調合直後(加温前)の調合液比重)/Δd]]
Δd(残存官能基1%減少毎の比重増加量)=[(硬化した樹脂比重−調合直後液比重)/100
本実施形態において、調合直後(加温前)の調合液比重は物性値aに相当し、特定の温度でt時間保温した後に測定した比重は物性値bに相当する。
【0107】
また、IR測定機器により、重合反応性化合物として(チオ)ウレタン樹脂を用いる場合、NCO基とCH基のスペクトル強度の比率の経時変化を定量することで、残存官能基率を算出することができる。
【0108】
反応速度係数算出部160は、残存官能基率算出部140から残存官能基率を取得し、当該残存官能基率から、反応速度式に基づいて反応速度論的解析を行い、反応速度係数を算出する(反応速度係数算出工程S30)。
【0109】
反応速度係数算出部160は記憶部100に予め保存されている反応速度式を読み出すことができる。
反応速度式としては、例えばn次反応速度式(nは0以上)、Prout-Tompkinsの速度式、Bawnの速度式、Leeson-Mattocksの速度式などがあげられる。反応速度係数算出部160は、重合性組成物や反応の次数に基づき、最適な式を選択することができる。
【0110】
反応速度係数算出部160は、記憶部100から読み出した反応速度式に基づき、残存官能基率算出部140から取得した残存官能基率に基づき反応速度係数を算出する。以下、下記式3で表されるn次反応速度式を用いた場合を説明する。
【0111】
式3:kt=f(残存官能基率)
k:n次反応速度係数(nは0以上の実数)
t:保温時間
f(残存官能基率)は残存官能基率の関数でnの値により決まる。
【0112】
反応速度係数算出部160は、保温時間tを横軸とし、試料中の目的物質(重合性化合物)の残存官能基率を代入したf(残存官能基率)を縦軸としたグラフにおいて、保温時間毎の残存官能基率をプロットする。反応速度係数算出部160は、当該グラフから、回帰直線を取得し、この回帰直線の傾きを反応速度係数kとして取得する。
【0113】
試料中に含まれる重合性化合物の変化の反応速度係数と、試料の温度との相関関係を求めるには、例えば、保温中の試料の温度を絶対温度Tに換算してその逆数を横軸にとり、該温度における反応速度係数kの自然対数を縦軸にとって各点をプロットし、傾きが(−Ea/R)の回帰直線が得られる。なお、このプロットはアレニウスプロットと呼ばれる。
具体的には、反応速度係数算出部160は、縦軸をLn(k)、横軸を絶対温度の逆数としたグラフにおいて、得られた反応速度係数をもとにLn(k)を求め、当該表にプロットしてアレニウスプロットを作成する。アレニウスプロットにより回帰直線と下記式4の回帰直線式を得る。
式4:y=ax+b(回帰直線)
【0114】
そして、残存官能基率を予測するには、例えば、上記のようにして求めた回帰直線に所望する絶対温度Tの逆数を代入して、その絶対温度Tにおける反応速度係数kを算出し、この反応速度係数を上記のようにして求めた式3で示される反応速度式に代入することにより、絶対温度Tに試料をt時間置いた場合の残存官能基率を算出する。
【0115】
具体的には、反応速度係数算出部160は、式4の回帰直線において、y、a、x、bを以下で置換することにより下記式5を得る。
y=Ln(k)
a=(−Ea/R)
x=(1/T)
b=Ln(頻度因子)
Ea:活性化エネルギー(J・mol−1−1
R:気体係数(8.3145J・mol−1
T:絶対温度
A:頻度因子
【0116】
式5:Ln(k)=(−Ea/R)×(1/T)+Ln(A)
反応速度係数算出部160は、さらに下記式6を得て、上記式5および式6を用いることにより、重合温度として用いる温度における反応速度係数を算出する。
式6:k=EXP(y)
【0117】
反応速度係数算出部160は、下記式7から重合率も算出することができる。
式7:重合率(%)=(1−残存官能基率)×100
【0118】
重合温度算出部180は、反応速度係数算出部160から反応速度係数を取得し、下記重合条件に基づいて重合温度を算出する(重合温度算出工程S40)。
(重合条件)
10%以上80%以下の重合率において重合速度が0.4%/hr以上15%/hr以下、1時間ごとの重合速度(傾き)の標準偏差が2.3%/hr以下
【0119】
この重合条件に基づいて重合時間毎の重合温度を算出することにより、光学材料の重合率を高め、重合性組成物の重合中の温度分布のばらつきを抑制することができ、結果として光学材料の光学歪みや脈理の発生を抑えることができる。
【0120】
記憶部100には、重合率10%以上80%以下の範囲における所望の重合条件が、ユーザにより予め保存されている。具体的には、記憶部100には、所望の重合速度、重合速度の標準偏差が予め保存されている。図示しない入力部から、重合温度算出部180に直接入力することもできる。
【0121】
重合温度算出部180は、反応速度係数算出部160から反応速度係数を取得し、記憶部100から所望の重合条件を取得する。反応速度係数は重合性化合物の種類と関連付けられており、重合温度算出部180は重合性化合物の種類から一次反応速度式または二次反応速度式を選択する。そして、重合温度算出部180は、記憶部100から取得された所望の重合条件を満足するように、選択された反応速度式を用いて逆算し、重合時間毎の重合温度条件を算出する。
重合温度算出部180は、反応速度係数算出部160から重合率も取得しており、重合温度算出部180は、重合時間毎の重合温度条件および重合率を送信し、記憶部100に保存する。
【0122】
重合温度算出部180は、重合時間毎の重合温度および重合率を図示しないモニター等に出力することができるように構成されていても良い。これにより、ユーザは重合時間毎の重合温度および重合率をチェックし、これらの条件にしたがって重合反応を実施することができる。
【0123】
本実施形態の光学材料製造装置は、上述の重合条件設定装置を備える。
本実施形態の光学材料製造装置は、具体的には、
重合反応性化合物と、重合触媒および/または重合開始剤と、を含む組成物を加熱する加熱部と、
本実施形態の重合条件設定装置10と、
重合条件設定装置10により得られた重合温度条件に基づいて、重合反応性化合物と、重合触媒および/または重合開始剤と、を含む組成物を加熱するように前記加熱部を制御する制御部と、
を備える。
【0124】
加熱部は、組成物が充填されたモールドを加熱することができる装置であり、加熱炉として例えば電気炉、熱風循環炉、赤外線オーブン、マイクロ波オーブン等を挙げることができる。
制御部は、加熱炉と一体または別に設置されていてもよく、熱量(例えば、オーブン内温度分布測定、モールド型外表面温度、モールド型内表面温度、組成物が硬化するまでの重合工程の温度)を測定する手段、そのモニターを備えていてもよい。さらに、制御部は、重合条件設定装置10の記憶部100にアクセスすることができ、さらに加熱部の温度をモニターすることができるように構成されている。
制御部は、重合開始後、重合組成物の温度を監視し、当該温度を記憶部100から得られた重合時間毎の重合温度条件と照合し、重合温度条件に基づき加熱部を制御する。
本実施形態の光学材料製造装置は、本実施形態の重合条件設定方法を好適に実施することができる。
【0125】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【実施例】
【0126】
以下に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0127】
実施例または比較例において、以下の成分を用いた。
・アリルカーボネート組成物1:RAV 7MC(ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコールおよびペンタエリスリトールのポリ(アリルカーボネート)化合物およびそのオリゴマー、ACOMON社製)
<紫外線吸収剤>
・EVERSORB109:Everlight Chemical Industrial Corp.製、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤
・TINUVIN−326:BASF社製、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤
・VIOSORB−583:共同薬品社製、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤
<ラジカル重合開始剤>
・LUPEROX 531M80:アルケマ吉富社製、パーオキシケタール系ラジカル重合開始剤
<その他添加剤>
・添加剤1:ポリプロピレングリコール、ジオール型、2000(和光純薬工業製)
【0128】
[実施例1]
ジシクロヘキシルメタン 4,4‘−ジイソシアネートを含むイソシアネート組成物(EVONIC社製)を58.9重量部に紫外線吸収剤EVERSORB109を1.5重量部、TINUVIN−326を0.64重量部、触媒であるジブチル錫ジクロライド0.18重量部を加え、内部離型剤としてMR用内部離型剤(三井化学社製)0.15重量部を加え、すばやく攪拌し溶解した。さらに5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンを含むチオール組成物41.1重量部を加え、15℃ですばやく混合攪拌した。攪拌した該溶液0.5g程度をサンプル瓶に2検体(2点の試験温度分)の入れ真空ポンプによりすばやく減圧脱気した。減圧から大気圧に戻した。この調合直後のサンプルを反応時間ゼロ時間目として示差走査熱量計を用いて発熱量を測定した。該2検体のサンプル瓶は窒素置換を施し、示差走査熱量計による分析を、30℃は経過時間毎に3回(0時間後、3時間後、25時間後)、70℃は経過時間毎に2回(0時間後、3時間後)行い発熱量を得た。
30℃0時間経過後の発熱量:203.3(J/g)
30℃3時間経過後の発熱量:193.3(J/g)
30℃25時間経過後の発熱量:142.3(J/g)
70℃0時間経過後の発熱量:203.3(J/g)
70℃3時間経過後の発熱量:134.1(J/g)
上記の発熱量を記憶部100に直接入力して保存し、本実施形態の重合条件設定装置10により、重合温度条件を算出した。
残存官能基率算出部140において、30℃では、混合攪拌直後の残存官能基率1.0000、3時間後の残存官能基率0.9498、25時間後の残存官能基率0.7000、70℃では、混合攪拌直後の残存官能基率1.0000、3時間後の残存官能基率0.6596の結果を得た。
反応速度係数算出部160は二次反応速度式を用い、回帰直線の傾きである反応速度係数は、30℃では0.017、70℃では0.172であった。
記憶部100には、重合率10%から80%の傾き(重合速度)が2.70%/hr(平均値)、1時間ごとの重合速度(傾き)の標準偏差が0.69%/hrである重合条件が保存された。重合温度算出部180は、記憶部100に保存された重合条件にアクセスし、重合時間毎の重合温度条件を算出した。図3に、図示しないモニターに表示された、重合時間毎の重合温度条件と、重合時間と、重合率とをプロットしたチャートを示す。
【0129】
[実施例2]
実施例1で得られた温度条件で重合を行った。
原料であるジシクロヘキシルメタン 4,4‘−ジイソシアネートを主成分とする異性体含む組成物(EVONIC社製)を589重量部に紫外線吸収剤EVERSORB109を15重量部、TINUVIN−326を6.4重量部、触媒であるジブチル錫ジクロライド1.8重量部を加え、内部離型剤としてMR用内部離型剤(三井化学社製)1.5重量部を加え、15℃〜25℃で混合攪拌し溶解した。この混合液にさらに5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンを含む組成物411重量部を加え、15℃〜25℃で混合攪拌した。その後、該混合液を精製するためにろ過を行い、さらに該溶液を真空ポンプにより減圧し脱気した。この溶液をガラスモールドへ注型して10検体を作成した。モールド形状はΦ81mm、フロント面2カーブ、バック面6カーブ、中心厚15.6mmの厚物で実施した。
本実施形態の光学材料製造装置により重合を行った。実施例1で得られた温度条件に基づいて重合オーブンの温度を設定し、温度条件を制御した。重合が終了した後(重合率:96.4%)、冷却し重合オーブンから硬化したポリチオウレタン樹脂を得た。得られた樹脂はアニール処理により内部応力を除去したのちに光学ひずみの評価を高圧水銀灯により実施し、その結果10試験体中のうち10試験体で光学用途として非常に優れた光学ひずみがないレンズを得た。
【0130】
[実施例3]
m−キシリレンジイソシアネートを50.6重量部に紫外線吸収剤VIOSORB−583を1.5重量部、ジブチル錫ジクロライド0.008重量部を添加し、内部離型剤としてMR用内部離型剤(三井化学社製)を0.18重量部加え15℃で混合攪拌し溶解した。この混合液にさらに5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンを含む組成物を49.4重量部を加え15℃ですばやく混合攪拌した。攪拌した該溶液0.5g程度をサンプル瓶に2検体(2点の試験温度分)の入れ真空ポンプによりすばやく減圧脱気した。減圧から大気圧に戻した。この調合直後のサンプルを反応時間ゼロ時間目として示差走査熱量計を用いて発熱量を測定した。該2検体のサンプル瓶は窒素置換を施し、示差走査熱量計による分析を、30℃で5回(0時間後、1時間後、4時間後、24時間後、48時間後)、70℃で2回(0時間後、3時間後)行い発熱量を得た。
30℃0時間経過後の発熱量:279.3(J/g)
30℃1時間経過後の発熱量:278.2(J/g)
30℃4時間経過後の発熱量:229.3(J/g)
30℃24時間経過後の発熱量:94.0(J/g)
30℃48時間経過後の発熱量:63.9(J/g)
70℃0時間経過後の発熱量:279.3(J/g)
70℃3時間経過後の発熱量:93.2(J/g)
上記の発熱量を記憶部100に直接入力して保存し、本実施形態の重合条件設定装置10により、重合温度条件を算出した。
残存官能基率算出部140において、30℃では、混合攪拌直後の残存官能基率1.0000、1時間後の残存官能基率0.9961、4時間後の残存官能基率0.8210、24時間後の残存官能基率0.3366、48時間後の残存官能基率0.2288の結果を得た。70℃では、混合攪拌直後の残存官能基率1.0000、3時間後の残存官能基率0.3337の結果を得た。
反応速度係数算出部160は二次反応速度式を用い、回帰直線の傾きである反応速度係数は、30℃では0.0784、70℃では0.6656であった。
記憶部100には、重合率10%から80%の傾き(重合速度)が5.85%/hr(平均値)で、且つ1時間ごとの重合速度(傾き)の標準偏差が0.78%/hrである重合条件が保存された。重合温度算出部180は、記憶部100に保存された重合条件にアクセスし、重合時間毎の重合温度条件を算出した。図4に、図示しないモニターに表示された、重合時間毎の重合温度条件と、重合時間と、重合率とをプロットしたチャートを示す。
【0131】
[実施例4]
実施例3で得られた温度条件で重合を行った。
m−キシリレンジイソシアネートを506重量部に紫外線吸収剤VIOSORB−583を15重量部、ジブチル錫ジクロライド0.08重量部を添加し、内部離型剤としてMR用内部離型剤(三井化学社製)を1.8重量部加え15℃〜25℃で混合攪拌し溶解した。この混合液にさらに5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンを含む組成物を494重量部を加え15℃〜25℃で混合攪拌した。その後、該混合液を精製するためにろ過を行い、さらに該溶液を真空ポンプにより減圧し脱気した。この溶液をガラスモールドへ注型して10検体を作成した。モールド形状はΦ81mm、フロント面4カーブ、バック面4カーブ、中心厚2.5mmの形状の薄物で実施した。
本実施形態の光学材料製造装置により重合を行った。実施例3で得られた温度条件に基づいて重合オーブンの温度を設定し、温度条件を制御した。重合が終了した後(重合率:97.0%)、冷却し重合オーブンから硬化した樹脂を得た。得られた樹脂はアニール処理により内部応力を除去したのちに光学ひずみの評価を高圧水銀灯により実施し、10検体中、10検体で光学用途として非常に優れた光学ひずみがないレンズを得た。
【0132】
[実施例5]
重合率10%から80%の傾き(重合速度)が3.65%/hr(平均値)で、且つ1時間ごとの重合速度(傾き)の標準偏差が0.56%/hrである温度条件を作成した以外は実施例3と同様の処理を行った。図5に、図示しないモニターに表示された、重合時間毎の重合温度条件と、重合時間と、重合率とをプロットしたチャートを示す。
【0133】
[実施例6]
実施例5で得られた温度条件で重合を行った。
m−キシリレンジイソシアネートを506重量部に紫外線吸収剤VIOSORB−583を15重量部、ジブチル錫ジクロライド0.08重量部を加え、内部離型剤としてMR用内部離型剤(三井化学社製)1.8重量部を加え15℃〜25℃で混合攪拌し溶解した。この混合液にさらに5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンを含む組成物を494重量部加え15℃〜25℃で混合攪拌した。その後、該混合液を精製するためにろ過を行い、さらに該溶液を真空ポンプにより減圧し脱気した。この溶液をガラスモールドへ注型して10検体を作成した。モールド形状はΦ80mm、フロント面2カーブ、バック面6カーブ、中心厚15.6mmの厚物で実施した。
本実施形態の光学材料製造装置により重合を行った。実施例5で得られた温度条件に基づいて重合オーブンの温度を設定し、温度条件を制御した。重合が終了した後(重合率:97.1%)、冷却し重合オーブンから硬化した樹脂を得た。得られた樹脂はアニール処理により内部応力を除去したのちに光学ひずみの評価を高圧水銀灯により実施し、10検体中、10検体で光学用途として非常に優れた光学ひずみがないレンズを得た。
【0134】
[実施例7]
RAV 7MC 99.2重量部にラジカル重合開始剤としてLUPEROX 531M80を0.8重量部、ポリプロピレングリコール、ジオール型、2000(和光純薬工業製)を0.05重量部添加し、すばやく攪拌混合した。攪拌した該溶液0.5g程度をサンプル瓶に2検体(2点の試験温度分)の入れ真空ポンプによりすばやく減圧脱気した。減圧から窒素を用いて大気圧に戻した。この調合直後のサンプルを反応時間ゼロ時間目として示差走査熱量計を用いて発熱量を測定した。該2検体のサンプル瓶は窒素置換を施し、示差走査熱量計による分析を80℃で4回(0時間後、5時間後、30時間後、35時間後)、100℃で3回(0時間後、2時間後、5時間後)行い発熱量を得た。
80℃0時間経過後の発熱量:358.6(J/g)
80℃5時間経過後の発熱量:324.0(J/g)
80℃30時間経過後の発熱量:198.6(J/g)
80℃35時間経過後の発熱量:183.2(J/g)
100℃0時間経過後の発熱量:358.6(J/g)
100℃2時間経過後の発熱量:221.1(J/g)
100℃5時間経過後の発熱量:174.1(J/g)
上記の発熱量を記憶部100に直接入力して保存し、本実施形態の重合条件設定装置10により、重合温度条件を算出した。
残存官能基率算出部140において、80℃では、混合攪拌直後の残存官能基率1.0000、5時間後の残存官能基率0.9035、30時間後の残存官能基率0.5537、35時間後の残存官能基率0.5100の結果を得た。100℃では、混合攪拌直後の残存官能基率1.0000、2時間後の残存官能基率0.6166、5時間後の残存官能基率0.4854の結果を得た。
反応速度係数算出部160は一次反応速度式を用い、回帰直線の傾きである反応速度係数は、80℃では0.0194、100℃では0.158であった。
記憶部100には、重合率10%から80%の傾き(重合速度)が2.57%/hr(平均値)で、且つ1時間ごとの重合速度(傾き)の標準偏差が0.26%/hrである重合条件が保存された。重合温度算出部180は、記憶部100に保存された重合条件にアクセスし、重合時間毎の重合温度条件を算出した。図6に、図示しないモニターに表示された、重合時間毎の重合温度条件と、重合時間と、重合率とをプロットしたチャートを示す。
【0135】
[実施例8]
RAV 7MC 992重量部にラジカル重合開始剤としてLUPEROX 531M80を8重量部、ポリプロピレングリコール、ジオール型、2000(和光純薬工業製)を0.50重量部添加し、攪拌混合した。濾過精製を行い、減圧による脱気後、注型した。使用した注型したモールド形状としては2種類で、モールド形状1はΦ81mm、フロント面2カーブ、バック面6カーブ、中心厚10mmの厚物と、モールド形状2はΦ81mm、フロント面4カーブ、バック面4カーブ、中心厚2mmの薄物で、それぞれ10検体ずつ注型した。実施例7で得られた温度条件に基づいて重合オーブンの温度を設定した。重合が終了した後(重合率:97.4%)、60℃まで冷却しモールドから成型体を離型した。モールド形状1およびモールド形状2において成型したレンズは硬化時にクラックは発生せず、離型性は良好であった。離型時にクラックの発生もなかった。光学用途として非常に優れた光学ひずみがないレンズを得た。
【0136】
[実施例9]
重合率10%から80%の傾き(重合速度)が1.83%/hr(平均値)で、且つ1時間ごとの重合速度(傾き)の標準偏差が0.26%/hrである温度条件を作成した以外は実施例7と同様の処理を行った。図7に、図示しないモニターに表示された、重合時間毎の重合温度条件と、重合時間と、重合率とをプロットしたチャートを示す。
【0137】
[実施例10]
実施例9得られた温度条件で重合を行った。
RAV 7MC 992重量部にラジカル重合開始剤としてLUPEROX 531M80を8重量部、ポリプロピレングリコール、ジオール型、2000(和光純薬工業製)を0.50重量部添加し、攪拌混合した。濾過精製を行い、減圧による脱気後、注型した。使用した注型したモールド形状としては2種類で、モールド形状1はΦ81mm、フロント面2カーブ、バック面6カーブ、中心厚10mmの厚物と、モールド形状2はΦ81mm、フロント面2カーブ、バック面6カーブ、中心厚2mmの薄物で、それぞれ10検体ずつ注型した。注型したモールドは重合オーブンに入れ、作成した重合温度条件を用いて重合を実施した。
本実施形態の光学材料製造装置により重合を行った。実施例8で得られた温度条件に基づいて重合オーブンの温度を設定し、温度条件を制御した。重合が終了した後(重合率:98.1%)、60℃まで冷却しモールドから成型体を離型した。モールド形状1およびモールド形状2において成型したそれぞれ10検体のレンズは硬化時にクラックは発生せず、離型性は良好であった。離型時にクラックの発生もなかった。光学用途として非常に優れた光学ひずみがないレンズを得た。
【0138】
[実施例11]
2,5−ビス(イソチオシアナトメチル)ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタン及び2,6−ビス(イソチオシアナトメチル)ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタンの混合物 50.76重量部を15℃の温度を維持しながら窒素雰囲気下で攪拌し、その中にエチレンジアミン 0.33重量部を、マイクロシリンジを用い2時間かけて等速滴下した。その後、15℃でさらに1時間熟成して反応液を得た。該反応液にジブチル錫ジクロライド0.05重量部を加え、内部離型剤としてMR用内部離型剤(三井化学社製)0.23重量部を加え攪拌し溶解した。さらに4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン 41.54重量部を加えて、15℃ですばやく混合攪拌した。攪拌した該溶液0.5g程度をサンプル瓶に2検体(2点の試験温度分)の入れ真空ポンプによりすばやく減圧脱気した。減圧から大気圧に戻した。この調合直後のサンプルを反応時間ゼロ時間目として示差走査熱量計を用いて発熱量を測定した。該2検体のサンプル瓶は窒素置換を施し、示差走査熱量計による分析を、15℃は経過時間毎に3回(0時間後、25時間後、48時間後)、50℃は経過時間毎に3回(0時間後、2時間後、5時間後)行い発熱量を得た。
15℃0時間経過後の発熱量:365.64(J/g)
15℃25時間経過後の発熱量:342.09(J/g)
15℃48時間経過後の発熱量:318.93(J/g)
50℃0時間経過後の発熱量:365.64(J/g)
50℃2時間経過後の発熱量:326.06(J/g)
50℃5時間経過後の発熱量:263.49(J/g)
上記の発熱量を記憶部100に直接入力して保存し、本実施形態の重合条件設定装置10により、重合温度条件を算出した。
残存官能基率算出部140において、15℃では、混合攪拌直後の残存官能基率1.0000、25時間後の残存官能基率0.9356、48時間後の残存官能基率0.8723、50℃では、混合攪拌直後の残存官能基率1.0000、2時間後の残存官能基率0.8918、5時間後の残存官能基率は0.7206の結果を得た。
反応速度係数算出部160は二次反応速度式を用い、回帰直線の傾きである反応速度係数は、15℃では0.003、50℃では0.0784であった。
記憶部100には、重合率10%から80%の傾き(重合速度)が2.43%/hr(平均値)、1時間ごとの重合速度(傾き)の標準偏差が0.67%/hrである重合条件が保存された。重合温度算出部180は、記憶部100に保存された重合条件にアクセスし、重合時間毎の重合温度条件を算出した。図8に、図示しないモニターに表示された、重合時間毎の重合温度条件と、重合時間と、重合率とをプロットしたチャートを示す。
【0139】
[実施例12]
実施例11で得られた温度条件で重合を行った。
2,5−ビス(イソチオシアナトメチル)ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタン及び2,6−ビス(イソチオシアナトメチル)ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタンの混合物 507.6重量部を15℃の温度を維持しながら窒素雰囲気下で攪拌し、その中にエチレンジアミン 3.30重量部を、シリンジを用い2時間かけて等速滴下した。その後さらに15℃で1時間熟成して反応液を得た。該反応液にジブチル錫ジクロライド0.50重量部を加え、内部離型剤としてMR用内部離型剤(三井化学社製)2.30重量部を加え攪拌し溶解した。
この混合液にさらに4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン 415.4重量部を加えて、15℃で混合攪拌した。
その後、該混合液を精製するためにろ過を行い、さらに該溶液を真空ポンプにより減圧し脱気した。この溶液をガラスモールドへ注型して10検体を作成した。モールド形状はΦ81mm、フロント面2カーブ、バック面6カーブ、中心厚15.6mmの厚物で実施した。
本実施形態の光学材料製造装置により重合を行った。実施例11で得られた温度条件に基づいて重合オーブンの温度を設定し、温度条件を制御した。重合が終了した後(重合率:96.9%)、冷却し重合オーブンから硬化したポリチオウレタン樹脂を得た。得られた樹脂はアニール処理により内部応力を除去したのちに光学ひずみの評価を高圧水銀灯により実施し、その結果10試験体中のうち10試験体で光学用途として非常に優れた光学ひずみがないレンズを得た。
【0140】
[比較例1]
重合率10%から80%の傾き(重合速度)が2.65%/hr(平均値)で、且つ1時間ごとの重合速度(傾き)の標準偏差が2.38%/hrである温度条件を作成した以外は実施例1と同様の処理を行った。図9に、図示しないモニターに表示された、重合時間毎の重合温度条件と、重合時間と、重合率とをプロットしたチャートを示す。
【0141】
[比較例2]
比較例1で得られた温度条件で重合を行った。
ジシクロヘキシルメタン 4,4‘−ジイソシアネートを含むイソシアネート組成物(EVONIC社製)を589重量部に紫外線吸収剤EVERSORB−109を15重量部、TINUVIN−326を6.4重量部、触媒であるジブチル錫ジクロライド(共同薬品社製)1.8重量部を加え、内部離型剤としてMR用内部離型剤(三井化学社製)1.5重量部を加えて、15℃〜25℃で混合攪拌し溶解した。この混合液にさらに5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンを含むチオール組成物411重量部を加え、15℃〜25℃で混合攪拌した。その後、該混合液を精製するためにろ過を行い、さらに該溶液を真空ポンプにより減圧し脱気した。この溶液をガラスモールドへ注型して10検体を作成した。モールド形状はΦ81mm、フロント面2カーブ、バック面6カーブ、中心厚15.6mmの厚物で実施した。
本実施形態の光学材料製造装置により重合を行った。比較例1で得られた温度条件に基づいて重合オーブンの温度を設定し、温度条件を制御した。重合終了の後に冷却し硬化した樹脂を得た。得られた樹脂はアニール処理により内部応力を除去したのちに光学ひずみの評価を高圧水銀灯により実施し、その結果10検体中、10検体で光学用途としては使用することができない光学ひずみ(脈理)が発生した。
【0142】
[比較例3]
m−キシリレンジイソシアネートを19.6重量部と2,5−ビス(イソチオシアナトメチル)ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタン、2,6−ビス(イソチオシアナトメチル)ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタンを含むイソシアネート組成物を29.7重量部、紫外線吸収剤としてSeesorb−701(シプロ化成工業社製)0.05重量部、ジブチル錫ジクロライド(共同薬品社製)0.01重量部、内部離型剤としてZelecUN(Stepan社製)0.1重量部を加えて混合攪拌し溶解した。この混合液にさらに1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパンを含むポリチオール組成物を50.7重量部加え、15℃〜25℃で混合攪拌した。その後、該混合液を精製するためにろ過を行い、さらに該溶液を真空ポンプにより減圧し脱気した。この溶液をガラスモールドへ注型して試験体を作成した。モールド形状はΦ81mm、フロント面2カーブ、バック面2カーブ、中心厚15.0mmの厚物で実施した。
重合率10%から55%の傾き(重合速度)が1.99%/hr(平均値)で、且つ1時間ごとの重合速度(傾き)の標準偏差が0.89%/hrである温度条件を作成した以外は実施例1と同様の処理を行った。
本実施形態の光学材料製造装置により重合を行った。重合ののち、60℃まで冷却して樹脂を得たところ、十分に硬化されておらず、軟らかさがあり、レンズとしては使用できなかった。
【0143】
[比較例4]
重合率10%から80%の傾き(重合速度)が5.57%/hr(平均値)で、且つ1時間ごとの重合速度(傾き)の標準偏差が2.32%/hrである温度条件を作成した以外は実施例7と同様の処理を行った。図10に、図示しないモニターに表示された、重合時間毎の重合温度条件と、重合時間と、重合率とをプロットしたチャートを示す。
【0144】
[比較例5]
比較例4で得られた温度条件で重合を行った。
RAV 7MC(ACOMON社製)992重量部にラジカル重合開始剤としてLUPEROX 531M80(アルケマ吉富社製)8重量部、ポリプロピレングリコール、ジオール型、2000(和光純薬工業製)を0.50重量部添加し、攪拌混合した。濾過精製を行い、減圧による脱気後、注型した。使用した注型したモールド形状としては2種類で、モールド形状1はΦ81mm、フロント面2カーブ、バック面6カーブ、中心厚10mmの厚物と、モールド形状2はΦ81mm、フロント面2カーブ、バック面6カーブ、中心厚2mmの薄物で、それぞれ10検体ずつ注型した。
本実施形態の光学材料製造装置により重合を行った。比較例4で得られた温度条件に基づいて重合オーブンの温度を設定し、温度条件を制御した。重合の後、60℃まで冷却しモールドから成型体を離型した。
モールド形状1においては成型したレンズは硬化時にクラックが3枚で発生し、冷却時にクラックが5枚は正常な硬化物として2枚得られた。
モールド形状2において成型したレンズは硬化時にクラックが5枚で発生し、冷却時にクラックが2枚発生し、硬化物として得られたものもプレリリースが3枚で発生していたため正常な光学用途のレンズが得られなかった。
【0145】
[比較例6]
重合率10%から80%の傾き(重合速度)が4.38%/hr(平均値)で、且つ1時間ごとの重合速度(傾き)の標準偏差が3.20%/hrである温度条件を作成した以外は実施例11と同様の処理を行った。図11に、図示しないモニターに表示された、重合時間毎の重合温度条件と、重合時間と、重合率とをプロットしたチャートを示す。
【0146】
[比較例7]
比較例6で得られた温度条件で重合を行った。
2,5−ビス(イソチオシアナトメチル)ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタン及び2,6−ビス(イソチオシアナトメチル)ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタンの混合物 507.6重量部を15℃の温度を維持しながら窒素雰囲気下で攪拌し、その中にエチレンジアミン 3.30重量部を、シリンジを用い2時間かけて等速滴下した。その後、さらに15℃で1時間熟成して反応液を得た。該溶液にジブチル錫ジクロライド0.50重量部を加え、内部離型剤としてMR用内部離型剤(三井化学社製)2.30重量部を加え攪拌し溶解した。
この混合液にさらに4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン 415.4重量部を加えて、15℃で混合攪拌した。
その後、該混合液を精製するためにろ過を行い、さらに該溶液を真空ポンプにより減圧し脱気した。この溶液をガラスモールドへ注型して10検体を作成した。モールド形状はΦ81mm、フロント面2カーブ、バック面6カーブ、中心厚15.6mmの厚物で実施した。
本実施形態の光学材料製造装置により重合を行った。比較例6で得られた温度条件に基づいて重合オーブンの温度を設定し、温度条件を制御した。重合終了の後に冷却し硬化した樹脂を得た。得られた樹脂はアニール処理により内部応力を除去したのちに光学ひずみの評価を高圧水銀灯により実施し、その結果10検体中、10検体で光学用途としては使用することができない光学ひずみ(脈理)が発生した。
【0147】
この出願は、2018年3月27日に出願された日本出願特願2018−059326号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【要約】
本発明の重合条件設定方法は、重合反応性化合物と、重合触媒および/または重合開始剤と、を含む組成物を加温し、所定の温度で保温した場合における、該重合反応性化合物の加温前の官能基由来の物性値aおよび所定時間保温した後の残存官能基由来の物性値bを取得する、物性取得工程S10と、前記物性値aおよび前記物性値bから、残存官能基率を算出する残存官能基率算出工程S20と、前記残存官能基率から、反応速度式に基づいて反応速度係数を算出する反応速度係数算出工程S30と、前記反応速度係数および下記条件に基づいて重合温度を算出する重合温度算出工程S40と、を含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11