特許第6564986号(P6564986)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6564986
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】搬送物排出装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/54 20060101AFI20190819BHJP
   B65G 39/00 20060101ALI20190819BHJP
   B65G 13/10 20060101ALI20190819BHJP
   B65G 47/244 20060101ALI20190819BHJP
   B65G 47/64 20060101ALI20190819BHJP
   B65G 47/46 20060101ALI20190819BHJP
【FI】
   B65G47/54 B
   B65G39/00 A
   B65G13/10
   B65G47/244
   B65G47/64
   B65G47/46 D
【請求項の数】8
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-505231(P2016-505231)
(86)(22)【出願日】2015年2月24日
(86)【国際出願番号】JP2015055232
(87)【国際公開番号】WO2015129688
(87)【国際公開日】20150903
【審査請求日】2018年2月13日
(31)【優先権主張番号】特願2014-39734(P2014-39734)
(32)【優先日】2014年2月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】592026819
【氏名又は名称】伊東電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】伊東 一夫
(72)【発明者】
【氏名】中村 竜彦
(72)【発明者】
【氏名】光吉 誠
【審査官】 井上 信
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−539729(JP,A)
【文献】 特開平8−277025(JP,A)
【文献】 特開2000−309413(JP,A)
【文献】 特開昭62−264116(JP,A)
【文献】 特開平6−278846(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/22 − 47/72
B65G 13/00 − 13/12
B65G 39/00 − 39/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主搬送路の一部を構成する主搬送コンベアから、搬送物を排出する搬送物排出装置であって、
主搬送コンベアは、搬送物と接触して搬送物に搬送力を付与する搬送体を複数有し、当該搬送体が所定の間隔をあけて配置されたものである搬送物排出装置において、
前記複数の搬送体の間から出没し、搬送体の間から出た状態で搬送物と接触し、搬送物に前記搬送体とは異なる方向の搬送力を付与する複数の排出部材と、前記複数の排出部材又は主搬送コンベアを支持するベース部材と、当該ベース部材の姿勢を変更する姿勢変更手段とを有し、
搬送体はローラであり、
排出部材には一つの支持台に2つのコロを有するものがあり、前記2つのコロの間に前記ローラがあることを特徴とする搬送物排出装置。
【請求項2】
前記姿勢変更手段でベース部材の姿勢を変更することによって一部の領域に配された排出部材を搬送体の間から出すと共に他の一部の領域に配された排出部材を搬送体の間に沈めた状態と、前記一部の領域に配された排出部材を搬送体の間に沈めると共に前記他の一部の領域に配された排出部材を搬送体の間から出した状態とを作ることが可能であることを特徴とする請求項1に記載の搬送物排出装置。
【請求項3】
主搬送路の一部を構成する主搬送コンベアから、搬送物を排出する搬送物排出装置であって、
主搬送コンベアは、搬送物と接触して搬送物に搬送力を付与する搬送体を複数有し、当該搬送体が所定の間隔をあけて配置されたものである搬送物排出装置において、
前記複数の搬送体の間から出没し、搬送体の間から出た状態で搬送物と接触し、搬送物に前記搬送体とは異なる方向の搬送力を付与する複数の排出部材と、前記複数の排出部材を支持するベース部材と、当該ベース部材を揺動させるベース揺動手段とを有し、
ベース部材を揺動させることによって一部の領域に配された排出部材を搬送体の間から出して搬送物と接触させると同時に他の一部の領域に配された排出部材を搬送体の間に沈めた状態と、前記一部の領域に配された排出部材を搬送体の間に沈めると同時に前記他の一部の領域に配された排出部材を搬送体の間から出して搬送物と接触させる状態とを作ることが可能であり、
ベース揺動手段は、2台のモータと、モータの回転運動を昇降運動に変換する変換手段を有し、ベース部材の一端側に1台のモータと一組の変換手段が配され、ベース部材の他端側に他の1台のモータと他の一組の変換手段が配され、ベース部材の端部を交互に昇降させることによってベース部材を揺動させることを特徴とする搬送物排出装置。
【請求項4】
排出部材は、動力によって回転されるコロであり、当該コロは主搬送コンベアの搬送方向に対して傾斜した姿勢で配置されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の搬送物排出装置。
【請求項5】
搬送物を排出する際の排出軌跡の外縁側に配されたコロは、排出軌跡の内縁側に配されたコロに比べて回転速度が速いことを特徴とする請求項に記載の搬送物排出装置。
【請求項6】
長尺の回転体と、回転体に設けられた複数のプーリとを有し、複数のコロと対応するプーリとの間にそれぞれベルトが掛け渡されて複数のコロが一つの回転体によって回転されることを特徴とする請求項4又は5に記載の搬送物排出装置。
【請求項7】
長尺の回転体は、ローラ本体の中にモータが内蔵されてなるモータ内蔵ローラであり、前記プーリは、ローラ本体の外周部に形成された環状の溝によって構成されていることを特徴とする請求項に記載の搬送物排出装置。
【請求項8】
前記環状の溝は、深さの異なるものが混在し、搬送物を排出する際の排出軌跡の外縁側に配されたコロに対応する溝は、排出軌跡の内縁側に配されたコロに対応する溝に比べて深さが浅いことを特徴とする請求項に記載の搬送物排出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置のコンベアラインから搬送物を排出する搬送物排出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製品の組み立てラインや、搬送物の配送場では、搬送物の搬送にコンベアラインが利用されることが多い。たとえば、配送場では多数のコンベアラインが縦横に設置されていて、コンベアラインが交錯する位置に搬送物排出装置が配置されている。すなわち搬送物排出装置は、搬送物をコンベアラインから分岐する別のコンベアラインに移動させる機能を有する。また、搬送物排出装置は、搬送物を主コンベアラインの途中の脇(側方)にある搬送場所に移動させることもできる。
【0003】
搬送物排出装置は、コンベアラインの搬送面に対して出没する排出機構を有する。コンベアラインから側方に搬送物を排出する場合には、排出機構を突出させて搬送物を排出機構で排出する。コンベアラインから搬送物を側方に排出しない場合には、排出機構を搬送面から没入させた状態として搬送物が排出機構に触れないようにする。
【0004】
ところで、連続的に搬送される搬送物は、コンベアラインから側方に排出されるものとコンベアラインに沿って進行させ側方に排出させないものとが混在する場合が多く、コンベアラインには、搬送物の搬送先を識別するセンサが設けられており、このセンサによって搬送物をコンベアラインから側方に排出するか否かが識別されている。
【0005】
先行する搬送物をコンベアラインから側方に排出し、後続の搬送物をコンベアラインから排出せずそのままコンベアラインに沿って搬送する場合には、排出機構を搬送面から突出させた状態として先行する搬送物を受入れる。そして排出機構によって先行する搬送物をコンベアラインから側方に排出する。その際、後続の搬送物を排出機構の上流側で停止させておく。そして、先行する搬送物が排出機構によってコンベアラインから側方に排出されると、排出機構を搬送面から下降させ、その後に後続の搬送物の搬送を再開する。後続の搬送物は、排出機構に接触することなく、そのままコンベアラインに沿って搬送されてゆく。
【0006】
また、先行する搬送物をコンベアラインから側方に排出せずにそのままコンベアラインに沿って搬送し、後続の搬送物をコンベアラインから側方に排出する場合には、排出機構を搬送面より下方に没入させた状態で先行する搬送物をコンベアラインに沿って移動させ、先行する搬送物が排出機構設置位置を通過する間は、後続の搬送物を排出機構の上流側で停止させる。そして先行する搬送物が排出機構設置位置よりも下流側へ移動すると、排出機構を搬送面に突出させ、その後に後続の搬送物の搬送を再開する。後続の搬送物は、排出機構によって側方に排出されることとなる。
【0007】
ここで、コンベアラインで搬送物を効率的に搬送するためには、搬送物同士の間隔を可能な限り狭くし、各搬送物を連続的に搬送するのが好ましい。しかし、従来の搬送装置では、先行する搬送物と後続の搬送物の搬送先が相違する場合には、前述の様に後続の搬送物の搬送を一時的に停止させなければならず、搬送物の速やかな搬送が阻害されていた。
【0008】
この様な問題を解決することができる方向転換装置が、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されている方向転換装置では、複数の方向転換ユニットがコンベアラインの搬送方向に並んで配置されている。各方向転換ユニットは、方向転換ローラと、方向転換ローラを回転駆動する駆動機構と、方向転換ローラを昇降させる昇降機構とを有している。方向転換ローラは、昇降機構によって搬送物が載置されるコンベアラインの搬送面に対して出没すると共に、駆動機構によって回転駆動される。
【0009】
各方向転換ユニットの方向転換ローラを搬送面から突出させて回転駆動すると、コンベアライン上の搬送物は方向転換ローラ上に乗り上げ、回転する方向転換ローラによってコンベアラインから側方に排出される。また、方向転換ローラを搬送面から没入させると、搬送物は方向転換ローラの影響を受けず、コンベアラインに沿って搬送される。
【0010】
ここで、先行する搬送物をコンベアラインから側方に排出し、後続の搬送物をコンベアラインから排出せずそのままコンベアラインに沿って搬送する場合には、各方向転換ユニットの方向転換ローラを搬送面から突出させて、先行する搬送物をコンベアラインから排出する。先行する搬送物は、各方向転換ユニットの方向転換ローラに導かれて搬送方向が転換され、上流側に配置された方向転換ユニットから下流側に配置された方向転換ユニットに移動しながらコンベアラインから側方に排出される。
【0011】
すなわち、先行する搬送物が下流側の方向転換ユニットに移動すると、上流側の方向転換ユニット上には先行する搬送物がない状態となる。そのため、上流側の方向転換ユニットの方向転換ローラを搬送面から没入させても、先行する搬送物のコンベアラインからの排出に支障はない。よって、先行する搬送物を下流側の方向転換ユニットによってコンベアラインから排出中に、上流側の方向転換ユニットを搬送面から没入させると、後続の搬送物は上流側の方向転換ユニットの影響を受けないので、搬送を停止させる必要がない。
【0012】
また、先行する搬送物をコンベアラインから排出せずそのままコンベアラインに沿って搬送し、後続の搬送物をコンベアラインから側方に排出する場合には、まず、先行する搬送物を、搬送面から没入した各方向転換ユニットの方向転換ローラの上方を通過させる。先行する搬送物が、上流側に配置された方向転換ユニット上を通過すると、当該方向転換ユニット(通過済の方向転換ユニット)の方向転換ローラのみを搬送面から突出させる。先行する搬送物は、上流側の方向転換ユニットの影響を受けることなくそのまま下流側へ移動する。
【0013】
そして、後続の搬送物は、上流側の方向転換ユニットの方向転換ローラに導かれて搬送方向が転換され始める。このとき、先行する搬送物はコンベアラインに沿って下流側の方向転換ユニットの上方を通過しているので、下流側の方向転換ユニットの方向転換ローラを搬送面から突出させる。後続の搬送物は、上流側の方向転換ユニットに続いて下流側の方向転換ローラによって導かれ、コンベアラインから排出される。
【0014】
特許文献1の方向転換装置によると、後続の搬送物の搬送を一時的に停止させる必要がなく、複数の搬送物を連続的に速やかにコンベアラインに沿って搬送したりコンベアラインから排出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2005−280868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
特許文献1に開示されている方向転換装置は、部品点数が多い。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するための態様は、主搬送路の一部を構成する主搬送コンベアから、搬送物を排出する搬送物排出装置であって、主搬送コンベアは、搬送物と接触して搬送物に搬送力を付与する搬送体を複数有し、当該搬送体が所定の間隔をあけて配置されたものである搬送物排出装置において、前記複数の搬送体の間から出没し、搬送体の間から出た状態で搬送物と接触し、搬送物に前記搬送体とは異なる方向の搬送力を付与する複数の排出部材と、前記複数の排出部材又は主搬送コンベアを支持するベース部材と、当該ベース部材の姿勢を変更する姿勢変更手段とを有し、搬送体はローラであり、排出部材には一つの支持台に2つのコロを有するものがあり、前記2つのコロの間に前記ローラがあることを特徴とする搬送物排出装置である。
【0018】
上記課題を解決するためのもう一つの態様は、主搬送路の一部を構成する主搬送コンベアから、搬送物を排出する搬送物排出装置であって、主搬送コンベアは、搬送物と接触して搬送物に搬送力を付与する搬送体を複数有し、当該搬送体が所定の間隔をあけて配置されたものである搬送物排出装置において、前記複数の搬送体の間から出没し、搬送体の間から出た状態で搬送物と接触し、搬送物に前記搬送体とは異なる方向の搬送力を付与する複数の排出部材と、前記複数の排出部材又は主搬送コンベアを支持するベース部材と、当該ベース部材の姿勢を変更する姿勢変更手段とを有し、前記姿勢変更手段でベース部材の姿勢を変更することによって一部の領域に配された排出部材を搬送体の間から出すと共に他の一部の領域に配された排出部材を搬送体の間に沈めた状態と、前記一部の領域に配された排出部材を搬送体の間に沈めると共に前記他の一部の領域に配された排出部材を搬送体の間から出した状態とを作ることが可能であることを特徴とする搬送物排出装置である。
【0019】
特許文献1に開示されている方向転換装置は、部品点数が多い上に構造が複雑であり、さらに使用時において非常に精密な制御が必要である。すなわち、連続的に搬送される各搬送物の搬送先及びコンベアラインの上流側から下流側方向の位置に応じて、各方向転換ユニットを個別に動作させなければならず、各方向転換ユニットの制御が煩雑である。
本態様は、より簡単な構造であって、搬送先が先行する搬送物と後続の搬送物とで相違する場合に、先行する搬送物と後続の搬送物の間隔を詰めた状態で後続の搬送物の搬送を停止させることなく搬送することができる搬送物排出装置を提供することを課題とするものである。
本態様では、姿勢変更手段でベース部材の姿勢を変更する。またベース部材は、複数の排出部材又は主搬送コンベアを支持するものである。
例えば姿勢変更手段によって複数の排出部材の一部を降下させることによって排出部材の一部を搬送体の間に沈めた状態とする。あるいは姿勢変更手段によってベース部材の一部を上昇させて、排出部材の一部を相対的に搬送体の間に沈めた状態とする。
また姿勢変更手段によって複数の排出部材の一部を上昇させることによって排出部材の一部を搬送体の間から出たとする。あるいは姿勢変更手段によってベース部材の一部を降下させて、排出部材の一部を相対的に搬送体の間から出た状態とする。
【0020】
ベース部材は複数の排出部材を支持するものであることが望ましい。
【0021】
姿勢変更手段は、ベース部材を傾斜姿勢に姿勢変更するものであることが望ましい。
【0022】
上記課題を解決するための望ましい態様は、主搬送路の一部を構成する主搬送コンベアから、搬送物を排出する搬送物排出装置であって、主搬送コンベアは、搬送物と接触して搬送物に搬送力を付与する搬送体を複数有し、当該搬送体が所定の間隔をあけて配置されたものである搬送物排出装置において、前記複数の搬送体の間から出没し、搬送体の間から出た状態で搬送物と接触し、搬送物に前記搬送体とは異なる方向の搬送力を付与する複数の排出部材と、前記複数の排出部材を支持するベース部材と、当該ベース部材を揺動させるベース揺動手段とを有し、ベース部材を揺動させることによって一部の領域に配された排出部材を搬送体の間から出して搬送物と接触させると同時に他の一部の領域に配された排出部材を搬送体の間に沈めた状態と、前記一部の領域に配された排出部材を搬送体の間に沈めると同時に前記他の一部の領域に配された排出部材を搬送体の間から出して搬送物と接触させる状態とを作ることが可能であり、ベース揺動手段は、2台のモータと、モータの回転運動を昇降運動に変換する変換手段を有し、ベース部材の一端側に1台のモータと一組の変換手段が配され、ベース部材の他端側に他の1台のモータと他の一組の変換手段が配され、ベース部材の端部を交互に昇降させることによってベース部材を揺動させることを特徴とする搬送物排出装置である。
【0023】
本態様では、ベース部材を揺動させることによって、一部の領域に配された排出部材を搬送体の間から出して搬送物と接触させると同時に他の一部の領域に配された排出部材を搬送体の間に沈めた状態と、前記一部の領域に配された排出部材を搬送体の間に沈めると同時に前記他の一部の領域に配された排出部材を搬送体の間から出して搬送物と接触させる状態とを作ることが可能である。
一部の領域(搬送物の搬送方向の上流側の領域又は下流側の領域)の排出部材と他の一部の領域(搬送物の搬送方向の下流側の領域又は上流側の領域)の排出部材は、いずれもベース部材に支持されており、共通のベース部材を揺動させるだけで同時に動作させることができる。すなわち、簡単な構成で一方(一部の領域)の排出部材の上昇又は下降と、他方(他の一部の領域)の排出部材の下降又は上昇とを同時に実施することができる。
そのため、搬送物排出装置の上方を、搬送先が相違する搬送物を同時に通過させることができる。
すなわち、先行する搬送物を主搬送コンベアから排出し、後続の搬送物を主搬送コンベアから排出しない場合には、先行する搬送物は、搬送体の間から出た一部の領域(上流側)の排出部材によって搬送力が付与されて他の一部の領域(下流側)の排出部材の位置まで移動し、さらに他の一部の領域(下流側)の排出部材によって搬送力が付与されて主搬送コンベアから排出される。ここで、先行する搬送物が他の一部の領域(下流側)の排出部材によって導かれているときには、先行する搬送物は、一部の領域(上流側)の排出部材を通過しており、一部の領域(上流側)の排出部材とは接触していない。
そのため、一部の領域(上流側)の排出部材を搬送体の間に沈めても、先行する搬送物の搬送(主搬送コンベアからの排出)には影響しない。そこで本発明では、ベース部材を揺動させて、一部の領域(上流側)の排出部材を搬送体の間に沈め、後続の搬送物が一部の領域(上流側)の排出部材と接触しないようにすることができる。
よって、後続の搬送物の搬送先が先行する搬送物の搬送先と相違しても、先行する搬送物が搬送物排出装置を通過する間、後続の搬送物の搬送を停止させる必要がなく、先行する搬送物と後続の搬送物の間隔を拡げることなく後続の搬送物を搬送することができる。その結果、複数の搬送物を速やかに搬送することができる。
【0024】
前記した様にベース揺動手段は、2台のモータと、モータの回転運動を昇降運動に変換する変換手段を有し、ベース部材の一端側に1台のモータと一組の変換手段が配され、ベース部材の他端側に他の1台のモータと他の一組の変換手段が配され、ベース部材の端部を交互に昇降させることによってベース部材を揺動させる。
【0025】
本態様では、ベース部材の一端側に1台のモータと一組の変換手段が配され、ベース部材の他端側に他の1台のモータと他の一組の変換手段が配されている。変換手段はモータの回転力を、往復直線方向の力に変換する。
ベース部材の一端側と他端側が、それぞれモータと変換手段によって昇降するので、一端側を上昇させて他端側を下降させたり、一端側を下降させて他端側を上昇させることができる。すなわち、ベース部材の端部を交互に昇降させることによってベース部材を揺動させることができる。また、モータの駆動の仕方により、ベース部材の両端を同時に上昇させたり、下降させることもできる。
よって、本発明による搬送物排出装置では、簡単な構成でベース部材を揺動させることができる。
変換手段としては、カム機構、クランク機構、リンク機構,ラックアンドピニオン、ネジ等を採用することができる。
【0026】
排出部材は、動力によって回転されるコロであり、当該コロは主搬送コンベアの搬送方向に対して傾斜した姿勢で配置されていることが望ましい。
【0027】
本態様では、排出部材は、動力によって回転されるコロであり、当該コロは主搬送コンベアの搬送方向に対して傾斜した姿勢で配置されているので、搬送物は、排出部材であるコロによって主搬送コンベアの搬送方向に対して傾斜した方向に搬送力が付与されて主搬送コンベアから排出される。
【0028】
搬送物を排出する際の排出軌跡の外縁側に配されたコロは、排出軌跡の内縁側に配されたコロに比べて回転速度が速いことが望ましい。
【0029】
本態様では、搬送物を排出する際の排出軌跡の外縁側に配されたコロは、排出軌跡の内縁側に配されたコロに比べて回転速度が速いので、搬送物には、排出軌跡の外縁側ほど移動速度が速くなる。そのため、主搬送コンベアの搬送方向に対して傾斜した方向を向き易い。
【0030】
長尺の回転体と、回転体に設けられた複数のプーリとを有し、複数のコロと対応するプーリとの間にそれぞれベルトが掛け渡されて複数のコロが一つの回転体によって回転されることが望ましい。
【0031】
本態様では、長尺の回転体と、回転体に設けられた複数のプーリとを有し、複数のコロと対応するプーリとの間にそれぞれベルトが掛け渡されて複数のコロが一つの回転体によって回転されるので、簡単な構成で複数のコロを同時に回転駆動することができる。また、ベルトが掛け渡されることにより、コロの向きを容易に変更することができる。すなわち、動力伝達が可能な範囲でベルトをねじることにより、コロの向きを主搬送コンベアの搬送方向と傾斜する方向に向けることができる。
【0032】
長尺の回転体は、ローラ本体の中にモータが内蔵されてなるモータ内蔵ローラであり、前記プーリは、ローラ本体の外周部に形成された環状の溝によって構成することもできる。
【0033】
前記環状の溝は、深さの異なるものが混在し、搬送物を排出する際の排出軌跡の外縁側に配されたコロに対応する溝は、排出軌跡の内縁側に配されたコロに対応する溝に比べて深さが浅いことが望ましい。
【0034】
本態様では、前記環状の溝は、深さの異なるものが混在し、搬送物を排出する際の排出軌跡の外縁側に配されたコロに対応する溝は、排出軌跡の内縁側に配されたコロに対応する溝に比べて深さが浅いので、ローラ本体の溝部分の半径が外縁側ほど大きい。よって、ローラ本体の1回転あたりのコロの回転量は、外縁側に配されたコロほど多くなる。すなわち、同一のローラ本体に対して、外縁側ほど溝の深さを浅くするという非常に簡単な構成で、外縁側のコロの回転速度が内縁側のコロの回転速度よりも速くなるように設定することができる。
【0035】
ベース部材の姿勢変更と共に移動する従動部材と、従動部材が移動する際に従動部材と接するガイド部材を有することが望ましい。
【0036】
本態様によると、ベース部材が姿勢変更する際にベース部材が安定する。
【0037】
主搬送路の流れ方向の上流側に配された上流側排出部材と、主搬送路の流れ方向の下流側に配された下流側排出部材があり、以下の姿勢をとることが可能であることが望ましい。
(1)上流側排出部材と下流側排出部材が共に搬送体から出た姿勢。
(2)上流側排出部材と下流側排出部材が共に搬送体の間に沈んだ姿勢。
(3)上流側排出部材が搬送体から出た状態であり、下流側排出部材が搬送体の間に沈んだ状態となる姿勢。
(4)上流側排出部材が搬送体の間に沈んだ状態であり、下流側排出部材が搬送体から出た状態となる姿勢。
【発明の効果】
【0038】
本発明の搬送物排出装置によると、先行する搬送物と後続の搬送物の搬送方向が相違する場合でも、後続の搬送物を停止させることなく搬送体によって搬送したり、排出部材によって排出することができ、複数の搬送物を連続的に速やかに搬送又は排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本実施の形態の搬送物排出装置を備えたコンベア装置の斜視図である。
図2図1のコンベア装置の分解斜視図である。
図3図2のコンベア装置に設けられた搬送物排出装置の分解斜視図である。
図4図3の搬送物排出装置の固定ユニット及び昇降機構の分解斜視図である。
図5図3の搬送物排出装置の可動ユニットの分解斜視図である。
図6図3の搬送物排出装置の部分拡大斜視図である。
図7】排出部材のコロに動力を付与するローラの側面図である。
図8】本発明の昇降用モータ内蔵ローラの端部の斜視図である。
図9】本発明の昇降用モータ内蔵ローラの断面図である。
図10】搬送物排出装置の側面図であり、(a)は、ベース部材の両端が上昇している状態を示し、(b)は、ベース部材の両端が下降している状態を示し、(c)は、ベース部材の一方の端部が上昇し、他方の端部が下降している状態を示し、(d)は、ベース部材の一方の端部が下降し、他方の端部が上昇している状態を示している。
図11】(a)は、図1のコンベア装置の平面図であり、先行する搬送物が搬送物排出装置に接近した状態を示し、(b)は、(a)の側面図である。
図12】(a)は、図1のコンベア装置の平面図であり、先行する搬送物が搬送物排出装置の上流側の排出部材によって主コンベアから排出されている状態を示し、(b)は、(a)の側面図である。
図13】(a)は、図1のコンベア装置の平面図であり、先行する搬送物が搬送物排出装置の下流側の排出部材によって主コンベアから排出されており、さらに後続の搬送物が搬送物排出装置の上流側の排出部材の上方に移動した状態を示し、(b)は、(a)の側面図である。
図14】(a)は、図1のコンベア装置の平面図であり、先行する搬送物が主コンベアから排出され、さらに後続の搬送物が主コンベアによって下流側へ搬送され、搬送物排出装置の上方にある状態を示し、(b)は、(a)の側面図である。
図15】(a)は、図1のコンベア装置の平面図であり、後続の搬送物が主コンベアによって搬送物排出装置の配置位置よりも下流側へ移動し、さらに別の後続の搬送物が主コンベアによって搬送されて搬送物排出装置に接近した状態を示し、(b)は、(a)の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、図面を参照しながら説明する。
図1に示す様に、コンベア装置1は、主搬送コンベア2と搬送物排出装置3とを有する。
【0041】
主搬送コンベア2は、図2に示す様に、複数のローラ5と、ローラ5を回転可能に支持する筐体6とを有する。各ローラ5同士は、所定の間隔をおいて平行に配置されており、少なくとも1つは駆動ローラ(モータ内蔵ローラ)であり、その他は従動ローラである。各ローラ5間には動力伝達ベルトが懸架されており、駆動ローラの動力が従動ローラに伝達される。図1に示す様に、ローラ5の上部は、主搬送コンベア2の搬送面4を構成している。すなわち、搬送物25(図11)は、主搬送コンベア2の搬送面4の高さ位置で、矢印Aで示す搬送方向に搬送される。
【0042】
搬送物排出装置3は、図3に示す様に、固定ユニット20、可動ユニット21、昇降機構12(ベース揺動手段 姿勢変更手段)を有する。
【0043】
固定ユニット20は、図4に示す様に、2つの基台7A,7Bを有する。
各基台7A,7Bは、床面に載置される載置部7aと、起立する鉛直部7bとを有する。基台7A,7Bは、略長方形状の板部材を折り曲げたような構造を呈している。図4に示す様に、鉛直部7bは、載置部7aと直交しており、鉛直部7bは固定ユニット20の外側に配置されている。各鉛直部7bは、同じ構造を有しているので、以下では一方の基台7Aの鉛直部7bについて説明し、他方の基台7Bは鉛直部7bの説明は省略する。
【0044】
鉛直部7bの両端には支持部13が設けられている。各支持部13は、後述の昇降機構12の昇降用モータ内蔵ローラ40,41の固定軸55(56)を支持する部位である。また、鉛直部7bには、各支持部13と隣接してガイド部19a、19bが設けられている。ガイド部19a、19bは、起立する鉛直部7bの上下に連続するラインを構成する部位であり、ガイド部19aとガイド部19bは、互いに対向している。
【0045】
次に図5を参照しつつ可動ユニット21について説明する。
可動ユニット21は、ベース部材8、排出部材9、コロ駆動用ローラ10(回転体)を有し、これらが一体化されたものである。
【0046】
ベース部材8は、図5の様に2つの縦部材8aと複数の横部材8bとで構成されている。
縦部材8aは、細長い板状の部材であり、長手方向に沿って複数の孔14が等間隔に設けられている。また、縦部材8aの両端付近には押圧部材(従動部材)32、33が設けられている。押圧部材32、33は、縦部材8aから突出する部材である。押圧部材32,33は、ベース部材8が揺動し、姿勢変更した際、ベース部材8と共に移動する。
【0047】
この様な構成を有する2つの縦部材8aが、互いに対向するように平行に配置されている。2つの縦部材8aを平行に配置した結果、押圧部材(従動部材)32、33は外側に突出している。また、2つの縦部材8aは、複数の横部材8bで連結固定されている。横部材8bは、水平な載置面16を有する部材であり、縦部材8aの長手方向に沿って等間隔に配置されている。
【0048】
横部材8bの載置面16には、横部材8bの長手方向に沿って複数の排出部材9が設置されている。排出部材9は、水平軸周りに回転するコロ17と、コロ17を支持する支持台23とで構成されている。支持台23は、横部材8bの載置面16にネジ止め等の固定手段によって固定されている。コロ17は、支持台23に固定された軸17aで、回転可能に支持されている。軸17aは、横部材8bの長手方向に対して、例えば15度〜45度傾斜している。すなわち、各排出部材9は、ベース部材8の横部材8bに対して所定の角度だけ傾斜した姿勢で固定されている。また、コロ17は、平面視すると横部材8bの載置面16上から逸脱している。
【0049】
図5に示す様に、排出部材9には2つのコロ17を備えた排出部材9aと、1つのコロ17を備えた排出部材9bとがある。すなわち、排出部材9aの支持台23aと、排出部材9bの支持台23bは、形状が相違している。排出部材9aでは、平面視して2つのコロ17が横部材8bの両側から突出しているが、排出部材9bでは、平面視して1つのコロ17が横部材8bの片側から突出している。
【0050】
各横部材8bに設置する排出部材9の数は同じでもよいが、搬送方向Aの上流側ほど多く、下流側ほど少なくすることもできる。すなわち、下流側へいくほど排出方向とは逆側の排出部材9は搬送物25と接触しにくくなるため、その領域の排出部材9を省略し、上流側から下流側へいくほど、設置数を減らすこともできる。例えば、各排出部材9が設けられた領域を平面視した際に、三角形を構成するように、4個、3個、2個、1個と数を減らしても差し支えない。
【0051】
縦部材8aの各孔14は、コロ駆動用ローラ10の軸10aを支持している。すなわち、各孔14にはコロ駆動用ローラ10の軸10aが挿通されている。図7に示す様に、コロ駆動用ローラ10の周面には、所定の間隔をおいて複数の溝18a〜18dが図7で見て左端から順に設けられている。各溝18a〜18dの溝深さは、図7で見て左方(溝18a側)から右方(溝18d側)へいくほど浅くなるように形成されている。コロ駆動用ローラ10に溝18a〜18dを設ける代わりに、直径が異なるプーリを装着してもよい。なお図7は、理解を容易にするために溝18a〜18dを誇張して図示している。実際の溝18a〜18dは、図7よりも浅い。
【0052】
複数のコロ駆動用ローラ10のうち、少なくとも1つは駆動ローラ(モータ内蔵ローラ)であり、その他は従動ローラである。各コロ駆動用ローラ10は、ベルトで連結されており、駆動ローラの動力が各従動ローラに伝達される。そのため、駆動ローラを駆動すると、全てのコロ駆動用ローラ10は一斉に回転する。
【0053】
各コロ駆動用ローラ10は、横部材8b上に設置された排出部材9のコロ17の真下に配置されている。コロ駆動用ローラ10と各コロ17の軸17aは、平面視して15度〜45度傾斜しており、各コロ17の向きとコロ駆動用ローラ10の向きは相違している。また、各コロ17と、その真下のコロ駆動用ローラ10の溝18a〜18dにはベルト11a〜11d(図6)が懸架されている。ベルト11a〜11dは、コロ17とコロ駆動用ローラ10の間の部分でねじれているが、動力の伝達は可能である。すなわち、コロ駆動用ローラ10が回転すると、ベルト11a〜11dを介して各コロ17に回転力が伝達されて各コロ17は回転する。
【0054】
各コロ17の回転速度は、ベルト11aが懸架されたコロ17が最も遅く、ベルト11dが懸架されたコロ17が最も速い。すなわち、ベルト11aは、コロ駆動用ローラ10における最も深い溝18aに懸架されており、ベルト11dは、最も浅い溝18dに懸架されている。浅い溝の外周長さは、深い溝の外周長さよりも長い。よって、共通のコロ駆動用ローラ10の1回転あたりのベルトの走行距離は、浅い溝に懸架されているベルトほど長くなる。すなわち、単位時間あたりのコロの回転量は、走行距離が長いベルトが懸架されているコロ17ほど多くなり、当該コロ17の回転速度は速い。
【0055】
回転速度が速いコロ17と遅いコロ17の上に同時に載った搬送物25(図1)は、回転速度が遅いコロ17側を内縁側に、回転速度が速いコロ17側を外縁側とした軌跡(排出軌跡)を描いて搬送方向が変更される。
【0056】
各排出部材9aの2つのコロ17に各々ベルト11a(11b〜11d)が懸架されると、排出部材9aは2本のベルト11a(11b〜11d)から下向きの力を受ける。しかしながら、前述の様に、各コロ17が横部材8bの両側から突出しており、2本のベルト11a(11b〜11d)から受ける力は、横部材8bの両側に掛かって均整がとれている。そのため排出部材9aは、横部材8bに対して均等に押し付けられる。すなわち、横部材8bによる排出部材9aの支持は安定している。
【0057】
コロ駆動用ローラ10の回転駆動は、図示しない制御装置によって制御されている。すなわち、各コロ17の回転は、図示しない制御装置によって制御されている。
以上説明したベース部材8、各排出部材9、各コロ駆動用ローラ10は一体化されており、可動ユニット21を構成している。
【0058】
次に昇降機構12について説明する。昇降機構12は、ベース部材8を揺動して姿勢変更させる機構であり、揺動手段であり且つ姿勢変更手段である。
図3図4に示す昇降機構12は、固定ユニット20に支持されながら、可動ユニット21の一端を個別に昇降させる機能を有するものである。昇降機構12は、2本の昇降用モータ内蔵ローラ40,41と、各昇降用モータ内蔵ローラ40,41の両端に配置されたリング76(変換手段)とを有する。
【0059】
図9に示す様に、昇降用モータ内蔵ローラ40,41は、公知のモータ内蔵ローラと同様に円筒体50内に、モータ51と減速機52が内蔵され、モータ51の回転を減速して円筒体50に伝達するものである。円筒体50から突出した固定軸55,56はいずれも全く回転しない。そしてモータ51を駆動すると、モータ51の回転力は、減速機52を経て円筒体50に伝達される。その結果、外側の円筒体50が減速されて回転する。
昇降用モータ内蔵ローラ40,41では、標準的な減速比の減速機52が採用されている。また昇降用モータ内蔵ローラ40,41では、ベース部材8(固定ユニット20)の姿勢を安定させる為に内部に抵抗部材が設けられている。さらに昇降用モータ内蔵ローラ40,41は、形状が特殊な蓋部材70,71を備えている。
【0060】
すなわち円筒体50は、両端が開口した部材であり、その両端は、蓋部材70,71によって封鎖されている。なお蓋部材70,71と、固定軸55,56との間には軸受け72,73が介在されており、蓋部材70,71は、円筒体50と共に回転し、固定軸55,56は回転しない。
【0061】
蓋部材70,71の形状は特異であり、図8に示した様な偏心構造を持っている。すなわち蓋部材70,71は、円筒体50と嵌合する部位と、円筒体50から突出する部位があり、突出する部位には固定軸55,56に対して偏心した中心を持つ孔を有し、円形突起(変換手段)75が設けられている。
【0062】
リング76(変換手段)は、図8に示す様に、孔76aと孔78とを有する。孔76aと孔78の間には、連接部77が設けられている。孔76aには、ベアリングを介して円形突起75が嵌め込まれている。孔78には、図4において軸芯が一点鎖線上にある軸(図示せず)が挿通され、この軸を介してリング76とベース部材8の縦部材8aとが相対回転可能に接続されている。すなわち、リング76を介して、昇降用モータ内蔵ローラ40(41)と、可動ユニット21のベース部材8(縦部材8a)が接続されている。
【0063】
前記した昇降用モータ内蔵ローラ40,41の固定軸55,56は、リング76を貫通して固定ユニット20の基台7の支持部13に取り付けられている。
【0064】
2本の昇降用モータ内蔵ローラ40,41は、図示しない制御装置によって、個別に独立して回転したり、同期して回転することができる。
【0065】
昇降用モータ40(41)を回転させると、リング76の孔76aの内壁が円形突起75に押圧され、リング76は孔78を挿通する軸を中心に揺動する。その結果、孔78を挿通する軸の高さが変化し、ベース部材8(可動ユニット21)の高さが変化する。
リング76及び円形突起75は一種のカムであり、円形突起75が回転することによってベース部材8との接続部分の高さが変わる。
【0066】
昇降用モータ内蔵ローラ40に接続された一対のリング76はベース部材8の一端に接続されており、昇降用モータ内蔵ローラ41に接続された一対のリング76はベース部材8の他端に接続されている。
【0067】
2本の昇降用モータ内蔵ローラ40,41を同期して回転させ、図10(a)、図10(b)に示す様に、ベース部材8(可動ユニット21)を、基台7(固定ユニット20)に対して傾くことなく上昇又は下降させることができる。
【0068】
また、昇降用モータ内蔵ローラ40,41の一方だけを回転させ、図10(c)に示す様に、可動ユニット21の上流側(搬送方向Aの上流側)の部分を下降させると共に可動ユニット21の下流側の部分を上昇させたり、図10(d)に示す様に、可動ユニット21の上流側(搬送方向Aの上流側)の部分を上昇させると共に可動ユニット21の下流側の部分を下降させることもできる。
昇降用モータ内蔵ローラ40,41の一方だけを回転させることにより、可動ユニット21のベース部材8が揺動する。
【0069】
さらに、図10(a)又は図10(b)に示す状態から、各昇降用モータ内蔵ローラ40,41の一方のみを独立して回転させ、可動ユニット21の上流側の部分のみ、又は下流側の部分のみを昇降させることもできる。
【0070】
可動ユニット21が上昇すると、排出部材9のコロ17がローラ5の搬送面4よりも上方に突出(上昇)する。また、可動ユニット21が下降すると、コロ17はローラ5の搬送面4よりも下方に没入(下降)する。
【0071】
そのため主搬送路の流れ方向の上流側に配された排出部材群を上流側排出部材とし、主搬送路の流れ方向の下流側に配された排出部材群を下流側排出部材としたとき、上流側排出部材と下流側排出部材は以下の姿勢をとることが可能である。
(1)上流側排出部材と下流側排出部材が共にローラ5から上に出た姿勢(ベース部材8が水平姿勢であって排出部材が上昇した状態)。
(2)上流側排出部材と下流側排出部材が共にローラ5の間に沈んだ姿勢(ベース部材8が水平姿勢であって排出部材が降下した状態)。
(3)上流側排出部材がローラ5から上に出た状態であり、下流側排出部材がローラ5の間に沈んだ状態となる姿勢(ベース部材8が傾斜姿勢であって上流側排出部材が上昇し下流側が降下した姿勢)。
(4)上流側排出部材がローラ5の間に沈んだ状態であり、下流側排出部材がローラ5から上に出た状態となる姿勢(ベース部材8が傾斜姿勢であって上流側排出部材が降下し下流側が上昇した姿勢)。
ベース部材8が水平姿勢から傾斜姿勢に変化するとき、およびその逆の動作を行うときに、ベース部材8が揺動することとなる。
【0072】
昇降用モータ内蔵ローラ40のみを駆動し、可動ユニット21の上流側の部位のみが昇降する際、可動ユニット21のベース部材8(縦部材8a)に設けられた押圧部材32が、固定ユニット20の基台7(鉛直部7b)に設けられたガイド部19aに沿って移動する。そのため、可動ユニット21の姿勢が安定する。
【0073】
前述の円形突起75とリング76とで構成した変換手段は、別の構成に置き換えることもできる。例えば、変換手段としてカム機構、クランク機構、リンク機構,ラックアンドピニオン、ネジ等を採用することができる。
【0074】
次に、コンベア装置1の動作について説明する。
コンベア装置1の搬送方向Aの上流側及び下流側には、図示しない別の搬送コンベアが隣接配置されて、搬送物25を搬送する主搬送路15(図11)を構成している。搬送物25は、主搬送路15に沿って搬送される。搬送物排出装置3を備えたコンベア装置1は、上流側の別の搬送コンベアから搬送されてきた搬送物25をそのまま主搬送路15に沿って下流側の別の搬送コンベアへ搬送したり、主搬送路15とは異なる方向へ排出することもできる。
【0075】
すなわちベース部材8を水平姿勢であって排出部材が上昇した状態とすることにより、搬送物25,26を連続的に主搬送路15から側方に排出することができる。
ベース部材8を水平姿勢であって排出部材が降下した状態とすることにより、搬送物25,26を連続的に主搬送路15に沿って搬送することができる。
ベース部材8を傾斜姿勢であって上流側排出部材が上昇し下流側が降下した姿勢とすることにより、下流側で先行する搬送物25を直進させつつ、上流側で後続の搬送物26を側方に排出するべく受け入れることができる。
ベース部材8を傾斜姿勢であって上流側排出部材が降下し下流側が上昇した姿勢とすることにより、下流側で先行する搬送物25を側方に排出しつつ、上流側で後続の搬送物26を直進させるべく受け入れることができる。
【0076】
例えば図11に示す様に、コンベア装置1の主搬送コンベア2上に先行する搬送物25が搬送され、図示しないセンサによって、搬送物25の搬送先が主搬送路15とは異なる方向への排出先であることが検出されると、図示しない制御装置は、搬送物排出装置3の排出部材9(コロ17)を搬送面4よりも上に上昇させる(図11(b))。
本実施形態では、ベース部材8が傾斜姿勢であって上流側排出部材が上昇し下流側が降下した姿勢とする。その結果、図11(b)の様に上流側排出部材がローラ5から上に出た状態となり、下流側排出部材がローラ5の間に沈んだ状態となる。
【0077】
搬送物25は、上流側排出部材のコロ17上に乗り上げる。
そして続いて昇降機構12を動作させ、ベース部材8を揺動させて図12の様にベース部材8が水平姿勢であって排出部材9(コロ17)が上昇した状態に姿勢変更する。その結果、図12の様に、上流側排出部材と下流側排出部材が共にローラ5から上に出た姿勢となる。
そのため図12に示す様に、先行する搬送物25は、回転するコロ17によって傾斜方向(排出先)に導かれる。さらに搬送物25は、図13に示す様に、搬送物排出装置3の上流側の排出部材9(コロ17)から下流側の排出部材9(コロ17)に移動する。
また、先行する搬送物25に続いて主搬送コンベア2上には後続の搬送物26が搬送されてくる。後続の搬送物26の搬送先が、主搬送コンベア2に沿った直進方向(主搬送路15)である場合には、図示しない制御装置は上流側の昇降用モータ内蔵ローラ40を駆動させ、ベース部材8を揺動して図13の様にベース部材8を姿勢変更する。すなわちベース部材8が傾斜姿勢であって上流側排出部材が降下し下流側が上昇した姿勢に姿勢変更する。その結果、上流側排出部材がローラ5の間に沈んだ状態となり、下流側排出部材がローラ5から上に出た状態となる。
こうして上流側の排出部材9(コロ17)を搬送面4よりも下方に没入させる(図13(b))。このとき、下流側の排出部材9(コロ17)は、搬送面4よりも上に突出しているため、先行する搬送物25の側方への排出は継続して行われ、上流側の排出部材9(コロ17)は、搬送面4よりも下に没入しているので、後続の搬送物26はローラ5によって主搬送コンベア2に沿って搬送される。
【0078】
この様に、ベース部材8を傾斜姿勢であって上流側排出部材が降下し下流側が上昇した姿勢とすることにより、上流側排出部材が搬送体から出た状態となり、下流側排出部材が搬送体の間に沈んだ状態となる。そのため下流側で先行する搬送物25を側方に排出しつつ上流側で後続の搬送物26を直進するべく受け入れることができる。
【0079】
図14に示す様に、先行する搬送物25が主搬送コンベア2から排出されたとき、後続の搬送物26が主搬送コンベア2に沿ってさらに下流側へ移動してくる。
ここで本実施形態では、ベース部材8が水平姿勢であって排出部材が降下した状態に変化させる。その結果、上流側排出部材と下流側排出部材が共に搬送体の間に沈んだ姿勢となる。
具体的には、図示しない制御装置は、下流側の昇降用モータ内蔵ローラ41を駆動し、ベース部8を揺動して下流側の排出部材9(コロ17)を搬送面4より下に没入させる。そのため、後続の搬送物26は、ローラ5によって主搬送コンベア2に沿って下流側へ搬送される。
【0080】
さらに、図15に示す様に、搬送物26に続いて別の搬送物27が主搬送コンベア2上に搬送され、搬送物27の搬送先が排出方向である場合には、図示しない制御装置は、上流側の昇降用モータ内蔵ローラ40を駆動し、ベース部8を揺動して排出部材9(コロ17)を搬送面4より上に突出させる。このとき、下流側の排出部材9(コロ17)は、搬送面4より下に没入しているため、搬送物26の主搬送コンベア2に沿った搬送は、良好に継続される。
そして、搬送物26が下流側の排出部材9(コロ17)の上方を通過すると、図示しない制御装置は、下流側の排出部材9(コロ17)を搬送面4よりも上に上昇させる。
以下、上述した同様の動作が繰り返し行われる。
【0081】
以上説明した実施形態では、排出部材9を有する側を姿勢変更させる構成を採用し、排出部材9を支持するベース部材8に昇降機構12を取り付けた。
しかしながら、排出部材9の搬送体(ローラ5)からの出没は、相対的なものであるから、搬送体(ローラ5)側を姿勢変更させて排出部材9を搬送体(ローラ5)からの出没させてもよい。この場合には、主搬送コンベア2側をベース部材とし、主搬送コンベア2に昇降機構12を取り付けて主搬送コンベア2を揺動させることとなる。
【0082】
以上説明した実施形態では、昇降機構12は、2本の昇降用モータ内蔵ローラ40,41を備え、一方の昇降用モータ内蔵ローラ40でベース部材8の一端を昇降し、他方の昇降用モータ内蔵ローラ41でベース部材8の他端を昇降させることによって、ベース部材の昇降と揺動とを行わせている。
これに代わって、ベース部材を昇降させる機構と、揺動させる機構を別個に設けてもよい。
例えばベース部材をピン等を中心として揺動する様に構成し、ベース部材揺動用モータでベース部材を揺動させる。
またベース部材をガイドに沿って昇降可能とし、昇降用のモータを別途設けてベース部材を昇降させる。
【符号の説明】
【0083】
2 主コンベア(主搬送コンベア)
3 搬送物排出装置
5 ローラ(搬送体)
8 ベース部材
9 排出部材
10 コロ駆動用ローラ(回転体)
11 ベルト
12 昇降機構(ベース揺動手段)
15 主搬送路
17 コロ
18a〜18d コロ駆動用ローラの環状の溝(プーリ)
25 先行する搬送物
40,41 昇降用モータ内蔵ローラ
75 円形突起(変換手段)
76 リング(変換手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15