特許第6565038号(P6565038)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6565038
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】木造骨組構造と木造骨組構造の免震構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/26 20060101AFI20190819BHJP
   E04B 1/58 20060101ALI20190819BHJP
   E04B 1/94 20060101ALI20190819BHJP
   E04H 9/02 20060101ALI20190819BHJP
【FI】
   E04B1/26 G
   E04B1/58 508L
   E04B1/58 511L
   E04B1/58 507L
   E04B1/94 R
   E04H9/02 301
   E04H9/02 331Z
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-212717(P2016-212717)
(22)【出願日】2016年10月31日
(65)【公開番号】特開2018-71204(P2018-71204A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2019年3月12日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】715009617
【氏名又は名称】有限会社たなや建築設計事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 徹
【審査官】 立澤 正樹
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5807228(JP,B1)
【文献】 特開2008−14036(JP,A)
【文献】 特開2001−279816(JP,A)
【文献】 特公平7−110486(JP,B2)
【文献】 特許第3041271(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/26
E04B 1/58
E04B 1/94
E04H 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
角材からなる小径木の接合面に構造用接着剤を塗布し、プレート金物を埋設させ、小径木を接合させて構成した構造体からなる建築物の木造骨組構造であって、
構造体である柱には、
I字形相欠きを十字組した十字形であって、柱の上端中央部に埋設させ、かつ、その一部を柱の上方に突出させてなる柱接続用プレート金物と、
L字形であって、L字形の角部を柱の中心に向けて柱接続用プレート金物に沿わせるとともに、対角線上に配置した状態で、柱の上端部から下端部まで埋設させ、かつ、その一部を柱の上方に突出させた柱補強用プレート金物と、
柱の下端中央部に、柱の下方から接続される他の柱の上方に突出している柱接続用プレート金物と柱補強用プレート金物を挿入できるようにした十字形のスリット部と、
I字形相欠きを十字組した十字形であって、柱の中間中央部に埋設させ、かつ、その一部を梁が接続される方向に突出させた梁接続用プレート金物と、
を設けたことを特徴とする木造骨組構造。
【請求項2】
構造体である梁には、
I字形であって、梁の径方向中心部に、垂直状に、梁の端部から端部まで埋設させた梁補強用プレート金物と、
梁の両端に柱の梁接続用のプレート金物を挿入するためのI字形のスリット部と、
を設けたことを特徴とする請求項1に記載の木造骨組構造。
【請求項3】
構造体である柱、梁には、その周囲の表層に燃え代木材を設け、燃え代木材の内側には、燃え代木材に対して並列状に、燃え止まり木材と不燃材が交互に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の木造骨組構造。
【請求項4】
構造体である基礎コンクリートには、柱の上端部から突出した柱接続用プレート金物と
柱補強用プレート金物と同様なプレート金物が設けられ、かつ、その柱補強用のプレート金物に相当するプレート金物は上方から接続される柱の柱補強用プレート金物とは逆対角線上に設けられ、
基礎コンクリートと柱とは、柱の下端中央部に設けられた十字形のスリット部に、基礎コンクリートに設けられたプレート金物を挿入し、柱補強用プレート金物と、基礎コンクリートに設けられた柱接続用プレート金物と柱補強用プレート金物との3枚のプレート金物をボルトにより結合して接続されていることを特徴とする請求項1に記載の木造骨組構造。
【請求項5】
構造体である柱と柱とは、
柱の下端中央部の設けられた十字形のスリット部に、下方から接続される他の柱の上端中央部に突出して設けられたプレート金物を挿入し、柱補強用プレート金物と、他の柱に設けられた柱接続用プレート金物と、他の柱に設けられ柱の柱補強用プレート金物とは逆対角線上に配置されている柱補強用プレート金物との3枚のプレート金物をボルトにより結合して接続されていることを特徴とする請求項1に記載の木造骨組構造。
【請求項6】
構造体である柱と梁とは、
梁に設けられたI字形のスリット部に、柱の梁接続用プレート金物を挿入し、梁の補強用のプレート金物と柱に設けられた梁接続用プレート金物との2枚のプレート金物をボルトにより接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載の木造骨組構造。
【請求項7】
小径木の角材で構成され、小径木の角材の接合部に構造接着剤を塗布し、プレート金物を埋設させて、小径木を結合した構造体からなる建築物の木造骨組構造であって、
請求項1の柱と、請求項2の梁で構成するとともに、
建物の1階の空間に、下部は基礎コンクリートに固定し、上部は梁に固定して建てた踏ん張り構造を持った複数本の柱と、その複数本の柱の上部に、その中間部に作用支点を持つ振子と、を設けて、地震波を制御することを特徴とする請求項1に記載の木造骨組構造の免震構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木造骨組構造と木造骨組構造の免震構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願人は以前に高層の木造骨組構造について出願し、特許第5807228号を取得している。その木造骨組構造は、角材からなる小径木の接合面に構造接着剤を塗布し、プレート金物を埋設させ、小径木を接合させて構成した構造体からなる建築物の木造骨組構造であって、構造体である柱は
(イ)I字形相欠きを十字組した十字形であって、柱の上端中央部に埋設させ、かつ、その一部を柱の上方に突出させてなる柱接続用プレート金物と、
(ロ)I字形相欠きを十字組した十字形であって、柱の中間中央部に埋設させ、かつ、その一部を梁が接続される方向に突出させた柱の梁接続用プレート金物と、
(ハ)柱の下端中央部に、柱の下方から接続される他の柱の上方に突出させた柱接続用のプレート金物を挿入できるようにしたスリット部と、
からなり、構造体である梁は、
(二)梁の両端に 柱の梁接続用プレート金物を挿入するためのスリット部と、から構成されている。
そして、構造体である柱と柱との接続は、柱の下端中央部に設けられたスリット部に、下方から接続される他の柱の上端中央部に突出して設けられたプレート金物を挿入し、構造体である柱と梁とは、梁に設けられたスリット部に、柱の梁接続用プレート金物を挿入して、ボルトで結合して接続していた。
【0003】
この特許文献1に記載した木造骨組構造を採用すれば、先ず構造計算を簡素化すること
が出来る。そして、構造物の構造を剛節構造(ラーメン構造)にすることができる。また、金物への結露も解消できるため、錆びの発生がなく、その結果、耐久性のある建築物になります。また、木材の大きな断面で燃え代設計ができるので、建築物の準耐火構造は十分な対応が可能になる。
構造計算を簡素化できることと剛節構造(ラーメン構造)について説明すると、従来の木造建築の継手、仕口は高度な継手(金輪継ぎ込み栓打ち)や仕口(地獄ほぞ、追掛け大栓継ぎ、2枚ほぞ挿し)にすることで継手や仕口が強固になりますが、半固定であるため、継手、仕口が動き、継手、仕口が完全な剛節構造(ラーメン構造)にならないために、限界耐力計算などの非常に難しい計算が必要です。これに対して、特許文献1に記載した木造骨組構造を採用すれば継手、仕口に、プレート金物にボルトを介することにより、完全な剛節構造(ラーメン構造)になり、鉄骨構造や鉄筋コンクリート構造のラーメン構造と同様の解析になることで、構造計算が簡素化できるようになる。
更に、プレート金物、ボルトの結露は木造骨組構造の集成材の中にあることで、集成材は断熱材であり、温度が一定のため、外気の温度変化の影響を受けることなく、季節の温度変化や日々の温度変化を受けることがなく、結露の発生がなく、錆びが発生しません。

【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5807228号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の木造骨組構造例を採用して、例えば40階建て等の高層木造建築物や大空間の木造建築物では、柱や梁等の構造断面が大きくなり、有効利用できる床面や空間が制限されます。
そこで、高層木造建築物や大空間の木造建築物において、有効利用できる床面や空間を確保するには、柱や梁等の許容応力が高く、曲げモーメント、剪断力、座屈に耐え、継手、仕口が強化された構造体が必要になります。
更に高層木造建築物や大空間の木造建築物の耐火仕様や免震仕様を満足できる新技術の開発が望まれています。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、このような課題を解決するために、本願発明の木造骨組構造は、角材からなる小径木の接合面に構造用接着剤を塗布し、プレート金物を埋設させ、小径木を接合させて構成した構造体からなる建築物の木造骨組構造であって、構造体である柱には、I字形相欠きを十字組した十字形であって、柱の上端中央部に埋設させ、かつ、その一部を柱の上方に突出させてなる柱接続用プレート金物と、L字形であって、L字形の角部を柱の中心に向けて柱接続用プレート金物に沿わせるとともに、対角線上に配置した状態で、柱の上端部から下端部まで埋設させ、かつ、その一部を柱の上方に突出させた柱補強用プレート金物と、柱の下端中央部に、柱の下方から接続される他の柱の上方に突出している柱接続用プレート金物と柱補強用プレート金物を挿入できるようにした十字形のスリット部と、I字形相欠きを十字組した十字形であって、柱の中間中央部に埋設させ、かつ、その一部を梁が接続される方向に突出させた梁接続用プレート金物と、を設けたことを特徴とする。
【0007】
また、構造体である梁には、I字形であって、梁の径方向中心部に、垂直状に、梁の端部から端部まで埋設させた梁補強用プレート金物と、梁の両端に柱の梁接続用のプレート金物を挿入するためのI字形のスリット部と、を設けたことを特徴とする。
【0008】
また、構造体である柱、梁には、その周囲の表層に燃え代木材を設け、燃え代木材の内側には、燃え代木材に対して並列状に、燃え止まり木材と不燃材が交互に配置されていることを特徴とする。
【0009】
また、構造体である基礎コンクリートには、柱の上端部から突出した柱接続用プレート金物と柱補強用プレート金物と同様なプレート金物が設けられ、かつ、その柱補強用のプレート金物に相当するプレート金物は上方から接続される柱の柱補強用プレート金物とは逆対角線上に設けられ、基礎コンクリートと柱とは、柱の下端中央部に設けられた十字形のスリット部に、基礎コンクリートに設けられたプレート金物を挿入し、柱補強用プレート金物と、基礎コンクリートに設けられた柱接続用プレート金物と柱補強用プレート金物との3枚のプレート金物をボルトにより結合して接続されていることを特徴とする。
【0010】
また、構造体である柱と柱とは、柱の下端中央部の設けられた十字形のスリット部に、下方から接続される他の柱の上端中央部に突出して設けられたプレート金物を挿入し、柱補強用プレート金物と、他の柱に設けられた柱接続用プレート金物と、他の柱に設けられ柱の柱補強用プレート金物とは逆対角線上に配置されている柱補強用プレート金物との3枚のプレート金物をボルトにより結合して接続されていることを特徴とする。
【0011】
また、構造体である柱と梁とは、梁に設けられたI字形のスリット部に、柱の梁接続用プレート金物を挿入し、梁の補強用のプレート金物と柱に設けられた梁接続用プレート金物との2枚のプレート金物をボルトにより接続されていることを特徴とする。
【0012】
また、木造骨組構造の免震構造は小径木の角材で構成され、小径木の角材の接合部に構造接着剤を塗布し、プレート金物を埋設させて、小径木を結合した構造体からなる建築物の木造骨組構造であって、0006に記載している柱と、007に記載している梁で構成するとともに、建物の1階の空間に、下部は基礎コンクリートに固定し、上部は梁に固定して建てた踏ん張り構造を持った複数本の柱と、その複数本の柱の上部に、その中間部に作用支点を持つ振子と、を設けて、地震波を制御することを特徴とする。
【0013】
本願発明では、構造体である柱には上端から下端に亘って柱補強用プレート金物を設け、
また構造体である梁には端部から端部に亘って梁補強用プレート金物を採用している。このような構成にすることによって、特許文献1に記載している柱や梁の構成に比べて、柱、梁それ自体の強度(構造)を格段に補強されている。
【0014】
また、基礎コンクリートと柱の継手構造として、柱補強用プレート金物と、基礎コンクリート柱に設けられた柱接続用プレート金物と柱補強用プレート金物との3枚のプレート金物を、互いの柱補強用プレート金物が対角線と逆対角線に配置された状態で、ボルトにより結合し、柱と柱の接続構造として、柱補強用プレート金物と、他の柱に設けられた柱接続用プレート金物と、他の柱に設けられた柱の柱補強用プレート金物とは逆対角線上に配置されている柱補強用プレート金物との3枚のプレート金物をボルトにより結合し、柱と梁の接続構造として、梁の補強用のプレート金物と柱に設けられた梁接続用プレート金物との2枚のプレート金物をボルトにより結合するようにしているので、接続構造が特許文献1に記載している柱や梁の接続構造に対比して、格段に強化されている。
【0015】
しかも、構造体である柱にはL字形のプレート金物を採用して、L字形の角部を柱の中心に向けて、対角線上に配置した状態で、柱の上端部から下端部まで埋設させて設けることで、柱自身が補強され、座屈破壊を制御している。
また、構造体である柱と柱の接続構造として、L字形の柱補強用プレート金物をL字形の角部を柱の中心に向けて、対角線上に配置し、一方、接続される柱の柱補強用プレート金物はそれらと相欠き状態で接続するように逆対角線状に配置しているので、接続されるので、接続されると、接続構造が特許文献1に記載している柱や梁の接続構造に対比して、格段に強化されている。
さらに、構造体である梁にはI字形のプレート金物を採用知して、梁の径方向中心に、垂直状に梁の端部から端部まで埋設させて設けることで、梁の補強用が特許文献1に記載している柱や梁の接続構造に対比して、格段に強化されている。
構造体である柱に対角線上に配置した2か所のL字形プレート金物で構造体である柱の重心位置が柱の中心部になり、荷重が柱の重心位置に作用していくため、偏心荷重や捻じれの荷重等が起きにくく、荷重の伝達がスムースに伝達されるとともに、その対角線上に配置した2か所のL字形プレート金物と柱の十字組された梁接続用のI字形相欠きプレート金物と集成材がボルトで結合されることで、地震時の水平荷重等に対して、一体的に働くことで仕口部が強化されています。また、I字形相欠きプレート金物の相欠き部分の相互がバタフライ的に柔軟に動くことで、水平荷重を吸収して緩衝的な、役目を果たしています。
木造振子制震構造は地震時の水平荷重等に対して、複数本の踏ん張り転び集成柱の中心部の振子がゆっくりと後揺れすることで、構造体である柱、梁等や柱脚部、継手部、仕口部にかかる水平荷重が軽減されます。
荷重伝達は梁の重心から柱の重心に作用して、さらに基礎コンクリートへの荷重伝達がスムースに伝達され、特許文献1に記載している構造体である柱、梁等や柱脚継手部、継手部、仕口部の荷重伝達のスピードが格段に向上します。
【0016】
本願発明はこのような構成を採用した結果として、特許文献1の技術を採用した建造物の構造に対して、建造物が全体的にプレート金物で一体化させた強固な構造になるとともに地震に対しては柔軟な構造になっており、しかもそれをシンプルなL字形のプレート金物やI字形のプレート金物を採用した最小限のプレート金物の追加により実現している。
【0017】
また、建造物を全体的にプレート金物で一体化した構造にしている結果、特許文献1の構成に比べて、さらに構造計算が簡素化されるとともに、十分な空間が確保できるように設計することが出来るようになった。
【発明の効果】
【0018】
荷重支持集成材とプレート金物、ボルトと充填樹脂が三位一体に働くことで相乗効果が生まれ、大規模建築の大空間の荷重に、有効に働き、高層建築の大きな荷重に、対して有効に働き、構造体である柱、梁等の断面積を小さくできることで有効面積が確保でき、空間、階高の利用も拡大します。
【0019】
角材からなる小径木の接合面に構造用接着剤を塗布し、プレート金物を埋設させ、小径木を接合させて構成した構造体である柱や梁には、その周囲の表面に燃え代木材を設け、燃え代木材の内側には、燃え代木材に対して並列状に、燃え止まり木材と不燃材が交互に配置されているので、小径木からなる柱や梁と、燃え代木材と、燃え止まり木材とが連結されている構成になり、平時は木材同志の通気で呼吸できることになり、耐久性が維持されることになり、また、火災時には、不燃材の働きより燃え止まり木材の中間部分で確実に燃え止まらせることが出来るので、構造接着剤、プレート金物、ボルトが火災熱による加熱からある程度保護されることになり、各部材の性能を長期に維持できます。
【0020】
木造骨組構造の免震構造として、建物の1階の空間に、下部は基礎コンクリートに固定し、上部は梁に固定して建てた踏ん張り構造を持った複数本の柱と、その複数本の柱の上部に、その中間部に作用支点を持つ振子と、を設けたので、地震の時に、大きな振子がゆっくり動くことで、地震波が制御され、構造物や継手、仕口部にかかる、加速度が軽減され、地震波の荷重が大幅に軽減されることになる。また、構造体である柱、梁等の集成材や継手、仕口、プレート金物の荷重に合わせた、断面積を構造計算で設定することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】(A)集成柱〜集成柱・集成梁〜集成梁結合前側面図(B)同集成柱〜集成柱・集成梁〜集成梁結合側面図
図2】(A)集成柱中間部平面・断面図(B)同集成柱〜集成柱継手部結合平面・断面図 (C)同集成柱上部材、中間部平面・断面図(D)同集成柱脚継手部平面・断面図(E)同集成柱〜集成梁仕口部平面・断面図
図3】(A)集成柱上部材継手部結合前平面・断面図(B)同集成柱上部材継手部結合前断面図 (C)同集成柱下部材継手部結合前平面・断面図(D)同集成柱下部材継手部結合前断面・側面図
図4】(A)集成柱〜集成柱継手部結合平面・断面図(B)同集成柱〜集成柱継手部結合断面・側面図
図5】(A)集成柱〜集成梁仕口部結合前平面・断面図 (B)同集成柱〜集成梁仕口部結合前断面・側面図
図6】(A)集成柱〜集成梁仕口部結合平面・断面図(B)同集成柱〜集成梁仕口部結合断面図(C)同集成梁仕口部(端部)結合断面図(D)同集成梁仕口部(中央部)結合断面図
図7】(A)集成柱脚上部材結合前断面・平面図 (B)同集成柱脚上部材結合前断面・側面図 (C)同集成柱脚下部材結合前断平面図 (D)同集成柱脚下部材結合前断面・側面図
図8】(A)集成柱脚結合断面・平面図 (B)同集成柱脚結合断面・側面図
図9】(A)耐火プロテクター集成層基本部位図 (B)耐火プロテクター集成層隅角部図 (C)耐火プロテクター集成層中央部図
図10】木造振子制震構造のセンター集成柱側面・断面図
図11】複数本の転び柱木造振子制震構造のセンター集成柱断面・平面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて詳細に説明する。本発明の図1(A)は集成柱〜集成柱・集成梁〜集成梁結合前側面図で荷重支持柱集成材5は小径木52の木材を積層して積層の塗布面に構造用接着剤12を塗布して荷重支持柱集成材5にします。
上端部は荷重支持柱集成材5上部材の継手接合前、下端部の荷重支持柱集成材5の柱脚は基礎コンクリート32に継手結合前、荷重支持梁集成材6は仕口結合前です。
(B)は集成柱〜集成柱・集成梁〜集成梁結合側面図で上端部は荷重支持柱集成材5上部材の継手接合完了、下端部の荷重支持柱集成材5の柱脚に基礎コンクリート32に継手結合完了、荷重支持梁集成材6は仕口結合完了です。
構造用接着剤12はレゾルシノール樹脂接着剤、レゾルシノール・フェノール樹脂接着剤、水性高分子イソシアネート系接着剤等で用途に合わせて使い分けをします。
【0023】
荷重支持集成材と金物の隙間に充填樹脂を注入することで集成材、プレート金物、ボルトが三位一体に働くことで、荷重伝達も早く、剛性が高まります。空気に触れず、四季や日々の温度差による結露も発生がなく、錆びの発生がなく、耐久性が飛躍的に向上します。
【0024】
本発明の図2(A)は集成柱中間部平面・断面図で耐火プロテクター集成層1内側に荷重支持柱集成材5あり、中心部に2つの柱補強用プレート金物の第2鋼材のL字形プレート金物13−1第2をL字の角部が柱の中心に向かうように対角線上に入り、集成材59と柱補強用プレート金物の第2鋼材のL字形プレート金物13−1第2をボルト14−1と充填樹脂19−1で結合させています。
【0025】
(B)は集成柱〜集成柱継手部結合平面・断面図で耐火プロテクター1内側に下部材25の荷重支持柱集成材5の上端部の中心部に2つの柱補強用プレート金物の第2鋼材のL字形プレート金物13−1第2をL字の角部が柱の中心に向かうように対角線上に入り、下部材25の荷重支持柱集成材5の中心にアンカーされた十字組した柱の梁接続用プレート金物の第1鋼材のI字形相欠きプレート金物28−1第1に接合されています。
上部材24の荷重支持柱集成材5の下端部の十字形のスリット部8−1に結合させて中心部に2つの柱補強用プレート金物の第2鋼材のL字形プレート金物13−6第2をL字の角部が柱の中心に向かうように逆対角線上に入れて、ボルト14−1と充填樹脂19−1を介して結合し、柱継手部23は金物が3重に沿わせています。
【0026】
(C)は集成柱上部材、中間部平面・断面図で耐火プロテクター集成層1内側の上部材24の荷重支持柱集成材5は集成材59と中心部に2つの柱補強用プレート金物の第2鋼材のL字形プレート金物13−6第2をL字の角部が柱の中心に向かうように逆対角線上に入れ、ボルト14−1と充填樹脂19−1を介して結合した上部材24の荷重支持柱集成材5の構成です。
【0027】
(D)は集成柱脚継手部平面・断面図で基礎コンクリート32より中心部に2つの柱補強用プレート金物の第2鋼材のL字形プレート金物13−6第2をL字の角部が柱の中心に向かうように逆対角線上に入れ、基礎コンクリート32にアンカーされ、その中心に基礎コンクリート32にアンカーされた柱の梁接続用プレート金物の第1鋼材のI字形相欠きプレート金物28−1第1が突き出ています。
上部材24の荷重支持柱集成材5の下端部の十字形のスリット部8−1に結合させて、ボルト14−1と充填樹脂19−1を介して結合し、柱脚継手部53は金物で3重に沿わせています。
【0028】
(E)は集成柱〜集成梁仕口部平面・断面図で耐火プロテクター1内側の荷重支持柱集成材5の中心部に2つの柱補強用プレート金物の第2鋼材のL字形プレート金物13−1第1をL字の角部が柱の中心に向かうように対角線上に入れて、その中心に下部をアンカーされた柱の梁接続用プレート金物の第1鋼材のI字形相欠きプレート金物28−1第1が結合されて荷重支持柱集成材5の側面の中心に柱の梁接続用プレート金物の第1鋼材のI字形相欠きプレート金物28−1第1が垂直に入り、2方向に突き出しています。
【0029】
図3(A)は集成柱上部材継手部結合前平面・断面図で上部材24の荷重支持柱集成材5の中心部に2つの柱補強用プレート金物の第2鋼材のL字形プレート金物13−6第2をL字の角部が柱の中心に向かうように逆対角線上に入れた、集成材59で、上部材24の荷重支持柱集成材5の下端部には中心部に十字形のスリット部8−1を設けています。
【0030】
(B)は集成柱上部材継手部結合前断面図で上部材24の荷重支持柱集成材5の下端部には中心部に2つの柱補強用プレート金物の第2鋼材のL字形プレート金物13−1第1をL字の角部が柱の中心に向かうように逆対角線上に入れて、その中心部には金物が挿入できる、十字形のスリット部8−1を設けています。
【0031】
(C)は集成柱下部材継手部結合前平面・断面図で下部材25の荷重支持柱集成材5の上端部には中心部に2つの柱補強用プレート金物の第2鋼材のL字形プレート金物13−1第1をL字の角部が柱の中心に向かうように対角線上に入れて、その中心に下部をアンカーされた柱の梁接続用プレート金物の第1鋼材のI字形相欠きプレート金物28−1第1が結合されて荷重支持柱集成材5の上端部より突出しています。
【0032】
(D)は集成柱下部材継手部結合前断面・側面図で下部材25の図3(C)と同様な構成です。
【0033】
図4(A)は集成柱〜集成柱継手部結合平面・断面図で下部材25の荷重支持柱集成材5の中心部に2つの柱補強用プレート金物の第2鋼材のL字形プレート金物13−1第1をL字の角部が柱の中心に向かうように対角線上に入れ、また、上部材24の荷重支持柱集成材5の中心部に2つの柱補強用プレート金物の第2鋼材のL字形プレート金物13−6第2をL字の角部が柱の中心に向かうように逆対角線上に入れ、その中心に下部をアンカー結合された柱の梁接続用プレート金物のI字形相欠きプレート金物28−1第1が入り、上部材24の荷重支持柱集成材5の下端部の十字形のスリット部8−1に挿入してボルト14−1と充填樹脂19−1を介して結合させています。
また、柱継手部23の側面にスリット部8−1が設けられていて不燃シート+埋木18を埋め込みます。
【0034】
(B)は集成柱〜集成柱継手部結合断面・側面図で図4(A)と同様な構成です。
【0035】
図5(A)は集成柱〜集成梁仕口部結合前平面・断面図で図2(E)と同様な構成です。
【0036】
(B)は集成柱〜集成梁仕口部結合前断面・側面図で耐火プロテクター1内側の図5(A)と同様な構成です。
【0037】
図6(A)は集成柱〜集成梁仕口部結合平面・断面図で耐火プロテクター1内側の荷重支持柱集成材5の中心部に2つの柱補強用プレート金物の第2鋼材のL字形プレート金物13−1第1をL字の角部が柱の中心に向かうように対角線上に入れて、その中心に挟まれて柱の梁接続用プレート金物の第1鋼材のI字形相欠きプレート金物28−1第1を沿わせ、結合され、荷重支持柱集成材5の側面より柱の梁接続用プレート金物の第1鋼材のI字形相欠きプレート金物28−1第1が2方向に突出して、梁補強用プレート金物の第3鋼材のI字形プレート金物28−5第3が中心部に垂直に入り、端部から端部まで入った荷重支持梁集成材6の仕口部51を挿入してボルト14−1と充填樹脂19−1を介して結合されています。
【0038】
(B)は集成柱〜集成梁仕口部結合断面図で図6(A)と同様な構成です。
【0039】
(C)は集成梁仕口部(端部)結合断面図で荷重支持梁集成材6の端部の中心部に垂直に梁補強用プレート金物の第3鋼材のI字形プレート金物28−5第3が入り、荷重支持柱集成材5の側面より中心に柱の梁接続用プレート金物の第1鋼材のI字形相欠きプレート金物28−1第1と接合して荷重支持梁集成材6がボルト14−1と充填樹脂19−1を介して結合されています。
【0040】
(D)は集成梁仕口部(中央部)結合断面図で荷重支持梁集成材6の中央部に垂直に梁補強用プレート金物の第3鋼材のI字形プレート金物28−5第3が入り、ボルト14−1と充填樹脂19−1を介して結合されています。
【0041】
図7(A)は集成柱脚上部材結合前断面・平面図で荷重支持柱集成材5の中心部に2つの柱補強用プレート金物の第2鋼材のL字形プレート金物13−1第2をL字の角部が柱の中心に向かうように対角線上に入れ、集成材59に接続させます。
また、下端部の中心部には十字形にスリット部8−1が設けられています。
【0042】
(B)は集成柱脚上部材結合前断面・側面図で図7(A)と同様な構成です。
【0043】
(C)は集成柱脚下部材結合前断平面図で基礎コンクリート32に埋め込まれた中心部に2つの柱補強用プレート金物の第2鋼材のL字形プレート金物13−6第2をL字の角部が柱の中心に向かうように逆対角線上に入れ、その中心柱の梁接続用プレート金物の第1鋼材のI字形相欠きプレート金物28−1第1が基礎コンクリート32にアンカー結合されて、基礎コンクリート32の上端部に突出しています。
【0044】
(D)は集成柱脚下部材結合前断面・側面図で図7(C)と同様な構成です。
【0045】
図8(A)は集成柱脚結合断面・平面図で基礎コンクリート32に埋め込まれた中心部に2つの柱補強用プレート金物の第2鋼材のL字形プレート金物13−6第2をL字の角部が柱の中心に向かうように逆対角線上に入れ、その中心に柱の梁接続用プレート金物の第1鋼材のI字形相欠きプレート金物28−1第1が基礎コンクリート32にアンカー結合されて、荷重支持柱集成材5の中心部に2つの柱補強用プレート金物の第2鋼材のL字形プレート金物13−1第2をL字の角部が柱の中心に向かうように対角線上に入り、荷重支持柱集成材5の下端部の十字形にスリット部8−1に挿入し、ボルト14−1と充填樹脂19−1を介して結合されています。
【0046】
(B)は集成柱脚結合断面・側面図で図8(A)同様な構成です。
【0047】
図9(A)は耐火プロテクター集成層基本部位図で耐火プロテクター集成層1の1ブロックの構成は表層から燃え代木材7−1に燃え止まり木材7−2と同寸の不燃材3が耐火性接着剤4と不陸粘着接着剤2で荷重支持集成層等に接合させています。
燃え代木材7−1の間口2.0×奥行1.0に奥行連続して燃え止まり木材7−2の間口1.0×奥行5.0と同寸の不燃材3が接続し、連続し、荷重支持集成材に連続させることで通気性のある耐火プロテクター集成層1になります。
【0048】
(B)は耐火プロテクター集成層隅角部図で火災時に2方向より熱を受けるため燃え止まり木材7−2の奥行の半分位の補強不燃材34を設け、火災時の熱の影響を小さくして、火災時と火災終了時に荷重支持集成材への熱伝導による荷重支持集成材の強度低下と鋼材に熱による強度低下と歪を最小限にできます。
【0049】
(C)は耐火プロテクター集成層中央部図で図9(A)と同様な構成です。
【0050】
図10は木造振子制震構造のセンター集成柱側面・断面図で1階部分に位置して4階までの吹き抜け空間部に設けられた転び集成柱39が複数本より立ち上り、地上波を制御すると共に支点受け集成材40の支点で振子下部センター集成柱42と振子上部センター集成柱43は一体成型の集成柱がゆっくり動くことで地上波を制御でき、継手、仕口にかかる荷重が軽減されます。
また、上層階の階ごとに木造振子制震構造を設けるとで、各階の継手、仕口にかかる荷重が軽減されます。
【0051】
図11は複数本の転び柱木造振子制震構造のセンター集成柱断面・平面図で図10と同様な構成です。
【実施例】
【0052】
本発明は、地域産の材料を利用して木造の制震構造、耐火建築物の大規模建築や高層建築が可能となり地方の林業関連の産業が盛んになります。
また、住宅、集合住宅、保育園、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、大学、体育館、劇場、音楽堂、公会堂、集会所、公共建築物、市場、事務所、倉庫、展示場、保養所、ホテルの建物に適用でき、低炭素社会が実現できます。
【符号の説明】
【0053】
1・・耐火プロテクター集成層
2・・不陸粘着性接着剤
3・・不燃材
4・・耐火性接着剤
5・・荷重支持柱集成材
6・・荷重支持梁集成材
7-1・・燃え代木材
7-2・・燃え止まり木材
8-1・・スリット部
8-2・・スリット空間部
9・・荷重支持筋交集成材
10・・銅板厚3.0mm
11・・荷重支持火打梁集成材
12・・構造用接着剤
13-1第2・・第2鋼材のL字形プレート金物
13-2第1・・第1鋼材のL字形十字プレート金物
13-3第1・・第1鋼材のT字形プレート金物
13-4第1・・第1鋼材の十字形プレート金物
13-5第1・・第1鋼材の鍔付十字形プレート金物
13-6第2・・第2鋼材のL字形プレート金物
14-1・・ボルト
14-2・・ボルト位置
14-3・・ボルト孔
15・・ビス
16・・大入れ部
17・・取り付けビス
18・・不燃シート+埋木
19-1・・充填樹脂
19-2・・充填樹脂注入孔
20・・後付耐火プロテクター集成層
21−第6・・第6鋼材の小I字形プレート金物
22・・梁上部後打ちコンクリートスラブ
23・・柱継手部
24・・上部材
25・・下部材
26・・コンクリートスラブ
27・・梁天端より500mm場所
28−1第1・・第1鋼材のI字形相欠きプレート金物
28−2第4・・第4鋼材の小I字形相欠きプレート金物
28−3第1・・第1鋼材のL字形相欠きプレート金物
28−4第1・・第1鋼材の鍔付I字形相欠きプレート金物
28−5第3・・第3鋼材のI字形プレート金物
28−6第5・・第5鋼材のI字形プレート金物
29・・アンカーボルト
30・・ベースプレート金物
31・・無収縮モルタル
32・・基礎コンクリート
33・・隅角部
34・・補強不燃材
35・・大入れ部
36・・凹部
37・・振子下部センター集成柱
38・・振子上部センター集成柱
39・・転び集成柱
40・・支点受け集成梁
41-1・・受け集成梁
41-2・・受け集成梁
42・・支点部
43・・基礎
44・・相欠き部
45・・大入れ部長ほぞ挿し
46・・空間部
47・・アンカー用孔
48・・重心位置
49・・荷重支持火打梁鋼管角パイプ(無収縮モルタル注入)
50・・荷重支持筋交鋼管角パイプ(無収縮モルタル注入)
51・・仕口部
52・・小径木
53・・柱脚継手部
54・・CLT厚板直交板
55・・荷重支持小梁集成材
56・・V字蟻形ほぞ
57・・地中梁コンクリート
58・・ボルト位置
59・・集成材
60・・オイルダンパー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11