特許第6565043号(P6565043)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ TOTO株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6565043-コーナー型洗面台 図000002
  • 特許6565043-コーナー型洗面台 図000003
  • 特許6565043-コーナー型洗面台 図000004
  • 特許6565043-コーナー型洗面台 図000005
  • 特許6565043-コーナー型洗面台 図000006
  • 特許6565043-コーナー型洗面台 図000007
  • 特許6565043-コーナー型洗面台 図000008
  • 特許6565043-コーナー型洗面台 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6565043
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】コーナー型洗面台
(51)【国際特許分類】
   A47K 1/00 20060101AFI20190819BHJP
   F24H 1/08 20060101ALI20190819BHJP
【FI】
   A47K1/00 B
   A47K1/00 K
   A47K1/00 R
   A47K1/00 U
   F24H1/08 B
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-194199(P2014-194199)
(22)【出願日】2014年9月24日
(65)【公開番号】特開2016-63934(P2016-63934A)
(43)【公開日】2016年4月28日
【審査請求日】2017年8月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100140486
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100170058
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 拓真
(74)【代理人】
【識別番号】100123641
【弁理士】
【氏名又は名称】茜ヶ久保 公二
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 隆司
(72)【発明者】
【氏名】香坂 幸史
(72)【発明者】
【氏名】塚崎 友里
(72)【発明者】
【氏名】矢野 裕之
【審査官】 小林 俊久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−212011(JP,A)
【文献】 特開2003−275113(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0271441(US,A1)
【文献】 特開2001−314336(JP,A)
【文献】 実開昭61−019079(JP,U)
【文献】 実開昭57−081691(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 1/00
A47B 67/02
E03C 1/00 − 1/02
F24H 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1壁及び当該第1壁に交差する第2壁によって規定されるコーナー部に設置可能なコーナー型洗面台であって、
ボウル部を有するカウンター部材と、
前記ボウル部に温水を吐水可能な水栓と、
前記カウンター部材の下方に配置されて、前記水栓に温水を供給する電気温水器と、
前記カウンター部材の下方に配置されて、上流側の一端が前記ボウル部に設けられた排水口に接続され、下流側の他端が排水管に接続されている排水トラップと、を備え、
前記カウンター部材の下方には、前記第1壁に沿って規定される第1収容空間と、前記第2壁に沿って規定される第2収容空間とが形成されており、
前記第1収容空間と前記第2収容空間とは、前記第1壁と前記第2壁との交差線を通って前記ボウル部を二等分する中心仮想平面によって区切られ、
前記電気温水器は、前記第1収容空間及び前記第2収容空間のうちの一方に配置され、前記排水トラップの全体は、前記第1収容空間及び前記第2収容空間のうちの他方に配置され
前記電気温水器が配置される前記第1収容空間及び前記第2収容空間のうちの一方において、前記第1壁又は前記第2壁と交差する交差方向にて、前記電気温水器よりも前記交差方向の前方には空間が設けられる、コーナー型洗面台。
【請求項2】
前記第1収容空間及び前記第2収容空間の下方には、車椅子使用者のつま先を受け入れ可能な受け入れ空間が形成されている、請求項1に記載のコーナー型洗面台。
【請求項3】
前記カウンター部材の下方で、前記第1収容空間及び前記第2収容空間よりも前記カウンター部材の前縁側である前方に配置されて、前記電気温水器又は前記排水トラップへの車椅子使用者の下肢の衝突を防止する衝突防止板をさらに備える、請求項1又は2に記載のコーナー型洗面台。
【請求項4】
前記電気温水器は、前記第1収容空間に配置される場合に前記第2壁との間に配管用の空間を規定し、前記第2収容空間に配置される場合に前記第1壁との間に配管用の空間を規定する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のコーナー型洗面台。
【請求項5】
前記第1壁に沿って配置されて前記カウンター部材を支持する第1側板と、
前記第2壁に沿って配置されて前記カウンター部材を支持する第2側板と、をさらに備え、
前記第1側板及び前記第2側板には配管用の開口が形成される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のコーナー型洗面台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに交差する一対の壁によって形成されるコーナー部に設置可能なコーナー型洗面台に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、例えば洗面所の1つの壁に沿って設置される洗面台が開示されている。この洗面台では、カウンター部材の下方に空間が形成されている。カウンター部材が固定された壁は車椅子使用者の正面に対向しているので、この空間は壁に沿って直方体の形状を有している。従って、この空間には例えば直方体の輪郭を有する電気温水器や排水トラップを収容しやすく、また、車椅子使用者の下肢を受け入れる空間も容易に確保することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−011940号公報
【特許文献2】特開2004−286314号公報
【特許文献3】特開2003−275113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば互いに交差する2つの壁によって形成されたコーナー部に設置されるコーナー型洗面台の場合、そのカウンター部材の下方には三角柱の形状を有する空間が形成される。従って、例えば直方体の輪郭を有する電気温水器や排水トラップを収容するには大きな空間的制約がある。加えて、車椅子使用者の下肢が電気温水器等に衝突しないように電気温水器等を配置しなければならない。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、カウンター部材の下方の空間に電気温水器等を効率良く配置することができるコーナー型洗面台を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るコーナー型洗面台は、第1壁及び当該第1壁に交差する第2壁によって規定されるコーナー部に設置可能なコーナー型洗面台であって、ボウル部を有するカウンター部材と、前記ボウル部に温水を吐水可能な水栓と、前記カウンター部材の下方に配置されて、前記水栓に温水を供給する電気温水器と、前記カウンター部材の下方に配置されて、上流側の一端が前記ボウル部に設けられた排水口に接続され、下流側の他端が排水管に接続されている排水トラップと、を備える。このコーナー型洗面台において、前記カウンター部材の下方には、前記第1壁に沿って規定される第1収容空間と、前記第2壁に沿って規定される第2収容空間とが形成されており、前記第1収容空間と前記第2収容空間とは、前記第1壁と前記第2壁との交差線を通って前記ボウル部を二等分する中心仮想平面によって区切られ、前記電気温水器は、前記第1収容空間及び前記第2収容空間のうちの一方に配置され、前記排水トラップの全体は、前記第1収容空間及び前記第2収容空間のうちの他方に配置され、前記電気温水器が配置される前記第1収容空間及び前記第2収容空間のうちの一方において、前記第1壁又は前記第2壁と交差する交差方向にて、前記電気温水器よりも前記交差方向の前方には空間が設けられる。
【0007】
このような構成によれば、第1壁及び第2壁によって規定されるコーナー部にコーナー型洗面台が設置されるので、カウンター部材の下方には、空間的制約が大きな例えば三角柱の形状の収容空間が形成される。本発明に係るコーナー型洗面台では、第1壁に沿って規定される第1収容空間及び第2壁に沿って規定される第2収容空間のうちの一方に電気温水器が配置され、第1収容空間及び第2収容空間のうちの他方に排水トラップが配置されるので、カウンター部材の下方に電気温水器及び排水トラップを効率良く配置することができる。その結果、カウンター部材の下方の空間に車椅子使用者の下肢を進入させる空間を有効に確保することができ、コーナー型洗面台に対する車椅子使用者のアクセス性を向上させることができる。
【0008】
また、本発明に係るコーナー型洗面台では、前記第1収容空間及び前記第2収容空間の下方に、車椅子使用者のつま先を受け入れ可能な受け入れ空間が形成されている。
【0009】
このような構成によれば、例えば車椅子使用者は自身のつま先を受け入れ空間に進入させることができるので、コーナー型洗面台に対する車椅子使用者のアクセス性を確実に向上させることができる。
【0010】
またさらに、本発明に係るコーナー型洗面台は、前記カウンター部材の下方で、前記第1収容空間及び前記第2収容空間よりも前記カウンター部材の前縁側である前方に配置されて、前記電気温水器又は前記排水トラップへの車椅子使用者の下肢の衝突を防止する衝突防止板をさらに備える。
【0011】
このような構成によれば、第1収容空間及び第2収容空間よりも前方に衝突防止板が配置されるので、例えば車椅子使用者がコーナー型洗面台に向かって車椅子を前進させる際に車椅子使用者の下肢が電気温水器や排水トラップに衝突することを有効に防止することができる。その結果、電気温水器や排水トラップの破損を確実に回避することができる。また、衝突防止板によって電気温水器や排水トラップを隠すことができるので、コーナー型洗面台の見栄えを向上させることもできる。
【0012】
また、本発明に係るコーナー型洗面台では、前記電気温水器は、前記第1収容空間に配置される場合に前記第2壁との間に配管用の空間を規定し、前記第2収容空間に配置される場合に前記第1壁との間に配管用の空間を規定する。
【0013】
このような構成によれば、電気温水器が第1収容空間に配置される場合に電気温水器と第2壁との間に配管用の空間が確保されるので、第2収容空間に配置される排水トラップから第1壁に延びる例えば排水用の配管のための空間を確実に確保することができる。また、電気温水器が第2収容空間に配置される場合に、第1収容空間に配置される排水トラップから第2壁に延びる例えば排水用の配管のための空間を確実に確保することができる。その結果、例えば互いに隣接する2部屋を仕切る1つの壁の両面から排水用の配管が延びている場合に、一方の部屋では例えば第2壁から延びる配管を利用することができ、他方の部屋では例えば第1壁から延びる配管を利用することができる。従って、2部屋のいずれにも本発明に係るコーナー型洗面台を設置することができるので、コーナー型洗面台の設置の汎用性を高めることができる。
【0014】
またさらに、本発明に係るコーナー型洗面台は、前記第1壁に沿って配置されて前記カウンター部材を支持する第1側板と、前記第2壁に沿って配置されて前記カウンター部材を支持する第2側板と、をさらに備える。このコーナー型洗面台において、前記第1側板及び前記第2側板には配管用の開口が形成される。
【0015】
このような構成によれば、コーナー型洗面台が、カウンター部材を支持するための側板側板に形成された配管用の開口を通じて配管をカウンター部材の下方の収容空間内に引き込むことができるので、第1壁及び第2壁のいずれの壁から配管が延びている場合であっても共通のコーナー型洗面台を設置することができる。その結果、コーナー型洗面台の設置の汎用性を高めることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、カウンター部材の下方の空間に電気温水器等を効率良く配置することができるコーナー型洗面台を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係るコーナー型洗面台の外観を概略的に示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係るコーナー型洗面台の正面図である。
図3】本発明の一実施形態に係るコーナー型洗面台の平面図である。
図4】カウンター部材を取り外した状態のコーナー型洗面台の構造を概略的に示す平面図である。
図5】衝突防止板を取り外した状態のコーナー型洗面台の構造を概略的に示す正面図である。
図6】本発明の一実施形態に係るコーナー型洗面台の背面図である。
図7】車椅子使用者がコーナー型洗面台を使用する様子を概略的に示す断面図である。
図8図4に対応し、カウンター部材を取り外した状態の本発明の別の実施形態に係るコーナー型洗面台の構造を概略的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。図1は、本発明の一実施形態に係るコーナー型洗面台10の外観を概略的に示す斜視図である。コーナー型洗面台10は、互いに交差する第1壁11及び第2壁12によって規定されたコーナー部13に設置される。第1壁11及び第2壁12は、床面に直交する鉛直交差線CLにおいて例えば90度の角度で交差している。第1壁11及び第2壁12は、室内の壁でもよく、室外の壁でもよい。なお、第1壁11及び第2壁12はその一部分のみを図示している。
【0019】
図2は、本発明の一実施形態に係るコーナー型洗面台10の正面図である。図2を併せて参照すると、コーナー型洗面台10は、第1壁11に沿って配置された平板状の第1側板14と、第2壁12に沿って配置された平板状の第2側板15と、を備えている。第1側板14及び第2側板15は互いに90度の角度で前述の鉛直交差線CLにおいて交差している。第1側板14及び第2側板15は、その下端で床面Fに受け止められ、その上端でカウンター部材16を支持している。第1側板14及び第2側板15は例えばねじ17などの固定部材によって第1壁11及び第2壁12にそれぞれ固定されている。
【0020】
カウンター部材16は、ボウル部19と、このボウル部19に一体化されて例えば床面に平行に広がるカウンター本体20と、を備えている。カウンター本体20はその後縁で第1側板14及び第2側板15の上端に受け止められるとともに、例えばL字ブラケット18、18によって第1側板14及び第2側板15にそれぞれ固定されている(図2参照)。カウンター部材16は例えば陶器や人工大理石などの材料から形成されている。なお、他の実施形態として、ボウル部19はカウンター本体20とは別体に形成されていてもよい。カウンター本体20には、ボウル部19に向かって水や温水を吐水する水栓21が取り付けられている。
【0021】
図3は、本発明の一実施形態に係るコーナー型洗面台10の平面図である。図1図3を併せて参照すると、水栓21は、レバー21aと、水や温水を吐水する吐水口21bと、を備えている。この水栓21では、例えば、レバー21aの上げ下げによって吐水と止水とを切り替えることができ、レバー21aの左右の回転によって吐水される水の温度を調整することができる。ボウル部19内には排水口22が形成されており、水栓21から吐水された水や温水は排水口22から排出される。なお、水栓21には、例えば差し出した手を検出するセンサによって水や温水が自動的に吐水される自動水栓が用いられてもよい。
【0022】
カウンター部材16は、鉛直交差線CLに対向する前縁16aに例えば車椅子使用者の正面位置を規定する(図3参照)。言い替えれば、この前縁16aに車椅子使用者の胸のあたりが対向する。前縁16aは、第1壁11及び第2壁12に同一の角度(45度)で交差する仮想直線VLに沿って延びている。本実施形態では、第1壁11から第2壁12まで延びる仮想直線VLの長さ、すなわち、コーナー型洗面台10の間口は例えば1500mm程度に設定される。前縁16aにおけるカウンター部材16の床面Fからの高さは、例えば車椅子使用者の胸の高さに応じて設定される。胸の高さは例えば日本人の平均身長に基づき算出される。
【0023】
カウンター部材16はさらに、前縁16aの一端から第1壁11まで延びる第1側縁16bと、前縁16aの他端から第2壁12まで延びる第2側縁16cと、第1壁11に接する第1後縁16dと、第2壁12に接する第2後縁16eと、を規定している。第1後縁16d及び第2後縁16eの長さ、すなわち、コーナー型洗面台10の壁面設置寸法はそれぞれ例えば700mm程度に設定される。本実施形態では、第1側縁16b及び第2側縁16cは第1壁11及び第2壁12に対して直交する方向に延びている。なお、カウンター本体20において、水栓21の後方にあって第1後縁16d及び第2後縁16eによって規定される三角形の領域は例えば鏡の配置スペースとして用いられる。
【0024】
図4は、カウンター部材16を取り外した状態のコーナー型洗面台10の構造を概略的に示す平面図である。図1図2及び図4を併せて参照すると、コーナー型洗面台10は、床面Fから所定の高さで直立するアプローチ規制部23を備える。アプローチ規制部23は、鉛直交差線CLよりもカウンター部材16の前縁16a側に前方に所定の距離で鉛直交差線CLから離間して配置される。本実施形態では、アプローチ規制部23は、鉛直交差線CLに平行で第1壁11及び第2壁12に同一の角度(45度)で交差する仮想平面(図示せず)に沿って広がる平板から構成される。
【0025】
図1及び図4から明らかなように、アプローチ規制部23は、カウンター部材16の前縁16aから鉛直交差線CLに向かって後方に所定の距離で床面Fから直立している。アプローチ規制部23よりもカウンター部材16の前縁16a側の前方の空間は、後述するように、例えば車椅子使用者のつま先を受け入れ可能な受け入れ空間を形成する。アプローチ規制部23の床面Fからの高さは、車椅子使用者のつま先の高さに応じて設定される。つま先の高さは例えば日本人の平均身長等に基づき設定される。
【0026】
コーナー型洗面台10はさらに、カウンター部材16の下方に配置される衝突防止板24をさらに備える。衝突防止板24は、アプローチ規制部23よりも上方かつ前方に配置されている。衝突防止板24は、アプローチ規制部23の前面に沿って広がる仮想平面に平行な仮想平面(図示せず)に沿って広がる平板から構成される。図2から明らかなように、アプローチ規制部23と衝突防止板24との間には高さ方向に所定の間隔が形成されている。衝突防止板24は車椅子使用者の膝やすねが対向する位置に配置されている。アプローチ規制部23及び衝突防止板24は例えばねじ25などの固定部材によって第1側板14及び第2側板15に固定されている。
【0027】
図5は、衝突防止板24を取り外した状態のコーナー型洗面台10の構造を概略的に示す正面図である。特に図4及び図5を参照すると、カウンター部材16の下方には、電気温水器26及び排水トラップ27が収容される例えば三角柱の形状の収容空間が形成されている。収容空間は、第1壁11すなわち第1側板14に沿って規定される第1収容空間28と、第2壁12すなわち第2側板15に沿って規定される第2収容空間29と、から構成されている。本実施形態では、第1収容空間28及び第2収容空間29は、アプローチ規制部23よりも上方の空間であって、それぞれ三角柱の形状を有する空間である。
【0028】
第1収容空間28と第2収容空間29とは、例えば鉛直交差線CLを通ってコーナー型洗面台10を左右に二等分する中心仮想平面CPによって区切られている(図4参照)。本実施形態では、電気温水器26が第1収容空間28に配置される一方で、排水トラップ27が第2収容空間29に配置される。電気温水器26や排水トラップ27は第1収容空間28や第2収容空間29内にその大部分が配置されていればよく、少なくともその一部分が第1収容空間28や第2収容空間29からはみ出していてもよい。第1収容空間28及び第2収容空間29の前方には衝突防止板24が配置されているので、コーナー型洗面台10の正面から電気温水器26や排水トラップ27を隠すことができる。このようにして衝突防止板24は化粧板としての機能を果たしている。
【0029】
図6は、第1壁11及び第2壁12から取り外された状態の本発明の一実施形態に係るコーナー型洗面台10の背面図である。図6を併せて参照すると、第1側板14及び第2側板15には配管用の開口31、32がそれぞれ形成されている。図4図5及び図6から明らかなように、本実施形態では、コーナー型洗面台10に向かって左側の第1壁11に給水管33及び排水管34が設置されており、従って、これら給水管33及び排水管34は第1側板14の開口31を通じて収容空間内に突出している。開口31、32の形状は、第1壁11や第2壁12に設置される給水管33や排水管34の位置に応じて適宜変更される。
【0030】
図4及び図5から明らかなように、電気温水器26は直方体の輪郭を有しており、本実施形態では、電気温水器26は第1側板14の表面に平行に第1側壁14に固定されている。電気温水器26の前面及び背面は第1側板14に平行に広がっており、両側面は第2側板15に平行に広がり、上面及び下面は床面Fに平行に広がる。電気温水器26の後方側の側面と第2壁12すなわち第2側板15との間には給水管33及び排水管34などを含む配管用の空間36が確保されている(図4参照)。本実施形態では、第1壁11の表面に平行に電気温水器26の後方側の側面と第2側板25との間の距離は、例えば給水管33の外径と排水管34の外径とを加算した大きさよりも大きく設定される。
【0031】
ここで、電気温水器26は、電気温水器26の筐体の内部に収容された貯湯タンクと、貯湯タンク内の水を所定の温度に加熱して維持するヒータと、を備えている(いずれも図示せず)。給水管33は、電気温水器26の貯湯タンクに接続されて貯湯タンクに水を供給する。前述した水栓21のレバー21aの操作によって温水の吐水が選択されると、電気温水器26の貯湯タンク内の温水が水栓21に供給されて水栓21から吐水される。その一方で、水の吐水が選択されると、給水管33から直接水栓21に水が供給される。レバー21aの操作によって選択された水温に応じて水と温水とが混合されて水栓21に供給される。
【0032】
図7は、車椅子使用者がコーナー型洗面台10を使用する様子を概略的に示す断面図である。車椅子使用者37が、その胸をカウンター部材16の前縁16aに対向するように車椅子38を前進させてカウンター部材16の下方の空間に下肢を進入させていくと、車椅子使用者37のつま先は当該つま先の受け入れ空間23aに進入していく。さらに車椅子38が前進すると、車椅子使用者37のつま先がアプローチ規制部23に突き当たるので、車椅子使用者37は車椅子38の前進を停止させる。こうしてアプローチ規制部23は車椅子38のアプローチすなわち前進を規制する。この規制によって、車椅子使用者37は、コーナー型洗面台10の適切な使用位置に車椅子38を停止させることができる。
【0033】
このとき、図7から明らかなように、車椅子使用者37の下肢すなわち膝やすねは衝突防止板24よりカウンター部材16の前縁16a側すなわち手前側に配置されている。このように、衝突防止板24の位置は、車椅子使用者37の下肢が衝突防止板24に当たらないようにアプローチ規制部23に対して調整されている。また、仮に、車椅子使用者37が、アプローチ規制部23につま先が突き当たった後に車椅子38をさらに前進させたとしても、車椅子使用者37のすねや膝は衝突防止板24に衝突するので、すねや膝が電気温水器26や排水トラップ27、給水管33、排水管34に衝突することを防止する。すなわち、衝突防止板24は衝突防止板としての機能を果たすことができる。このようにして電気温水器26や排水トラップ27、給水管33、排水管34の破損を防止することができる。
【0034】
以上のような構成によれば、第1壁11及び第2壁12によって規定されるコーナー部13にコーナー型洗面台10が設置されるので、カウンター部材16の下方には、空間的制約が大きな三角柱の形状の収容空間が形成される。本発明に係るコーナー型洗面台10では、第1壁11に沿って規定される第1収容空間28に電気温水器26が配置され、第2壁12に沿って規定される第2収容空間29に排水トラップ27が配置されるので、カウンター部材16の下方に電気温水器26及び排水トラップ27を効率良く配置することができる。その結果、カウンター部材16の下方の空間に車椅子使用者37の下肢を進入させる空間を有効に確保することができ、コーナー型洗面台10に対する車椅子使用者37のアクセス性を向上させることができる。
【0035】
また、第1収容空間28及び第2収容空間29の下方に、車椅子使用者37のつま先を受け入れ可能な受け入れ空間23aが形成されているので、コーナー型洗面台10に対する車椅子使用者37のアクセス性を確実に向上させることができる。またさらに、第1収容空間28及び第2収容空間29よりも前方に衝突防止板24すなわち衝突防止板が配置されるので、車椅子使用者37の下肢が電気温水器26や排水トラップ27に衝突することを有効に防止することができる。また、衝突防止板24によって電気温水器26や排水トラップ27を隠すことができるので、コーナー型洗面台10の見栄えを向上させることもできる。
【0036】
また、電気温水器26と第2壁12すなわち第2側板15との間に配管用の空間36が確保されるので、第2収容空間29に配置される排水トラップ27から第1壁11に延びる排水管34のための空間を確実に確保することができる。本実施形態では、この空間36に、電気温水器26の給水管33を配置することができるので、本発明に係るコーナー型洗面台10では給水管33のための空間も確実に確保することができる。
【0037】
図8は、図4に対応し、カウンター部材16を取り外した状態の本発明の別の実施形態に係るコーナー型洗面台10の構造を概略的に示す平面図である。この実施形態では、給水管33及び排水管34が、コーナー型洗面台10に向かって右側の第2壁12に設置されている点で前述の実施形態と異なる。従って、これら給水管33及び排水管34は第2側板15の開口32を通じて収容空間内に突出している。本実施形態では、電気温水器26と第2壁12すなわち第2側板15との間の空間36には給水管33のみが配置されている。
【0038】
以上のような構成によれば、前述の実施形態では、第1側板14に形成された配管用の開口31を通じて給水管33や排水管34をカウンター部材16の下方の収容空間に引き込むことができる一方で、本実施形態では、第2側板15に形成された配管用の開口32を通じて給水管33や排水管34をカウンター部材16の下方の収容空間内に容易に引き込むことができる。このような構成によれば、第1壁11及び第2壁12のいずれの壁から配管が延びている場合であっても共通のコーナー型洗面台10を設置することができる。例えば互いに隣接する2部屋を仕切る1つの壁の両面から給水管33や排水管34が延びている場合に、一方の部屋では例えば第2壁12から延びる配管を利用することができ、他方の部屋では例えば第1壁11から延びる配管を利用することができる。従って、2部屋のいずれにも本発明に係るコーナー型洗面台10を設置することができるので、コーナー型洗面台10の設置の汎用性を高めることができる。
【0039】
以上のようなコーナー型洗面台10では、電気温水器26が第2収容空間29に配置される一方で、排水トラップ27が第1収容空間28に配置されてもよいことは言うまでもない。また、第1側板14及び第2側板15は省略されてもよく、その場合、カウンター部材16は第1壁11及び第2壁12に直接固定されてもよい。また、給水管33や排水管34は、前述の第1壁11や第2壁12ではなく、床面Fに設置されてもよく、この場合、給水管33や排水管34は、アプローチ規制部23の後方の空間に配置されることが好ましい。
【0040】
以上の実施形態に加えて、上記実施形態で開示した具体例に当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限りは本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各実施形態が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更されてもよい。また、技術的に可能な限りにおいて、前述した各実施形態が備える各要素を組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0041】
10:コーナー型洗面台
11:第1壁
12:第2壁
13:コーナー部
14:第1側板
15:第2側板
16:カウンター部材
16a:前縁
19:ボウル部
21:水栓
22:排水口
23a:受け入れ空間
24:衝突防止板
26:電気温水器
27:排水トラップ
28:第1収容空間
29:第2収容空間
31:配管用の開口
32:配管用の開口
36:配管用の空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8