(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6565081
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】握り柄、スプーンの右利き用握り柄、フォークの右利き用握り柄、スプーンの左利き用握り柄及びフォークの左利き用握り柄
(51)【国際特許分類】
A47G 21/00 20060101AFI20190819BHJP
A47G 21/02 20060101ALI20190819BHJP
A47G 21/04 20060101ALI20190819BHJP
G09B 19/24 20060101ALI20190819BHJP
【FI】
A47G21/00 V
A47G21/02 Z
A47G21/04 Z
G09B19/24 E
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-138011(P2016-138011)
(22)【出願日】2016年6月24日
(65)【公開番号】特開2017-225794(P2017-225794A)
(43)【公開日】2017年12月28日
【審査請求日】2018年2月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】516209429
【氏名又は名称】飯塚 広美
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 広美
【審査官】
山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭60−077476(JP,U)
【文献】
特開2012−095941(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3065837(JP,U)
【文献】
実公昭44−029350(JP,Y1)
【文献】
実公昭43−001899(JP,Y1)
【文献】
実開平03−045775(JP,U)
【文献】
特開2005−013567(JP,A)
【文献】
特開2017−055907(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2017/0215613(US,A1)
【文献】
国際公開第2017/132449(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 21/00
A47G 21/02
A47G 21/04
G09B 19/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプーンまたはフォークの右利き用握り柄であって、前記握り柄の長手方向を横断する断面形状が長手方向全長にわたって三角形であり、前記三角形は、底面と、第1の傾斜面と、第2の傾斜面とを有し、前記底面は右手の中指、前記第1の傾斜面は右手の人差し指、前記第2の傾斜面は右手の親指が、それぞれ当接するものであり、前記底面に右手の中指を当接すると共に、前記底面を水平にした時、前記スプーンまたはフォークの先端部の凹面が右手の中指の持ち手の顔側に傾斜するように、前記右利き用握り柄に取り付けられていることを特徴とするスプーンまたはフォークの右利き用握り柄。
【請求項2】
スプーンまたはフォークの左利き用握り柄であって、前記握り柄の長手方向を横断する断面形状が長手方向全長にわたって三角形であり、前記三角形は、底面と、第1の傾斜面と、第2の傾斜面とを有し、三角形の底面は左手の中指、前記第1の傾斜面は左手の人指し指、前記第2の傾斜面は左手の親指が、それぞれ当接するものであり、前記底面に左手の中指を当接すると共に、前記底面を水平にした時、前記スプーンまたはフォークの先端部の凹面が左手の中指の持ち手の顔側に傾斜するように、前記左利き用握り柄に取り付けられていることを特徴とするスプーンまたはフォークの左利き用握り柄。
【請求項3】
上記請求項1または請求項2に記載の握り柄において、断面の三角形の底面は平面であり、第1、第2の傾斜面は内弧状の緩やかな窪みが、握り柄の長手方向全長にわたって続くことを特徴とするスプーンまたはフォークの握り柄。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、握り柄、スプーンの右利き用握り柄、フォークの右利き用握り柄、スプーンの左利き用握り柄及びフォークの左利き用握り柄に係り、特に、親指、中指、人差し指による3点持ちを容易とした握り柄、スプーンの右利き用握り柄、フォークの右利き用握り柄、スプーンの左利き用握り柄及びフォークの左利き用握り柄に関する。
【背景技術】
【0002】
子供なかでも幼児は、食事時にスプーンまたはフォークを使う場合が非常に多いが、通常その握り柄は、ほとんどが平面に近い棒状のものまたは、円柱形のものである。
図9により従来の幼児用スプーンの握り柄について説明する。
図9において、100は一般的な平面に近い棒状の握り柄で、
図9はスプーンを幼児が自然に持つときの状態を示している。このとき親指101の付け根と人差し指102の側面で握り柄を支えている。
また、持ち方に考慮し、握り柄に工夫したものがある。(実用新案第3078387号の
図4参照)。前記文献記載の握り柄では、幼児でも簡単にスプーンやフォークを親指、人差し指、中指で支えることができる。しかし、親指と人差し指は柄の上部で接するが、親指と人差し指で柄をつかむというよりは、3本の指の接点の間を、平らな柄が通る形になる。この形は一見3点持ちの様に見えるが、親指と人差し指でつかんでいない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そのため、親指と人差し指で自然に握り柄をつかむという経験が不足し、正しい箸の持ち方、鉛筆の持ち方に移行しにくいという問題点が生じている。
【0004】
本発明は、上記の問題点を考慮してなされ握り柄、スプーンの右利き用握り柄、フォークの右利き用握り柄、スプーンの左利き用握り柄及びフォークの左利き用握り柄を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の握り柄は、スプーン又はフォークの握り柄であって、前記握り柄の長手方向を横断する断面形状が三角形である。
【0006】
また、請求項2記載の握り柄は、スプーンの握り柄であって、前記握り柄の長手方向を横断する断面形状が三角形であり、前記三角形は、底面と、第1の傾斜面と、第2の傾斜面とを有し、前記底面は中指、前記第1の傾斜面は人差し指、前記第2の傾斜面は親指が、それぞれ当接するものであり、前記第1の傾斜面に人差し指が前記スプーンの皿状の部位へ移動するのを阻止する第1のストッパーを設け、前記第2の傾斜面に親指が前記スプーンの皿状の部位へ移動するのを阻止する第2のストッパーを設けているものである。
【0007】
また、請求項3記載の握り柄は、フォークの握り柄であって、前記握り柄の長手方向を横断する断面形状が三角形であり、前記三角形は、底面と、第1の傾斜面と、第2の傾斜面とを有し、前記底面は中指、前記第1の傾斜面は人差し指、前記第2の傾斜面は親指がそれぞれ当接するものであり、前記第1の傾斜面に人差し指が前記フォークの櫛状部位へ移動するのを阻止する第1のストッパーを設け、前記第2の傾斜面に親指が前記フォークの櫛状部位へ移動するのを阻止する第2のストッパーを設けているものである。
【0008】
また、請求項4記載のスプーンの右利き用握り柄は、スプーンの右利き用握り柄であって、前記握り柄の長手方向を横断する断面形状が三角形であり、前記三角形は、底面と、第1の傾斜面と、第2の傾斜面とを有し、前記底面は右手の中指、前記第1の傾斜面は右手の人差し指、前記第2の傾斜面は右手の親指が、それぞれ当接するものであり、前記底面に右手の中指を当接すると共に、前記底面を水平にした時、前記スプーンの皿状の部位が右手の中指の持ち手の顔側に傾斜するように、前記スプーンが前記右利き用握り柄に取り付けられているものである。
【0009】
また、請求項5記載のフォークの右利き用握り柄は、フォークの右利き用握り柄であって、前記握り柄の長手方向を横断する断面形状が三角形であり、前記三角形は、底面と、第1の傾斜面と、第2の傾斜面とを有し、前記底面は右手の中指、前記第1の傾斜面は右手の人差し指、前記第2の傾斜面は右手の親指が、それぞれ当接するものであり、前記底面に右手の中指を当接すると共に、前記底面を水平にした時、前記フォークの凹面の部位が右手の中指の持ち手の顔側に傾斜するように、前記フォークが前記右利き用握り柄に取り付けられているものである。
【0010】
また、請求項6記載のスプーンの左利き用握り柄は、スプーンの左利き用握り柄であって、前記握り柄の長手方向を横断する断面形状が三角形であり、前記三角形は、底面と、第1の傾斜面と、第2の傾斜面とを有し、前記底面は左手の中指、前記第1の傾斜面は左手の人差し指、前記第2の傾斜面は左手の親指が、それぞれ当接するものであり、前記底面に左手の中指を当接すると共に、前記底面を水平にした時、前記スプーンの皿状の部位が左手の中指の持ち手の顔側に傾斜するように、前記スプーンが前記左利き用握り柄に取り付けられているものである。
【0011】
また、請求項7記載のフォークの左利き用握り柄は、フォークの左利き用握り柄であって、前記握り柄の長手方向を横断する断面形状が三角形であり、前記三角形は、底面と、第1の傾斜面と、第2の傾斜面とを有し、前記底面は左手の中指、前記第1の傾斜面は左手の人差し指、前記第2の傾斜面は左手の親指が、それぞれ当接するものであり、前記底面に左手の中指を当接すると共に、前記底面を水平にした時、前記フォークの凹面の部位が左手の中指の持ち手の顔側に傾斜するように、前記フォークが前記左利き用握り柄に取り付けられているものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の握り柄によれば、握り柄を用いて三点持ちで食事の摂取行動をすることを続けることにより、幼児や児童は、はじめは傾斜面に沿わせるだけであった親指と人差し指で自然に握り柄をつかむ経験を重ねることができる。このつかむ動作が3点持ちの中で特に大切な動作であり、しっかりとスプーンやフォークの3点持ちができるようになることが引いては、箸や、鉛筆の正しい持ち方につながる。
【0013】
また、本発明のスプーンまたは、フォークを用いて3点持ちで、食べ物をすくう、かき混ぜる、突き刺す、つぶすなどの動きは、正しい持ち方で鉛筆を持って、文字を書くときのはね、はらい、曲げ、とめ、などの手首の動きと同じ動きである。本発明のスプーンまたはフォークを、摂食行動で使うことにより、書字の基本的な動きの練習にもつながると考えられる。
【0014】
また、本発明の握り柄は、緩やかな窪みが長手方向に続いているため、どの部分でも3点持ちをすることが容易であり、食材や容器が変わっても3点持ちで、挟持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の握り柄の使用状態の概略的斜視図である。
【
図3】
図1と異なる他の実施例の握り柄の概略的平面図である。
【
図4】
図3と異なる他の実施例の握り柄の使用状態の概略的斜視図である。
【
図5】
図4と異なる他の実施例のスプーンの右利き用握り柄の概略的斜視図である。
【
図7】
図5と異なる他の実施例のスプーンの左利き用握り柄の使用状態の概略的斜視図である。
【
図9】従来の握り柄の使用状態の概略的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施例の握り柄を図面(
図1及び
図2)を参照して説明する。
【0017】
図1に示すNは握り柄で、握り柄Nは、例えば、スプーン(又はフォーク)の握り柄である。握り柄Nの長手方向を横断する断面形状が三角形となっている。
上記三角形は、底面1と、第1の傾斜面2と第2の傾斜面3とを有し、底面1は中指1‘、第1の傾斜面2は人差し指2’、第2の傾斜面3は親指3’が、それぞれ当接するものである。
【0018】
上記握り柄Nによれば、握り柄Nを用いて、中指1’、人差し指2’、親指3’による三点持ちで食事の摂取行動をすることを続けることにより、幼児や児童は、はじめは傾斜面2、3に沿わせるだけであった親指3’と人差し指2’で自然に握り柄Nをつかむ経験を重ねることができる。
このつかむ動作が3点持ちの中で特に大切な動作であり、しっかりとスプーンやフォークの3点持ちができるようになることが、引いては、箸や、鉛筆の正しい持ち方につながるものである。
【0019】
図1及び
図2記載の握り柄Nは、スプーンの握り柄Nであるが、本発明にあっては、これに限らず、
図3記載のフォークにも、同様に適用できるものである。
図3に示す握り柄Nの長手方向を横断する断面形状は、上述の実施例と同様、三角形であり、この三角形は、底面1と、第1の傾斜面2と第2の傾斜面3とを有し、底面(図示せず)は中指(図示せず)、第1の傾斜面2は人差し指(図示せず)、第2の傾斜面3は親指(図示せず)が、それぞれ当接するものである。
【0020】
次に、
図4記載の握り柄Nについて、説明する。S2は第2のストッパーで、第2のストッパーS2は、親指3’がスプーンの皿状の部位4へ移動するのを阻止する第2のストッパーである。第2のストッパーS2は、例えば、第2の傾斜面3に設けた凹所(窪み)3aのスプーンの皿状の部位4に近い側の凹所(窪み)3aの端部である。
なお、第1の傾斜面2に人差し指(図示せず)がスプーンの皿状の部位4へ移動するのを阻止する第1のストッパー(図示せず)を設けている。第1のストッパー(図示せず)は、第2のストッパーS2と同様、第1の傾斜面2に設けた凹所(窪み)(図示せず)のスプーンの皿状の部位4に近い側の凹所(窪み)(図示せず)の端部である。
スプーンの握り柄Nに設けた第1のストッパー(図示せず)、第2のストッパーS2は本発明にあってはこれに限らず、
図3記載のフォークにも同様に適用できるものである。
【0021】
次に、
図5及び
図6記載のスプーンの右利き用握り柄N’について、説明する。
N’はスプーンの右利き用握り柄であって、握り柄N’の長手方向を横断する断面形状が三角形であり、この三角形は、底面1と、第1の傾斜面2と、第2の傾斜面3とを有し、底面1は右手の中指1’、第1の傾斜面2は右手の人差し指2’、第2の傾斜面3は右手の親指3’が、それぞれ当接するものである。
底面1に右手の中指1’を当接すると共に、底面1を水平にした時(
図5及び
図6参照)、スプーンの皿状の部位4が右手の中指の持ち手の顔側に傾斜するように、スプーンが右利き用握り柄N’に取り付けられている。
4Aは、スプーンの右利き用握り柄N’に取り付け部位である。S2は、第2の傾斜面3に親指3が前記スプーンの皿状の部位へ移動するのを阻止する第2のストッパーを設けている
図5及び
図6記載のスプーンの右利き用握り柄N’は、本発明にあっては、これに限らず、
図3記載のフォークにも、同様に適用できるものである。
即ち、図示しないフォークの右利き用握り柄にあっては、前記握り柄の長手方向を横断する断面形状が三角形であり、前記三角形は、底面と、第1の傾斜面と、第2の傾斜面とを有し、前記底面は右手の中指、前記第1の傾斜面は右手の人差し指、前記第2の傾斜面は右手の親指が、それぞれ当接するものであり、前記底面に右手の中指を当接すると共に、前記底面を水平にした時、前記フォークの凹面の部位が右手の中指の持ち手の顔側に傾斜するように、前記フォークが前記右利き用握り柄に取り付けられているものである。
【0022】
次に、
図7及び
図8記載のスプーンの左利き用握り柄N”について、説明する。
N”はスプーンの左利き用握り柄であって、握り柄N”の長手方向を横断する断面形状が三角形であり、この三角形は、底面1”と、第1の傾斜面2と、第2の傾斜面3とを有し、底面1は左手の中指1”、第1の傾斜面2は左手の人差し指2”、第2の傾斜面3は左手の親指3”が、それぞれ当接するものである。
底面1に左手の中指1”を当接すると共に、底面1を水平にした時、スプーンの皿状の部位4Aが左手の中指の持ち手の顔側に傾斜するように、スプーンが左利き用握り柄N”に取り付けられている。
図7及び
図8記載のスプーンの右利き用握り柄N’は、本発明にあってはこれに限らず、
図3記載のフォークにも、同様に適用できるものである。
即ち、図示しないフォークの左利き用握り柄にあっては、前記握り柄の長手方向を横断する断面形状が三角形であり、この三角形は、底面と、第1の傾斜面と、第2の傾斜面とを有し、前記底面は左手の中指、前記第1の傾斜面は左手の人差し指、前記第2の傾斜面は左手の親指が、それぞれ当接するものであり、前記底面に左手の中指を当接すると共に、前記底面を水平にした時、前記フォークの凹面の部位が左手の中指の持ち手の顔側に傾斜するように、前記フォークが前記左利き用握り柄に取り付けられているものである。
【符号の説明】
【0023】
N…握り柄
1…底面
2…第1の傾斜面
3…第2の傾斜面