(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記回転数検出手段及び前記回転数設定手段に連係され、前記回転部材の回転数が目標回転数に達したとき、又は、前記回転部材の回転数が目標回転数よりも所定量小さい回転数に達したときに、それを知らせる報知手段を備える、
請求項3記載載の麺線巻入機。
【背景技術】
【0002】
一般に、素麺、うどん、そば等の麺は、主原料に加水しながら混練して塊状の麺生地を作り、その麺生地を所定の細さの麺線に成形することによって製造されている。例えば、素麺の場合、まず、主原料となる小麦粉に少量の食塩と水とを加えながら捏ね機によって均一に混練する。この混練作業(オデ作業)で塊状の麺生地を作り、その麺生地を数時間寝かして熟成させる。この熟成させた麺生地は、延し機によって押圧して延して、しかる後に所定幅に切って棒状に形成する。
【0003】
そして、この棒状に形成したものをイタギ機によって圧延して、その圧延したものを麺収容桶に渦巻き状に巻き入れる。この麺収容桶に巻き入れられた麺線は、この状態で、例えば、径が40〜50mm程度の丸棒状に成形されている。そして、この状態で、数時間寝かして熟成し、小麦粉のグルテン構造を強固にして弾性と粘性を大きくする。
【0004】
そして、この麺収容桶に巻き入れられた比較的太い麺線は、麺線巻入機によって撚りを掛けながら丸紐状の細い麺線に成形される。麺線を細径化するのは、この麺線巻入機に設けられている麺線の細径化部である。この細径化部による麺線の細径化は、例えば2段階又は3段階で行われ、麺線を例えば20〜6mm程度の径に成形することができる。そして、この細径化された麺線は、麺収容桶に渦巻き状に巻き入れられる。
【0005】
この種の従来技術として、麺収容桶から繰り出した丸紐状の麺線を、駆動モータにて回転駆動される上下一対の加工ロールによって細径化して、細径化後の麺線を麺線案内機構によって別の麺収容桶に中央側部から外周側部へと渦巻き状に巻入れ、麺線案内機構の先端が麺収容桶の外周壁に到達すると、この麺線案内機構の先端部が麺収容桶の中央側部に戻り、再度中央側部から外周側部に向けて麺線を巻入れるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
このような麺線巻入機においては、細径化された麺線の分量は、従来麺収容桶に入った麺線を作業者の目視により判断されていた。具体的には、あらかじめ麺収容桶の中央に所定高さのブロックを複数個置いて、この周りに麺線が敷き詰められていき、このブロックの高さによって麺線のおおまかな分量を測っていた(
図11参照)。例えばブロック2個分の麺線分量など。または、細径化された麺線が入った麺収容桶の重量を測定して、おおまかな麺線の分量を測っていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の方法では作業者の目視により、おおまかな麺線の分量を知ることしかできず、作業者の熟練や経験が必要であった。また、素麺、冷や麦、うどんなど、製造する麺種によって細径化する麺線の太さを変更するところ、重量を測定する方法では、麺線の長さを測ることは困難であった。
【0009】
本発明は、細径化された麺線の分量や長さを、作業者の熟練や経験によることなく、従来よりも容易に知ることができる麺線巻入機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る麺線巻入機は、 麺線を巻き込む巻込部と、前記巻込部より麺線が送られる細径化部と、前記細径化部を構成し、麺線を細径化する一対の加工ロールと、
細径化された麺線を麺収容桶に送る麺線巻入部と、前記加工ロールを回転させる駆動モータ
と、前記駆動モータの回転速度を調整する速度調整手段
とを備える麺線巻入機であって、前記加工ロールに前記駆動モータの動力を伝達する動力伝達機構を備え、前記動力伝達機構は、前記加工ロールの回転数と相関が強い回転数で回転する回転部材を具備するものであり、さらに、前記回転部材の回転数を、前記加工ロールの回転数として検出する回転数検出手段と、
前記回転部材の目標回転数を設定する回転数設定手段と、前記駆動モータを制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記回転数検出手段及び前記回転数設定手段よりの信号を受信して、前記回転部材の回転数が前記目標回転数に達したときに、前記駆動モータの回転速度を減速させるものである、ことを特徴とする。
また、本発明に係る麺線巻入機は、 麺線を巻き込む巻込部と、 前記巻込部より麺線が送られる細径化部と、前記細径化部を構成し、麺線を細径化する一対の加工ロールと、細径化された麺線を麺収容桶に送る麺線巻入部と、前記加工ロールを回転させる駆動モータと、前記駆動モータの回転速度を調整する速度調整手段とを備える麺線巻入機であって、前記動力伝達機構は、前記加工ロールの回転数と相関が強い回転数で回転する回転部材を具備するものであり、さらに、前記回転部材の回転数を、前記加工ロールの回転数として検出する回転数検出手段と、前記回転部材の目標回転数を設定する回転数設定手段と、前記駆動モータを制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記回転数検出手段及び前記回転数設定手段よりの信号を受信して、前記回転部材の回転数が前記目標回転数よりも所定量小さい回転数に達したときに、前記駆動モータの回転速度を減速させるものである、ことを特徴とする。
【0011】
このようにすれば、加工ロールの回転数によって、細径化された麺線の長さや分量を把握することができる。また、加工ロールの径は、細径化する麺線の太さによらず一定であるので、麺線の太さによることなく細径化された麺線の長さがわかる構成をとりやすい。さらに、加工ロールの回転数という数値によって、麺線の分量がわかるため、作業者の熟練や経験によらずに、麺線の分量を把握することができる。
【0012】
さらに、この麺線巻入機は、加工ロールの回転速度を調整する速度調整手段を備えるので、作業者は所望の麺線の分量に対応する加工ロールの回転数に応じて、回転速度調整手段(例えば,速度調整スイッチ、速度調整ダイヤル)を操作して、駆動モータの回転速度を減速するなどすることができる。
【0013】
この麺線巻入機は、前記加工ロールに前記駆動モータの動力を伝達する動力伝達機構を備え、前記動力伝達機構は
加工ロールの回転数と相関が強い回転数で回転する回転部材を具備し、前記検出手段は、前記回転部材の回転数を、前記加工ロールの回転数として検出する
ので、実際に麺線が通過する加工ロールの回転数を検出するよりも、回転数の検出が容易となり、構造的にも構成が容易となる。ここで、動力伝達回転機構には、例えば、加工ロールに対し回転駆動力を伝達可能である歯車や、プーリ、ベルト、スプロケット、チェーンなどが含まれる。
【0014】
この麺線巻入機は、前記回転部材の目標回転数を設定する回転数設定手段を備える
ので、加工ロールの回転数が目標回転数に達したときに、作業者に報知する構成としたり、加工ロールの回転速度を緩めるなどする構成とすることができ、作業性が増す。
特に、目標回転数よりも所定量小さい回転数に達したときに、駆動モータが減速されるようにする場合には、細径化された麺線が所望の分量に達する前に作業者が慌てずに麺線巻入機に行き、その後の操作ができる。
【0015】
好ましくは、この麺線巻入機は、前記回転数検出手段及び前記回転数設定手段に連係され、前記回転部材の回転数と目標回転数とを表示する表示部を備える。このようにすれば、作業者が表示部を確認するだけで、細径化された麺線の分量を数値により把握することができる。
【0016】
好ましくは、この麺線巻入機は、前記回転数検出手段及び前記回転数設定手段に連係され、前記回転部材の回転数が目標回転数に達したとき、又は、前記回転部材の回転数が目標回転数よりも所定量小さい回転数に達したときに、それを知らせる報知手段を備える。このようにすれば、作業者が作業を開始し、回転数が目標回転数になると報知手段(例えば、報知ブザー、報知ランプ)によって作業者に報知されるので、作業者は、回転数が目標回転数に達したこと、又は、目標回転数に近づいていることを知ることができる。
【0017】
ここで、回転数が目標回転数に達したときに報知する場合は、作業者は所望の麺線分量に対応する回転数よりも小さい目標回転数とし、回転数が目標回転数よりも所定量小さい回転数に達したときに報知する場合は、作業者は所望の麺線分量に対応する回転数を目標回転数として設定すればよい。そして、作業者は報知された後、駆動モータを停止させたり、駆動モータの回転速度を緩めた後、所望の回転数に達したときに停止させるなどすればよい。
【0018】
また、この麺線巻入機は、前記報知手段が、報知音を発する報知ブザーであってもよい。このようにすれば、作業者が麺線巻入機から離れた位置に居ても、回転数が目標回転数に達したことを聴覚を通じて確実に知ることができる。
【0019】
好ましくは、この麺線巻入機は、前記回転数検出手段に連係され、前記回転部材の回転数に基づき麺長さを演算する演算手段を備え、前記表示部に、前記演算手段よりの信号を受信して麺長さが表示される。このようにすれば、作業者は麺線の長さを数値によって知ることができる。さらに、回転部材の径は、細径化する麺線の太さによらず一定であるため、作業者は麺線の太さによらず麺線の長さを把握することができる。
【0023】
好ましくは、この麺線巻入機は、前記制御手段が、前記回転部材の回転数が目標回転数に達したときに、前記駆動モータを停止させる。このようにすれば、麺線が所望の分量に達したときに、自動的にストップする。これにより、作業者は作業を開始した後、操作することなく所望の麺線を得ることができ、作業者は別の作業をしたり、複数の麺線巻入機を作動させたりできる。
【0024】
また、この麺線巻入機は、前記細径化部が、取り外し可能に構成され、前記加工ロールの軸に接続された歯車を具備しており、前記細径化装置を取り付けた状態において、前記回転部材が前記歯車と接続され、該回転部材が該歯車を介して前記加工ロールを回転させる構成としてもよい。
【0025】
また、この麺線巻入機は、前記細径化部が、前記回転部材を介して、前記加工ロールに前記駆動モータの動力を伝達する動力伝達部を備える構成としてもよい。
【0026】
好ましくは、この麺線巻入機は、前記回転部材が歯車である。このようにすれば、加工ロールの軸を回転駆動するための歯車を利用しているので、加工ロールの回転数との相関が強い回転数を検出して、加工ロールの回転数を把握することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る麺線巻入機によれば、細径化された麺線の分量や長さを、従来よりも容易に把握することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づき説明するが、本発明は下記実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の一実施形態に係る麺線巻入機を示す斜視図である。
【0030】
<麺線巻入機の全体構成>
図1に示すように、麺線巻入機1は、例えば素麺、うどん、そば等の原料となる丸紐状の麺線nを、巻込部2から巻き込んで、この巻き込んだ麺線nを細径化部3に通して麺線nが所定の径(太さ)となるように細径化し、この細径化した麺線nを、麺線巻入部4によって麺収容桶5に渦巻き状にして巻き入れることができるものである。
【0031】
そして、この麺収容桶5に巻き入れられた麺線nは、再度この麺線巻入機1に通されて所定の径となるように細径化され、そして別の麺収容桶5に渦巻き状に巻き入れられる。このような細径化作業が所望の径となるまで繰り返される。
【0032】
巻込部2は、
図1に示すように、その下方に配置されている麺収容桶5内の麺線nを受け入れて、この受け入れた麺線nに撚りを掛けて後段の細径化部3に送り込むものである。この巻込部2は、麺収容桶5内に収容された丸紐状の麺線nを受け入れて、麺線nに撚りを掛けるための麺線ガイド6と、麺線nの状態(性状)に応じて位置を変更することができる案内ロール7,7と、この案内ロール7,7に麺線nを巻き込ませる巻込ロール8とを備えている。
【0033】
この麺線ガイド6及び巻込ロール8は固定支持杆10Aを介して巻入機本体9に回転可能に設けられ、案内ロール7,7は可動支持杆10Bを介して巻入機本体9に回転可能に設けられている。
【0034】
細径化部3は、麺線nを予め定めた径(太さ)になるように成形するものであり、上下一対の第1加工ロール11A,11B及び上下一対の第2加工ロール12A,12Bを備えている。例えば上下一対の第1加工ロール11A,11Bは、巻込部2によって巻き込まれた麺線n(径17mm程度)を受け入れて、この受け入れた麺線nを、上下の加工ロール11A,11Bの間に通して径約12mmの麺線nに成形できるものである。
【0035】
そして、上下一対の第2加工ロール12A,12Bは、第1加工ロール11A,11Bに通されて麺収容桶5に巻き入れられた麺線nを、再度この麺線巻入機1に通してさらに細径化するために使用されるものであり、麺線nを、これらの上下の第2加工ロール12A,12Bの間に通して径約6mmの麺線nに成形できるものである。この麺線nの断面形状は、第1及び第2加工ロール11A,11B,12A,12Bの外周に形成されている加工溝の形状によって定まり、例えば略楕円形又は略円形である。
【0036】
麺線巻入部4は、
図1に示すように、前段に設けられている細径化部3で所定の径に細径化された麺線nを受け入れて、この受け入れた麺線nを、麺線案内機構13の先端部から略一定の繰り出し速度で繰り出すことによって麺収容桶5内に渦巻き状に巻き入れることができるものである。
【0037】
この麺線巻入部4は、ガイド棒13と、麺線nを移送方向Sに案内する案内ロール14が回転可能に設けられている麺線案内杆15と、この麺線案内杆15の先端から収容槽12へ麺線nを規則的に整列させて巻き入れる巻入ロール16とを備える。そして、巻入機本体9内に駆動モータ18が設けられ、この駆動モータ18によって、巻込部2、細径化部3(加工ロール11A,11B,12A,12B)、及び麺線巻入部4(巻入ロール16)が駆動される構成とされている。
【0038】
よって、駆動モータ18の回転速度を変更することによって、麺線nの繰り出し速度を小さくしたり大きくしたりすることができる。この速度制御によって、麺線nが乱雑に繰り出されることを防止したり、麺線nが引っ張られたり、切断したりすることを防止することができる。
【0039】
また、このように麺線案内機構13の先端部の移動速度を制御することによって、細径化された麺線nを麺収容桶5に渦巻き状に巻き入れて、複数段にして貯留することができる。
【0040】
なお、麺線案内機構13の揺動角度は、麺線案内機構13の先端部が麺収容桶5の中心とその周壁の内面との間を、半径方向に往復移動するように制御されており、麺線案内機構13の先端部が麺収容桶5の中心、及び周壁の内面に移動したことは、リミットスイッチ等の位置検出センサ(図示せず)が検出するようになっている。
【0041】
この麺線巻入部4には、設定回転数で回転する回転台17が設けられ、この回転台17上に麺収容桶5が取り外し可能に載置されている。そして、回転台17は、巻入機本体9内に設けられているサーボモータなどの第2の駆動モータ(図示せず)によって所定方向に設定回転数で回転駆動される。
【0042】
そして、麺線巻入部4においては、回転台17上に裁置される麺収容桶5を設定回転数で回転駆動すると共に、麺線案内機構13を、回転軸19を基準にして水平方向に所定角度範囲で揺動させることができる。
【0043】
なお、巻入機本体9の上方には操作ボックス20が配置されている。操作ボックスには、表示部20A、報知ブザー20B、運転スイッチ20C(電源スイッチ)のほか、後述する大歯車47の回転軸の回転数を調整できる速度調整スイッチ20Dが設けられている。なお、運転スイッチ20Cにより、駆動モータ18の運転・停止を繰り返すことで、速度を調整する速度調整手段として機能させれば、速度調整スイッチ20Dを省略することもできる。
【0044】
<細径化部の構成>
細径化部3において、
図2及び
図3に示すように、上の第1加工ロール11Aは、上側軸39に固定して設けられ、この上側軸39の両端部が軸受部40によって回転可能に支持されている。この両方の軸受部40,40は、摺動部41,41を介して枠体42の左右の各側壁42a,42aに、上下方向に移動可能に設けられている。
【0045】
下の第1加工ロール11Bは、下側軸43に固定して設けられ、この下側軸43は、両端部が軸受部(図示せず)によって回転可能に支持されている。この両方の軸受部は、枠体42の左右の各側壁42a,42aに直接に固定して取り付けられている。
【0046】
これら一対の上下の第1加工ロール11A,11Bは、
図6及び
図7に示すように、それぞれの外周部に加工溝11Aa,11Baが設けられており、上の第1加工ロール11Aの横幅Eは、下の第1加工ロール11Bの加工溝11Baの横幅Fと同一又はそれよりも狭く形成されている。つまり、上の第1加工ロール11Aの加工溝11Aaを形成する左右の周縁部11Ab,11Abが、下の第1加工ロール11Bの加工溝11Baを形成する左右の周壁部11Bb,11Bbの内側に嵌め込まれており、この両者の嵌合部分に麺線nを通すための通口部21が形成されている。
【0047】
この通口部21は、
図6に示すように、上下の第1加工ロール11A,11Bの2つの加工溝11Aa,11Baによって形成され、上の第1加工ロール11Aを上下方向に溝間隔調整機構22によって移動させることで、通口部21の上下方向の寸法を大きくしたり小さくすることができる。従って、麺線nを通口部21に通して細径化することによって、麺線nを所定の断面形状及び太さに成形することができる。
【0048】
また、一対の上下の第2加工ロール12A,12Bも、
図1に示すように、上の第2加工ロール12Aと、下の第2加工ロール12Bとを備えており、これら上下の各第2加工ロール12A,12Bは、上下の各第1加工ロール11A,11Bと同様に、上側軸39及び下側軸43に固定して設けられ、両者は互いに嵌合している。
【0049】
この一対の第1加工ロール11A,11Bと一対の第2加工ロール12A,12Bとは、加工溝の大きさが異なる。つまり、第1加工ロール11A,11Bの加工溝11Aa,11Baは、例えば太さが17mm程度の麺線nを、約12mmの太さに成形できる大きさであり、一対の第2加工ロール12A,12Bの加工溝12Aa,12Baは、この約12mmの太さに成形された麺線nを、約6mmの太さに成形できる大きさである。
【0050】
また、この細径化部3は、
図1〜
図3に示すように、第1又は第2加工ロール11A,11B,12A,12Bから送り出されて細径化された麺線nを下流側の巻入部4へ案内するガイドロール23,23を備えている。このガイドロール23は、回転可能に枠体42に設けられている。そして、第1又は第2加工ロール11A,11B,12A,12Bを通る麺線nが略直線となって水平方向に延びるように、巻込ロール8、第1又は第2加工ロール11A,11B,12A,12B、及びガイドロール23,23が配置されている。
【0051】
さらに、これら巻込ロール8、第1又は第2加工ロール11A,11B,12A,12B、及びガイドロール23,23は、同一の速度で麺線nを移送できるように駆動ベルト等で連結されており、駆動モータ18によって駆動される。なお、
図6及び
図7に示す24は麺線案内体である。この麺線案内体24は、麺線nを第1又は第2加工ロール11A,11B,12A,12Bの対応するそれぞれの通口部21,21に案内するためのものである。
【0052】
上側軸39には上側平歯車37aが取り付けられており、下側軸43には上側平歯車37aと噛み合う下側平歯車37bが取り付けられている。また、下側軸43には、下側平歯車37bと反対側に、小歯車46が取り付けられている。
【0053】
各平歯車37a,37bは動力伝達部37を構成し、後述する大歯車47を介して、小歯車46とともに駆動モータ18の動力を第1又は第2加工ロール11A,11B,12A,12Bに伝達する。なお、各平歯車37a,37bは、上下の各加工ロール11A,11B,・・・の周速が互いに略同一となるようにそれぞれの歯数が設定されている。
【0054】
このように上下の各加工ロール11A,11B,・・・の周速を略一致させているので、各加工溝11Aa,11Ba,・・・と麺線nとの間で滑りが生じないようにすることができる。また、平歯車37a,37bの噛合いによって一対の加工ロール間で回転力が伝達される構成となっているので、この平歯車37a,37bの噛合いによって回転力を伝達できる範囲内で、一対の加工溝11Aa,11Ba,・・・の間隔を調整することができる。
【0055】
上の第1及び第2加工ロール11A,12A(上側軸39)を上下方向に移動させて、上下の第1及び第2加工ロール11A,11B,12A,12Bに設けられている加工溝11Aa,11Ba,12Aa、12Baの上下の間隔(通口部21,21の上下方向の寸法)を調整する溝間隔調整機構22として、摺動部41、案内部50,50、及び送り機構部51が設けられている。
【0056】
摺動部41は、
図4に示すように、縦長の矩形の板状体であり、外面に軸受部40が取り付けられ、この軸受部40には、上側軸39が回転可能に支持されている。摺動部41の左右の各縁部には、溝41a,41aが形成されており、左右の各溝41a,41aには、案内部50,50が嵌め込まれている。この案内部50,50は、枠体42を構成する側壁42aに設けられた縦長の切欠き部52の左右の各縁部で形成されている。この一対の案内部50,50は、互いに平行しており、この案内部50,50に沿って摺動部41が上下方向に移動可能である。
【0057】
この一対の案内部50,50は、枠体42の左右の各側壁42a,42aにそれぞれ設けられ、この左右の各側壁42a,42aに設けられている案内部50,50,・・・に対してそれぞれ摺動部41,41が上下方向に移動可能に設けられている。従って、上側軸39は、略水平に保持された状態で、上下方向に移動できるようになっている。
【0058】
送り機構部51は、
図3及び
図4に示すように、左右一対の軸受部40,40を案内部50,50,・・・に沿って上下方向に移動させるためのものであり、揺動部53、送りねじ部54、圧縮ばね55、及び係止部56を備えている。
【0059】
揺動部53は、
図3に示すように、平面形状が略U字形状の部材であり、両端部が枢支部57,57を介して左右の各側壁42a,42aに揺動可能に設けられている。
【0060】
送りねじ部54は、
図4に示すように、上端部に把手部54aが設けられ、この把手部54aに雄ねじ部54bが取り付けられている。この雄ねじ部54bの下部が、枠体42の連結部42bに形成されている雌ねじ部42cに螺合している。そして、雄ねじ部54bの上部が揺動部53に形成された係合溝58に回転可能に挿通しており、係合溝58の縁部の上面が把手部54aの下面と当接している。
【0061】
圧縮ばね55は、
図4に示すように、左右の各側壁42aに形成されている各切欠き部52に配置されており、下端が切欠き部52の底面と当接し、上端が摺動部41の下面と当接している。このようにして、左右一対の圧縮ばね55,55は、左右一対の摺動部41,41及び軸受部40,40を上方に移動させるように付勢している。なお、図には示さないが、各圧縮ばね55が左右の各側壁42a、及び摺動部41から外れないようにするために、外れ止めが設けられている。
【0062】
係止部56,56は、
図3及び
図4に示すように、一対の圧縮ばね55,55によって上方に付勢されている一対の摺動部41,41を、所定位置に停止させるためのものである。一対の各係止部56,56は、例えば雄ねじで形成され、揺動部53の各腕部53a,53aに設けられている雌ねじ部(図示せず)に螺合している。この状態で、一対の各係止部56,56の下端部が一対の摺動部41,41の各上面と当接している。これによって、一対の圧縮ばね55,55によって上方に付勢されている一対の摺動部41,41を、所定の位置に停止させることができる。
【0063】
この
図4に示す送り機構部51によると、例えば作業者が送りねじ部54を一方の方向に回転させると、揺動部53が枢支部57,57を中心にして揺動して、揺動部53が枠体42から離れる上方向に揺動する。これによって、揺動部53に設けられている一対の係止部56,56が対応する一対の各軸受部40,40から離れる上方向に移動する。
【0064】
このとき、一対の各軸受部40,40が係止部56,56に向かう上方向に圧縮ばね55,55によって付勢されているので、一対の軸受部40,40が一対の係止部56,56に追従して上方向に移動する。このようにして、上の第1及び第2加工ロール11A,12Aを下の第1及び第2加工ロール11B,12Bから引き離す方向に移動させることができる。
【0065】
そして、上記とは逆に、送りねじ部54を他方の方向に回転させると、上記と逆の動作が行われ、上の第1及び第2加工ロール11A,12Aを、圧縮ばね55,55の付勢力に抗して下側の第1及び第2加工ロール11B,12Bに接近する下方向に移動させることができる。このようにして、2組の上下一対の加工溝11Aa,11Ba,12Aa、12Baが所望の間隔となるように拡縮することができる。
【0066】
また、細径化部3は、巻入機本体9から取り外し可能である。
図8に、細径化部3を取り外した状態の巻入機本体9を示す。本実施形態においては、細径化部3は、巻入機本体9にボルトによって固定されている。また、細径化部3の下側軸43には小歯車46が取り付けられていて、細径化部3を巻入機本体9に取り付けた状態で、小歯車46と、巻入機本体9の大歯車47とが噛み合うように構成されている。
【0067】
小歯車46に噛み合う大歯車47に固定された回転軸48は、動力伝達ベルト49及びプーリを介して駆動モータ18に接続されている。駆動モータ18により回転軸48及び大歯車47が所定方向に回転駆動され、駆動モータ18の動力が第1、第2加工ロール11A,11B,12A,12Bに伝達される。なお、回転軸48は、動力伝達ベルト49及びプーリなどの機構が配された機構ボックス25、支持台26により、巻入機本体9に回転可能に設けられている。
【0068】
<回転数の検出>
また、
図2に示すように、巻入機本体9には、大歯車47の回転軸48に対し、その回転数を現状回転数として検出する回転数検出センサ31(回転数検出手段)が設けられている。これにより、回転軸48の回転数が検出される。なお、回転軸48と大歯車47とは固定されているので、大歯車47の回転数と回転軸48の回転数は同じである。
【0069】
回転数検出センサ31は、加工ロール11A,11B,12A,12Bの回転数を直接検出していないが、加工ロール11A,11B,12A,12Bを回転させ加工ロールの11A,11B,12A,12Bの回転数と相関が強い大歯車47及び回転軸48の回転数を検出することで、加工ロール11A,11B,12A,12Bの回転数の検出の代用としている。
【0070】
<回転数による制御>
図2に示すように、巻入機本体9には、回転数設定スイッチ32(回転数設定手段)が設けられていて、大歯車47の回転軸48の目標回転数を回転数設定スイッチ32によって設定するよう構成される。また、巻入機本体9の操作ボックス20内には、制御回路33が内蔵されている。制御回路33は、回転数検出センサ31、回転数設定スイッチ32、表示部20A、報知ブザー20Bに接続されている。なお、操作ボックス20には現状回転数が目標回転数より所定量小さい報知回転数に達すると、それを知らせる報知手段としての報知ブザー20Bが表示部20Aに隣接して設けられている。
【0071】
本実施形態は、制御回路33によって、現状回転数が目標回転数に達したときに報知ブザー20Bが鳴動する構成例である。なお、この目標回転数は、現状回転数とともに操作ボックス20の表示部20Aに表示されるようになっている。
【0072】
この表示部20Aは、回転数検出センサ31及び回転数設定スイッチ32に連係され、それにより目標回転数と共に、現状回転数がリアルタイムで表示される。一例として、上に目標回転数が表示され、下に現状回転数が表示される。また、目標回転数は、例えば麺線nの性状や太さ、気温、湿度等の条件や、麺線巻入機1の機能の特性により、状況に応じて、設定することが望ましい。
【0073】
<麺線巻入機の動作>
次に、麺線巻入機1の動作について説明する。なお、本実施形態の構成においては、一例として、所望の分量の細径化した麺線を得られる回転数である350回転よりも50回転小さい300回転を目標回転数として設定する。
【0074】
まず、作業者は、細径化されていない麺線nが収容されている上流側の麺収容桶12から麺線nの端部を引き出して、その端部を
図1に示すように各ロール3,4、上下一対の第1加工ロール11A,11B、及び案内ロール14等に掛けて通す。
【0075】
そして、その麺線nの端部を麺線巻入機1の回転台17の上に載置されている空の麺収容桶5内に配置する。そして、駆動モータ18を駆動させて、各加工ロール11A,11B等を所定方向に回転させると共に、麺線案内杵15を作動させる。これによって、上流側の麺収容桶12内の細径化されていない麺線nに対して、自動的に麺線ガイド6で撚りを掛けることができ、細径化部3の一対の第1加工ロール11A,11Bで麺線nを所定の太さに細径化することができる。そして、この細径化した麺線nを下流側の麺収容桶5内に自動的に多段にして巻き入れることができる。
【0076】
そして、駆動モータ18の駆動が開始されると、大歯車47の回転軸48の回転速度が徐々に増大していって一定の速度となり、加工ロール11A,11B,12A,12Bが回転しながら細径化した麺線が送り出される。
【0077】
そして、回転軸48の回転数が目標回転数(300回転)に達すると、報知ブザー20Bが鳴動して報知音を発する。そして、それを聞いた作業者は、表示部20Aを見ながら操作ボックス20の速度調整スイッチ20Dを操作して、駆動モータ18を減速させる。そして、細径化された麺線が所望の分量に達したとき、例えば350回転になったときに、駆動モータ18を停止させる。
【0078】
なお、駆動モータ18を減速を経て停止させるのは、通常運転時に駆動モータ18は高速回転しているので、所望の回転数できっちりと停止させるのが困難であること、駆動モータ18を急停止させると麺線に無理な力がかかって切れたり絡まったりすること、駆動モータ18に負担がかかること、などの理由からである。
【0079】
続いて、上記工程によって細径化された麺線nを、麺収容桶5に収容されたまま、例えば1時間程度熟成させる。熟成後、麺収容桶5を、上記工程において上流側にあった麺収容桶12の位置に移動する。そして、この麺線を各ロール3,4、上下一対の第2加工ロール12A,12B、及びガイド棒11等に掛けて通す。
【0080】
そして、上記工程と同様に、駆動モータ18を駆動させて、上記工程で細径化された麺線nに対して、撚りを掛けると共に、一対の第2加工ロール12A,12Bで麺線nを所定の太さにさらに細径化していく。なお、この場合も、目標回転数を設定し、所望の回転数で駆動モータ18を停止する。その後、このようにして細径化された麺線nは、更に別の処理や加工が行われることによって例えば素麺が製造される。
【0081】
(変形例)
本実施形態は,前述したほか、次のように変更した構成とすることも可能である。
(1)上記実施形態では、目標回転数で報知ブザー20Bが鳴動する構成としているが、報知ブザー20Bが鳴動する回転数を、目標回転数よりも所定数小さい回転数としてもよい。例えば、報知ブザー20Bが鳴動する回転数を、目標回転数よりも50回転小さい回転数とするなど。この場合、目標回転数は所望の分量の麺線が細径化される回転数と設定すればよい。
【0082】
(2)また、上記実施形態において、回転数によって報知ブザー20Bが鳴動する構成にくわえて、駆動モータ18の回転速度を自動的に減速、停止が可能な構成とすることもできる。具体的には、
図9に示すように、制御回路33に駆動モータ18が接続された構成とする。なお、例えばインバータなど(図示せず)を介してもよい。このようにすれば、回転速度に応じて、駆動モータ18の動作を自動制御することができる。
【0083】
この構成の一例として、目標回転数を例えば350回転とすると、回転数が目標回転数よりも小さい回転数(例えば300回転)に達したときに駆動モータ18が減速され、回転数が目標回転数(例えば350回転)に達したときに駆動モータ18が停止される制御とする。このようにすれば、作業者は、一旦駆動モータ18を作動させれば、自動的に所望の分量の麺線を細径化することができる。したがって、作業者は、駆動モータ18を作動させた後、別の作業をすることが可能となる。
【0084】
(3)また、上記実施形態では、操作部20の表示部20Aに回転数が表示される構成としているが、これにかえて、回転数が表示される表示部27を設けてもよい(
図10参照)。この場合、表示部27に制御回路33が接続される。なお、表示部27に回転数設定スイッチ32が設けられてもよい。
【0085】
(4)また、上記実施形態では、表示部20Aに回転数が表示される構成としているが、これにかえて、細径化された麺線の長さを表示する構成とすることもできる。具体的には、制御回路33が、回転数検出センサ31に連係され大歯車47の回転軸48の回転数に基づいて、麺線の長さを演算する演算手段をさらに備える構成とする。そして、これにより演算された麺線の長さが、表示部20Aに表示される。この場合、目標回転数にかえて、作業者が設定する麺線の目標長さも表示するとよい。このようにすれば、作業者が表示部20Aを見るだけで、細径化された麺線の長さを把握することができる。
【0086】
(5)また、上記実施形態における麺線巻入機1では、素麺を例に挙げて説明したが、素麺以外のうどん、そば等の麺線nを麺収容桶5に巻き入れることができるように、本発明を適用することもできる。したがって、これらのものも本発明の範囲内に含まれる。