(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
レンズ部の周囲に配置されるオートフォーカス用コイルと、前記オートフォーカス用コイルに対して径方向に離間して配置されるオートフォーカス用マグネットと、前記オートフォーカス用マグネットを含むオートフォーカス固定部に対して前記オートフォーカス用コイルを含むオートフォーカス可動部を光軸直交方向に離間した状態で支持する第1の支持部とを有し、前記オートフォーカス用コイルと前記オートフォーカス用マグネットとで構成されるボイスコイルモーターの駆動力を利用して、前記オートフォーカス固定部に対して前記オートフォーカス可動部を光軸方向に移動させることにより自動的にピント合わせを行うオートフォーカス用駆動部と、
前記オートフォーカス用コイル及び前記オートフォーカス用マグネットを含む振れ補正可動部に配置される振れ補正用マグネットと、前記振れ補正用マグネットから離間して配置される振れ補正用コイルと、前記振れ補正用コイルを含む振れ補正固定部に対して前記振れ補正可動部を光軸方向に離間した状態で支持する第2の支持部とを有し、前記振れ補正用コイルと前記振れ補正用マグネットで構成されるボイスコイルモーターの駆動力を利用して、前記振れ補正固定部に対して前記振れ補正可動部を光軸方向に直交する平面内で揺動させることにより振れ補正を行う振れ補正用駆動部と、を備え、
前記第2の支持部は、前記振れ補正固定部から前記オートフォーカス用コイルへの給電を行う給電ラインを有し、
前記オートフォーカス可動部は、第1の光軸直交方向において対向する2箇所に、前記オートフォーカス用コイルの端部と前記給電ラインとを電気的に接続する給電ライン接続部を有し、
前記第1の支持部は、前記オートフォーカス可動部の前記第1の光軸直交方向とは異なる第2の光軸直交方向に対向する2箇所に配置され、前記オートフォーカス可動部の光軸方向における位置を保持する自己保持機構を有し、
前記自己保持機構は、光軸方向に沿って前記オートフォーカス可動部に挿通され、前記オートフォーカス固定部に固定されるシャフトと、前記オートフォーカス可動部に固定され、前記シャフトとの間で摩擦力を発揮する摩擦発生部と、を有し、
前記摩擦発生部は、前記シャフトとの当接部となるV字溝を有し前記シャフトを4点支持により挟み込むパッドと、前記パッドを前記シャフトに向けて付勢する弾性部材と、を有し、
前記オートフォーカス可動部は、前記シャフトに沿って摺動されるとともに、前記シャフトと前記摩擦発生部との間の摩擦力によって光軸方向における位置が保持されることを特徴とするレンズ駆動装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係るカメラモジュールAを搭載するスマートフォンM(カメラ搭載装置)を示す図である。
図1AはスマートフォンMの正面図であり、
図1BはスマートフォンMの背面図である。
【0016】
スマートフォンMは、例えば背面カメラOCとして、カメラモジュールAを搭載する。カメラモジュールAは、オートフォーカス機能及び振れ補正機能を備え、被写体を撮影するときのピント合わせを自動的に行うとともに、撮影時に生じる振れ(振動)を補正して像ぶれのない画像を撮影する。
【0017】
図2は、カメラモジュールAの外観斜視図である。
図3は、カメラモジュールAの分解斜視図である。
図2、
図3に示すように、本実施の形態では、直交座標系(X,Y,Z)を使用して説明する。後述する図においても共通の直交座標系(X,Y,Z)で示している。カメラモジュールAは、スマートフォンMで実際に撮影が行われる場合に、X方向が上下方向(又は左右方向)、Y方向が左右方向(又は上下方向)、Z方向が前後方向となるように搭載される。すなわち、Z方向が光軸方向であり、図中上側が光軸方向受光側(「マクロ位置側)ともいう)、下側が光軸方向結像側(「無限遠位置側」ともいう)となる。また、光軸方向に直交するX方向及びY方向を「光軸直交方向」と称する。
【0018】
カメラモジュールAは、円筒形状のレンズバレルにレンズが収容されてなるレンズ部2、AF用及びOIS用のレンズ駆動装置1、レンズ部2により結像された被写体像を撮像する撮像部(図示略)、並びに全体を覆うカバー3等を備える。
【0019】
カバー3は、光軸方向から見た平面視で正方形状の有蓋四角筒体であり、上面に円形の開口3aを有する。この開口3aからレンズ部2が外部に臨む。カバー3は、ベース23のカバー取付部23d(
図7参照)に載置され、例えば接着により固定される。なお、カバー3は、導電性材料で形成され、OIS固定部20を介して接地されるようにしてもよい。
【0020】
撮像部(図示略)は、撮像素子(図示略)を有し、レンズ駆動装置1の光軸方向結像側、すなわちOIS固定部20の光軸方向結像側に配置される。撮像素子(図示略)は、例えばCCD(chargecoupled device)型イメージセンサー、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)型イメージセンサー等により構成される。撮像素子(図示略)は、レンズ部2により結像された被写体像を撮像する。
【0021】
図4は、レンズ駆動装置1の分解斜視図である。
図4に示すように、レンズ駆動装置1は、OIS可動部10、OIS固定部20、及びOIS用支持部30等を備える。
【0022】
OIS可動部10は、OIS用ボイスコイルモーターを構成するOIS用マグネットを有し、振れ補正時に、光軸に直交する光軸直交面内で揺動する部分である。OIS固定部20は、OIS用コイルを有する部分である。すなわち、レンズ駆動装置1のOIS用駆動部には、ムービングマグネット方式が採用されている。OIS可動部10は、光軸方向に直交する面内で移動できるように、OIS用支持部30によってOIS固定部20に対して離間した状態で保持される。ここでは、OIS可動部10は、OIS固定部20に対して光軸方向受光側に離間している。
【0023】
OIS用支持部30は、OIS固定部20に対してOIS可動部10を支持する。OIS用支持部30は、OIS固定部20に対してOIS可動部10を離間した状態で支持できるものであればよい。ここでは、OIS用支持部30は、光軸方向に沿って延在する4本のサスペンションワイヤーで構成される(以下「サスペンションワイヤー30」と称する)。サスペンションワイヤー30の一端(上端)はOIS可動部10(給電バネ13、
図5、
図6参照)に固定され、他端(下端)はOIS固定部20(コイル基板21、
図7参照)に固定される。OIS可動部10は、サスペンションワイヤー30によって、XY平面内で揺動可能に支持される。4本のサスペンションワイヤー30のうちの2本のサスペンションワイヤー30A、30Bは、OIS固定部20からAF用コイル112(
図5、
図6参照)へ給電を行う給電ラインとして使用される。なお、サスペンションワイヤー30の本数は、これに限定されず、4本より多くてもよい。
【0024】
図5、
図6は、OIS可動部10の分解斜視図である。
図5は、光軸方向受光側から見た上方視分解斜視図であり、
図6は光軸方向結像側から見た下方視分解斜視図である。
【0025】
図5、
図6に示すように、OIS可動部10は、AF可動部11、AF固定部12、給電バネ13、及びAF用支持部14等を備える。つまり、OIS可動部10は、レンズ駆動装置1のAF用駆動部の全部を含む。AF可動部11は、AF用ボイスコイルモーターを構成するAF用コイルを有し、ピント合わせ時に光軸方向に移動する部分である。AF固定部12は、AF用マグネットを有する部分である。すなわち、レンズ駆動装置1のAF用駆動部には、ムービングコイル方式が採用されている。AF可動部11は、AF固定部12に対して径方向内側に離間して配置され、AF用支持部14によって連結される。
【0026】
AF可動部11は、レンズホルダー111及びAF用コイル112を有する。
【0027】
レンズホルダー111は、円筒状のレンズ収容部111aと、レンズ収容部111aから径方向外側に正方形状に突出するフランジ部111bを有する。レンズ収容部111aの内周面111cには、レンズ部2(
図3参照)が接着又は螺合により固定される。フランジ部111bは、外周面に凹部(符号略)を有し、この凹部にAF用コイル112が巻線される(以下「コイル巻線部」と称する)。
【0028】
フランジ部111bの上面の一方の対角2箇所にはパッド収容部111dが配置される。パッド収容部111dは、平面視でU字形状を有し、パッド143を収容する。パッド収容部111dは、シャフト141を挿通するためのシャフト挿通孔111fを有する。フランジ部111bの上面の他方の対角2箇所には絡げ部111eが配置される。絡げ部111eには、AF用コイル112の端部が絡げられる。
【0029】
AF用コイル112は、ピント合わせ時に通電される空芯コイルである。AF用コイル112は、レンズホルダー111のコイル巻線部(符号略)に巻線される。AF用コイル112の端部は、レンズホルダー111のフランジ部111bの上部切欠(符号略)から引き出され、絡げ部111eに絡げられる。
【0030】
AF固定部12は、マグネットホルダー121、マグネット部122、及びシャフト固定カバー123を有する。
【0031】
マグネットホルダー121は、四角形状の側枠121aと、側枠121aの上縁部から内側に張り出す天枠121bを有する。
【0032】
側枠121aのZ方向に沿う4つの角部121gは、径方向内側に円弧状に凹んで形成される。この部分にサスペンションワイヤー30が配置される(以下「ワイヤー挿通部121g」と称する)。ワイヤー挿通部121gの最上部は、給電バネ13との間に隙間が形成されるように、周面よりも凹んでいる。
【0033】
側枠121aの内面には、マグネット部122が例えば接着により固定される。側枠121aの下面の四隅には、シャフト固定カバー123側(光軸方向結像側)に突出する位置決めボス121fが配置される。
【0034】
天枠121bは、レンズホルダー111のレンズ収容部111a及び給電バネ13のアーム部13dに対応する形状の開口(符号略)を有する。天枠121bの上面の四隅121cには、給電バネ13が固定される(以下「給電バネ固定部121c」と称する)。給電バネ固定部121cには、給電バネ13側(光軸方向受光側)に突出する位置決めボス121dが配置される。位置決めボス121dによって、給電バネ13が位置決めされる。天枠121bは、一方の対角2箇所に、シャフト141を挿通するためのシャフト挿通孔121eを有する。
【0035】
マグネット部122は、4つの直方体状の永久磁石122A〜122Dで構成される。マグネット部122は、マグネットホルダー121の側枠121aの内面に沿って配置される。マグネット部122は、AF用コイル112に径方向に横切る磁界が形成されるように着磁される。例えば、マグネット部122は、内周側がN極、外周側がS極に着磁される。
【0036】
マグネット部122及びAF用コイル112によって、AF用ボイスコイルモーターが構成される。本実施の形態では、マグネット部122が、AF用マグネットとOIS用マグネットを兼用する。
【0037】
シャフト固定カバー123は、マグネットホルダー121の側枠121aに対応する形状を有し、円形の開口123aを有する。シャフト固定カバー123は、レンズホルダー121の光軸方向結像側に配置される。
【0038】
シャフト固定カバー123は、シャフト141の下端部を係止するためのシャフト係止部123bを有する。シャフト固定カバー123の固定穴123cにマグネットホルダー121の位置決めボス121fが挿嵌されることにより、マグネットホルダー121に対してシャフト固定カバー123が位置決めされ、例えば熱かしめにより固定される。
【0039】
給電バネ13は、AF固定部12(マグネットホルダー121)とAF可動部11(レンズホルダー111)とを弾性的に接続するとともに、サスペンションワイヤー30A、30BとAF用コイル112を電気的に接続する。給電バネ13は、OIS固定部20からAF用コイル112へ給電を行う給電ラインの一部を構成する。給電バネ13には、AF可動部11を支持する機能は要求されないので、ばね定数は極力小さいほうがよい。
【0040】
給電バネ13は、光軸を中心として点対称に配置される2つの板バネ13A、13Bで構成される(以下「給電バネ13A、13B」と称する)。給電バネ13A、13Bは、例えばベリリウム銅、ニッケル銅、ステンレス等の導電性材料で形成される。給電バネ13A、13Bは、例えば一枚の板金を打ち抜いて成形され、全体として平面視で正方形状を有する。
【0041】
給電バネ13A、13Bは、それぞれレンズホルダー固定部13a、マグネットホルダー固定部13b、13c、及びアーム部13dを有する。
【0042】
レンズホルダー固定部13aは、レンズホルダー111の絡げ部111eに対応する形状を有する。レンズホルダー固定部13aの固定穴(符号略)が、絡げ部111eの位置決めボス(図示略)に挿嵌されることにより、レンズホルダー111に対して給電バネ13A、13Bが位置決めされ、例えば接着により固定される。また、レンズホルダー固定部13aは、絡げ部111eに絡げられたAF用コイル112に半田付けされる。これにより、給電バネ13A、13BとAF用コイル112とが電気的に接続される。
【0043】
マグネットホルダー固定部13b、13cは、マグネットホルダー121の給電バネ固定部121cに対応する形状を有する。マグネットホルダー固定部13b、13cの固定穴(符号略)が、給電バネ固定部121cの位置決めボス121dに挿嵌されることにより、マグネットホルダー121に対して給電バネ13A、13Bが位置決めされ、例えば接着により固定される。
【0044】
マグネットホルダー固定部13b、13cの頂角部13eは、サスペンションワイヤー30が接続されるワイヤー接続部となる(以下「ワイヤー接続部13e」と称する)。ワイヤー接続部13eは、マグネットホルダー121のワイヤー挿通部121gの光軸方向受光側に位置する。
【0045】
給電バネ13A、13Bをマグネットホルダー121に取り付けた状態において、ワイヤー接続部13eとマグネットホルダー121の間には隙間が形成される。この隙間には、サスペンションワイヤー30を取り囲むように、ダンパー材(図示略)が配置される。ダンパー材としては、例えば紫外線硬化性のシリコーンゲルを適用できる。給電バネ13A、13Bとマグネットホルダー121との間にダンパー材(図示略)を介在させることにより、不要共振(高次の共振モード)の発生が抑制されるので、動作の安定性を確保することができる。
【0046】
また、ワイヤー接続部13eは、弾性変形しやすい形状を有する。ワイヤー接続部13eとサスペンションワイヤー30との撓みにより、落下時の衝撃が吸収される。したがって、落下衝撃によって、サスペンションワイヤー30が塑性変形したり破断したりするのを効果的に防止できる。
【0047】
アーム部13dは、レンズホルダー固定部13aと一方のマグネットホルダー固定部13bを連結する。アーム部13dは、細長いU字形状を有し、AF可動部11が移動するときに弾性変形する。
【0048】
図8は、AF用支持部14の拡大図である。
図9は、AF用支持部14の分解斜視図である。なお、
図8、
図9では、マグネットホルダー121を省略して示している。
図8、
図9に示すように、AF用支持部14は、シャフト141、押さえバネ142、及びパッド143を有する。
【0049】
シャフト141は、マグネットホルダー121のシャフト挿通孔121eから挿入され、レンズホルダー111のシャフト挿通孔111fを貫通して、シャフト固定カバー123のシャフト係止部123bに固定される。
【0050】
シャフト141は、好ましくは非磁性材料(例えばオーステナイト系ステンレス)で形成される。シャフト141が磁性材料で形成されると、レンズ駆動装置1の駆動源となるボイスコイルモーターに悪影響を及ぼす虞があるためである。
【0051】
パッド143は、シャフト141を挟み込む接触体である。パッド143は、シャフト141との当接部となるV字溝143aを有し、シャフト141を4点支持する。パッド143は、シャフト141を挟み込んだ状態で、レンズホルダー111のパッド収容部111dに収容される。
【0052】
パッド143は、好ましくは超高分子量ポリエチレン(UHPE:Ultra High Molecular Weight Polyethylene)で形成される。これにより、パッド143の耐摩耗性が向上するので、AF用支持部14の耐久性が向上する。
【0053】
押さえバネ142は、レンズホルダー111のパッド収容部111dに嵌着され、パッド収容部111dに収容されたパッド143をシャフト141に向けて付勢する板バネである。押さえバネ142による付勢力を調整することで、シャフト141とパッド143との間で生じる摩擦力を適切に調整することができる。押さえバネ142とパッド143はレンズホルダー111に、例えば接着により固定される。なお、パッド143をシャフト141に向けて付勢する弾性部材として、板バネ以外のものを適用してもよい。
【0054】
ここで、シャフト141とパッド143の間で生じる摩擦力は、好ましくはAF可動部11(レンズ部2を含む)の自重+2G(G:Gravity)以上である。これにより、AF可動部11の光軸方向の位置を確実に保持することができる。ただし、摩擦力は、AF可動部11がシャフト141に沿って移動する際の摺動性が著しく損なわれないようにする必要がある。
【0055】
シャフト141とパッド143との間で摩擦力が生じるので、AF用コイル112に通電しなくても、AF可動部11の光軸方向における位置が保持される(自己保持機構)。つまり、押さえバネ142とパッド143が摩擦発生部を構成する。
【0056】
AF用支持部14は、レンズホルダー111において、絡げ部111eが対向配置されている第1の光軸直交方向とは異なる第2の光軸直交方向に対向して配置されることになる。すなわち、本実施の形態では、AF機能及びOIS機能を備えるレンズ駆動装置1の限られたスペースを有効利用して、自己保持機構を実現している。
【0057】
図7は、OIS固定部20の分解斜視図である。
図7に示すように、OIS固定部20は、コイル基板21、センサー基板22、ベース23、及び位置検出部24等を備える。
【0058】
コイル基板21は、平面視で正方形状の基板であり、中央に円形の開口21aを有する。コイル基板21は、四隅に、サスペンションワイヤー30の他端(下端)が挿入されるワイヤー固定穴21bを有する。また、コイル基板21は、開口21aの周縁部の4箇所に、位置決め穴21cを有する。
【0059】
コイル基板21は、光軸方向においてマグネット部122と対向する位置にOIS用コイル部211を有する。OIS用コイル部211は、永久磁石122A〜122Dに対応する4つのOIS用コイル211A〜211Dを有する。OIS用コイル211A〜211Dのそれぞれの長辺部分を、永久磁石122A〜122Dの底面から放射される磁界がZ方向に横切るように、OIS用コイル部211及びマグネット部122の大きさや配置が設定される。マグネット部122とOIS用コイル部211とで、OIS用ボイスコイルモーターが構成される。
【0060】
センサー基板22は、コイル基板21と同様に平面視で正方形状の基板であり、中央に円形の開口22aを有する。センサー基板22は、開口22aの周縁部において、コイル基板21の位置決め穴21cと対応する位置に位置決め穴22bを有する。センサー基板22は、周縁部において、下方に屈曲して形成される係合片22cを有する。係合片22cには、制御端子や接地端子等を配置するようにしてもよい。
【0061】
センサー基板22は、AF用コイル112及びOIS用コイル部211に給電するための電源ライン(図示略)、位置検出部24から出力される検出信号用の信号ライン(図示略)を有する。センサー基板22の下面には、XY平面におけるOIS可動部10の位置を検出する位置検出部24が配置される。コイル基板21とセンサー基板22は、それぞれの固定穴21c、22bが一致するように、貼り合わせられ、半田付けにより接着される。これにより、コイル基板21のOIS用コイル部211及びワイヤー固定穴21bとセンサー基板22の電源ライン(図示略)が電気的に接続される。
【0062】
位置検出部24は、例えばホール効果を利用して磁界を検出するホール素子24A、24B(磁気センサー)で構成される。ホール素子24A、24Bは、センサー基板22の下面の隣接する二辺において、それぞれの略中央に配置される。マグネット部122によって形成される磁界を、ホール素子24A、24Bで検出することにより、XY平面におけるOIS可動部10の位置を特定することができる。なお、マグネット部122とは別の位置検出用磁石を、OIS可動部10に配置するようにしてもよい。
【0063】
ベース23は、コイル基板21と同様に平面視で正方形状の部材であり、中央に円形の開口23aを有する。ベース23は、開口23aの周縁部において、ホール素子24A、24Bと対応する位置にホール素子収容部23cを有する。
【0064】
ベース23は、開口23aの周縁部において、コイル基板21の位置決め穴21c及びセンサー基板22の位置決め穴22bと対応する位置に位置決めボス23bを有する。ベース23は、周縁部に、カバー3を載置するカバー取付部23dを有する。カバー取付部23dの長手方向中央部23eは径方向に凹んで形成される(以下「凹部23e」と称する)。
【0065】
コイル基板21の固定穴21c及びセンサー基板22の固定穴22bが、ベース23の位置決めボス23bに挿嵌されることにより、ベース23に対してコイル基板21及びセンサー基板22が位置決めされる。このとき、センサー基板22の係合片22cが、凹部23eに嵌着され、例えば接着により固定される。
【0066】
レンズ駆動装置1において、サスペンションワイヤー30の一端(上端)は、給電バネ13A、13Bのワイヤー接続部13eに挿通され、半田付けにより固定される。これにより、サスペンションワイヤー30と給電バネ13A、13Bが電気的に接続される。
【0067】
また、サスペンションワイヤー30の他端(下端)は、コイル基板21のワイヤー固定穴21bに挿通され、半田付けにより固定される。これにより、サスペンションワイヤー30とセンサー基板22の電源ラインが電気的に接続される。すなわち、AF用コイル112には、サスペンションワイヤー30及び給電バネ13A、13Bを介して給電が行われる。
【0068】
レンズ駆動装置1において自動ピント合わせを行う場合には、AF用コイル112に通電が行われる。AF可動部11をマクロ位置側へ移動させるか、無限遠位置側に移動させるかに応じて、電流の向きが制御される。また、AF可動部11の移動距離に応じて、電流の大きさが制御される。
【0069】
AF用コイル112に通電すると、マグネット部122の磁界とAF用コイル112に流れる電流との相互作用により、AF用コイル112にローレンツ力が生じる。ローレンツ力の方向は、マグネット部122による磁界の方向とAF用コイル112に流れる電流の方向に直交する方向(Z方向)である。マグネット部122は固定されているので、AF用コイル112に反力が働く。この反力がAF用ボイスコイルモーターの駆動力となり、AF用コイル112を有するAF可動部11がシャフト141に沿って光軸方向に摺動し、ピント合わせが行われる。
【0070】
無通電時には、AF可動部11は、AF用支持部14の自己保持機構により、光軸方向における位置が保持される。したがって、動画撮影など被写体を追尾してピント合わせを行う場合、すなわちAF可動部11を初期状態から変位させた状態で保持する必要がある場合に、AF用コイルに通電し続ける必要はなく、新たにピント合わせを行う必要があるときだけ、AF用コイル112への通電が行われる。これにより、ピント合わせ動作に要する消費電力を大幅に低減することができる。
【0071】
このように、レンズ駆動装置1は、レンズ部2の周囲に配置されるAF用コイル112と、AF用コイル112に対して径方向に離間して配置されるマグネット部122(オートフォーカス用マグネット)と、マグネット部122を含むAF固定部12に対してAF用コイル112を含むAF可動部11を光軸直交方向に離間した状態で支持するAF用支持部14(第1の支持部)とを有し、AF用コイル112とマグネット部122とで構成されるボイスコイルモーターの駆動力を利用して、AF固定部12に対してAF可動部11を光軸方向に移動させることにより自動的にピント合わせを行うオートフォーカス用駆動部を備える。
【0072】
また、レンズ駆動装置1は、AF用コイル112及びマグネット部122を含むOIS可動部10に配置されるマグネット部122(振れ補正用マグネット)と、マグネット部122から離間して配置されるOIS用コイル部211(振れ補正用コイル)と、OIS用コイル211を含むOIS固定部20に対してOIS可動部10を光軸方向に離間した状態で支持するサスペンションワイヤー30(第2の支持部)とを有し、OIS用コイル部211とマグネット部122で構成されるボイスコイルモーターの駆動力を利用して、OIS固定部20に対してOIS可動部10を光軸方向に直交する平面内で揺動させることにより振れ補正を行う振れ補正用駆動部を備える。
【0073】
サスペンションワイヤー30(第2の支持部)は、OIS固定部20からAF用コイル112への給電を行うサスペンションワイヤー30A、30B(給電ライン)を有する。AF可動部11は、第1の光軸直交方向において対向する2箇所に、AF用コイル112の端部とサスペンションワイヤー30A、30Bとを電気的に接続する絡げ部111e(給電ライン接続部)を有する。AF用支持部14(第1の支持部)は、AF可動部11の第2の光軸直交方向に対向する2箇所に配置され、AF可動部11の光軸方向における位置を保持する自己保持機構を有する。
【0074】
レンズ駆動装置1によれば、AF用支持部14(第1の支持部)が自己保持機構を備えるので、AF用コイル112に通電し続けなくても、AF可動部11を初期状態から変位した状態で保持することができる。したがって、レンズ駆動装置の消費電力を格段に低減することができる。
【0075】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0076】
例えば、実施の形態におけるAF用支持部14を、磁性材料からなるシャフトと、自己保持用マグネットを有する構成とし、自己保持用マグネットの吸引力を利用して摩擦力を発生させるようにしてもよい。この場合、自己保持用マグネットと駆動用マグネット(マグネット部122)との磁気干渉が発生するので、注意を要する。
【0077】
実施の形態では、カメラモジュールAを備えるカメラ搭載装置の一例として、スマートフォンを挙げて説明したが、本発明は、情報機器または輸送機器であるカメラ搭載装置に適用できる。情報機器であるカメラ搭載装置とは、カメラモジュールとカメラモジュールで得られた画像情報を処理する制御部を有する情報機器であり、例えばカメラ付き携帯電話機、ノート型パソコン、タブレット端末、携帯型ゲーム機、webカメラ、カメラ付き車載装置(例えば、バックモニター装置、ドライブレコーダー装置)を含む。また、輸送機器であるカメラ搭載装置とは、カメラモジュールとカメラモジュールで得られた画像を処理する制御部を有する輸送機器であり、例えば自動車を含む。
【0078】
図10は、カメラモジュールVC(Vehicle Camera)を搭載するカメラ搭載装置としての自動車Cを示す図である。
図10Aは自動車Cの正面図であり、
図10Bは自動車Cの後方斜視図である。自動車Cは、車載用カメラモジュールVCとして、実施の形態で説明したカメラモジュールAを搭載する。
図10に示すように、車載用カメラモジュールVCは、例えば前方に向けてフロントガラスに取り付けられたり、後方に向けてリアゲートに取り付けられたりする。この車載用カメラモジュールVCは、バックモニター用、ドライブレコーダー用、衝突回避制御用、自動運転制御用等として使用される。
【0079】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。