特許第6565400号(P6565400)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイシン精機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6565400-ルーフレール装置 図000002
  • 特許6565400-ルーフレール装置 図000003
  • 特許6565400-ルーフレール装置 図000004
  • 特許6565400-ルーフレール装置 図000005
  • 特許6565400-ルーフレール装置 図000006
  • 特許6565400-ルーフレール装置 図000007
  • 特許6565400-ルーフレール装置 図000008
  • 特許6565400-ルーフレール装置 図000009
  • 特許6565400-ルーフレール装置 図000010
  • 特許6565400-ルーフレール装置 図000011
  • 特許6565400-ルーフレール装置 図000012
  • 特許6565400-ルーフレール装置 図000013
  • 特許6565400-ルーフレール装置 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6565400
(24)【登録日】2019年8月9日
(45)【発行日】2019年8月28日
(54)【発明の名称】ルーフレール装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 9/058 20060101AFI20190819BHJP
【FI】
   B60R9/058
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-140512(P2015-140512)
(22)【出願日】2015年7月14日
(65)【公開番号】特開2017-19457(P2017-19457A)
(43)【公開日】2017年1月26日
【審査請求日】2018年6月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】特許業務法人プロスペック特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100155767
【弁理士】
【氏名又は名称】金井 憲志
(72)【発明者】
【氏名】柴田 泰宏
(72)【発明者】
【氏名】杉山 一巳
【審査官】 小河 了一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−171437(JP,A)
【文献】 特開2009−298230(JP,A)
【文献】 カナダ国特許出願公開第02902025(CA,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 9/058
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のルーフパネルに沿って延びるルーフレール本体と、
中実状に形成されていて、前記ルーフレール本体と前記ルーフパネルとの間に挟み込まれて前記ルーフレール本体を支持する支持部材と、
前記ルーフレール本体及び前記支持部材を前記ルーフパネルに固定する固定部材と、
前記支持部材と前記ルーフパネルとの間に設けられ、前記支持部材及び前記ルーフパネルに密着するシール部材と、を備え、
前記固定部材は、
車両高さ方向に垂直な板状の鍔部と、
前記鍔部の上面側に形成され、前記ルーフレール本体に締結される上側ネジ部と、
前記鍔部の下面側に形成され、前記ルーフパネルに締結される下側ネジ部と、を有し、
前記支持部材は、
車両高さ方向に貫通する貫通孔と、
前記貫通孔の上端部の周辺部に設けられ、前記鍔部が収容される凹部と、
前記凹部から前記支持部材の側面部に連通していて、前記凹部内に浸入した水を前記凹部から排出する排出口と、を有し、
前記上側ネジ部が前記ルーフレール本体に締結されるとともに、前記下側ネジ部が前記支持部材の上方から前記支持部材の貫通孔に挿入され、前記鍔部が前記ルーフレール本体と前記支持部材との間に挟みこまれた状態で、前記下側ネジ部がルーフパネルに締結される、ルーフレール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のルーフレール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば下記特許文献1に記載されているように、車両のルーフの上面に取り付けられるルーフレール装置は知られている。特許文献1のルーフレール装置においては、ルーフレール本体が支持部材(支持脚)を介して、車両のルーフの上面に固定されている。
【0003】
特許文献1においては、支持部材をルーフレール本体に固定する固定部材(ボルト)と、支持部材をルーフに固定する固定部材(ボルト)とは、別部品である。これに対し、図9及び図10に示すように、両ボルトを一体化した固定部材Fも知られている。同図に示す例においては、車両のルーフRFには、車両前後方向(図10における紙面に垂直な方向)に延びる溝部Dが形成されている。この溝部Dを覆うようにして、ルーフレール本体RRが固定される。
【0004】
ルーフレール本体RRは、車両前後方向に延びる筒状に形成されている。図10に示すように、ルーフレール本体RRの下側の壁部には、車両高さ方向に貫通する貫通孔HRが形成されている。この貫通孔HRに、所謂ブラインドナットBNが嵌め込まれている。つまり、ルーフレール本体RRの下方から、貫通孔HRにブラインドナットBN用の工具を挿入して前記工具の先端部をブラインドナットBNのナット部分に螺合すると、ブラインドナットBNの中間部が外側へ張り出すように座屈変形し、ルーフレール本体RRに固定される。これにより、ブラインドナットBNは、通常のナットと同様に機能する。
【0005】
支持部材LGは、直方体状に形成されている。支持部材LGは、車両高さ方向に貫通する貫通孔HLを有する。また、支持部材LGの下面における外周部には、環状のシール部材SLが接着されている。
【0006】
固定部材Fは、車両高さ方向に延びる円柱状に形成され、その外周面には、ネジ溝が形成されている。固定部材Fの下端面には、固定部材Fを回転させるための工具に嵌合する嵌合部(例えば、六角レンチが挿入される六角穴)が形成されている。また、固定部材Fの車両高さ方向中間部には、ストッパ部STが形成されている。ストッパ部STは、円板状に形成されている。ストッパ部STの外径は、ネジ溝が形成された部分の外径(つまりネジ部の外径)よりも少し大きい。
【0007】
支持部材LGの下方から貫通孔HLに固定部材Fの上端部を挿入し、前記固定部材Fの上端部を支持部材LGの上面より上方へ突出させる。そして、固定部材Fの上端部をブラインドナットBNに締結する。この状態において、ストッパ部STの上面は、支持部材LGの下面に当接している。つまり、支持部材LGがルーフレール本体RRとストッパ部STとの間に挟み込まれる。このようにして、支持部材LGがルーフレール本体RRに固定される。
【0008】
車両のルーフRFを構成するルーフパネルには、車両高さ方向に貫通する貫通孔HFが形成されている。この貫通孔HFに、固定部材Fの下端部が挿入され、ルーフパネルの下方から固定部材Fの下端部にナットNTが締結される。このようにして、ルーフレール装置が車両のルーフRFに固定される。
【0009】
また、図11に示すように、ブラインドナットBNに代えて、特殊なナットNXを用いて、ルーフレール本体RRに支持部材LGを固定するルーフレール装置も知られている。このナットNXは、ルーフレール本体RRの長手方向に平行に延設されている。ナットNXの長手方向に垂直な断面は台形を呈する。ナットNXの長手方向中央部には、上下方向に貫通する貫通孔HNが形成され、その内周面にネジ溝が形成されている。また、ナットNXの下面には環状の凹部が形成されている。この凹部は、貫通孔HNの下部を取り囲むように形成されている。この凹部にシール部材SO(Oリング)が嵌め込まれている(図12参照)。ルーフレール本体RR内には、ナットNXが挿入されるとともに、ナットNXの上下方向の移動及び回転を規制する溝部Gが形成されている。ナットNXは、ルーフレール本体RRの一端からルーフレール本体RR内の溝部Gへ挿入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−55359号公報
【発明の概要】
【0011】
図9及び図10に示す従来のルーフレール装置においては、ブラインドナットBNのネジ部と、固定部材Fのネジ部とに、ネジの緩みを防止する接着剤が塗布されている。したがって、ルーフレール本体RR内に浸入した雨水又は結露による水が、ブラインドナットBNのネジ部と固定部材Fのネジ部との嵌合部を伝ってルーフ内へ浸入することが防止される。しかし、ブラインドナットBNの外周部とルーフレール本体RRとの間(つまり、貫通孔HRとブラインドナットBNとの当接部)においては、水の浸入を防止する手段が設けられていない。また、ブラインドナットBNのフランジ部と、支持部材LGとの間にも、水の浸入を防止する手段が設けられていない。したがって、ルーフレール本体RR内に浸入した雨水又は結露による水が、貫通孔HRとブラインドナットBNとの当接部の隙間及びブラインドナットBNと支持部材LGとの間の隙間を通って、貫通孔HL内へ浸入する。そして、図13に点線で示すように、その水は、固定部材F及び貫通孔HLの表面を伝って、ルーフRF内に浸入する。なお、シール部材SLは、ルーフパネルの表面又は支持部材LGの表面に付着した水(例えば、雨水)が支持部材LGとルーフパネルとの隙間に浸入し、貫通孔HFを通ってルーフRF内(車室内側)に流入することを抑制する機能を備える。しかし、シール部材SLは、貫通孔HL内へ浸入した水が固定部材F及び貫通孔HLの表面を伝ってルーフRF内へ浸入することを抑制する機能は備えていない。
【0012】
また、図11に示す従来のルーフレール装置においても、ナットNXのネジ部と、固定部材Fのネジ部とに、ネジの緩みを防止する接着剤が塗布されている。したがって、ルーフレール本体RR内に浸入した雨水又は結露による水が、ナットNXのネジ部と固定部材Fのネジ部との嵌合部を伝ってルーフ内へ浸入することが抑制される。また、ナットNXの下面には、シール部材SOが設けられているので、ナットNXとルーフレール本体RRとの当接部の隙間から貫通孔HRへの水の浸入を防止することができる。したがって、ルーフレール本体RR内に浸入した雨水又は結露による水が、ルーフRF内へ浸入することを抑制できる。しかし、ナットNXにシール部材SOを嵌め込む必要があるため、部品コスト及び製造コストが高い。また、ナットNXをルーフレール本体RR内へ挿入する工程において、シール部材SOとルーフレール本体RRとの摩擦が大きく、作業し難い。
【0013】
本発明は上記問題に対処するためになされたもので、その目的は、ルーフ内(車室内側)へ水が浸入することを抑制できる安価なルーフレール装置を提供することにある。なお、下記本発明の各構成要件の記載においては、本発明の理解を容易にするために、実施形態の対応箇所の符号を括弧内に記載しているが、本発明の各構成要件は、実施形態の符号によって示された対応箇所の構成に限定解釈されるべきものではない。
【0014】
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、車両のルーフパネルに沿って延びるルーフレール本体(11)と、中実状に形成されていて、前記ルーフレール本体と前記ルーフパネルとの間に挟み込まれて前記ルーフレール本体を支持する支持部材(15)と、前記ルーフレール本体及び前記支持部材を前記ルーフパネルに固定する固定部材(13)と、前記支持部材と前記ルーフパネルとの間に設けられ、前記支持部材及び前記ルーフパネルに密着するシール部材(16)と、を備え、前記固定部材は、車両高さ方向に垂直な板状の鍔部(131)と、前記鍔部の上面側に形成され、前記ルーフレール本体に締結される上側ネジ部(132)と、前記鍔部の下面側に形成され、前記ルーフパネルに締結される下側ネジ部(133)と、を有し、前記支持部材は、車両高さ方向に貫通する貫通孔(HL)と、前記貫通孔の上端部の周辺部に設けられ、前記鍔部が収容される凹部(151)と、前記凹部から前記支持部材の側面部に連通していて、前記凹部内に浸入した水を前記凹部から排出する排出口(OP,HW)と、を有し、前記上側ネジ部が前記ルーフレール本体に締結されるとともに、前記下側ネジ部が前記支持部材の上方から前記支持部材の貫通孔に挿入され、前記鍔部が前記ルーフレール本体と前記支持部材との間に挟みこまれた状態で、前記下側ネジ部がルーフパネルに締結される、ルーフレール装置(10)としたことにある。
【0016】
上記のように構成したルーフレール装置においては、ルーフレール本体に形成された貫通孔であって、固定部材の上端部が挿入された貫通孔に水が浸入したとしても、その下方に位置する鍔部によって、その水が固定部材の貫通孔内へ浸入することが抑制される。つまり、水が鍔部の上面に沿って流れて、支持部材の外側へ排出される。これにより、ルーフ内への水の浸入が抑制される。したがって、固定部材の上端部及び当該部分が締結される締結部材(例えばナット)に水の浸入を防止する手段(接着剤、シール部材など)を設ける必要がない。よって、従来のルーフレール装置よりも部品コストを低減できるとともに、作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係るルーフレール装置が取り付けられる車両のルーフの概略を示す概略図である。
図2図1のルーフレール装置の分解斜視図である。
図3】ルーフレール本体の下面を示す斜視図である。
図4図2の支持部材の下面を示す斜視図である。
図5】ルーフレール装置の締結部の断面であって、車両前後方向に垂直な断面を示す断面図である。
図6】ルーフレール装置の締結部の断面であって、車両幅方向に垂直な断面を示す断面図である。
図7】本発明の変形例に係る支持部材の斜視図である。
図8】本発明の他の変形例に係る支持部材の斜視図である。
図9】従来のルーフレール装置の分解斜視図である。
図10図9のルーフレール装置の締結部の断面図である。
図11】従来のルーフレール装置の他の例に係り、ルーフレール装置の締結部の断面図である。
図12図11のナットの下面の構成を説明するための斜視図である。
図13】水の浸入経路を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態に係るルーフレール装置10について説明する。まず、ルーフレール装置10が取り付けられる車両のルーフRFの構成について説明する。ルーフRFは、板状にそれぞれ形成されたメインパネルRF1及びサイドパネルRF2を接合して形成されている(図1及び図5参照)。ルーフRFは、車両幅方向中央部を中心として左右対称に形成されているので、以下の説明では、ルーフRFの右側部分のみを説明し、左側部分の説明は省略する。メインパネルRF1は、車室の車両幅方向中央部を覆うように形成されている。サイドパネルRF2は、車室の右端部を覆うように形成されている。メインパネルRF1の右端部には、階段状の段差部RF11が形成されている。段差部RF11の下端にはフランジ部RF12が形成されている。段差部RF11及びフランジ部RF12は車両前後方向に延設されている。段差部RF11及びフランジ部RF12は、メインパネルRF1の右端部を折り曲げることにより形成されている。サイドパネルRF2の左端部には段差部RF11及びフランジ部RF12と同様の段差部RF21及びフランジ部RF22が形成されている。フランジ部RF12と、フランジ部RF22とが重ね合わされた状態で溶接されることにより、ルーフRFの上面には、車両前後方向に延びるとともに上方に開放された溝部Dが形成されている。溝部Dに、ルーフレール本体11が取り付けられる。溝部Dの底部(つまり、フランジ部RF12及びフランジ部RF22が重ね合わされた部分)における前端部、中間部及び後端部には、貫通孔HFが形成されている。この貫通孔HFには、後述するボルト状の固定部材13が挿入される。前端部の貫通孔HFが基準孔である。つまり、前端部の貫通孔HFの内径は、固定部材13の外径(ねじ径)と略同等である。また、後端部の貫通孔HFは、車両前後方向に長い長孔である。すなわち、貫通孔HFの車両幅方向の幅は、固定部材13の外径(ねじ径)と略同等であるが、貫通孔HFの車両前後方向の長さが固定部材13の外径(ねじ径)よりも大きい。そして、中央部の貫通孔HFの内径は、固定部材13の外径(ねじ径)よりも大きい。
【0019】
つぎに、ルーフレール装置10の構成について説明する。ルーフレール装置10は、図2に示すように、ルーフレール本体11、ナット12、固定部材13、シール部材14、支持部材15、シール部材16、及びプッシュナット17を備える。ルーフレール本体11は、図2及び図3に示すように、車両前後方向に延びる筒状に形成された本体部Cを有する。すなわち、本体部Cは、ルーフ上面に対して略平行に形成された上壁部C1及び下壁部C2を有する。上壁部C1の右端部及び下壁部C2の右端部の間には、側壁部C3が形成され、上壁部C1の左端部及び下壁部C2の左端部の間には、側壁部C4が形成されている。下壁部C2には、車両高さ方向に貫通する貫通孔HR1及び貫通孔HR2が形成されている(図3参照)。貫通孔HR1及び貫通孔HR2は、車両前後方向に離間している。また、下壁部C2の車両幅方向中央部には、車両前後方向に延びる突条部CPが形成されている。突条部CPは、その下端部よりも上端部が右側に位置するように傾斜した板状に形成されている。突条部CP、下壁部C2及び側壁部C4とで囲まれた部分を溝部CGと呼ぶ。また、下壁部C2の右端部の下面には、車両前後方向に延びるレール部C5が形成されている。また、下壁部C2の左端部の下面には、車両前後方向に延びる突条部C6が形成されている。ルーフレール本体11は、金属材料(例えばアルミニウム材)を押し出し加工して形成された中間成形体を、ルーフRFの上面に沿うように曲げ加工して形成される。なお、本体部Cの断面形状は本実施形態に限られず、例えば、三角形、円形など、どのような形状であってもよい。
【0020】
レール部C5及び突条部C6には、合成ゴム、軟質の合成樹脂材などで構成され、車両前後方向に延びるように形成されたリップ部材L1及びリップ部材L2がそれぞれ接着される(図5参照)。なお、図2及び図3においては、リップ部材L1及びリップ部材L2は省略されている。
【0021】
ナット12は、ルーフレール本体11の長手方向に延設されている。ナット12の長手方向に垂直な断面は、略台形を呈する。ナット12の上部の車両幅方向の寸法は、下部の車両幅方向の寸法よりも小さい。ナット12の長手方向中央部には貫通孔が形成され、その貫通孔の内周面にネジ溝が形成されている。なお、図12に示す従来のルーフレール装置のナットNXとは異なり、ナット12の下面は平面状に形成されていて、ナット12の下面にシール部材は取り付けられない。
【0022】
固定部材13は、鍔部131、上側ネジ部132及び下側ネジ部133を有する(図2参照)。鍔部131、上側ネジ部132及び下側ネジ部133は、一体的に形成されている。鍔部131は、円板状に形成されている。
【0023】
上側ネジ部132は、鍔部131の上面から上方に延びる円柱状に形成された部分の外周面にネジ溝を形成した雄ネジである。上側ネジ部132の中心軸と鍔部131の中心軸とが一致している。上側ネジ部132の外径は、鍔部131の外径よりも小さい。下側ネジ部133は、鍔部131の下面から下方に延びる円柱状に形成された部分の下端部の外周面にネジ溝を形成した雄ネジである。下側ネジ部133の中心軸と鍔部131の中心軸とが一致している。下側ネジ部133の外径は、上側ネジ部132の外径と同一である。また、下側ネジ部133の下面の中央部には、六角穴が形成されている。
【0024】
シール部材14は、合成ゴム、軟質の合成樹脂材などで構成されている。シール部材14は、円環状に形成されている。
【0025】
支持部材15は、車両前後方向に延設されている。支持部材15は、中実部材である。支持部材15は、略直方体状に形成されている。支持部材15の中央部よりも少し前方に位置する部分には、車両高さ方向(ルーフRFの上面に垂直な方向)に延びる貫通孔HLが形成されている。
【0026】
支持部材15の上面には、略円形の凹部151が形成されている(図2参照)。凹部151は貫通孔HLの上端部の内径を貫通孔HLの中間部よりも大きくした部分(深座繰り部)に相当する。凹部151の内径は、支持部材15の車両幅方向の寸法より大きい。したがって、凹部151は、左方及び右方へ開放された開口部OPを有する。
【0027】
支持部材15の上面における後端部には、上方へ突出した円柱状の凸部152が形成されている。凸部152の中心軸と貫通孔HLの中心軸との距離は、ルーフレール本体11の貫通孔HR1と貫通孔HR2との距離に一致している。
【0028】
また、支持部材15の下面には、円環状の凹部153が形成されている(図4参照)。凹部153は、貫通孔HLの下端部の内径を貫通孔HLの中間部よりも大きくした部分(深座繰り部)に相当する。また、支持部材15の下面には、下方へ少し突出した凸部154が形成されている。凸部154は、支持部材15の下面における外周縁部及び貫通孔HLの周縁部を除く部分を下方へ少し突出させた部分である。凸部154の下面は平面状に形成されている。
【0029】
支持部材15の下面における外周縁部には、シール部材16が接着される。シール部材16は、合成ゴム、軟質の合成樹脂材などで構成されている。シール部材16は、環状に形成されている(図2参照)。
【0030】
プッシュナット17は、円板状に形成されている。プッシュナット17は、内側へ突出した複数(例えば3つ)の爪部171を有する。
【0031】
つぎに、ルーフレール装置10の取り付け手順について説明する。まず、ルーフレール本体11の一端から溝部CG内にナット12を挿入する。つぎに、ルーフレール本体11に形成された貫通孔HR1の中心軸とナット12のネジ部の中心軸を一致させる。例えば、凸部152が挿入される貫通孔HR2に棒状の治具を挿入しておき、ナット12が治具に当接した状態で貫通孔HR1の中心軸とナット12のネジ部の中心軸とが一致するように、貫通孔HR1と貫通孔HR2との間隔、及びナット12の寸法を設定しておくとよい。
【0032】
つぎに、固定部材13の上側ネジ部132をルーフレール本体11の下方から貫通孔HR1に挿入する。そして、固定部材13の下側ネジ部133の下面に形成された六角穴に六角レンチの先端部を挿入して、前記六角レンチを固定部材13の中心軸周りに回転させ、固定部材13の上側ネジ部132をナット12に締結する。
【0033】
つぎに、固定部材13の下側ネジ部133にシール部材14を挿入する。つぎに、支持部材15の貫通孔HLに下側ネジ部133を挿入する。つぎに、支持部材15の凸部152を貫通孔HR2に挿入し、ルーフレール本体11の下壁部C2の下面と支持部材15の上面とを当接させる。そして、下側ネジ部133にプッシュナット17を嵌め込む。プッシュナット17の爪部171が下側ネジ部133のネジ溝に嵌合することにより、支持部材15と固定部材13とが仮固定される。なお、シール部材16は、支持部材15の下面に予め接着されている。また、この状態において、プッシュナット17は、凹部153内に収容されている。また、この状態において、鍔部131及びシール部材14が凹部151内に収容されている。シール部材14は、鍔部131と凹部151との間に挟み込まれている(図5及び図6参照)。
【0034】
つぎに、下側ネジ部133を溝部Dに形成された貫通孔HFに挿入する。そして、溝部Dの下方からナットNTを下側ネジ部133に締結する。この状態において、シール部材14は、鍔部131の下面と凹部151の底面に当接して少し圧縮される。すなわち、シール部材14は、鍔部131及び凹部151に密着する。また、シール部材16は、溝部Dの底面に当接して少し圧縮される。すなわち、シール部材16は、支持部材15及び溝部Dに密着する。また、支持部材15の上面がルーフレール本体11の下壁部C2の下面に当接している。また、支持部材15の下面(凸部154の下面)が溝部Dの底面に当接している。また、リップ部材L1及びリップ部材L2は、溝部Dの上端部(段差部RF11,RF21の上端部)にそれぞれ当接する。
【0035】
上記のルーフレール装置10においては、ナット12と上側ネジ部132とに接着剤を塗布していないので、図5において点線で示すように、両ネジ部の嵌合部を伝って水が貫通孔HR1内へ侵入し得る。また、ナット12の下面にシール部材が設けられていないので、ナット12と下壁部C2との当接部の隙間に浸入した水が、貫通孔HR1内へ浸入し得る。この貫通孔HR1内へ浸入した水は、鍔部131を伝って、凹部151内へ浸入する。鍔部131の下面と凹部151の底面にシール部材14が密着している。したがって、凹部151内に浸入した水が貫通孔HL内に浸入することが抑制される。よって、凹部151内へ浸入した水は、凹部151の開口部OPから支持部材15の外側へ排出される。これにより、ルーフ内への水の浸入が抑制される。なお、開口部OPが本発明の排出口に相当する。
【0036】
本実施形態においては、ナット12の下面にシール部材が設けられていないので、ナット12の部品コスト及び製造コストを従来よりも削減できる。また、ナット12を溝部CGに挿入する工程において、ナット12の下面にシール部材が設けられている場合に比べて、ナット12と溝部CGとの間の摩擦を低減できる。したがって、作業性を向上させることが出来る。
【0037】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0038】
例えば、凹部151の形状は上記実施形態に限定されない。例えば、図7に示すように、凹部151に代えて、車両幅方向に延びる溝部151Aが形成されていてもよい。また、例えば、図8に示すように、凹部151の側面部から支持部材15の側面部に貫通する貫通孔HWが形成されていてもよい。この場合、凹部151に浸入した水は、この貫通孔HWを通って、支持部材15の外側へ排出される。すなわち、この貫通孔HWが本発明の排出口に相当する。
【0039】
また、例えば、凹部151を省略してもよい。この場合、鍔部131が支持部材15の外側へ張り出すように、鍔部131の外径を大きくすればよい。これによれば、貫通孔HR1へ浸入した水が鍔部131の上面を伝って、支持部材15の外側へ排出される。これにより、ルーフ内への水の浸入が抑制される。
【0040】
また、ルーフレール本体11の下壁部C2を上記実施形態よりも厚く形成し、貫通孔HRの周面にネジ溝を形成してもよい。そして、このネジ溝に固定部材13の上側ネジ部132を締結してもよい。これによれば、ナット12を省略できる。
【符号の説明】
【0041】
10・・・ルーフレール装置、11,RR・・・ルーフレール本体、12・・・ナット、13,F・・・固定部材、14・・・シール部材、15,LG・・・支持部材、16,SL,SO・・・シール部材、17・・・プッシュナット、131・・・鍔部、132・・・上側ネジ部、133・・・下側ネジ部、151・・・凹部、151A・・・溝部、153・・・凹部、152,154・・・凸部、171・・・爪部、BN・・・ブラインドナット、CG,D,G・・・溝部、CP・・・突条部、HF,HL,HN,HR,HR1,HR2,HW・・・貫通孔、NT・・・ナット、OP・・・開口部、RF・・・ルーフ、ST・・・ストッパ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13