(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の電極積層装置においては、溶着部に向けて落下された正極の下部が溶着部に支持されることで、鉛直方向の電極の位置決めが図られる。しかしながら、上記電極積層装置においては、鉛直方向以外の方向における正極の位置決めついて十分に検討されておらず、セパレータに対する電極の位置精度の向上の余地が未だ残されている。
【0005】
そこで、本発明は、セパレータに対する電極の位置精度を向上可能なセパレータ付き電極の製造装置及びセパレータ付き電極の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るセパレータ付き電極の製造装置は、袋状のセパレータに電極を収容することによりセパレータ付き電極を製造するセパレータ付き電極の製造装置であって、袋状のセパレータを構成する長尺シート状の一対のセパレータ部材をセパレータ部材の長手方向に沿った搬送方向に搬送する搬送部と、搬送部により搬送される一対のセパレータ部材をセパレータ部材の短手方向に沿って互いに溶着して第1溶着領域を形成する第1溶着部と、セパレータ部材の搬送速度よりも大きな速度により電極を搬送方向に沿って移動させることによって、電極を第1溶着領域に当接させるように一対のセパレータ部材の間に供給する供給部と、を備え、供給部は、電極に接触しつつ電極を支持する支持部と、搬送方向に沿って延在するように支持部上に設けられたガイド部と、支持部によって支持された電極をガイド部に摺動させながら搬送方向に沿って移動させる移動部と、を有する。
【0007】
本発明に係るセパレータ付き電極の製造方法は、袋状のセパレータに電極を収容することによりセパレータ付き電極を製造するセパレータ付き電極の製造方法であって、袋状のセパレータを構成する長尺シート状の一対のセパレータ部材をセパレータ部材の長手方向に沿った搬送方向に搬送する搬送ステップと、搬送ステップにおいて搬送される一対のセパレータ部材をセパレータ部材の短手方向に沿って互いに溶着して第1溶着領域を形成する第1溶着ステップと、セパレータ部材の搬送速度よりも大きな速度により電極を搬送方向に沿って移動させることによって、電極を第1溶着領域に当接させるように一対のセパレータ部材の間に供給する供給ステップと、を備え、供給ステップにおいては、電極に接触する支持部によって電極を支持すると共に、電極を搬送方向に沿って延びるガイド部に摺動させながら搬送方向に沿って移動させる。
【0008】
これらの製造装置及び製造方法においては、電極は、セパレータ部材の搬送速度よりも大きな速度によりセパレータ部材の搬送方向に沿って移動させられ、セパレータ部材間に供給される。このため、電極は、セパレータ部材の短手方向に沿って形成された第1溶着領域に突き当てられる。したがって、電極の供給に際して、第1溶着領域を基準として、セパレータ部材の長手方向(搬送方向)におけるセパレータ部材に対する電極の位置決めがなされる。この製造装置及び製造方法においては、電極は、支持部に接触しつつ支持されると共に、搬送方向に沿って設けられたガイド部に摺動しながら搬送方向に移動され、セパレータ部材間に供給される。したがって、電極の供給に際して、ガイド部を基準として、セパレータ部材の短手方向(搬送方向に交差する方向)におけるセパレータ部材に対する電極の位置決めがなされる。このように、これらの製造装置及び製造方法によれば、複数の方向について、セパレータ部材に対する電極の位置決めがなされる。よって、セパレータに対する電極の位置精度を向上することが可能である。
【0009】
本発明に係るセパレータ付き電極の製造装置においては、供給部は、搬送方向に交差する回転軸の周りに回転する複数のローラを有し、ローラは、搬送方向に沿って配列されており、ローラの外周面には、回転軸を中心としてローラを回るように延びる螺旋状の凸部が設けられており、支持部は、凸部の頂面により構成され、移動部は、ローラにより構成され、ローラの回転に伴って凸部を回転させることによって、電極を前記ガイド部に摺動させながら搬送方向に沿って移動させてもよい。この場合、回転する螺旋状の凸部の頂面と電極との間の摩擦力を利用して、電極をガイド部に摺動させながら搬送方向に沿って移動させることができる。つまり、複雑な装置を用いることなく、上記のように位置決めを行うことが可能である。
【0010】
本発明に係るセパレータ付き電極の製造装置においては、ローラは、搬送方向に交差すると共に鉛直成分を含む所定方向に沿って傾斜しており、所定方向に沿った回転軸の周りに回転し、支持部は、ガイド部よりも鉛直上側において電極を支持してもよい。この場合、回転する螺旋状の凸部の頂面と電極との間の摩擦力に加えて、電極に加わる重力の所定方向に沿った成分を利用して、電極をガイド部に摺動させながら搬送方向に沿って移動させることができる。
【0011】
本発明に係るセパレータ付き電極の製造装置においては、供給部は、搬送方向に交差すると共に鉛直成分を含む所定方向に傾斜し、所定方向に沿った回転軸の周りに回転する複数のローラを有し、記ローラは、搬送方向に沿って配列されており、支持部は、ローラの外周面により構成されると共に、ガイド部よりも鉛直上側において電極を支持し、移動部は、ローラにより構成され、ローラを回転させることによって電極をガイド部に摺動させながら搬送方向に沿って移動させてもよい。この場合、回転するローラの外周面と電極との間の摩擦力、及び電極に加わる重力の所定方向に沿った成分を利用して、電極をガイド部に摺動させながら搬送方向に沿って移動させることができる。つまり、複雑な装置を用いることなく、上記のように位置決めを行うことが可能である。
【0012】
本発明に係るセパレータ付き電極の製造装置は、袋状のセパレータに電極を収容することによりセパレータ付き電極を製造するセパレータ付き電極の製造装置であって、袋状のセパレータを構成する長尺シート状の一対のセパレータ部材をセパレータ部材の長手方向に沿った搬送方向に搬送する搬送部と、搬送部により搬送される一対のセパレータ部材をセパレータ部材の短手方向に沿って互いに溶着して第1溶着領域を形成する第1溶着部と、第1溶着部の前段に配置され、搬送ステップにおいて搬送される一対のセパレータ部材の短手方向における一方の縁部を互いに溶着して第2溶着領域を形成する第2溶着部と、セパレータ部材の搬送速度よりも大きな速度により電極を搬送方向に沿って移動させることにより、電極を第1溶着領域に当接させるように一対のセパレータ部材の間に供給する供給部と、を備え、記供給部は、電極に接触しつつ電極を支持する支持部と、支持部によって支持された電極を第2溶着領域に摺動させながら搬送方向に沿って移動させる移動部と、を有する。
【0013】
本発明に係るセパレータ付き電極の製造方法は、袋状のセパレータに電極を収容することによりセパレータ付き電極を製造するセパレータ付き電極の製造方法であって、袋状のセパレータを構成する長尺シート状の一対のセパレータ部材をセパレータ部材の長手方向に沿った搬送方向に搬送する搬送ステップと、搬送ステップにおいて搬送される一対のセパレータ部材をセパレータ部材の短手方向に沿って互いに溶着して第1溶着領域を形成する第1溶着ステップと、第1溶着ステップの前において、搬送部により搬送される一対のセパレータ部材の短手方向における一方の縁部を互いに溶着して第2溶着領域を形成する第2溶着ステップと、セパレータ部材の搬送速度よりも大きな速度により電極を搬送方向に沿って移動させることにより、電極を第1溶着領域に当接させるように一対のセパレータ部材の間に供給する供給ステップと、を備え、供給ステップにおいては、電極に接触する支持部によって電極を支持すると共に、電極を第2溶着領域に摺動させながら搬送方向に沿って移動させる。
【0014】
これらの製造装置及び製造方法においては、電極は、セパレータ部材の搬送速度よりも大きな速度によりセパレータ部材の搬送方向に沿って移動させられ、セパレータ部材間に供給される。このため、電極は、セパレータ部材の短手方向に沿って形成された第1溶着領域に突き当てられる。したがって、電極の供給に際して、第1溶着領域を基準として、セパレータ部材の長手方向(搬送方向)におけるセパレータ部材に対する電極の位置決めがなされる。また、この製造装置及び製造方法においては、電極は、支持部に接触しつつ支持されると共に、セパレータ部材の短手方向の縁部に設けられた第2溶着領域に摺動しながら搬送方向に移動され、セパレータ部材間に供給される。したがって、電極の供給に際して、第2溶着領域を基準として、セパレータ部材の短手方向(搬送方向に交差する方向)におけるセパレータ部材に対する電極の位置決めがなされる。このように、これらの製造装置及び製造方法によれば、複数の方向について、セパレータ部材に対する電極の位置決めがなされる。よって、セパレータに対する電極の位置精度を向上することが可能である。
【0015】
本発明に係るセパレータ付き電極の製造装置は、袋状のセパレータに電極を収容することによりセパレータ付き電極を製造するセパレータ付き電極の製造装置であって、袋状のセパレータを構成する長尺シート状の一対のセパレータ部材をセパレータ部材の長手方向に沿った搬送方向に搬送する搬送部と、搬送部により搬送される一対のセパレータ部材をセパレータ部材の短手方向に沿って互いに溶着して第1溶着領域を形成する第1溶着部と、セパレータ部材の搬送速度よりも大きな速度により電極を搬送方向に沿って移動させることによって、電極を第1溶着領域に当接させるように一対のセパレータ部材の間に供給する供給部と、を備え、供給部は、電極に接触しつつ電極を支持する支持部と、搬送方向に沿うように支持部に並設されたガイド部と、支持部によって支持された電極をガイド部に接触させながら搬送方向に沿って移動させる移動部と、を有し、ガイド部における電極との接触部分は、電極の移動の速度に応じた速度で移動可能に構成されている。
【0016】
本発明に係るセパレータ付き電極の製造方法は、袋状のセパレータに電極を収容することによりセパレータ付き電極を製造するセパレータ付き電極の製造方法であって、袋状のセパレータを構成する長尺シート状の一対のセパレータ部材をセパレータ部材の長手方向に沿った搬送方向に搬送する搬送ステップと、搬送ステップにおいて搬送される一対のセパレータ部材をセパレータ部材の短手方向に沿って互いに溶着して第1溶着領域を形成する第1溶着ステップと、セパレータ部材の搬送速度よりも大きな速度により電極を搬送方向に沿って移動させることによって、電極を第1溶着領域に当接させるように一対のセパレータ部材の間に供給する供給ステップと、を備え、供給ステップにおいては、電極に接触する支持部によって電極を支持すると共に、電極を搬送方向に沿って延びるガイド部に接触させながら搬送方向に沿って移動させ、ガイド部における電極との接触部分は、電極の移動の速度に応じた速度で移動する。
【0017】
これらの製造装置及び製造方法においては、電極は、セパレータ部材の搬送速度よりも大きな速度によりセパレータ部材の搬送方向に沿って移動させられ、セパレータ部材間に供給される。このため、電極は、セパレータ部材の短手方向に沿って形成された第1溶着領域に突き当てられる。したがって、電極の供給に際して、第1溶着領域を基準として、セパレータ部材の長手方向(搬送方向)におけるセパレータ部材に対する電極の位置決めがなされる。また、この製造装置及び製造方法においては、電極は、支持部に接触しつつ支持されると共に、搬送方向に沿って設けられたガイド部に接触しながら搬送方向に移動され、セパレータ部材間に供給される。したがって、電極の供給に際して、ガイド部を基準として、セパレータ部材の短手方向(搬送方向に交差する方向)におけるセパレータ部材に対する電極の位置決めがなされる。このように、これらの製造装置及び製造方法によれば、複数の方向について、セパレータ部材に対する電極の位置決めがなされる。よって、セパレータに対する電極の位置精度を向上することが可能である。特に、これらの製造装置及び製造方法においては、ガイド部における電極と接触する部分が、電極の移動速度に応じた速度で移動可能である(移動する)。このため、電極がガイド部に擦れて損傷(例えば粉落ち)することが抑制される。
【0018】
本発明に係るセパレータ付き電極の製造装置においては、供給部は、回転軸の周りに回転する複数のローラを有し、ローラは、搬送方向に沿って配列されており、支持部は、ローラの外周面により構成され、回転軸は、回転軸の周りにローラが回転したときに外周面上の電極に対してガイド部に向かう方向に力が加わるように傾斜しており、移動部は、ローラにより構成され、ローラを回転させることによって電極をガイド部に接触させながら搬送方向に沿って移動させてもよい。この場合、ローラの外周面と電極との間の摩擦力を利用して、電極をガイド部に接触させながら搬送方向に沿って移動させることができる。つまり、複雑な装置を用いることなく、上記のように位置決めを行うことが可能である。
【0019】
本発明に係るセパレータ付き電極の製造装置においては、ガイド部は、電極に接触するベルトと、ベルトを駆動させることにより接触部分を電極の移動の速度に応じた速度で移動させる駆動部と、を有することができる。この場合、例えばガイド部を複数のローラ等で構成する場合と比較して、接触部分の面積を大きくすることができる。このため、ガイド部から電極への反力が分散され、電極の損傷を抑制可能である。
【0020】
本発明に係るセパレータ付き電極の製造装置においては、ガイド部は、搬送方向に交差する方向からみて支持部に重複していてもよい。この場合、支持部とガイド部との間から電極が抜け出すことが抑制される。
【0021】
本発明に係るセパレータ付き電極の製造装置は、袋状のセパレータに電極を収容することによりセパレータ付き電極を製造するセパレータ付き電極の製造装置であって、袋状のセパレータを構成する長尺シート状の一対のセパレータ部材をセパレータ部材の長手方向に沿った搬送方向に搬送する搬送部と、搬送部により搬送される一対のセパレータ部材をセパレータ部材の短手方向に沿って互いに溶着して第1溶着領域を形成する第1溶着部と、電極を、搬送方向に沿ってセパレータ部材の搬送速度に合わせた速度で移動させることにより、電極の端部が第1溶着領域の端部に沿うように一対のセパレータ部材の間に供給する供給部と、を備え、供給部は、電極に接触しつつ電極を支持する支持部と、搬送方向に沿って延在するように支持部上に設けられたガイド部と、支持部によって支持された電極をガイド部に摺動させながら搬送方向に沿って移動させる移動部と、を有する。
【0022】
この製造装置においては、電極は、セパレータ部材の搬送速度に合わせた速度によりセパレータ部材の搬送方向に沿って移動させられ、セパレータ部材間に供給される。このとき、電極の端部は、セパレータ部材の短手方向に沿って形成された第1溶着領域に沿うようにされる。したがって、電極の供給に際して、セパレータ部材の長手方向(搬送方向)におけるセパレータ部材に対する電極の位置決めがなされる。この製造装置においては、電極は、支持部に接触しつつ支持されると共に、搬送方向に沿って設けられたガイド部に摺動しながら搬送方向に移動され、セパレータ部材間に供給される。したがって、電極の供給に際して、ガイド部を基準として、セパレータ部材の短手方向(搬送方向に交差する方向)におけるセパレータ部材に対する電極の位置決めがなされる。このように、この製造装置によれば、複数の方向について、セパレータ部材に対する電極の位置決めがなされる。よって、セパレータに対する電極の位置精度を向上することが可能である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、セパレータに対する電極の位置精度を向上可能なセパレータ付き電極の製造装置及びセパレータ付き電極の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0026】
図1は、セパレータ付き正極を備える蓄電装置の断面図である。
図2は、
図1のII-II線に沿った断面図である。
図1及び
図2に示される蓄電装置1は、例えばリチウムイオン二次電池といった車載用の非水電解質二次電池として構成されている。
【0027】
蓄電装置1は、例えば略直方体形状をなす中空のケース2と、ケース2内に収容された電極組立体3とを備えている。ケース2は、例えばアルミニウム等の金属によって形成されている。ケース2の内壁面上には、絶縁フィルム(図示せず)が設けられる。ケース2の内部には、例えば非水系有機溶媒系の電解液が注液されている。電極組立体3では、後述する正極11の正極活物質層15、負極12の負極活物質層18、及びセパレータ13が多孔質をなしており、その空孔内に、電解液が含浸されている。ケース2の上面部には、正極端子5と負極端子6とが互いに離間して配置されている。正極端子5は、絶縁リング7を介してケース2に固定され、負極端子6は、絶縁リング8を介してケース2に固定されている。
【0028】
電極組立体3は、正極(電極)11と、負極12と、正極11と負極12との間に配置された袋状のセパレータ13とによって構成されている。セパレータ13内には、例えば正極11が収容される。セパレータ13内に正極11が収容された状態で、正極11と負極12とがセパレータ13を介して交互に積層されている。つまり、電極組立体3は、袋状のセパレータ13に正極11を収容することにより構成されるセパレータ付き正極(セパレータ付き電極)10を有している。
【0029】
なお、スペース効率を向上してケース2内の空間に占める電極組立体3の体積を増加を図る観点から、一例として、電極組立体3を、セパレータ付き正極10及び負極12の下端(正極端子5及び負極端子6と反対側の端部)がケース2の底面に接触するように、ケース2内に収容することができる。ケース2の内面上には、絶縁部材(不図示)が配置されている。したがって、この場合には、セパレータ付き正極10及び負極12の下端は、絶縁部材を介してケース2の底面に当接する。ただし、セパレータ付き正極10及び負極12の下端とケース2の底面との間には、絶縁部材が占める空間以外に微小な隙間が形成されていてもよい。
【0030】
図3は、セパレータ付き正極を模式的に示す図である。
図1〜3に示されるように、正極11は、例えばアルミニウム箔からなる金属箔14と、金属箔14の両面に形成された正極活物質層15と、を有している。正極11の金属箔14は、本体部14aとタブ14bとを有する。本体部14aは、矩形状である。本体部14aは、下端部14x、下端部14xの反対側の上端部14y、及び、下端部14xと上端部14yとを互いに接続する一対の側端部14r,14pを含む。側端部14r,14pは、下端部14x及び上端部14yに交差する。タブ14bは、正極端子5の位置に対応するように本体部14aの上端部14yから突出している。タブ14bは、矩形状である。
【0031】
正極活物質層15は、正極活物質とバインダとを含んで形成されている多孔質の層である。正極活物質層15は、本体部14aの両面において、少なくとも下端部14x及び上端部14yの間の中央部分に正極活物質が担持されて形成されている。正極活物質としては、例えば複合酸化物、金属リチウム、硫黄等が挙げられる。複合酸化物には、例えばマンガン、ニッケル、コバルト及びアルミニウムの少なくとも1つと、リチウムとが含まれる。一例として、ここでは、タブ14bには、正極活物質が担持されていない。ただし、タブ14bにおける本体部14a側の基端部分には、活物質が担持されている場合もある。タブ14bは、本体部14aの上端部14yから上方に延び、導電部材16を介して正極端子5に接続されている。
【0032】
負極12は、例えば銅箔からなる金属箔17と、金属箔17の両面に形成された負極活物質層18と、を有している。負極12の金属箔17は、本体部17aとタブ17bとを有する。本体部17aは、矩形状である。本体部17aは、下端部、下端部の反対側の上端部、及び、下端部と上端部とを互いに接続する一対の側端部を含む。タブ17bは、負極端子6の位置に対応するように本体部17aの一端部から突出している。タブ17bは、矩形状である。
【0033】
負極活物質層18は、本体部17aの両面において、少なくとも下端部及び上端部の間の中央部分に負極活物質が担持されて形成されている。負極活物質層18は、負極活物質とバインダとを含んで形成されている多孔質の層である。負極活物質としては、例えば黒鉛、高配向性グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ、ハードカーボン、ソフトカーボン等のカーボン、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、金属化合物、SiOx(0.5≦x≦1.5)等の金属酸化物、ホウ素添加炭素等が挙げられる。一例として、ここでは、タブ17bには、負極活物質が担持されていない。ただし、タブ17bにおける本体部17a側の基端部分には、活物質が担持されている場合もある。タブ17bは、本体部17aの上端部から上方に延び、導電部材19を介して負極端子6に接続されている。
【0034】
セパレータ13は、一例として、正極11を内部に収容している。セパレータ13は、正極11及び負極12の積層方向からみて矩形状である。セパレータ13は、一対の長尺シート状のセパレータ部を互いに溶着して袋状に形成される。具体的には、セパレータ13は、セパレータ部を互いに溶着して形成される第1溶着領域W1、第2溶着領域W2、第3溶着領域W3、及び第4溶着領域W4によって外縁が規定される袋状である。なお、
図3においては、説明のために第1溶着領域W1〜第4溶着領域W4に網掛けを施している。
【0035】
第1溶着領域W1は、本体部14aの側端部14rに対向すると共に側端部14rに沿って延びる領域である。第3溶着領域W3は、本体部14aの側端部14pに対向すると共に側端部14pに沿って延びる領域である。第2溶着領域W2は、本体部14aの下端部14xに対向すると共に下端部14xに沿って延びる領域である。第4溶着領域W4は、本体部14aの上端部14yに対向すると共に上端部14yに沿って延びる領域である。第1溶着領域W1〜第4溶着領域W4は、矩形環状となるように互いに接続されている。第4溶着領域W4には、非溶着領域W5が介在されている。
【0036】
つまり、セパレータ13は、非溶着領域W5において閉じられていない。セパレータ13においては、非溶着領域W5を介して、タブ14bが突出させられている。セパレータ13の形成材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布又は不織布等が例示される。なお、セパレータ13内で正極11のずれが生じない範囲において、第1溶着領域W1〜第4溶着領域W4が間欠的に形成されてもよい。
【0037】
続いて、蓄電装置1の製造方法の主な工程について説明する。まず、混練工程が実施される。混練工程においては、活物質層の主成分である活物質粒子と、バインダ及び導電助剤などの粒子とを混練機内の溶媒中で混練し、各粒子の分散性がよい電極合剤を製造する。バインダは、例えばポリアミドイミド、ポリイミド等の熱可塑性樹脂であってもよく、主鎖にイミド結合を有するポリマー樹脂であってもよい。溶媒は、例えばNMP(N−メチルピロリドン)、メタノール、メチルイソブチルケトン等の有機溶媒であってもよく、水であってもよい。導電助剤は例えば、アセチレンブラックやカーボンブラック、グラファイトなどの炭素系材料である。
【0038】
次に、塗工工程が実施される。塗工工程では、ロール状に巻かれた帯状の金属箔を繰り出し、その金属箔の表面に、電極合剤を間欠的または連続的に塗布する。電極合剤が塗布された金属箔は、電極合剤の塗布の直後に乾燥炉内を通過する。これにより、電極合剤に含まれる溶媒が乾燥・除去されると共に、樹脂よりなるバインダが活物質粒子同士を結合する。これにより、活物質粒子の間に微細な間隙(空孔)を有する活物質層が形成される。
【0039】
次いで、プレス工程が実施される。プレス工程では、帯状の金属箔の表面に形成された活物質層をロールにより所定の圧力でプレスする。これにより、活物質層が圧縮され、活物質の密度が適切な値に高められる。次いで、外観検査工程が実施される。外観検査工程にでは、活物質層の表面状態をカメラ等で確認し、良品及び不良品の判定を行う。
【0040】
次いで、減圧乾燥工程が実施される。ここでは、活物質層が形成された帯状の金属箔を、真空乾燥炉内に収容して減圧高温化にて乾燥する。これにより、活物質層に残留するわずかな溶媒を除去する。次いで、打ち抜き工程が実施される。打ち抜き工程では、打ち抜き機を用いて、活物質層が形成された金属箔を所定の形状に打ち抜くことで、上記の正極11及び負極12を形成する。
【0041】
次いで、電極収容工程が実施される。電極収容工程では、一対の長尺シート状のセパレータ部から矩形袋状のセパレータ13を形成しつつ、当該セパレータ13に正極11を収容することで、セパレータ付き正極10を製造する。このとき、セパレータ13に対する正極11の位置決めが行われる(詳しくは後述)。
【0042】
次いで、積層工程が実施される。積層工程では、セパレータ付き正極10及び負極12を交互に順次積層する。次いで、組み立て工程が実施される。組み立て工程では、正極11と負極12とが、セパレータ13を介して積層された積層体を一体化し、正極11のタブ14b及び負極12のタブ17bをそれぞれ溶接する。これにより、電極組立体3を得る。そして、正極11のタブ14b及び負極12のタブ17bに、導電部材16及び導電部材19をそれぞれ溶接する。
【0043】
なお、セパレータ付き正極10と負極12とは、互いに略等しい形状及び大きさを有している。すなわち、負極12の幅及び高さとセパレータ付き正極10の幅及び高さとは、互いに略等しい。したがって、正極11の本体部14aの幅及び高さは、負極12の本体部17aの幅及び高さより若干小さくなっている。
【0044】
引き続いて、
図4〜6を参照して、セパレータ付き電極の製造装置及び上記の電極収容工程の第1実施形態について詳細に説明する。
図4〜6には、直交座標系Sが示されている。直交座標系SのX方向及びY方向は水平方向を示し、Z方向は鉛直方向を示す。電極収容工程は、ここでは、正極(電極)11を袋状のセパレータ13に収容することによりセパレータ付き正極(セパレータ付き電極)10を製造するセパレータ付き電極の製造方法である。この製造方法は、製造装置20により実施される。つまり、製造装置20は、袋状のセパレータ13に正極11を収容することによりセパレータ付き正極10を製造するセパレータ付き電極の製造装置である。
【0045】
まず、製造装置20の概略について説明する。製造装置20は、互いに対向する一対のガイドローラ21と、第1ヒータローラ(第1溶着部)22と、第2ヒータローラ23と、互いに対向する一対の搬送ローラ(搬送部)24と、切断部25と、供給部30と、を備える。供給部30、ガイドローラ21、第1ヒータローラ22、第2ヒータローラ23、搬送ローラ24、及び、切断部25は、X方向に沿って順に配列されている。また、ガイドローラ21、第1ヒータローラ22、第2ヒータローラ23、及び、搬送ローラ24の回転軸は、Y方向に沿っている。
【0046】
ここでは、袋状のセパレータ13を構成する(セパレータ13の元になる)長尺シート状の一対のセパレータ部材13a,13bが用意される。セパレータ部材13a,13bは、それぞれ、図示しない原反ロールから繰り出されると共に搬送ローラ24によって、その長手方向に沿って搬送される。その際、セパレータ部材13a,13bは、ガイドローラ21によりガイドされ、X方向に沿うように互いに略平行に搬送される。したがって、ここでは、セパレータ部材13a,13bの搬送方向は水平方向に沿っている。この場合、セパレータ部材13a,13bの長手方向がX方向に沿っており、短手方向がY方向に沿っており、厚さ方向がZ方向に沿っている。つまり、セパレータ部材13a,13bは、少なくともガイドローラ21の後段において、水平面に沿っている。
【0047】
引き続いて、製造装置20の各部の詳細について説明する。搬送ローラ24は、円柱状であり、第2ヒータローラ23と切断部25との間に配置されている。搬送ローラ24は、上述したように、一対のセパレータ部材13a,13bを長手方向に沿った搬送方向に搬送する。より具体的には、搬送ローラ24は、図示しない駆動源によって、セパレータ部材13a,13bを挟み込みながら矢印方向に回転することにより、セパレータ部材13a,13bを搬送方向に搬送する。
【0048】
第1ヒータローラ22は、ガイドローラ21と第2ヒータローラ23との間に配置されている。第1ヒータローラ22は、互いに対向する一対の円柱状のローラ22a,22bを含む。ローラ22a,22bは、セパレータ部材13a,13bが搬送ローラ24によって搬送されるのに伴って回転する。ただし、ローラ22a,22bは、搬送ローラ24とは独立した駆動源によって回転駆動されてもよい。この場合、ローラ22a,22bの回転速度は、基本的に、搬送ローラ24によるセパレータ部材13a,13bの搬送速度に合わせられる。また、この場合には、ローラ22a,22bの回転数を制御することによって、その溶着位置を調整することも可能となる。
【0049】
第1ヒータローラ22は、搬送ローラ24により搬送されているセパレータ部材13a,13bを、セパレータ部材13a,13bの短手方向に沿って互いに溶着する。これにより、第1ヒータローラ22は、セパレータ部材13a,13bの短手方向に延びる第1溶着領域W1及び第3溶着領域W3を形成する。
【0050】
第1溶着領域W1及び第3溶着領域W3は、一例として、次のように形成することができる。すなわち、例えば、ローラ22aに対して、その回転軸方向に延びる凸部を設ける。また、ローラ22aの内部にヒータを設ける。そして、ヒータにより熱せられたローラ22aの凸部の頂面と、ローラ22bの外周面との間にセパレータ部材13a,13bを挟みながらローラ22a,22bを矢印方向に回転させる。これにより、ローラ22aの外周の長さに応じた間隔でセパレータ部材13aとセパレータ部材13bとが溶着される。なお、ローラ22bの内部にもヒータを設け、ローラ22aとローラ22bとの両方を加熱してもよい。
【0051】
これにより、セパレータ部材13a,13bの長手方向に互いに離間して交互に配列された複数の第1溶着領域W1及び第3溶着領域W3が形成される。なお、ここでは、便宜的に、後述するようにセパレータ部材13a,13bに対して特定の正極11が供給された場合に、その特定の正極11の側端部14r側に位置する溶着領域を第1溶着領域W1と称し、側端部14p側に位置する溶着領域を第3溶着領域W3と称する。したがって、ここでは、第1溶着領域W1と第3溶着領域W3とは同一のものであり、着目する正極11との位置関係に応じて呼称が変更される。
【0052】
供給部30は、搬送ローラ24により搬送されているセパレータ部材13a,13bに対して正極11を供給する。より具体的には、供給部30は、セパレータ部材13a,13bの搬送速度よりも大きな速度により正極11を搬送方向に沿って移動させることによって、正極11を第1溶着領域W1に当接させるように一対のセパレータ部材13a,13bの間に供給する。供給部30の詳細については後述する。
【0053】
第2ヒータローラ23は、第1ヒータローラ22と搬送ローラ24との間に配置されている。第2ヒータローラ23は、互いに対向する一対の円柱状のローラ23a,23bを含む。ローラ23a,23bは、セパレータ部材13a,13bが搬送ローラ24によって搬送されるのに伴って回転する。ただし、ローラ23a,23bは、搬送ローラ24とは独立した駆動源によって回転駆動されてもよい。
【0054】
第2ヒータローラ23は、搬送ローラ24により搬送されているセパレータ部材13a,13bを、その短手方向における一方の縁部E2において互いに溶着することにより、第2溶着領域W2を形成する。また、第2ヒータローラ23は、搬送ローラ24により搬送されているセパレータ部材13a,13bを、その短手方向における他方の縁部E4において互いに溶着することにより、第4溶着領域W4を形成する。第2溶着領域W2及び第4溶着領域W4は、セパレータ部材13a,13bの長手方向に沿って延びている。第2溶着領域W2及び第4溶着領域W4は、一例として、次のように形成することができる。
【0055】
すなわち、例えば、ローラ23aに対して、ローラ23aの周方向に沿って延びる第1凸部を設ける。この第1凸部は、ローラ23aの周方向の全体にわたって延び、円環状となっている。すなわち、この第1凸部の始端と終端とは一致している。一方、ローラ23aに対して、ローラ23aの周方向に沿って延びる第2凸部を設ける。この第2凸部は、ローラ23aの回転軸に沿って第1凸部から離間すると共に、第1凸部と略平行となっている。また、この第2凸部は、ローラ23aの周方向の全体にわたっていない。すなわち、第2凸部の始端と終端とは一致しておらず、それらの間に欠落部分が設けられる。さらに、ローラ23aの内部にヒータを設ける。そして、ヒータにより熱せられたローラ23aの第1凸部及び第2凸部の頂面と、ローラ23bの外周面との間にセパレータ部材13a,13bを挟みながらローラ23a,23bを矢印方向に回転させる。
【0056】
これにより、セパレータ部材13aとセパレータ部材13bとが、縁部E2,E4において溶着され、第2溶着領域W2及び第4溶着領域W4が形成される。また、第2凸部の欠落部分においてはセパレータ部材13aとセパレータ部材13bとが溶着されず、非溶着領域W5が形成される。非溶着領域W5からは、正極11のタブ14bが突出させられる。すなわち、第2凸部の欠落部分は、正極11のタブ14bに対応する位置に非溶着領域W5を形成するように設定される。なお、ローラ23bの内部にもヒータを設け、ローラ23aとローラ23bとの両方を加熱してもよい。
【0057】
切断部25は、セパレータ部材13a,13bの搬送方向における搬送ローラ24の後段に配置されている。切断部25は、固定刃25aと回転刃25bとを含む。切断部25は、搬送ローラ24により搬送されるセパレータ部材13a,13bを、固定刃25aと回転刃25bとにより挟むようにして切断する。切断部25は、第1溶着領域W1と第3溶着領域W3のそれぞれにおいて、セパレータ部材13a,13bを切断する。これにより、個片化されたセパレータ付き正極10が得られる。なお、切断部25は、固定刃と回転刃とを用いたものに限定されない。例えば、切断部25は、上下の軸のまわりにそれぞれ回転する一対のロータリー刃を用いたロータリーカッターや、熱による溶断を利用するものであってもよい。
【0058】
供給部30について詳細に説明する。供給部30は、複数のローラ31と、ガイド部材(ガイド部)40と、を含む。ローラ31は、セパレータ部材13a,13bの搬送方向に沿って配列されている。ローラ31は、円柱状であり、一例として水平に保持されている。ローラ31は、搬送方向に交差(ここでは直交)すると共に水平方向に沿った回転軸の周りに回転する。ローラ31の外周面32には、凸部33が設けられている(特に
図5参照)。
【0059】
凸部33は、ローラ31の回転軸を中心としてローラ31を回るように延びる螺旋状である。供給部30においては、この凸部33の頂面33sにおいて、正極11が支持される。換言すれば、凸部33の頂面33sは、正極11に接触しつつ正極11を支持する支持部である。ガイド部材40は、セパレータ部材13a,13bの搬送方向に沿って延在しており、複数のローラ31に掛け渡されるようにローラ31上(特に凸部33の頂面33s上)に設けられている。そして、凸部33は、セパレータ部材13a,13bの搬送方向及び短手方向に交差するように鉛直上方からみたとき、搬送方向に向かうにつれてガイド部材40に近づくように傾斜している。
【0060】
このように構成される供給部30は、次のように正極11をセパレータ部材13a,13b間に供給する。すなわち、供給部30は、凸部33の頂面33sにより正極11を支持した状態においてローラ31を回転させる(回転しているローラ31に正極11を載置する)。これにより、正極11は、ローラ31の回転に伴って回転する凸部33の頂面33sとの間の摩擦力によって移動させられる。このとき、正極11は、凸部33の螺旋形状に応じて、セパレータ部材13a,13bの搬送方向及び短手方向(ガイド部材40に向かう方向)に向けて図中の矢印方向Dに移動される。このため、正極11は、ガイド部材40に摺動しながらセパレータ部材13a,13bの搬送方向に移動させられる。つまり、ローラ31は、ローラ31の回転に伴って凸部33を回転させることによって、正極11をガイド部材40に摺動させながら搬送方向に沿って移動させる移動部である。
【0061】
供給部30は、セパレータ部材13a,13bの搬送方向に沿った正極11の移動速度が、セパレータ部材13a,13bの移動速度よりも大きくなるように、ローラ31の回転速度を設定する。つまり、供給部30は、セパレータ部材13a,13bの搬送速度よりも大きな速度により正極11を搬送方向に沿って移動させる。これにより、供給部30は、正極11を第1溶着領域W1に当接させるように正極11をセパレータ部材13a,13bの間に供給する。
【0062】
第1実施形態に係る電極収容工程(セパレータ付き電極の製造方法)の一例について、説明を続ける。この製造方法においては、まず、搬送ローラ24により、セパレータ部材13a,13bを、セパレータ部材13a,13bの長手方向に沿った搬送方向(X方向)に搬送する(搬送ステップ)。このとき、セパレータ部材13a,13bは、水平面に沿っている。
【0063】
続いて、第1ヒータローラ22によって、搬送ステップにおいて搬送されているセパレータ部材13a,13bを、セパレータ部材13a,13bの短手方向に沿って互いに溶着し、第1溶着領域W1(第3溶着領域W3)を形成する(第1溶着ステップ)。
【0064】
続いて、供給部30によって、セパレータ部材13a,13bの搬送速度よりも大きな速度により、セパレータ部材13a,13bの搬送方向に正極11を移動させることにより、正極11を第1溶着領域W1に当接させるようにセパレータ部材13a,13bの間に供給する(供給ステップ)。このとき、正極11は、ローラ31の凸部33の頂面33sに接触・支持された状態において、ローラ31の回転に伴う凸部33の回転により、ガイド部材40に摺動しながら搬送方向に移動させられる。
【0065】
このため、正極11は、その下端部14xとガイド部材40との突き当てにより、セパレータ部材13a,13bの短手方向においてガイド部材40を基準として位置決めされる(
図6の(a)参照)。さらに、正極11は、その側端部14rと第1溶着領域W1との突き当てにより、セパレータ部材13a,13bの長手方向において第1溶着領域W1を基準として位置決めされる(
図6の(b)参照)。
【0066】
続いて、第2ヒータローラ23によって、搬送ステップにおいて搬送されているセパレータ部材13a,13bを、セパレータ部材13a,13bの短手方向における縁部E2,E4において互いに溶着し、第2溶着領域W2及び第4溶着領域W4を形成する。これにより、一続きのセパレータ部材13a,13bに対して、セパレータ13が形成される共に、セパレータ13に正極11を収容してなるセパレータ付き正極10が構成される。
【0067】
そして、切断部25によって、搬送ステップにおいて搬送されているセパレータ部材13a,13bを、第1溶着領域W1及び第3溶着領域W3において切断する。これにより、個片化されたセパレータ付き正極10が製造される(切り出される)。
【0068】
以上説明したように、本実施形態に係る製造装置20及び製造方法(電極収容工程)においては、正極11は、セパレータ部材13a,13bの搬送速度よりも大きな速度によりセパレータ部材13a,13bの搬送方向に沿って移動させられ、セパレータ部材13a,13b間に供給される。このため、正極11は、セパレータ部材13a,13bの短手方向に沿って形成された第1溶着領域W1に突き当てられる。したがって、正極11の供給に際して、第1溶着領域W1を基準として、セパレータ部材13a,13bの長手方向(搬送方向)におけるセパレータ部材13a,13bに対する正極11の位置決めがなされる。
【0069】
また、本実施形態に係る製造装置20及び製造方法においては、正極11は、ローラ31の凸部33の頂面33sに接触しつつ支持されると共に、搬送方向に沿って設けられたガイド部材40に摺動しながら搬送方向に移動され、セパレータ部材13a,13b間に供給される。したがって、正極11の供給に際して、ガイド部材40を基準として、セパレータ部材13a,13bの短手方向(搬送方向に交差する方向)におけるセパレータ部材13a,13bに対する正極11の位置決めがなされる。このように、本実施形態に係る製造装置20及び製造方法によれば、複数の方向について、セパレータ部材13a,13bに対する正極11の位置決めがなされる。よって、セパレータ13に対する正極11の位置精度を向上することが可能である。
【0070】
なお、一般に、セパレータ13に対する正極11の位置精度が低い場合には、第1溶着領域W1〜第4溶着領域W4によって画成されるセパレータ13の内部空間に対して、正極11を十分に小さく設定する必要がある。これは、セパレータ13に対する正極11の位置ずれが大きい場合であっても、第1溶着領域W1〜第4溶着領域W4と正極11とが互いに干渉することを避け、セパレータ13に正極11を確実に収容するためである。
【0071】
この点、本実施形態に係る製造装置20及び製造方法によれば、セパレータ13に対する正極11の位置精度が向上されるため、セパレータ13に対する正極11の位置ずれが大きくなることが抑制される。このため、上記のような事情を考慮する必要がなく、正極11を比較的大きく設定することができる。したがって、蓄電装置1の容量を向上することができる。また、正極11を比較的大きく形成した場合であっても、正極11がセパレータ13の内側に確実に収容されるため、正極11が確実に絶縁され、安全性が確保される。
【0072】
また、本実施形態に係る製造装置20においては、供給部30は、搬送方向に交差する回転軸の周りに回転する複数のローラ31を有する。ローラ31は、搬送方向に沿って配列されており、ローラ31の外周面32には、回転軸を中心としてローラ31を周回するように延びる螺旋状の凸部33が設けられている。そして、供給部30は、凸部33の頂面33sにより正極11を接触・支持しつつ、ローラ31の回転に伴って凸部33を回転させることによって、正極11をガイド部材40に摺動させながら搬送方向に沿って移動させる。このため、回転する螺旋状の凸部33の頂面33sと正極11との間の摩擦力を利用して、正極11をガイド部材40に摺動させながら搬送方向に沿って移動させることができる。つまり、複雑な装置を用いることなく、上記のように位置決めを行うことが可能である。
【0073】
さらに、本実施形態に係る製造装置20においては、正極11をセパレータ部材13a,13bの間に供給するに際して、正極11の搬送(供給)と正極11の位置決めとを単一の構成(供給部30)によって行うことができる。このため、例えば、正極11を搬送するための装置の後段に、正極11の位置決めを行うための装置を設ける場合等と比較して、装置構成を簡略化することができる。
【0074】
以上の実施形態は、本発明に係るセパレータ付き電極の製造装置、及び、セパレータ付き電極の製造方法の一実施形態を説明したものである。したがって、本発明に係るセパレータ付き電極の製造装置、及び、セパレータ付き電極の製造方法は、上述したものに限定されない。本発明に係るセパレータ付き電極の製造装置、及び、セパレータ付き電極の製造方法は、各請求項の要旨を変更しない範囲において、上述したものを任意に変更したものとすることができる。
【0075】
例えば、セパレータ部材13a,13bの短手方向における正極11の位置決めの基準として、ガイド部材40に変えて、セパレータ部材13a,13bに形成された溶着領域を利用することができる。この態様について、より具体的に説明する。
図7に示されるように、この場合には、製造装置20は、第1ヒータローラ22の前段に設けられた第3ヒータローラ(第2溶着部)26をさらに備える。この第3ヒータローラ26は、搬送ローラ24により搬送されているセパレータ部材13a,13bの短手方向における一方の縁部E2を互いに溶着して第2溶着領域W2を形成する。
【0076】
そして、供給部30は、セパレータ部材13a,13bの搬送速度よりも大きな速度により正極11を搬送方向に沿って移動させることにより、正極11を第1溶着領域W1に当接させるようにセパレータ部材13a,13bの間に供給する。このとき、供給部30は、ローラ31の凸部33の頂面33sにより正極11を接触して支持する。また、供給部30は、ローラ31の回転に伴って凸部33を回転させることにより、頂面33sによって支持された正極11を、第2溶着領域W2に摺動させながら搬送方向に沿って移動させる。
【0077】
つまり、製造方法(電極収容工程)においては、第1溶着領域W1を形成する第1溶着ステップの前において、搬送ステップにおいて搬送されるセパレータ部材13a,13bの短手方向における一方の縁部E2を互いに溶着して第2溶着領域W2を形成する(第2溶着ステップ)。そして、供給ステップにおいては、セパレータ部材13a,13bの搬送速度よりも大きな速度により正極11を搬送方向に沿って移動させることにより、正極11を第1溶着領域W1に当接させるようにセパレータ部材13a,13bの間に供給する。特に、供給ステップにおいては、正極11に接触する頂面33sによって正極11を支持すると共に、正極11を第2溶着領域W2に摺動させながら搬送方向に沿って移動させる。
【0078】
このような場合にも、上記実施形態と同様に、まず、第1溶着領域W1を基準として、セパレータ部材13a,13bの長手方向(搬送方向)におけるセパレータ部材13a,13bに対する正極11の位置決めがなされる。また、この場合には、ガイド部材40に変えて第2溶着領域W2を基準として、セパレータ部材13a,13bの短手方向(搬送方向に交差する方向)におけるセパレータ部材13a,13bに対する正極11の位置決めがなされる。よって、セパレータ13に対する正極11の位置制度を向上することが可能である。
【0079】
一方、製造装置20にあっては、供給部30のローラ31が、水平面に対して傾斜していてもよい。すなわち、ローラ31は、セパレータ部材13a,13bの搬送方向に交差すると共に鉛直成分を含む所定方向に沿って傾斜しており、その所定方向に沿った回転軸の周りに回転してもよい。その場合、供給部30にあっては、ガイド部材40よりも鉛直上側において、凸部33の頂面33sにより正極11を支持する。この場合には、凸部33の頂面33sと正極11との間の摩擦力に加えて、正極11に加わる重力の所定方向に沿った成分を利用して、正極11をガイド部材40(または第2溶着領域W2)に摺動させながら搬送方向に沿って移動させることができる。
【0080】
なお、この場合には、正極11をガイド部材40(または第2溶着領域W2)側に移動させるための構成として、ローラ31の外周面32に凸部33を設けなくてもよい。ローラ31に凸部33を設けない場合には、ローラ31の外周面32が、正極11に接触しつつ正極11を支持する(すなわち支持部である)。また、供給部30は、ローラ31を回転させることによって、正極11をガイド部材40(または第2溶着領域W2)に摺動させながら搬送方向に沿って移動させる。この場合には、回転するローラ31の外周面32と正極11との間の摩擦力、及び正極11に加わる重力の所定方向に沿った成分を利用して、正極11をガイド部材40に摺動させながら搬送方向に沿って移動させることができる。
【0081】
さらに、製造装置20においては、供給部30は、例えば、上述した螺旋状の凸部33やローラ31の傾斜に変えて(或いは加えて)、圧縮空気を正極11に向けて噴射することにより、正極11をガイド部材40(または第2溶着領域W2)に向けて移動させるように構成されていてもよい。
【0082】
さらに、上記実施形態においては、正極11がセパレータ13に収容される場合について説明した。しかしながら、負極12がセパレータ13に収容されてもよい。すなわち、正極11及び負極12のうちのいずれか一方の電極がセパレータ13に収容されてセパレータ付き電極が構成されればよい。
【0083】
引き続いて、
図8〜10を参照して、セパレータ付き電極の製造装置及び電極収容工程の第2実施形態について詳細に説明する。
図8〜10には、直交座標系Sが示されている。直交座標系SのX方向及びY方向は水平方向を示し、Z方向は鉛直方向を示す。電極収容工程は、ここでは、正極(電極)11を袋状のセパレータ13に収容することによりセパレータ付き正極(セパレータ付き電極)10を製造するセパレータ付き電極の製造方法である。この製造方法は、製造装置20Aにより実施される。つまり、製造装置20Aは、袋状のセパレータ13に正極11を収容することによりセパレータ付き正極10を製造するセパレータ付き電極の製造装置である。
【0084】
製造装置20Aは、供給部30に代えて供給部30Aを備える点で製造装置20と相違している。製造装置20Aのその他の構成は、製造装置20と同様である。供給部30Aは、供給部30と同様に、搬送ローラ24により搬送されているセパレータ部材13a,13bに対して正極11を供給する。より具体的には、供給部30Aは、セパレータ部材13a,13bの搬送速度よりも大きな速度により正極11を搬送方向に沿って移動させることによって、正極11を第1溶着領域W1に当接させるように一対のセパレータ部材13a,13bの間に供給する。
【0085】
供給部30Aは、複数のローラ31Aと、ガイド部40Aと、を含む。ローラ31Aは、セパレータ部材13a,13bの搬送方向に沿って配列されている。ローラ31Aは、円柱状であり、一例として水平に保持されている。供給部30Aにおいては、ローラ31Aの外周面32Aにより、正極11が支持される。換言すれば、ローラ31Aの外周面32Aは、正極11に接触しつつ正極11を支持する支持部である。ガイド部40Aは、搬送方向に沿うようにローラ31A(すなわち支持部)に並設されている。
【0086】
ローラ31Aは、水平面に沿った回転軸Axの周りに回転する。回転軸Axは、搬送方向に対して傾斜している。より具体的には、回転軸Axは、ガイド部40A側の一端部よりも反対側の他端部のほうが、セパレータ部材13a,13bの搬送方向の前方に位置するように傾斜している。換言すれば、回転軸Axは、回転軸Axの周りにローラ31Aが回転したときに、外周面32A上の正極11に対してガイド部40Aに向かう方向に力fが加わるように傾斜している。ガイド部40Aは、環状のベルト41と、ベルト41が架け渡される一対のローラ42と、を含む。ベルト41は、例えばローラ42が回転することにより駆動される。
【0087】
このように構成される供給部30Aは、次のように正極11をセパレータ部材13a,13b間に供給する。すなわち、供給部30Aは、ローラ31Aの外周面32Aにより正極11を支持した状態においてローラ31Aを回転させる(回転しているローラ31Aに正極11を載置する)。これにより、正極11は、ローラ31Aの回転に伴って外周面32Aとの間の摩擦力によって移動させられる。
【0088】
このとき、正極11は、ローラ31Aが回転軸Axの周りに回転することに応じて、セパレータ部材13a,13bの搬送方向及び短手方向(ガイド部40Aに向かう方向)に向けて図中の矢印方向Dに移動される。このため、正極11は、ガイド部40Aに接触しながらセパレータ部材13a,13bの搬送方向に移動させられる。つまり、ローラ31Aは、回転することにより正極11をガイド部40Aに接触させながら搬送方向に沿って移動させる移動部である。このとき、正極11は、ガイド部40Aにおけるベルト41の外表面41sに接触する。
【0089】
なお、
図9の(b)に示されるように、搬送方向に交差する方向(例えばY方向)からみて、ガイド部40Aのベルト41は、ローラ31Aに重複している。換言すれば、ベルト41の外表面41sは、搬送方向に交差する方向からみてローラ31Aに重複する重複部41aを含む。さらに換言すれば、ガイド部40Aは、搬送方向に交差する方向からみて支持部に重複している。
【0090】
上述したように、ベルト41は、ローラ42の回転により駆動可能とされている。したがって、ローラ42の回転速度を適宜設定することにより、ベルト41の速度と正極11の移動の速度とを概ね同等とすることが可能である。つまり、ガイド部40Aにおける正極11との接触部分(ベルト41の外表面41s)は、正極11の移動の速度に応じた速度で移動可能に構成されている。換言すれば、ローラ42は、ベルト41を回転駆動させることにより、ベルト41の外表面41sを正極11の移動の速度に応じた速度で移動させる駆動部である。これにより、ベルト41の外表面41sと正極11との相対速度を実質的にゼロとし、外表面41sと正極11との擦れを抑制可能である。
【0091】
ここで、供給部30Aは、セパレータ部材13a,13bの搬送方向に沿った正極11の移動速度が、セパレータ部材13a,13bの移動速度よりも大きくなるように、ローラ31Aの回転速度を設定する。つまり、供給部30Aは、セパレータ部材13a,13bの搬送速度よりも大きな速度により正極11を搬送方向に沿って移動させる。これにより、供給部30Aは、正極11を第1溶着領域W1に当接させるように正極11をセパレータ部材13a,13bの間に供給する。
【0092】
第2実施形態に係る電極収容工程(セパレータ付き電極の製造方法)の一例について、説明を続ける。なお、第1実施形態と同様のステップについては説明を省略する。この製造方法においては、供給部30Aによって、セパレータ部材13a,13bの搬送速度よりも大きな速度でセパレータ部材13a,13bの搬送方向に正極11を移動させることにより、正極11を第1溶着領域W1に当接させるようにセパレータ部材13a,13bの間に供給する(供給ステップ)。このとき、正極11は、ローラ31Aの外周面32Aに接触しつつ支持された状態において、ローラ31Aの回転に伴ってガイド部40A(ベルト41の外表面41s)に接触しながら搬送方向に移動させられる。上述したように、ガイド部40Aにおける正極11との接触部分である外表面41sは、正極11の移動の速度に応じた速度で移動する。
【0093】
正極11は、その下端部14xとベルト41の外表面41sとの突き当てにより、セパレータ部材13a,13bの短手方向において外表面41sを基準として位置決めされる(
図10の(a)参照)。さらに、正極11は、その側端部14rと第1溶着領域W1との突き当てにより、セパレータ部材13a,13bの長手方向において第1溶着領域W1を基準として位置決めされる(
図10の(b)参照)。
【0094】
以上説明したように、本実施形態に係る製造装置20A及び製造方法(電極収容工程)においては、正極11は、セパレータ部材13a,13bの搬送速度よりも大きな速度によりセパレータ部材13a,13bの搬送方向に沿って移動させられ、セパレータ部材13a,13b間に供給される。このため、正極11は、セパレータ部材13a,13bの短手方向に沿って形成された第1溶着領域W1に突き当てられる。したがって、正極11の供給に際して、第1溶着領域W1を基準として、セパレータ部材13a,13bの長手方向(搬送方向)におけるセパレータ部材13a,13bに対する正極11の位置決めがなされる。
【0095】
また、本実施形態に係る製造装置20A及び製造方法においては、正極11は、ローラ31Aの外周面32Aに接触しつつ支持されると共に、搬送方向に沿って設けられたガイド部40A(ベルト41の外表面41s)に接触しながら搬送方向に移動され、セパレータ部材13a,13b間に供給される。したがって、正極11の供給に際して、ガイド部40Aを基準として、セパレータ部材13a,13bの短手方向(搬送方向に交差する方向)におけるセパレータ部材13a,13bに対する正極11の位置決めがなされる。
【0096】
このように、本実施形態に係る製造装置20A及び製造方法によれば、複数の方向について、セパレータ部材13a,13bに対する正極11の位置決めがなされる。よって、セパレータ13に対する正極11の位置精度を向上することが可能である。特に、本実施形態に係る製造装置20A及び製造方法においては、ガイド部40Aにおける正極11との接触部分(ベルト41の外表面41s)が、正極11の移動速度に応じた速度で移動可能である(移動する)。このため、正極11がガイド部40Aに擦れて損傷(例えば粉落ち)することが抑制される。
【0097】
また、本実施形態に係る製造装置20Aにおいては、供給部30Aは、回転軸Axの周りに回転する複数のローラ31Aを有する。正極11は、ローラ31Aの外周面32Aにより支持される。回転軸Axは、回転軸Axの周りにローラ31Aが回転したときに外周面32A上の正極11に対してガイド部40Aに向かう方向に力fが加わるように傾斜している。そして、正極11は、ローラ31Aの回転によってガイド部40Aに接触しつつ搬送方向に沿って移動する。このように、ローラ31Aの外周面32Aと正極11との間の摩擦力を利用して、正極11をガイド部40Aに接触させながら搬送方向に沿って移動させることができる。つまり、複雑な装置を用いることなく、上記のように位置決めを行うことが可能である。
【0098】
また、本実施形態に係る製造装置20Aにおいては、ガイド部40Aは、正極11に接触する環状のベルト41と、ベルト41を回転駆動させることによりベルト41の外表面41s(正極11との接触部分)を正極11の移動の速度に応じた速度で移動させるローラ42と、を有する。このため、例えばガイド部を複数のローラで構成する場合と比較して、接触部分の面積を大きくすることができる。このため、ガイド部40Aから正極11への反力を分散し、正極11の損傷を抑制可能である。
【0099】
また、本実施形態に係る製造装置20Aにおいては、ガイド部40Aは、搬送方向に交差する方向からみてローラ31Aの外周面32A(支持部)に重複している。このため、ローラ31Aの外周面32Aとガイド部40Aとの間から正極11が抜け出すことが抑制される。
【0100】
さらに、本実施形態に係る製造装置20A及び製造方法にあっても、第1実施形態に係る製造装置20及び製造方法と同様の理由から、蓄電装置1の容量を向上可能であると共に安全性を確保可能である。
【0101】
以上の実施形態は、本発明に係るセパレータ付き電極の製造装置、及び、セパレータ付き電極の製造方法の一実施形態を説明したものである。したがって、本発明に係るセパレータ付き電極の製造装置、及び、セパレータ付き電極の製造方法は、上述したものに限定されない。本発明に係るセパレータ付き電極の製造装置、及び、セパレータ付き電極の製造方法は、各請求項の要旨を変更しない範囲において、上述したものを任意に変更したものとすることができる。
【0102】
例えば、
図11に示されるように、製造装置20Aにおいては、供給部30Aに代えて供給部30Bを用いることができる。供給部30Bは、複数のローラ31Bと、ガイド部40Bと、を含む。ローラ31Bは、セパレータ部材13a,13bの搬送方向に沿って配列されている。ローラ31Bは、円柱状であり、水平面に対して傾斜して保持されている。すなわち、ローラ31Bは、セパレータ部材13a,13bの搬送方向に交差すると共に鉛直成分を含む所定方向に沿って傾斜しており、その所定方向に沿った回転軸Axの周りに回転する。ここでは、一例として、回転軸Axは、セパレータ部材13a,13bの搬送方向に略直交している。供給部30Bにおいては、ローラ31Bの外周面32Bにより、正極11が支持される。換言すれば、ローラ31Bの外周面32Bは、正極11に接触しつつ正極11を支持する支持部である。
【0103】
ガイド部40Bは、搬送方向に沿うようにローラ41B(すなわち支持部)に並設されている。特に、ここでは、ガイド部40Bは、ローラ41Bよりも鉛直下側に配置されている。換言すれば、供給部30Bにあっては、ガイド部40Bよりも鉛直上側において、ローラ31Bの外周面32Bにより正極11を支持する。ガイド部40Bは、複数のローラ43と、ローラ43を回転可能に支持する支持体44とを含む。
【0104】
ローラ43は、例えば円柱状である。ローラ43は、セパレータ部材13a,13bの搬送方向に沿って配列されている。ローラ43は、水平面に対して傾斜している。より具体的には、ローラ43は、セパレータ部材13a,13bの搬送方向からみて、ローラ31Bと略直角を成すように水平面に対して傾斜している。換言すれば、ローラ43は、ローラ31B側の端部が反対側の端部よりも鉛直下方に位置するように傾斜している。ローラ43は、例えばローラ31Bの回転軸Axに沿った方向からみて、ローラ31Bに重複している。換言すれば、ローラ43の外周面43sは、回転軸Axに沿った方向からみて、ローラ31Bに重複する重複部43aを含む。さらに換言すれば、ガイド部40Bは、回転軸Axに沿った方向からみて支持部に重複している。
【0105】
このように構成される供給部30Bは、次のように正極11をセパレータ部材13a,13b間に供給する。すなわち、供給部30Bは、ローラ31Bの外周面32Bにより正極11を支持した状態においてローラ31Bを回転させる(回転しているローラ31Bに正極11を載置する)。これにより、正極11は、ローラ31Bの回転に伴って外周面32Bとの間の摩擦力によってセパレータ部材13a,13bの搬送方向に沿って移動させられる。
【0106】
このとき、正極11には、正極11に加わる重力によって、ガイド部40Bに向かう方向の力fが付与される。したがって、正極11は、セパレータ部材13a,13bの搬送方向及び短手方向(ガイド部40Bに向かう方向)に向けて図中の矢印方向Dに移動される。このため、正極11は、ガイド部40Bに接触しながらセパレータ部材13a,13bの搬送方向に移動させられる。つまり、ローラ31Bは、回転することにより正極11をガイド部40Bに接触させながら搬送方向に沿って移動させる移動部である。このとき、正極11は、ガイド部40Bにおけるローラ43の外周面43sに接触する。
【0107】
上述したように、ローラ43は、支持体44により回転可能に支持されている。したがって、このとき、ローラ43の外周面43sと正極11との間の摩擦力によってローラ43が回転する。これにより、外周面43sにおける正極11との接触部分は、正極11の移動の速度と同一の速度で移動する。つまり、外周面43sにおける正極11との接触部分は、正極11の移動の速度に応じた速度で移動可能に構成されている。したがって、外周面43sと正極11との間に擦れが生じない。
【0108】
ここで、供給部30Bは、セパレータ部材13a,13bの搬送方向に沿った正極11の移動速度が、セパレータ部材13a,13bの移動速度よりも大きくなるように、ローラ31Bの回転速度を設定する。つまり、供給部30Bは、セパレータ部材13a,13bの搬送速度よりも大きな速度により正極11を搬送方向に沿って移動させる。これにより、供給部30Bは、正極11を第1溶着領域W1に当接させるように正極11をセパレータ部材13a,13bの間に供給する。
【0109】
このような供給部30Bを用いた場合であっても、供給部30Aを用いた場合と同様の効果を奏することができる。特に、供給部30Bにおいては、ガイド部40Bのローラ43の駆動源が必要ないので、構成が簡略化される。なお、供給部30Aにおいても、ローラ42が駆動せずに単にベルト41を回転可能に支持するようにすることができる。この場合、同様に構成を簡略化可能である。
【0110】
また、供給部30Bにおいて、ローラ31Bの回転軸Axをローラ31Aの回転軸Axのように傾斜させてもよい。また、供給部30A,30Bのそれぞれのローラ31A,31Bに対して、第1実施形態と同様に螺旋状の凸部33をさらに設けてもよい。
【0111】
また、供給部30A,30Bは、例えば、上述したローラ31A,31Bの傾斜に代えて(或いは加えて)、圧縮空気を正極11に向けて噴出することにより、正極11をガイド部40A,40Bに向けて移動させるように構成されてもよい。さらに、本実施形態においても、正極11及び負極12のうちのいずれか一方の電極がセパレータ13に収容されてセパレータ付き電極が構成されればよい。
【0112】
そして、第1実施形態に係る製造装置20の供給部30においてローラ31A,31Bを用いてもよいし、第2実施形態に係る製造装置20Aの供給部30A,30Bにおいてローラ31を用いてもよい。
【0113】
引き続いて、セパレータ付き電極の製造装置及び電極収容工程のさらに別の実施形態について説明する。この別の実施形態に係るセパレータ付き電極の製造装置の構成は、第1実施形態に係る製造装置20と同様であるため、図示を省略すると共に共通の符号を利用する。本実施形態においては、供給部30は、搬送ローラ24により搬送されているセパレータ部材13a,13bに対して正極11を供給する。より具体的には、供給部30は、セパレータ部材13a,13bの搬送に同期して、正極11をセパレータ部材13a,13bの間に供給する。つまり、供給部30は、正極11を、搬送方向に沿ってセパレータ部材13a,13bの搬送速度に合わせた速度で移動させることにより、正極11の端部(例えば側端部14r)が第1溶着領域W1の端部に沿うように、一対のセパレータ部材13a,13bの間に供給する。ここでは、正極11を、第1溶着領域W1に当接させない。なお、正極11を搬送速度に合わせた速度で移動させるとは、例えば、正極11の移動速度を搬送速度と実質的に同一に設定することを意味する。
【0114】
ここで、本実施形態に係る電極収容工程(セパレータ付き電極の製造方法)の一例について、説明を続ける。なお、ここでは、第1実施形態と内容の異なるステップのみを説明する。この製造方法においては、供給部30によって、正極11を、セパレータ部材13a,13bの搬送方向に沿って、セパレータ部材13a,13bの搬送速度に合わせた速度で移動させることにより、正極11の端部が第1溶着領域W1の端部に沿うように一対のセパレータ部材13a,13bの間に供給する(供給ステップ)。すなわち、供給部30は、セパレータ部材13a,13bの搬送に同期して、正極11をセパレータ部材13a,13bの間に供給する。
【0115】
以上説明したように、本実施形態に係る製造装置20及び製造方法(電極収容工程)においては、正極11は、セパレータ部材13a,13bの搬送速度に合わせた速度によりセパレータ部材13a,13bの搬送方向に沿って移動させられ、セパレータ部材13a,13b間に供給される。このとき、正極11の端部は、セパレータ部材13a,13bの短手方向に沿って形成された第1溶着領域W1に沿うようにされる。したがって、正極11の供給に際して、セパレータ部材13a,13bの長手方向(搬送方向)におけるセパレータ部材13a,13bに対する正極11の位置決めがなされる。
【0116】
また、正極11は、ローラ31の凸部33の頂面33sに接触しつつ支持されると共に、搬送方向に沿って設けられたガイド部材40に摺動しながら搬送方向に移動され、セパレータ部材13a,13b間に供給される。したがって、正極11の供給に際して、ガイド部材40を基準として、セパレータ部材13a,13bの短手方向(搬送方向に交差する方向)におけるセパレータ部材13a,13bに対する正極11の位置決めがなされる。このように、本実施形態に係る製造装置20及び製造方法によれば、複数の方向について、セパレータ部材13a,13bに対する正極11の位置決めがなされる。よって、セパレータ13に対する正極11の位置精度を向上することが可能である。
【0117】
なお、本実施形態についても、請求項の要旨を変更しない範囲において、上述した種々の変形が可能である。